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    「朴槿恵逆徒、ソウル拘置所に拘束」:弾劾決定の時同様、素早い報道 (2017年3月31日 「朝鮮中央TV」)

    31日、「朝鮮中央TV」が朴槿恵逮捕について報じた。弾劾決定の時同様、素早い報道である。

    日本語字幕付き。

    Source: KCTV, 2017/03/31

    北京行き航空機内で撮影された3容疑者 (2017年3月31日 「The Star」)

    31日、The Starが共同通信が配信した金正男事件の3容疑者らしき人物の北京行き航空機内の写真を掲載した。写真は、下記のURLからご覧頂きたい。

    The Star, North Korean murder suspects sent home with body of victim, Read more at http://www.thestar.com.my/news/world/2017/03/31/north-korean-murder-suspects-sent-home-with-body-of-victim/#ku9u4IOR0qT50t1R.99

    「敬愛する最高領導者金正恩同志が偉大な並進の旗を高く掲げられ我が共和国の尊厳と威容を最上の境地で轟かせられた不滅の業績は、先代万代末永く輝く -朝鮮民主主義人民共和国政府備忘録-」:4年目という中途半端な年に、核実験の代わりか前奏曲か (2017年3月31日 「朝鮮中央通信」)

    31日、「朝鮮中央通信」が長い「備忘録」を伝えた。2013年3月31日「党中央委員会全員会議」で「元帥様」が「並進路線」を提示してから4年が経過し、その間に達成した様々な事業を紹介・称賛する内容となっている。5年、10年という節目となる年ではなく、4年という中途半端な年に「備忘録」を出してきたのはなぜだろうか。過去、この日前後に何らかの報道がされてきたのか再確認する必要があるが、これほど長い「備忘録」は出されていなかったはずである。

    「備忘録」は、「敬愛する最高領導者同志の賢明な領導に従い、並進の旗をさらに力強く掲げて、億万金とも交換できない民族の生命であり、統一朝鮮の国宝である自衛的核宝剣をさらに強化していき、朝鮮の力、朝鮮の気性、朝鮮の速度で強盛繁栄の高い頂上に向かい疾風の如く進んでいく」と締めくくっている。

    우리 군대와 인민은 경애하는 최고령도자동지의 현명한 령도따라 병진의 기치를 더욱 억세게 틀어쥐고 억만금과도 바꿀수 없는 민족의 생명이며 통일조선의 국보인 자위적핵보검을 더욱 강화해나갈것이며 조선의 힘,조선의 기상,조선의 속도로 강성번영의 높은 령마루를 향하여 질풍노도쳐나갈것이다.

    問題は、この「備忘録」で「元帥様」の過去4年の「業績」を輝かせておき、当面、「太陽節」前後の核実験はやらないのか。あるいは、この「備忘録」が核実験の前奏曲となるのかである。

    경애하는 최고령도자 김정은동지께서 위대한 병진의 기치를 높이 드시고 우리 공화국의 존엄과 위용을 최상의 경지에서 떨쳐주신 불멸의 업적은 천추만대에 길이 빛날것이다

    --조선민주주의인민공화국 정부 비망록--

    「中学武道に木銃使う『銃剣道』追加」:そこまでやるなら音楽にはこの歌も追加しては如何『我々の銃槍の上に平和がある』 (2017年3月31日 「読売新聞」)

    31日、『読売新聞』に。もう何も言わないので、この曲を音楽の教科書に「追加」して頂きたい。

    『読売新聞』、「中学武道に木銃使う「銃剣道」追加」、https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170330-00050108-yom-soci

    日本語字幕付き。

    Source: KCTV

    北朝鮮から帰国したマレイシア人記者会見:「ベトナム、インドネシア・・・駐北朝鮮大使館に感謝」、食料調達は北京で (2017年3月31日 「The Star」)

    31日、The Starが北朝鮮から帰国したマレイシア大使館員の記者会見記事を掲載した。Zain大使館員は、「ベトナム、インドネシア、ラオス、カンボジア、パキスタン、ポーランド、スウェーデン大使館に食料を含む援助に感謝する」と記者会見の冒頭で述べたようだ。

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    Mohd Nor Azrin Md Zain (pic) thanked the Vietnamese, Indonesian, Laotian, Cambodian, Pakistani, Polish, and Swedish embassies for the assistance in providing aid, including foodstuff.

    The Star, Malaysians tell of crucial support amidst North Korean trauma, Read more at http://www.thestar.com.my/news/nation/2017/03/31/malaysians-in-north-korea-concerned/#qVCpj9xgztY91blQ.99
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    注目されるのは、国名の並べ方である。実際精力的な援助をしたからなのかもしれないが、「ベトナム、インドネシア・・・・」となっており、実行犯とされる女2人の出身国と一致する。この発言は、今後、2人の女に有罪判決が出され、その後、恩赦される場合、マレイシアの国民の納得を得るには有効である。マレイシア人が、女2人に同情的であるのか否かに関する報道は見たことがないが、9人の帰国によりマレイシア人の実質的被害者はいなくなったので、「北朝鮮工作員に騙された」説で決着を付けられるのかも知れない。

    「食料援助」と大使館員は言っているが、北朝鮮の食材の質が低くて食べられないということではなく、イスラム教徒向けのハラル・フードを北京のイスラム教徒向け食材店で調達していたものと思われる。ハラル・フード問題を除いてということであろうが、大使館員は「北朝鮮当局に迫害されたことはなく、生活は通常通りであった」と述べている。

    「朝鮮とマレイシア共同声明発表」:「北朝鮮にいる遺体の家族」と、それは「元帥様」・金ヨジョン・金正哲だが (2017年3月30日 「朝鮮中央通信」)

    31日朝、「朝鮮中央通信」に「朝鮮とマレイシア共同声明」が掲載された。以下、全文。

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    朝鮮とマレイシア共同声明発表 (平壌 3月30日 朝鮮中央通信)
    조선과 말레이시아 공동성명 발표
    (평양 3월 30일발 조선중앙통신)

    朝鮮民主主義人民共和国とマレイシア代表団は、30日、次のような共同声明を発表した。
    조선민주주의인민공화국과 말레이시아대표단은 30일 다음과 같은 공동성명을 발표하였다.

    1.最近、朝鮮民主主義人民共和国とマレイシア代表団は、2017年2月13日、クアラルンプールで発生した朝鮮民主主義人民共和国公民の死亡により生じた問題の解決のための会談を持った。
    1. 최근 조선민주주의인민공화국과 말레이시아대표단은 2017년 2월 13일 꾸알라룸뿌르에서 발생한 조선민주주의인민공화국 공민의 사망으로 하여 산생된 문제의 해결을 위한 회담을 가지였다.

    2.両国は、1973年に樹立され、発展してきた相互関係の威力に基づき、この問題を解決する意志を再確認した。
    2. 두 나라는 1973년에 수립되여 발전하여온 쌍무관계의 위력에 기초하여 이 문제들을 해결할 의지를 재확언하였다.

    3.両国は、外交関係に関するウィーン条約とその各条項の徹底した履行が持つ重要性について認定した。
    3. 두 나라는 외교관계에 관한 윈협약과 그 조항들의 철저한 리행이 가지는 중요성에 대하여 인정하였다.

    4.朝鮮民主主義人民共和国が死亡者の家族からの遺体と関連した全ての文献を提出することで、マレイシアは遺体を朝鮮民主主義人民共和国にいる死亡者の家族に返すことについて同意した。
    4. 조선민주주의인민공화국이 사망자의 가족으로부터 시신과 관련한 모든 문건들을 제출하였으므로 말레이시아는 시신을 조선민주주의인민공화국에 있는 사망자의 가족에게 돌려보내는데 동의하였다.

    5.双方は、両国の公民に対する出国禁止措置を解除し、自国領内で彼らの安全を保証することに合意した。これにより、平壌にいる9人のマレイシア人がマレイシアに帰れることになり、クアラルンプールにいる朝鮮民主主義人民共和国公民がマレイシアから出国できるようになった。
    5. 쌍방은 두 나라 공민들에 대한 출국금지조치를 해제하며 자국령내에서 그들의 안전을 담보하기로 합의하였다. 이에 따라 평양에 있는 9명의 말레이시아인들이 말레이시아로 돌아갈수 있게 되였으며 꾸알라룸뿌르에 있는 조선민주주의인민공화국 공민들이 말레이시아에서 출국할수 있게 되였다.

