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    「<時事解説>天出名将のの精神力と知略の前で恐怖におののく米国」:対米全面対決戦での戦勝宣言第2弾 (2013年4月29日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」がタイトルのような番組を放送した。uriminzokkiriに対する攻撃も一段落したようで、今朝、同サイトからは中央テレビの番組が以前同様にダウンロードできるようになっている。ダウンロードしたファイルを分析してみると、やはりストリームをダウンロードしたファイルよりも画質や音質が良いので、uriminzokkiriの正常稼働はありがたい。

    さて、この番組は、過去記事で紹介した「<特集>「唯一超大国』を戦慄させる強軍の力」と近い内容であるが、「時事解説」という形式をとり、韓国のメディアの報道を抽出しながら話を進める番組である。

    番組は、「最近韓国のメディアは、『天出名将の精神力と知略で米国が震え上がっている』と伝えている」という前提で始まる。

    まず、北朝鮮が「最高司令部緊急作戦会議」に出席した金正恩さんの写真を公開したことと関連し、「戦争決定権者の作戦指揮室内部や、核戦争の作戦問題を議論する緊急作戦会議の現場までメディアに公開するほど自信に満ちた国は北朝鮮しかない」としたうえで、「最後の決戦で勝利するという自信を世界に誇示したもの」であり、こうした北朝鮮報道を目にした「ホワイトハウスと米軍は、精神的に萎縮ししまったはずだ」し「人民軍最高司令部は、何枚かの写真を公開するという知略で、精神的対決においてホワイトハウスの国家安保会議を既に圧倒した」とある韓国メディアが伝えたと述べている。勝利宣言その1である。

    次に、長距離砲兵部隊を含む全ての野戦砲兵部隊が「1号戦闘勤務態勢」入りしたことと関連し、こうした部隊には「銀河3号ロケット発射に成功したことからして、射程距離1万キロの大陸間弾道ミサイル」を開発していることを証明していると伝えたとし、これらのミサイルが「グアム島のアンダーソン空軍基地、在日本米軍基地、ハワイの太平洋司令部、米国本土の一部まで射程に収めた」ので、「有事には北朝鮮がミサイル攻撃をできる」と韓国メディアが伝えたとしている。米本土まで射程の納めたミサイル保有を誇示しながら、勝利宣言その2である。

    さらに、北朝鮮の核・ミサイル能力を米国が認めているということを強調するために「米国防長官のヘーグルが、北朝鮮は核能力とミサイル運搬能力を保有している。これは実質的かつ明白な脅威だと語った」とし、米国務省報道官が「米国は、北朝鮮が態度を変える場合、他の経路歩むことについて、開かれている立場であると述べた」ことなどを挙げながら、米国が北朝鮮の超強硬対応の結果、態度を変えてきていると主張している。

    そして、米国はICBM実験を延期したことなどを挙げた上で、米国が北朝鮮に対して特使を派遣する必要があるという声も出てきていると紹介している。元ニューメキシコ州知事のビル・リチャードソンが「現危機状況を冷却するためには、最終段階が必要であり、それは外交。対北外交の方式としては、特使派遣と述べた」、米国際問題専門家が「オバマ政権の残った最後の選択は、最高首脳会談しかない。事態がさらに悪化する前に、オバマは、高官を特使に任命し、金正恩第1委員長と直接会い、状況を逆転させる可能性を探らなければならないと述べた」と伝えている。北朝鮮が、「米国特使と金正恩第1委員長の会談」を韓国メディアを引用しながら持ち出してきたことは実に興味深い。対内的には、金正恩さんの地位と実力を米国が認めているということを強調しつつ、対外的には米国が対話をするつもりならば、金正恩さんもその対話の対象となり得るということを示唆している。

    番組の終わりの部分では、こうした「対話攻勢は、北朝鮮の核武装解除を狙った凶悪なものである」とも言っているが、「米国が朝鮮半島情勢を険悪な状態にした責任を逃れ、我が革命武力の鉄槌を避けたい考えが少しでもあるならば、本当に対話と協議を望むのであれば、4月18日に我々が国防委員会政策局声明で打ち出した先行的措置を断行しなければならない」としている。

    「トクスリ」米韓合同演習は今日をもって終了するが、北朝鮮がこれを「先行的措置」の一部と捉えるのであれば、対話再開の理由にはなり得る。

    「敬愛する金正恩元帥様が開業を控えたヘダンファ館を視察された」:鉄板焼きステーキレストラン開業へ (2013年4月28日 「労働新聞」)

    本ブログには書かなかったが、少し前に金正恩さんは大同江で運行されることとなった「食堂船」が完成したのに際し、党幹部と共に視察している。「食堂船」については、その時の様子や朝鮮人民がビールを飲みながら食事をする様子が「朝鮮中央TV」で紹介されているので、追って紹介していきたい。完成前の「食堂船」について、金正恩さんが現地指導している様子は過去記事にも書いているのでそちらを参照されたい。

    金正恩さんは、3月末の労働党全員会議で演説をし、それに続く最高人民会議に出席した後、人前には姿を現していなかった。それを、ミサイル発射など北朝鮮がさらなる挑発行動に出るであろうと判断する根拠にする分析もあったが、最高指導者が人前に堂々と姿を見せる最中、戦争を始める国もないであろう。特に、イラクの例を見れば分かるように、米国は民間人への被害を最少化するという目的で、最高指導者を狙ったピンポイント攻撃を仕掛けるはずである。そんなときに、小舟に乗って海を渡っていれば格好の標的となるのは間違いない。

    「労働新聞」のサイトで金正恩さんの「革命活動」をリストしてみると15日の太陽節以降、再開している。

    上記のように、金正恩さんは、15日以降、錦繍山太陽宮殿参拝(4月15日報道)、軍事学校教職員体育競技参観(同16日報道)銀河水管弦楽団公演参観(同16日報道)、人民軍創建81周年記念宴会(同26日報道)、人民軍創建81周年に際して錦繍山太陽宮殿参拝(同26日報道)、人民軍創建81周年礼式(同26日報道)、人民軍創建81周年モランボン楽団公演及び宴会出席(同26日「朝鮮中央TV」報道)など、26日に集中するとはいえ、かなりの頻度で人前に表れている(報道は、特記がない限り『労働新聞』)。

    錦繍山太陽宮殿参拝(4月15日報道)、張成沢も軍服着用
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    Source: 『労働新聞』、「조선인민군 최고사령관 김 정 은동지께서 조선로동당 중앙군사위원회와 조선민주주의인민공화국 국방위원회, 조선인민군 지휘성원들과 함께 금수산태양궁전을 찾으시였다」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-15-0001&chAction=L

    軍事学校教職員体育競技参観(同16日報道)
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    Source: 『労働新聞』、「조선인민군 최고사령관 김 정 은동지께서 태양절을 맞으며 진행된 군사학교 교직원체육경기를 보시였다」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-16-0004&chAction=L

    銀河水管弦楽団公演参観(同16日報道)
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    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김 정 은원수님께서 평양시민들과 함께 태양절경축 은하수음악회를 관람하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-16-0001&chAction=L

    人民軍創建81周年記念宴会(同26日報道)
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    Source: 『労働新聞』、「조선인민군 최고사령관 김 정 은동지를 모시고 조선인민군창건 81돐 경축연회 성대히 진행」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-26-0005&chAction=L

    人民軍創建81周年礼式(同26日報道)、写真には写っていないが金正恩の右側に張成沢がおり、白い軍服を着て敬礼をしている。意図的にかどうかは分からないが、張成沢が映っていないカットをなぜ使ったのだろうか。「朝鮮中央TV」の番組では、張成沢はしばしば映っていたので、特に意味はないのかもしれない。
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    Source: 『労働新聞』、「조선인민군창건 81돐에 즈음한 조선인민군 례식 엄숙히 거행 경애하는 최고사령관 김 정 은원수님께서 당과 군대,국가의 책임일군들과 함께 참석하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-26-0001&chAction=L

    今回、金正恩一行が訪れたのは、鉄板ステーキレストランである。

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    Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-28-0001

    軍関連の行事であったからなのだろうか、銀河水公演や体育競技観戦、また宴会にも李雪主夫人は出席していなかった。また、3月24日に報道された「食堂船」視察にも彼女は同行していなかった。太陽節の錦繍山太陽宮殿参拝に夫人が同行しなかったのは意外であるが、張成沢さんにも軍服を着せて「党中央軍事委員会、国防委員会、人民軍指揮官と共に」ということになっているので、形式的には不思議ではない。したがって、金敬姫さんの姿も見えない。その金敬姫さんであるが、未だに健康不安説が流布している(あるメディアから電話取材を受け、そう質問された)が、その実態はもちろん分からないが、北朝鮮の公式報道を見ている限りは、彼女はしばしば登場しているし、歩みもしっかりとしている。シンガポールでどのような治療を受けたのかは分からないが、さして深刻な病状ではなかったのであろう。

    さて、鉄板ステーキレストランに話を戻すが、李雪主夫人も金敬姫さんも同行している。金正恩さんの左横で口を押さえて笑っている女性がいるが、金ヨジョンさんであろう。写真の感じからして、金正恩さんが何かジョークを言い、それを受けて笑っているのだと思うが、25、6才の若い女性として実に自然な感じである。「労働新聞」の記事には彼女の名前こそ登場しないが、「偶然の映り込み」ではなく、これほど彼女を大きく、金正恩さんの真横においてメディアでエクスポーズさせたのは、金正日葬儀を除けば初めてではないだろか。そうすると「金ヨジョンが要職に」という話が出てきそうだが、明るい25、6才そこそこの「女の子」に要職はないのではないだろうか。兄貴とほとんど年齢が変わらないといわれればそれまでではあるが。

    さて、鉄板ステーキレストランであるが、金正日さんが生前に「総合的な人民奉仕基地としてだけではなく、料理人養成もし、国の料理技術を発展させることができる拠点であるヘダンファ館を」建設しろと指示したとのことである。立派な料理人がいても肉がなければ駄目ではないかという気もするが、それは置いておくとしよう。写真では、ビーフを料理しているようであるが、北朝鮮が得意とする(代替食品と言うべきか)、ダチョウの肉やアヒルの肉ではサイズ的に写真のような豪快な調理演出はできないかもしれない。

    同レストランは、地下1階、地上6階の建物で、敷地面積は1万平米、建築面積は17700平米とのことである。レストランには「様々な形式の食事室、鉄板焼きテーブル、円形コーヒーショップ、商店、男女浴場、プール、理髪店、美容室、卓球場、ジム、電子図書閲覧室、実習室、講義室」などが設置されているという。タイトルには「鉄板焼きレストラン」と書いたが、どうやら総合娯楽施設のようである。

    「労働新聞」の記事を読みつつ本記事を書いているのであるが、少し読み進んだら「様々な肉類と海産物を加工し、奉仕(提供)する鉄板焼きテーブル」と書いてあった。やはり、アヒルやダチョウ、海産物も提供すると言うことのようだ。

    金正恩さんは、調理する様子を見ながら「料理は科学であり芸術だ」と言ったそうだが、こういう言葉がさらっと出てくるのは「白頭の血統」だからだろうか。

    過去記事に北朝鮮が地熱を活用していると書いた記憶があるが、このレストランでも地熱を活用しているようで、金正恩さんが「地熱水による最先端冷暖房保障体系」を高く評価した書かれている。

    今、「朝鮮中央通信」を見たら、この記事の中国語版が出ていた。それによるとレストラン名の漢字表記は「海棠花館」となっていた。「海棠花」はハマナスであるが、党や指導者にゆかりのある花なのであろうか。

    『労働新聞』、「경애하는 김 정 은원수님께서 개업을 앞둔 해당화관을 돌아보시였다」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-28-0001

    <追記>
    29日の「労働新聞」にヘダンファ館の詳細を見せる写真が出ていた。

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    Source: 『労働新聞』、「그 어디에 내놓아도 손색이 없는 현대적인 종합봉사기지-해당화관」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-29-0018&chAction=T

    「朝鮮中央TV」で、この様子を紹介する「記録映画」が放送されるのが楽しみだ。

    <追記: 4月30日>
    金正恩さんの横にいる女性は、「ヨジョンではない」というコメントを頂いた。コメントを下さった方は、昨夜の「朝鮮中央TV」のこの視察に関する「録画報道」をご覧になったようで、実は、私も同じ報道を見ていた。その時は、先入観もあり、この女性はヨジョンさんと決めつけてみており、コメントをご覧頂けばお分かりのとおり、他の方のコメントに対して、そのようなお返事を書いていた。

    言い訳をすれば、その前に放送された「モランボン公演」の「記録映画」を見て若干興奮状態であったことと(この公演は、北朝鮮音楽に詳しい方と、ネットでライブ・トークをしながら見ていたのも、興奮の度合いを高める一因となったのだが)、その興奮をアルコールが高めていたということがあるとか。ともあれ「先入観」はよくなかったと反省している。

    では、「録画報道」に登場した写真を紹介しておく。

    まず、この写真であるが、右側に少し太った女性がいる。この女性が、恐らくヘバンファ館の支配人であろう。
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    Source: KCTV、2013.04.29放送

    上の支配人から変わり、若い小柄な女性が案内役となったようだ(髪型などから同一女性にも見える。ただ、この女性の方が、背が低くも見えるが、写真の関係か)。この写真が、この女性がヨジョンさんではない決定的写真だと思う。客室を金正恩さんに紹介しているところだと思うが、手のかざし方はどう見ても案内をしている女性である。
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    Source: KCTV、2013.04.29放送

    実は、この写真を見たときは「興奮冷めやらぬ中」、「なぜ彼女は立っているのだろう」と思ったのではあるが、「先入観」から、あまり深く追求しようとはしなかった。よく見れば、手にノートを持っている。金正恩さんの指示を記録するための必需アイテムだ。
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    Source: KCTV、2013.04.29放送

    というわけで、誤報であったわけだが、韓国メディアにも「金ヨジョンでは」と報じているものがあった。

    コメントでご指摘下さった方には敬意と謝意を表する。

    「南朝鮮傀儡当局の態度如何により我々が先に断固たる重大措置を取るであろう」:開城工団事態悪化へ (2013年4月27日 「労働新聞」)

    開城工団について韓国・統一部が北朝鮮に対して対話を呼びかけたところまでは記事にした。対話呼びかけに対する北朝鮮の回答期限は翌日(26日)昼までとされていたが、北朝鮮は対話呼びかけを拒絶する国防委員会政治局スポークスマンの回答を出した。26日夕方には「朝鮮中央通信」で報じられていたが、同内容が27日の「労働新聞」に掲載された。

    「回答」では、「南朝鮮傀儡当局の『対話提案』が誠実なものであるならば、それを実践行動で立証しなければならない」にもかかわらず、「我々の建国節を狙って悪質保守チンピラ共を動員し、再び我々を悪辣に誹謗中傷するビラ散布行為を躊躇することなく行った」と韓国当局を非難しながら始まっている。

    ビラ散布は民間人が行ったものであるが、北朝鮮は「散布した人間の屑が公式メディアに登場し、奴らが傀儡当局に阻止されることなく『民統線(民間人が通常行くことができる北朝鮮との境界の限界線)』一帯に接近し、思うままに敵対行為を行った」と民間人によるビラ散布を韓国当局が阻止しなかったことを非難している。過去にも類似した事例について記事にしたことがあるはずだが、北朝鮮は自国を基準に韓国当局に統制を求めているのか、あるいは韓国で軍事政権時代のような強権が通用すると考えているのか、それとも実態を十分理解していながら民間人の行動への統制を求めているのかよく分からない。朴槿恵政権も民間人による北朝鮮を刺激する行為を実力で阻止したというニュースは読んだことがあるが、民主主義が定着した同国ではこうした行為を政府が繰り返し行うことは困難である。

    続いて「回答」では、韓国が6.15共同宣言や10.4宣言を履行しなかったと非難し「青瓦台の部屋の主人は、公式な席上では我々に北南合意を遵守しなければならないと騒ぎ立てながら、その裏では汚い人間の屑を動員してビラまで散布して」いるとビラ散布についての非難を続けて展開し、さらに米韓合同演習で上陸訓練を行っていることが敵対行為であると非難している。

    そして、「今日、開城工業地区が風前の灯火という危機に至ったのは、全的に傀儡一味の無謀な戦争狂気のためである」と決めつけている。

    また、開城工団は6.15南北共同宣言の産物であり、「李明博逆徒の極悪無道な『5.24対北措置』にも開城工業地区だけには手を付けられなかった」し、「我々は傀儡一味が極右保守政治家とメディアを動員し、耐えがたいほど騒ぎ立てたときですら、南側の人員に対する強制追放や開城公団地区の完全閉鎖のような重大措置は取らなかった」とし、「しかし、我々の努力と忍耐は限界に至った」としている。

    北朝鮮が開城工団の操業を中断するという措置を取った理由を「米国と傀儡軍部チンピラ共により開城工業地区が任意の時に全面戦争挑発の口実に悪用される事実上の『人質』に転落したことと関連し、我々はやむを得ず南側人員の身辺の安全保障のために同工団に入る人員の通行を遮断し、工業地区の企業活動を暫定的に中断」したとしている。

    そして、開城工団に残っている韓国側人員が心配ならば「全ての人員を全員撤収させれば良いことだ」とし、「撤収と関連し提起される身辺の安全保障対策を含む全ての人道主義的措置は、我々の関連機関に責任を取らせる」と撤収については制約を与えないことを繰り返し主張している。

    そして、「回答」は、「万が一、南朝鮮傀儡一味が現実を直視せず、継続して事態の悪化を悪化させるのであれば、傀儡当局ではなく、我々が先に最終的で決定的な重大措置を取らざるを得ない」と結んでいる。

    『労働新聞』、「남조선괴뢰당국의 태도여하에 따라 우리가 먼저 단호한 중대조치를 취하게 될것이다」、
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-27-0017

    これを受けて、韓国統一部は26日、次のような「声明」を出した。

    1.今日、北朝鮮は我が政府が開城工団問題を解決するために公式に提案した当局間実務会談を拒否した。
    2.北朝鮮が開城工団に対する通行を遮断し、勤労者を一方的に撤収させることで、去る10年間運営されてきた開城工団の稼働が不可能になった。
    3.政府は、この間、対話を通じて開城工団問題を解決しなければならないという立場を繰り返し表明してきた。
    4.それにもかかわらず、北朝鮮は我々の対話提案に応じることなく、開城工団の運営を中断する措置を持続しており、我々の企業家の訪北さえ許可していない。
    5.これにより、南北間の合意と北朝鮮の約束を信じて開城工団に投資した我々の企業家は、深刻な被害と苦痛をなめている。
    6.特に、北朝鮮が開城工団を最後まで守ろうとした国民に対する食材や医療支援など、最小限の人道的措置さえ許可しておらず、我々が提案した当局間の対話まで拒否したことは、如何なる理由であれ正当化することはできない。
    7.このような北朝鮮の不当な措置で開城工団に在留する我々の国民の困難が加重されており、政府は我々の国民を保護するために在留人員全員を帰還させる不可避な決定を下した。
    8.北朝鮮当局は、南北間の既存の合意と開城公団関連法令に基づき、我々の国民の安全な期間を保障し、投資企業の財産を徹底して保護しなければならない。
    9.政府は、投資企業が正常な企業活動を継続できるよう汎政府的な支援をする。

    とし、開城工団に残っている韓国人を全て撤収させることにした。撤収は既に始まっており、多くの荷物を積んだ車が韓国側に戻ってきている映像が日本のメディアで紹介されている。

    韓国・統一部、「대한민국 정부 성명」、http://www.unikorea.go.kr/CmsWeb/viewPage.req?idx=PG0000000344&boardDataId=BD0000225510&CP0000000002_BO0000000027_Action=boardView&CP0000000002_BO0000000027_ViewName=board/BoardView

    これに対して北朝鮮は、「中央特区開発指導総局」が「スポークスマン回答」を出した。この回答は、2時間ほど前に「朝鮮中央TV」で報じられていたが、今、「朝鮮中央通信」を見たら既に「開城工業地区が完全に廃止される責任は全的に傀儡一味に取らせる」という記事として配信されていた。

    「回答」では、韓国側が「全員撤収」を決定したとし、これまでの開城工団問題の成り行きを見ると「その全てのことは、傀儡共の対話提案騒ぎと人員撤収決定というものが、開城工業地区を破産に追いやるため、事前に計画された脚本によるものである」ことが分かると、韓国側が意図的に開城工団を閉鎖に追いやったと主張している。

