30日、「ソ連芸術映画 普通の服を着た人」が「朝鮮中央TV」で放映された。韓国・統一部のDBでは、2012年6月12日にも放映されている。
非常に長い映画で、他事をやりながら、音を出したり止めたりしながら見ていたので、全体のストーリーは把握できていないが、ソ連のチェーカー(秘密警察)工作員が、ナチス・ドイツに潜入し工作活動をするというストーリーのようだ。
問題は、映画の冒頭で、ゲシュタポの大佐が部下に指令を出すシーンである。いくつか語彙を入れ替えると、北朝鮮になりそうな感じがしてならない。
「総統閣下」→「元帥様」
「ムッソリーニ」→「アサド」
「ゲシュタポ」→「国家保衛部」
「ハイル・ヒットラー」→「マンセー」
「野党系団体」→「不純勢力」
「ドイツには」→「朝鮮には」
日本語字幕付き。
Source: KCTV, 2017/04/30
30日の「朝鮮中央TV」、「17時報道」の最後で、カールビンソンなどと日本の自衛隊が行った合同軍事演習に関する非難報道があった。報道は、事実の羅列で挑発的な内容は含まれていないが、「米帝侵略軍と自衛隊武力が共和国を狙って」と。
日本語字幕付き。
Source: KCTV, 2017/04/30
30日、『AFP=時事』が、「ローマ法王、北朝鮮との交渉を呼び掛け ノルウェーの仲介に言及」という記事を配信した。
『AFP=時事』、「ローマ法王、北朝鮮との交渉を呼び掛け ノルウェーの仲介に言及」、https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170430-00000010-jij_afp-int
エジプト訪問を終えた帰りの機内でとのことだが、ローマ法王が北朝鮮問題を「外交的交渉で」と呼びかけたことには意義がある。しかも、「ノルウェーの仲介」とピンポイントでノルウェーを仲介国として例に挙げているが、これもノルウェーと北朝鮮が1973年に外交関係を締結してから、比較的良好な関係にあるということを認識した上での発言である。
拙ブログでも「北朝鮮のアコーディオン・クインテットがノルウェーのアートフェスティバルでA-ha!の"Take on Me"を演奏した」という内容の記事を2012年2月に書いている。
http://dprknow.blog.fc2.com/blog-entry-54.html?
北朝鮮のアコーディオン・クインテットによる"Take on Me"。
Source: You Tube, https://www.youtube.com/watch?v=rBgMeunuviE
I Tuneでこの曲が買えるらしいが、I Tuneなど使ったことがない上、ノルウェー語なので、購入の仕方がよく分からない。
30日、「朝鮮中央TV」の「啓蒙期歌謡鑑賞時間」で放送された2曲。
『イノバラの花』。「南の国」は、「南朝鮮」の南部、済州島だろうか。
Source: KCTV, 2017/04/30
『番地のない飲み屋』。こういう歌は、字幕を付けるときに、あれこれと考えてしまう。
Source: KCTV, 2017/04/30
両曲とも哀愁が漂う良い曲である。
29日、「朝鮮中央TV」で「自力自強がもたらした貴重な果実-第32回全国科学技術祝典場を訪問し-(2)」という番組が放送された。

Source: KCTV, 2017/04/29
「科学技術重視」と書かれた「祝典」のポスター。

Source: KCTV, 2017/04/29
「国家資源開発省」のブースでの説明は、さらっとしているが、よく聞けば、北朝鮮の衛星が機能しているかのようなことを言っている。
「衛星から地形情報を受信し、コンピューターを利用して、デジタル地質図作成の第1工程である、地形図のデジタル化実現と・・・」

Source: KCTV, 2017/04/29
「地形情報処理システムによる測量作業の現代化」と書かれたポスター。

Source: KCTV, 2017/04/29
どの衛星なのかは分からないが、北朝鮮が打ち上げた「地球観測衛星」の一つの目的が、これであったはずである。
暖房用ボイラーのコーナーでは、見せたくないポスターもあったようだ。ポスターのタイトルにボカシが入れてる。

Source: KCTV, 2017/04/29
「炭酸ジュース」として紹介されている製品。放送では、「炭酸ガスの含有量を増やす工夫がされた」と工場の係員が説明しているが、それよりもアルミ缶を使っているところが北朝鮮では画期的ではないだろうか。アルミの生産工程では、アルミナを電気分解してアルミニウムにするので、大量の電力が必要であるとされている。そのため、北朝鮮では、ガラス瓶やペットボトル、紙パックが飲料のコンテイナーとして使われているが、アルミ缶は、見た記憶がない。また、アルミ缶に入れられる飲料は、基本的には炭酸ガスの内圧でアルミ缶の形状を保持することができる、炭酸飲料に限られるとされている。日本の場合、この問題を技術的に解決し、現在では炭酸飲料以外でもアルミ缶が使われているそうだ。しかし北朝鮮では、そもそも電力不足でアルミ生産が大変なのに加え、アルミ缶の形状を維持できるような充分な炭酸ガスが含まれた飲料がこれまで生産できなかったのかもしれない。しかし、炭酸ガス含有量を増やすことができるようになり、それがアルミ缶使用に繋がっているのではないだろうか。

Source: KCTV, 2017/04/29
説明をする女性。

Source: KCTV, 2017/04/29
<参考>
一般社団法人日本アルミニウム協会、「アルミニウムのできるまで」、https://www.aluminum.or.jp/basic/alumiprocess.html
サントリーお客様センター、「アルミ缶とスチール缶に分けている理由はありますか?」、http://www.suntory.co.jp/customer/faq/001967.html
この番組シリーズの(1)を見落としているので、追って確認する。
29日、「朝鮮中央TV」で「太陽の偉業、千万年輝かせよう」という「新しく出た朝鮮記録映画」が放送された。「太陽節」前後の既に放送された映像を編集したものなので、あまりおもしろくないと思いつつ見ているところである。
「リョミョン通り竣工式」は、もちろん出てくるが、そのナレーションの中で
「一心団結と自強力で強大で、万里馬速度で暴風を打ち砕きながら走る金正恩朝鮮が、この空の下のこの地に偉大な首領様達の愛国念願、強国念願をどのように花咲かせ、人民の理想社会をどのように建設しているのかを世界にはっきりと示したリョミョン通り」
と言っている。「金正恩朝鮮」という言葉が気になり、『労働新聞』の過去記事を遡れるだけ調べてみたが、「金日成、金正日朝鮮」とか、「金日成民族、金正日朝鮮」という言葉がこれまで使われており、「大元帥様達」の名前を「金正恩」に置き換えた表現は、出てこなかった。ナレーションを聞いていて、かなり違和感を感じたので、この「朝鮮記録映画」の中で初めて使われたのではないだろうか。たかが一言であるが、「大元帥様達」の時代が、「首領様誕生105周年」を契機に「元帥様」の時代に、「リョミョン通り」という「歴史的大創造物」の完成を世界に轟かせながら、変わったと宣言しているのであろう。
今後、「金正恩朝鮮」という言葉は、しばしば登場することになると思われる。
まだ、半ばなので、続けて見ることにする。
태양의 위업 천만년 빛내여가리(위대한 수령 김일성동지 탄생 105돐 성대히 경축)
<追記>
「功勲国家合唱団」公演の場面では、同公演の「録画実況」よりも背景の動画が大きく写っている。てっきり、北朝鮮のICBMはホワイトハウスを一撃している思っていたのだが、この動画がよく見えたので、Google Earthと組み合わせて場所を特定してみた。
複数のミサイルはこの半島のような部分に向かって飛んでいる。

Source: KCTV, 2017/04/29
Google Earthでみるとカリフォルニア半島、カリフォルニア湾辺りと類似した地形である。

Source: Google Earth
ミサイルはさらに目標に近づいていく。

Source: KCTV, 2017/04/29
北を右に持ってくると下の地図と一致し、サンフランシスコであることが分かる。

Source: Google Earth
ミサイルはさらに目標に近づく。2本の緑の線(緑地帯)に注目して欲しい。

Source: KCTV, 2017/04/29
ここをGoogle Earthでみると、ゴールデン・ゲート・ブリッジ付近であることが分かる。

Source: Google Earth
この後、、ミサイルはぐるっと回転し、緑地帯が右の方に来る。

Source: KCTV, 2017/04/29
Google Earthも北がもう少し下に来るように回転させてみる。

Source: Google Earth
ミサイルは、沿岸の黒く見える部分に向かって飛んでいく。

Source: KCTV, 2017/04/29
北朝鮮が使っているのはGoogle Earthの映像のはずなので、黒く見えるのは、フィナンシャル・ディストリクトにある高層ビルの陰であろう。

