「<TV連続劇>ある女党員の追憶 第4部」 (2013年1月29日 「朝鮮中央TV」)
金正恩「演説」の記事を書いていて、こちらの続きを書くのが遅れてしまったが、「ある女党員の追憶 第4部」のストーリーである。
第4部は、党細胞秘書の兄の恋人(フィアンセ)の作業班員と彼女の母との関係を修復する部分から話が展開する。
女性作業班員の母(左)が見合い相手の男性の家を訪問し、娘と引き合わせる約束をする。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-28-25.flv
その様子を見ていた、別の作業班員の女性は見合い相手の男性に全ての事情を話す。この男性は作業班員の母に手紙で「そんなに立派なフィアンセがいるのならば、自分は遠慮をする」と伝える。
この問題は解決し、作業班ではこの話で盛り上がっている。そこに党細胞秘書の兄との問題のために作業班を離れた女性作業班員が「手続きが終了した」と戻ってくる。さて作業に取りかかるのかと思いきや、「サークルの発表会」があるのでその練習をすることになる。これが何時なのかということはドラマでは分からないが、雰囲気からして勤務時間中のようである。
「サークル発表会」の指導をする党細胞秘書

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実に、これこそが金正恩さんが「演説」で言った「細胞秘書は歌も踊りも」ということのようだ。
そこに技術指導員がやってきて、旋盤の出来具合を見ている。党細胞秘書がやってきて、技術指導員が党細胞秘書たちを冒涜したことについて「そのことは忘れましょう」と言う(これも金正恩「演説」の精神にかなう)。

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旋盤製作の作業は進むが、歯の欠けたギアが3つも出てて来てしまう。元小資本家の作業班員は手工業者的な方法でギアを補修しようとするが、技術指導員は大きな工場で補修してもらおう主張する。しかし、作業班長と党細胞秘書の提案で「自分の力で」なんとかすることになる。
折れたギア

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元小資本家が提案した「手工業者」的な補修をするためには、火をおこすための薪が必要ということになり、党細胞秘書以下作業班員の半数が山に木を切りに行く。これも燃料不足を補うために裏山の木を何も考えずに伐採してしまう北朝鮮の現実の一端を表しているのかもしれない。

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この共同作業の過程で技術指導員は細胞秘書に接近し「話があるから今夜会いたい」と話す。
技術指導員は党細胞秘書を約束した場所で待っているが、細胞秘書はやってこない。細胞秘書も伐採のために設営したテントの中で行くべきかどうか悩みながらなかなか寝付けないでいる。

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党細胞秘書の兄が退院して村に戻ってくる。作業班員の女性の母が兄の家を訪れ、それまでの無礼について謝罪をする。その間、作業班員の女性とフィアンセの母は食事の準備をしている。

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党細胞秘書が技術指導員を通して道党委員会に依頼したお陰で、孤児の作業班員は大学に進学できることになった。進学できるといっても入学試験を受ける必要があるので、昼間は勉強をして夜作業をするという生活を送っている。勉強をしていると党員ではない作業班員がやってくる。この作業班員はこれまでのストーリー展開の中で、何か問題がある作業班員ということになっている。この作業班員は、河原で資材倉庫を作るための石を集めなければならないのだが、この仕事を若者に押しつける。理由は、白血病に効く秘薬(牛の角)を受け取りに行く約束があるからだという。

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問題のある作業班員は、病気を治すために牛の角を手に入れるのではなく、転売をして利益を得ようとする。つまり、牛の角の所有者を騙して角を預かり、それを高く人に売り、販売金額の一部をかすめ取るという方法である。
この場面では、こそこそと牛の角の取引をしている。

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このドラマでは牛の角が取引品目となっているが、北朝鮮ではこのような脱法的商行為が社会問題となっているために、この役柄を登場させているのであろう。ストーリーは、この後、党細胞委員長がこの人をどう「再生」させるかを中心に展開することになる。
孤児の作業班員が川で作業をしているところに党細胞秘書たちがやってくる。勉強もしないで何をしているのかと叱られると、この若い作業班員は「みんなが旋盤を作っているのに、自分だけ特別扱いで大学など行くわけにはいかない」と答える。党細胞秘書は「今は技術が必要だということを分かっているのか。首領様も祖国解放戦争という厳しい時期に、輝かしい祖国の未来のために軍人を大学に行かせたということを知っているでしょう」と諭す。若者は「考えが浅かった」と大学に行く決意を固くする。

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党細胞秘書は、問題のある作業班員の家にやってくる。若者に仕事をやらせたこと、勤務時間中に不急不要の薬を取りに行ったこと、これまでも勤務時間中に抜け出して戻ってこないことが何回もあったこと、そしてさらにこの作業班員の「経済生活がきれいではない」という話があるということについて注意する。この作業班員は表向きは「これからは気をつける」というが、内心では不満を持つ。

