<追記8:2015/12/14>
uriminzokkiriの「モランボン楽団中国親善訪問」コーナーが削除されている。ただし、uriminzokkiri-TVにアップロードされた動画は残っている。
<追記6>
「哀悼期間説」に関するコメントへの返信を書いていたが、長くなったので、記事に貼り付けておく。
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コメントありがとうございます。セジョン大学の専門家もそのようなことを言っているとどこかの新聞に書いてありました。その系で、「歌や踊りの禁止」がどれほど徹底されるのか過去の「朝鮮中央TV」の動画から拾おうと思っているところなのですが、2014年録画分をどこのフォルダーに入れたのか分からなくなり困っているところです。
しかし、昨日の放送を見ている限りでは、「将軍様」関連の歌が少し多めかなという程度で、哀悼ムードはほとんど感じられませんでした。また、放送員もピンクのチマチョゴリを着ていますし、放送から感じられる雰囲気からは、哀悼期間を理由に中国公演を取りやめる理由はないような気がします。そもそも「哀悼期間」なるものは、公式メディアでは報じられていないような。別に隠すような話ではないし、むしろ「将軍様」に哀悼の意を示すことは宣伝上良いことなので、公開した方が良いのではないでしょうか。
陰謀説や連絡不足説からすれば、劉雲山が習近平にはめられたのか、劉雲山の一人芝居であった可能性の方が大きいのではないかと思います。もちろん、「序列5位」と言われている劉雲山が、共青団系なので習近平からは排除の対象となっているという、知り合いの中国専門家から聞いた話が真実ならばという前提ですが。
習近平が「モランボン楽団公演を観覧する予定だったが取りやめになった」という話もありますが、ただでさえ、身辺警護にピリピリしている彼が、北朝鮮楽団の公演をわざわざ聞きに行くことなど、しないと思います。北朝鮮としては、それを「元帥様」訪中のプレ・セレモニーとしたかったのかもしれませんが、習近平に言わせれば「それどころではない」というところでしょう。
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<追記7>
もう一つ、コメントへの返信をこちらに貼り付けておく。
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コメントありがとうございます。「一般公開なし」はガセだと思ったのですが、昨夜、記事に貼り付けた国家大劇院の謝罪文には、「限定挙行的」と書かれているので、「一般公開なし」という意味の中国語なのだと思います。(「限定」ではなく、「原定」であった。正しい中国語訳はコメントを参照のこと)
「要はモランボン楽団の訴求力は強すぎ」の件、今日も記事に追記しておきましたが、お考えになる部分まで中国の神経を刺激するとなると、不可ということになりますね。
これも記事に追記したのですが、習近平指導部としては、少なくとも今は、北朝鮮と関わりたくないのでしょうね。北朝鮮と関われば失点する可能性ばかり大きいので、毛沢東、鄧小平に次ぐ第3の「偉大な指導者」としての名を残したい習近平は適当になだめながらダラダラと行くのではないかと思います。
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<追記5>
中国の
shanghaiistが、「中国当局が歌詞の1行の変更を要求したため」という説を書いている。その系で、今回、演奏される楽曲のリスト情報を、同サイトに投稿した読者が次のように伝えている。
朝鮮楽曲:
『祖国賛歌』、「朝鮮労働党万歳』、「高くたなびけ、我々の党旗』、『私の心臓の声』、『お目にかかりたいです』、『白頭山に行こう』など
中国楽曲:
《中国人民志愿军战歌》、《社会主义好》、《洪湖水浪打浪》、《茉莉花》、《长江之歌》、《三大纪律八项注意》、《军港之夜》、《好日子》、《祝你平安》、《难忘今宵》
中国曲については分からないのでそのまま貼り付けてあるが、よほど中国にとって「思想・精神的」に悪い曲を選択したということでなければ、中国曲の歌詞変更は求めないであろうし、求められたとしても中国の曲なので、北朝鮮側としては問題なく受け入れることができたはずである。もちろん、「中朝友誼」のラインを消せという話しならその限りではないが、親善訪問している楽団にそれはないはずである。