Source: Google Earth
そしてミサイルはヒットする。その際、高層ビルが建ち並ぶフィナンシャル・ディストリクトよりもいくらか右にヒットしている。

Source: KCTV, 2017/04/29
そこにあるのは、「汚い追従勢力」を意識してか、チャイナ・タウンであった。

Source: Google Earth
チャイナ・タウンにヒットさせているのかどうかは特定しがたいが、敢えて、現段階では成功していないワシントンDCにヒットさせておらず、自信を持ってヒットさせることができることを暗示するかのように、サンフランシスコを狙っているところなど、かなり周到に計算して作られたCGである。「元帥様」は、それを知っているのか知らないのか不明ながら、北朝鮮というのは、こういうところで非常に芸が細かい。
米国政府は、北朝鮮のミサイル能力の進化が「urgent」と言って騒ぎ立てているが、米国務省定例記者会見でも、記者から、「何がurgentなのか?」と繰り返し質問が出されている。確かに、オバマ政権からトランプ政権に変わったとたんに「urgent」と騒ぎだし、どこぞの道化首相も「重大な脅威」と突然、脅威のレベルを上げた。米国務省報道官は、「urgent」について、「北朝鮮のミサイルや核実験の頻度が増え、米本土に到達するミサイルが完成するのも近い」と「urgent」の理由を説明している。その限りにおいては、リーゾナブルな説明である。では、北朝鮮のミサイルの射程距離圏に入って久しい日本は何がどう変わって「重大な脅威」となったのであろうか。北朝鮮のミサイルが米本土にヒットする能力を持つと、米国の核の傘に守られている日本にも影響が出るという説明なら分かるが、何か突然、北朝鮮のミサイルが日本に飛来する能力を持ったかの如く、世論を誘導している感じがしてならない(東京メトロまで止めさせて)。国民の危機感を煽り、軍備拡張を目論む下心が見え隠れしている。
そして、籠池さんとの関係では記憶力が極めて薄弱な日本の防衛相が、どさくさ紛れに「海自艦、初の米艦防護へ 四国沖まで、安保法制に基づき」と。
『朝日新聞デジタル』、「海自艦、初の米艦防護へ 四国沖まで、安保法制に基づき」、https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170430-00000005-asahi-pol
日本にとって「元帥様」のミサイルがなぜ迷惑かといえば、こういう画策を後押ししていることもある。
29日、トランプが北朝鮮の失敗したミサイル発射についてツイートした。
北朝鮮は、失敗だったものの、今日ミサイルを発射することで、中国と高く尊敬する主席を侮辱した。悪い!
Donald J. Trump認証済みアカウント @realDonaldTrump 5時間5時間前
North Korea disrespected the wishes of China & its highly respected President when it launched, though unsuccessfully, a missile today. Bad!
中国主席をやたらと持ち上げているが、皮肉か・・・
29日、uriminzokkiriに北朝鮮から中国を経て韓国に入り、北朝鮮への帰国を希望している金リョンフィを扱う動画が掲載された。この人は、何回かuriminzokkiriで取り上げられ、拙ブログで取り上げたような気もするが、よく覚えていない。
今回は、金リョンフィの娘と夫を招き、「民族通信特派員」がインタビューをするという企画である。昨日は、この人が「南朝鮮に誘拐・拉致された12人の朝鮮食堂従業員」の家族や友人に対するインタビューをする動画が紹介されていたが、家族や友人が涙するというこれまでにある情景以外には、特段新しいものがなかった。
しかし、金リョンフィ企画では、平壌のホテルからソウルの金リョンフィにインターネットを使って通話するということになっている。通話は、その場でするわけではなく、「特派員」が自分の部屋から自分のノートパソコンを使って通話している様子をuriminzokkiriのカメラマンが撮影し、その様子を動画に編集して家族に見せるという設定である。
電話の向こうの声が金リョンフィなのかどうかは確認できないが、家族の様子からは、そうだったのかもしれない。金リョンフィの声が聞ける韓国発の動画はたくさんアップロードされているはずなので、それを聞けば確認できよう。
「特派員」は、「5分後に娘さんとご主人に会うことになっている」と言いながら電話を掛け、金リョンフィに彼らに伝える「簡単な」メッセージを求めている。金は「南朝鮮で闘っている」、「(夫には)ただただありがとう」、「(両親には)健康に気をつけて」などの当たり障りのないメッセージを託す。
そして、電話を切った後、わざわざ窓の外の平壌の風景を写し、「平壌のホテルから」と念を押している。
この動画では、初めに「5分後に・・会う」と言っておきながら、途中から「何時間後に」と話が変わっている。「5分後に」夫と娘、「何時間後に」両親ということなのかもしれないが、何となく不自然である。
韓国側がブロックしていないとすれば、北朝鮮側がブロックしない限り、スカイプなどを使ったネット・フォーンでのソウルとの通話は可能であろうが、その映像が本当に平壌からだったのかは、もちろん定かではない。
この点について、北朝鮮が外国人に提供しているインターネット・サービス(Kory Link)で、海外、とりわけソウルとの通話ができるのかということには興味がある。もちろん、技術的には可能であっても、普通の観光客が平壌からソウルに電話をするなどというのは、下手をすれば「国家転覆剤」で最悪、死刑になる危険な行為であることは間違いない。
30分近い長い動画であるが、後半は、金リョンフィのビデオメッセージとそれを見ながら悲しむ家族の姿なので、カットしてある。
電話が終わるまでの約4分間に日本語字幕を付けてある。
Source: uriminzokkiri, 2017/04/29
字幕は途中で終わっているが、フルバージョンはこちら。
Source: uriminzokkiri, 2017/04/29
28日の「中国外交部定例記者会見」で、中国報道官は、北朝鮮の核問題を巡る現状について、
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もし、(国連安保理)会合が北朝鮮に対する制裁と圧力強化だけに焦点を当てるのであれば、(北朝鮮核問題解決のための)希な機会を失うだけではなく、関係国間の紛争をエスカレートさせ、平和と対話に向けた現在の努力を阻害することになる。
If the meeting only focuses on scaling up sanctions and pressure on the DPRK, it may not only miss a rare opportunity but also escalate confrontation among various parties and undermine current efforts to promote peace and dialogue.
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Ministry of Foreign Affairs of the PRC, Foreign Ministry Spokesperson Geng Shuang's Regular Press Conference on April 28, 2017, http://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/t1457731.shtml
と発言している。過去記事にも書いた通り、今回、北朝鮮が6回目の核実験を現時点に至るまで踏みとどまっているのは、米国の軍事的威嚇と中国の核施設ピンポイント攻撃容認姿勢や石油輸出削減方針などの相乗効果によるものである。
こうした状況の中で中国外交部の報道官が「希な機会」という表現を使っているのは、中国が、北朝鮮を説得する端緒をしっかりと掴んでいることを示しているのではないだろうか。一方で、これ以上、制裁と圧迫だけを強化すれば、せっかく掴んだ端緒を逃すことになり、状況は武力衝突へと一歩近づくという認識を示しているのだと思う。
米国は、「中国の役割」に期待をしていると繰り返し言っているが、米国が期待している「役割」は、北朝鮮に対するさらなる圧力だけであり、次のステップに進む「役割」については、大きな期待はしていないようにも思える。しかし、米国もさすがに圧力だけで問題が解決できるとは思っていないはずで、北朝鮮を自制させた上での次のステップの道筋作りも中国に委ねているのであろう。しかしながら、今米国が演じている役柄は、鞭を振り上げる猛獣使いなので、「対話」は表に出せない事情がある。中国は、これ以上、「猛獣使いの言うことを聞かないと大変なことになるし、僕も餌をあげないよ」と言いつつ、猛獣をなだめすかしており、猛獣とて「狂った猛獣」ではないので、情勢を慎重に見極めながら、より美味しい餌を与えてもらうことを考えているはずである。
日本外相は「暴走を続ける北朝鮮に対して、制裁強化を含む抑止力の重要性を強く訴えた」そうであるが、米国の道化としては、その程度の役割しかできないのであろう。軍事衝突に至った場合、大きな被害を受ける可能性が高い当事国としては、もっと他に言うことがあると思うのだが。
『フジテレビ系(FNN)』、「岸田外相「北」制裁強化訴え 安保理会合」、https://news.yahoo.co.jp/pickup/6238104
米国は、「北朝鮮との断交を各国に求める」という報道もあるが、そもそも国交がない日本は、他国に先んじて「断交」をすることができず、さぞかし無念であろう。しかし、どのように「求める」のかにもよるが、一国の外交権にまで介入するのはとんでもない横暴だと思う。それならば、真っ先にスウェーデンに北朝鮮との断交を要求するとよい。そうすれば、北朝鮮における米国の利益保護国たるスウェーデンを米国は失うことになり、北朝鮮内で拘束された米国人と面会してくれる外交ミッションはいなくなる。これも、米国のご都合主義で「スウェーデンは例外」とするつもりなのだろうか。
『中央日報日本語版』、「米国、国連加盟国に「北朝鮮との断交」要請を検討」、https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170428-00000029-cnippou-kr
29日、が『聯合ニュース』が、「北朝鮮が5時30分頃、平安南道プクチャン付近から弾道発射1発を発射したが、数秒後に空中爆発した模様」と伝えた。
『聯合ニュース』、「北, 평남 북창일대서 탄도미사일 1발 발사…공중폭발(3보)」、http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2017/04/29/0505000000AKR20170429011900014.HTML?template=2085
このところ、北朝鮮のミサイル発射が失敗することはしばしばあるが、普通は3回目ぐらいには成功させている。発射したミサイルの種類などは、いずれ米韓当局が推測を公表するであろうが、どんなミサイルであれ、失敗しすぎである。今回は、西海岸から発射しており、どちらの方向に向けての発射だったのかはまだ報じられていないが、黄海に向けての発射ということはしないはずなので、北朝鮮を横切る形で東に向けて発射したのであろう。これまで2回の失敗は、東海岸から日本海に向けての発射なので、仮に失敗しても海に落ちるだけであるが、今回は失敗すれば北朝鮮領内に落下するわけで、住民への被害が予測される。
それなのに、なぜ西海岸から発射したのか。そして、なぜ数秒で爆発したのか。カールビンソンが既に日本海いるとすれば、東海岸からの発射は危険すぎる。だから西海岸から発射したということはあるが、それでも順調に飛行して日本海に向かって飛んでいけば、カールビンソンを狙った発射と言われかねない。西海岸から黄海に向けて発射すれば、その先には中国がある訳で、いくら「汚い追従勢力」であっても、軍事力で中国を威嚇することはさすがにしないであろう。だとすると、西海岸の安全な場所からほぼ垂直に発射し、残骸が安全な場所に落ちるよう、敢えて自爆させたということは充分に考えられる。
北朝鮮としては、過去2回の失敗(これについては、過去記事で自爆説を書いたが)事例から、失敗すれば米国は鼻で笑うだけで怒らないことを知っており、今回もそれをやったのではないだろうか。
それで、その目的であるが、過去記事では、「北朝鮮のミサイルの性能の低さを敢えて演出したのではないか」と書いたが、そうだとしても、2回で充分だと思う。なので、今回は、日本海に展開しているカールビンソンや日本との合同演習への抗議、あるいは北朝鮮問題を話し合う国連安保理への威嚇などが考えられるが、今一つこれといったものがない。
失敗だから北朝鮮は黙っているだろうが、今後、米韓が新たな情報を出してくるはずである。
<追記>
『聯合ニュース』に続報が出た。「米国政府関係者は、発射されたミサイルはKN-17ではないかと推測」していると。また、韓国の合同参謀本部は、「ミサイルはプクチョン郡から49度の方向に発射され、高度71キロまで上昇、発射数分後に爆発」と発表しているという。
『聯合ニュース』、http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2017/04/29/0505000000AKR20170429011953014.HTML?template=2085
Google Mapで飛行方向を見るとおもしろいことが分かる。このミサイル、どれほど正確に作図できたのかは分からないが、プクチャン郡(大体の位置)から49度方向に線を引いてみると、北朝鮮領内を飛び続け、さらに飛び続けると中露の地上国境を越えてロシア領内に入る。つまり、ロシア、例えばウラジオストックに向けてミサイルを発射したことになるのだが、ロシアに向けてミサイルを発射する理由は北朝鮮にはない。だとすると、そもそも北朝鮮領内上空で自爆させる目的で発射したのではないかという可能性が高まるがどうなのだろうか。