    6.双方は、相互関係の重要性を再確認した。これと関連し、両国は無査証制を再導入する問題を肯定的に協議することにし、相互関係をより高い段階に発展させるための努力をすることで合意した。
    6. 쌍방은 쌍무관계의 중요성을 재확언하였다. 이와 관련하여 두 나라는 무사증제를 재도입하는 문제를 긍정적으로 토의하기로 하였으며 쌍무관계를 보다 높은 단계에로 발전시키기 위하여 노력하기로 합의하였다.(끝)

    ********************

    「4.朝鮮民主主義人民共和国が死亡者の家族からの遺体と関連した全ての文献を提出することで、マレイシアは遺体を朝鮮民主主義人民共和国にいる死亡者の家族に返すことについて同意した。」は、実に興味深い。金正男とも金チョルとも書かれていないが、遺体の家族は「朝鮮民主主義人民共和国にいる」ことになっている。また、「家族からの遺体と関連した全ての文献」というのが、遺体を「北朝鮮にいる家族」への返還を要求するものなのか、家族であることを証明するDNA情報等に関する「文献」なのかは不明であるが、マレイシア政府は、これまで「DNAによる家族関係の証明」を求めてきたので、「北朝鮮にいる」家族の遺体返還要求だけでは条件を満たしていないはずである。もし、マレイシア政府がこれまで主張してきたように公正にDNA情報を使って「北朝鮮にいる家族」を認定したのであれば、それは、過去記事にも書いたように、生体では「元帥様」、妹の副部長同志(金ヨジョン)、兄の金正哲のDNAしか存在しないはずである。そうでなければ、金ハンソルなど、金正男の家族が北朝鮮を通じてDNA情報を提供したのか、彼らが本当に北朝鮮に帰国しているのか、あるいは帰国したことになっている必要がある。金正男には、少なくとも2人の妻がいるとされているので、金ハンソル系ではない可能性もある。

    今後、北朝鮮が死者が「金チョル」であるということや、死因が「心臓ショック」であるという主張を再開しなければ、現段階では、マレイシア当局による捜査結果を覆すような事態には至っていない。この辺り、外交交渉で合意されているのかどうか。


    昨夜の記事に書いたように、マレイシア首相はステイトメントを出しているが、「共同声明」と内容は異なる9人のマレイシア人に関するステイトメントのようだ。「共同声明」は、マレイシア外務省などのページに掲載されている可能性があるので、北朝鮮側の発表と比較するために、追って検索することにする。

    「金正男の遺体北京へ」:北朝鮮大使館にいた2人の容疑者も出国か、<追記>マレイシア首相、9人のマレイシア大使館員平壌発ったと、<追記2>名前は明らかにせず「遺体」と (2017年3月30日 「The Star」)

    30日、The Starが伝えるとこrによると、金正男の遺体を積んでいると思われるワンボックスが現地時間の1時40分に遺体が安置されていた病院を出て、クアラルンプール国際空港に向かったという。また、同3時15分頃には、北朝鮮大使館から5人以上を乗せたワンボックスが出て行ったという。

    マレイシア政府は、遺体と北朝鮮大使館にいた容疑者の扱いについては、まだコメントを出していない。

    The Star, Kim Jong-nam's body believed to be Beijing-bound, Read more at http://www.thestar.com.my/news/nation/2017/03/30/kim-jong-nam-body-believed-to-be-beijing-bound/#ePKKakrrPjjcTesD.99

    一時、金正男の遺体は火葬されて国外に移送するのではないかという報道があったが、結局、火葬されないまま北朝鮮に移送されることになったようだ。経路はMH360で北京、翌日のJS152で北京-平壌ということになるのだろう。

    火葬されない遺体が北朝鮮に戻り、容疑者2人、特に大使館外で逮捕可能な高麗航空職員まで出国させるというのは、外交交渉でマレイシア当局が大きく譲歩したことになる。殺害されたのは北朝鮮人、実行犯も外国人、マレイシア国民の事実上の被害者は出国を禁じられているマレイシア大使館員9人だけという状況で、北朝鮮側の要求に大幅に譲歩した可能性が高い。

    北朝鮮は遺体を引き取れば、自国にあるDNAと照合し被害者が「金チョル」であり、死因は「心臓ショック」だという「鑑定結果」を公表するであろう。もちろん、公表すればマレイシア警察の捜査を全否定する結果になり、マレイシアの体面を傷つけることになるので、外交交渉で発表はしないという取り決めになっている可能性もある。

    マレイシア警察の担当者と思われる人物が、北朝鮮大使館に入り、数時間出てこなかったという報道もあるので、ここで大使館内にいる容疑者から事情聴取をした形にするのであろう。だとして、高麗航空職員を出国させるのは、彼が無関係であるという反証になる。

    すると、一番心配なのは、殺人罪で告訴されているベトナム人とインドネシア人の女に対する公正な裁判が行われるのかである。彼女たちが実行犯であることはほぼ間違いないとし、殺意や殺害方法、殺人に至る経緯などについて充分に審理することができるのだろうか。人を殺めたのだから、何らかの罰は受けるべきなのだろうが、背後で操った者や集団を見逃し、誰もかばってくれない2人の女だけを裁いて死刑にするなどということがあれば、マレイシアがこれまで言ってきた公正性を大きく毀損することになる。

    <追記>
    同じくThe Starが、マレイシア首相が9人のマレイシア大使館員が平壌を発ち、現地時間の5時にマレイシアに到着すると述べたと伝えた。また、マレイシアから出国禁止にされていたマレイシア人も出国禁止措置が解除されたとしている。しかし、解除対象に容疑者が含まれているかどうかは不明。金正男の遺体の北朝鮮送還は、遺族からの要請であると。

    The Star, Najib: Nine Malaysians barred in North Korea now on their way home, Read more at http://www.thestar.com.my/news/nation/2017/03/30/najib-tun-razak-malaysians-in-north-korea-allowed-to-leave/#YETtTqjyfUkMkF7Y.99

    中国が介入し、金ハンソルの安全と遺体送還を交換した可能性あり。

    <追記2>
    New Straits Timesにマレイシア首相のステイトメントに関する続報があった。それによると、下記の通り遺体が誰であるかは明らかにしていない。これが、外交上の合意であれば、北朝鮮側も遺体の身元については触れないはず。

    3. We will now allow North Koreans to leave Malaysia. In addition, following the completion of the autopsy on the deceased and receipt of a letter from his family requesting the remains be returned to North Korea, the coroner has approved the release of the body.

    New Straits Times, Prime Minister Najib Razak announces safe return of Malaysians held in North Korea (Statement)、http://www.nst.com.my/news/2017/03/225678/prime-minister-najib-razak-announces-safe-return-malaysians-held-north-korea

    「朝鮮中央通信」に関連報道があるというメディア報道があるが、同サイトでは現在のところ、確認できない。

    「命中弾」:「国防体育団射撃選手」紹介と「米帝」殲滅 (2017年3月26日 「朝鮮の今日」)

    26日、「朝鮮の今日」にアップロードされた動画。「国防体育団射撃選手」紹介と、「正義の命中弾」が「侵略と挑発の本拠地」へ。

    日本語字幕付き。

    Source: 朝鮮の今日、2017/03/26

    マレイシアと北朝鮮の交渉、進行中 (2017年3月30日 「The Star」)

    30日のThe Starによると、マレイシアと北朝鮮のマレイシア大使館員9人の帰国等に関する外交交渉は続けられているという。

    マレイシアのラザク首相は、「この問題はセンシティブ」であり、「マレイシア大使館員9人を無事帰国させるという、結果が重要である」。しかし、「マレイシアが主権国家、法治国家であるというイメージを傷つけないようにする」と述べた。

    The Star, Negotiations with North Korea over nine Malaysians still ongoing, Read more at http://www.thestar.com.my/videos/2017/03/30/negotiations-with-north-korea-over-nine-malaysians-still-ongoing/#G7M0VlOSCDeYDWVo.99

    英語字幕付き動画。

    Source: YouTube, The Star, 2017/03/30

    「平壌-丹東飛行機航路開設」 (2017年3月28日 「朝鮮中央通信」)

    28日、「朝鮮中央通信」が「平壌-丹東間に航路が新設」と報じた。

    毎週火曜日と金曜日 平壌発 9時、 丹東着 9時20分 (飛行時間50分間)
                  丹東発 10時20分 平壌着 11時40分

    「朝鮮への韓国を希望する多くの人々に便宜を図る」と。

    丹東は、列車で北朝鮮入りするポイントとなっていたが、今後は飛行機も利用できることになる。

    中国外交部報道官は、「中国は北朝鮮の核開発には反対するが、中朝関係は正常であり、韓国へのTHAAD配備とは無関係」と。

    Ministry of Foreign Affairs of the PRC, Foreign Ministry Spokesperson Lu Kang's Regular Press Conference on March 29, 2017, http://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/2511_665403/t1449905.shtml

    平壌空港で高麗航空機から降りる中国人と思われる観光客
    20170329-k3-03-1.jpg
    Source: 朝鮮の今日、http://www.dprktoday.com/index.php?type=2&no=19165

    평양-단동 비행기항로 개설

    Google Earthで見る咸鏡北道北部水害被害地域、大規模な土石流があちこちで発生 (2017年3月26日)

    Google Earthを見ていたら、咸鏡北道北部地域の写真が、2016年9月、水害が発生した直後の写真に更新されていた。北朝鮮では、「元帥様」が「リョミョン通り」などの建設を中断し、「咸鏡北道北部被害復旧戦闘」を指示し、寒くなる前に被災者のための住宅などが建設され、この水害は「復旧」したということになっているが、復旧後の写真はGoogle Earthに掲載されるまで少し待つとしても、被害は想像以上に大きかったことがGoogle Earthの写真から確認できる。