    また、韓国側が開城工団に残った韓国人員に対する食料供給を求めたことに対して「工業地区で食材が底をついたから取った措置のように言っているが、工業地区で現実的に食べるものがなくなったわけではない」と「食べるものがある」と主張している。北朝鮮が主張するように「食べ物はある」のかもしれないが、韓国民が口にする「食材」と朝鮮人民が口にする食材では違いがあるので、韓国側が食材搬入を求めたということであろう。

    ただし、北朝鮮は未だに開城工団が「閉鎖された」とは言っていない点に注意しておく必要がある。つまり、「回答」では、「傀儡保守一味の悪辣な策動により10年間、民族の祝福と全世界の関心の中で上手く回ってきた開城工業地区がついに機械の音を止め、今、完全閉鎖は時間の問題となっている」としており、「完全閉鎖」に至るまでには多くはないが「時間はある」という認識を示している。

    「回答」では、開城工団が閉鎖されて損をするのは韓国側であり、「むしろ我々は、その間提供してきた開城工業地区の広い地域を軍事地域として再び占有し、ソウルをまっすぐに狙うことができるようになり、南進の進撃路が開けて、祖国統一大戦にさらに有利になる」と開城工業団地からソウルに至る整備された道路を南進攻撃に使うと威嚇している。

    しかし、こうした責任を前政権から留任された金寛鎮国防部長官になすりつけ、「青瓦台の主人が、対決狂信者たちに踊らされて、民族共同の協力事業として唯一残った開城工業地区さえ対決政策の犠牲にするつもりがあるのかどうか、我々は注視している」とし、朴槿恵さんには再考の余地を残す形を取り、「極悪無道な先行保守『政権』の時にも生き残ってきた工業地区が、ここにきてついに崩壊することになれば、現『政権』は李明博逆賊一味よりも対決『政権』と烙印を押され」るであろうと警告しながら「回答」を結んでいる。

    『労働新聞』、「남조선괴뢰당국의 태도여하에 따라 우리가 먼저 단호한 중대조치를 취하게 될것이다 조선민주주의인민공화국 국방위원회 정책국 대변인담화」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-27-0017&chAction=L

    別記事で、北朝鮮は対話モードに入りつつあると書いたが、開城工団についてはなかなか良い落とし所が見いだせないようだ。しかし、強烈に韓国を非難する「声明」や「回答」の中に、北朝鮮としても開城工団を何とか残したいという意思が見え隠れしている。韓国側の全員撤収は既に開始されたが、韓国側が要求した「財産保護」については北朝鮮は何も触れていない。金剛山観光施設のように北朝鮮が没収するつもりなのかもしれないが、金剛山の場合、現代財閥1社の投資であったのである意味没収されてもその損失は現代という企業規模からすれば些細なものであったが、今回は多くの韓国中小企業が巻き込まれることになる。韓国政府は「支援」を表明しているが、「支援」と「補償」では意味が違う。

    繰り返し書いてきたが、開城工業団地はこれからの朝鮮半島において、必ず存在し続けなければんらない重要な南北の接点である。賃金や政治制度のことははさておき、南北の人が一つの場所で共に働き、日常的な人間関係が形成されていく場として、非常に重要であることはいうまでもない。

    南北共にあまり慌てた行動に出ることなく、見えてきた対話ムードの中で開城工団問題も解決していくことが望まれる。

    「朝鮮で米国公民ペ・ジュンホを裁判に送付」:米国引き出し戦術か (2013年4月27日 「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」に表題のような記事が掲載された。韓国系米国人のペさんは、昨年11月3日に羅先に観光目的で入国し逮捕された。記事によると「ペ・ジンホに対する予審は全て終わ」り、「近日中に最高裁判所に起訴され、判決を受ける」としている。ペさんは予審の過程で北朝鮮に対する「敵対感を持ち、共和国を転覆しようと策動した自分の犯罪行為について全て認め、彼の犯罪は証拠物件などにより明白に立証された」としている。北朝鮮刑法に国家転覆陰謀罪があるのか今すぐには確認できないが(法令集は職場に置いてある)、北朝鮮は「死刑」を宣告してくるであろう。

    北朝鮮の裁判制度については今一つよく分からない。「共和国憲法」の第159条に

    第159条
    裁判は、最高裁判所、道(直轄市)裁判所、市(区域)・郡人民裁判所および特別裁判所が行う。
    判決は、朝鮮民主主義人民共和国の名において言い渡す。

    Naenara, 「朝鮮の政治」、http://www.naenara.com.kp/ja/great/constitution.php?14

    と書かれているが、日本のように三審制を採っているのかどうかは分からない。「予審」というのが下級裁判所での審理のことなのか、検察レベルでの話なのかは分からないが、いずれにしても「最高裁に送付」と言っているのだから、そこで刑が確定することは間違いない。

    このタイミングで米国公民の裁判を持ち出してきたのは、交渉の場に米国を引き出す目的であることは明白である。しかも、今回はかつての米国人女性のように入管法違反のような軽微な犯罪ではなく、死刑が予測される重大犯罪であることを暗示している。米国務省は、これまで本案件については、北朝鮮と外交関係のない米国の米国民保護業務をスウェーデン大使館が担っているとしてきたが、ここまでくるとスウェーデン大使館を通じた間接的な接触ではすまなくなるはずである。

    日本時間の今夜、国務省定例記者会見は予定されていないが、次回の会見で必ずこの質問は出てくるであろう。

    「<特集>「唯一超大国』を戦慄させる強軍の力」:対米全面対決戦の勝利宣言か (2013年4月25日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」でタイトルのような番組が「建軍節」の25日に放送された。類似した番組(記事にはしたが、番組名失念)は過去にも放送され、そのリメイクのような番組だと思ったのだが、今回は内容的に「対米全面対決戦」における勝利宣言に近い。「建軍節」ということと「トクスリ」米韓合同演習もまもなく終了するので、対話モードに切り替えるために対内的な「勝利宣言」をしておく必要があるのであろう。スカッド発射で「勝利宣言」とすると私は予測していたが、現況ではスカッド発射なくして「勝利宣言」をするように見えてきた。

    スカッド発射を断念したのは、水面下での中国との交渉や、この時点でスカッドを発射してしまうとさらなる安保理決議などに繋がり、「トクスリ」終了後に対話モードに切り替えるのが難しくなるという読みがあるのかもしれない。理由はともあれ、北朝鮮が緊張を高める道を選ばなかったとすれば、それは良い兆候である。

    この「特集」では、日米など外国のテレビ番組の画面を多用し、イタリア人やロシア人のインタビューを織り交ぜながら、国際的に北朝鮮が勝利したと認知されているということを強調している。では、これらの場面と共にこの番組を紹介していく。

    「唯一超大国」を戦慄させる強軍の力
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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    ナレーション:米国を打撃するという我々の宣言が米国とその追従勢力を恐怖に陥れている。

    記事のヘッドラインは、「朝鮮はやらないことは言わない」
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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    ナレーション:各種の核兵器を南朝鮮地域に持ち込み、核戦争演習に狂奔していた米国が突然態度を変え、ミサイル実験中止、一部の軍事演習取りやめ、北を刺激しないための措置、北との対話を言い出しています。

    米国務省定例記者会見やホワイトハウスでの記者会見場面
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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    ナレーション:この突然の変化は、決して米国の本心が変わったからではありません。宣言の背景には、我が人民軍の予測不可能で強力な作戦的措置が取られるということ、軍事的対決では百回なら百回、奴らが敗北を免れないと言うことを感じているからです。

    人民軍の訓練風景
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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    ナレーション:朝鮮人民軍の実力こそが、朝鮮民主主義人民共和国の力です。今、世界のメディアでは我々の軍事力について多く語られています。

    各国の新聞
    20130425-2 kctvasf_028189450
    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    ナレーション:特に、米国とその追従勢力でそのような傾向が強く見られます。最近、米国の国防長官と軍事専門家が、昨年、偉大な金日成大元帥様の誕生100周年記念閲兵式で見せた我々の先端兵器について言及し、米国本土を打撃できる兵器を見せる場面が毎日放送され米国全土に恐怖を拡散させているだけではなく、米国の核専門家たちも「朝鮮民主主義人民共和国は、長距離ミサイルだけではなく、中・短距離ミサイルに搭載できる核弾頭も開発した」と述べることで、恐怖の雰囲気を増長させています。

    米ABC放送の記者
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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    「長距離ミサイル」
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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    ミサイルの射程「北朝鮮が米国を狙う」
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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    ナレーション:全世界が、敬愛する金正恩元帥様の軍部隊現地視察と共に登場する軍の装備を見て、「初めて見たもの、想像もできなかったもの」といいながら、「まだ公開されていないものまで含めれば、北の国防力は限りがない」と驚きを示しています。

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    ナレーション:いわゆる「世界的超大国」を揺する強軍、それが今の朝鮮人民軍の地位なのです。しかし、我々の軍の中には、先端兵器や核兵器だけでは計算することができないさらなる威力があります。米国と追従勢力が本当に恐れる要因が、まさにそれなのです。

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    ナレーション:世界のメディアは、現在の朝米対立が「第2のキューバ危機」だと言っています。キューバ危機は、当時の超大国であるソ米間で発生した20世紀最大の核対決戦であったわけですが、それを朝米対決危機に例えるのは、強力な核兵器を持つ我が共和国と米国の対決が2国の運命と世界の軍事状況に与える影響力を評価しているからです。

    「1962年 カリブ海危機(キューバ危機)」
    20130425-2 kctvasf_028303795
    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    ナレーション:しかし、ある新聞は当時と今の本質的な違いについて「根本的に異なる側面がある。過去の超大国間の核対決戦ではソ連が引いたが、今は米国が引いている」と分析しました。

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    ナレーション:これは、莫大な核兵器を保有していても、意志と決断が不足し一方の超大国がもう一方の超大国に敗れたという事実からして、首脳部と軍隊の思想・精神的な優勢が運命的な対決においてどれほど重要であるのかを強調するものであり、特に朝鮮人民軍だけが備える思想・精神的優勢を示したものであります。

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    ナレーション:現在の朝米対決戦で、世界的に、特に米国が我が朝鮮人民軍よりも劣っているのが思想・精神的側面です。

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    ナレーション:その中でも最高司令官の意志と決断力に注目しています。その方が、軍部隊を現地指導しながら下される命令や指示、共和国の声明を通じて伝えられる警告が米国と追従勢力を驚愕させています。

    「力を示す、米国に対する新たな脅威か?」
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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    ナレーション:「降伏文書に署名する奴がいなくなるまで完全に殲滅しろ」、「ソウルとワシントンを容赦なく火の海にしろ」、「米国の核威嚇が続く限り、核兵器を質的・量的に強化し続けろ」などの超強硬な立場と意志という自衛偉業の正当性と信念と無慈悲な敵殲滅の意志、勝利は確定的であるという自信など、世界のどの指導者にも見いだすことができない朝鮮人民軍最高司令官の思想と意志、強い決断力が溢れているからです。

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    「イタリア総合投資グループ理事長、ジャンカルロ・エルリマ・パルリ」
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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    字幕:「金正恩同志は卓越した戦略戦術で敵を倒すだけではなく、強い信念と意志をお持ちで、戦わずとも敵に勝てる天性の品格をお持ちです。」

    ナレーション:特に米国とその追従勢力は、最高司令官の思想と意志、そしてその決断が我が軍隊全てのものとなり、朝鮮人民軍が最高司令官の命令と指示に絶対的に忠実であることについて極度の恐怖を感じています。

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    ナレーション:神聖な我が祖国に対する火遊びをしたヨンピョン島の敵共を無慈悲に掃討した朝鮮人民軍の決断を米国とその追従勢力は、震えながら記憶しているのです。

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    ナレーション:西側のメディアまで思想・精神的主体、党と首領を死守する制度を崩そうとする敵に対する妥協をせず、全軍が爆弾になるのが朝鮮軍隊の本当の優勢であり、どの軍も持つことができない不変の価値だと認めています。

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    「ロシア 金正日同志労作研究普及促進協会 委員長 ワジム・クジミン」
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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    字幕:「我々が既に目撃したように、イラク、ユーゴスラビア、リビア、シリアなどの国の指導者たちが先軍政治を実現できなかったので、自衛的国防力を強化することができず、軍隊の思想が瓦解し、結局、国の自主権を失ってしまいました。」

    ナレーション:朝鮮人民軍は、米国の強権と武力を前にして、核を放棄したり莫大な莫大な国富を投じて保有するに至った武器さえ使うことができずに崩壊してしまった、いわゆる地域強国、軍事強国といわれたバルカン半島のユーゴスラビアや中東のイラク、リビアの軍隊とは根本的に違うのであるというのが、米国と西側の一致した評価です。

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    ナレーション:自分の敬愛する最高司令官と思想を同じくし、敵陣に突撃しろという命令を待ち、「心臓を燃やし」最高司令官と社会主義祖国のためであるならば、笑いながら突撃する意志と覚悟を持つ軍隊は強軍であり、こうした強軍にとって崩壊という言葉はありえないのです。

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    ナレーション:米国と西側は、最高司令官金正恩同志の信念と意志で武装した朝鮮人民軍には米国の強権は通用せず、核戦力を絶対に譲歩することはなく、最高司令官が決心した瞬間、容赦なく米国を掃討するということを既存の事実として受け入れています。思想と核戦力が結合した強軍の前で米国は恐怖におののいています。これまで世界を恐怖に陥れてきた米国の核航空母艦、核潜水艦、戦略核爆撃機など、いわゆる世界最強の軍隊が本当の恐怖におののいています。いわゆる世界最強のミサイルと爆撃機を保有し、対決で譲歩をすることがなかった米国が対話を持ち出してきています。

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    ナレーション:これについて「ロシアの声放送」は、「全般的な流れからすると、朝鮮が勝利している」と述べました。また、あるインターネット新聞は次のような記事を掲載しました。

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    字幕:「いつか世界史の1ページに次のような一文が書かれることになるだろう。朝鮮という東方の社会主義国が、自国よりも武力の数量において500倍の強力な帝国主義「超強国」米国に対して、不屈の精神力と卓越した戦法で対決戦を展開し、米国を「タンスメ(一気に)」降伏させて21世紀の世界秩序を変えた。このような事変はこれまでもなかったし、これからもないであろう。南朝鮮のインターネット新聞 『自主民報』」

    ナレーション:世界は今、現実となった我々の世界的強軍の本当の威力を驚愕する中で目にすることになる。

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    Source: KCTV, 2013.04.25放送

    以上、相当に長くなってしまったが、ナレーションと字幕をほぼそのまま紹介してきた。見てのとおり、画面には外国のメディアが多く使用されているし、ナレーションもほぼ「勝利宣言」と言ってもよい内容である。

    注目すべきは、「米国が対話を持ち出してきた」と言っている点である。この番組は、対内的に「金正恩最高司令官の卓越した軍事指導の下、米国との対決戦において世界が認めるように北朝鮮は勝利し、北朝鮮に事実上降伏した米国が対話を呼びかけている」とした上で、「降伏した米国が対話を望むなら受け入れてやろう」という出てくるための説明するきっかけではないだろうか。同じタイトルの「労働新聞」の記事を探してみたが、見つけることはできなかった。もしかすると、別のタイトルでこうした記事が掲載されているかもしれない。

    前述したとおり、ともかくも対話モードに入ってきたということは良いことである。

    「進め朝鮮よ、並進路線で前に」:新しく出た歌、米中韓外交、日本の靖国参拝、開城工団 (2013年4月25日 「朝鮮中央TV」)

    今朝から、「労働新聞」と「中央通信」への接続がほぼできなくなっている。「労働新聞」には「核と平和」なる「政論」が出ていて読みたいと思っているのだが、記事への接続ができない。uriminzokkiriも朝一時的に復活していたが、再び接続不能な状態に陥っている。

    今朝は、北朝鮮の休日となので朝9時から「朝鮮中央TV」の放送をしている。ずっと眺めているのだが、特別な内容のものはない。1時間ぐらい前には、朝鮮人民軍創建60周年の時の記録映画を再放送していた。例の金正日さんの北朝鮮でテレビ放送された「英雄的朝鮮人民軍将兵たちに、栄光あれ!」という唯一の肉声が収録させている記録映画である。こちらも、既に何回か見たので横目で眺めていたが、苦難の行軍に入っていく前の映像なので、人民軍兵士の中に背が低い人はほとんど見られない。

    北朝鮮系メディアが全滅しているので、米国や中国のサイトを見ながらコメントを残したりしていた。China Daily.comでは、「新華社」の記事を引用しながら韓国の尹炳世外相と中国の李克強首相と会談をし朝鮮半島の非核化に向けて協力をしていくことを確認したというニュースを伝えている。また、中国のウ・ダウェイ朝鮮半島担当特使がワシントンを訪問してグリン・デービス米国務省対北朝鮮政策特別代表などと会談をしたことを伝えながら、「静かな外交が進展している」と北朝鮮問題解決に向けて米中韓が接触をしていることを伝えている。ウ・ダウェイさんとデービスさんが具体的にどのような話をしたのかは、米国務省定例記者会見でも「協力していくことで合意」以上の内容については明らかにされていない。今後、ウ・ダウェイさんが北朝鮮訪問をするかどうかが焦点となるが、するにしても米韓合同演習終了後ということになろう。

    China Daily.com, "Chinese premier meets ROK foreign minister", http://usa.chinadaily.com.cn/china/2013-04/24/content_16446923.htm
    China Daily.com,"Beijing vows to continue easing Korean tensions", http://usa.chinadaily.com.cn/china/2013-04/25/content_16447136.htm
    China Daily.com, "Envoy's visit excites hope of DPRK talks", http://usa.chinadaily.com.cn/epaper/2013-04/23/content_16438413.htm
    U.S. Department of State, "Daily Press Briefing", http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2013/04/207905.htm#DPRK

    北朝鮮は、昨年、3回目の核実験を思いとどまらせるために北朝鮮を訪れようとしたウさんの訪問を拒否したと伝えられている。今回、北朝鮮がウ訪問に対してどのような回答を出すかは分からないが、「朝鮮中央通信」が正常稼働していた昨夜、同通信の記事を見ていて、中国、それも中国政府や人民解放軍の動向を伝える記事が増えているのではないかと思った。対内向けの「労働新聞」でも同様の傾向が見られるのか確認したかったのだが、サーバーが重く関連記事を抽出することができなかった。詳しく調べてみる必要はあるが、中国関連の報道を北朝鮮が再開しているとすれば、水面下で中朝交渉が行われ両国関係が修復に向かって動き出している可能性もある。

    The Voice of Russia「日本語版」、 「北朝鮮 核実験に関する交渉のための中国特使の受け入れを拒否」、http://japanese.ruvr.ru/2013_02_07/103894448/

    日本はといえば、安倍内閣閣僚の靖国参拝を巡り韓中との間で摩擦が生じている。安倍さんは独自の歴史観を表明したりしながら、韓中に「北朝鮮問題での協力」を呼びかけているが、北朝鮮問題解決にどれほどのプライオリティーをおいているのか疑わしい。確かに、北朝鮮の脅威を煽りながら日本の軍備強化や日米同盟関係強化などを目指していはいるものの、実は北朝鮮の脅威は口実に過ぎないような気がしてならない。もし、北朝鮮の脅威に本当に対処しようとするならば、そして彼が主張するように「飴と鞭」を使いながらしようとするのであれば、韓国や中国との協力を阻害するようなことは敢えてしなかったのではないだろうか。日本は米国と協力していれば全て上手くいくというのが彼の認識なのかもしれないが、その米国ですらそんな安倍政権に一抹の不安を感じているはずである。安倍さんが中韓に対して靖国参拝と北朝鮮問題でトレードをしようとしたのであれば、それは全く間違った認識である。中韓にとっては、北朝鮮問題と性質は異なれどその重要性においては靖国参拝問題も全く変わらない。特に、誕生直後の両国の政権にとっては、対内的に絶対に譲れない問題である。

    韓国・統一部の開城工業団地に関する話し合いを再び北朝鮮側に求めた。その内容は以下のとおり。

    1.北朝鮮の4月3日の開城工団に対する一方的通行遮断と、4月8日の開城工団暫定中断措置以後、開城工団に在留している我が方人員は、食材・医療品などの不足により深刻な状態にあり、投資企業も大きな被害と苦痛を被っている。

