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    「青峰楽団」、「功勲国家合唱団」と共にロシア公演に、メンバーを少し見せる (2015年8月28日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」の「20時報道」で「功勲国家合唱団と青峰楽団」が公演のために平壌空港からロシアに向かったと報じた。その中で、両楽団の映像を公開しているが、全員人民服を着用しており、一瞬ではよく分からなかった。追って、キャプチャした写真を掲載しておく。

    <追記>
    「朝鮮中央通信」が写真を配信していた。

    「青峰楽団の主要俳優」と思われる一団
    20150828cbmain stars
    Source: KCNA

    「モランボン楽団」は設立後一度も海外公演をしていないにもかかわらず、「青峰楽団」は僅か1ヶ月で海外公演に出すのはなぜだろうか。

    <追記2>
    コメントでも関連情報を頂いているが、ロシアメディアより以下。

    **********
    モスクワ(スプートニック):北朝鮮の国立女声コーラス青峰は、ロシアとの文化交流を図るために、モスクワで2回の公演を予定していると駐露北朝鮮大使館が土曜日、スポ-トニックに述べた。

    女性で構成された楽団は、金曜日ロシアの首都に到着した。彼女らは、首都の最も古いシンフォニーオーケストラのホールであるチャイコフスキーコンサートホールで月曜日に、モスコビッチ文化センターで火曜日に公演をする。

    月曜日の公演には、駐露北朝鮮大使の金ヒョンジョンが参席するという。

    大使館報道官によると、今回の訪問は両国間の文化交流を増進し、二国間関係を強化することを目的としているとのことである。

    SPUTNIK, North Korea’s national all-female band Chongbong will have two performances in Moscow, http://sputniknews.com/world/20150829/1026333985.html
    ******************

    興味深いのは、上の報道に「全て女性で構成された楽団」とだけ書かれており、「功勲国家合唱団」に全く触れられていない点である。ロシア側の扱いというか関心事は「青峰楽団」であり、「功勲国家合唱団」はバックコーラス程度の扱いなのであろうか。

    <追記3>
    「朝鮮中央通信」が9月1日公演の写真を配信。

    20150903moscowchong1.jpg
    Source: KCNA

    20150903moscowchong2.jpg
    Source: KCNA

    ステージが小さいというコメントを頂いたが、チャイコフスキーコンサートホールの座席図。ステージは小さいが、観客席は広いようだ。
    moscow chasky hall_tsch_plan
    Source: BolshoiMoscow.com, http://www.bolshoimoscow.com/theatre/hall_tsch/info/sid=GLE_1

    「日本体育大学代表団到着」:2年ぶりの訪朝、崔龍海新委員長との会談は?、<追記>大学間交流協定調印 (2015年8月29日 「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」が29日付けの記事で松浪健四郎理事長を団長とする日体大代表団が29日、平壌に到着し、朴根光朝日友好協会会長と高麗ホテルで話をしたと報じた。2012年には猪木議員も同行し、張成沢と会っている。今回は、崔龍海国家体育指導委員会委員長と会うのであろうか。同委員長は、9月3日、北京で開催される対日戦争戦勝記念日行事に参加予定なので、忙しいかもしれない。

    http://dprknow.blog.fc2.com/blog-entry-683.html

    2014年度は、エボラ出血熱の影響で訪朝は中止されたので、2年ぶり。

    平壌空港に到着した日体大代表団
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    Source: KCNA

    <追記>
    30日付けの「朝鮮中央通信」報道で、「朝鮮体育大学と日本体育大学間で学術及び体育交流協定が締結された」と報じた。

    協定書に署名をする両校の学長
    20150830chodenittaiagrement1.jpg
    Source: KCNA

    <追記2>
    朝体大と日体大間、男女サッカー試合。男子2対1、女子4対0で朝体大の勝ち。金ヨンフン体育相も観戦。
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    Source: KCNA

    『<漫画映画>少年大将 第51部』:「漫画映画」として放送、金正恩の指示による第1作、画質向上 (2015年8月23日 「朝鮮中央TV」)

    8月23日、17時25分頃から『少年大将 第51部』が放映された。これまでの「児童映画」ではなく、過去記事で紹介した『2本の大将の剣』同様、「漫画映画」として放送されている。2014年12月、「元帥様」が「4.26漫画映画撮影所を現地指導」した際、「今後100部まで作って出せば、子供たちと人民が本当に喜ぶであろう」と指示した後の第1作目である。

    まだ、内容は見ていないが、画質は大変向上しており、もちろんワイドスクリーンである。

    『<漫画映画>少年大将 第51部』
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    Source: KCTV, 2015/08/23放送

    「金日成勲章を授与された 4.26朝鮮漫画映画撮影所」と最後にクレジット
    20150825425mangaei.jpg
    Source: KCTV, 2015/08/23放送

    拡声器による対北朝鮮宣伝放送の内容に関する報道があったが、宣伝放送が盛んにされていた23日に敢えてこの「漫画映画」を放送したのは、単なる偶然であったのであろうか。

    『時事通信』、「体制の虚構強調、Kポップも=北朝鮮猛反発の韓国宣伝放送」、http://news.yahoo.co.jp/pickup/6171885

    内容については追記する。

    <追記>
    YouTubeの字幕機能が復活していたので、日本語字幕付きバージョンを下記にアップロードしておいた。

    https://youtu.be/OaMbMeVDC4w

    <追記2>
    30日に『少年大将 第52部』が放送される。毎週日曜日にシリーズで放送していくようだ。

    「羅先市大洪水で大きな被害」 (2015年8月26日 「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」に接続できた。プロキシをしばしば変更しなければならないので、なかなか面倒である。

    同通信の「報道」によると、22日4時から23日22時まで250mm以上の雨が降り、「特に、22日16時から19時の間に155mm」の雨量を記録したとのことである。この雨により、40名以上の人命被害があり、5240世帯が被害を受けたとのことである。それだけではなく、99の公共機関の建物、鉄橋を含む鉄道51カ所が破壊され、125町歩の農耕地が完全に浸水した。

    別記事にも書いたとおり、北朝鮮における羅先の経済的役割は高いので、一日も早い復旧が必要ということになる。特に、鉄道は北朝鮮国内の物流のみならず、ロシアとの交易にも使われているので、「最高司令官命令」を出してでも早急に復旧する必要がある。

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    Source: KCNA

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    Source: KCNA

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    Source: KCNA

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    Source: KCNA

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    Source: KCNA

    「朝鮮労働党第1位秘書であられ、朝鮮労働党中央軍事委員会委員長であられる敬愛する金正恩同志の指導の下、朝鮮労働党中央軍事委員会拡大会議が開催された」:金正恩による事態総話、全機関が参加、「組織問題」で責任者処分か、核放棄・体制転換はないと明言、まず南北関係改善を、羅先、訪中も話し合われたのか (2015年8月28日 「労働新聞」)

    8月28日付けの『労働新聞』に掲載された記事「「朝鮮労働党第1位秘書であられ、朝鮮労働党中央軍事委員会委員であられる敬愛する金正恩同志の指導の下、朝鮮労働党中央軍事委員会拡大会議が開催された」をまず訳出しておく。

    *******************
    「朝鮮労働党第1秘書であられ、朝鮮労働党中央軍事委員会委員長であられる敬愛する金正恩同志の指導の下、朝鮮労働党中央軍事委員会拡大会議が開催された」

    朝鮮労働党第1秘書であられ、朝鮮労働党中央軍事委員会委員長であられ、朝鮮民主主義人民共和国国防委員会第1委員長であられ、朝鮮人民軍最高司令官であられる敬愛する金正恩同志の指導の下、朝鮮労働党中央軍事委員会拡大会議が開催された。