    北朝鮮報道などを読んで想像していた被害は、集中豪雨で豆満江の水が増水し、沿岸の住宅が流されたということであったが、そのような被害に加えて、Google Earthの写真からは、あちこちで大規模な土石流が四方八方に向かって発生し、それにより豆満江から離れた地域でも大きな被害が出ていることが分かる。

    しばしばいわれることであるが、北朝鮮では山の木を伐採し、無理矢理に農地にしてしまっているので、ひとたび豪雨が降ると、こうした大規模な土石流が発生するのだろう。北朝鮮では「史上最悪の被害」と言っているが、写真を見ると納得する。今年も、3月初旬の「植樹節」頃に、「元帥様」と李雪主同志が象徴的な植樹をしていたが、異常気象の影響でこれからもしばしば豪雨が予想されている状況では、今年の夏に再びこうした被害が発生しないとも限らない。日本のように山林管理や治水が計画的に行われている国でさえ、想定外の集中豪雨で大きな被害が出る状況になっているので、そうしたことがきちんと行われていない北朝鮮では、状況がより深刻である。

    被災者のための住宅建設に「建設軍人」や資材を集中させたという「元帥様」の判断は評価できるが、それで終わるのではなく、継続的に山林管理や治水をきちんと行わなければ、こうした被害は再び発生する。

    過去記事にも書いた通り、オバマ政権末期(政権交代数日前)に、北朝鮮メディアが「米合衆国政府が咸鏡北道被災地に人道支援をした」と伝えたが、これもまた英断であったといえる。北朝鮮メディアが報じないだけかもしれないが、その時、周辺国、特に韓国は何をしていたのであろうか。

    以下、被害の一部を before and after で見ていくことにする。

    豪雨前の茂山市
    20170323茂山豪雨前
    Source: Google Earth, 2015/10/7

    豪雨直後の茂山市同じ場所。湾曲した部分の住宅がほぼ完全に流されている。
    20170323茂山豪雨後
    Source: Google Earth, 2016/09/15

    上の写真を拡大、茂山市の住宅、豪雨前。
    20170323茂山豪雨前の住宅
    Source: Google Earth, 2015/10/07

    拡大した上の写真と同じ場所
    20170323茂山豪雨後流された住宅
    Source: Google Earth, 2016/09/15

    茂山市、豪雨前の橋と道路。
    20170323茂山豪雨前の道路
    Source: Google Earth, 2015/10/07

    同じ場所。道路は流され、橋も崩れているように見える。中国は、この豪雨による自国の被害を報じているのか確認していないが、中国側の道路も洪水で流されてなくなっている地点が複数ある(この写真では見られないが)。
    20170323茂山豪雨後の道路
    Source: Google Earth, 2016/09/15

    上の写真の橋の部分を拡大すると多くの「建設軍人」らしき人々が見える。また、左の方では、パワーシャベルが投入され復旧作業をしている。「元帥様」の命令が迅速だっただけあり、早い時期から復旧工事が開始されたことが分かる。
    20170323茂山豪雨後の復旧工事
    Source: Google Earth, 2016/09/15

    では、土石流の被害を見ていく。下の写真は、茂山市の北に位置するセゴル里の被害前の様子である。Google Earthには、異なるタイムスタンプが表示されるが、2015年10月7日が正しいと思われる。
    20170326セゴル里20160915土石流前
    Source: Google Earth, 2015/10/07

    山の頂上付近から、3方向に土石流が発生していることが分かる。この土石流により、川とは反対側の村も被害を受けている。
    20170326セゴル里20160915土石流跡
    Source: Google Earth, 2016/09/15

    土石流の被害を確認するために拡大すると、被災前。
    20170326セゴル里20160915土石流前の村
    Source: Google Earth, 2015/10/07

    被災後。
    20170326セゴル里20160915土石流後の村
    Source: Google Earth, 2016/09/15

    これらの写真は、ほんの一部で、茂山郡内だけでも、大小の被災地を多く確認することができる。

    同じ咸鏡北道内にある核実験施設「豊渓里(プンゲリ)」に金を使うよりも、こちらに使う方が朝鮮人民は幸せだと思う。「堂々たる核保有国」ならば、これ以上の実験は少し休んでだ。(次の実験準備完了という報道もあるが)

    「朝鮮外務省スポークスマン、共和国は核兵器禁止条約交渉のための国連会議に参加しないと言及」:「核保有国」として (2017年3月24日 「朝鮮中央通信」)

    24日の「朝鮮中央通信」が、「米国をはじめとした既成核保有国が国連会議参加を拒否している条件で、会議で全人類の指向と念願を反映した結実が得られるのかという疑問が提起される」ので、「核兵器を主軸とする自衛的核兵力をさらに強化していくことがより当面した死活的要求として台頭している我々としては」会議に参加しないが、「世界の非核化が実現するまで、核保有国としての責任を全うしていく」と報じた。

    会議に出席して非難されるよりも、「核保有国」として出席しない方が裕利との判断であろう。

    一方、「しかし、我々は、核兵器の全面撤廃のための非同盟運動の理念と世界的な努力を今後も継続支持していく」とオバマのような戯言も言っている。まあ、これも「核保有国」としての発言なのかも知れないが。

    「惨めな手下の体の値段」:米国務長官の言葉、「最も重要な同盟国」日本と「重要な同伴者」南朝鮮を揶揄 (2017年3月24日 「uriminzokkiri」)

    24日、uriminzokkiriにアップロードされた動画。過去記事にも少し書いたが、日韓中を歴訪した米国務長官が、日本を「最も重要な同盟国」、韓国を「重要な同伴者」と呼んだことを揶揄する動画。

    日本語字幕付き。

    Source: uriminzokkiiri, 2017/03/24

    「籠池理事長証人喚問」「外国記者クラブ会見」安倍首相+籠池理事長=さもありなん (2017年3月23日)

    23日は、籠池デーとでもういうか、証人喚問から始まり外国記者クラブでの会見までずっとストリーミングを見ていた。

    籠池理事長(以下、理事長)という人は、メディアの報道から受けた印象では、ともかく出鱈目で変な人だと思っていたのだが、1日画面でお付き合いした結果、随分印象が変わった。それどころか、「元帥様」に抱く微妙な好感とどこか共通点があるような、好感さえ抱いた。「元帥様」の思想も、理事長の思想も共感しかねる部分が多いが、何か実直さというか、人間味というか、ほら吹きなのかも知れないが、2人とも憎みきれないところがある。

    そして、いわゆる「保守」も、中身が多種多様なのだと改めて感じた。理事長を復古的国粋主義者と呼ぶならば、首相はミリタリスト(敢えてカタカナで書く)とでも言おうか。この2種の「保守」は重複する部分も多々あり、お互いに利用しあったり、協力し合う関係にある。それ自体は悪いことではない。

    だから、日本の多くの幼稚園の経営者が、首相夫人に講演を頼んでも来てもらえないであろうにもかかわらず、昭恵夫人が理事長の幼稚園に足を運び、涙を流して感動している理由も計り知れる。

    もし理事長があのような思想の持ち主ではなく、平凡な幼稚園の経営者であれば、「昭恵夫人から100万円受け取った」とか、「国有地購入に関するFAXを昭恵夫人の秘書から受け取った」と言っても、誰もまともに聞かないであろう。

    つまり、安倍首相+籠池理事長という式からは、さもありなんという答えが無前提的に出てきてしまうのである。私は、理事長が全てにおいて真実を語っているのかどうかについてなど問題にするつもりはないし、ましてや真相など分からない。ただ、質こそ違えど2人の「保守」が、思想的に重複する部分で意気投合していたことだけは、間違いないと思っている。

    国会の証人喚問では、政党により濃淡はあれど、党利党略が見え隠れしながら、「昭恵夫人の100万円寄付」問題と「国有地取得口利き」問題に質問が集中していた。(中には、質問にならぬ一方的発言をする議員もいたが)

    一方、「外国記者クラブ」では、一部、日本語が上手な記者がこれらの問題に関する質問をしていたが、多くの関心が理事長の教育方針に向けられていたような気がする。これも実に不思議な話で、広い日本の数ある幼稚園の一理事長が、園児に韓国や中国の悪口を言わせたとしても、外国人記者の関心の的になるようなことはまずない。しかし、それほどまでに理事長の幼稚園の教育方針に外国記者の質問が集中した背景には、やはり「首相+理事長=さもありなん」という公式があるからだと思う。逆に、首相の平素の発言や行動が理事長の教育方針とかけ離れたものであれば、誰も首相との関係など信じないであろう。

    外信が今日の出来事を伝えているのかと「kagoike abe」というキーワードで検索したところ、CNNの記事があった。その記事の上の方には、次のように書かれている。

    ***********************
    極めて民族主義的な思想を扇動していると非難されている籠池(氏)が、森本学園の土地を安価で購入するために、安倍晋太郎首相を含む右傾した政治家との関係を使ったのかどうかについて議員の質問に答えるために国会に現れた。
    Kagoike, who has been accused of promoting extreme nationalist views, appeared in parliament to answer lawmakers' questions over whether he used his connections with some right-leaning politicians -- including Prime Minister Shinzo Abe -- to secure the discount for Moritomo Gakuen.