    2.韓国政府は、何よりも在留中の我が国民が置かれている人道的問題を解消することが至急であるという認識のもと、昨日(4月24日)、我が方の開城工業地区管理委員長と北朝鮮中央特区開発指導総局長間の面談を提起し、次のような事項を要求した。

    ・開城工団の問題解決のためには、まず北朝鮮の最小限の措置が必要である。
    ・特に、我が方人員の人道的問題を解消するための医療陣と食材の運送のための最少人員の訪北を北朝鮮側が認めなければならない。

    3.しかし、北朝鮮は、こうした我が方の面談提起を拒否し、我が方の要求事項を盛り込んだ書面文献の受け取りさえも拒否した。

    ・北朝鮮が開城工団の我が方勤務者のための最低限の人道的措置を拒否したのは、非常に遺憾である。

    4.こうした状況のまま現在の開城工団状況を長期的に放置することはできない。

    5.したがって、我が政府は、今日(4月25日)、開城工団勤務者の人道的問題解決と開城高弾性浄化のための責任ある南北当局間の実務会談開催を北朝鮮当局に対して公式に提案する。

    ・北朝鮮当局に対して明日(4月26日)午前までに我々の当局間実務会談提案に対する立場を回答するよう要求する。

    6.開城工団が安定的に維持・発展しなければならないという我が政府の確固たる立場は変わらないが、北朝鮮が今回、我が方が提案している当局間会談さえ拒否するのであれば、我々としては重大な措置を取らなければならないと言うことを明らかにしておく。

    北朝鮮が「人道」に乗ってくるのか「重大な措置」に反発するのかはまだ分からない。また、韓国側が挙げる「重大な措置」が実際に何を示しているのかも分からない。韓国としても開城工団に残っている人々が心配なのであろうが、人道的というのであれば彼らを撤収させれば良いだけの話である。北朝鮮も出て行くことは禁止していない。しかし、そうなるとますます再操業が難しくなるので彼らをなんと残留させ、ギリギリの提案をしているのであろう。いずれ、北朝鮮が回答を出すであろうが、現状、「中央TV」以外ではフォローできなくなってしまっている。

    統一部、「統一部スポークスマン声明」、http://www.unikorea.go.kr/CmsWeb/viewPage.req?idx=PG0000000344&boardDataId=BD0000225492&CP0000000002_BO0000000027_Action=boardView&CP0000000002_BO0000000027_ViewName=board/BoardView

    そんなことを考えながら「朝鮮中央TV」を見ていたら「新しい歌」が流れた。今日の放送が初回かは分からないが、相当に「新しい歌」であることは間違いないので紹介しておく。マーチのような曲である。

    「進め朝鮮よ、並進路線で前に」
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    Source: KCTV、2013.04.25放送

    「進め朝鮮よ、並進路線で前に」
    作詞:ユン・ドゥグン
    作曲:チン・クォン
    編曲:チプ・チェ
    独唱:チャン・ヒョンオク
    出演:銀河水管弦楽団
    指揮:李・ミョンイル

    1.
    進め朝鮮よ、並進路線で前に
    輝かしい太陽旗の祝福を受け
    白頭山大国は進撃していく
    進め朝鮮よ党中央の呼びかけに従い
    経済と核戦力、並進、並進前に

    2.
    この地に侵略の敵がいる限り
    我々が進む道はこの道だけ
    進め朝鮮よ必勝の信念を高く抱き
    経済と核戦力、並進、並進前に

    3.
    経済を建設して幸福を謳歌する
    核兵器を生産し運命を守る
    進め朝鮮よ世界に声高々と
    経済と核戦力、並進、並進前に

    進め朝鮮よ党中央の呼びかけに従い
    経済と核戦力、並進、並進前に

    「みんな春期衛生月間事業に力強く立ち上がろう」 (2013年4月21日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」で「春期衛生月間」についての啓蒙番組をやっていた。この番組は、日本でいえば「政府広報のコマーシャル」のようなもので、繰り返し放送されている。北朝鮮社会を知るヒントになりそうなので紹介しておく。

    「みんな春期衛生月間事業に力強く立ち上がろう」
    20130421 kctvasf_000838859
    Source: KCTV, 2013.04.21日放送より

    ナレーション:3、4月は春期衛生月間である。春期衛生月間は、全ての人民が時代発展の要求に合った文明的な条件と環境で社会主義の生活を心ゆくまでできるようにという党の大きな恩情で策定された、全国家的、全人民的な衛生改造事業期間である。
    20130421 kctvasf_000868255
    Source: KCTV, 2013.04.21日放送より

    ナレーション:通りや町、職場や生活環境を美しく整備することは、社会主義文明国家建設の重要な要求であることを自覚し、みんなこの事業に積極的に立ち上がらなければならない。
    20130421 kctvasf_000880500
    Source: KCTV, 2013.04.21日放送より

    ナレーション:都市と農村では、例年とは違い雪がたくさん降り、寒さも厳しかったので、冬の痕跡をきれいに修復する事業に力を入れ、全ての公共衛生施設を完璧に補修しなければならない。
    20130421 kctvasf_000894247
    Source: KCTV, 2013.04.21日放送より

    ナレーション:工場や企業では、環境保護や労働保護施設をはじめとした文化的で安全な生産条件を作り、樹林化・原林化を実現し、工場の外を公園のようにしなければならない。
    20130421 kctvasf_000911263
    Source: KCTV, 2013.04.21日放送より

    ナレーション:全ての部門と全ての単位の幹部と勤労者は、汗を流しながら建設と創造をし作った我々の都市や村、公園や遊園地が継続的に輝くようにしなければならない。
    20130421 kctvasf_000919538
    Source: KCTV, 2013.04.21日放送より

    ナレーション:敬愛する最高司令官同志の人民を愛する意を高く頂き、人民軍人の献身的な闘争と努力で作られた公園や遊園地を埃一つないよう、しっかりと管理しなければならない。
    20130421 kctvasf_000937923
    Source: KCTV, 2013.04.21日放送より

    ナレーション:集団主義に基づく我々の社会では、文明的な生活環境を作る人とその環境を満喫する人が別々にいるということはありえない。
    20130421 kctvasf_000943295
    Source: KCTV, 2013.04.21日放送より

    ナレーション:幹部の思想感情と事業の気風、仕事の態度が、全てを決定する。
    20130421 kctvasf_000955173
    Source: KCTV, 2013.04.21日放送より

    ナレーション:我々の幹部は人民に親しく接し、人民の利益と便宜のために自分の血、肉、骨を惜しみなく与え、人民の幸福を創造し、作り出さなければならない。
    20130421 kctvasf_000966851
    Source: KCTV, 2013.04.21日放送より

    ナレーション:誰もが熱い愛国の心を一つにし、品種の良い木をもっとたくさん植え、新品種の芝を広く植えて、国全体を緑の森に覆われた人民の楽園にすることに積極的に立ち上がらなければならない。
    20130421 kctvasf_000981733
    Source: KCTV, 2013.04.21日放送より

    ナレーション:洞や人民班では、道路や壁などの周辺施設をピカピカにして、あちこちにある公園や遊戯施設に損傷があるものをなくすだけではなく、よりよく作りなおさなければならない。
    20130421 kctvasf_000991409
    Source: KCTV, 2013.04.21日放送より

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    Source: KCTV, 2013.04.21日放送より

    ナレーション:家庭では、家の周りを文化・衛生的によりにして、植木鉢の管理もきちんとして、町ごとに社会主義風景が展開されるようにしなければならない。
    20130421 kctvasf_001009960
    Source: KCTV, 2013.04.21日放送より

    ナレーション:全ての住民がそれぞれの衛生状態ををきちんと管理し、服装を先軍時代の要求に合うように健全かつ高尚な民族民族的情緒にあったものにしなければならない。
    20130421 kctvasf_001014197
    Source: KCTV, 2013.04.21日放送より

    ナレーション:みな、愛国の心を一つにして自分が暮らし、仕事をする通りや町、職場を先軍時代の要求に合うように立派にして、社会主義文明国建設に積極的に貢献しましょう。
    20130421 kctvasf_001037620
    Source: KCTV, 2013.04.21日放送より

    uriminzokkiriでは、こうした番組間に流される「広報」類はアップロードされないが、生放送を見ているとこうした番組まで見られるのでおもしろい。

    「朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマン談話」:米「2012年人権報告書」の評価に反発 (2013年4月23日 「朝鮮中央通信」)

    今のところ「朝鮮中央通信」HPは正常に動いている。「労働新聞」HPも若干重いが、30分ほど前から今日の記事が見られるようになっている。昨日までは、トップページの写真が一部表示されないなどの障害があったが、現時点では両サイトとも問題ない。この障害について北朝鮮はまだコメントを出していない。uriminzokkiriについては、依然として接続不可の状態が続いている。

    「朝鮮中央通信」が、昨日表題のような記事を配信した。米国務省が「2012年 人権報告書」の中で北朝鮮の人権状況について厳しく指摘していることに反発したものである。

    Bureau of Democracy, Human Rights and Labor, Department of State, "Country Reports on Human Rights Practices for 2012", DPRK, http://www.state.gov/documents/organization/204420.pdf

    同報告書を一通り読んでみたが、基本的には昨年記事にした「国連人権委員会」の報告書の内容と変わっていない。金正恩政権になってからの変化としては、中朝国境での脱北者取り締まり強化、12年制義務教育制度導入などが挙げられているが、外国人の携帯電話持ち込みについては依然として「空港預かり」になるという記述もあり、北朝鮮のSIMを挿入することで北朝鮮国内での使用が可能になったという点はフォローしていないようである。携帯電話についてこの報告書を読みながら思ったのは、北朝鮮SIMを挿入(購入)することを持ち込みの条件としているのか、それとも携帯電話の持ち込み自体を許可しているのかは分からない。私が北朝鮮当局者であるとすれば、SIMの「挿入」を条件とし(場合によっては、海外のSIMは預かりとして)、SIMを抜けないように封印し、出国時にその封印が破られていないか確認の上、海外のSIMを返却するという方法を取るであろうが、実態については伝わってきていない。拙ブログにもiPhoneを使った接続と思われるKP-Starプロバイダーからのアクセスが確認されているが、もしかすると在朝外国人(中国人?)によるものなのかもしれない。

    話がそれてしまったが、米国務省報告書に書かれているのは、北朝鮮憲法など、法制上は人権問題にならないようよく整備されているが、実態が法制上の規定と大きく乖離しているということである。もちろん、その実態についてはNGOや研究機関の報告、またはこれらのグループによる脱北者からの聞き取り情報に依拠しているので、どこまで正確なのかは分からないし、現状ではそれ以上の実態解明が難しい状況であろう。

    北朝鮮は、同「談話」の中で「結局、米国の『人権』騒ぎは、我が人民が選択した社会主義制度を崩壊させようとする対朝鮮敵対視政策を実現するための陰謀的手段」であると非難した上で、「敬愛する金正恩元帥様の周りに千万軍民が一心団結しており、現代的な自衛的核抑止力を保有する我々式の社会主義社会には、米国が念仏のように唱える『人権』は絶対に通用しない」と米国を非難している。

    今更という感もあるが、そもそも北朝鮮では「金正恩元帥様の周りに千万軍民が一心団結」した「社会主義制度」の上に「人権」があるわけで、「一心団結」や「社会主義制度」に反対しようとすること自体が「千万軍民」の人権を侵害する行為と捉えているのであろう。だから、憲法やその他の法律にある立派な「人権」規定もこの条件において適用されるという解釈なのであろう。

    ちなみに、日本の主要な人権問題については、起訴前の逮捕・拘留、子供に対する搾取、就職における女性に対する社会的差別、非嫡出子の人権、少数民族の人権、障害者の人権、永住者を含む外国人の人権などが指摘されており、刑務所や拘置所の基準以下の状態、検察権の誤用、報道の自粛、汚職、女性に対する家庭内暴力及びセクシャル・ハラスメント、人身売買、外国人企業研修生に対する搾取なども挙げられている。

    Bureau of Democracy, Human Rights and Labor, Department of State, "Country Reports on Human Rights Practices for 2012", Japan, http://www.state.gov/documents/organization/204416.pdf

    米国務省による他国に対する「評価」だからであろうが、米国に対する評価はこの報告書には含まれていない。「人権蹂躙の親分」と北朝鮮に言われないよう、米国も自己評価をした方がよい。

    『労働新聞』、「조선민주주의인민공화국 외무성 대변인담화」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-24-0038&chAction=L

    北朝鮮官営ウェブサイト集中攻撃受ける?、報復、「対応措置」でスカッド発射? (2013年4月23日)

    21日ぐらいからであろうか、「朝鮮中央通信」、「労働新聞」、「ウリミンジョクキリ」全て、接続が非常に困難になっている。この記事を書いている時点では、全てが接続不可の状態である。ここ数日間、「中央通信」と「労働新聞」については、接続できたとしても非常に動きが重く、一つの記事を開くのにとても時間がかかるか、開けない状態である。「ウリミンジョッキリ」はもっと深刻で、ほぼ継続的に接続すらできない状態である。

    実は、週末頃、北朝鮮が米国のメディアが同国とボストン爆弾テロの関連を指摘したことについて非難したという「時事通信」報道があり、そのオリジナルソースを読もうと「中央通信」の記事を見に行ったところ、動作が非常に遅くなっていた。ボストンマラソン爆弾テロ事件については、拙ブログにも書いており、追ってそのフォローアップをしようと思ったのだが、その後、同通信のHPの挙動がおかしく、その記事を再び開くことができていない。

    幸い、教えて頂いた「朝鮮中央TV」の生放送は見ることができているので、「20時報道」などで何が起きているのかは大体把握できるのであるが、テレビ放送されない記事もたくさんあるので、「中央通信」と「労働新聞」が読めないのは非常に痛い。

    北朝鮮側がハッカー攻撃を受けているということを主張しているのかどうかは、これらサイトに接続できなくなっているので不明であるが、中国にある「ウリミンジョッキリ」だけではなく、北朝鮮国内にサーバーが置かれている「中央通信」と「労働新聞」が攻撃にさらされているとすれば、深刻だ。

    米韓は、「トクスリ」軍事演習の上陸訓練をメディアに公開するなどして、北朝鮮の「対話条件」を拒否する強硬姿勢を見せているという報道もあったが、北朝鮮に対するサイバー攻撃訓練も行っているのであろうか。そうでないとすると、北朝鮮が自作自演でサイバー攻撃状態を演じ、「トクスリ」演習の一環か「3.20ハッキング攻撃事件」(これなど、ちょうど1ヶ月後のこの時期にまさにありそうなのだが)への報復で米韓が北朝鮮サーバーを攻撃していると主張、それに対する「対応措置」を取るという動きに出る可能性もある。

    過去記事に、4月25日の「建軍節」(人民軍創軍記念日)前後にスカッド短距離ミサイルを発射する可能性について書いたが、元山付近でスカッド搭載車両の動きが確認されているということもあり、その可能性が高まっているような気がする。

    だとすれば、ここ数日の動きは中止しなければならない。日本のメディアでは、北朝鮮が「内閣拡大会議(?)」を招集したという話もあるが、それすらオリジナルソースで確認できていない状況である。

    <追記>
    「毎日新聞」によると、「朝鮮新報」もハッカー集団の攻撃を受け、メルアドなどが流出したとのことである。「朝鮮新報」は、現在接続不能の状態となっている。

    『毎日新聞』、「<朝鮮新報>ハッカー被害 3600人分アドレスなど流出」、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130423-00000026-mai-int

    「強くて特別な関係」:ケリー国務長官訪中 (2013年4月18日 「China Daily.com」)

    ケリー訪中関連の記事がChina Daily.comに出ていた。訪中前の米国務省定例記者会見で、同省報道官はケリー訪中の重要な目的は北朝鮮問題について中国指導部と話し合うことであるとしていた。それを示すかのように、会談後にケリー国務長官は、北朝鮮問題について中国と協力しながら対処していくというようなコメントを出していた。一方、ケリー訪中に関する中国側のコメントはChina Daily.comではこれまで見られなかったが、この記事にはかなり具体的に書かれている。興味深い点は、北朝鮮問題のプライオリティーが低いことである。

    タイトルの記事は「ケリー訪中は、米中関係を強固なものとし、朝鮮半島の緊張緩和のための中米協力を強化した」という書き出しで始まり、ケリー訪中の目的を「第一に、中米首脳の実務関係を確立すること、第二に、確固かつ強力な特別な中米関係を構築すること、第三に、朝鮮半島の安全保障について中国と話し合うこと」と朝鮮半島問題は、三番目の目的としている。つまり、ケリー訪中は、あくまでも米中関係について話し合うことであり、その枠組みの中で北朝鮮問題についても話し合うという扱いであろう。

    記事では「朝鮮半島の緊張は警戒水位に達しており、緊張を緩和し、朝鮮半島の非核化を進展させるのかという問題は、明らかにケリー訪中の最も重要なアジェンダであった」と北朝鮮問題が米国にとってはトップ・プライオリティーであったことも認めている。

    米国側の要請を受けてであろうが、「4月22日から29日の間に、米国務省副長官のジョセフ・バーンズが中国を訪問し、北朝鮮問題について中国側とより突っ込んだ話し合いをする」と報じている。

    一方、同記事では「ケリーが米国のアジア・太平洋リバランシング戦略について言及しなかった」とし、「米国は軍事面に重点を置いているので、リバランシング戦略は憂慮せざるをえなくなっている」と米国のリバランシング戦略を批判し、「ケリーも今回の歴訪中にいっているように、オバマ政権は、北朝鮮が核開発計画を放棄すれば、米国はアジア防衛のためのミサイル防衛能力を削減することで、リバランスのリバランスをする」と述べている。

    China Daily.com, "A strong and special relationship", http://www.chinadaily.com.cn/opinion/2013-04/18/content_16417479.htm

    中国外務省報道官は、ケリー訪中に先だつ17日、「我々は国連決議に従い、関連する国際的義務を尊重する」と述べ、「国連決議は明確であり、中国は国連安保理の常任理事国であり、国際社会の責任あるメンバーである」と強調している。

    China Daily.com, "China honors UN resolution on DPRK", http://www.chinadaily.com.cn/china/2013-04/17/content_16416424.htm

    中国は、米国が「北朝鮮の核・ミサイル」を口実に東アジアの同盟国におけるミサイル防衛能力を強化していることに明らかに神経質になっており、北朝鮮にどのように対応するのかを巡り米国との協力関係を強調しつつも、厳しい交渉をしているのではないかと思われる。

    「朝鮮民主主義人民共和国国防委員会政治局声明」:3つの対話条件提示、米国の反応 (2013年4月18日 「労働新聞」)

    タイトルの記事は、既に2日前の「労働新聞」に掲載されており、日本のメディアでも広く伝えられている。米国や韓国には「受け入れられない」と一蹴されているが、記録しておくべき提案である。以下、その概要。

    「声明」では、この北朝鮮からの逆提案を出す背景として「事態の深刻さに慌てた米国大統領オバマは、去る4月11日、朝鮮半島で戦争が勃発するのを願わないと言い、対話と交渉を通じた外交的な事態収拾の意志を明らかにした」ことを挙げている。

    続けて韓国についても「親分の後に続くのが習慣化した青瓦台の主人も傀儡統一部長官に『声明』なるものを発表させ、自分の口で現時点では対話も特使派遣もないと言い、対決局面を造り出すことだけに奔走していた態度を一変し、突然『難局収集のための当局の対話提起』なるものを発表した」とし、「このようにほぼ時を同じくして親分と手下が選択した対話は、軍事的威嚇や『制裁』では、我が共和国をどうすることもできないという結論が導いた政策的決断である」と、挑発競争で米韓が北朝鮮に敗れ、対話を求めて来たという認識を示している。

    こうした米韓の対話提案に対して、一義的には「本当に対話と交渉に関心を持ち、それにより朝鮮半島に造成された険悪な情勢を収集するための妥当な政策的決断をしたのであれば、それほどに幸いなことはない」と歓迎している。

    しかし、米韓が対話の条件として「我々が今まで行ってきた、いわゆる『挑発』的な言動を中止し、非核化実現とミサイル発射中断の意志をまず示さなければならないというとんでもない対話の前提条件」を付けていると非難している。また、「誰かと合意したかのように『先南北対話、後北米対話』を既成事実化し」ているとも主張しているが、オバマさんのスピーチにはそのような語句は見当たらない(韓国・統一部「声明」は未確認)。

    the WHITE HOUSE, "Remarks by President Obama and U.N. Secretary General Ban Ki-moon After Meeting", http://www.whitehouse.gov/the-press-office/2013/04/11/remarks-president-obama-and-un-secretary-general-ban-ki-moon-after-meeti