Source: Google Map

Source: Google Map
『産経新聞』に「北ミサイル 東京メトロが運転見合わせ 初の措置 車内に動揺、若い女性『こんな車内放送初めて』」という記事が出ていたが、何をどう判断して地下鉄を止めたのだろうか。どう考えても、交通機関の中では地下鉄の対ミサイル安全性は高いと思うのだが。政府の要請で想定されていた訓練でも行ったのであろうか。北方領土にもかすらない方向に発射されたミサイルだというのに。
『産経新聞』、「北ミサイル 東京メトロが運転見合わせ 初の措置 車内に動揺、若い女性『こんな車内放送初めて』」, https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170429-00000505-san-soci
<追記>
動画に字幕を付けた。実は、4月15日の「閲兵式」の時から気になっていたのだが、「党軍」がこれからのキーワードになりそうな気がしている。これまでも使われたワードではあるが、「閲兵式」の時も人文字で大きく「党軍」と描かせていた。そして、今回の「示威」に至っては、聞き逃しがなければ、「先軍」は使われておらず、「党旗を第一軍旗とし」とか締めくくりでも「党軍として」と、「党軍」を強調している。
以前のこの種の訓練と比較する必要があるが、「砲兵局長」の「閲兵報告」も、「敬愛する最高司令官同志」と軍向けの肩書きだけではなく、「党委員長」はよいとし、「国務委員会委員長同志」とも言わせている。
「外交委員会」の復活とも合わせ、これまでも拙ブログで何回か書いてきた、「先軍」から「先党」へのシフトを国際情勢の影響を受けつつ、進めているような雰囲気が感じられる。
**************
28日、現在放送中。見応えあり。「前例ない規模」と。
경애하는 최고령도자 김정은동지를 모시고 진행된 영웅적조선인민군창건 85돐경축 조선인민군 군종합동타격시위 주체106(2017).4.25
日本語字幕付き。
Source: KCTV, 2017/04/28
27日、「人民軍合奏団公演」放送中。軍歌を聞くには良い。
「モランボン」がない代わりに、頑張っている女声コーラス。
日本語字幕付き。
Source: KCTV, 2017/04/27
26日の「中国外交部定例記者会見」で、唐山港に入港した北朝鮮貨物船について質問が出された。中国報道官は、「中国は安保理決議を遵守している」とした上で、「入港したとしても、それは船員に対する食料提供など、人道的支援のため」としている。
石炭を扱う埠頭に、北朝鮮船籍船が入港している様子は、2月19日以降もMarine Trafficで確認されているが、実際に何をしているのかは分からない。中国側のこうした回答は想定されていたが、一つ奇妙なことは、中国が石炭輸入中止を発表した後も、北朝鮮貨物船が竜口などに向かい、長期間港外で停泊されられた後、入港を許可され、北朝鮮に戻って行っていることである。過去記事でも紹介したように、鉄鋼やその他の貨物を扱う埠頭を見ていると、北朝鮮船籍船は、そのまま入港しているか、順番待ちで数日、港外で停泊した後に入港している。したがって、中国側は、明らかに積荷により扱いを分けていることが分かるが、輸入中止発表後も北朝鮮が石炭積載船を出港させているとすれば、その意図が今一つ分からない。
中国外相王毅が、安保理会合に参加するために金曜日から訪米する。米国務長官ティラーソンとの会談については、未定と。
Ministry of Foreign Affairs of the PRC, Foreign Ministry Spokesperson Geng Shuang's Regular Press Conference on April 26, 2017, http://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/t1457082.shtml
2017年4月27日、8時15分頃の唐山港。港外に停泊させられていた北朝鮮船籍船はいなくなっている。

Source: Marine Traffic, 2017/04/27 0815JST
過去記事で使った2017年3月20日の唐山港。黄色くマークされているのが北朝鮮船籍船。