    朝鮮労働党中央軍事委員会拡大会議には、朝鮮労働党中央軍事委員会委員、人民軍党委員会執行委員、総政治局、人民武力部、総参謀部・局・部署高級幹部、軍種(各軍)・軍団級単位の指揮官、各級軍事学校指揮官、国家安全保衛・人民武力機関高級幹部、党中央委員会、内閣、対外部門の高級幹部、道党の高級秘書が参加した。

    朝鮮労働党中央軍事委員会拡大会議では、交戦直前まで至った超極端な情勢の中で、我が党と共和国政府が取った革命的措置とその執行過程において達成した成果と経験、経験を分析し、それに基づき国の防衛力を鉄壁にしていくための重大な戦略的課業が討議された。

    拡大委員会では、また、羅先市大洪水復旧対策問題を討議し、党中央軍事委員会の一部委員を解任及び任命するという組織(人事)問題が取り扱われた。

    敬愛する金正恩同志は、拡大会議で今回の危機事態の顛末を詳細に通報されながら、戦時状態が宣布された前線部隊の軍事作戦準備過程と準戦時宣布地域内の各部門の事業状況、北南高位級緊急接触状況について分析評価された。

    敬愛する金正恩同志は、今回、造成された一触即発の緊迫した情勢の中で、我々の党は全国、全民、全軍を率いて正確な自己の領導力を発揮し、状勢の難関を切り抜ける断固たる決心と戦略的方針を提示したと言われた。

    敬愛する金正恩同志は、天と地、海の祖国防衛哨所に立っている勇敢な我々の人民軍将兵たちの揺るがぬ祖国死守と革命保衛精神、党と革命に対する限りない忠実さにより、そして偉大な首領様と将軍様が残して下さった最大の愛国遺産である社会主義祖国を体を張って死守し、我々の思想と制度を最後まで守っていこうという全ての朝鮮人民の揺るがぬ信念と意志、熱い祖国愛により祖国の前に立ちはだかった危機が、我々の足元で水の泡のように消え、危険千万な事態は平定されたと仰り、戦争という災難の高波前でも変わりなく党だけを固く信じ、戦争の勝利を確信してくれた愛する人民と全軍の勇敢な将兵たちに熱い感謝と戦闘的挨拶を送られた。

    敬愛する金正恩同志は、革命を保衛し、千万が銃爆弾となって立ち上がり、前線と後方、軍隊と人民が一つの心、一つの意志で祖国守護戦に果敢に立ち上がったこうした全国家的、全人民的団結の威力は、これまで類例がなかったと仰りながら、我々は我々の力で誰の支援も同情もない歴史の突風の中で、祖国の尊厳と自主権、革命で戦い取ったものと人民の幸福を守ったと言われた。

    敬愛する金正恩同志は、今回の事態を平定しながら、我々自身が我々の本当の力をもっとよく知り、もっと固く信じるようになったと仰り、本当の力、強大な力の威力は、危険な侵略を防ぎ、そこから発生する残酷な戦争を防ぐことにあると言われた。

    敬愛する金正恩同志は、今回、我々は主導的に北南高級緊急接触を開き、武力衝突で高まった一触即発の危機を打開することで、民族の頭上を覆っていた戦争の黒雲を押し返し、朝鮮半島と地域の平和と安定を守護したと言われた。

    敬愛する金正恩同志は、北南高位級緊急接触で共同報道文が発表されことは、高い軍事的緊張状態を解消し、破局に直面した北南関係を和解と信頼の道に転向させるという重大な転換的契機となると言われた。

    金正恩同志は、今回の接触結果は、民族の運命を心配し、平和を大切にする崇高な理念の勝利であると仰り、我々は、運命的な時点で禍を福に転換させた今回の合意を大切にし、豊かな実に育てていかなければならないと言われた。

    敬愛する元帥様は、共和国の自主権と根本利益は如何なるものとも交換することはできず、それに抵触する対話や平和的雰囲気は無意味であるといわれた。

    敬愛する金正恩同志は、絶壁に立たされた交戦直前で、再び取り戻した平穏は、決して会談のテーブルの上で得られたものではなく、偉大な我が党が育ててきた自衛的核抑止力を主軸とする無尽強大な軍事力と党の周りに一心団結した無敵の千万隊伍があったこと達成することができたと仰り、歳月の強風の中でさらに固くなった先軍の銃隊と軍民の一心団結は、昨日も今日も明日も朝鮮半島の平和を守る根本的な担保であると強調された。

    敬愛する金正恩同志は、我々は、今後も如何なる風が吹いても、少しの動揺もなく国家防衛のための軍事力強化に最優先的な力を傾注しなければならないと再び強調され、そのための具体的な戦略的課業と方途を提示された。

    敬愛する金正恩同志は、拡大会議で次に最近発生した羅先市の大洪水状況を具体的に通報されながら、人民軍隊が羅先市被害復旧事業を全的に担い、党創建記念日前に完全に終えることについての朝鮮人民軍最高司令官命令を下達され、羅先市被害復旧戦闘式司令部を組織された。

    千万軍民が敬愛する金正恩同志が我々の革命の陣頭に立っておられ、党の卓越し、洗練された領導がある限り、我々は、必ずや勝利するという必勝の信念が溢れ、祖国守護戦と強盛国家建設に山岳のように立ち上がった激動的な時期に開催された朝鮮労働党中央軍事委員会拡大会議は、偉大な首領様たちのお名前で輝く栄光なる我が祖国、朝鮮民主主義人民共和国の永遠なる勝利と隆盛繁栄を保証することにおいて新たな里程標を作った歴史的な契機となる。

    『労働新聞』、「조선로동당 제1비서이시며 조선로동당 중앙군사위원회 위원장이신 경애하는 김정은동지의 지도밑에 조선로동당 중앙군사위원회 확대회의가 진행되였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2015-08-28-0001

    *********************************

    この「拡大会議」には、「拡大」という呼称どおり、党、軍、政府、外交部門まで含む非常に広範囲の幹部が出席している。過去に回さ入れた「拡大会議」の記事を見直す必要はあるが、参加した組織をこれほど前詳しく紹介していなかったような気がする。むしろ、軍事関連の会議に誰が参加したかなどということはあまりはっきりさせない方がよいわけあのだが、今回、党、軍、政府全部門の幹部が参加しているということをこれほどはっきりと書いているのは、やはり「元帥様」の指導の下、全朝鮮が一丸となって南北関係改善に向かうという意志を示しているのであろう。

    「拡大会議」では、「党中央軍事委員会委員の一部委員の解任」など「組織問題」も扱っているが、もしかすると、韓国側が要求していた「責任者の処分」を行った形を取っているのかもしれない。

    「民族の運命を心配し、平和を大切にする崇高な理念」を尊重するとしつつも、「共和国の自主権と根本利益は如何なるものとも交換することはできず、それに抵触する対話や平和的雰囲気は無意味」と体制転換や核放棄はあり得ないことも明言している。この発言は留意しておくべきで、韓国側が「核放棄」や「人権問題」を持ち出せば、北朝鮮側は「無意味」と対話を中断してしまう恐れがある。この辺り、米国からは韓国に特に「核放棄」も求めていくようプレッシャーがかかるであろうと想定した布石であろう。そもそも、核問題についての話は韓国とするものではないというのが北朝鮮の立場のはずなので、ここはまず南北関係改善に集中した方がよいであろう。ソウルとの関係を改善した上で米国は平壌と対話するというのが米国のスタンスでもあるので、ここは米国と調整をしながら上手く進めてもらいたい。

    「党中央軍事委員会拡大会議」で「通報」する「元帥様」
    2015-08-28-1-01.jpg
    Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2015-08-28-0001_photo