    もちろん、「先南北」というがこれまでの米国の基本的姿勢ではあったが、昨年の「2.29合意」を見る限りでは、かならずしもそれを絶対条件とはしていないようだ。

    「声明」では、上記の条件を前提として「朝鮮民主主義人民共和国国防委員会政治局は、事態の真相をそのまま明らかにし、我々の原則的立場を内外に再び鮮明にする」として、次のような認識を示している。

    1.朝鮮半島を挑発により今日のような緊迫した状態に至らせた基本的な責任は米国とその追従勢力にある。
    2.それにもかかわらず、米国は北朝鮮を挑発者呼ばわりしている。
    3.事の発端は、米国が北朝鮮の「平和的な衛星発射」を「ミサイル発射」と決めつけたことにある。
    4.ロケット発射を受けて出された制裁決議は、北朝鮮に対する「世界的な孤立圧殺策動に導こうとする、米国と南朝鮮傀儡どものより露骨な挑発の序幕」である。
    5.それだけではなく、「各種の核打撃手段まで南朝鮮とその周辺水域に持ち込み、全面的な軍事的挑発の水位を最も危険な核恐喝段階に高めた」。
    6.「我々は、一度も米国の衛星発射をミサイル発射と問題視し、それを名分に国連制裁決議のようなものを引き出そうとしたことはなく、我々の最精鋭武力を米国の近海に展開させ、米国を威嚇したり恐喝しかことはない」。
    7.こうした事実からして、北朝鮮を「挑発者」呼ばわりするのは、「白昼強盗」の論理である。
    8.「米国が我々に対話の前提条件として『非核化の意志』を示せと騒ぎ立てているが、これも我々に対する一つの挑発である」。
    9.「朝鮮半島の非核化は、昔も今も我が軍隊と人民の変わりない意志である。90年代初め、北と南が採択した非核化共同宣言も我々のこうした意志から発議、制定された民族共同の宣言である。しかし、米国は傀儡共と共謀し、南朝鮮とその周辺地域に核兵器を持ち込み、我々に対する威嚇、恫喝の度合いを高めはじめたので、こうした貴重な宣言がゼロになってしまった」。
    10.「米国の対朝鮮敵対視政策と、このような核恫喝に対処し、やむを得ず保有することになったのが我々の正当な自衛的核戦力である」。
    11.「我々の核戦力は、米国を含む世界の非核化が実現するときまで、国の自主権と最高利益を守り、我が共和国を狙った侵略の本拠地を報復打撃するための最も強力な手段であり、我が軍隊と人民の手中に握りしめられ続けられる」。
    12. 米国と韓国は、北朝鮮の強硬な態度を「後継体制強化」や「カリスマ性強化」などと主張しているが、これこそが「政治的挑発」である。

    そして、「米国と南朝鮮傀儡は、朝鮮半島の現情勢を険悪にした歴史的責任を免れ、我が軍隊と人民の強硬対応の鉄槌を避けようという考えが少しでもあるならば、そして本当に対話と交渉を望むのであれば、次のような実践的な措置を取る英断を下さなければならない」とし、3つの条件を提示ししている。

    1.「デッチあげた国連安保理『制裁決議』を撤回する措置を取らなければならない」。また、「これまで、我々に反対し、行ってきた全ての挑発行為を即時中止し、全面謝罪しなければならない。これこそが我々に送る善意の糸口となる。南朝鮮傀儡共は『天安』号沈没事件と『3.20ハッキング攻撃事件』のような、自分の家の中の不祥事を『北関連説』とデッチ上げて展開している全ての反共和国謀略騒動を即時中止しなければならない」。
    2.「再び我が共和国を威嚇したり恫喝する核戦争演習を行わないということを世界に対して正式に約束しなければならない」。
    3.「当面、南朝鮮とその周辺地域に持ち込んだ核戦争手段を全面的に撤収し、再投入する試みを断念する決断をしなければならない。米国が持ち込んだ核戦争手段が撤収されることから、朝鮮半島の非核化が始まり、世界の非核化に繋がるということを肝に銘じなければならない」。

    「声明」は、「朝鮮半島の情勢は、東北アジアだけではなく、世界の平和と安全に直結している」とした上で、「米国とその追従勢力の今後の動きを注視する」と結んでいる。

    『労働新聞』、「조선민주주의인민공화국 국방위원회 정책국 성명」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-18-0061&chAction=L

    一見、北朝鮮の正当性を主張しながら無理難題を並べ立てているようにも見えるが、よく見ると北朝鮮の態度の軟化が垣間見える。

    まず、冒頭で米韓が対話を望むならば「それほどに幸いなことはない」と述べている点である。核実験以降の北朝鮮の「超強硬対応」状況では、「戦争状態なのだから、対話などする必要はない」と強く主張していた。つまり、結果は対話によってではなく戦争によってのみ得られるという主張である。ただし、この「声明」では、結果を得るための選択肢として「対話」もあり得ることを認めている。また、「先南北」という「韓国との対話をしなければ米国との対話はない」という米国の姿勢に不満を示しつつも、決して韓国の対話をしないとは述べていないばかりか、「韓国が対話を望んでいる」と対話の対象に韓国を含めている。北朝鮮が依然として米朝対話を最重要視していることは変わらないが、現実的な問題、特に開城工業団地の問題を巡り韓国と対話を始めなければならないと強く認識していることの表れであろう。

    第二に、上記「北朝鮮の主張」9にある「朝鮮半島の非核化は、昔も今も我が軍隊と人民の変わりない意志であ」るが、「こうした貴重な宣言がゼロになってしまった」という部分である。今年の1月26日に発表された「祖国平和統一委員会声明」で北朝鮮は、「今後、北南間にこれ以上非核化論議はない」し、「1992年に採択された『朝鮮半島の非核化に関する共同宣言』の完全白紙化、前面無効化を宣言する」と言っていた。今回の声明が内容的にこれから大きく変わったわけではないが、明らかに「朝鮮半島非核化」についての価値判断とその状況についての認識に変化が見られることが分かる。北朝鮮の公式報道では、一度使った表現を繰り返しそのまま使う傾向があるので、このような些細な変化も注意しておく必要がある。

    第三に、1つめの対話の条件として、韓国に全面謝罪を求める事件に「3.20ハッキング攻撃事件」が含まれている点である。並記されている「天安号」については、検証過程で様々な疑惑が発生したにもかかわらず、韓国軍人の人命が奪われた事件なので韓国側としても対応が難しいであろう。しかし、「ハッキング攻撃事件」では人身に関わる被害は発生していない。これによる経済的損失がどれほどであったのかは分からないが、例え大きな損失があったとしても韓国世論はそれほど敏感ではないであろう。また、同ハッキング事件の調査過程でも韓国側はいくつかの誤発表をしているし、結論についての信憑性もどこまで保証できるのかははっきりしない。そうであるとすれば、ある意味、「ハッキング攻撃事件」を「犠牲」にして、誤発表について謝罪をして謝罪問題の当面の決着を付けることもできるのではないだろうか。

    第四に、2つめの対話の条件として「再び我が共和国を威嚇したり恫喝する核戦争演習を行わない」と「核戦争演習」と限定している点も注意する必要がある。もちろん、北朝鮮が全ての演習を「核戦争演習」と決めつけているということもあるが、今回は「B-52やB-2」と核爆撃能力があるステルス爆撃機を挙げながら北朝鮮は「核戦争演習」といっているので、米国がこれらを朝鮮半島に持ち込まないという約束をすれば、北朝鮮の面子も立つ。そもそも、今回米国がこれらの爆撃機を朝鮮半島に飛来させたのは、北朝鮮の核威嚇に対応するための措置であり、米国のいう「定例の防衛的演習」の範囲を逸脱するものであることは間違いない。

    第5に、3つめ対話の条件として「米国が持ち込んだ核戦争手段が撤収されることから、朝鮮半島の非核化が始まり、世界の非核化に繋がる」といっている点である。「声明」の中では「非核化が実現するときまで」核は放棄しないとも述べているが、この条件では「朝鮮半島からの撤収」と非核化の地域を朝鮮半島に限定している。国際社会が求めている「北朝鮮が核を放棄した上での対話」ではないものの、「世界に非核化」などという実現不可能な条件を付けずに、地域を朝鮮半島に限定してきたのであれば、これも対話の意思の表れと読み取れる。

    ところで、この「声明」が出されるタイム・シーケンスがなかなか興味深い。「Yahoo!ニュース」に準拠したインターネットニュースを見ると、日本での報道では、『時事通信』の「全面謝罪、制裁撤回要求=米韓との対話に条件―北朝鮮」(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130418-00000052-jij-kr)という記事が18日11時16分に最も早く配信されている。この時点では、ウェブ版「朝鮮中央通信」ではこのニュースは配信されていなかった。ウェブ版の「朝鮮中央通信」の記事にはタイムスタンプは付けられていないが、18日にこの「声明」が「速報」として掲載された(掲載タイミングはは不明)。また、韓国・統一部の「朝鮮中央TV」番組表を見ると、この「声明」が放映されたのは18日15時9分となっている。『時事通信』は、何をソースにしたのか分からないが、非常に早い報道であった。

    また、ホワイトハウスもこの「声明」をうけて、副報道官が記者の質問に答えている。この記者会見はボストンに向かうオバマさんを乗せたエアフォース・ワンの中で行われたものであるが、副報道官は記者に「声明」についてのコメントを求められ、「大統領とこのことについてまだ話はしていないが」と前置きした上で、「米国は真摯で信頼のできる2005年9月の六者会談の決定事項を実行するための交渉の扉はいつでも開けている」と述べる一方で、「まだ、北朝鮮は我々にそうしたはっきりとしたシグナルを送っていない」と述べている。オバマさんが北朝鮮の提案をそのまま受け入れることなどあり得ないが、対話ということを前提に注目をしていることはこの受け答えから感じられる。

    the WHITE HOUSE, "
    For Immediate Release
    April 18, 2013
    Press Gaggle by Principal Deputy Press Secretary Josh Earnest Aboard Air Force One en route Boston, MA
    Aboard Air Force One En Route Boston, Massachusetts", http://www.whitehouse.gov/the-press-office/2013/04/18/press-gaggle-principal-deputy-press-secretary-josh-earnest-aboard-air-fo

    ちなみにこのニュースは、日本時間の18日22時35分にリリースされている。上に書いた、報道のタイミングからしても実に早い。

    「国際陸上連盟-第26回万景台賞マラソン競技大会開催」 (2013年4月15日 「労働新聞」)

    外国公館員の退去を勧告し、ミサイル発射を臭わせておきなが国際マラソン大会をやるとは、という記事が日本のメディアでも流されていたが、マラソン大会のフォローアップは全くない。15日付けの「労働新聞」にマラソン大会についての記事が出ていたので紹介しておく。なお、昨夜21時40分頃から「朝鮮中央TV」では「<体育競技ニュース>国際陸上連盟-第26回万景台賞マラソン競技大会 -男子-」と題する番組が放送されていた。他事をやりながら見ていたが、放送車を選手と併走させるなど、なかなかの放送であった。

    「労働新聞」によると、競技は14日に開催され、開会式には労働党中央委員会秘書・郭範基さんなど、朝鮮労働党の幹部も出席したが、国家体育指導委員会委員長の出席はなかった。

    開会式には、北朝鮮、ウクライナ、イタリア、南アフリカ、ジンバブエ、ケニア、ナミビアなど10の国と地域の選手が参加した。

    マラソン競技には、600名余りの男女マラソン選手が参加した。競技では、エチオピアのネガサ・ケティマ・ベケルラ選手(男子)と北朝鮮の金ミギョン選手(女子)がそれぞれ1位に、ウクライナのウルレックスサンドル・マトゥビチュク選手(男子)と北朝鮮の金ヘギョン選手(女子)、3位にはルワンダのムブエクレ・チン・ピエレ選手(男子)とエチオピアのビル・メセレトゥ・メンギストゥ選手(女子)であった。

    2013-04-15-06-01.jpg
    Source: 『労働新聞』、「국제륙상련맹-제26차 만경대상마라손경기대회 진행」、
    http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-15-0023&chAction=D

    <追記>
    記事を書いたこともあり、今、「朝鮮中央TV」が放映中のマラソン女子を見ている。見ていて気がついたのは、このマラソンは10キロ区間を4周し、残りの約2.195キロを走ってゴールする。42.195キロを周回することなく走らせるようなコースを確保することができないのだろうか。周囲の環境や道路の舗装状態など、色々と障害があるのかもしれない。

    このマラソンには朝鮮人民は動員されていないのか、沿道で応援をする人はほとんどいない。ロケット科学者や核科学者が平壌に来たときとは全く違う様相である。沿道には普通に歩いている人や何となく立ち止まってマラソン選手を見る人がバラバラと映っている。しかし、動きが速い動画なので、ストリーミングでは画質が相当に悪い。

    女子1位になった金・ミギョンさんには男性コーチが併走しており、金選手に声を掛けている。マラソン競技のルール上、このようなことが許されるのかは分からない。

    「南朝鮮当局は、開城工業地区を危機に追いやった責任から絶対に免れられない 中央特区開発指導総局 忘備録」 (2013年4月17日 「労働新聞」)

    17日付けの「労働新聞」に表題のような記事が掲載された。今の事態を招いたのは全的に韓国側の責任であるという前提に基づく北朝鮮側の主張ではあるが、開城工業団地開設から現在に至るまでの彼らの認識が反映されているので訳出しておく(長文なので、指導者に付く敬称や尊敬語は省略)。


    開城工業地区は、金正日将軍が南朝鮮のある企業家の統一愛国の意が貴重であると考え、崇高な民族愛と同胞愛の見地から大英断を下したことにより、和解と協力、統一の象徴として建設されることになった。

    金正日将軍は、1999年10月と2000年6月、南朝鮮の現代グループの名誉会長である鄭周永を親しく接見し、共和国北半部地域に来たと南が協力する経済特区を一つ建設させてくれという彼の要請を受け入れた。

    将軍は、良い意見であるといい、北南双方の武力が激しく対立している軍事境界線一帯であるが、地理的に南側と隣接した開城が良いと言い、開城の広い地域を経済特区の敷地として自ら指定し、一度上手くやってみろと自信まで付けてくれた。

    将軍の恩情に満ちた配慮により、2000年8月、朝鮮アジア太平洋平和委員会と現代の間に「工業地区建設運営に関する合意書」が締結され、これに基づき11月、現代峨山が開城工業地区1段階、100万坪の区域に対する測量及び地質調査を開始した。

    これと共に、2002年8月、第7回北南上級会談で、工業地区事業を積極的に推進するための実務接触を持つことに合意し、12月には開城工業地区の1段階100万坪地区を現代と南朝鮮土地公社が共同開発する「開城工業地区工場区域開発業者指定合意書」が締結された。

    2002年11月には、朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会政令として、開城工業地区法が採択されたのに続き、12月には開城工業地区に対する土地利用証が発給され、「開城工業地区通信、通関、検疫に関する合意書」が締結された。

    2003年4月、最高人民会議常任委員会の決定として「開城工業地区開発規定」、「開城工業地区企業創設及び運営規程」等、関係する規定が採択、発効した。

    一方、2003年1月、北南軍事当局者の間で東・西海地区の北南管理区域の臨時道路通行問題が妥結し、引き続いて、西海ソンリム市道路が完成し、2月、開城工業地区建設のための南側関係者の現地調査が行われ、6月には全ても朝鮮民族の大きな期待と関心の中で、開城工業地区建設着工式が盛大に開催された。

    南朝鮮の各階層をはじめとした全ての朝鮮民族と内外世論は、開城工業地区について「6.15の玉の子」、「歴史的事変」、「北南協力と和解、統一の象徴」などとこぞって称賛した。

    その後、開城工業地区建設が本格的に進められ、2004年上半期に1段階100万坪開発区域内にある1万坪の試用地区における敷地造成工事が始まり、12月、この地区に進出した南朝鮮企業の開城工業地区初の製品生産記念式が開催された。

    将軍は、北南経済協力事業で経済的な損得勘定を前面に出すことなく、民族の和解と団合、共同繁栄を達成しなければならないと言い、開城工業地区に南朝鮮企業家が安心して入ってきて、経済活動を行えるよう様々な特恵措置を立て続けに行った。

    特に、2007年10月、歴史的な平壌南北首脳会談で6.15共同宣言の実践的綱領である「北南関係と平和繁栄のための宣言」を打ち出したことで、開城工業地区1段階建設を早い期日内に完工し、2段階開発に着手することができる広い道筋が開かれた。

    将軍は、李明博逆徒が執権し、対決に狂いながら開城工業地区事業に厳重な障害を造り出したときにも、和解と協力のための積極的な方案を提示するようにし、南側が提起する問題を最大限の雅量をもって円満に解決するようにするなど、工業地区事業が正常化するようにするためのあらゆる措置を取った。

    そして、開城工業地区には123の南朝鮮企業が入り、共同繁栄の機械音を高く鳴り響かせた。

    金正恩元帥は、最近、内外の反統一勢力の対決と戦争策動が絶頂に至った深刻な情勢の中でも開城工業地区に関心を寄せ、工業地区事業が維持され、活性化するよう賢明に導いた。

    実に、開城工業地区は、絶世の偉人たちの崇高な愛国・民族を愛する思いと統一の意思、細心の関心を離れては、その存在を考えることはできず、歴史的な北南共同宣言の旗の下で我が民族同士の理念、全民族の統一念願と意志に支えられて名実共に民族共同の経済特区としての地位を得た。


    開城工業地区が破局の運命に置かれたのは、李明博のような南朝鮮の傀儡保守一味のせいである。

    傀儡保守一味は、開城工業地区建設をはじめから快く思っておらず、工業地区事業を破綻させるために悪辣に策動してきた。

    「セヌリ党」の前身である「ハンナラ党」の奴らは、全民族の関心の中で北と南が手を握り開城工業地区建設着工の初めてのスコップを入れるとすぐに、「経済特区は北の核とミサイル開発を助けるものとなる」だの、「ざるになる」だの言いながら、ことある毎に足を引っ張った。

    李明博逆徒は、「大統領」の椅子に座るやいなや、「核問題が解決する前には、なにもできない」と騒ぎ立て、10.4宣言を踏みにじることで、そこに明示された開城工業地区建設に関連する条項の履行にもブレーキを掛けた。

    こうして、前「政権」が我々と合意した開城工業地区1段階建設完工と2段階開発着手問題は、相対して座る前に破綻してしまった。

    2008年3月当時、統一部長官の金夏中は、開城工業地区の企業代表との懇談会をはじめとした様々な機会に「北朝鮮の核問題が解決しない限り、開城工団事業を継続することが難しい」、「開城工団は、中断しても仕方がない」、「開城工団閉鎖と軍事的衝突など、最悪の場合まで全て予見している」と公言しながら、工業地区事業を破綻させる悪意を露骨に示した。

    我々の主導的定義により、2009年4月から2010年2月まで開城工業地区実務接触が行われたときにも、逆賊一味は、それに嫌々出てきて、開城工業地区の活性化とは何の関係もない我々の衛星発射と地下核実験、身辺安全保障問題等を持ち出し、基本問題の討議を避けたたために、6回も空転を繰り返し、結局、決裂してしまった。

    その時、我が方は、傀儡一味が反共和国核騒動と「制裁」策動に狂奔する中でも、開城工業地区で新たに操業した企業の在留人員を増やし工業地区在留及び通行制限措置を緩和するなど、誠意ある提案をしたが、南側はソウルの指令を受け、非常に傲慢にふざけたことを言い、話し合いの席を蹴って出るという人間の屑のようなことまでした。

    開城工業地区事業を破綻させようという李明博一味の策動は、2010年3月「天安」号事件を契機にさらに強化された。

    事件発生直後の4月末、李明博逆徒は、商工会議所や経済人連合会をはじめとした経済団体の関係者と開城工業地区に進出した中小企業家たちを集め、「対北政策」を揺らぐことなく継続すると公言し、「経済人が対北政策に異なる意見を持つことはできるが、時が過ぎれば正しいということがわかるはず」と捲し立てた。

