トランプ、金正恩の健康状態に関する質問に「彼がどうしているか知っている」、「まもなく発表があるだろう」とも、「元帥様」の気の緩み、平壌と地方の様子、幹部の動向、 (2020年4月28日)
27日(現地時間)、トランプがコロナ関連の記者会見で「元帥様」の健康状態について言及。
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正確な話はできないが、(金正恩の健康状態について)よく知っている。しかし、今は話せない。私は、金正恩が元気なことを願っているし、彼との関係はとても良好だ。私が大統領になっていなかったら、北朝鮮と戦争になっていたはずだ。そのことだけははっきりと言える。彼は、それを考えていた。そのこともはっきりと言える。彼が元気であることを願っているし、彼がどうしているのかも比較的よく分かっている。そのことについて、皆さんはそれほど遠くない時期なんらかの発表を聞くことになろう。
51分45秒頃から。
Source: White House, YouTube, 2020/04/27
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前半部分については、数日前に書いた記事と同じだが、「遠くない時期の何らかの発表」が何を指しているのか、米国がつかんでいる情報を公開するのか、あるいは朝鮮側が発表をするのか。
「元帥様」の専用列車が元山にいると38 Northが衛星写真を分析して伝えている。コロナ感染拡大が最も心配(あるいは深刻)な平壌に「元帥様」がいないであろうということについては、過去にも書いている。元山はそれなりの規模の都市であり、外国人観光客(特に中国人)も受け入れていた都市である。その系からすると、中国人観光客が持ち込んだコロナ感染がある可能性がある。もちろん、国境閉鎖をしてから時間が経っており、感染がないことが確認された後に専用列車で元山に移動した可能性もある。「元帥様」は4月11日に党中央委員会政治局会議に出席しているので、それ以前であれば一時的に戻ってきたのか、それ以後のことであろう。
さて、「元帥様」の健康状態であるが、コロナと無関係に体調を崩した可能性については、あの肥満体だから理由はいくらでも考えられる。コロナ関連でいうと、「元帥様」は3月18日辺りからコロナ感染に対する警戒が緩んでいる。『労働新聞』の「革命活動」報道写真を見ていると、それがはっきりと分かる。
3月13日報道、「敬愛する最高領導者金正恩同志が、朝鮮人民軍第7軍団と第9軍団管下砲兵部隊の砲射撃競技を指導された (경애하는 최고령도자 김정은동지께서 조선인민군 제7군단과 제9군단관하 포병부대들의 포사격대항경기를 지도하시였다)」

Source: 『労働新聞』、2020/03/13
過去記事でも紹介したと思うが、この時は軍幹部全員にマスクを着用させている。
ところが、3月18日の「敬愛する最高領導者金正恩同志が、平壌総合病院着工を現地で宣布され、自ら建設の鍬入れをされた (경애하는 최고령도자 김정은동지께서 평양종합병원착공을 현지에서 선포하시고 몸소 건설의 첫삽을 뜨시였다)」では、マスクを着用していない一部幹部と話をする写真が公開されている。

Source: 『労働新聞』、2020/03/18
続けて、3月21日の「敬愛する最高領導者金正恩同志が、朝鮮人民軍西部前線大連合部隊の砲射撃対抗競技を指導された (경애하는 최고령도자 김정은동지께서 조선인민군 서부전선대련합부대들의 포사격대항경기를 지도하시였다)」では、かなりの数のマスク未着用軍幹部と至近距離で話している写真が公開されている。

Source: 『労働新聞』、2020/03/21
翌22日には、「敬愛する最高領導者金正恩同志が、戦術誘導兵器示範射撃をご覧になった (경애하는 최고령도자 김정은동지께서 전술유도무기 시범사격을 보시였다)」でも、目標に命中して歓喜する軍幹部などとの写真が公開されている。大声で叫べば、屋外のテントだとしても、ウィルス感染の可能性はぐんと高まる。