    <追記>
    南北関係に集中してしまい書き忘れたが、羅先市の復旧についても「最高司令官命令」を出している。羅先は、中朝貿易の重要な拠点であるばかりでなく、大量の中国人観光客が訪れ元を落とす観光拠点でもある。そこが大洪水の被害を受けたというのは深刻な事態なので、「最高司令官命令」が出されるのも至極当然である。写真配信等をまだ見ることができていないので、実際にどれほどの被害が発生したのかは分からない。私が中朝国境にいたときも、集中豪雨に何回か遭遇しているので、羅先でも豪雨が降ったのであろう。

    <追記2>
    さらに、同記事には書かれていないが、これだけ各部門の幹部を集めたので、金正恩訪中についても検討された可能性もある。訪中するとなると、外遊期間の指揮・統制をどのように行うかなどを伝達しておかなければならない。その意味から、今回の「拡大会議」はタイミング的にも参加メンバー的にも最適だったのではないだろうか。

    「北と南は高位級緊急接触の成果に基づき関係改善と統一の道に進まなければならない」:金養建が記者の質問に回答、南北和解ムード、北京での戦勝70周年記念式典に「元帥様」出席か (2015年8月27日 「朝鮮中央TV」)

    8月27日、「朝鮮中央TV」で、金養建が「朝鮮中央通信社」記者の質問に答えた形で「北と南は高位級緊急接触の成果に基づき関係改善と統一の道に進まなければならない」という報道をした。「朝鮮中央通信」等にも出るであろうと待っていたのだが、接続不可になっているので、とりあえずテレビの音声からその内容を日本語にして起こしておく。

    *********************
    周知のとおり、北と南は8月22日から24日まで、板門店で高位級緊急接触を持ち、最近造成された深刻な事態を収拾し、北南関係を改善するための諸般の問題を幅広く話し合ったことに基づき、「共同報道文」を発表した。

    「共同報道文」には、北南間の武力衝突を防ぎ、緊張を緩和させ、北南関係の発展を図っていこうという双方の意思と立場が反映されている。

    今回の接触をとおして、朝鮮半島はもちろん、東北アジア全体を混乱の坩堝に陥れる一触即発の危険が解消され、北南間の平和と安全、和解と協力のための劇的展開の契機が作られたことは、大変幸いなことである。

    我々は、北と南が危険千万な危機状況の中で、向き合って座り、事態の深刻さについて共感し、真摯に話し合い、共同の課題について合意することで、北南関係における禍を福に転換させることができる画期的局面を切り開いたことについて嬉しく思う。

    今、北と南が、予測することができない衝突で非難し合う険悪な事態を防ぎ、和解の手を握ったことについて国内外が一様に歓迎している。

    北と南は、今回の接触で得られた合意の精神を大切にし、極端な危機を克服したことに留まるのではなく、北南関係を統一を施行する建設的な方向に前進させていかなければならない。

    今回の接触が、危機の火を消すためだけとなっては、大きな意味がないと考える。北と南は、対話と協議を通じて、お互いの不信と対決を解消し、大胆に関係改善の道に進まなければならない。

    「共同報道文」で合意したように、当局間の対話と協議を発展させ、お互いの関心事となっている問題を解決していき、様々な分野で交流と協力を活性化させていかなければならない。そのためには、北と南がやっと達成し、緩和の道に転向させた現情勢の流れをしっかりと維持、管理していくことが何よりも重要である。

    今回のように、北と南が原因不明の事件に巻き込まれ、情勢を悪化させて極端な状況に向かうようなことはなくさなければならない。

    事実、北と南は、そもそも今回のような非正常な事態に巻き込まれてはならなかった。双方は、今回の事態を教訓とし、北と南の間に複雑な問題が発生した際、理性と節度を失ってはならず、そのような事態が発生しないよう共に努力して行かなければならない。

    北と南は、これ以上過去に縛られずに、民族の将来から考え、遠い未来を見詰めながら、関係改善と統一の道にお互いの手を取り合って進まなければならない。

    北南関係の急速な発展を望まない勢力が存在するであろうから、我々はそうした勢力に対して注意しなければならない。そうした点から、北と南は、突発的な事態が発生しないようにすることに対して特段注目しなければならず、我々民族同士の理念をしっかりと固守していかなければならない。

    祖国解放70周年となる意味深い今年、北南関係で大転換、大変革を達成し、自主統一の大通路を切り開こうという我々の立場は一貫している。我々は、今回の北南高位級緊急接触の精神に基づき、全ての朝鮮民族の志向と念願に合うよう、北南関係改善のために積極的に努力する。

    朝鮮労働党政治局委員、党中央委員会秘書 金養建
    ***************************

    過去記事で紹介した黄炳瑞人民軍総政治局長のステートメントでは、南側を非難するトーンが感じられたが、今回の金養建のステートメントからはそれは感じられない。「北南合意」がなされたことについて、「大変幸いである」、「嬉しく思う」、「(国際社会が)歓迎している」と続けざまに評価している。このように「合意」を高く評価しているのは、南側に対するメッセージだけではなく、この「合意」に深く関わった「元帥様」への賛辞という側面もあるのであろう。

    「原因不明の事件に巻き込まれ」ないようにし、「これ以上過去に縛られず」とも言っているが、これは、天安号事件により発動された「5.24措置」解除を求めているものであろう。「合意文」では、この点について触れられていないが、これまでも北朝鮮は「5.24措置」解除を南北関係改善の前提条件としてきたので、当然、「緊急接触」ではこの問題についても議論されたはずである。解除ついては、韓国世論の「合意」の評価如何であろう。

    コメントにも書いたように、韓国大統領と国連事務総長が北京で開かれる戦勝70周年行事に軍事パレード参観も含めたフルスケジュールで参加することになったと報じられている。「元帥様」が出席するのか否かは明らかにされていないが、中国から求められていた核・ミサイル放棄と南北関係改善の二つの条件のうち、後者をある程度クリアしたと中国側に判断されれば、「元帥様」のサプライズ式典参加もあり得ると思う。式典には、ロシア大統領、韓国大統領、さらには国連事務総長までも参加することになっているので、北京で中国が仲介する形で、「元帥様」がこうしたリーダーと会見することになれば、中国外交は高く評価されることになる。それだけではなく、大使館関係者さえ出席させない日本、駐北京大使を出席させる米国を差し置いて、中国主導の東北アジア国際関係秩序構築の足がかりを作ることができることになるという側面もある。習近平は、式典後に米国を訪問しオバマと会談することが決まっているので、その成果を持って行けば、米国としても外面的にはそれを評価せざるを得ないであろう。

    Sputnik日本、「中国外務省、プーチン大統領は9月の戦勝記念式典での最名誉ゲスト」、http://jp.sputniknews.com/politics/20150820/777609.html
    Record China、「抗日戦勝70周年式典、北京の日本大使館関係者は欠席―中国紙」、http://www.recordchina.co.jp/a117583.html

    問題は、「元帥様」が「オオタカ1号機」で北京に向けて飛び立つかであるが、モスクワほど遠くない地で、北朝鮮ともゆかりの深い戦勝70周年を祝賀し、加えて各国首脳と会見できるのであれば、失うものはないはずである。特に、南北和解ムードの中であれば、朴槿恵と握手をすることも全く「現情勢」に反するものではない。

    このようなシナリオが現実となれば、「原因不明」の「(地雷爆発)事件」も大きなプロットの一部であったという気がしないでもない。

    northsouthrelflv_000253701.jpg
    Source: KCTV, 2015/08/27放送

    青峰楽団 『<新しく出た歌>愛そう』:アカペラ中心の新曲、姿を見せない「青峰楽団」 (2015年8月26日 「朝鮮中央TV」)