    CNN, Japan PM Shinzo Abe embroiled in land-sale scandal, http://edition.cnn.com/2017/03/22/asia/japan-school-scandal/
    ************************

    やはり外国の関心は、「極めて民族主義的な思想」の理事長と「右傾した政治家」安倍晋太郎との関係ということなのだと思う。

    世界は首相を「世界の安倍」と見ているのか、「右傾した政治家安倍」と見ているのか。

    <追記>
    合わせて読むとよさそうな記事があった。朴正煕は、憲法改定をして長期執権を手に入れた。日本の首相も党規約改正で長期執権を図っている。前者は「長期独裁政権」、後者は「長期安定政権」だそうだが、「独裁」だから「安定」しているのだし、「安定」しているから「独裁」なのである。結果、下記記事にある「傲慢症候群(ヒュブリス・シンドローム)」は進行する。

    『dot.』、「森友学園問題からみえた 安倍首相の“傲慢症候群”〈dot.〉」、https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170322-00000086-sasahi-pol&p=2

    して、3代続く「超長期安定政権」の北朝鮮の「傲慢症候群(ヒュブリス・シンドローム)」の進行度は。

    金正男事件の容疑者の1人の男は元駐ベトナム北朝鮮大使の息子 (2017年3月22日 「The Star」)

    22日The Starが、金正男事件の容疑者である北朝鮮人の男が、もと駐ベトナム北朝鮮大使の息子であると報じた。

    この男は、李ジヒョン(33)で、10年間ベトナムに住んだことがあり、流暢なベトナム語を話すという。また、外交官見習という身分で1年以上、駐ベトナム北朝鮮大使館で通訳として働いたという。

    この男が、流暢なベトナム語で実行犯のベトナム人の女を犯罪に巻き込んだ可能性があるとされている。

    The Star, N. Korean suspect in Jong-nam's murder is son of ex-envoy to Vietnam: Report
    Read more at http://www.thestar.com.my/news/nation/2017/03/22/north-korean-suspect-in-jong-nams-murder-is-son-of-ex-envoy-to-vietnam-report/#D1pgGBIO80qobGc7.99

    ロバート・カーリン(Robert Carlin)著「朝鮮における最終的失敗(The Ultimate Failure in Korea)」『38ノース(38 NORTH)』 (2017年3月21日 「38 NORTH」)

    21日、38 NORTHにロバート・カーリン氏が投稿した「解説 朝鮮半島における最終的失敗」が掲載された。大変よい記事だったので、38 NORTHに全訳をして拙ブログに掲載する許可を求めたところ許可されたので、以下のとおり全訳掲載する。

    ロバート・カーリン氏紹介ページ
    http://cisac.fsi.stanford.edu/people/Robert_Carlin

    *************************
    38 NORTH
    The Ultimate Failure in Korea
    Posted by Robert Carlin On March 21, 2017 @ 10:34 am In Commentary
    http://38north.org/2017/03/rcarlin032117/

      戦争の神々にとっては、オバマ政権がワシントンのニューカマーに、北朝鮮に対処するための「戦略」が必要であると言っているのを聞くのは、病気になるほど愉快なことに違いない。結局のところ、多くの人々が痛くも認めなければならないのは、オバマ大統領には、北朝鮮問題に関する戦略が何もなかったということである。彼(オバマ)がドナルド・トランプに多くの問題の中でも最大の問題は北朝鮮の進展する核・ミサイル問題であると言ったのは、8年にも及ぶ期間、オバマ政権の誤った考えに基づくこの問題に対処するためのアプローチが、完全に失敗したからである。

     鎧のすね当ての紐縛り、羽根付きの兜をかぶり直しているのを見て、戦争の神々は、トランプ政権がオバマ政権に捨てられた物をなぜ拾うのかと、愉快さよりもむしろ不思議さを感じている。というのは、そのアプローチは、北朝鮮の核・ミサイル計画を停止させることに失敗しただけではなく、平壌に(核・ミサイル)開発を継続どころか加速できる障害のない道筋を残した。その道筋には、6週間に1つの割合で新たに製造される核物質を使って、メトロノームのようなペースで増加する核弾頭も含まれている。カチ、カチ、カチ。同じことを積み重ねること、さらなる力仕事をすることは、米国の死活的な安全保障上の利益を守るためのレシピ-とはなり得ない。しかしそれが、戻ることができない滝に向かって川を下っており、その滝の音が日々大きくなっているということをほとんど理解しないまま、今日ことが進められている。

     これらが新政権内の政策を見直した識者である。では、なぜ彼らは失敗して捨てられたアプローチを拾うことを選び、破滅に向かって情け容赦なく進んでいるのであろうか。過去16年間の仮説的神話が依然として判断を縛っているからであろうか。諜報活動のために数十億ドルを費やした貴重な成果を依然として読み誤っているのであろうか。過去20年間の外交が失敗であったという、エンドレスに繰り返され、こだまする主張はどうなのだろうか。

     恐らく、外交の失敗という悪質な神話こそが鍵であろう。試されもしなかったにもかかわらず、過去16年可の外交が失敗だったとどうして言えるのであろうか。オバマ政権下では、外交はよく言っても、手足を縛られていたか間欠的であった。ブッシュ政権下では、外交は責め苦を与えられ、時として私生児であった。これらが不毛の年代であり、失った時間は取り返すことができない。ティラーソン国務長官はこの点について実に正しい-これらの年代の失敗が、今日我々を危険な地点に立たせている。

     しかし、失敗しなかったのは1993年から2000年の外交である。そしてそのことは、外交をブッシュ政権とオバマ政権の失敗として、同じゴミの山に単純に託す人々には、ほとんど理解されていない。こうした考えは致命的な間違いなのだが、今日我々につきまとっているだけではなく、明日にはさらに激しくつきまとうであろう。こうして外交が成果を出した年代を読み間違えることは、我々が今直面している災難から引き離してくれるであろう唯一の進路へのドアを閉ざすことになる。

     批判的な人々は、1993年から2000年の期間は、北朝鮮がウラン濃縮という迂回路を使って核爆弾製造のための秘密計画を始めたのだから北朝鮮に「騙された」ことになり、失敗であったと言うであろう。しかし、1990年代末にその情報がワシントンの卓上に届いたとき、それは外交の失敗とは受け取られなかった。それは、既に獲得した成果を維持し、北朝鮮の核武装計画を止め、最終的には廃棄するためのさらなる進展への開かれた道を確保するために、慎重かつ合理的に扱われるべき重要な展開であると認識されていた。1999年までに、北朝鮮の核センターとも言える、ヨンビョンの核物質生産施設は5年間凍結され、その他は錆び付いて廃墟と化した。1994年に米朝枠組み合意が調印されて以来、核物質は生産されず、IAEAの査察官が確認のためにヨンビョンに駐在していた。1994年号以前に北朝鮮が製造したプルトニウムは、IAEAの監視下に置かれた。そして、1999年9月、交渉の末、北朝鮮はミサイル発射のモラトリアムに合意した。そして次に何が起こったのか。単純かつ厳然と、合意に敵対的なブッシュ政権が2001年1月に誕生した。しかし、それから24ヶ月間、外交は失敗しなかった。外交は、最も悪辣に殺されたのである。

     今日、我々は23年前の交渉の成果を取り戻すことは不可能であろう。多くのことが変わりすぎた。しかし、歴史を大きく読み間違うことで外交を投げ出してしまうことは、重大な過ちである。

     気取ったことを言いったり、現実を覆い隠すような言葉を使うのは止めようではないか。 「動的(kinetic)」(訳注:運動エネルギー兵器=核兵器)という誤解しやすい言葉は、誰にとってもよいことはない。新たなの朝鮮半島における戦争は、その規模においてこれまでに見たことがないほど熾烈である。1994年に北朝鮮と戦争直前の状況に至ったとき、戦争が起これば100万の犠牲者(軍人と民間人)と1兆ドルの損害が発生すると推計された。新たな朝鮮戦争が発生すれば、それはさらに致死的であり、そして当時の何倍もの血と財という代償を支払うことになる。そして、新たな朝鮮戦争は、過去の朝鮮戦争からの復興のために韓国の人々が犠牲にした50年を確実に破壊することになる。そして、新たな朝鮮戦争は、東北アジアを切り裂くことにもなる。新たな朝鮮戦争こそが、最終的な失敗である。

     そして、戦争の神々はそれを待っているのである。

    gods-of-war-200x300.jpg
    Source of Image: http://38north.org/2017/03/rcarlin032117/roman-centurion-helmet/