    そして、開城工業地区で操業している企業に事業を新たに展開せず、任意の瞬間に撤収できる準備をするよう秘密指令まで出した。

    それだけではなく、きわめて悪辣な「5.24措置」を発表したのに続き、開城工業地区に在留する南側企業人員を半分に減らさせ、工業地区に対する新たな投資を全て中止させ、設備、資材などの搬入もできなくして企業の生産と経営活動に大きな障害を造り出した。

    傀儡統一部長官であった玄仁澤をはじめとする対決狂共は、「ざる(何でも無条件に与える)」だの何だのと言いながら、開城工業地区事業を妨害しようと執拗に策動した。

    特に、傀儡国防部長官の金寛鎮野郎をはじめとした軍部好戦狂は、開城工業地区に在留している南側人員が今後、軍事作戦を展開する過程で人質となる可能性があるので、工業地区を閉鎖しなければならないと言ってのけた。

    「ハンナラ党」の屑共も開城工業地区で彼らの人員を撤収しなければならないと騒ぎ立て、保守御用メディアは開城工業地区が南北間の「衝突を抑制した砦」の役割から「人質事件を引き起こす危険地域」に変化したと言いながら、工業地区閉鎖を積極的に煽った。

    傀儡一味は、2011年1月、朝鮮民主主義人民共和国政府、政党、団体の連合声明により、北南当局会談を早く再開し、中断された赤十字会談と金剛山観光再開会談、開城工業地区会談を早期に開催することを提案したのに対し、全面拒否した。

    我々はその時、北南関係改善のための善意の措置として、閉鎖されていた板門店赤十字連絡通路を再び開き、開城工業地区の北南経済協力協議事務所の凍結措置を解除し、工業地区事業と関連した会談をはじめとした北南会談の議題と日にち、場所などを明らかにした朝鮮アジア太平洋平和委員会、赤十字会中央委員会委員長、名勝地総合開発指導局、中央特区開発総局などの通知文を南側の当該機関に送った。

    しかし、傀儡一味は、分別もなく「真剣さがない」だの「統一戦線戦術」だの言いながら、核廃棄と「天安」号事件、延坪島問題など、不当な条件を付けて対話の提案を全て拒否した。

    逆賊一味の故意的な破綻策動により3段階に分けて総6000万平方メートルの地域を開発しようとした開城工業地区事業が、2、3段階開発はおろか、1段階区域の半分も開発できないまま止まってしまった。

    李明博一味は、それでも足りず、工業地区を反共和国謀略と対決の場として悪用した。

    逆賊一味は、機会がある毎に開城工業地区を通じて北を「改革」、「開放」に誘導しなければならないとか、「北の勤労者に市場経済を学習させることができる機会を提供しなければならない」だの言いながら、工業地区を反共和国体制転覆のための足場にしようとする企図を公言した。

    そして、人間の屑共を集め、開城工業地区の近くで我々の最高尊厳を中傷冒涜するビラ配付騒ぎを引き起こす一方、塔に火をともすだの何だの言いながら、反共和国心理謀略戦に熱を上げた。

    さらには、2009年、開城工業地区に入って来て、我々の体制を誹謗中傷し、不純な挑発行為を行い摘発されたユ・ソンジン事件が示しているとおり、南側企業家と労働者の中に謀略軍、情報探索軍を混ぜ、工業地区内で我々の体制を攻撃するための陰湿な謀略策動も継続して行ってきた。

    これは、李明博逆賊一味が開城工業地区を叩きつぶすためにどれほど悪辣に策動しているのかを示すものである。


    開城工業地区事業は、李明博「政権」の極悪な対決政策をそのまま引く継ぐ現保守「政権」によりさらなる危機に直面した。

    現「政権」は、政権が発足するやいなや我々の平和的な衛星発射と自衛的核実験を口実に反共和国「制裁」策動に狂奔しながら、これまで何とか続けられてきた北南民間団体の協力事業さえ完全に遮断した。

    去る2月からは、やっと維持されてきた開城工業地区に対する物品搬入を厳格に統制し始めた。

    そして、いわゆる北の「金づる」だの、「飯の種」だの言いながら、我々の尊厳を極度に刺激する一方、「開城工業地区が閉鎖されれば、さらに被害を被るのは北」だの、「北が開城工団を絶対に放棄しない」だの言い、悪口を言うことに熱を上げながら、工業地区を反共和国対決の場にしようと発狂した。

    特に、極悪な軍事チンピラであり好戦狂である金寛鎮野郎は、新「政権」の傀儡国防長官として留任されるやいなや、米国と共に北侵戦争策動にさらに血眼でかけずり回りながら、開城工業地区を戦争発生地にしようと悪辣に策動した。

    奴は、去る4月はじめ「セヌリ党」の北核安保戦略特別委員会で「国民の身辺安全」だの何だのと言いながら、それに備える軍事措置を取ったと公言したのに続き、「人質救出」作戦を騒ぎ立てながら、平和的な経済特区である開城工業地区に傀儡軍はもちろん、米軍特殊部隊まで引き入れる企図を公言した。

    これに便乗し、南朝鮮保守政治家、専門家、メディアは、「大規模抑留事件発生」だの、「人質救出対策」だの言いながら、開城工業地区をさらに険悪な状態に追いやった。

    南朝鮮出版物は「開城工団で人質事件が発生した場合に備え策定した国防部の秘密計画は、青瓦台に報告されたものと認識している」、「軍は韓米連合で人質救出訓練も実施した」と暴露した。

    これは、開城工業地区の軍事作戦計画が青瓦台の部屋の主人の承認の上で行われ、米帝侵略軍が傀儡共と結託して「人実救出」作戦と関連した実動訓練まで行ったということを物語っている。

    これと時を同じくし、傀儡軍部チンピラは、平壌をはじめとした共和国の都市に丁重に頂いている我々の最高尊厳の象徴である首領永世、首領称賛の記念碑に対する精密打撃計画をでっち上げるという著しい挑発をした。

    そして、「政権」メンバーを選定している時、国防部長官として内定していた金炳琯野郎と傀儡国防部スポークスマンなどのチンピラは、我々の最高尊厳を傷つけ「北政権消滅」だの、「交替」だの、「崩壊」だの言い、極悪な妄言を躊躇なくはいた。

    さらに、青瓦台の部屋の主人まで出てきて、我々の体制と経済、人民生活を公然と非難しながら「変化」を騒ぎ立てただけではなく、「核開発と挑発で得られるものはない」だの、「核を捨てない限り、何も期待することはできない」だの言いながら、我々を激しく冒涜した。

    このように前例のない対決狂乱の中で開城工業地区が存在できなくなったと言うことはいうまでもない。

    傀儡一味が口を開けば開城工業地区に対する北の「金づる」だの何だの言いながら、我々が大きな得をしているように騒ぎ立てているが、工業地区を通して莫大な利益を得ているのは南側である。

    開城工業地区で働く我々の勤労者の労賃は、初歩的な生活に比もならない。

    一方、開城工業地区で南朝鮮企業が稼ぐ利益は計算できないほど大きい。

    開城工業地区では、土地賃貸料と土地使用料、各種の税金はほとんど無料に近い。

    傀儡当局の公式発表によっても、開城工業地区が閉鎖される場合、南側が被る1日の被害額だけでも129万ドルに達し、それと関わる企業が被る被害額は60億ドルに達するという。

    特に、開城工業地区の軍事的、安保的価値は金で計算することができない。

    この世の中に我々の開城工業地区のように軍事的に最も敏感な要衝地域をそのまま提供した事例はない。

    これだけ見ても我々が開城工業地区のためにどれほど大きな譲歩をし、南側がどれほど大きな利益を得たのかを知ることができる。

    それにもかかわらず、傀儡一味が我々に対する悪口を言い、尊厳まで傷つけようとしていることは、恩を仇で返す行為であるといわざるを得ない。

    諸般の事実は、開城工業地区を今日の破滅危機に追いやった張本人は、間違いなく傀儡保守一味であるということを明確に示している。

    傀儡一味が我々の善意と雅量、同胞愛を愚弄、冒涜し、6.15の象徴として唯一残っている開城工業地区を同族対決の中心とし、北侵戦争の発生地に試用とあらゆる策動を行っている状況で、我々が重大な措置を宣告したのは至極当然である。

    今、傀儡保守一味が「開城工団正常化」だの、「対話」だの言いながら騒ぎ立てているのは、実際に南朝鮮の中小企業を考え、いわゆる局面転換のためではなく、開城工業地区を危機に追いやったことに対する責任を免れ、彼らの対決と戦争策動を正当化しようという狡猾な術策以外の何物でもない。

    外国勢力と共に反許和国「制裁」策動に極悪にぶら下がり、最新戦争装備を大々的に引き入れ、北侵戦争演習に狂奔しながら「対話」だの何だのと言うことこそが、相手に対する愚弄で荒れ破廉恥の極致である。

    傀儡一味は、開城工業地区を今日の厳しい状態に陥れた犯罪的責任を絶対に免れることはできない。

    万が一、南朝鮮当局が我々の重大措置に対して継続的にあれこれ言いながら責任を転嫁しようとするならば、事態はさらに悪化し、取り返しの付かない状況に至るであろう。

    傀儡一味は、無謀な反共和国敵対行為と北侵戦争策動から得られるものは、恥ずかしい終末しかないということを肝に銘じなければならない。

    『労働新聞』、「남조선당국은 개성공업지구를 위기에 몰아넣은 책임에서 절대로 벗어날수 없다 중앙특구개발지도총국 비망록」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-17-0028&chAction=L

    非常に長文で疲れたが、「忘備録」とあるように、これまで北朝鮮が開城工業団地に関して主張してきたことの総まとめなので、翻訳しておいた。

    「朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマン談話」:米国の対話提案に対して (2013年4月16日 「朝鮮中央通信」)

    昨夜、このタイトルで記事を書き始めたら、話が大幅にそれて「朝鮮中央TV」のストリーミングについてになってしまった。アノイマスに攻撃されたと言われているuriminzokkiriは、依然として稼働していない。今回も金正恩パロディー画が掲載されたのかどうかは分からないが、今回は再稼働までに時間がかかっているので、前回よりも事態を重く見ているのかもしれない。

    ストリーミングで「朝鮮中央TV」が見られるようになったとはいえ、uriminzokkiriが不調なのは実に痛い。アノイマスは北朝鮮の独裁体制を非難するという名目でuriminzokkiriにハッキング攻撃を加えているようであるが、一見悪を懲らしめる正義の味方のように見えるが、情報を遮断しているという点では独裁政権とやっていることは変わりない。自由を叫ぶのであれば、独裁政権の情報であれ何であれ発信させるべきで、さらに言えば、それを見たいと思っている側の自由を侵害していることには全く無頓着である。高尚なことをいっても、所詮ハッカー集団だといえばそれまでだが、ハッカー集団であるのならば、ハッキングが比較的容易な中国国内のサーバーなどを相手にせずに、北朝鮮内にあるkpドメインのサーバーをハッキングして実力を誇示すれば良い(今も「労働新聞」が見られなくなったので、やろうとしているのかもしれないが)。

    また話がそれたので本題に戻すが、タイトルの記事の内容は以下のとおりである。

    記事は「最近、米国の高位当局者が口々に対話、対話と騒ぎ立てている」と始まる。続けて「米国がまるで軍事行動を自制し、対話を願うように装い、戦争直前まで緊張を激化させた責任から逃れようとしているだけだ」と米国のを非難している。

    そして、これまで同様に緊張激化の発端が「我々の平和的な衛星発射の権利を乱暴に侵害した」ことであるとし、ロケット発射を受けて出された「制裁決議」に対する「やむを得ぬ自衛的な軍事的対応措置」として核実験を実施したと主張している。

    さらに、「キーリゾルブ」や「トクスリ」米韓合同演習に米国が核攻撃可能な最先端の兵器を動員したと非難し、米国が発射実験を延期した大陸間弾道弾ミサイルについては「しばらく延期したとはいうが、それも5月には発射する計画」と述べている。普通に読めば「どうせ5月に発射するのだから同じことだ」ということになろうが、「延期した」という事実を北朝鮮が認識しているという点は留意しておく必要がある。

    そして「(米国がありとあらゆる兵器を動員して、北朝鮮を核で威嚇している)状況で、我々の核抑止力をなくすための対話を云々することこそが、世界の世論をミスリードするための欺瞞」であるとし、「そんな対話に我々が少しでも耳を傾けると考えるのは誤算である」と対話を拒否する姿勢を示している。

    また、3月末の労働党全員大会で提示されたの「核開発と経済開発の並進路線」やそれに関わる法律に触れながら「米国が我々がまず非核化の意志を示せば対話をするというのは、我が党の路線と共和国の方を無視しようとする傲慢無礼の極致」と非難し、「我々は対話に反対はしないが、核兵器を振りかざす相手との屈辱的な協議のテーブルには着かない」と「対話はする」が「核兵器を持つ相手とはしない」としている。さらに読み続けると、「米国が対朝鮮敵対視政策と核威嚇恐喝を放棄しない限り、本当の対話は、我々が米国の核戦争威嚇を防ぐことができる核抑止力を十分に持った段階に至って初めて可能になる」としている。一部報道では、この北朝鮮の主張を「核保有国」と認めなければ米国と対話しないとしていると解釈しているが、基本的にはこれまでの北朝鮮の主張を踏襲しているだけで、対話の条件を「米国の対朝鮮敵対視政策放棄」と「北朝鮮が核を放棄してからではない」と言っているだけである。もちろん、北朝鮮は党の並進路線やそれに関わる法令が制定してハードルを挙げたが、2.29の時と基本的には変わっていない。「敵対視政策放棄」はどうとでも解釈できるし、核についても「核を開発中、あるいは保有中」という前提であった。

    「談話」は、「米国が核戦争演習をやめ、侵略的な武装装備を全て(南朝鮮から)撤収しない限り、我々は自衛的な軍事的対応度合を継続的に高める」と米国を威嚇しながら結んでいる。

    「労働新聞」HPが見られるようになったので、そちらの記事を参照資料として挙げておく。

    『労働新聞』、「조선민주주의인민공화국 외무성 대변인담화」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-17-0026&chAction=L

    ボストンで発生した爆弾テロで8才の男の子が亡くなったという報道があったが、本当に心が痛む。北朝鮮は、今のところこの爆弾テロについて何の報道もしていない(「朝鮮中央通信」HP準拠)。注目しているのは、北朝鮮がこの事件について、全く伝えないのか、事実のみ伝えるのか、爆弾テロの犯人を非難するコメントを付けて報道するのか、あるいは、このような事件は「米国社会が病んでいるから」というコメントを付けて報道するのかということである。9.11の時、北朝鮮は非常に早く「テロ非難声明」を出したが、今回は9.11と比べれば小規模ということもあってか、まだ何も言っていない。

    「朝鮮中央TV」のストリーム:コメントより (2013年4月16日)

    過去記事のコメントにもあるように、「朝鮮中央TV」の新たなライブURLを教えて頂いた。「統一放送」よりも画質も転送レートもよいようだ。今日は、20時頃から断続的にこのサイトのライブを見ているが、なかなかおもしろい。

    uriminzokkiriにアップロードされるファイルは、繰り返し見ることができるし、画質もそこそこであるが、やはり生放送は魅力がある。特に、「声明」や「記録映画」の後にはそれと関連のある音楽が流されている。「記録映画」では、金正恩さんが銀河水管弦楽団の公演を観覧したり、バレーボールなどの体育大会を観覧した最新映画が放映されていたが、いずれの番組の後も新しい金正恩称賛歌謡「新しく出た歌 運命も未来も委ねた方」が続いていた。きちんと数えたわけではないが、かなり繰り返し流されているので、やはり金正日称賛歌謡である「あなたがいなければ祖国もない」のような位置づけにしようとしているのであろう。

    今、明日の放送スケジュールを伝えているが、明日は15時からの放送になるようだ。太陽節も終わり、人民生活も日常化するので、放送開始時間も遅らせるということであろう。

    話が前後するが、コメントで教えて頂いたストリーミングは、韓国の城南市のサーバーを使っているようだ。「統一放送」もそうであるが、韓国内から「朝鮮中央TV」がこれほどにストリーミングで垂れ流しになっているというのは、本当に凄い事実である。韓国内のサーバーからのストリーミングなので、韓国民は当然視聴可能だと思うのだが、北朝鮮は「最高尊厳」毀損を怒る前に、このような状況を放置している「傀儡一味」についてもう少し評価しても良いのではないだろうか。私が韓国にいた80年代は、こういうことはあり得なかったし、情報遮断という点においては、「全斗煥傀儡一味」も「北傀」も同じレベルであった。

    ところが、現時点では「南朝鮮傀儡一味」の方が、圧倒的に自信を付け、事実上「北傀」の放送をインターネットで垂れ流しにさせているということであろう。それにもかかわらず、何とか委員会のスクリーニングに引っかかり、北朝鮮系のサイトにアクセスできないようにしているのは、どうも整合性がとれていないような気がしてならない。

    話がそれたが、「朝鮮中央TV」のライブは本当におもしろい。今日、8時半頃からは北朝鮮の中学生で、科学の天才が無名戦士の名前をSF的な科学技術を開発して解明するドラマをやっていた。この番組は、朝鮮語が分からない小学生の娘も関心を示し、私が若干の解説を加えながら一緒に見ていた。今の小学生にとっては、色々な面で古いのだろうが、私(50代)にとっては、なにか昔のSFドラマを見ているようでおもしろかった。故合ってモールスコードを解するのだが、番組の中では数字を中心としたモールス信号が繰り返し流れていたのもなにかおもしろかった。日本では、アナログのファックストーンやテレタイプ信号ですら古いというのに、モールス信号とは。

    実は、この記事、米国の対話攻勢に反発する北朝鮮外務省声明について書こうと思ったのだが、全く違う話になってしまった。この声明については、明朝にでも書くこととする。

    uriminzokkiriの様子がおかしいと思っていたら、再びアノイマスの攻撃を受けたようだ。

    「朝鮮人民軍最高司令部最後通牒」 (2013年4月16日 「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」が表題のような報道をした。同種の報道は3つあるが、内容的には同一である。

    記事では「南朝鮮傀儡共だけが白昼のソウルで反共チンピラ共を集めて、反共和国集会なるものを開き、我々の最高象徴である肖像画(複数)を燃やすという天も人も怒る蛮行を行った」と韓国の反北朝鮮団体が北朝鮮指導者たちの肖像画を燃やしたことを非難し、こうした状況を受け「朝鮮人民軍最高司令部は、南朝鮮傀儡共に次のとおり最後通牒を送る」とし、以下の3項目を示している。

    1.我々の最高尊厳を毀損する決して容赦することができない蛮行が傀儡当局に保護され、それもソウルのど真ん中で行われている限り、今後、我々の予告なく報復行動が開始される。報復対象には、我々の最高尊厳を毀損することに直接あるいは間接的に荷担した者、それを煽り黙認した奴らと、当該当局機関及び部署が含まれる。

    2.我々の千万軍民が最高尊厳をどのように仰ぎ、守っているのかを見せるために、革命武力の正々堂々たる軍事的示威行動が即時開始される。我々の革命武力の軍事的示威は、我々の最高尊厳を毀損する全ての敵対勢力に対する強力な鉄槌となる。

    3.傀儡当局者が本当に対話と協力を願うのであれば、今まで行った大小の反共和国敵対行為について謝罪し、全面中止するという実践的な意志を全朝鮮民族に示さなければならない。

    韓国の反共団体が北朝鮮指導者の肖像画を毀損している映像は日本のメディアでも紹介されていた。過去記事にも書いた通り、韓国・国防大臣の肖像画をカカシに貼り付けて射撃の標的にするのと、北朝鮮の指導者の肖像画を燃やすのでは相当に意味が違う。それにもかかわらず、太陽節と同日であったにせよ、韓国で反共団体や反北団体がそうしたことを行うのはさして珍しいことではない。それに北朝鮮がかみついたわけである。

    韓国政府としては、反北団体がビラ付き風船を飛ばすことをかなり強硬に阻止しているというニュースも伝えられているので、韓国側は朴槿恵さんの対話呼びかけを受け、韓国民の反北示威行動については慎重になっているはずである。風船に付けたビラであれば、北朝鮮領内に入り込むことこそあれ、「ソウルのど真ん中」での行為はこれはなかなか阻止するのは大変である。