    もう既に放送されていたのかもしれないが、私は初めて聞いた「青峰楽団」の新曲『愛している』。「사랑하노라」の良い訳が思いつかなかったので、取りあえずこのように訳しておいた。「青峰楽団」は、楽団の演奏風景を一切公開することなく新曲を出してきている。9月か10月にお披露目があるのだろうか。

    日本語訳を訳を付けてYouTubeにアップロードしておいた。
    20150826 saranghanora
    Source: YouTube, https://youtu.be/LG2yQ9c9ydY

    <追記>
    YouTubeの字幕設定機能が異常なようで、入力した字幕が消えてしまった。『少年大将 第51部』の字幕も付けていたのだが、全部消えてしまっている。過去動画の字幕は表示される。

    <追記2>
    字幕の再入力ができた。

    <追記3>
    「사랑하노라」の訳に困っていたが、「愛そう」とした。最近「朝鮮中央TV」で放送された『初めての山麓で(첫 기슭에서)』を見ているのだが、その中で母親が娘に「赤旗をその人に届けてきなさい」と言う場面がある。その場面で、「갔다오노라」と言っている。そうすると、「~するように」ぐらいの意味で使われていると思うので、歌のタイトルも「愛そう」とするのがよいのではないかと思った。歌詞も「愛そう」とした方がしっくりする。

    「朝鮮人民軍最高司令部本部で開催された北南高位級緊急接触全容に関する朝鮮人民軍黄総政治局長炳瑞同志の通報」:南北間の「新たな雰囲気を幸い」と黄炳瑞、放送聴取でのエラーを訂正 (2015年8月25日 「朝鮮中央TV」)

    8月25日の「20時報道」冒頭で、「北南高位級緊急接触」に関する黄炳瑞報告が放送された。収録された場所は「朝鮮人民軍最高司令部本部」としているので、今回の合意が金正恩「最高司令官同志」の直接的な指示でなされたということを示しているのであろう。

    別記事にした「共同報道文」に続く、黄炳瑞の発言は以下のとおり。
    ****************
    今回の北南高位級緊急接触でなされた合意は、北南間の軍事的対決と衝突を防ぎ、緊張を緩和させ、北南関係を改善させようという、我々、軍隊と人民が原則的闘争と誠意のある努力の結果です。

    今回の北南高位級緊急接触を通して、南朝鮮側は根拠のない事件を捏造し、一方的に発生している事態を一方的に判断し、一方的な行動で相手側を刺激する行動を行った場合、状勢を緊張させ、あってはならない軍事的衝突をもたらさざるを得ないという深刻な教訓を得たことでしょう。

    我々は今回、共同の努力で北南関係改善の新たな雰囲気が作りだされたことを幸いと考え、南側当局が今回の北南高位級緊急接触でなされた合意の精神に誠実な姿勢で向き合い、その履行を積極的にすることで、北南関係発展に実質的に貢献することを望みます。

    我々は、全ての朝鮮民族が願っている民族繁栄の時代、統一時代を近づけるために全ての力を出す所存です。
    ****************

    「朝鮮人民軍最高司令部」の記章の前に立つ黄炳瑞
    20150825_kctvasf_039736217.jpg
    Source: KCTV, 2015/08/25放送

    「全ての力」は、対話のための努「力」と軍事「力」の両方を意味しているのだろうが、是非とも前者で行って欲しいものである。

    変な1元札:反共産党スローガンか (2015年8月25日)

    北朝鮮とは無関係なのだが、帰国後に中国元を整理していたら、奇妙な1元札が混じっていた。検索したら、どうやら法輪功が反共産党スローガンを印刷しているようだ。色々なバージョンが出回っているようで、私の人民元の束に混ざっていたのは、札のカラーと同じ色で印刷されている。中国語はよく分からないが、漢字から忖度すると「グレーな中共邪教から退党すれば平安が保てる」、「中共は邪教なので国家権力から除去し、私有財産と自由を得よう」と書かれているような気がする。

    表面は普通の1元札
    1rmb front

    裏にはスローガンが
    strange1gen rear

    <追記>
    コメントで正しい訳を教えていただいたので、追記しておく。

    ************
    紙幣左上は「天は邪教中共を滅ぼし、党(共産党)、団(共産主義青年団)、隊(解放軍)から脱退する者は安寧を得る」。右下は「中共は邪教、国家のシステムを操って人民の私有財産と自由を奪う」といったところでしょうか。
    ************

    「北南高位級接触開催」:中朝国境の様子、「共同報道文」、南北関係はどうなるのか (2015年8月24日 「朝鮮中央通信」)

    25日午前1時少し前に中国から帰ってきた。今年も羅先を訪問する予定であったが、事情があり訪問することができなかった。その代わりに、中朝国境を東端の防川から西端の丹東まで車で移動してみた。図們や丹東から北朝鮮は何回か眺めたが、今回は、両江道や慈江道を眺めた。これについては、別途記事にしようと思う。

    中国に滞在していた期間、南北関係は緊張していた。「朝鮮人民軍最高司令部緊急報道」が『労働新聞』に掲載された21日には、恵山市対岸にある長白市にいたが、鴨緑江越しに眺めた限りでは、緊張した感じはなかった。人民軍兵士が歌っていると思われる歌が聞こえていたが、歌だということが分かる程度で、何の歌なのかは分からなかった。毎朝歌っているのか、「準戦時体制」の時に歌う歌なのかは分からない。

    「朝鮮中央通信」は、24日付けの報道「北南高位級接触開催」で、「共同報道文」を報じている。この「共同報道文」は、25日付けの『労働新聞』にも掲載されているが、同日が「先軍節」だということもあり、金正日関連の記事が多い中、4面に比較的小さく掲載されている。「共同報道文」を全訳しておく。

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    北南高位級接触開催 共同報道文

    (2015年8月24日 朝鮮中央通信)
    内外の耳目が集中された中、22日、板門店で連日で開催された北南高位級緊急接触が24日に終わった。

    接触では、我々の側から朝鮮労働党中央委員会政治局常務委員会委員であり、朝鮮民主主義人民共和国国防委員会副委員長であり、朝鮮人民軍総政治局長である朝鮮人民軍次帥黄炳瑞同志と朝鮮労働党中央委員会政治局委員であり、党中央委員会秘書である金養建同志が、南側から金寛鎮青瓦台国家安保室室長と洪容杓統一部長官統一部長官が参加した。

    北と南は、接触で軍事的対決と衝突を防ぎ、関係発展を図る上で発生する原則的問題を真摯に合意し、共同報道文を発表した。

    共同報道文は、次のとおりである。

    北南高位級接触共同報道文

    北南高位級接触が2015年8月22日から24日まで板門店で開催された。

    接触には、北側から黄炳瑞朝鮮人民軍総政治局長と金寛鎮党中央委員会秘書、南側から金寛鎮青瓦台国家安保室室長と洪容杓統一部長阿寒が参加した。

    双方は、接触で最近、北南間で高まった先鋭な軍事的緊張状態を解消し、北南関係を発展させるための問題を協議し、次の通り号した。

    1.北と南は、北南関係を改善するための当局会談を平壌あるいはソウルで早い時期に開催し、今後、様々な分野で対話と交渉を開催していくことにした。

    2.北側は、最近、軍事分解線非武装地帯南側地域で発生した地雷爆発により南側軍人が負傷したことについて、遺憾の意を表明した。

    3.南側は、非正常的な事態が発生しない限り、軍事分解線一帯で全ての拡声器放送を8月25日12時から中断する。

    4.北側は、同時に準戦時体制を解除することにした。

    5.北と南は、今年、秋夕(旧盆)契機に離散家族、親戚訪問を行い、今後、継続することとし、このための赤十字実務接触を9月初めに持つこととした。

    6.北と南は、多様な分野での民間交流を活性化することとした。

    2015年8月24日 板門店

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    uriminzokkiriが報じた「北南高位級接触」の様子
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    Source: uriminzokkiri, http://www.uriminzokkiri.com/itv/index.php?ppt=news&st=true&no=28392