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若い作業班員は、他の作業班員に見送られて大学入試に向かう。後ろに止まっているトラックに乗って行くが、トラックが北朝鮮農村地域では主たる交通手段のようだ(80年代以降、どうなっているのかは分からない)。このトラックは色々な場面で登場する。

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若者を見送って帰る途中で技術指導員と偶然出会う。技術指導員は党細胞秘書に「なぜそんなに僕を避けるんだ」と言い、「今日の夜、映画館の前で会おう」とせまる。党細胞秘書は「話があるならばここでして下さい」というが、技術指導員は「こんな場所でできる話ではない」と断る。そして、「前のように、また待ちぼうけを食わせないでくれ。待っている」というが、党細胞秘書は無言で立ち去る。

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その夜、技術指導員は待ちきれずに党細胞秘書の家まで行ってしまう。党細胞秘書も寝付かれずに門の所まで行き、技術指導員に懇願されて外に出る。党細胞秘書は「なぜあなたが私と会いたいというのか、私は分かっています」と言うと、技術指導員は党細胞秘書の手を握り「ずっと前から愛していました」と告白をする。

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さて、ここからがなかなかおもしろい。党細胞秘書は「私には独身の兄もいるし、家庭状況も問題がある」という。技術指導員は「あなたが望むのなら、自分はあなたの家に入るつもりだ」と答える。すると党細胞秘書は、「あなたは私をまだ理解していません。理解がない愛は遊びです」となかなか意味深いことを言う。すると技術指導員は「そうではない。僕はあなたを理解している」と大声で話す。

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2人が話している現場を酔っ払って歩いていた例の問題のある作業班員に見られてしまう。この作業班員は、これをうまく利用して自分の立場を有利にしようと考える。

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見られていることに気がつかない技術指導員は「火のように燃える僕の心を理解してくれないのか」とせまるが、党細胞秘書は「私は、今まで誰も愛したことがありません。しかし、愛はお互いが白い雪のようにきれいでなければならず、その感情は時間を掛けて花咲くと思っています」(一部声が小さくなり聞き取れない部分は想像訳)、と答える。続けて党細胞秘書は「あなたが人を愛するのであれば、自分のきれいな心を輝かせて下さい」、「愛は受けるものではなく、与えるものだというじゃないですか」と言って家に入ってしまう。党細胞秘書が言った最後の言葉は80年代の韓国でもしばしば聞いた。文学や哲学の素養がない私には、この言葉を元々どこの誰が言ったのかは分からないが、懐かしい言葉だ。
第4部はここで終わる。
第4部は、党細胞秘書の兄の恋人(フィアンセ)の作業班員と彼女の母との関係を修復する部分から話が展開する。
女性作業班員の母(左)が見合い相手の男性の家を訪問し、娘と引き合わせる約束をする。

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その様子を見ていた、別の作業班員の女性は見合い相手の男性に全ての事情を話す。この男性は作業班員の母に手紙で「そんなに立派なフィアンセがいるのならば、自分は遠慮をする」と伝える。
この問題は解決し、作業班ではこの話で盛り上がっている。そこに党細胞秘書の兄との問題のために作業班を離れた女性作業班員が「手続きが終了した」と戻ってくる。さて作業に取りかかるのかと思いきや、「サークルの発表会」があるのでその練習をすることになる。これが何時なのかということはドラマでは分からないが、雰囲気からして勤務時間中のようである。
「サークル発表会」の指導をする党細胞秘書

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実に、これこそが金正恩さんが「演説」で言った「細胞秘書は歌も踊りも」ということのようだ。
そこに技術指導員がやってきて、旋盤の出来具合を見ている。党細胞秘書がやってきて、技術指導員が党細胞秘書たちを冒涜したことについて「そのことは忘れましょう」と言う(これも金正恩「演説」の精神にかなう)。

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旋盤製作の作業は進むが、歯の欠けたギアが3つも出てて来てしまう。元小資本家の作業班員は手工業者的な方法でギアを補修しようとするが、技術指導員は大きな工場で補修してもらおう主張する。しかし、作業班長と党細胞秘書の提案で「自分の力で」なんとかすることになる。
折れたギア

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元小資本家が提案した「手工業者」的な補修をするためには、火をおこすための薪が必要ということになり、党細胞秘書以下作業班員の半数が山に木を切りに行く。これも燃料不足を補うために裏山の木を何も考えずに伐採してしまう北朝鮮の現実の一端を表しているのかもしれない。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-28-25.flv
この共同作業の過程で技術指導員は細胞秘書に接近し「話があるから今夜会いたい」と話す。
技術指導員は党細胞秘書を約束した場所で待っているが、細胞秘書はやってこない。細胞秘書も伐採のために設営したテントの中で行くべきかどうか悩みながらなかなか寝付けないでいる。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-28-25.flv
党細胞秘書の兄が退院して村に戻ってくる。作業班員の女性の母が兄の家を訪れ、それまでの無礼について謝罪をする。その間、作業班員の女性とフィアンセの母は食事の準備をしている。