Source: 『労働新聞』、2020/03/22
4月に入り10日には、「敬愛する最高領導者金正恩同志が、朝鮮人民軍軍団別迫撃砲兵軍部隊の砲射撃訓練を指導された (경애하는 최고령도자 김정은동지께서 조선인민군 군단별 박격포병구분대들의 포사격훈련을 지도하시였다)」で、さらに多くのマスク未着用軍幹部との写真が公開されている。

Source: 『労働新聞』、2020/04/10
なお、この日の訓練では軍人がマスクを着用している姿がはっきりと確認できる。

Source: 『労働新聞』、2020/04/10
12日には、「敬愛する最高領導者金正恩同志が、西部地区航空及び反航空軍管下追撃襲撃機連隊を視察された (경애하는 최고령도자 김정은동지께서 서부지구 항공 및 반항공사단관하 추격습격기련대를 시찰하시였다)」で、マスク未着用の飛行士と話をしている写真が公開されている。

Source: 『労働新聞』、2020/04/12
そして、同日「党中央委員会本部庁舎」で開催された党中央委員会政治局会議に出席している。

Source: 『労働新聞』、2020/04/12
以後、「元帥様」は、各国首脳に「祝電」などを送っているが、公の場には登場していない。このように、公開された写真だけを見ると、3月18日からコロナ対策に対する緩みが見られる。北朝鮮は、依然としてコロナ感染者が発生していないことになっているが、学校の授業は再開されていないし、商店やエンターテイメント施設(イルカ館や動物園)も閉鎖されている状態にあるようだ。
26日の「20時報道」内で放送された「マンス橋肉商店」。

Source: KCTV, 2020/04/26
買い物をしている人の数が極端に少ない。この辺り、実際に発布されている外出禁止令などとの関係で、どれだけの人を画面に出すのかに苦心した跡が窺える。ゼロにするわけにも行かず、外出禁止令の例外対象に該当するぐらいの人数が写っているのであろう。
一方、「白頭山大学」には、依然として多くの人々がやって来ており、2密状態が継続している。この日の「踏査隊員」は、白頭山頂登頂に感激しつつもマスクを着用したままであるが、少し前まではこのシーンに限ってはマスクを外すことが許されていたようで、マスクをずらして喜んでいるシーンが写っていた。「白頭山大学」は、昨年末の「元帥様」らによる軍馬踏査以降続いているのだが、感染のリスクが高いこの行事をなぜ止めないのか理由が分からない。ま、感染がないことになっているので、止める理由が北朝鮮側にないということにもなるのかもしれなのだが。
4月26日、「20時報道」より。

Source: KCTV, 2020/04/26
地方の農場や山間地帯の小さな村の様子などが、「兵士の故郷ニュース」で紹介されている。下は、「シンソンチョン労働者区」の「探査隊員」。数年前、「平壌放送」が「探査隊」に遠隔学習教材の問題番号を送信しているので「暗号放送再開ではないのか」と話題になり、拙ブログでもその録音などを紹介したが、「探査隊」自体は何もスパイ組織ではなく、鉱脈などを探す地質調査隊を指している。その、「探査隊員」たちもマスクを付けてはいるが、インタビューに応じる「兵士」の親なども含めて、あまり緊張感が感じられない。

Source: KCTV, 2020/04/26
「元帥様」の健康状態から話がそれてしまったが、平壌は実際に感染が発生しており厳戒態勢、外国人が侵入せず、人の移動が制限されている地域では感染がないというのが現状のように思われる。元山はどうかというと平壌に近いと思われるが、「元帥様」も元山まで列車で移動し、その後、郊外の別荘に移っている可能性が高い。過去の元山付近から発射されたミサイル実験の際、Google Earthで検索していたところ、幹部専用の建物のようなものが数多く見つかっている。
では、「元帥様」がいつ感染したのか。上で紹介した写真を「元帥様」の平均的な感染対応状態と考えると、やはり3月18日以降の可能性が高い。特に、4月10日と12日は、多くの人と接触しており、これらの人の中に感染者がいても不思議ではない。「元帥様」と接触する人間については、PCR検査を実施しているはずだが、だとしても、マスクもしていない人々との接触が増えれば、感染のリスクは高まる。「元帥様」に緩みが出たのかは分からないが、平壌でコロナ感染収束傾向が見られたのかもしれない。
仮に10~12日に感染し、潜伏期間が平均的な5日だとすると、「太陽節」辺りで発症し、錦繍山太陽宮殿参拝ができなくなった可能性はある。問題は症状であるが、上にも書いたとおり、あの肥満体だから慢性疾患を抱えている可能性は十分にあり、重篤化する可能性は高い。
さらに深刻なのが、もし、12日の会議で感染していたとすると、そこにいた北朝鮮指導部の多くも感染していることになる。年齢的には感染後重篤化する人も多い。
金ジェリョン内閣総理は、25日にもダム工事現場などを訪れているので、元気なのだろうが、他の人は分からない。