    上記のとおり、北側から黄炳瑞、南側からは金寛鎮が出席しているので、重大な決定がなされている。それぞれ、金正恩と朴槿恵の命を受けての決定であろう。特に、1で「当局者会談を平壌またはソウルで開催」とあるように、「会談」のために南北の「当局者」が南北いずれかの首都で「会談」をするというのは、金正恩時代になってから初めてのことである。2014年10月、第17回アジア大会の閉幕式に黄炳瑞一行は参加しているが、公式的には閉幕式に参加しただけで、「会談」とはされていない。韓国報道では、何らかの話し合いが行われたとしているが、北側からの公式発表はなかった。

    一方、今回の事件の発端となった「地雷」を誰がどのように設置したのか、北側が「我々は一発も発射していない」と主張している銃撃事件については、「共同報道文」では一切触れられていない。北朝鮮が「遺憾の意」を表しているが、なぜ「遺憾」なのかはよく分からない。今回の「高位級接触」では、こうした問題がネックになっていたはずであるが、曖昧にしたまま乗り越えたというのは、外交的な成果といえよう。もちろん、南北関係が再び悪化すれば、北朝鮮は「遺憾」の意味を色々と説明することになるはずである。

    興味深いことは、「朝鮮中央通信」の8月22日付けの報道「北南高位級緊急接触が開催される」で南側からの参加者を「大韓民国青瓦台国家安保室金寛鎮室長」と紹介していることである。北朝鮮は「<韓国>」と括弧付きで正式国名を表記することはあるが、「大韓民国」と括弧なしで表記することはまれである(初めてかどうかは分からない。韓国大統領が訪朝した際、正式国名を使って報道した可能性はある)。しかし、この「報道」は「朝鮮中央通信」に留まり、ざっと見た限り『労働新聞』には掲載されていないようだ。『労働新聞』に掲載されていないとすると、やはり南側に配慮しながら南北関係改善に努力をしているという対外的なメッセージであった可能性が高い。なお、同記事の英語や日本語バージョンでも、「Republic of Korea」、「大韓民国」という正式国名が使われている。

    では、今後、南北関係はどのように進展するのだろうか。今日も「先軍節」関連の番組を「朝鮮中央TV」は放送しており、少し前は「元帥様」不参加の「中央報告会」の「録画実況」を流していた。人民武力部長の演説を聞きながら本記事を書いていたが、今回の事案に関する特段の発言はなかった。その後の番組でも、「先軍節」の敵は「米帝」であり、「南朝鮮傀儡」ではないので、反米番組が放送されている。「先軍節」は無事乗り越えることになりそうだ。

    次は9月9日の「建国節」であるが、こちらも節目の年ではないので、軽く「中央報告会」が開催されるだけで終わるのではないだろうか。こちらには「元帥様」の出席があるかもしれない。今年の「秋夕」は、9月26~29日になるので、その前に「赤十字実務接触」が行われれば、離散家族訪問が実現する可能性が高い。「当局者会談」は、恐らく、この「赤十字実務接触」の結果を見た上で行われるのではないだろうか。

    問題は、10月10日の労働党創党70周年記念日である。一連の記念行事だけならばよいが、北朝鮮が記念のロケット発射か核実験を行うと、南北関係の進展は止まってしまう。北朝鮮が上記のいずれかを実施し、国連安保理が非難決議、韓国は当然それに乗るので、「当局者接触」が行われないまま今回の関係改善の雰囲気は霧散してしまうという悪い予感がする。北朝鮮側もそれは十分承知しているはずで、南北関係改善をどれほど真剣に考えているのかは、この辺りで判断できる。もちろん、南側には「南北関係」と「国際関係」を分けて考えるよう要求するであろうが、今回の関係改善を歓迎している米国も、さすがに認めないであろう。

    地雷爆発が発端となった今回の事件だが、北朝鮮としては、「準戦時体制を命令」した「最高司令官同志」の「ベッチャン(勇猛果敢さ)」を朝鮮人民に示し、「南朝鮮」に拡声器による放送を止めさせる「成果」を得て、このような「危険千万」な最中に「新年の辞」で述べた南北関係改善の手を差し出したということになるのであろう。韓国世論の反応については確認していないが、今回の「共同報道文」を韓国側が妥協しすぎたとして朴槿恵政権を非難するのか、南北関係改善への道ができたと評価するのかは、しばらくすれば分かるであろう。

    いずれにせよ、「外交」が緊張緩和に繋がったという点は重要である。「背景には米軍の存在がある」、「『米韓共同局地挑発作戦計画』に基づいて、米軍は初めて韓国軍と共同で北朝鮮の軍事挑発に対処」、「金正恩(キム・ジョンウン)第1書記から対話姿勢を引き出す要因」となったなどと米韓同盟強化を強調する報道もあるが、米軍の存在の影響は否定しないものの、やはり両国の指導者の意を汲んだ高官が直接話し合ったという点を評価すべきである。意識しすぎなのかもしれないが、「集団的自衛権」や「安保関連法案」という文字が行間に見え隠れしているような気がしてならない。

    『産経新聞』、「米韓、挑発に共同対処 新作戦計画、北へ大きな圧力」、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150824-00000064-san-kr

    青峰楽団 『戦争の3年間』 (2015年8月3日 「朝鮮中央TV」)

    「青峰楽団」のもう一つの曲。8月上旬の放送をチェックしていたらあったので、日本語字幕を付けてYouTubeにアップロードしておいた。

    201508033yrsofwar.jpg
    Source: YouTube, https://youtu.be/qbeFdJ-xdcM

    「朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマン談話」:安倍70周年談話を非難、朝鮮との過去清算ない (2015年8月15日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」で「朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマン談話」が放送された。「談話」では、「朝鮮に対する過去の清算ができていない」、「対朝鮮敵対視政策を続けている」、「積極的平和主義と言いながら、軍国主義への道に向かっている」などと非難はしている。中韓反応と異なるのは、「過去の清算」と「敵対視政策解消」である。

    8月15日の『労働新聞』より全訳。
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    朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマン談話

    日帝敗亡70年を契機に罪悪に満ちた過去を覆ってしまおうという日本右翼保守勢力の目論見がいっそう赤裸々に表出した。

    日本の内閣閣僚会議決定を発表された首相安倍の「戦後70年談話」には、日本の侵略の歴史に対する誠実な認定と謝罪が盛り込まれていない。

    過去、前代未聞の侵略と植民地ファッショ統治により朝鮮人民にもっと大きな被害と苦痛を与えた日本は、今日に至るまでそれに対する過去の清算をしていない。

    日本の朝鮮侵略と40年間あまりの植民地統治は、東西古今その類例を見つけることができない最も暴悪で野蛮なものであった。

    朝鮮占領期間、日帝は100万人あまりのむこの朝鮮人を虐殺し、840万人あまりを強制連行して殺人的な奴隷労働を強要しながら、20万人あまりの朝鮮女性を日本軍の性奴隷にするという反人類的蛮行を行った。

    日帝侵略者は、悪徳なる朝鮮民族抹殺政策を行いながら、我が国の標準時間まで強奪し、朝鮮の言葉と文字、朝鮮人の姓と名前まで取り上げようと狂奔した。

    こうした日本の我が民族にもたらした天人共に怒る罪と取り返しの付かない被害を今日に至るまで清算していないということについて一言も謝罪や反省もなく、いわゆる未来と国際社会の中での責任、貢献を云々することは、朝鮮人民に対する耐えがたい愚弄で有り、国際社会に対する欺瞞である。