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党細胞秘書が技術指導員を通して道党委員会に依頼したお陰で、孤児の作業班員は大学に進学できることになった。進学できるといっても入学試験を受ける必要があるので、昼間は勉強をして夜作業をするという生活を送っている。勉強をしていると党員ではない作業班員がやってくる。この作業班員はこれまでのストーリー展開の中で、何か問題がある作業班員ということになっている。この作業班員は、河原で資材倉庫を作るための石を集めなければならないのだが、この仕事を若者に押しつける。理由は、白血病に効く秘薬(牛の角)を受け取りに行く約束があるからだという。

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問題のある作業班員は、病気を治すために牛の角を手に入れるのではなく、転売をして利益を得ようとする。つまり、牛の角の所有者を騙して角を預かり、それを高く人に売り、販売金額の一部をかすめ取るという方法である。
この場面では、こそこそと牛の角の取引をしている。

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このドラマでは牛の角が取引品目となっているが、北朝鮮ではこのような脱法的商行為が社会問題となっているために、この役柄を登場させているのであろう。ストーリーは、この後、党細胞委員長がこの人をどう「再生」させるかを中心に展開することになる。
孤児の作業班員が川で作業をしているところに党細胞秘書たちがやってくる。勉強もしないで何をしているのかと叱られると、この若い作業班員は「みんなが旋盤を作っているのに、自分だけ特別扱いで大学など行くわけにはいかない」と答える。党細胞秘書は「今は技術が必要だということを分かっているのか。首領様も祖国解放戦争という厳しい時期に、輝かしい祖国の未来のために軍人を大学に行かせたということを知っているでしょう」と諭す。若者は「考えが浅かった」と大学に行く決意を固くする。

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党細胞秘書は、問題のある作業班員の家にやってくる。若者に仕事をやらせたこと、勤務時間中に不急不要の薬を取りに行ったこと、これまでも勤務時間中に抜け出して戻ってこないことが何回もあったこと、そしてさらにこの作業班員の「経済生活がきれいではない」という話があるということについて注意する。この作業班員は表向きは「これからは気をつける」というが、内心では不満を持つ。

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若い作業班員は、他の作業班員に見送られて大学入試に向かう。後ろに止まっているトラックに乗って行くが、トラックが北朝鮮農村地域では主たる交通手段のようだ(80年代以降、どうなっているのかは分からない)。このトラックは色々な場面で登場する。

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若者を見送って帰る途中で技術指導員と偶然出会う。技術指導員は党細胞秘書に「なぜそんなに僕を避けるんだ」と言い、「今日の夜、映画館の前で会おう」とせまる。党細胞秘書は「話があるならばここでして下さい」というが、技術指導員は「こんな場所でできる話ではない」と断る。そして、「前のように、また待ちぼうけを食わせないでくれ。待っている」というが、党細胞秘書は無言で立ち去る。

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その夜、技術指導員は待ちきれずに党細胞秘書の家まで行ってしまう。党細胞秘書も寝付かれずに門の所まで行き、技術指導員に懇願されて外に出る。党細胞秘書は「なぜあなたが私と会いたいというのか、私は分かっています」と言うと、技術指導員は党細胞秘書の手を握り「ずっと前から愛していました」と告白をする。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-28-25.flv
さて、ここからがなかなかおもしろい。党細胞秘書は「私には独身の兄もいるし、家庭状況も問題がある」という。技術指導員は「あなたが望むのなら、自分はあなたの家に入るつもりだ」と答える。すると党細胞秘書は、「あなたは私をまだ理解していません。理解がない愛は遊びです」となかなか意味深いことを言う。すると技術指導員は「そうではない。僕はあなたを理解している」と大声で話す。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-28-25.flv
2人が話している現場を酔っ払って歩いていた例の問題のある作業班員に見られてしまう。この作業班員は、これをうまく利用して自分の立場を有利にしようと考える。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-01-28-25.flv
見られていることに気がつかない技術指導員は「火のように燃える僕の心を理解してくれないのか」とせまるが、党細胞秘書は「私は、今まで誰も愛したことがありません。しかし、愛はお互いが白い雪のようにきれいでなければならず、その感情は時間を掛けて花咲くと思っています」(一部声が小さくなり聞き取れない部分は想像訳)、と答える。続けて党細胞秘書は「あなたが人を愛するのであれば、自分のきれいな心を輝かせて下さい」、「愛は受けるものではなく、与えるものだというじゃないですか」と言って家に入ってしまう。党細胞秘書が言った最後の言葉は80年代の韓国でもしばしば聞いた。文学や哲学の素養がない私には、この言葉を元々どこの誰が言ったのかは分からないが、懐かしい言葉だ。
第4部はここで終わる。