22日、「北朝鮮が元山付近からミサイルを発射したが正常に発射されず」という報道があった。
『聯合ニュース』、「[速報]北朝鮮のミサイル 「正常に発射されず」=韓国軍当局」、https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170322-00000035-yonh-kr
東海岸での発射で、しかも「正常に発射されず」(失敗)とのことなので、地上発射型のミサイルではなく、SLBMではないかと思う。成功であれば、明日か明後日には北朝鮮メディアが報道するであろうが、失敗ならばよく分からずに終わることになる。
元山ということで、カルマ飛行場を見ていた。カルマ飛行場は、ミサイル発射実験や海岸に大砲を並べての軍事訓練に用いられている。そのような施設が増設されたのかと思いながら、過去に振り返って画像をチェックしていたら、実におもしろい画像があった。2015年7月28日の画像で、ほぼ間違いなく「朝鮮人民軍航空及び反航空軍飛行指揮官の戦闘飛行術競技大会-2015」当日だと思われる。「朝鮮中央TV」では、同年7月30日にこの「競技大会」について報道されているので、Google Earthが偶然撮影した日は大会当日だと思われる。以下、それを示すような写真を紹介していく。
2015年7月28日のカルマ飛行場全体図

Source: Google Earth, 2015/07/28
この日、「元帥様」は「オオタカ1号機」(専用機の正式名称もこの時に初めて公開された)でカルマ飛行場に降り立った。残念ながら、Google Earthが撮影した時点は「オオタカ1号機」の到着前だったようで、同機は発見できなかった。下は、同機が格納されるのではないかと思われる大型の格納庫と思われる建物。地面の陰から建物の屋根の形が分かる。

Source: Google Earth, 2015/07/28
この格納庫の海岸側には、「元帥様」が大砲発射訓練などの際、海側を見るための「監視所」があるものと思われる。また、特別行事のためにいくつかの臨時建屋が設置されていることも下の2016年10月19日の画像と比べると確認できる。2016年10月19日の画像では、格納庫らしき建物と「観覧台」らしき建物が拡張され、通路で連結されていることが確認できる。海岸での軍事訓練やミサイル発射をする際、「元帥様」は「オオタカ1号機」かカモフラージュした軍用機で飛来、そのまま格納庫に入り、「監視所」へと向かうのではないだろうか。

Source: Google Earth, 2016/10/19
下の写真は、「大会」当日を示す決定的は写真である(もちろん、予行演習でなければだが)。観覧席に多くの軍人が集まっている。

Source: Google Earth, 2015/07/28
観覧席に歩いてく人々も確認できる。

Source: Google Earth, 2015/07/28
そして幹部だろうか、「元帥様」が観覧すると思われる建物にも多くの人が歩いて行く。若干分かりにくいが、平時の写真と比較すると多くの人がいることが分かる。

Source: Google Earth, 2015/07/28
同じ場所の平時(2015年9月20日)

Source: Google Earth, 2015/09/20
さらに、海岸には軍事車両が展開しているか砲台が設置されているように見える。「元帥様」警護のためだろうか。

Source: Google Earth, 2015/07/28
平時(2015年9月20日)の同じ場所を見ると、跡だけが残っている。

Source: Google Earth, 2015/09/20
また、周辺の建物にも多くの軍用車両が見られる。

Source: Google Earth, 2015/07/28
そして、「大会」に参加するための戦闘機、爆撃機(あるいは輸送機)、ヘリコプター、プロペラ機などが集結していることが分かる。
戦闘機

Source: Google Earth, 2015/07/28
戦闘機と輸送機

Source: Google Earth, 2015/07/28
大型ヘリコプター

Source: Google Earth, 2015/07/28
複葉プロペラ機

Source: Google Earth, 2015/07/28
しかし、Google Earthですら、このぐらいの写真が撮れるのだから、スパイ衛星であれば、もっと細かに色々なことが分かるのであろう。記事にこそしなかったが、数日前に日本が打ち上げたスパイ衛星について、「朝鮮中央通信」はしっかりと報道していた。それならば、「斬首作戦」などとややこしいことをやらずも、「元帥様」の動きを衛星で監視し、こうした大きな大会に「元帥様」がいることを確認した上で会場全体を攻撃すれば、「元帥様」のみならず、軍や党の幹部もまとめて抹殺できると思うのだが、北朝鮮も防空体制を強めていて、超高空を飛行する米軍機やステルス機も近づけないのであろうか。
米軍にその実力があるとすれば、「斬首作戦」というのは、指導部に対する威嚇と朝鮮人民を動揺させるための宣伝に過ぎないような気がする。