    「敬愛する金正恩同志が偉大な祖国解放戦争勝利62周年を迎え開催された『朝鮮人民軍航空及び反航空軍飛行指揮官の戦闘飛行術競技大会-2015』を指導された」:Google Earthが大会当日を撮影していた! (2017年3月22日 「Google Earth」)

    22日、「北朝鮮が元山付近からミサイルを発射したが正常に発射されず」という報道があった。

    『聯合ニュース』、「[速報]北朝鮮のミサイル 「正常に発射されず」=韓国軍当局」、https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170322-00000035-yonh-kr

    東海岸での発射で、しかも「正常に発射されず」(失敗)とのことなので、地上発射型のミサイルではなく、SLBMではないかと思う。成功であれば、明日か明後日には北朝鮮メディアが報道するであろうが、失敗ならばよく分からずに終わることになる。

    元山ということで、カルマ飛行場を見ていた。カルマ飛行場は、ミサイル発射実験や海岸に大砲を並べての軍事訓練に用いられている。そのような施設が増設されたのかと思いながら、過去に振り返って画像をチェックしていたら、実におもしろい画像があった。2015年7月28日の画像で、ほぼ間違いなく「朝鮮人民軍航空及び反航空軍飛行指揮官の戦闘飛行術競技大会-2015」当日だと思われる。「朝鮮中央TV」では、同年7月30日にこの「競技大会」について報道されているので、Google Earthが偶然撮影した日は大会当日だと思われる。以下、それを示すような写真を紹介していく。

    2015年7月28日のカルマ飛行場全体図
    20170322カルマ20152728全体
    Source: Google Earth, 2015/07/28

    この日、「元帥様」は「オオタカ1号機」(専用機の正式名称もこの時に初めて公開された)でカルマ飛行場に降り立った。残念ながら、Google Earthが撮影した時点は「オオタカ1号機」の到着前だったようで、同機は発見できなかった。下は、同機が格納されるのではないかと思われる大型の格納庫と思われる建物。地面の陰から建物の屋根の形が分かる。
    20170322カルマ20170728格納庫
    Source: Google Earth, 2015/07/28

    この格納庫の海岸側には、「元帥様」が大砲発射訓練などの際、海側を見るための「監視所」があるものと思われる。また、特別行事のためにいくつかの臨時建屋が設置されていることも下の2016年10月19日の画像と比べると確認できる。2016年10月19日の画像では、格納庫らしき建物と「観覧台」らしき建物が拡張され、通路で連結されていることが確認できる。海岸での軍事訓練やミサイル発射をする際、「元帥様」は「オオタカ1号機」かカモフラージュした軍用機で飛来、そのまま格納庫に入り、「監視所」へと向かうのではないだろうか。
    20170322カルマ20170728撤去後
    Source: Google Earth, 2016/10/19

    下の写真は、「大会」当日を示す決定的は写真である(もちろん、予行演習でなければだが)。観覧席に多くの軍人が集まっている。
    20170322カルマ20152728観覧席
    Source: Google Earth, 2015/07/28

    観覧席に歩いてく人々も確認できる。
    20170322カルマ20170728観覧席に向かう人々
    Source: Google Earth, 2015/07/28

    そして幹部だろうか、「元帥様」が観覧すると思われる建物にも多くの人が歩いて行く。若干分かりにくいが、平時の写真と比較すると多くの人がいることが分かる。
    20170322カルマ20170728道の人々
    Source: Google Earth, 2015/07/28

    同じ場所の平時(2015年9月20日)
    20170322カルマ20170728誰もいない道
    Source: Google Earth, 2015/09/20

    さらに、海岸には軍事車両が展開しているか砲台が設置されているように見える。「元帥様」警護のためだろうか。
    20170322カルマ20170728海岸軍用車
    Source: Google Earth, 2015/07/28

    平時(2015年9月20日)の同じ場所を見ると、跡だけが残っている。
    20170322カルマ20170728跡だけ
    Source: Google Earth, 2015/09/20

    また、周辺の建物にも多くの軍用車両が見られる。
    20170322カルマ20170728軍用車両
    Source: Google Earth, 2015/07/28

    そして、「大会」に参加するための戦闘機、爆撃機(あるいは輸送機)、ヘリコプター、プロペラ機などが集結していることが分かる。

    戦闘機
    20170322カルマ20152728戦闘機
    Source: Google Earth, 2015/07/28

    戦闘機と輸送機
    20170322カルマ20170728輸送機
    Source: Google Earth, 2015/07/28

    大型ヘリコプター
    20170322カルマ20152728ヘリ)
    Source: Google Earth, 2015/07/28

    複葉プロペラ機
    20170322カルマ20170728プロペラ機
    Source: Google Earth, 2015/07/28

    しかし、Google Earthですら、このぐらいの写真が撮れるのだから、スパイ衛星であれば、もっと細かに色々なことが分かるのであろう。記事にこそしなかったが、数日前に日本が打ち上げたスパイ衛星について、「朝鮮中央通信」はしっかりと報道していた。それならば、「斬首作戦」などとややこしいことをやらずも、「元帥様」の動きを衛星で監視し、こうした大きな大会に「元帥様」がいることを確認した上で会場全体を攻撃すれば、「元帥様」のみならず、軍や党の幹部もまとめて抹殺できると思うのだが、北朝鮮も防空体制を強めていて、超高空を飛行する米軍機やステルス機も近づけないのであろうか。

    米軍にその実力があるとすれば、「斬首作戦」というのは、指導部に対する威嚇と朝鮮人民を動揺させるための宣伝に過ぎないような気がする。

    中国外交部、朝鮮半島で「限定戦争」の可能性に言及 (2017年3月21日 「中国外交部」)

    21日の中国外交部定例記者会見において、「米国がさらなる制裁を検討しているが」という質問に対し、報道官は次のように答えている。

    ***************
    現段階では、朝鮮半島情勢は2つの分かれ道にある。1つは、関係国が独断でエスカレートさせるような行動をとり続け、紛争あるいは限定戦争に至らせる道。もう1つの選択は、全ての関連国が冷静になり、共同で朝鮮半島の核問題を政治・外交的な解決への道へと引き戻す道である。

    At the current stage, the Peninsula situation is at another crossroads where are two prospects. One is that the relevant parties could continue with their assertive and escalatory moves, leading to conflict or even potential war. The other choice is that all sides can cool down and jointly pull the Korean nuclear issue back to a path of political and diplomatic resolution.

    Ministry of Foreign Affairs of the PRC, Foreign Ministry Spokesperson Hua Chunying's Regular Press Conference on March 21, http://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/2511_665403/t1447463.shtml
    ***************

    中国が「紛争あるいは限定戦争」、特に「限定戦争」という言葉で朝鮮半島情勢の今後の可能性を表現するのは、少なくとも、金正恩時代では初めてだと思う。米国務長官訪中直後のことでもあり、米国に単独行動を自制するよう求める強いメッセージと思われる。

    「朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議招集に関する公示」:4月11日開催 (2017年3月22日 「朝鮮中央通信」)

    22日の「朝鮮中央通信」によると、4月11日に第13期第5回最高人民会議が開催されるという公示が出された。

    조선민주주의인민공화국 최고인민회의 소집에 대한 공시

    조선민주주의인민공화국 최고인민회의 상임위원회는 최고인민회의 제13기 제5차회의를 주체106(2017)년 4월 11일 평양에서 소집함을 최고인민회의 대의원들에게 알린다.
    대의원등록은 주체106(2017)년 4월 9일과 10일에 한다.
    조선민주주의인민공화국
    최고인민회의 상임위원회
    주체106(2017)년 3월 21일
    평 양 (끝)

    中国外交部定例記者会見、米国務省定例記者会見:米中で何らかの合意か、北朝鮮のロケット発射に中国は反対 (2017年3月20日)

    20日、中国外交部と米国務省の定例記者会見の英文スクリプトがそれぞれのHPに掲載された。

    中国外交部の定例記者会見では、やはり朝鮮半島情勢に質問が集中した。報道官は、中国主席や外相と米国務長官のやりとりの詳細には触れることなく、9.19合意が成功裏であったこと、そして王毅提案の正当性について強調した。

    米国務長官の訪中期間に北朝鮮が大出力ロケットエンジンの地上噴出実験をしたことのついては、「弾道ミサイル技術を使った発射は安保理決議で禁じられている」と述べた上で、「中国は北朝鮮が関連決議に従うことを望んでいる」と述べ、さらに「中国は、各国が現在の情勢を勘案し、朝鮮半島の緊張を激化させたりお互いが挑発することは自制すべきだと信じている」と述べている。

    中国は、北朝鮮のロケット・ミサイル発射には、核実験に比べて比較的寛容であったが、米国が北朝鮮のミサイルを大きな脅威と感じていることからして、今後は北朝鮮のロケット発射にも強く対応すると思われる。ミサイルに対する米国の懸念は、今回の米国務長官の訪中でも中国側に明確に伝えられたはずである。