    日本は、敗亡後にも米国の対朝鮮侵略政策に追従し、朝鮮戦争に加担して、在日朝鮮人を弾圧しながら、我が国の統一を各方面で妨害し、班共和国敵対視政策に狂奔してきた。

    朝鮮民族に対する罪悪を積み重ねてきた日本は、今になって自己の過去犯罪を覆い隠し、「平和に対する貢献者」に化けようとしようとして狡猾に策動している。

    我々は、日本のこうした行為を我々の自主権と尊厳、国際的正義と人類の良心に挑戦する鉄面皮なる目論見として断固として糾弾排撃する。

    過去の世紀、日本は「大東亜共栄圏」野望に取り付かれ、侵略戦争に狂奔しながらアジアと世界各国人民に大きな惨禍をもたらし、最終的には敗亡の穴に引きずり込まれてしまった。

    今日、日本は敗戦の悲惨な教訓を忘却し、再び危険千万なる軍国主義の道に突っ走っている。

    日本は「積極的平和主義」の看板の下、戦争国家復活、海外侵略を選択する破滅の道ではなく、朝鮮人民に行った特大の反人類的犯罪をはじめとした全ての過去の犯罪の清算を通して、我が国をはじめとした周辺国の信頼から得なければならない。

    日本の百年罪悪を必ずや決算し、血塗られた怨恨をはらす我々軍隊と人民の意志は、日が経つにつれ、歳月が流れるにつれ、何百倍にもなっている。

    2015年8月14日 平壌
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    『労働新聞』、「조선민주주의인민공화국 외무성 대변인담화」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2015-08-15-0030

    「平壌の鐘の音 鼓動の音」:「平壌時間」開始の瞬間、前後の放送、PSTは使えるのか (2015年8月14日~15日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」の「今日の放送順序」では、23時34分開始の番組まで紹介された。最後の番組は、短いドキュメンタリーだと思われるので、現行0時から「平壌時間」開始の特別番組があるのかもしれない。日本時間と同じ現行時間の0時をそのまま越えて放送し、日本時間の0時30分に「平壌時間」の0時を告げる平壌駅大時計の鐘でも流すのではないだろうか。

    放送中に、「視聴者の皆様にお伝えします」という形で特別放送のアナウンスをするのだと思う。

    <追記>
    「平壌の鐘の音 鼓動の音」という番組を0時から放送すると「これからの放送順序」で予告していた。
    <追記2>
    依然として「日帝」が朝鮮半島を「ウサギ」に例えた話のドキュメンタリーが続いている。0時というアナウンスは、新「平壌時間」の0時のことなのかもしれない。
    <追記3>
    日本時間0時5分ぐらいにドキュメンタリーは終わり、数日前に取り上げた『アリラン』を流している。
    <追記4>
    「平壌時間」のドキュメンタリーを0時10分頃から放送開始。この番組は、約20分なので、これが終わってから「平壌時間」の0時を告げるのであろう。
    <追記5>
    日本時間0時25分頃ドキュメンタリーは終わり、繋ぎの音楽を流している。
    <追記24
    いずれかの寺院の鐘を24回鳴らす生放送。ナレーションは一切無し。自動車、電車などが一斉にクラクションや警笛を鳴らす。その後、『祖国賛歌』を流している。以前紹介した吹奏楽バージョンのようにも聞こえるが、ドラムが違うかも。「青峰」か?
    <追記25>
    その後、『偉大な我が国』、『人民の歓喜』、『千里でも万里でも』と続き放送終了。「平壌時間」の0時5分前から放送終了までをYouTubeにアップロードしておく。

    20150815newpngtime.jpg
    Source: YouTube, https://youtu.be/3rWIkroCWaY

    <追記26:8月15日 08:55JST>
    「朝鮮中央TV」が放送開始30分前のテストパターンを流し始めた。パターンにあるように、「平壌時間」が適用されている。

    20150815testp newtime
    Source: KCTV, 2015/08/15 08:55PST(Pyongyang Standard Time)

    PSTと書いて思ったのだが、Pyongyang Standard Timeの略語PSTは使えるのであろうか。既に米国がPacific Standard Timeの略語として使っている。だとすると、どう書いたらよいのだろうか。

    <追記27>
    timeanddate.comというページにおもしろい記事が出ていた。公式のものであるかどうかは分からないが、このページではPSTではなくPYTという略語を使っている。便宜的にPyonyang Timeを短くしただけのようにも思えるが、PYTならば空きであったということのようだ。しかし、「Standard」は北朝鮮にとってとても重要なので、外せないはずである(何にでも「中央」を付けているのだから)。それにもかかわらず、平壌「標準」時ではなく、「平壌時間」、KCNAの英訳ではPyongyang time(しかも、timeは小文字の普通名詞を使っている)としているのは、PYTとすることで米国PSTとの重複を避けようとしているのかもしれない。

    timeanddata.com, http://www.timeanddate.com/time/zone/north-korea/pyongyang

    「在カナダ牧師リム・ヒョンス、ポンス教会で行われた日曜礼拝で贖罪」:uriminzokkiri一部機能復活、教会内部、朝鮮人民聖歌隊、バッジなし (2015年8月2日 「uriminzokkiri-TV」)

    uriminzokkiriからのダウンロード機能が一部復活していた。ダウンロードができないなど、一部不具合はまだ残っているが、消えていた、あるいはアクセス不可であったファイルにもアクセスできるようになっていた。デザイン等には目立った変更はないようなので、サーバーの入れ替え等、何らかの作業を行っていたのかもしれない。

    ダウンロード機能が復活したので、YouTubeにアップロードされていないuriminzokkiri-TVの動画を見られるようになった。その一つとして、北朝鮮当局に逮捕されている「在カナダ人牧師リム・ヒョンス」が北朝鮮の教会「ポンス教会」で自分の罪を「贖罪」する動画があった。同牧師の告白記者会見は、既に「朝鮮中央TV」で放送されているので、この「贖罪」で新たな発言はなかった。告白記者会見でもそうであったが、北朝鮮に来て「偉大な首領様と将軍様の本当のお姿や業績を知った」ということが主たる内容であった。

    本記事で取り上げようとしているのは、彼の告白ではなく、教会内部の様子や朝鮮人民キリスト教徒の様子である。そもそも、この教会で「日曜礼拝」が日曜日毎に行われているのかどうか、朝鮮人民の中にキリスト教徒がいるのかどうかも分からない。可能性としては、北朝鮮に駐在している外国人キリスト教徒のための礼拝の場として使われているということだろうか。

    「在カナダ牧師リム・ヒョンス、ポンス教会で行われた日曜礼拝で贖罪」
    20150814rim dprk church uriTVflv_000002076
    Source: uriminzokku-TV, http://www.uriminzokkiri.com/itv/php_tmp/flvplayer.php?no=28026

    拙ブログでは、2014年7月に「新たに改築されたチルゴル教会」という記事を書いた。この記事の中では、「恐らく北朝鮮唯一のキリスト教会」と書いたが、少なくとも「チルゴル教会」以外に「ポンス教会」という教会が存在することが分かった。過去記事の資料に使ったのもuriminzokkiri-TVの動画であったが、やはり教会は対外向けのメディアにしか出さないのかもしれない。

    「ポンス教会」
    20150814rim dprk church uriTVflv_000008254
    Source: uriminzokku-TV, http://www.uriminzokkiri.com/itv/php_tmp/flvplayer.php?no=28026