    北朝鮮は、その辺りの事情を知りながら「最後通牒」を出したものと思われるが、平時の「最後通牒」であれば相当に衝撃的ではあるものの、今回は「休戦協定白紙化」などいろいろな「声明」を立て続けに出しているので、またかという程度である。

    1で「報復行動」とはいっているものの、2では「軍事的示威行動」となっており、やるとしても軍事的な威嚇を示しているのではないだろうか。これは、スカッド発射説を過去記事にも書いたが、韓国を射程に収めるスカッドを公海に発射する「示威行動」を行う口実にはなり得る。「次はソウルが火の海になる」とかいいつつ。

    また、3では敢えて「傀儡当局者が本当に対話と協力を願うのであれば」といろいろと条件を付けながらも、「対話と協力」の可能性を示唆している。この部分については「最後通牒」の中に含まれてはいるものの、重要なメッセージではないかと思う。

    それはそうと、ボストンで爆弾テロが発生した。このニュースを聞いたときに一番危惧したのは、これと現在進行形の北朝鮮が宣言した米国との「全面対決戦」が結びつけられることである。捜査結果を待たなければならないが、北朝鮮がボストンマラソンに爆弾を仕掛ける可能性は極めて低い。もし、それが北朝鮮の仕業だということになれば、米国は実行犯の引き渡しを要求、北朝鮮はそれを拒否するはずなので、米国は実力行使に出るに違いない。こういう事態に至れば、北朝鮮は「自滅」に限りなく近づくはずである。「核保有国」が自滅を覚悟するのであれば、彼らがコンピュータ・グラフィックで描いているように派手な攻撃を仕掛けるであろう。もちろん、大韓航空機爆破やラングーン事件を思い返せば爆弾テロもやり得るが、大韓航空機やラングーンと違い、ボストンマラソンを狙う理由はない。

    米国も今のところ、北朝鮮と結びつけるような言動はしていないが、何かしら危険な感じがしている。

    「<記録映画>敬愛する金正恩元帥様が送って下さったモランボン楽団が朝鮮人民軍第630部隊を祝賀訪問し火線公演開催」 (2013年4月15日 「朝鮮中央TV」)

    この番組は4月14日に「朝鮮中央TV」で放送され、今夜も今、再放送されている。エルファの生放送も依然として止まっているし、uriminzokkiriも今一つ安定していない。今朝、この番組がアップロードされているようだったが、ファイルが大きいのでダウンロードすることができなかった。

    これまで韓国「統一放送」についてコメントで教えて頂きながら、今日まで同放送のライブの見方が分からなかった。コメントで教えてくださった方はライブと仰っているのだが、私にはそれが見られなかった。uriminzokkiriでも見られるし、画質も今一つなのであまり真剣にその原因を調べなかったのだが、いよいよ「統一放送」しかなくなると、色々調べざるを得なくなった。結局は、普段使っているfirefoxでは「統一放送」生放送を視聴するためのアドオンを読み込むことができないということが分かり、IE8を再びインストールした。IE8であればライブ試聴は問題ないし、Orbitでダウンロードできそうである。今、ダウンロード中なので、結果についてはまだ分からないが、順調にダウンロードが進行しているので、多分大丈夫だと思う。

    そんなことを書いていたら、数日前に書いた金正恩さんを称賛する「運命も未来も委ねた方」でクライマックスが飾られた。

    「統一放送」かuriminzokkiriからのダウンロードが完了すれば、公演の様子を写真で紹介することができるが、やはり部隊のホールでの公演なので平壌公演と比べると舞台装置は今一つだ。しかし、ライティングやレーザー、LED照明などは持って行ったようで、それなりの演出はできていた。一番差が出たのは、カメラで平壌公演のような立体的な撮影はできていなかった。

    しかし、その盛り上がりたるや平壌公演の比にならない。平壌の場合は、金正恩さんが出席せずとも党や軍の相当の高位者が出席しているので、盛り上がるにも遠慮があるのかもしれないが、軍部隊公演では盛り上がっていた。この公演にも崔龍海さんをはじめ高官は随行していたはずだが、それでも雰囲気が違った。

    とにかく拍手喝采が凄く、日本のコンサートでやるようなアンコール的拍手が何回もあった。公演を聞く兵士や家族の顔も映し出されたが、みな純粋に嬉しそうに聞いていた。最後には、モランボン楽団員に花束贈呈をするのだが、若い男性兵士は嬉しそうというか恥ずかしそうというか、何とも微妙な表情で団員に花束を贈呈していた。

    実は、この「記録映画」の冒頭では、モランボン楽団員や党・軍高官に普段の成果を披露する場面がある。この場面では、兵士が釘の上に寝て腹に石を乗せてハンマーでたたき割ったりするなど、相当に過激な技が披露された。「映画」ではそれを見る高官ではなくて、驚きながらも喜んでいるモランボン楽団の「ネーチャンたち」を何回も映し出していた。モランボン楽団の「ネーチャンたち」であるが、カーキ色の軍服風の衣装を着てこの模様を観覧していたが、靴はハイヒール、そしてカーキ色のパンツはパンタロンスタイルであった。北朝鮮でパンタロンは、資本主義の退廃的ファッションではなかったのだろうか。それがカーキ色であってもである。

    記事を書いているうちに番組は終了したので、ダウンロードを止めて上手くできたかどうか確認してみることにする。

    盛り上がっている人民軍将兵を見ながらふと思ったのは、私も含めてモランボン公演を見ている「オジサンたち」は、なんだかんだか言ってもモランボン楽団が好きなのではないのかなということである。これ、失礼であれば、寛大にご容赦頂きたい。

    <조선기록영화> 경애하는 김정은원수님께서 보내주신 모란봉악단이 조선인민군 제630련합부대를 축하방문하고 화선공연진행 (2013.4.14 재방)

    uriminzokkiri HPデザインを一新 (2013年4月15日 「uriminzokkiri」)

    昨夜からuriminzokkiriへの接続ができず、今朝も接続したら画面構成が壊れていたので、てっきりまたサイバー攻撃を受けているのかと思ったのだが、デザイン一新の準備をしていたようだ。上手く表現できないが、デザイン変更前は赤を基調としていたが、変更後は統一朝鮮のシンボルカラーである青が基調になっている。

    残念ながら、私が最も使用する「朝鮮中央TV」のダウンロード機能は上手く動いていない。ファイルが空であったり、ストリームが始まらなかったりと、「20時報道」や太陽節関連行事の動画を見ることができない。韓国・統一放送では見られるはずなので、後でそちらをチェックすることにする。

    エルファのライブ配信も止まったままであるし、困っている。

    CODECHEF April Challengeで北朝鮮チーム米国と接戦: 조선 리과대학 단숨에 이겨라!(2013年4月14日)

    過去にも当ブログに北朝鮮からと思われるアクセスは何回かあったが、今日は、複数回にわたってアクセスしてきている。

    이전에도 조선에서 이페지에 대한 접촉이 몇번 있었지만 오늘은 몇번씩이나 있었다.

    何を見ているのかというと、4月1日に書いた「<訪問記>インターネットにはためく共和国旗 - 国際インターネットプログラム作成チャレンジ競技で優勝した理科大学の学生たちを訪ねて -」という記事である。そういえば、この記事を書いたときに4月のコンペティションにも北朝鮮・理科大チームが参加するのかと書いておきながら確認するのを忘れてしまったが、このアクセスを受けて見に行ったら予想通り参加していた。

    접촉한 사람이 본 기사는 주체102년4월1일에 쓴 "[방문기] 인터네트에 띄운 공화국기 -국제인터네트프로그람작성도전경연에서 우승한 리과대학 학생들을 찾아서-"이었다. 생각하면 그때 조선 리과대학 팀이 4월 경연에도 참가할 것이라고 썼다. 그럼에도 불구하여 오을까지 조선 리과대학 팀이 정말로 이경연에 참가하고 있는지 확인 안했다. 그런데 오른 보니까 리과대학 팀이 상상대로 참가하고있었다.

    しかし、実に残念なことに、現在は9.98点で第3位。何と1位は米国で10点満点。2位はルーマニアで9.985点。ルーマニアは抜けそうな気がするが、米国の10点満点はなかなか厳しいかもしれない。彼らがミスをしなければ、仮に我らが北朝鮮・理科大チームが満点を取っても同点首位。もしかすると、何かルールがあり同点首位ということはないのかもしれないが、是非とも米国には勝って欲しいものである。

    그런데 유감하게도 조선 리과대학 팀은 9.98점으로 제3위. 믿을 수없는 일은 미국이 10점 만점으로 1위를 차지하고있다는 것이다. 2위는 루마니아 팀이고 9.985점. 루마니아와 조선은 점수가 가깝기 때문에 조선이 이길 수있는 것 같기도 하지만 미국은 10점 만점이라 이기기는 그다지 쉽지 않을 것 같기도 하다. 미국이 실수를 하지 않으면 조선 리과대학 팀이 10점 만점을 획득해도 동점으로 수위. 어쩌면 어떤 규칙이 있어서 동점 수위라는 것이 없을지도 모르지만 어떻게 해도 조선 리과대학 팀이 미국한테 이겼으면 좋겠다.

    残り時間は22時間余り。是非とも米国を打ち破り、太陽節を輝かして欲しいものである。

    남은 시간은 약 22시간. 조선 리과대학 팀 단숨에 이겨라! 그리고 뜻깊은 태양절을 빛내라.

    CODECHEF, "April Challenge", http://www.codechef.com/APRIL13

    <追記:太陽節当日 07:11>
    北朝鮮チームは、9.964点で米国チームを追い上げている。しかし、依然として2位で9.974点のルーマニアの下の3位である。4位の中国は8.914点なので、米国、ルーマニア、北朝鮮の三つどもえの接戦となっている。しかし、米国は依然として10点なので、ルーマニアと北朝鮮が10点を取れるかどうかという戦いのようだ。試合終了まで11時間。

    조선 리과대학 팀이 9.964점까지 점수를 올랐지만 미국은 아직 10점만점을 유지하고 있고 2위의 루마니아도 9.974점으로 조선 리과대학 팀보도 점수가 높다. 4위에 있는 중국은 8.914점임으로 사실상 미국, 루마니아, 조선간의 싸움이라고 볼수있다. 그러나 아직 미국이 10점이기 때문에 루마니아와 조선이 10점에 이를수 있는지가 승패를 결정한다. 단숨에 이겨라 조선 리과대학 팀! 아직 11시간 있다.

    <追記2:太陽節当日 20時>
    競技はしばらく前に終了した。残念ながら、朝鮮・理科大チームは3位から抜け出すことはできなかった。総合得点は9.969。2位のルーマニアが9.976、1位の米国が10点である。ただ、米国とルーマニアのプロフィールを見るとprofessionalとなっている。所属は大学なのでもしかすると教員なのかもしれない。一方、朝鮮・理科大チームは学生なので、教員や研究者との対決でよくここまで検討したと思う。5月に参加するのであれば、是非頑張って欲しい。

    이제 경연이 끝났다. 유감이지만 조선 리과대학 팀이 결국 3위에서 올라갈수없었다. 리과대학 팀 득점은 9.969, 2위 루마니아가 9.976, 그리고 1위 미국은 10점만점을 유지하였다. 그런데 미국과 루마니아 참가자는 대학 교수 같은 전문가이고 리과대학 팀은 학생으로 구성되어 있는 것으로 안다. 그렇게 보면 조선 학생들이 전문가들과 잘 싸웠다고 칭찬해주고 싶다. 5월에 다시 이 경연에 참가한다면 그 때야 말로 다시 1위를 쟁취하기를 바란다.

    「新しく出た歌 運命も未来も委ねた方」 (2013年4月10日 「朝鮮中央TV」)

    エルファのライブ配信は依然として停止したままである。しかし、uriminzokkiriは正常に稼働しており、「20時報道」など主要な番組は時間差はあるものの見ることができる。

    「朝鮮中央TV」は「新しく出た歌」という短い番組で「運命も未来も委ねた方」という歌を紹介した。「新しい歌」がどれほど新しいのかは分からないが、金正恩さんを称賛する歌なので比較的新しい歌であることは事実であろう。韓国・統一部のテレビ番組表で調べたが、番組と番組の間に流されるこのような短い番組については掲載されておらず、いつの再放送なのかということは確認できない。

    歌のタイトルであるが金正日称賛歌謡「あなたがいなければ祖国もない」の歌詞と類似している。ただし、曲調は「あなたがいなければ祖国もない」のように勇ましい短調の曲ではなく、優しい感じの長調の曲である。この辺りまでが私の音楽センスや知識での評価なので、音楽に詳しい方には是非、コメントでさらなる評価をお願いしたい。とはいえ、youtubeかどこかで曲を探して頂かなければならないのだが。

    歌詞は以下のとおりである(あまり上手い訳ではないが・・・)。

    運命も未来も委ねた方

    作詞:李ミョングン
    作曲:金ウンリョン
    歌:声楽組
    演奏:モランボン楽団


    抱かせてくださった その愛 春の光であるならば
    施してくださる その恩情は 太陽の光であろうか
    奥深い その恩情に 心が 引かれ
    感涙を流す方
    私たちの運命 私たちの未来
    全て委ねた 金正恩同志
    ただひたすらに 忠誠を捧げ
    永遠に従います


    生死を共にする 一番の 同志として
    戦友と呼んで 信じてくださる
    革命の 長い道を 共に歩もうと
    手を握り 導いて下さる方
    私たちの運命 私たちの未来
    全て委ねた 金正恩同志
    ただひたすらに 忠誠を捧げ
    永遠に従います


    その名を 呼べば 信念が溢れだし
    その足跡に 従えば 勝利に至る
    白頭の血統を 万代に引き継ぎ
    朝鮮を 輝かして下さる方
    全て委ねた 金正恩同志
    ただひたすらに 忠誠を捧げ
    永遠に従います

    「根拠のない『北の仕業』説をねつ造する者は、第2の李明博逆徒と烙印される 朝鮮人民軍総参謀部スポークスマン記者の質問に回答」 (2013年4月13日 「労働新聞」)

    「朝鮮中央通信」では昨日配信されたが、同内容の記事が「労働新聞」にも掲載された。「朝鮮中央通信」に掲載されたときは、あまりにも内容が専門的すぎる、つまりインターネットがそれなりに普及しており、国民がそれに関する知識がなければ分からない記事なので、「労働新聞」に出るとは思わなかった。

    記事では「4月10日からは、青瓦台の新たな脚本に従い『未来創造科学部』が前面に立って、いわゆる『3.20ハッキング攻撃事件』が『北の仕業』である」と決めつけていると韓国政府を非難し、この問題についての北朝鮮の見解を述べている。

    まず、このハッキング攻撃により「報道業務が中断し、金融ネットワークなど銀行業務が麻痺する『電算大混乱』
    」に陥り、「いわゆる『IT強国』と自称する傀儡共は、ハッキング攻撃により発生した混乱が大きな恥」であったとしているが、「いわゆる・・・自称」としながらも韓国が「IT強国」と述べているところがおもしろい。朝鮮人民はさておき、北朝鮮指導部は韓国が「IT強国」であることは認識しているのであろう。記事では、その後、韓国当局の発表に紆余曲折があったことを紹介し、結局「北の仕業」であるという結論に達したことを根拠がないと主張している。以下、その理由が書かれているがインターネットがあまり普及していない北朝鮮で、こうした内容が「労働新聞」に掲載されているところがおもしろい。北朝鮮が主張する「ねつ造である根拠」は以下のとおりである。

    1.韓国政府は「我々が昨年6月28日から攻撃開始までに南朝鮮内部電子網に1590回も接続したことをはじめとし、長期間攻撃準備をしており、実際に攻撃した痕跡を発見した」と主張しているが、「国境のないインターネットに残されたIPアドレスを盗用したり、偽造してハッキングに利用するのは、正体を隠すためにハッカーが使う一般的な手法である。

    2.韓国政府は「過去に発生したハッカー攻撃事件に利用された攻撃経由地と今回の事件に使われた攻撃経由地が同じであるから」と主張しているが、「一般的にハッカーは、インターネットの世界で脆弱な対象を攻撃経由地として利用し」ており、その利用が「繰り返されるからといって、特定の国や集団を攻撃者として断定することは」できない。

    3.また、「精密さと隠密性を必要とするハッキングでは、何年も同じ経由地を利用するということは常識外のことである」

    4.韓国当局が「収集・分析した悪性コード76種の中で、30種余りが以前使われた攻撃コードと一致し、攻撃方式も過去に我々の仕業と主張された主要な事件の時と方式が同一である」としているが、そのような主張には「反論する価値もない」

    そして、過去に韓国が北朝鮮の「仕業」として主張した、天安号事件、農協ネット麻痺事件、GPS妨害事件などは、全てねつ造であり、北朝鮮に「挑発者」、「テロ国」という汚名を着せようとする策動であると非難している。

    記事では、「青瓦台の主人は代わったが、違うことは全くないことが再び暴露された」とし、「現南朝鮮執権者が選挙公約の時から李明博逆徒との『差別化』を表明してきたが」、「特等対決狂である李明博逆徒の轍をそのまま踏んで」おり、「時間が経つと共に、そうであることが証明されてきている」と主張している。

    そして、「根拠のない『北の仕業』説をねつ造する者は、第2の李明博逆徒の烙印を押される」と警告している。

    「朝鮮中央通信」で配信された少し前の記事で、北朝鮮がはじめて大統領就任後の朴槿恵さんを名指しで攻撃した。その記事を探したのだがすぐに見つけることができなかったので正確さには欠けるが、記事の中で「朴槿恵『政権』」と彼女の名前を出して攻撃した。しかし、注意深く読むと李明博さんには「逆徒」が付けられているが、朴槿恵さんにはまだ「逆徒」が付けられていなかった。その関係で、本記事のタイトルとなる記事を読むと朴さんも「逆徒」直前まで来ているものの、「逆徒」には至っていないということが言いたいようだ。

    「逆徒」に至るとどのようなことが起きるのか。どのみち北朝鮮は青瓦台は粉砕すると言っているのだから、運命は同じなのかもしれないが、現実的には、カカシに似顔絵を貼られて軍用犬にかみつかせたり、射撃の的とされるのであろう。最近の的は、過去記事にも書いたとおり、韓国・国防大臣の金寛鎮さんである。似顔絵を攻撃することは、ご当人や韓国民にとっては快くないことであろうが、北朝鮮にとっては全く別の意味がある。つまり、彼らとしては「最高尊厳」である歴代指導者の顔をカカシに貼り付けて射撃しているのと同じような意味合いがあるはずである。朝鮮人民にとっては最大の国辱、韓国民にとっては快くない程度と、この辺りの意識の差も大きいのかもしれない。

    『労働新聞』、「터무니없는 《북소행》설을 날조하는자들은 제2의 리명박역도로 락인될것이다 조선인민군 총참모부 대변인 기자의 질문에 대답」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-13-0031&chAction=T

    「朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会政令第3111号 2013年4月11日 朝鮮民主主義人民共和国原子力工業省を設立することについて」 (2013年4月13日 「労働新聞」)

    13日付けの「労働新聞」に表題のような記事が掲載された。記事の内容は以下のとおりである。

    「朝鮮民主気人民共和国最高人民会議常任委員会は、国家の原子力工業を現代化、科学化し、最先端科学技術の土台の上に確立し、核物質の生産を増やし、製品の質を高める手、自律的な核動力工業をさらに発展させるために次のように決定する。

    1.朝鮮民主主義人民共和国原子力工業省を設立する。
    2.朝鮮民主主義人民共和国内閣と当該機関は、この政令を執行するための実務的対策を徹底して打ち立てる。」

    この政令は、3月に開催された労働党全員会議の「結論」を受けて制定されたものである。全員会議での原発開発再開決定や寧辺施設の再稼働、そしてこの「政令」が、一連の挑発の一部とだけ受け取られる向きもあるが、電力不足は依然として北朝鮮にとって深刻な問題であるので、挑発的な性格があるにしても、純粋な経済的性格も内包していると考えるべきである。「20時報道」などでインタビューに答える朝鮮人民は、しばしば「電力問題さえ解決されれば」と口にする。彼らが原稿を読まされているのか、はたまた日頃の「教養」事業で教えられていることを話しているのかは別とし、それほど電力が経済開発のネックになっていることは事実であろう。