そうなると、朝鮮側の曲の歌詞変更となる。中国語はよく分からないが、「など」と書かれているようなので、恐らく、これ以外の楽曲も準備されていたのであろう。中国側が歌詞の変更を求めるとすれば、「核保有」関係の語彙が入っていることぐらいしか考えられないが、上に上げられている曲にはそのような語彙はないし、ざっと思い出しても、「モランボン楽団」の楽曲に「核」に言及したものはなかったはずである。可能性としては「功勲国家合唱団」の楽曲であるが、こちらは上にも書いていないし、彼らの歌をきちんと把握していないので何とも言えない。
もう一つは、『行こう、白頭山』であるが、白頭山・長白山の領有権(国境線)については両国で片は付いているはずなので、朝鮮領を白頭山、中国領を長白山と呼ぶことにについての問題はないであろう。可能性としては、中国語の訳詞に「長白山」を使うよう要求したのかもしれない。北朝鮮メディアの中国語訳を見ると白頭山については「白頭山」という漢字をそのまま使っている(逆については未調査だが)。そうだとしても、山の領有権を折半することで合意しているのであれば、何語であろうが中国側は「長白山」、朝鮮側は「白頭山」と決めているはずである。もちろん、「首領様」は中国側でも「抗日パルチザン」活動をしたわけで、その系では、現在の「長白山」地域ということになる。日本語の中における「韓国」「朝鮮」と似たような問題が、中朝という漢字文化圏内で発生しているのであれば、興味深いところではある。韓国は、そもそも金日成が白頭山を中国に譲ったことを認めていないので、「長白山」などという山はないと考えているのかもしれないが、この辺りもきちんと調べてみるとおもしろいのかもしれない。そもそも、中韓修交の時、その件に関して何らかの話し合いはあったのだろうか。
なお、「モランボン楽団」は、やはり高麗航空便で帰国したようである。
shanghaiistには「3時間遅れで」と書かれており、私も運行データを確認したときに気にはなったのだが、同便はしばしば遅れており、「モランボン楽団帰国」とは直接的な関係はないようである。
「モランボン楽団」もそうであるが、駐中北朝鮮大使も「モランボン楽団」と共に帰国しており、これが事態の報告をさせるという理由ではなく、「大使の召還」という話であれば、中朝関係は相当悪くなっているということになる。いずれにしても、大使を帰国させるという事態は、両国関係に象徴的な影響があることは間違いない。
shanghaiist, Concerts by North Korea's Moranbong band abruptly canceled, members seen flying out of Beijing airport with ambassador, http://shanghaiist.com/2015/12/12/moranbong.php
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日本のメディアが、「モランボン楽団」が急遽、北京空港から帰国したと伝えている。「功勲国家合唱団」は残っている模様。「朝鮮中央通信」を含む北朝鮮メディアは、まだ何も伝えていない。
土曜日には北京~平壌間にJS152が13:05発、15:35着で飛んでいる。今日は、17:07発、18:33平壌着となっている。
<追記>
その後、北朝鮮メディアでは、「モランボン楽団」の帰国について全く触れていない。uriminzokkiri等に掲載された記事もそのまま残されている。12月11日付けで出されている2楽団の「北京海洋公園参観」ニュースもそのままである。報道では、彼らが何日に海上公園を参観したかは明らかにしていないが、11日だったのかもしれない。
また、日本メディア等の報道では、「モランボン楽団」がリハーサルを行ったようで、中国ではその様子が報道されている。リハーサルが報道されたことに北朝鮮が抗議したという報道もあるが、報道された画像を見るとスマホ等で隠し撮りしたような動画ではなく、業務用のカメラで堂々と撮影した画像に見える。だとすると、北朝鮮側も了解の上でのリハーサル公開であったのだろう。拙ブログでも紹介したように、北朝鮮メディアも同楽団のPVをさんざん流しているので、リハーサル風景の公開は、同楽団のPRにとって決してマイナスではないはずである。