    20150814rim dprk church uriTVflv_000009443
    Source: uriminzokku-TV, http://www.uriminzokkiri.com/itv/php_tmp/flvplayer.php?no=28026

    教会内部の様子。ナレーションでは「平壌市内の各階層信徒と平壌に駐在している外国人」が参加したと言っている。アジア系外国人信徒かもしれないが、右端後部に写っている女性などそれらしいポーズである。また、正面のスクリーンには聖歌隊が映し出されているようである。教会に行くのは観光目的だけであるが、このようなスクリーンがある教会は見たことがない。しかし、壁にある十字架らしきものをスクリーンで覆ってしまっているなど、不自然な感じがする。スクリーンの裏には十字架と肖像画が掲げられている可能性もあるが、肖像画をスクリーンで覆い隠すなどという不敬なことはしないであろう。しかし、十字架の上に肖像画が掲げられていれば、それはそれで興味深いことは間違いない。
    20150814rim dprk church uriTVflv_000013514
    Source: uriminzokku-TV, http://www.uriminzokkiri.com/itv/php_tmp/flvplayer.php?no=28026

    明らかな外国人
    20150814rim dprk church uriTVflv_000263764
    Source: uriminzokku-TV, http://www.uriminzokkiri.com/itv/php_tmp/flvplayer.php?no=28026

    「在カナダ牧師リム・ヒョンス」。女性の方が多いようであり、男女で分けられているようだ。フィリピンの教会で礼拝を見たことがあるが、男女混合であった。
    20150814rim dprk church uriTVflv_000022061
    Source: uriminzokku-TV, http://www.uriminzokkiri.com/itv/php_tmp/flvplayer.php?no=28026

    「リム・ヒョンス」の「贖罪」を聞く朝鮮人民信徒と思われる人々。いずれもバッジ未着用。皆、怖い顔をして話を聞いている。
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    Source: uriminzokku-TV, http://www.uriminzokkiri.com/itv/php_tmp/flvplayer.php?no=28026

    uriminzokkiri-TVのロゴと重なっているところに座っている女性は、何かを読んでいる。聖書のようにも見えるが、北朝鮮で聖書は禁書のはずである。また、緑色の服を着た女性は居眠りをしているようにも見える。
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    Source: uriminzokku-TV, http://www.uriminzokkiri.com/itv/php_tmp/flvplayer.php?no=28026

    聖書のようなものが置かれているが。
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    Source: uriminzokku-TV, http://www.uriminzokkiri.com/itv/php_tmp/flvplayer.php?no=28026

    朝鮮人民聖歌隊。ハープを象徴したようなロゴ付きの聖歌隊服を着ている。「チルゴル教会」の聖歌隊は、同じデザインの青色の聖歌隊服を着ていた。
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    Source: uriminzokku-TV, http://www.uriminzokkiri.com/itv/php_tmp/flvplayer.php?no=28026

    普通の「日曜礼拝」があるのならば、その様子を見たいものである。

    「朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会政令第599号 朝鮮民主主義民人共和国標準時間を制定することについて」:平壌時間制定、米国務省定例記者会見で鼻で笑う、制定経緯解説番組 (2015年8月12日 「朝鮮中央TV」)

    北朝鮮は、2015年8月5日、「最高人会議常任委員会政令第599号」として「朝鮮民主主義人民共和国標準時間制定」を発表した。

    同「政令」によると、「祖国解放70周年、日帝敗亡70年」を機会に「民族受難の歴史に終止符を打」つために、「(日帝に)奪われた」時間を取り戻して「平壌標準時」を制定することとした。同「政令」には、

    1.東経127度30分を基準とする時間(現在の時間より30分遅い時間)を朝鮮民主主義人民共和国標準時間と定め、平壌時間と命名する。
    2.平壌時間は2015年8月15日から適用する。
    3.朝鮮民主主義人民共和国内閣と当該機関は、この政令を執行するための実務的対策を立てる。

    としている。

    『労働新聞』、「조선민주주의인민공화국 최고인민회의 상임위원회 정령제599호 조선민주주의인민공화국 표준시간을 제정함에 대하여」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2015-08-07-0002

    これに対し韓国政府が、南北間で別々の標準時を使うことは望ましくなく、北朝鮮が「平壌時間」を定めることは、ますます孤立を深めることになるなどと批判したところ、北朝鮮は「朴槿恵は軽はずみな悪口で得るものは羞恥のみであるということをしっかりと認識しなければならない」という「祖国平和統一委員会スポークスマン談話」を出し、激しく反発した。同「談話」の中では、韓国大統領の妹、朴槿令氏がニコニコ動画の中で「日本に植民地統治謝罪を要求することは内政干渉」などと発言したことを取り上げ、「同族対決と戦争挑発のために百年宿敵とも口裏を合わせながら民族の標準時間まで惜しげもなく投げ捨てた父親や父親をかばい民族反逆を日常茶飯事としている娘共を見れば、皆、親日売国奴の血を引いた天下の逆賊共に違いない」と「娘共」をまとめて罵倒している。

    『労働新聞』、「박근혜는 경망스러운 악담질로 얻을것은 수치뿐이라는것을 똑바로 알아야 한다 조국평화통일위원회 대변인담화」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2015-08-12-0043

    一方、8月11日(現地時間)の米国務省定例記者会見では、「平壌時間を制定したようだが」という質問が出されたのに対し、米国務省報道官は「Sorry」と笑った後、「何かコメントはないのですか」との質問に対し、「もっとポーカーフェースを維持するべきだったが(笑い)。コメントはありません」と対応している。「平壌時間」制定を鼻で笑い飛ばした形だ。

    U.S. Department of State, Daily Press Briefing, http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2015/08/245937.htm#KOREA

    8月12日夜の「朝鮮中央TV」では、「日帝」が朝鮮時間を奪った背景と「平壌時間」の正当性を解説する番組を放送した。この番組は、日本語字幕を付けてYouTubeにアップロードしたので関心のある向きはどうぞ。

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    Source: YouTube, https://youtu.be/W36FejHxKrU

    「日本に誘拐されていた在日帰国女性、家族と再会」:経緯は不明ながら在日朝鮮人が帰国したのか? (2015年8月11日 「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」が「日本に誘拐されていた在日朝鮮人女性、家族と再会」という短い記事を配信した。記事は、「当該機関の通報によれば、日本に誘拐されていた在日帰国公民、ド・ヨンスク女性が祖国の懐に戻り、家族と感激的に再会した」とだけ報じている。

    「在日帰国公民」という表現が微妙であるが、在日朝鮮人が北朝鮮に帰国し、再び何らかの事情で来日し、日本に留まったということなのだろうか。北朝鮮の主張では、この女性が日本に留まったのは「日本に誘拐された」とのことであるが、その経緯や真相は分からない。

    この記事は、日本語と英語でも配信されており、英語版では「abducted」と「拉致」と同じ語彙が使われている。

    拉致被害者調査との関連なのか、8.15関連なのかは不明であるが、注目しておく必要はありそうだ。

    功勲国家合唱団『金正恩将軍賛歌』:お祖父さん、お父さんの将軍の歌に続く金正恩将軍の歌が登場、「その名も偉大な金正恩将軍」と (2015年8月5日 「朝鮮中央TV」)

    金正恩にはこれまでお祖父さんの『金日成将軍の歌』、お父さんの『金正恩将軍の歌』のような荘厳なメロディーの称賛ソングがなかった。『パルコルム』がそれに近い存在であったのかもしれないが、やはり「朝鮮中央TV」のオープニングでお祖父さんとお父さんの歌に続けて流すには雰囲気が異なりすぎた。