Source: Marine Traffic, 2017/03/20
ざっと見た限り、北朝鮮に向かう船は見えないので、帰港済みなのかも知れない。
26日、「朝鮮中央TV」で靖国参拝と強制連行を糾弾する「声明」か「談話」が流れた。しっかり確認していないが、直近で靖国を参拝したのは、日本総務相の高市だけだと思う(21日)。高市ごときの参拝で、今更大騒ぎする必要もないと思うのだが、北朝鮮としては、既に中国を自分の側にした対話モードに入った牽制球の可能性がある。
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朝鮮強制連行被害者、遺族協会スポークスマン談話
조선인강제련행피해자,유가족협회 대변인담화
最近、高市総務相をはじめとした「みんなで靖国神社を参拝する国会議員の会」所属の自民党と民進党、日本維新の会などの日本右翼政治家共が、再び靖国神社を集団的に参拝することで、国際的物議を醸している。
최근 다까이찌총무상을 비롯하여 《모두가 야스구니진쟈를 참배하는 국회의원모임》에 소속된 자민당과 민진당,일본유신회 등의 일본우익정객들이 또다시 야스구니진쟈를 집단적으로 참배함으로써 국제적물의를 일으키고있다.
靖国神社参拝は、「国家のために貴重な命を捧げた英霊たちに尊敬の意を表す問題」だの、「日本の内政に関する問題」だのという、時代錯誤的であり、犯罪的な思考方式に浸かった右翼政治家共は、アジア諸国から強力な反発を引き起こすことを明白に認識しながらも、公然と集団参拝を断行したのである。
야스구니진쟈참배는 《국가를 위해 귀중한 목숨을 바친 영령들에게 존경의 뜻을 표하는 문제》라느니,《일본의 내정에 관한 문제》라느니 하는 시대착오적이며 범죄적인 사고방식에 물젖은 우익정객들은 아시아나라들로부터 강력한 반발을 초래하게 되리라는것을 뻔히 알면서도 공공연히 집단참배를 단행한것이다.
いったい、靖国神社参拝問題が、日本内政に限った問題と言えるのであろうか。
과연 야스구니진쟈참배문제가 일본내정에 한한 문제라고 할수 있겠는가.
広く知られているように、靖国神社には日本が引き起こした侵略戦争の元凶であるトップ戦犯共の位牌がある。
널리 알려진바와 같이 야스구니진쟈에는 일본이 일으킨 침략전쟁의 원흉인 수급전범자들의 위패가 있다.
そして、日本が引き起こした侵略戦争を公然と美化し、ついには「アジアを解放するための戦争」だったという、話にもならない文まで張られているという。
그리고 일본이 일으킨 침략전쟁을 공공연히 미화하고 심지어 《아시아를 해방하기 위한 전쟁》이였다는 얼토당토않은 글까지 나붙어있다고 한다.
彼らが口を極めて賞賛している「国家のために命を捧げた英霊たち」とは、我が国をはじめとしたアジア諸国人民を塗炭に陥れた侵略者、略奪者、殺人放火者共であり、国の独立のために戦った愛国者たちを無残に虐殺した死刑執行人共である。
그들이 극구 찬양하고있는 《국가를 위하여 목숨바친 영령들》이란 우리 나라를 비롯한 아시아의 여러 나라 인민들을 도탄에 빠뜨린 침략자,략탈자,살인방화자들이고 나라의 독립을 위하여 싸운 애국자들을 무참히 학살한 교형리들이다.
日本反動共の執拗な靖国神社集団参拝騒動は、歴史の尊厳な審判を受けた殺人魔共を持ち上げ、朝鮮に対する再侵略野望を必ずや実現しようという日本反動政治家共の軍国主義狂気の発露である。
일본반동들의 집요한 야스구니진쟈집단참배놀음은 력사의 준엄한 심판을 받은 살인마들을 추어올리고 조선에 대한 재침야욕을 기어이 실현해보려는 일본반동정객들의 군국주의광증의 발로이다.
これは、正義と平和、人権に対する全面的挑戦であり、過去の被害者を冒涜する醜悪な反人倫犯罪である。
이것은 정의와 평화,인권에 대한 전면도전이며 과거피해자들을 모독하는 추악한 반인륜범죄이다.
今も、日本とアジアの各地域には、見ず知らずの外国の地に奴隷労働と戦争傭兵として連れて行かれ、目を閉じることもできず、無念に犠牲になった数多くの朝鮮人の遺骨が放置されている。
지금도 일본과 아시아 여러 지역에는 낯설고 물설은 이역땅에 노예로동과 전쟁대포밥으로 끌려가 눈도 감지 못하고 억울하게 희생된 수많은 조선사람들의 유골이 마구 내버려져있다.
我々は、戦犯者の末裔共として、先祖たちの蛮行で罪の意識を感じ、反省するどころか、歴史を歪曲し、過去の被害者を冒涜し、彼らの無念な傷を二重三重に切り刻む日本反動執権層の無分別な盲動に対し、噴出する憤怒を禁じ得ず、全ての過去の被害者と犠牲者の名でこれを激烈に断罪糾弾する。
우리는 전범자의 후예들로서 선조들의 만행에서 죄의식을 느끼고 반성할 대신 력사를 외곡하고 과거피해자들을 모독하며 그들의 아물지 않은 상처에 2중3중의 칼질을 하는 일본반동집권층의 무분별한 망동에 대하여 치솟는 분노를 금치 못하면서 전체 과거피해자들과 희생자들의 이름으로 이를 준렬히 단죄규탄한다.
過去の犯罪を正当化し、時代の流れに逆行している日本反動共は、自滅を免れることはできない。
과거의 범죄를 정당화하고 시대의 흐름에 역행하고있는 일본반동들은 자멸을 면치 못할것이다.
2017年4月26日 平壌
주체106(2017)년 4월 26일
평 양(끝)
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25日、「中国外交部定例記者会見」で、6者協議の中国首席代表の武大偉が25日に訪日すると報道官が述べた。現時点では既に日本におり、日本の当局者と会談をしているはずである。
北朝鮮が核実験をするのではないかと騒がれていた25日に来日を決めていたとすると、中国は北朝鮮が実験に踏み切らないという確信があったのであろう。
それを示すかのように、記者が「北朝鮮は今のところ(25日の定例記者会見時点)で核実験をしていないが、中国が何らかの要請をしたの」と質問をしたのに対し、報道官は「何も起こらなかったのでガッカリしているようですね(笑い)。中国には、『不安定になることばかり見たがる人がいる』という言葉があるが、あなたの質問からして、あなたはそのような人のようですね」と揶揄し、「中朝間の外交関係は正常であり、外交チャンネルもスムーズに機能している」と答えている。
昨日、米韓の北朝鮮問題大使も来日しており、「トランプの全てのカードをテーブルに置く」措置を歓迎する話をしたようだが、武大偉は、その結果と今後について提案するものと思われる。
昨日の記事にも書いた通り、今までのところ米国が「全てのカードを置く」、中国の強い圧力、北朝鮮のプチ反発と自制と流れとしては、よい流れだと思う。「全ての選択肢」で喜んでいないで、この流れを継続していくような提案を武大偉がするのか、結果を早く知りたい。武大偉の数日間、滞在するとのことなので、突っ込んだ話し合いが行われることに期待する。
Ministry of Foreign Affairs of the PRC, Foreign Ministry Spokesperson Geng Shuang's Regular Press Conference on April 25, 2017, http://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/t1456730.shtml
25日、「朝鮮中央TV」で、「首領様誕生105周年慶祝閲兵式・群衆示威」が放送された。昨日、見ながら書いた通り、15日に放送された映像が編集されている。大きな違いは、朴永植らがのった閲兵車両(黒いメルセデス)に装着された小型カメラの映像が使われている点である。15日に書いた記事に書いたかは記憶にないが、この小型カメラは気になっていた。しかし、15日夜の「録画実況」(その後、同じ映像で16日、17日にも放送)の中では使われていなかった。しかし、25日の「建軍節」バージョンでは、このカメラで撮影された映像が使われている。
番組を紹介する放送員も異なる。
15日

Source: KCTV, 2017/04/15
25日

Source: KCTV, 2017/04/25
車両搭載小型カメラで撮影された映像

Source: KCTV, 2017/04/25
今、崔龍海の演説が始まるところまで比較しながら見ているところだが、他にも何かあれば追記する。
新バージョン。字幕無し。
Source: KCTV, 2017/04/25
アナンスは同じでも映像が異なる例。