    今回の米国務長官訪中の結果について北朝鮮に伝えたのかについては、「中国は六者会談の当事国とコンタクトしており、王毅提案についても説明してある」と述べた。昨日の記事に書いた、「朝鮮中央通信」に掲載された「北朝鮮外務省回答」でも、北朝鮮はティラーソン訪中を認識していることが確認できる。「北朝鮮外務省回答」は、米国務長官が日韓で「軍事オプション」をちらつかせたことに対抗し、大出力ロケット・エンジンを搭載した衛星ロケットかミサイルを発射するようなことを言っているが、中国の提案をどのように受け入れているのかは分からない。

    米国務長官訪中後、米北朝鮮問題担当大使のジョセフ・ユンが中国を訪問し、朝鮮半島問題特別代表の武大偉と会談している。ユンの訪中のタイミングが偶然、国務長官訪中直後になったのか否かは不明ながら、外相レベルで話し合われたことのフォローアップを行っているのであろう。

    また、両外相は習近平訪米の準備を始めたとしている。訪米は4月上旬と報じられているが、トランプとの会談では朝鮮半島問題が大きなテーマの一つとなることは間違いない。この時期、北朝鮮では「太陽節」の準備期間となるが、「リョミョン通り」完工のお祝いにとどまらず、大型ロケット・エンジンを搭載したロケットを発射するのか。あるいは、地上噴出実験で実力を見せつけておき、米中首脳が何を言うのか見守るつもりなのか。

    Ministry of Foreign Affairs of the PRC, Foreign Ministry Spokesperson Hua Chunying's Regular Press Conference on March 20, http://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/2511_665403/t1447146.shtml

    米国務省定例記者会見でも、朝鮮半島問題に関する質問が多く出された。興味深いのは、ティラーソンが米中関係の理解について、中国の言い方と同じ言い方をしたということに質問が集中していることである。記者会見では、ティラーソンが「非紛争、非対立、相互尊重、ウィン・ウィンの協力 (non-conflict, non-confrontation, mutual respect, and win-win cooperation)」と「言葉対言葉」の発言をしたことに中国に対するメッセージが込められているのかという質問が出された。

    この質問に対し報道官は、ティラーソンの訪中は「協力的、生産的、前向きな米中関係」であったとした上で、北朝鮮問題については「今後進展させ、対処し、話し合うべき部分」とした。また報道官は、「北朝鮮問題は最重要課題であったが、現段階において解決策を見出したとは言えない」としている。

    記者は中国にとって「言葉対言葉」は大変重要な意味を持つとして、ティラーソンの含意について質問したが、報道官は含意については言及しなかった。

    また、ティラーソン訪中期間に、トランプが「(北朝鮮非核化に)中国はほとんど役に立っていない」とツイートしたことが、米中外相会談に影響を与えたのかとの質問に対し、報道官は「与えていない」と答えている。

    その他にもティラーソンが日本を「同盟国(allay)」と呼び、韓国を「同伴者(partner)」と呼んだこと、日本外相とは夕食を共にしたが、韓国外相とは夕食を共にしなかったことなどについて質問が出された。報道官は、前者については日韓両国は米国の「同盟国」であり、夕食問題は単なるスケジュールの問題と答えた。

    US Department of State, Daily Press Briefing, https://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2017/03/268530.htm#CHINA4

    「朝鮮外務省スポークスマン、我が共和国を威嚇し、圧迫しようとする米政府糾弾」:「大出力ロケットエンジン」の威力を誇示 (2017年3月20日 「朝鮮中央通信」)

    20日に「朝鮮中央通信」が、米国務長官の日韓中歴訪を受け、「朝鮮中央通信」の質問に答える形で談話を出した。

    ********************************
    朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマンは、米政府が我が国周辺に対する国務長官の行脚を契機に我々を威嚇し、圧迫しようとしたことと関連し、20日、朝鮮中央通信社記者が提起した質問に次のように答えた。
    조선민주주의인민공화국 외무성 대변인은 미행정부가 우리 주변에 대한 국무장관의 행각을 계기로 우리를 위협하고 압박하려 든것과 관련하여 20일 조선중앙통신사 기자가 제기한 질문에 다음과 같이 대답하였다.

    最近、米国務長官ティラーソンが、日本と南朝鮮、中国を行脚しながら、去る20年間、米国が北朝鮮の非核化のために傾けた努力は全て失敗し、オバマの「戦略邸忍耐」政策は終わったと認めながら、北朝鮮が米国と同盟国を威嚇する場合、軍事的に対応するだのとほざいた。
    최근 미국무장관 틸러슨이 일본과 남조선,중국을 행각하면서 지난 20년간 미국이 북조선의 비핵화를 위하여 기울인 노력은 모두 실패하였고 오바마의 《전략적인내》정책은 끝났다고 자인하면서 북조선이 미국과 동맹국을 위협하는 경우에는 군사적으로 대응할것이라느니 뭐니하였다.

    スポークスマンは、オバマがホワイトハウスを去る日まで、口が渇くほど叫んできた制裁音頭を、今になってはティラーソンがそのまま受け継いでいるとしながら、次のように強調した。
    대변인은 오바마가 백악관을 떠나는 날까지 입이 닳도록 외워온 제재타령을 이제는 틸러슨이 그대로 받아외우고있다고 하면서 다음과 같이 강조하였다.

    問題は、オバマもティラーソンもなぜ我々が核武装へと進まなければならないのか、今日、我々がなぜ核武力強化へとたゆまず進んでいるのか、その根源を知らないところにある。
    문제는 오바마도 틸러슨도 왜 우리가 핵무장에로 나가지 않으면 안되였는지,오늘날 우리가 왜 핵무력강화에로 줄기차게 나가고있는지 그 근원을 모르는데 있다.

    我々の核武力は、社会主義祖国を守り、我々人民の生活を守る正義の宝剣であり、最も頼もしい戦争抑止力である。
    우리의 핵무력은 사회주의조국을 지키고 우리 인민의 삶을 지키는 정의의 보검이고 가장 믿음직한 전쟁억제력이다.

    米国は、目を大きく開き、世界を直視しなければならない。
    미국은 눈을 크게 뜨고 세계를 똑바로 보아야 한다.

    我々は、米国が望むいかなる戦争にも必ず対応してやる意志も能力も全て持っている。
    우리는 미국이 원하는 그 어떤 전쟁에도 기꺼이 대응해줄 의지도 능력도 다 가지고있다.

    米国の企業家出身当局者達が、我々を驚かそうと思うのであれば、そんなものは我々には通用しないということを直ぐに知るであろう。
    미국의 기업가출신 당국자들이 우리를 놀래워보려고 생각했다면 그런것이 우리에게는 통하지 않는다는것을 곧 알게 될것이다.

    世界は、今回、朝鮮が大出力エンジン地上噴出試験で達成した巨大な勝利が、どんな事変的意義を持つのかを直ぐに見ることになるだろうとスポークスマンは強調した。
    세계는 이번에 조선이 대출력발동기지상분출시험에서 이룩한 거대한 승리가 어떤 사변적의의를 가지는가를 곧 보게 될것이라고 대변인은 강조하였다.(끝)

    조선외무성 대변인 우리 공화국을 위협하고 압박하려 든 미행정부규탄
    ***********************

    この主張からすると、新型エンジンを搭載した衛星ロケットかミサイルを「太陽節」の花火として打ち上げそうだ。

    「<芸術映画>従軍記者の手記」より『祖国の海を守り永生する』 (2017年3月19日 「朝鮮中央TV」)

    19日、「朝鮮中央TV」で放送された「追憶に残る映画」『従軍記者の手記』。既に何回も放送されているが、なかなかよい映画である。また、挿入歌『祖国の海を守り永生する』も良い歌だ。映画の中では、2回流されるが、米帝の軍艦に自爆攻撃する場面からエンディングまで。

    日本語字幕付き。

    Source: KCTV, 2017/03/19

    中国、北朝鮮からの石炭輸入、停止継続か (2017年3月20日)

    米国務長官の中国訪問について、両国が「朝鮮半島の非核化」という点で一致したという以上の詳細が出てきていない。中国外交部の英語版HPの定例記者会見ページも17日以降更新されておらず、米国務長官が中国主席や外相と何を話したのかよく分からない。

    久しぶりに、国連安保理関連機関が北朝鮮からの石炭輸入を集計しているページを見た。

    2月分は1国(中国と思われる)から申告されており、1232000トンとなっている。1月分と合計すると2673985トンとなり、許容されている総トン数の約36%となる。僅か2ヶ月で1年の3分の1を消化してしまったわけなので、中国が安保理決議を履行するためには、「一時中止」もやむを得ない。金額ベースでは、1月分が126390037ドルとされており、2月分の金額は記されていないが、ほぼ同額とすると252780194ドルとなり、こちらは既に割当額の63%に達している。国際石炭価格が大きく変動しなければ、中国があと1ヶ月120万トン程度の石炭を輸入すると、金額ベースではほぼ許容枠に達してしまうことになる。