    8月5日20時頃から「朝鮮中央TV」で「偉大な祖国解放戦争勝利62周年慶祝功勲国家合唱団公演」の実況録画が放送されたが、その中でこの曲が初めて紹介された(少なくともテレビ放送では)。「モランボン楽団」や「青峰楽団」など軽音楽バンドではなく、功勲国家合唱団に、しかも金正恩夫妻が観覧する前で初公開させたのは、やはり相当に意味があるのであろう。

    『労働新聞』等、北朝鮮メディアで歌詞画公開されているかはきちんと確認していないが、翻訳のために検索してみた結果では出てこなかった。また、「朝鮮中央TV」では、その後、この歌は流されていないようである。恐らく、お祖父さんやお父さんの歌を流すようなシチュエーションでこの歌は使い、「革命活動報道」等のあとにはこれまでどおり「モランボン楽団」による金正恩称賛ソングを流すということにするのであろう。

    曲調はどちらかというとお父さんの歌に似ている感じがするが、歌詞のさびの部分「その名も偉大な金正恩将軍」は、明らかにお祖父さんの「その名も輝かしい金日成将軍」というお祖父さんの歌詞から引いているようである。

    上記のとおり歌詞を見つけるできなかったので、訳詞は聞き取りによるものであるが、YouTubeに『金正恩将軍賛歌』をアップロードしておいたので、関心のある向きはどうぞ。

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    Source: YouTube, https://youtu.be/DmYzpg_8FRI

    『アリラン』:イントロが「モランボン楽団音楽」番組のオープニングに使われている、演奏者は?、「日帝」敗北から金正恩時代まで (2015年8月6日 「朝鮮中央TV」)

    北朝鮮番組のオープニングに使われている音楽は、それ専用に作られたものではなく、ほとんどが既存の楽曲の一部、特にイントロを使っている。例えば、「20時報道」のオープニングは「朝鮮の力」(金正日を讃える歌)のイントロが使われている。「朝鮮の力」もそうだが、イントロから楽曲の基本旋律の予想がなかなか付かない。この『アリラン』のイントロもそうで、このイントロが『アリラン』に繋がるとは想像できなかった。このイントロは「モラン楽団音楽」のオープニングで使われている。

    この動画には、「元帥様」や「銀河3-2号」発射シーン、移動式弾道ミサイルも登場しているので、比較的新しいものだと思う。演奏者に関する字幕は出ないが、「銀河水」か「ポチョンボ」あるいは、最近登場した「青峰楽団」なのかもしれない。この辺り、私では判断できないので、詳しい方にヘルプをお願いしておく。

    動画をYouTubeにアップロードしておいた。

    20150806arirang.jpg
    Source: YouTube, https://youtu.be/WGfIJCXA41A

    <追記>
    曲だけでは面白くないので、朝鮮語音をカタカナで記した字幕と日本語訳詞をつけておいた。

    曲に合わせて訳詞を付けていたら、非常にタイミングが悪い場面で「首領様」の絵が出てきてしまった。
    20150813kislarirang.jpg
    Source: YouTube, https://youtu.be/WGfIJCXA41A

    続けて「お母様」も。
    20150813kjsukarirang.jpg
    Source: YouTube, https://youtu.be/WGfIJCXA41A

    『アリラン』は女性の歌なので、「お母様」が

    「抗日遊撃隊に私を同行させなければ、10里も行かずに足が痛くなってしまうわよ」

    とでも言っていると解釈しておこう。

    「<20時報道>かき氷提供」:かき氷関連報道が多い (2015年8月7日 「朝鮮中央TV」)

    前の記事にも書いたように、「朝鮮中央TV」を駆け足で見ているのだが、今年の夏は、なぜかかき氷関連の報道が多い。各飲食店で提供されるかき氷を紹介するだけの内容ではあるが、党の施策として、暑い夏に人民にかき氷を提供するよう指示が出されたのかもしれない。この辺りの指示、「元帥様」ではなく、「党中央委員会副部長同志」が出しているのかもしれない。

    背景画面には「かき氷奉仕」と書かれている。
    20150807_kctvasf_019076418.jpg
    Source: KCTV, 2015/08/07

    「我が党の恩情の中で、人民が夏に食べるのを好む140種類あまりのかき氷が新しく出ました」と語るデソン区域総合食堂部員。「副部長同志」の「恩情」なのかもしれない。
    20150807_kctvasf_019090508.jpg
    Source: KCTV, 2015/08/07

    かき氷を食べる人々
    20150807_kctvasf_019086521.jpg
    Source: KCTV, 2015/08/07

    この食堂では、10種類あまりのかき氷を提供しているという。
    20150807_kctvasf_019105618.jpg
    Source: KCTV, 2015/08/07

    かき氷を作る奉仕員
    20150807_kctvasf_019121732.jpg
    Source: KCTV, 2015/08/07

    かき氷の機械。日本でよく見るものとは形状が異なるようだ。
    20150807_kctvasf_019150480.jpg
    Source: KCTV, 2015/08/07

    「サイダーとアイスクリームを入れると、さらに美味しくなる」と「奉仕員」は説明している。アイスクリームは日本でもあるが、サイダー入りは食べたことがない。ちょうど三ツ矢サイダーがあるので、後で試してみることにする。
    20150807_kctvasf_019157002.jpg
    Source: KCTV, 2015/08/07

    「<20時報道>駐朝外交代表・武官団白頭山地区参観」:北朝鮮側からはケーブルカーで白頭山に (2015年8月8日 「朝鮮中央TV」)

    たくさんのコメントを頂いている「青峰楽団」関連情報のフォローアップ記事を書こうとここ1週間、見ることができなかった「朝鮮中央TV」を早送りしながら見ていたら、面白い映像があった。報道の内容としては、駐朝外交代表・武官団が三池淵と白頭山を訪問したというものであるが、その報道の中で北朝鮮側から白頭山に登るケーブルカーを見せている。

    三池淵の金日成銅像に献花する外交・武官団メンバー
    20150808_kctvasf_018964860.jpg
    Source: KCTV, 2015/08/08

    白頭山に登るケーブルカー。中国側からは、バス(小型のバン)で天地まで登るが、北朝鮮側にはケーブルカーがあるようだ(どこまで登るのかは不明だが)。「元帥様」が天地に行くときこのケーブルカーを使っているのかは不明であるが、曲がりくねった道を乗用車で上るよりは快適そうに見える。
    20150808_kctvasf_019013896.jpg
    Source: KCTV, 2015/08/08

    「<時事解説>民心に逆行する軍国主義的妄動」:安保関連法案に関する解説、「日本反動」と日本人の民心を分離して解説、当たらずと言えども遠からず (2015年8月9日 「朝鮮中央TV」)

    8月9日、「朝鮮中央TV」が安保関連法案に関する解説番組を放送した。日本のテレビ番組の画面などを使いながらいつも登場する解説者(「朝鮮中央通信」の解説委員だったはず)が登場し、衆議院での安保法案採択の様子、安保法案制定に至る経緯、安保法案採択反対の動きなどを紹介している。

    今回の安保法案報道では、日本人の「民心」と「反動執権勢力」の乖離を強調している。韓国における反政府運動を紹介する際にも使われる手法であり、少数の反対者を誇張するケースがよくあるが、日本の安保法案の世論と安倍政権の動きの乖離は、それほど誇張して解説しているとは言えないと思う。

    例によって、日本語字幕を付けてYouTubeにアップロードしておいたので、関心のある向きはご覧頂きたい。
    20150809mandong.jpg
    Source: YouTube, https://youtu.be/PA-9c6sKDjw

    <別件>
    前の記事に多くのコメントを頂いていますが、昨夜、ベトナムより帰国したばかりなので、追って返信します。
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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