Source: KCTV, 2017/04/25(左)、2017/04/15(右)
自慢の兵器を反対側のカメラで撮影した映像と差し替えている例。

Source: KCTV, 2017/04/25(左)、2017/04/15(右)
26日、「朝鮮中央通信」に表題の記事。詳細追って。「訓練」ではなく、「示威」だった。確かに、名実共に「示威」なのだろうが。
訓練開始は、潜行した潜水艦が「敵艦船」に魚雷攻撃するところから始まったようだ.当然、仮想「敵艦船」は、カールビンソンということになろうが、どのような仮想目標を作ったのかを写真で見るのが楽しみだ。その後、海岸数キロにわたり並べられた大砲などから、一斉射撃が行われるというのが大体の流れだった模様。この映像、「示威」と言っているほどなので、今日の「革命活動」報道の中で、動画で登場するのではないかと思う。
訓練が行われた場所に「元帥様」は飛行機で到着となっているので、久々に「オオタカ1号」が飛来するシーンから見せるのかも知れない。また、「戦線東部」と言っているが、長い海岸に隣接した空港で、「監視所」等の施設が完備されているのは、以前、Google Earthでその整備状況の進展を確認した、カルマ飛行場以外にないと思うので、恐らくカルマ飛行場であろう。
記事の終わりの方で「我々の貴重な社会主義制度をあれこれしようと狂奔する米帝と汚い追従勢力共の頭上に容赦ない懲罰の火の夕立を降らせ」としており、「追従勢力」を「汚い」と形容している。毎度の追従勢力日本であれば、「汚い」と敢えて書くことはなかったという印象があるが、この「汚い」は、北朝鮮から見れば見方(北朝鮮)を裏切って、「米国の手拍子で踊って」いる「汚い」裏切り者、中国を指しているのであろう。仮想カールビンソンへの魚雷攻撃と、この「汚い」が、今回の「示威」の最大の目的だったものと思われる。
とはいえ、この「目的達成」で、4月の核・ミサイル実験を断念したのであれば、それこそが米中のみならず、周辺国の「目的達成」となったことも間違いない。
「汚い」と言われた中国は、5月から2便に減便するも、中国国際航空の北京-平壌便の運航を再開するというニュースが流れている。「利用者減少」を理由にしていたので、一応減便しておき、「ご褒美」に運航再開ということであろう。
『時事通信』、「中国航空大手、平壌便の運航再開へ」、https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170425-00000105-jij-cn
<追記>
『労働新聞』の写真が公開された。
「敵艦船」は島だった。

Source: 『労働新聞』、「우리 인민군대는 수령결사옹위군, 혁명적당군의 력사와 전통을 대를 이어 빛내이며 전진하는 사회주의조국을 총대로 굳건히 지켜갈것이다 경애하는 최고령도자 김정은동지께서 영웅적조선인민군창건 85돐경축 조선인민군 군종합동타격시위를 보시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2017-04-26-0001
「数キロ並べられた大砲」

Source: 『労働新聞』、「우리 인민군대는 수령결사옹위군, 혁명적당군의 력사와 전통을 대를 이어 빛내이며 전진하는 사회주의조국을 총대로 굳건히 지켜갈것이다 경애하는 최고령도자 김정은동지께서 영웅적조선인민군창건 85돐경축 조선인민군 군종합동타격시위를 보시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2017-04-26-0001
<追記>
1回目の報道は静止画のみであった。
場所はやはりカルマ飛行場。
目標とされた島の過去の写真。2015年7月28日