    北朝鮮に毎月1.3億ドルの石炭輸出で獲得する外貨があったとして、年間で15.6億ドル。安保理の年間割当金額は約4億ドルなので、北朝鮮が石炭輸入出得る外貨はほぼ4分の1になる。単純な計算ではあるが、北朝鮮の人口は約2500万人なので、1人当たりに割り当てられる、石炭輸出による獲得外貨が、62ドルから16ドルに減るということになる。もちろん、問題は、石炭輸出利益が「人民生活」に振り向けられず、その多くが「核・ミサイル開発」に使われたというところにあるのだが。とにかく、人民の生活水準が、4分の1になるようなことだけは、やって欲しくない。

    UNSC Subsidiary Organs, Procurement of DPRK coal by Member States, https://www.un.org/sc/suborg/en/sanctions/1718/procurement-of-dprk-coal-by-member-states

    過去記事にかいたように、竜口港沖にいた北朝鮮船籍船は1隻を残して北朝鮮に寄港した。一部、南浦沖に停泊している船がいるが、そのほとんどはAISの軌跡が消えている。

    竜口港沖の「ムジン3」号。この船は、記憶が正しければ、既に帰港した船よりも後に竜口港にやって来たので、今回の入港許可措置から除外された可能性がある。(以下、北朝鮮船籍船は黄色い丸)
    201703201000jst ryukou
    Source: Marine Traffic, 2017/03/20 10JST頃

    大規模な石炭取り扱い港である唐山港もワッチしているが、この港については、沖合に停泊している北朝鮮船籍船は依然として入港を許可されていないようでたくさんいる。
    20170320 1005jst tozankou
    Source: Marine Traffic, 2017/03/20 10JST頃

    地図上で一番下の陸地から海に向かって船名を確認しておくと、「ヘソン2」、「スプン」、「リョンファ」、一つ上の列が「クムデ」、その次の列が「金剛山2」、「ジンフン9」、「Woory Star」、そして一番上に少し離れているのが「リョンファ3」である。

    いずれも北朝鮮から石炭を積んで唐山に来たが、入港を禁じられて沖合に停泊している状態であろう。

    唐山港の石炭埠頭。
    20170320 唐山港jpg)
    Source: Google Earth

    一方、鉄鉱石を積んだ船については、通常通りに入港しており、下の図にいる「クムジンガン」号のようにかなり奥まった港(丹陽港)にまで入っている。
    20170320 1048jst kumjinngang
    Source: Marine Traffic, 2017/03/20 1040JST頃

    丹陽港は、小規模の鉄鉱石を取り扱う港のように見える。
    20170320 丹陽港
    Source: Google Earth

    「金正男事件の容疑者に北朝鮮のVIP複数、マレイシア警察長官」:まさか「元帥様」? (2017年3月19日 「The Star」)

    19日のThe Starによると、金正男事件の容疑者に北朝鮮のVIP複数名が含まれるとマレイシア警察長官が明らかにした。しかし、これらVIPの名前は「憶測を避けるために」明らかにしなかった。

    「元帥様」は含まれているのだろうか。

    The Star, Jong-nam murder: VIP wanted by the police, Read more at http://www.thestar.com.my/news/nation/2017/03/19/jong-nam-murder-vip-wanted-by-the-police/#XukSloKHrRZtHaGU.99

    「主体朝鮮の衛星は次々と打ち上げられる」:微妙なタイミングの動画、朝鮮の「衛星打ち上げ」をCGと実写で (2017年3月12日 「朝鮮の今日」)

    12日、「朝鮮の今日」にアップロードされた動画。これまで、北朝鮮が打ち上げてきた「衛星」打ち上げをCGと実写で紹介している。3分で北朝鮮の衛星ロケットを全て見られるコンパクトな動画である。

    「元帥様」は、この動画がアップロードされてから約1週間後に「新型大出力エンジン」の「地上噴出試験」を「視察」しているが、この動画のタイトルからすれば、「太陽節」前後に「光明星-5」号が打ち上げられそうな雰囲気である。

    日本語字幕付き。

    Source: 「朝鮮の今日、2017/03/12

    「<啓蒙期歌謡鑑賞時間>『氷が解けた大同江』、『木浦の涙』」 (2017年3月19日 「朝鮮中央TV」)

    19日、「朝鮮中央TV」で放送された「啓蒙期歌謡」2曲。両曲とも「南朝鮮」の地名が入っている。

    日本語字幕付き。

    Source: KCTV, 2017/03/19

    「暴帝の核を正義の核ハンマーで!」:「斬首作戦」を「悪名高いテロ暗殺」、金正男事件に対抗か (2017年3月19日 「uriminzokkiri」)

    19日、「uriminzokkiri」にアップロードされた動画。米韓合同軍事演習に対抗する「人民軍」の核・ミサイル威力を誇示するための動画である。その中で「斬首作戦」を「悪名高いテロ暗殺」と呼んでいる。かつてもこの表現は聞いたような気はするが、金正男事件後に改めて聞くと、「悪名高いテロ暗殺」を第三国の国民をVXガスに晒しながら行ったのは誰かと言いたくなる。

    日本語字幕付き。

    Source: uriminzokkiri, 2017/03/19

    「核強国の照準鏡内に入っている-朝鮮中央通信社論評-」:東シナ海での日米合同演習も非難、「人民軍」も「先制攻撃方式に転換された」と (2017年3月18日 「朝鮮中央通信」)

    北朝鮮は、18日、「朝鮮中央通信」に掲載された「論評」で、東シナ海で3月7日から10日に行われた日米共同訓練を非難している。

    「防衛省によると、今月7日から10日までの日程で海上自衛隊の護衛艦「さみだれ」と「さざなみ」の2隻が、アメリカ軍の原子力空母「カール・ビンソン」や駆逐艦などで構成する部隊と東シナ海で共同訓練を行った。「カール・ビンソン」が現在、行われている米韓合同軍事演習に合流する機会を捉えて通信訓練などを行ったという。」
    『日テレNEWS 24』、「海自と米空母 東シナ海で異例の共同訓練」、http://www.news24.jp/articles/2017/03/11/04356177.html

    以下、「論評」の要点。
    **********************
    核強国の照準鏡内に入っている-朝鮮中央通信社論評-
    핵강국의 조준경안에 들어있다 --조선중앙통신사 론평--

    朝鮮半島で「キーリゾルブ」、「トクスリ」合同軍事演習の本格化と共に、米国の侵略的、犯罪的企ても日々、はっきりしてきている。
    조선반도에서 《키 리졸브》,《독수리》합동군사연습의 본격화와 함께 미국의 침략적,범죄적흉계도 날로 뚜렷해지고있다.

    米国は、合同軍事演習に、少し前、悪名高いテロ部隊と呼ばれている米海軍特殊部隊「SEAL」、米陸軍特殊部隊「グリーンベレー」、「デルタ」など、米連合特殊作戦部隊まで総動員し、「平壌浸透」、「斬首作戦」準備、我々の軍事指揮区無力化などを狙った歴代最大規模の狂乱的な軍事演習を展開した。

    미국은 합동군사연습에 얼마전 악명높은 테로부대로 불리우는 미해군특수전단 《씰》부대,미륙군특수부대 《푸른 베레모》,《델타》부대 등 미련합특수작전부대들까지 총동원하여 《평양침투》,《참수작전》준비,우리의 군사지휘기구무력화 등을 노린 력대 최대규모의 광란적인 군사연습을 벌려놓았다.

    一方、誰それの「挑発」に対処する口実のもと、日本海上「自衛隊」の護衛艦、米軍の航空母艦「カールビンソン」号、駆逐艦、補給艦などで構成された航空母艦戦団の海上合同軍事演習も行った。

    한편 그 누구의 《도발》에 대처한다는 구실밑에 일본해상《자위대》의 호위함,미군의 핵항공모함 《칼빈손》호,구축함,보급함 등으로 구성된 항공모함전단의 해상합동군사연습도 진행하였다.

    3月15日には、グアム島のアンダーソン空軍基地から離陸させた核戦略爆撃機「B-1B」編隊を南朝鮮サンドン射撃場上空に引き入れ、約1時間も我々の主要対象物を先制打撃するための核爆弾投下演習を行った。
    3월 15일에는 괌도의 앤더슨공군기지에서 리륙시킨 핵전략폭격기 《B-1B》편대를 남조선 상동사격장상공에 끌어들여 약 1시간동안이나 우리의 주요대상물들을 선제타격하기 위한 핵폭탄투하연습을 감행하였다.