    過去記事でも触れた記憶があるが、どうも原発開発に関するこうした決定は94年の核危機時に未完で終わったこと、つまりKEDOの事業を取り付けることを再度試みているように思えて仕方がない。もちろん、当時と現在の決定的な違いは、北朝鮮が「核保有国」となったことであるが、北朝鮮としては「核保有国」の立場を利用しながら、うまくKEDOのような事業を取り付け、平和的核利用への道を開き、それに伴う支援を得ようとしているのではないだろうか。問題は、現存する核爆弾をどのように扱うかであるが、北朝鮮が直ちにそれを放棄するはずはないので、2.29合意にあったように「核活動の中断」から入るしかないであろう。また、核とミサイルがセットになっているが、北朝鮮が「核活動の中断」という約束を一定期間守っていることを条件に、ロケットの発射を認めることも必要となる。彼らのロジックによれば、今回の「危機」は12月12日のロケット発射に対して制裁決議が出されたことに端を発しているわけで、その口実を与えないためにも安保理決議1874にある「弾道ミサイル技術を利用した発射」禁止条項は、緩めることも考えた方が良い。

    北朝鮮のロケット技術(ミサイル技術)の進歩を一番警戒しているのは米国なので、なかなか難しい部分があるかもしれないが、北朝鮮のロケット技術は現状のままでもどのみち進歩していく(過去10年を振り返ればその事実は証明されている)ので、核とミサイルを分けて核の方を排除することから始めるべきである。そもそも、周辺国にとって、北朝鮮のロケット技術は十分に危険なレベルで完成しているわけで、日本や韓国にとっては北朝鮮の核爆弾が増えることの方が今後増大する脅威となる。

    もちろん、中国が北朝鮮を締め上げれば、北朝鮮は今までのように核やミサイルを開発し続けることは困難になるはずだが、その時に北朝鮮がどのような行動に出るのか、これが問題である。今、北朝鮮は国際社会に対する威嚇のレベルを上げているが、過去記事にも書いたとおり、表向きは米日韓に対する威嚇ではあるものの、名指しはせずとも中国を強く威嚇しているはずである。つまり、中国が「米日韓に乗って北朝鮮を締め上げれば、朝鮮半島や東アジアは大きく混乱し、経済開発どころではありませんよ」という威嚇である。今の北朝鮮であれば、自滅覚悟でその状況を作り出すことは可能である。

    「20時報道」を見ていると、太陽節に向けて北朝鮮は着々と準備を進めている。太陽節関連の行事については、昨年、拙ブログでいくつか紹介したが、それも昨年同様開催されている。金日成花のニュースが少ないと書いたことがあるが、金日成花の展覧会も始まっている。このようすを見て、日米韓が「口だけだ」と言うと、北朝鮮は「我々は戦争前夜の午前0時までハンマーの音が工場から鳴り響き、農民は鍬を持って働き、学校からはペンで字を書く音が聞こえてきても翌日は戦争をする。それが我々式だ」(字句は記憶によるものなので、正確ではないが意はこういうこと)と反論するが、戦争はする気もないしやりたくもないのであろう。金正恩さんに経験もなく金日成総合軍事大学で「北朝鮮は米国との戦いで絶対に勝つ」と教え込まれているから、本当にそう思っているという記事をどこかで読んだが、彼と彼の側近たちはもっと大胆な計算をしているはずである。

    注意すべきは、「朝鮮はやると言えばやる」という威嚇(国内向けには「スローガン」)の落とし所を国内向けにどこに求めるのかということである。その系で、昨日の記事にも書いたが、スカッドを日本海の公海部分に向けて発射する可能性は十分にある。その際の、米日韓、そして中国の対応が今後の展開を左右する一つの鍵になる。「北朝鮮は正しい方向に道を変えるべきである」と米国は繰り返し主張するが、「正しい道に変えさせる」ような巧みなモメンタムを造り出さず、彼ら自らにそれをやらせようというのはなかなか困難である。

    問題は、そのようなモメンタムを造り出し、彼らがそれに乗ったとき、過去のようなミスをしないことである。「北朝鮮が嘘をついた」、「北朝鮮が約束を守らない」と非難することは実に簡単であるが、我々は北朝鮮にそれをさえないような仕組みを作っておくべきである。

    国際ルールを守ることの重要性は論を待たない。しかし、国際ルールとまったく別のロジック、あるいはずれた(意図的如何に関わらず)ロジックで動く国に対して外交で何ができるのかということは重要である。

    アフガニスタンやイラクではそれができなかった。

    『労働新聞』、「조선민주주의인민공화국 최고인민회의 상임위원회 정령 제3111호 주체102(2013)년 4월 11일 조선민주주의인민공화국 원자력공업성을 내옴에 대하여」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-13-0004&chAction=L

    「金正恩同志が朝鮮労働党と国家の最高の地位に高く推戴された1周年慶祝中央報告大会開催」 (2013年4月11日 「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」が表題のような記事を配信した。見られなかったのは私だけではないと思うのだが、昨日はELUFAが「朝鮮中央TV」のライブ配信を行わなかったようだ。この配信は最近見だしたので、過去にもそのようなことがあったのかどうかは分からないが、この時期に配信がないというのは若干気になる。uriminzokkiriには、放送番組の項目が上がっているので、番組がなかったというわけではないようだ。しかし、uriminzokkiriには項目こそ出ているが、データはアップロードされていない状態である(例えば、「20時報道」)。

    「慶祝中央報告会」については、「労働新聞」に詳しい記事が出ると思うが、「朝鮮中央通信」が伝えた内容で注目すべき点は以下のとおり。

    出席者は「金永南、金己男など」とあるだけで、それ以外の人は紹介されていない。記事には、金正恩さんの業績として、錦繍山太陽宮殿へ改装したこと、同宮殿に関して憲法を整備し、法律を制定したこと。労働党の「革命思想を金日成-金正日主義に正式化」したこと。人民軍を強化し国体を維持しくための軍建設思想提示したことなどが挙げられている。

    おもしろい表現としては「今日、強盛国家建設の力強い進軍が政治軍事的に確固としたものとなり、共和国を中心に東北アジアの力学構図が新たに形成されている」と述べていることである。「共和国を中心に東北アジアの力学構造が新たに形成されている」とは、実に大きく出たものである。確かに、北朝鮮は東北アジアのみならず、太平洋を越えて米国まで揺さぶっていることは事実であるが、彼らがいう「新たな力学構図」とはどのような構図なのであろうか。

    経済については、「金正日愛国主義の熱風を力強く巻き起こし、党の経済政策、朝鮮式の経済戦略を貫徹し、人民経済を活性化させ、モランボン楽団の斬新で先取的な創造期風を見習」おうと訴えている。「モランボン楽団式に」という字句はどこかで見た記憶がある。しかし「朝鮮式の経済戦略」という字句は、以前にあったであろうか。あったとしても、「朝鮮式の経済戦略」の中身が何なのかに関心がある。

    ミサイル発射が注目されているが、北朝鮮はミサイルを発射するにしてもスカッドを日本海(公海)に向けて発射して終わるのではないだろうか。ムスダン発射も云々されているが、未だにテストしたことのない、しかも移動式のミサイルをこのタイミングで発射するのは、よほど自信がない限り、しないと思う。というのは、せっかく12月12日のロケット発射を成功させたのに、ここで新型を打ち上げて失敗すれば、国内的には4月のお祝いの雰囲気を壊すばかりか、国際的には威嚇の度合を落としてしまうことになる。スカッドであれば、既に完成した技術なので、自信を持って発射できるはずだ。ノドンの可能性もあるが、ノドンであればほぼ確実に日本を飛び越えるわけで、国際関係をより複雑化させる。それを北朝鮮が意図するのかどうかにより、発射するミサイルが変わってくるのではないだろうか。

    「進歩勢力抹殺を図る現代版『魔女狩り』」:ウリミンジョクキリへのハッキング (2013年4月11日 「労働新聞」)

    4月4日にuriminzokkiriへの接続が長時間できなかっただけではなく、金正恩さんを非難するパロディー写真が掲載された。これについては過去記事に書いたのでそちらを参照されたい。この問題について11日付けの「労働新聞」に表題のような記事が掲載された。

    記事では冒頭で「数日前、国際的なハッカー集団という正体不明の怪漢が、我々の対外インターネットホームページなどを侵犯し、我々の尊厳を毀損する悪意に満ちた内容の記事などをまき散らし、加入者名簿を窃取、公開するという事件が発生した」とハッキングされた事実を認めた上で、「傀儡一味が不法に公開されたホームページ加入者の名簿について騒ぎ立て、『従北勢力摘発』騒動を繰り広げていることである」とし、公開された名簿にある「統合進歩党、民主労総、全教組メンバー、マスコミ関係者、大学教授など、南朝鮮の各階層」に対して「利敵行為」を行った疑いで「合同捜査に熱を上げている」と非難している。

    uriminzokkiriは、確かに「加入」することができるが、今のところ「加入」することなく必要な機能は使えている。全てを試したわけではないが、過去記事にも書いたように、「朝鮮中央TV」の番組に対するコメントなどもコメントフォームに適当な名前を書き込めば投稿できるようになっている。また、「朝鮮中央通信」HPについても少し前のリフォームでログインシステムが付けられたが、こちらもログインすることなく必要な機能は使えるようになっている。「朝鮮中央通信」については、この機能が付加されたときに一応登録(加入)はしてあるが、その後、ログインをした上で使ったことは一度もない。

    話を「労働新聞」の記事に戻す。記事では、韓国政権が北朝鮮の強硬姿勢やそれにより韓国から外国資本が引き揚げたことにより危機に陥っているとした上で、「傀儡共は、前例のない危機から免れるために、衝撃的な事件が必要となり、国際的なハッカー集団まで反共和国謀略騒動に引っ張り込んだ」と今回のハッキング事件が韓国当局とアハッカー集団・アノイマス共謀した謀略であると主張している。

    そしてその「証拠」として、「ハッカー団体のいわゆる『声明書』なるものが、我々の自衛的核抑止力が『平和と自由に対する威嚇』であるとか、『自由民主主義を導入しろ』だとか、甚だしくは『掃討する』などというたぐいの悪態を使っていることや、その内容が英語と朝鮮語で書かれているのは、今回のハッキング事件に傀儡政府機関の魔手が深く関わっていることを物語っている」ことを挙げている。

    過去のコメントにも書いたような記憶があるが、アノイマスのHPでこの声明や名簿を探してみたのだが、見つけることができなかった。不気味なサイトなので、余り深くは入り込まなかったのではあるが。

    さらに記事では、「傀儡共のファッショ的盲動は、南朝鮮の進歩勢力を抹殺し、社会全般の同族対決的雰囲気をさらに高めるための現代版『魔女狩り』であり、『維新』独裁時代を復活しようとする犯罪的たくらみ」であると非難している。「『維新』独裁時代を復活」という表現は、朴槿恵さんを意識したものと思われる。

    なお、「労働新聞」の同記事の内容を伝える番組は、uriminzokkiri-TVにアップロードされている。

    『労働新聞』、「진보세력말살을 노린 현대판《마녀사냥》」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-11-0035

    「対朝鮮敵対視策動が日本にもたらすのは破滅のみである」 (2013年4月10日 「労働新聞」)

    過去にも似た記事があったような気がするが、10日付けの「労働新聞」に「対朝鮮敵対視策動が日本にもたらすものは破滅のみである」という個人名の「論評」が掲載された。

    記事では「米帝の無謀な北侵戦争挑発策動により朝鮮半島は今日明日にも」戦争が始まりそうな状況下で、「日本反動まで意気投合し情勢をさらに悪化させている」と冒頭で日本を非難しながら始まる。

    そして、「日本領土を米帝の朝鮮侵略基地として提供している」と朝鮮戦争時に日本が朝鮮戦争に参戦する米軍に対して「攻撃基地、補給基地、修理基地」を提供したとし、「新たな朝鮮戦争でも日本は自分の領土を丸ごと米国の侵略基地として差し出している」と日米安保条約に基づき日本に米軍の基地を置かせていることを非難している。

    また、日本の自衛隊に対しても「基地と施設が2800余りに達し」ており、「朝鮮で戦争が起これば、在日米軍基地と『自衛隊』基地だけではなく、民間港湾と民間飛行場まで米軍に提供することになっている」としたうえで、「今日本は、新たな朝鮮戦争に備える準備を進めている」と主張している。

    過去の朝鮮戦争では、日本は「補助武力として米軍の軍服を着て秘密裏に参戦した」が、新たな朝鮮戦では日本の自衛隊を「日章旗を掲げて、公に前面主力部隊として、突撃隊として」参戦させようとしているとしている。そしてその根拠として「『自衛隊』を朝鮮に近い西日本に集中配置し、朝鮮侵攻を仮想した実戦演習を猛烈に展開している」ことを挙げている。

    こうした前提の上で、日本は「朝鮮再侵略機会を狙って」いるが、「我々の警告を無視するべきではない」と威嚇している。

    そして、金日成さんの「朝鮮半島の情勢が悪化し、突然の事態が造成されれば、日本にも良いことはありません」言葉を引用した上で、「日本の朝鮮再侵略は、滅亡の道だ」と述べている。

    続けて、なぜそれが「滅亡の道」なのかということについて、具体的に述べている。

    まず、「日本の領土は4つの離れた島からなっている。その長さは数千キロに達している。日本の領土はこのように狭小であり、中心が深くない」し、「日本は我が国の近くに位置している」ので、「中長距離打撃を重視する現代戦で、中心が深くない日本の全領土は、我々の報復打撃対象となるのは避けられない」と日本の地理的特徴を挙げながら「滅亡の道」の一つ目の理由を説明している。

    二つ目の理由として、「日本は海に囲まれた海洋国で、海上交通運輸手段に最も依存している国」なので、「『有事』に海上交通運輸に危険な状態が造り出されれば、日本経済は混乱に陥る」としている。これについては具体的に北朝鮮がどのような攻撃を加えるとは言っていないが、潜水艦などで日本の船舶を攻撃するという威嚇であろう。

    三つ目の理由として、「都市人口密度が高く、工業があちこちに集中配置されている。日本の主要都市である東京、大阪、横浜、名古屋、京都には、日本人口の3分の1以上が住んでいるだけではなく、基幹工業が集中している。東京だけでも300メートル間隔でガソリンスタンドがある」と、日本を攻撃するにはいくつかの主要都市を狙えば良いという認識を示している。事実かどうかは別とし、東京には300メートル間隔でガソリンスタンドがあるという話はどこから持って来たのであろうか。

    さらに、「今日の戦争は、過去の戦争とは異なる」とし、「現代戦では、様々な新しい科学技術が導入された戦争手段が多く利用される」としている。そして、「現代戦は、立体戦である。したがって、前線と後方の区別はない。日本が戦争に火を付ければ、島国全体が戦場となる」とし、日本に対して「突然の打撃が加えられれば、全てが火の海、死の場所となり、生き残った人もまともな状態ではいられない」と恫喝している。

    また、「過去の戦争の時、我々は日本にある侵略基地を報復攻撃する能力がなかった」が、「今は、我が人民軍隊は、日本はもちろん、アジア太平洋地域の米帝侵略軍基地まで撃破する報復能力を十分に備えている」と主張している。さらに「日本のあちこちには米軍基地がある」ので、「日本は、20世紀40年代に被った核惨事とは比べものにならないとてつもない被害を避けることはできない」と北朝鮮による対日核攻撃も臭わせている。

    『労働新聞』、「대조선적대시책동이 일본에 가져다줄것은 파멸뿐이다」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-10-0037&chAction=L

    このタイミングでなぜ北朝鮮がこうした記事を出してきたのは、やはり「ミサイル迎撃命令」の存在が公表されたことに反応したのではないだろうか。日米共に、北朝鮮のミサイルが自国領に被害を及ぼす可能性がある場合についてのみ迎撃する立場を示しているが、果たしてどのタイミングでそれを判断するのかが問題である。これまで、幸いにも北朝鮮が発射した「飛翔体」が両国領内に落下したことはなかったが、今回はその「可能性」が認識され、それをいずれかの国が撃破した場合、北朝鮮が「戦争行為」と主張する可能性は排除できない。

    「日朝学術教育交流協会代表団到着」:外交ミッション退避勧告、米国の反応、武官団は退避せず、国際マラソン大会 (2013年4月9日 「朝鮮中央通信」)

    北朝鮮は、4月5日に平壌の在外公館関係者や国際機関関係者に対し、「戦争に備えて」退避するよう勧告を出した。北朝鮮に在外公館を持つ英国やスウェーデンなどの国々は、この勧告に対応する特段の措置は講じていないと報じられている。

    『時事通信』、「外交団退避求める=「10日以降の安全保証できず」-北朝鮮」、http://www.jiji.com/jc/zc?k=201304/2013040500917

    また、昨日の記事に書いたように、北朝鮮は在韓国の外国人や外国機関に対しても退避を勧告している。これと関連し、在韓国米国人の安全について米国務省定例記者会見で質問が出された。ベントレル報道官は「我々は韓国在住の米国市民や韓国を訪問する予定の米国人に対して、特別の注意は喚起していない」とし、北朝鮮による「勧告」は、一連の威嚇の続きであるという考えを表明した。

    U.S. Department of State, "Daily Press Briefing",
    http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2013/04/207224.htm#DPRK

    在韓米大使館の米国市民に対する安全情報には、上記のベントレル報道官が述べている見解が記されている。

    Embassy of the United State Seoul Korea, "A Security Message for U.S. Citizens" ,http://seoul.usembassy.gov/acs_message04april2013.html

    また、米国務省は北朝鮮へ入国する米国市民に対して注意を喚起している。詳細は、下記を参照して欲しいが、一言で言うと「北朝鮮国外では合法的なことも同国内では不法となり、その判断は北朝鮮当局者に委ねられているので十分に注意すること」ということである。2010年に私が訪朝したときも、その直前に中国であった国際会議の論集や自分の報告、さらにそのためのデータが入ったUSBメモリなどは全て中国人の友人に預けておいた。実際に、北朝鮮国内でメモリや印刷物に関する検査は全く受けなかったが、気をつけた方が良いということであろう。

    U.S. Department of State, "Travel Warning U.S. DEPARTMENT OF STATE Bureau of Consular Affairs Korea, Democratic People's Republic of March 14, 2013", http://travel.state.gov/travel/cis_pa_tw/tw/tw_5907.html

    なお、日本国外務省は韓国については平常通り、北朝鮮については「渡航自粛」を喚起している。

    そんな中、「朝鮮中央通信」が中村元気さんを代表とする「日朝学術教育交流協会代表団」が平壌に到着したと報じた。昨年4月14日の記事にも書いたが、中村さんは昨年も太陽節を前後して平壌を訪問している。

    在平壌外交ミッションへの退避勧告後、それを「無視」した外交使節団が万景台革命学院を訪問したという記事をやはり「朝鮮中央通信」が4月9日付けで報じている。「駐朝武官団、万景台革命学院を参観」という記事によると「偉大な領導者金正日同志の朝鮮民主主義人民共和国国防委員会委員長推戴20周年に際し、駐朝武官団が8日、万景台革命学院を参観」し、金日成・金正日銅像に花束を捧げたとのことである。

    また、同9日、同通信は「意味深い太陽節を飾る体育競技(複数)」という記事の中で、「国際陸上連盟第26回万景台賞マラソン競技大会を14日に平壌で」開催され、「国際競技で優秀な成績を出した各国の選手」が参加すると報じている。外交ミッションに10日までに退去するよう勧告しておきながら、その4日後には平壌で国際マラソン大会を開催するというは実に奇妙であるが、今日開戦し、北朝鮮のプラン通りに「3日速決戦」が成功すれば、14日には「統一祖国」でめでたく国際マラソン大会が開催できるという話にはなるのだが。

    「アジア太平洋平和委員会スポークスマン談話」 (2013年4月9日 「朝鮮中央TV」)

    標記「談話」で、「ソウルをはじめとした南朝鮮にある全ての外国機関と企業、韓国客を含む外国人が身辺の安全のために事前に待避および疎開対策をとるよう」勧告した。

    在平壌の外国機関に対しては、4月10日までに待避等、戦争に備えるよう通告しているので、南北間での戦争という状況を想定した上での論理的バランスを維持するために、韓国の外国機関等に対しても同様の警告をしたものと思われる。

    「朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議第12期第7次会議開催 我が党と人民の最高領導者金正恩同志が会議に参席された」:議案、人事、法令 (2013年4月2日 「労働新聞」)

    4月1日に開催された第12期第7回最高人民会議で制定された法令等については別記事で既に書いたが、会議自体についてはまだ書いていないので、1週間経ってしまったがメモを残しておく。