Source: Google Earth, 2015/07/28
同上、2016年2月27日。

Source: Google Earth, 2016/02/27
同上、2016年9月21日。

Source: Google Earth, 2016/09/21
今回は、上の写真以上に砲弾を撃ち込まれたはずである。
「朝鮮中央TV」25日の最後の報道、「今日の報道中から」で、「朝鮮人軍協奏団」公演があったと報じられた。「建軍節」の直接的な音楽公演は、とりあえずこの公演となると思う。崔龍海ら、党幹部が観覧しているが、「元帥様」は観覧無し。
明日、「朝鮮中央TV」で、「敬愛する最高領導者同志金正恩同志がXXX砲兵訓練を現地で指導された」というニュースが流れると思うが、韓国メディアによると「最大規模」とのことなので、訓練の成果を讃えて、この参加者と共に「モランボン」あるいは「青峰」の公演を観覧する可能性はある。
核・ミサイルの代わりの訓練なので、さぞかし大々的に実施し、大々的に宣伝するはずである。その系では、楽団公演が続いても不思議ではない、と期待しておこう。
25日、10時45分(日本時間)現在、「朝鮮中央TV」は通常放送中。「建軍節」によく流す、「モランボン楽団」の軍歌メドレーを流し、「建軍85周年中央報告会」の「録画実況」。
現時点で実験もなく、「重大報道」予告もないので、25日は無事に終わりそうだ。
<追記>
「首領様誕生105周年閲兵式・群衆示威」再放送中。「建軍節」関連の別行事はないようだ。
<追記2>
上記、再放送と書いたが、もしかすると再編集されているかもしれない。生中継が見られていないので何とも言えないが、当日、再放送された映像には使われていない(と思われる)、車両に掲載された小型カメラの映像が使われているようだ。
24日の中国外交部の定例記者会見で、拙ブログで取り上げた「他人の拍子で踊るのがそれほど良いのか」について質問が出されたが、報道官は「関係国は中国の立場を知っているはずだ」とのみ回答。中国としては内心穏やか出ないだろうが、それを軽くいなしているところもスマートだといえる。
そして、やはり24日朝には、トランプと習近平が電話会談を行っている。米中トップが、これほど頻繁に、しかも公然と行うのは米中関係でもこれまでなかったことであろう。一つは、朝鮮半島情勢がそれほど緊張しているということもあろうが、ビジネスマン・トランプのフットワークの軽さ(軽薄さの裏返しともいえるが)が肯定的に機能しているのだと思う。定例記者会見では、どちらから電話を掛けたのかは明らかにされていないが、恐らく1度目同様、トランプ側から習近平に電話をしたのだと思う。
こうした、米中の緊密な関係が北朝鮮を苛立たせ、そして心配させ、「他人の拍子で踊るのがそれほど良いのか」というような論評を出させるに至ったことは容易に想像できる。逆にいえば、中米の緊密な連携は北朝鮮に対する大きな圧力になっていることは間違いない。トランプが熟考した結果であるとは決して思えないが、少なくとも今、この記事を書いている時点までは、軍事行動をちらつかせておきながら、中国とも連携を取るという今回のやり方は機能しているといえる。
気の毒なのであまり書きたくないが、自慢げにトランプと電話で話したと言っている日本首相は、今回の事態に関しては、道化に過ぎない。事実上、何もできないのだから、当然のことである。しかし、今後事態が、戦争という悪い方向に進んでも、対話という良い方向に進んでも、日本が大きな影響を受けることは間違いない。悪い方向に進んでも、日本はほとんどなすすべがないが、良い方向に進めば、色々な意味で日本には大きな期待が掛けられることは間違いない。日本首相が賢明であるなら、拉致被害者帰国の問題も含めて、その時のことを色々考えておく必要がある。
一方、トランプは韓国には電話をしなかったようだ。韓国の政治権力が空白状態にあることが大きな理由であろうが、最大の当事者が、政治レベルで蚊帳の外に置かれているのは、これまた気の毒だと思う。しかし、軍事レベルでは相当に緊密な連携をしているであろうし、米国としてもしなければならない状況にある。韓国でどのよう大統領が誕生しようが、悪い方向に進めば高い確率で最大の悲劇になるだろうし、良い方向に進めば、日本以上に大きな期待が掛けられる。
その北朝鮮、何かやるのかというと、今の実感としては、「白頭山青年大国」の青年が「500万核爆弾」になるという決意を示すだけで終わるような気がしているし、そうなることを願っている。
*「白頭山青年大国は、500万核爆弾となり、侵略者、挑発者を無慈悲に撃滅掃討する-金日成-金正日主義青年同盟中央委員会スポークスマン声明 (백두산청년대군은 500만핵폭탄이 되여 침략자, 도발자들을 무자비하게 격멸소탕해버릴것이다 김일성-김정일주의청년동맹 중앙위원회 대변인성명)」
そんななか、25日のGlobal Timesに「平壌は賢明に一歩引き下がるのか?(Will Pyongyang be wise to take a step back? )」という記事が掲載された。
今は時間がないので翻訳を掲載することができないが、一言で言うと、習近平-トランプ電話会談で中米の緊密な関係をPRしつつ、習近平が平和的な解決をトランプに求めているにもかかわらず、北朝鮮が6回目の核実験を強行すれば、米国が北朝鮮の核施設を攻撃、それに対して北朝鮮がソウル攻撃で報復、米韓が「斬首作戦」で報復、北朝鮮指導部崩壊というシナリオを提示しつつ、そうなるところまでは中国は黙認するということを暗示し、最後の方で、北朝鮮の「一心団結」を称賛しながら、「柔軟に対応することも学ばなければならない」と諭している。
実に、よく書けた「社説」だと思う。追って、関連部分を訳出しておくことにする。
Global Times, Will Pyongyang be wise to take a step back?, http://www.globaltimes.cn/content/1043950.shtml
22日、「朝鮮中央通信」に「新世代に軍国主義の亡霊を吹き込む日本反動共の盲動は絶対に容認できない-朝鮮民主主義人民共和国教育委員会スポークスマン談話-」が掲載された。
「教育勅語」に対する非難は「森友学園」が登場した記事で紹介したが、今回は「銃剣術」と「我が闘争」にも触れている。
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새 세대들에게 군국주의망령을 불어넣는 일본반동들의 망동은 절대로 용납될수 없다
--조선민주주의인민공화국 교육위원회 대변인담화--
これと時を共にし、日本の中学校で銃剣術を必修科目として教えるようにし、ファッショ独裁凶ヒットラーの著書という「我が闘争」を教材と指定使用するようにし、世の人々を驚愕させている。
이와 때를 같이하여 일본의 중학교들에서 총검술을 필수과목으로 배워주게 하고 파쑈독재광 히틀러의 자서전이라고 하는 《나의 투쟁》을 교재로 사용하게 하여 세인을 경악케 하고있다.
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若干の事実誤認と誇張はあるが、「銃剣術」と「我が闘争」は、「世の人々を驚愕させている」というのは事実だと思う。
23日、uriminzokkiriにアップロードされた動画。全体としては、毎度おなじみの対米対決戦→朝鮮の勝利という「詩」だが、「誰それと共に高強度制裁と圧迫」を北朝鮮に科すと言っている。「誰それ」は、もちろん中国。
日本語字幕付き。
Source: uriminzokkiri, 2017/04/23
22日のGlobal Timesに「北朝鮮核問題の現実的解決策が必要である」と題する「社説」が掲載された。これまでも、Global Timesでは、中国の立場について表明をしていたが、この「社説」では、「この場合はどうする」という形式で、今後の状況に中国がどのように対応するかが書かれている。以下、関連部分を抜き出して訳しておく。
Global Times, Realistic solution needed for NK nuke issue, http://www.globaltimes.cn/content/1043646.shtml
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北朝鮮核問題の現実的解決策が必要である
Realistic solution needed for NK nuke issue
北朝鮮の核問題は、基本的に北朝鮮と米国・韓国との問題であるが、平壌の核活動は中国を危険に晒してはならない。北朝鮮の核実験場は中国東北部に近いので、平壌は核実験により放射能漏れや放射能汚染を引き起こし、中国東北部に住む中国人に健康被害を出さないことを保障しなければならない。万が一、この一線を越えれば(中国人に健康被害が出たら)、北京はいかなる対応もするであろうし、北朝鮮の核野望に対処することに中国は関与せざるを得なくなるであろう。
The nuclear issue is essentially one that exists between North Korea and US / South Korea, but Pyongyang's nuclear activities must not jeopardize China. As North Korea's nuclear test site sits close to Northeastern China, Pyongyang must make sure its nuclear endeavors will not result in leakage or pollution that could jeopardize the health of the Chinese living in the region. If this line is crossed, any reaction from Beijing could be possible, and would inevitably alter China's involvement in handling North Korea's nuclear ambitions.