    米国は、奴らの核戦争策動に対処した我が軍隊の軍事的対応方式が先制攻撃的な方式に転換されたことについて、瞬間も忘れるべきでない。
    미국은 저들의 핵전쟁책동에 대처한 우리 군대의 군사적대응방식이 선제공격적인 방식으로 전환한데 대하여 순간도 잊지 않는것이 좋을것이다.
    ********************

    「敬愛する最高領導者金正恩同志が、国防科学院が新たに開発した我々式の大出力エンジン地上噴出試験を視察された」:「太陽節」にロケット発射か、危険な賭 (2017年3月18日 「朝鮮中央通信」)

    18日、「朝鮮中央通信」が、「元帥様」が新型のロケットエンジンの地上噴出実験を視察したと伝えた。米国務長官の日韓中訪問と訪問期間の発言、米韓合同軍事演習に圧力を掛けるためと思われる。地上噴出試験なので、安保理決議が禁じている「弾道ミサイル技術を使った発射」には該当しない。以下、要点。

    ***********************
    敬愛する最高領導者金正恩同志が、国防科学院が新たに開発した我々式の大出力エンジン地上噴出試験を視察された
    경애하는 최고령도자 김정은동지께서 국방과학원에서 새로 개발한 우리 식의 대출력발동기 지상분출시험을 보시였다

    過去のエンジンよりも比推進力が高い大出力エンジンを完全に我々式に新たに研究製作し、初試験において一度で成功することにより、国防工業建設史に特記すべきまた一つの事変的な奇跡を創造した。

    지난 시기의 발동기들보다 비추진력이 높은 대출력발동기를 완전히 우리 식으로 새롭게 연구제작하고 첫 시험에서 단번에 성공함으로써 국방공업건설사에 특기할 또 하나의 사변적인 기적을 창조하였다

    新型の大出力エンジン地上噴出試験は、燃焼室の推進力特性とタービンポンプ、制御システム、各種弁の動作正確性、構造的安定性と信頼性をはじめとした大出力エンジンの全般的な技術的指標を確証することに目的が置いて行われた。
    새형의 대출력발동기지상분출시험은 연소실의 추진력특성과 타빈뽐프장치,조절계통,각종 변들의 동작정확성,구조적안정성과 믿음성을 비롯한 대출력발동기의 전반적인 기술적지표들을 확증하는데 목적을 두고 진행되였다.

    試験結果、我々の国防科学者、技術者が、自分の力と技術により、完全に我々式に設計製作した新型の大出力エンジンの始動及び初段特性、エンジン動作前の過程でにおける燃焼室の推進力特性とタービンポンプ、制御システムをはじめとした全てのシステムの技術的指標を予定値に正確に到達させ、安定して維持でき、構造的信頼性も充分に保障されたことが確証された。
    시험결과 우리의 국방과학자,기술자들이 자체의 힘과 기술에 의거하여 완전히 우리 식으로 설계제작한 새형의 대출력발동기의 시동 및 차단특성,발동기동작 전 과정에서 연소실의 추진력특성과 타빈뽐프장치,조절계통들을 비롯한 모든 계통들의
    기술적지표들이 예정값에 정확히 도달하여 안정하게 유지되였으며 구조적믿음성도 충분히 보장된다는것이 확증되였다.

    (元帥様は)そう仰りながら、今日達成した大きな勝利が、いかなる事変的意義を持っているのかを全世界が必ず見ることになるであろうと力強く仰った
    그러시면서 오늘 이룩한 거대한 승리가 어떤 사변적의의를 가지는가를 온 세계가 곧 보게 될것이라고 힘주어 말씀하시였다.

    敬愛する最高司令官同志は、新型の大出力エンジンが、開発完成されることで、宇宙開発分野でも世界的水準の衛星運搬能力と堂々と肩を並べられる科学技術的土台がさらに確固としたもになったと仰りながら、ロケット工業発展で大飛躍を達成した今日は、永遠に忘れられない日、「3.18革命」とでも呼べる歴史的な日だと喜びに溢れて仰った。
    경애하는 최고령도자동지께서는 새형의 대출력발동기가 개발완성됨으로써 우주개발분야에서도 세계적수준의 위성운반능력과 당당히 어깨를 겨룰수 있는 과학기술적토대가 더욱 튼튼히 마련되게 되였다고 하시면서 로케트공업발전에서 대비약을 이룩한 오늘은 영원히 잊을수 없는 날,《3.18혁명》이라고도 칭할수 있는 력사적인 날이라고 기쁨에 넘쳐 말씀하시였다.
    ***********************

    「(元帥様は)そう仰りながら、今日達成した大きな勝利が、いかなる事変的意義を持っているのかを全世界が必ず見ることになるであろうと力強く仰った」とあるが、「元帥様」は、「宇宙開発分野でも世界的水準の衛星運搬能力」を誇示するために、「衛星運搬ロケット」を発射するつもりなのだろうか。「3.18革命」と仰々しい名前を付けているので、この地上噴出実験をもって「太陽節」のプレゼントとするのか、「3.18革命」はそのプロローグに過ぎず、「太陽節」前後でこのエンジンを装着した「地球科学衛星ロケット」を発射するつもりなのか。

    中国は、王毅提案に耳を貸さない米国に対し「それ見たことが」と言うのか、北朝鮮も従わないのでさらなる圧力を掛けるのか。また、米国は国務長官が全てのオプションに含まれると明言した「軍事オプション」を使うのか。

    「元帥様」、「大元帥様達」ができて自分はまだできていないのが、「米帝」との決戦である。つまり、「米帝」が北朝鮮を攻撃するための空母などを北朝鮮海域に展開させ、触発の事態に至ったという経験はない。オバマ政権の「戦略的忍耐」がそうした状況を作り出さなかったわけだが、トランプ政権は「20年会の失敗」を清算するために、こうした状況に至らせる可能性はある。そこで、「元帥様」は、「大元帥様達」のような「胆力」で、「米帝」から「降伏書」をせしめることを考えているのかも知れないが、「大元帥様達」のようにうまくいかないと、日本も巻き込んで大変なことになる。

    2017-03-19-01-04.jpg
    Source: 『労働新聞』、「경애하는 최고령도자 김정은동지께서 국방과학원에서 새로 개발한 우리 식의 대출력발동기지상분출시험을 보시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2017-03-19-0001_photo

    下の写真は2016年4月9日の『労働新聞』に掲載されたロケットエンジン地上噴出実験の様子。この時よりも炎が長くなり、高温を示すかのように炎の色が黄色みを帯び、勢いがあるように見える。
    old 2016-4-09-1-05
    Soruce: 『労働新聞』、「主体朝鮮の核攻撃能力を非常に強化することにおいて達成したもう一つの事変-新型の大陸間弾道弾ロケット大出力エンジン地上噴出実験で大成功、敬愛する金正恩同志が西海衛星発射場を訪問され、新型の大陸間弾道ロケット大出力エンジンの地上噴出実験を指導された」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-04-09-0001_photo

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    Source: 『労働新聞』、「경애하는 최고령도자 김정은동지께서 국방과학원에서 새로 개발한 우리 식의 대출력발동기지상분출시험을 보시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2017-03-19-0001_photo

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    Source: 『労働新聞』、「경애하는 최고령도자 김정은동지께서 국방과학원에서 새로 개발한 우리 식의 대출력발동기지상분출시험을 보시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2017-03-19-0001_photo

    国防科学者を背負う「元帥様」
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    Source: KCTV, 2017/03/19

    トランプ、ツイッターで「北朝鮮は、アメリカを弄んでいる。中国は役立たず」と、中国の直接的反応はまだ、石炭輸入再開否定 (2017年3月17日)

    17日、トランプがツイッターで「北朝鮮の行いはとても悪い。北朝鮮はアメリカを何年間も弄んでいる。中国はほとんど役に立っていない」と発言。

    20170318 trump twitter
    Source: Twitter

    日韓中歴訪中の米国務長官の「北朝鮮核放棄政策は、20年間失敗」の発言を受けてだと思うが、中国の強い反発が予想される。

    <追記>
    17日の中国外交部定例記者会見は、上記トランプ発言の前に開催されているので、この発言に関するやりとりはなかった。しかし、ヘイリー米国連大使が、「中国とロシアは、米国と同じぐらい北朝鮮の核問題を懸念していることを示すべきだ」と発言したのを受け以下。

    ****************
    朝鮮半島は、中国の玄関先である。中国が米国よりも朝鮮半島情勢に関心がないなどと信じている人がいるのでしょうか。朝鮮半島に隣接した国として、中国は世界のどの国よりも朝鮮半島情勢を懸念し、朝鮮半島の平和と安定のために建設的な役割を担う理由がある。

    A: The Korean Peninsula is at the doorstep of China. Is there anyone who really believes that the Chinese side cares less about the situation on the Korean Peninsula than the US? As a close neighbor to the Peninsula, the Chinese side has more reasons than any other countries in the world to be worried about the situation on the Peninsula and to play a constructive role in safeguarding peace and stability of the Peninsula.

    Ministry of Foreign Affairs of the PRC, Foreign Ministry Spokesperson Hua Chunying's Regular Press Conference on March 17, 2017, http://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/2511_665403/t1446684.shtml
    ***************

    また、昨日の記事に書いた北朝鮮船籍石炭積載船の中国入港に関しては、「関知していない。2月18日に出された中国商務省の公告通り。中国は安保理決議を遵守している」と答えている。
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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