    2012年9月25日に開催された第12期第6回最高人民会議の写真と今回の会議の写真を比較すると、背景にある銅像が変わっていることが分かる。

    第12期第6回会議
    2012-09-26-01-01.jpg
    Source:『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-09-26-0001&chAction=D

    第12期第7回会議
    2013-04-02-03-01.jpg
    Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-02-0004&chAction=D

    第6回会議の時は、怖い顔をした金日成像であったが、今回は「太陽の微笑」顔の金日成・金正日銅像に変わっている。また、銅像上部の板の色も緑から茶色に変わり、周辺の板の色も変わっているように見えるので、改装されたのであろう。去年の放送された「録画報道」はまだ未確認だが、今年の印象では銅像を照らす照明が強められたようで、テレビ映像ではハレーションをおこしているように見えた。

    序列を確認しておくと、第6回会議では金永南、崔永林、崔龍海、玄永哲、金正覚、張成沢、朴道春、金国泰、金己男、楊亨燮、姜錫柱、李勇武、玄哲海、金元弘であったが、第7回会議では、金永南、崔龍海、朴奉珠、崔永林、張成沢、金敬姫、玄永哲、金格植、金己男、朴道春、金永春、楊亨燮、李勇武、姜錫柱となっている。

    細かいことはさておき、トップの数人についてだけ述べるとすれば、崔龍海さんの地位が一層向上したこと、第6回大会時の序列名簿には名前さえ挙がっていなかった朴奉珠(首相に任命)さんが第4位(金正恩を1位とする)に登場したこと、張成沢さんは序列を1つ上げ第6位に、そして金正覚さんが31位へと大幅に低下したことなどが特徴的である。

    また、上の写真を見ると第6回会議では張成沢さんは党関係者の席の座っているが、第7回会議では軍側の席に最前列では1人だけスーツを着て座っている。着ているスーツが同じように見えるということはさておき、この辺りの席次は何を意味しているのであろうか。

    (今日行われた「金正日国防委員長就任20周年慶祝中央報告大会」の記録映画を、今まで「朝鮮中央TV」が放送していたが、この中で張成沢さんは軍服を着ていた。錦繍山太陽宮殿を訪問するときは、軍服を着ていたと記憶しているが、金正日関係の行事には軍服着用で出席することにしているのであろうか。)

    <追記>この「中央報告大会」に張成沢さんが参加していたのかというコメントを頂いた。記事を書いた後に「労働新聞」で確認したところ彼の名前はなかった。「記録映画」で軍服を着ていたのは別人の可能性が高い。

    第12期第7回最高人民会議の議案は下記のとおりである。

    1.朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法の一部内容修正補充について
    2.朝鮮民主主義人民共和国錦繍山太陽宮殿法を採択することについて
    3.朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議法令「自衛的核保有国の地位を一層確固たるものにすることについて」を採択することについて
    4.朝鮮民主主義人民共和国宇宙開発法を採択することについて
    5.朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議決定「朝鮮民主主義人民共和国国家宇宙開発局を設立することについて」を採択することについて
    6.朝鮮民主主義人民共和国内閣の2012年事業実績と2013年の計画について
    7.朝鮮民主主義人民共和国2012年国家予算執行の結果と2013年国家予算について
    8.組織問題(人事問題)

    1~3については、過去記事に書いた。4については同法を制定すること、5については同局を「国家の宇宙科学技術を飛躍的に発展させ、経済建設を進めて人民生活を向上させ、共和国の全ての宇宙活動を統一的に指導管理する」とし、「宇宙開発計画の作成と実行、宇宙開発事業に関する監督と統制を統一的に指導管理する国家の中央指導機関」と位置づけている。

    『労働新聞』、「조선민주주의인민공화국 최고인민회의 법령 조선민주주의인민공화국 우주개발법을 채택함에 대하여」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-02-0016&chAction=L
    『労働新聞』、「조선민주주의인민공화국 최고인민회의 결정 조선민주주의인민공화국 국가우주개발국을 내옴에 대하여」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-02-0017&chAction=L

    党人事(組織問題)に関しては、以下のとおりである。

    崔永林内閣総理を召還し最高人民会議常任委員会名誉副委員長に、内閣総理は朴奉珠代議員に。金正覚、李ミョンス両代議員を「職務変動により」国防委員会員より召還。金格植代議員、崔富一代議員を国防委員会委員に。太亨徹代議員を最高人民会議常任委員会書記長より召還し、洪善玉を同書記長に。

    この他に、内閣メンバーの解任及び任命が行われた。
    解任者(括弧内は解任前の職責)
    李スンホ代議員(内閣副総理)
    金フィヨン代議員(原油工業相)
    ファン・ミンデ代議員(農業相)
    李ソンオク代議員(化学工業相)
    リョム・チョルス代議員(国家資源開発相)
    ファン・ハクウォン代議員(都市経営相)
    金チャンリョン代議員(国土環境保護相)
    崔チャンシク代議員(保健相)
    ソン・チャリプ代議員(金日成総合大学総長兼教育委員会高等教育相)

    新規被任命者
    李ミョンヨン代議員(内閣副総理兼化学工業相)
    李チョルマン代議員(内閣副総理兼農業相)
    カン・ヨンス代議員(都市経営相)
    ベ・ハクドン(原油工業相)
    李ヒョク(水産相)
    李チュンサム(国家資源開発相)
    金ギョンジュン(国土環境保護相)
    カン・ハコク(保健相)
    テ・ヒョンチョル(金日成総合大学総長兼教育委員会高等教育相)

    解任者と新規被任命者を比較すると、新規被任命者は最高人民会議の非代議員が増えている。最高人民会議の代議員選挙は2009年3月に行われて以来行われていないが、5年に1回であるとすれば来年3月に選挙が行われるはずである。その時までに、新内閣のメンバーが朴奉珠内閣の下で経済立て直しが進めば、彼らは代議員に選出されることになるのであろう。

    『労働新聞』、「조선민주주의인민공화국 최고인민회의 제12기 제7차회의 진행 우리 당과 인민의 최고령도자 김 정 은동지께서 회의에 참석하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-02-0004&chAction=D

    「労働新聞」が紹介するプロフィールは以下のとおり。

    朴奉珠首相
    2013-04-02-06-02.jpg
    Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-02-0020&chAction=D

    1939年4月10日生まれ
    トクチョン工業大学卒業後、機械製作技師の資格を受ける。
    道党副部長、ナムフン青年化学連合企業所党責任秘書、党中央委員会副部長、化学工業相、内閣総理、党中央委員会第1副部長を経て、2012年4月から党中央委員会軽工業部部長

    朴奉珠さんは、早速、8日の「金正日国防委員長就任20周年慶祝中央報告大会」で演説をしていたが、目新しいことは言わなかった。

    崔永林最高人民会議常任委員会名誉副委員長
    2013-04-02-06-03.jpg
    Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-02-0021&chAction=D

    1930年11月20日咸鏡北道キョンフン郡生まれ
    1950年7月人民軍入隊
    大学卒業後、経済技師の資格を受ける
    党中央委員会指導員、課長、副部長、第1副部長、部長、錦繍山議事堂書記室責任書記、政務院副総理、中央検察所長、最高人民会議常任委員会書記長、平壌市党責任秘書経て2010年6月から内閣総理。

    「金養建、党中央委員会秘書談話」:開城訪問、北側従業員撤収、全廃するかは検討 (2013年4月8日 「朝鮮中央TV」)

    教えいていただいたustreamで「朝鮮中央TV」の生放送を見ていた。金養建労働党秘書が開城を訪問したニュースが4時半頃に流された。この時の報道では、同秘書が「現地で対策会議を開催し」、「地区内のどのような事態にも対応できるよう指示した」と伝えていた。

    その後、5時半過ぎに出された同秘書の談話では、韓国政府、特に金寛鎮韓国国防部長官を非難した上で、「開城工業地区などない方がましだ」とし、「我々は重大決断を下さざるを得なくなった」と次のような措置を取ることを明らかにした。

    1.開城工業団地で働く北側従業員を全て撤収させる。
    2.開城工業団地の事業を暫定的に中断し、全廃するかどうかについて検討する。
    3.これらの措置の実務については、中央特区開発総局が管轄する。

    1については、既に中央特区開発総局が出した声明に含まれていた。2については、「全廃」の可能性を云々しつつとも、事業は「暫定的」に中断するともいっている。北朝鮮側の従業員が撤収すれば、同工業団地内での工場の稼働はストップせざるを得ないので、「事業の暫定的中断」は当然発生する。ただし、中断や撤廃を検討する理由として、「南朝鮮当局と軍事好戦狂が開城工業地区を南北対決の熱戦場に使用としている条件下で」という条件付けをしているので、韓国側が何らかの措置を取れば、この「条件」がなくなったと言い出す可能性は十分にある。

    昨日あたりから、金寛鎮さんの顔写真と米兵の顔写真を貼り付けたカカシに軍用犬を飛びつかせ、その後に一斉射撃、最終的にはロケット弾で爆破する様子を繰り返し放送している。どうやら、北朝鮮のターゲットは李明博政権時代から国防部長官を務める金寛鎮さんのようだ。今日に至るも、「青瓦台の部屋にいるスカートの風」という言葉で間接的に朴槿恵さんを非難しているものの、彼女の名前は出していない。

    北朝鮮は金寛鎮さんを韓国が解任するなどの措置を取れば、上に書いた「条件」がなくなったと主張しようとしているのではないだろうか。ただ、朴槿恵政権が金寛鎮さんを解任するにしても、米韓軍事演習中では意味がないので、終了後というタイミングになるであろう。もちろん、北朝鮮に言われるままに解任するという判断をするかどうかは大いに疑問ではある。

    「朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議法令 自衛的核保有国の地位をさらに確固たるものにすることについて」 (2013年4月2日 「労働新聞」)

    「労働新聞」に掲載された標記法令の内容は以下のとおり。

    1.朝鮮民主主義人民共和国の核兵器は、我が共和国に対する米国の持続的に強まる敵対視政策と核威嚇に対処し、やむを得ず保有することになった正当な防衛手段である。
    (1.조선민주주의인민공화국의 핵무기는 우리 공화국에 대한 미국의 지속적으로 가증되는 적대시정책과 핵위협에 대처하여 부득이하게 갖추게 된 정당한 방위수단이다.)

    2.朝鮮民主主義人民共和国の核武力は、世界の非核化が実現されるときまで、我が共和国に対する侵略と攻撃を抑止、撃退し、侵略の本拠地に対する殲滅的な報復打撃を加えることを本務とする。
    (2.조선민주주의인민공화국의 핵무력은 세계의 비핵화가 실현될 때까지 우리 공화국에 대한 침략과 공격을 억제,격퇴하고 침략의 본거지들에 대한 섬멸적인 보복타격을 가하는데 복무한다.)

    3.朝鮮民主主義人民共和国は、強まっている敵対勢力の侵略と攻撃威嚇の厳しさに対処し、核抑止力と核報復打撃力を質量的に強化するための実質的な対策を立てる。
    (3.조선민주주의인민공화국은 가증되는 적대세력의 침략과 공격위험의 엄중성에 대비하여 핵억제력과 핵보복타격력을 질량적으로 강화하기 위한 실제적인 대책을 세운다.)

    4.朝鮮民主主義人民共和国の核兵器は、敵対的な他の核保有国が我が共和国を侵略したり攻撃する場合、それを撃退し報復打撃を加えるために、朝鮮人民軍最高司令官の最終命令によってのみ使用することができる。
    (4.조선민주주의인민공화국의 핵무기는 적대적인 다른 핵보유국이 우리 공화국을 침략하거나 공격하는 경우 그를 격퇴하고 보복타격을 가하기 위하여 조선인민군 최고사령관의 최종명령에 의하여서만 사용할수 있다.)

    5.朝鮮民主主義人民共和国は、敵対的な核保有国と野合して我が共和国に反対する侵略や攻撃行為に荷担しない限り、非核国に対して核兵器を使用したり核兵器で威嚇したりしない。
    (5.조선민주주의인민공화국은 적대적인 핵보유국과 야합하여 우리 공화국을 반대하는 침략이나 공격행위에 가담하지 않는 한 비핵국가들에 대하여 핵무기를 사용하거나 핵무기로 위협하지 않는다.)

    6.朝鮮民主主義人民共和国は、核兵器の安全な保管管理、核実験の安全性確保と関連した規定を厳格に遵守する。
    (6.조선민주주의인민공화국은 핵무기의 안전한 보관관리,핵시험의 안전성보장과 관련한 규정들을 엄격히 준수한다.)

    7.朝鮮民主主義人民共和国は、核兵器やその技術、兵器級核物質が非合法に流出しないよう、徹底して保障するための保管管理体系と秩序を打ち立てる。
    (7.조선민주주의인민공화국은 핵무기나 그 기술,무기급핵물질이 비법적으로 루출되지 않도록 철저히 담보하기 위한 보관관리체계와 질서를 세운다.)

    8.朝鮮民主主義人民共和国は、敵対的な核保有国との敵対関係が解消された後、互恵と平等の原則から核拡散防止と核物質の安全な管理のための国際的な努力に協力する。
    (8.조선민주주의인민공화국은 적대적인 핵보유국들과의 적대관계가 해소되는데 따라 호상존중과 평등의 원칙에서 핵전파방지와 핵물질의 안전한 관리를 위한 국제적인 노력에 협조한다.)

    9.朝鮮民主主義人民共和国は、核戦争の危険を解消し、究極的に核兵器がない世界を建設するために闘争し、核軍備競争に反対して核軍縮のための国際的な努力を積極的に支持する。
    (9.조선민주주의인민공화국은 핵전쟁위험을 해소하고 궁극적으로 핵무기가 없는 세계를 건설하기 위하여 투쟁하며 핵군비경쟁을 반대하고 핵군축을 위한 국제적인 노력을 적극 지지한다.)

    10.当該機関は、この法令を執行するための実務的対策を照ってして打ち立てる。
    (10.해당 기관들은 이 법령을 집행하기 위한 실무적대책을 철저히 세울것이다.)

    これは、「法令」というよりも「声明」に近いものである。1では、従来の北朝鮮の主張でもある「北朝鮮の核武装は、米国の敵対視政策の結果」であるとし、2で「世界の非核化が実現するときまで」核武力を保有するとしている。世界の非核化など遠い将来に至るまで実現するはずもないので、この限りでは後任の核保有国同様、核保有を続けるという意思を示している。さらに、3で「核報復打撃力を質量的に強化する」とし、核軍事力を強化している方針を示している。

    4は核保有国の「侵略や攻撃」に対する核での報復は「最高司令官の最終命令による」という規定であるが、核保有国の核による「侵略や攻撃」とは言っていない。つまり、通常兵器による侵略や攻撃に対しても、「最終命令」があれば核での報復も辞さないということである。さらに強い威嚇は5である。5では非核保有国であっても「核保有国と野合して」北朝鮮を「侵略したり攻撃」すれば、核攻撃の対象となると言っている。つまり、非核国である日本も韓国も通常兵器による北朝鮮と米国との戦闘に巻き込まれれば、核攻撃の対象となるということである。問題は、ヨンピョン島事件の拡大版のような局地戦が発生し、米軍の直接的な参戦がない状態で南北間の交戦があった場合である。米国と「野合」しているのかどうかは北朝鮮の判断次第なのであろうが、これもこうした局地戦に米軍が参戦しないようにするための装置として設けた規定であろう。

    6は核実験や核管理に関する規定である。第3回核実験でも空気中からは核物質は採取できなかったので、大気への拡散は秘密保持のためにも非常に厳重に行っているようである。

    7は、第三国やテロリストへの核兵器や核物質の提供はしないという規定である。ただし、「兵器級核物質」と言っているので、原発用の低濃縮ウランなどはこれに含まれないと言うことになる。北朝鮮は、ウラン濃縮施設を拡充し、民生用低濃縮ウランの輸出を念頭にいれこのような規定を設けた可能性がある。

    8では「敵対的な核保有国との敵対関係が解消された後」には核拡散防止等の「国際的な努力に協力」すると言っている。北朝鮮が「敵対関係が解消」というのをどのように定義しているのかは分からないが、究極的には米国との平和協定締結である。かつて北朝鮮は「敵対的な関係が解消」、つまり平和協定が締結されれば核は放棄すると言っていたが、この「法令」では「国際的な努力に協力」とハードルを高めている。現段階では、北朝鮮が即座に核放棄をする可能性はないが、少なくとも「敵対関係の解消」の足がかりとして「国際的な努力に協力」、つまりIAEAによる査察受け入れなどから始めなければならないことは言うまでもない。2.29合意はその第一歩だったはずなので、何とかそこに引き戻す努力が必要である。ましてや9では「核軍縮を支持する」と言っているのだから、「世界の非核化が実現されるまで」などと非現実的なことを言うのはやめなければならない。

    この「法令」もそうであるが、ヨンビョンの原子炉再稼働のように次々と核に関する「声明」を出している。どうも見ていると、北朝鮮もこれまでどおりの瀬戸際戦術が通用しなくなったと認識しており、次々といろいろな危機を醸し出して危機のレベルを上げ、譲歩の条件を出しやすいようにしている感じがする。ヨンビョンの再稼働などその良い例で、しばらく放置しておいたものをまたやると言い出しているわけで、「では、ヨンビョン再稼働は止めました」と譲歩したところで、北朝鮮にとっては何のダメージもない。

    4月2日に米国を訪問していた韓国の尹炳世外交通商相と米国のケリー国務長官の共同記者会見が開かれ、韓国人の記者がケリーさんに「どのような状況になれば、米国は北朝鮮との対話の準備に入るのか。あなたにはそのための特定の条件があるのか」と質問している。これは実に的を得た質問で、北朝鮮が「核・ミサイルを放棄する」ことなどを条件としている限りは、対話が始まらないことは誰も分かっている。では、現実的にどこでというのがこの質問の趣旨であるが、ケリーさんは「北朝鮮は、非核化についての真剣な議論をする準備をすることが必要である。彼らはそのゴールが何であり、その条件が何であるかも知っている」とし、「(オバマ大統領が述べた通り)彼らが挑発を止め真剣な対話を約束するのであれば、(米国は)対話による交渉に入る準備がある」としている。

    「挑発を止め」ることを一つの条件としている。これを上に書いたことと結びつけて考えれば、北朝鮮がこのところ挑発の度合いを高めているのは、そもそもなかった緊張関係を作り出しておき、それを一つ一つ引っ込めることで「挑発を止めた」と主張する材料となるわけである。上述したヨンビョン原子炉再稼働だけではなく、「休戦協定白紙化」、「南北通信遮断」、「開城遮断」など、全て北朝鮮が最近作り出した「造成された」状況である。

    もちろん、米国がその作戦に簡単に踊らされることはないと思うが、「核・ミサイル問題」を対話で解決するための口実になることは間違いない。

    危険なのは、こうした北朝鮮による挑発に対し米国が全く応ぜず、北朝鮮が出した「挑発」を引っ込められなくなってしまう状況に至る場合である。日本時間昨夜の米国務省定例記者会見でも「北朝鮮によるホワイトハウスを狙うという通告は、報道以外でも行われたのか」という記者の質問に対し、国務省報道官は「ない」としている。北朝鮮がロケット発射や核実験を行った際には、報道以外にも直接米国務省に対してその旨通達があったとのことなので、事態はそこまで緊迫していないと言えるが、とはいえ安全とはとても言い難い状況であることは間違いない。

    ケリーさんは、来週、日中韓を訪問し、特に中国では北朝鮮問題について集中的に中国側と協議するとのことなので、どこかで落としどころを見いだしてくれることを希望する。北朝鮮とて、あと10日もすれば太陽節を迎えることになるので、戦争ムードを下げて迎えた方が良いのではないだろうか。気のせいかもしれないが、北朝鮮の報道を見ていても、今年は金日成花の話が少ないような気がしてならない。戦争よりも平和な金日成花の方がよほど良い。

    『労働新聞』、「조선민주주의인민공화국 최고인민회의 법령 자위적핵보유국의 지위를 더욱 공고히 할데 대하여」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-02-0015&chAction=L

    U.S. Department of State, "Remarks With Minister of Foreign Affairs of the Republic of Korea Yun Byung-se After Their Meeting", http://www.state.gov/secretary/remarks/2013/04/207011.htm

    U.S. Department of State, "Daily Press Briefing", http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2013/04/207080.htm#DPRK
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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