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北朝鮮の核実験の結果、中国人に健康被害が出るという中国による想定はこれまであまり聞かなかった。もちろん、東北部の人々からはそのような話は聞いたことがあるが、「公式メディア」にそのようなことが書かれたことはあったのだろうか。これまで、北朝鮮は、核実験をやるたびに「周囲への影響は一切なかった」という事後報告を出しており、中国もそれを否定するようなことはしなかった。ただ、2016年の核実験の際、延吉の学校の校庭にひび割れができたとか、陥没したという話は、地元の延辺大学の先生から伝わってきている。恐らく、そうした小規模な物的被害は北朝鮮の核実験のたびに発生しており、場合によっては潜在的な健康被害も発生しているのかもしれない。恐らく中国は、北朝鮮が6回目の核実験をやれば、健康被害が出ても出なくても、健康被害が出たとして、北朝鮮を強く非難することになろう。これは、その警告と受け止められる。
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次回の核実験には中国東北部に対する潜在的危険性が存在するので、安保理の枠組み内で科されている中国の制裁は強化され、北朝鮮に対する石油輸出は劇的に削減されるであろう。
As the upcoming nuclear test could potentially be hazardous to Northeastern China, sanctions imposed by Beijing within the United Nations framework will increase, thus dramatically decreasing the amount of petroleum exported to North Korea.
中国の石油輸出削減は、輸出を完全に停止するものではないということを認識しておくことは重要である。北京は、朝鮮人民が人道的な災難を経験すべきではないということを確認するであろう。北朝鮮への石油供給の削減量は、国連安保理で決定されるべき問題である。
It is important here to keep in mind that a heavy reduction in petroleum export does not mean completely turning off the supply. Beijing will make sure the people of North Korea will not have to experience a humanitarian disaster. What the reduced amount of petroleum to North Korea should be is a question to be decided by the UN Security Council.
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過去記事にも書いたが、北朝鮮が6回目の核実験を実施すれば、中国が北朝鮮に対する石油供給を最低でも「削減」することは規定の路線となっていることが分かる。中国も、北朝鮮への石油供給を完全に遮断すれば、北朝鮮の人民生活に大きな影響が出ることは知っているので、完全遮断は考えていないようだ。それにもかかわらず、削減量については「安保理で決定されるべき問題」としており、中国は独自の基準で削減量(逆に言えば供給量)を定めるのではなく、安保理の決定に従うことを明示している。安保理の議論の過程で、削減量について中国は独自の設定値を主張すると考えられるが、それでも国際的に容認される、特に米国に容認される削減量となるはずなので、北朝鮮にとって厳しい数値となることは間違いない。
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平壌の妥協のない核計画が続き、結果としてワシントンが北朝鮮の核施設に対する軍事攻撃をする場合、中国はそうした行動に対して外交チャンネルを通じて反対するが、軍事行動で関与することはない。
Pyongyang's unwavering pursuit of its nuclear program continues and Washington launches a military attack on North Korea's nuclear facilities as a result, Beijing should oppose the move by diplomatic channels, rather than get involved through military action.
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この一文中国は、米国による北朝鮮の核施設に対する限定攻撃が、中朝友好協力相互援助条約で定めるところのトリップ・ワイヤー(自動関与)には繋がらないことを明言している。つまり、2国間協定よりも、行動としては米国の単独行動であっても、中国も含む北朝鮮の核活動に反対するという国際的合意を優先するという立場の表明である。北朝鮮は、米国が単独行動で北朝鮮を攻撃した場合、少なからず中朝友好協力相互援助条約が機能することを考えているであろうが、中国は米国の行動を事実上、黙認すると言っているのと同じである。トランプ政権にとっては、中国との軍事的衝突を心配することなく、北朝鮮を攻撃できるお墨付きを得られたといえる。
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しかし、米国と韓国の軍隊が軍事分解線を越えて、平壌政権を全滅させることを直接的な目的として地上侵攻するならば、中国は独自の警鐘を鳴らし、直ちに軍事的対応を備える。北京は、平壌政権が外国軍により転覆させられるのを絶対に座視することはしない。また、それが行われていない時点で、北京はワシントンとソウルに明確に中国の総体的立場を迅速に表明する。
However, if US and South Korea armed forces cross the Korean Demilitarized Line in a ground invasion for the direct purpose of annihilating the Pyongyang regime, China will sound its own alarms and ramp up their military immediately. Beijing would never sit back and watch foreign military forces overthrow the Pyongyang regime. If it has not done so already, Beijing will rather quickly illustrate their overall position in a clear fashion to both Washington and Seoul.
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しかしながら、中国は米軍が鴨緑江まで北上するという朝鮮戦争の悪夢は決して望んでいない。その悪夢が再発しないようにするためには、北朝鮮政権は必要で、米韓がその悪夢を再現しようとすれば、中国は朝鮮戦争の時のように北朝鮮と共に米韓と戦い、38度線まで米韓両軍を押し戻すことを想定していることを示している。中国的に「平壌政権」がなんであっても必要なわけで、現政権である必要はないはずだし、もっと中国が扱いやすい政権になって欲しいと考えているはずであるが、現実的に「白頭の血統」政権以外は考えられないので、それを転覆させることには明確に反対していることが分かる。
23日、11時半(JST)頃から、『服務の足跡』の再放送をしている。初回は、2016年12月25日。韓国統一部のDBでは、その後の放送がないので、今回が2回目だと思う。
「ガス車」開発と淡い恋のストーリー。初回放送に日本語字幕を付けてアップロードしてある。残念ながら、初回放送では、「淡い恋」の一番良いシーンで画像が乱れてしまっている。
Source: KCTV, 2016/12/25、 2017/24/23再放送中
「淡い恋」シーンだけはこちら。女軍医役は「東海紀行」シリーズにも出ていた女優、ベク・ソルミ。
Source: KCTV, 2016/12/25、 2017/24/23再放送中
23日、「朝鮮の今日」に掲載された動画。大した内容ではないが、「米帝の牙城」を「打撃」するようなCGシーンがある。
日本語字幕付き。
Source: 朝鮮の今日、2017/0423
23日、『労働新聞』などの北朝鮮メディアが「元帥様」が「豚工場」を「現地指導」したと報じた。「朝鮮中央TV」を見ていたら、ぶら下げられた豚の中に「元帥様」が立っている、とても危ない写真があった。『労働新聞』には出ていなかったで、次回、「朝鮮中央TV」で「革命活動」の再放送があったら、キャプチャして紹介するつもりであるが、まず間違いなく「最高尊厳」を毀損するようなコメントが付けられて流布されることになる写真になってしまうと思う。