また、ヒョン・ソンウォルと「元帥様」の関係を云々したことで、北朝鮮側が立腹したという報道もあるが、これも今更、立腹するような話ではない。未確認ではあるが、中国のメジャーな国営メディアにはそのようなことは報じていないはずであるし、上場統制が厳しい中国のことなので、噂になったとしてもネット上の話であろう。北朝鮮もネットでの「最高尊厳の毀損」にいちいち腹を立てていられないことは分かっているはずである。
次に、中国側が「水素弾」に腹を立てたという説である。確かに、「元帥様」の発言のタイミングは決して良かったとはいえないにしても、「核保有国」を憲法に明記している国の指導者が「核弾」のついでに「水素弾」にまで言及したとしても、こちらも今更という話のはずである。ましてや、中国当局は、北朝鮮が「水素弾」など持っていないことは百も承知のはずなので、それだけで過度の反応を見せる必要もない。
中朝関係という点から注目するのであれば、「功勲国家合唱団」が公演するかしないかである。「モランボン楽団」は飛行機に乗せたが、団員数が多い「功勲国家合唱団」は、定期便では収容できなかったはずである。なので、彼らは公演をキャンセルして帰国の途につくにしても往路同様、鉄道で丹東経由の帰国となろう。
「功勲国家合唱団」が公演を開催すれば、中朝関係の悪化説はゼロにはならずとも、可能性は低くなる。いずれの国に理由があるにせよ、不快感を表明するためならば、中途半端な公演など開催する必要はないからだ。これについては、開催如何の報道を待つしかない。
もし、「功勲国家合唱団」だけの公演があったとすると、「モランボン楽団」に急な問題が生じた可能性がある。「思想・精神的問題」なのか、健康上の問題なのかは分からないが、何らかの都合で国際舞台に立たせられなくなってしまったのであろう。場合によっては、予定していた演奏曲目に問題が生じたのかもしれない(フレキシブルに対応できそうな気もするが)。「功勲国家合唱団」は、どのみち「愛国的な歌」しか歌わないので、この点については全く関係ない。やったとしても、前回の平壌合同公演で披露したような、ちょっとしたピアノの小技程度であろう。
今回の公演と「元帥様」の訪中は何らかの繋がりがあったはずだが、現状ではそれもよく分からない。いずれにせよ、あれだけ「中朝親善」と宣伝していた公演を中止したのは、それなりの理由があったはずである。あれだけ「親善の確認」を強調しておきながら、公演を中止するというのは、「親善の否定」とも解される。
いずれにせよ、北朝鮮が中止についてどのような説明をするのか注視する必要があるし、北朝鮮国内での今後の「モランボン楽団」の活動にも注目しなければならない。なお、今夜の「朝鮮中央TV」では、同楽団の演奏は演奏風景付きの動画を使って流している。
<追記2>
「朝鮮中央通信」を見たら、「第1回南北当局者会談」のニュースが出ていた。「南側のこうした誤った立場と態度により、今回の会談は何の結実もなく終わった」と締めくくっており、次回の会談予定等についても書かれていない。中国側としては、南北関係の改善も北朝鮮に強く求めていることは間違いないが、「南北当局者会談」が不調に終わったことを理由に、公演を中止されることまではしないと思う。
<追記3>
『時事通信』によると公演予定か以上となっていた「国家大劇院は12日夜、中国版ツイッター『微博』に『功勲国家合唱団とモランボン楽団の公演は中止になった』とおわびの告知を掲載した」とのことである。ただ、過去記事にも書いたとおり、「国家大劇院の英語版HPの公演スケジュールカレンダーには、北朝鮮楽団の公演予定は記されていなかった。
『時事通信』、「モランボン楽団、突然帰国=北京公演ドタキャン―北朝鮮」、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151212-00000097-jij-kr
<追記4>
国家大劇院HP(中国語)に出ている公演キャンセルの公告。「功勲国家合唱団」もキャンセルとなっている。

Source: 国家大劇院、http://www.chncpa.org/