Source: KCTV, 2017/04/23
それはさておき、今、同TVで「必勝の信念」という「朝鮮記録映画」を放送しているが、その中で繰り返し言っているのは、「米帝」との熾烈な対決戦の中でも、「首領様」が経済部門の「現地指導」を続けたという話である。
このタイミングで、「元帥様」が「豚工場」を「現地指導」しているのも、こうした「首領様」の伝統を意識したものであろう。この映画だったかは記憶が定かではないが、「米帝」との超緊張状態の中、バレーボールだったかサッカーだったかは忘れたが、スポーツ大会を「首領様」だったか「将軍様」が開かせたというエピソードもある。この映画に出てきたら、追って紹介することにする。
『労働新聞』、「경애하는 최고령도자 김정은동지께서 조선인민군 항공 및 반항공군 4월22일태천돼지공장을 현지지도하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2017-04-23-0001
「我々は、明日、戦争が起こるにしても、今日夜12時までは建設を続けなければならない」という「首領様」の名言とともに紹介される画面。

Source: KCTV, 『必勝の信念』、2017/04/23
22日、uriminzokkiriにアップロードされた動画。核実験施設、「プンゲリ」での「バレーボール写真」が少し前に話題になったが、なぜ、米国の商業衛星が通過するタイミングにバレーボール大会をやったのかは、この動画を見れば分かる。「度胸」と「余裕」、そしてその背景には「アジアロケット盟主国+一心団結」があると説明している。
日本語字幕付き。
Source: uriminzokkiri, 2017/04/22
22日、「朝鮮中央通信」に中国を名指しにこそしていないが、相当に辛辣に批判する記事が掲載されていた。以下、全訳。
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他人の拍子で踊るのがそれほど良いのか
남의 장단에 춤을 추기가 그리도 좋은가
(平壌4月21に日発、朝鮮中央通信)
(평양 4월 21일발 조선중앙통신)
21日、発表された論評「他人の拍子で踊るのがそれほど良いのか」の全文は次のとおりである。
21일 발표된 정필의 론평 《남의 장단에 춤을 추기가 그리도 좋은가》의 전문은 다음과 같다.
最近、我々の周辺国で米国が朝鮮半島水域に前例ないほど膨大な戦略兵力を持ち込みながら、情勢を戦争直前へと推し進めていることについて一言も言えず、それに対処した我々の自衛的措置に関連しては「必要な措置」だの、「転換的水準の反応」だのと言いながら、我々を何とかしようと公開的に威嚇する言葉が飛び交っている。
최근 우리 주변국에서 미국이 조선반도수역에 전례없이 방대한 전략자산들을 끌어들이면서 정세를 전쟁접경에로 몰아가는데 대해서는 말 한마디 못하고 그에 대처한 우리의 자위적조치들과 관련하여서는 《필요한 조치》요,《전환적수준의 반응》이요 뭐요 하면서 우리를 어째보겠다고 공개적으로 위협하는 말들이 튀여나오고있다.
特に、今後、我々が誰それの「経済制裁」に耐えることができないと言いながら、私ども(訳注:謙譲語、「わたくしども」)との関係がどれほど重要なのかを再度考慮しなければならないだの、我々に安全を保障する経済復興に必要ない支持と協力を提供するだのと言い、減らず口をたたいている。
특히 앞으로 우리가 그 누구의 《경제제재》에 견디지 못할것이라고 하면서 저희들과의 관계가 얼마나 중요한가를 재고려해보아야 한다느니,우리에게 안전을 보장하고 경제부흥에 필요한 지지와 방조를 제공할수 있다느니 하고 너스레를 떨고있다.
4月18日には、公式メディアを通して、我々が核・ミサイル計画を推進したことにより、過去、敵であった米国を自分たちの協力者にしたと言っているが、そうであるならば我々は今後、彼らをいったいどう呼ぶべきで、どのように対応しなければならないだろうか。
4월 18일에는 공식언론을 통하여 우리가 핵,미싸일계획을 추진한것으로 하여 지난 시기 적수였던 미국을 저들의 협조자로 만들었다고 하는데 그렇다면 우리는 앞으로 그들을 과연 무엇이라고 불러야 하며 어떻게 대하여야 하겠는가.
我々の自衛的核抑止力は、国と民族の自主権と生存権を守るため、我々軍隊と人民が腹を減らしながら作ったものであり、絶対に何かと交換するためのものではない。
우리의 자위적핵억제력은 나라와 민족의 자주권과 생존권을 지키기 위하여 우리 군대와 인민이 허리띠를 조이며 마련한것으로서 결코 그 무엇과 바꾸어먹기 위한 흥정물이 아니다.
我々は、今まで経済制裁の中で生きてきたが、ひたすら自分の力で、我々が選択した正義の道を力強く前進してきた。
우리는 지금까지 경제제재속에서 살아왔지만 오직 자기 힘으로,우리가 선택한 정의의 길로 힘차게 전진해왔다.
弱肉強食が闊歩する今日の現実は、我々が信じられるのは、ただ自分の力だけであり、自力自強による道だけが生きる道であるという哲理を再び骨に刻ませている。
약육강식이 판을 치는 오늘의 현실은 우리가 믿을것은 오직 자기 힘뿐이며 자력자강에 의거하는 길만이 살길이라는 철리를 다시금 뼈속에 새겨주고있다.
万が一、彼らが我々の意思を誤って判断し、誰それの拍子に合わせて踊り続けながら、我々に対する経済制裁にしがみつくのであれば、我々の敵共からは拍手喝采されるかも知れないが、我々との関係に与える破局的結果も覚悟しなければならない。
만일 그들이 우리의 의지를 오판하고 그 누구의 장단에 춤을 계속 추면서 우리에 대한 경제제재에 매여달린다면 우리의 적들로부터는 박수갈채를 받을지 모르겠지만 우리와의 관계에 미칠 파국적후과도 각오해야 할것이다.
我々は、敬愛する最高領導者同志の周りに固く団結し、我々の力で国の尊厳を守り、人民の楽園を建設する。
우리는 경애하는 최고령도자동지의 두리에 굳게 뭉쳐 우리의 힘으로 나라의 존엄을 지키고 인민의 락원을 일떠세울것이다.(끝)
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「わたくしども」という表現を敢えて使っていることからして、相手を見下していることが分かるが、中国だろうか。「18日の公式メディア」がポイントとなるので、『人民日報』などを調べてみる。
<追記>
『人民日報(日本語版)』を見る限り、18日には「外交部、朝鮮半島問題の平和的解決への米国の積極的役割を歓迎」しかない。このやりとりについては、中国外交部定例記者会見で読んでいたが、北朝鮮が怒るほどのことはいっていない。ロシアのTASSも調べてみたが、それらしい記事はない。継続調査。
<追記2>
拙ブログに貴重な情報を提供して下さる、中国語を解される方より情報を頂いた。コメント欄にも出ているが、頂いたコメントをそのままこちらに掲載しておく。まさに、上の北朝鮮の反応は、この『環球時報』の「社説」を受けてのものだと思う。
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ネット上に18日0時54分(中国時間)のタイムスタンプで公開されている「環球時報」の社説にかなり近い表現があります。
http://opinion.huanqiu.com/editorial/2017-04/10491881.html
「社评:中美半岛合作界限在哪,重点为何?(=社説 中米の半島での協力 限界どこに 重点は?)」
最後の方ですが、当該パラグラフのみ訳してみます。その上段では、「米国が軽度の軍事行動だけを起こせば、米国は報復としてソウル市が被害を受ける可能性を考慮せざるを得ないだろうが、朝鮮の政権が崩壊するほどの軍事行動を起こすならば、人民解放軍は軍事的対応をせざるを得ない」といったことが書かれています。
なるほど、朝鮮半島の問題は全くそれだけもつれているのだ。それでも、朝鮮の核保持に反対することは中米両国の共同の利益であり、かつ、今この瞬間には、その共同の利益は非常に目立つようになってきている。平壌が独断専行する核ミサイル計画によって、中米という朝鮮半島における往年の相手役が協力者に変わったのであり、朝鮮が盲進を継続するのにつれて、中米はどちらも、より多くの制裁手段を行使するのを免れ得なくなるであろう。
不错,朝鲜半岛的问题就是这么纠结。但是反对朝鲜拥核是中美两国的共同利益,而且在此时此刻,这一共同利益变得很突出。是平壤一意孤行的核导计划将中美这两个当年朝鲜半岛上的对手变成了合作者,随着它的继续冒进,中美都使出越来越多的制裁手段将无可避免。
「環球時報」は人民日報系ということなので、一応「公式メディア」には該当するはずです。
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<追記3>
上記のコメントで全てが語られていると思うが、『環球時報』の英語版、Global Timesで英訳された「社説」があるか調べてみたところ該当するものがあった。
Global Times, Boundary line drawn over N Korea nuke issue, http://www.globaltimes.cn/content/1042957.shtml
がそれであるが、
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平壌が国際的な意見をあからさまに無視しながら核開発を続けていることが、朝鮮戦争当時の敵国であった中国と米国を協力者の関係にした。平壌が独自の道を進むことに固執するのであれば、中国と米国は制裁強化をせざるを得ない。
Pyongyang's persistent pursuit of its nuclear program with blatant disregard to world opinions, has turned China and the US, once former enemies during the Korean War, into cooperating partners. If Pyongyang continues to insist on having its own way, then China and the US would inevitably increase sanctions.
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というパラグラフがある(上記は、その一部)。
教えて頂いた中文よりも、さらにダイレクトに北朝鮮の言っていることを反映する部分が上の英文である(翻訳であろうが、英語に訳す過程で、直接的な表現に変えられたのだろうか)。特に、「blatant」という語彙を使っているのは、何年だったか失念したが、北朝鮮が中国の警告を無視して核実験を行ったときに、中国政府が北朝鮮の核実験を非難する声明の中で使った中国語の語彙に通じるものがある。その時、問題にされた中国語の語彙は覚えていないが、「blatant」、「ずうずうしくも」、「あくどくも」といった表現は中文「社説」に入っているのだろうか。
<追記4>
「わたくしども」というのも、中国語の「我们」を敢えて謙譲表現にしているのだと思う。私の限られた中国語の知識では、基本的に中国語に謙譲表現はなく、「我们」は、通常の北朝鮮の翻訳であれば「我々(우리)」と訳すところであろう。それにもかかわらず、「わたくしども(저희)」としているのは、明らかに中国を見下した態度である。なかなか奥が深い。
21日、『労働新聞』に掲載された、オーストラリアを非難する北朝鮮外務省の「回答」。オーストラリアまで北朝鮮のミサイルは到達すると。
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朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマン回答
조선민주주의인민공화국 외무성 대변인대답
朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマンは、オーストラリア外務相が我々を悪辣に避難していることと関連し、21日、朝鮮中央通信社記者が提起した質問に次のように答えた。
조선민주주의인민공화국 외무성 대변인은 오스트랄리아외무상이 우리를 악랄하게 걸고든것과 관련하여 21일 조선중앙통신사 기자가 제기한 질문에 다음과 같이 대답하였다.
少し前、オーストラリア外務相がある番組で朝鮮が地域と世界平和を大きく威嚇しているだの、全ての選択案がテーブルの上にあるという米政権の対朝鮮政策を支持するだのと言いながら、我々の正々堂々たる自衛的措置を云々する妄言を吐いた。
얼마전 오스트랄리아외무상이 어느 한 방송프로에 나서서 조선이 지역과 세계평화를 크게 위협하고있다느니, 모든 선택안이 탁상우에 있다는 미행정부의 대조선정책을 지지한다느니 뭐니 하며 우리의 정정당당한 자위적조치들을 걸고드는 망발을 늘어놓았다.
オーストライラ外務相の妄言は、朝鮮半島に造成されている危険千万な事態の根源である米国の極端な対朝鮮敵対視政策と核威嚇恐喝を庇護し、米国を無分別な軍事的冒険へと扇ぎ立てる反平和的行為であり、絶対に許すことができない。
오스트랄리아외무상의 망발은 조선반도에 조성되고있는 위험천만한 사태의 근원인 미국의 극단적인 대조선적대시정책과 핵위협공갈을 비호두둔하고 미국을 무분별한 군사적모험에로 부추기는 반평화적행위로서 절대로 용납될수 없다.
ワシントンに雲がかかれば、キャンベラでは傘が必要だと言うほどに、米国の政策に盲目的に積極追従するのが、オーストラリアの現政権である。
워싱톤에 구름이 끼면 캔베라에서는 우산을 쓰고다닌다고 할 정도로 미국의 정책에 맹목적으로 적극 추종하는것이 오스트랄리아의 현 정부이다.
こうした政府の外務相の口から正しい言葉が出るはずもないが、それでも一国の外務相であれば、事態の本質に対する初歩的な常識ぐらいは持って口を開くべきである。
이러한 정부의 외무상의 입에서 옳은 소리가 나올리 만무하지만 그래도 한 나라의 외무상이라면 사태의 본질에 대한 초보적인 상식이라도 가지고 입을 놀려야 할것이다.
朝鮮半島情勢が緊張激化の悪循環に陥り、一足触発の危機状態直面しているのは、全的に米国の度重なる核威嚇と時代錯誤的な対朝鮮敵対視政策のせいである。
조선반도정세가 긴장격화의 악순환에 빠져 일촉즉발의 위기상태로 치닫고있는것은 전적으로 미국의 가증되는 핵위협과 시대착오적인 대조선적대시정책때문이다.
オーストラリアが今まで米国の反共和国孤立圧殺策動に追従し続けながら、米国親分の突撃隊として立ち上がれば、我々の戦略軍の核照準鏡内に自ら頭を突っ込むという自滅行為となるだけだ。
오스트랄리아가 지금처럼 미국의 반공화국고립압살책동에 계속 추종하면서 미국상전의 돌격대로 나선다면 우리 전략군의 핵조준경안에 스스로 머리를 들이미는 자멸행위로 될뿐이다.
オーストラリア外務相は、やたらと米国にゴマをする前に、自身が言う言葉がどのような結果をもたらすことになるのかを慎重に考えた方が良い。
오스트랄리아외무상은 무턱대고 미국에 아부부터 하기 전에 자기가 하는 말이 어떤 후과를 가져오게 될것이라는것을 심중히 따져보는것이 좋을것이다.
『労働新聞』、「조선민주주의인민공화국 외무성 대변인대답」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2017-04-22-0030
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21日、トランプがツイッターで、以下。
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中国は北朝鮮にとって、決定的な経済的生命線となっている。簡単でないことではないにしても、やる気になれば北朝鮮問題を解決できるし、中国はやるだろう
Donald J. Trump認証済みアカウント @realDonaldTrump 13時間13時間前
China is very much the economic lifeline to North Korea so, while nothing is easy, if they want to solve the North Korean problem, they will
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米国の単独行動発言が消え、「中国はやる」と確信らしきことも言っているが、その根拠は不明。