Source: 『労働新聞』、2020/04/25
<追記>
29日の『労働新聞』に朴奉珠が金正淑平壌紡織工場を訪問という記事が出た。

Source: 『労働新聞』、2020/04/29
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正確な話はできないが、(金正恩の健康状態について)よく知っている。しかし、今は話せない。私は、金正恩が元気なことを願っているし、彼との関係はとても良好だ。私が大統領になっていなかったら、北朝鮮と戦争になっていたはずだ。そのことだけははっきりと言える。彼は、それを考えていた。そのこともはっきりと言える。彼が元気であることを願っているし、彼がどうしているのかも比較的よく分かっている。そのことについて、皆さんはそれほど遠くない時期なんらかの発表を聞くことになろう。
51分45秒頃から。
Source: White House, YouTube, 2020/04/27
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前半部分については、数日前に書いた記事と同じだが、「遠くない時期の何らかの発表」が何を指しているのか、米国がつかんでいる情報を公開するのか、あるいは朝鮮側が発表をするのか。
「元帥様」の専用列車が元山にいると38 Northが衛星写真を分析して伝えている。コロナ感染拡大が最も心配(あるいは深刻)な平壌に「元帥様」がいないであろうということについては、過去にも書いている。元山はそれなりの規模の都市であり、外国人観光客(特に中国人)も受け入れていた都市である。その系からすると、中国人観光客が持ち込んだコロナ感染がある可能性がある。もちろん、国境閉鎖をしてから時間が経っており、感染がないことが確認された後に専用列車で元山に移動した可能性もある。「元帥様」は4月11日に党中央委員会政治局会議に出席しているので、それ以前であれば一時的に戻ってきたのか、それ以後のことであろう。
さて、「元帥様」の健康状態であるが、コロナと無関係に体調を崩した可能性については、あの肥満体だから理由はいくらでも考えられる。コロナ関連でいうと、「元帥様」は3月18日辺りからコロナ感染に対する警戒が緩んでいる。『労働新聞』の「革命活動」報道写真を見ていると、それがはっきりと分かる。
3月13日報道、「敬愛する最高領導者金正恩同志が、朝鮮人民軍第7軍団と第9軍団管下砲兵部隊の砲射撃競技を指導された (경애하는 최고령도자 김정은동지께서 조선인민군 제7군단과 제9군단관하 포병부대들의 포사격대항경기를 지도하시였다)」

Source: 『労働新聞』、2020/03/13
過去記事でも紹介したと思うが、この時は軍幹部全員にマスクを着用させている。
ところが、3月18日の「敬愛する最高領導者金正恩同志が、平壌総合病院着工を現地で宣布され、自ら建設の鍬入れをされた (경애하는 최고령도자 김정은동지께서 평양종합병원착공을 현지에서 선포하시고 몸소 건설의 첫삽을 뜨시였다)」では、マスクを着用していない一部幹部と話をする写真が公開されている。

Source: 『労働新聞』、2020/03/18
続けて、3月21日の「敬愛する最高領導者金正恩同志が、朝鮮人民軍西部前線大連合部隊の砲射撃対抗競技を指導された (경애하는 최고령도자 김정은동지께서 조선인민군 서부전선대련합부대들의 포사격대항경기를 지도하시였다)」では、かなりの数のマスク未着用軍幹部と至近距離で話している写真が公開されている。

Source: 『労働新聞』、2020/03/21
翌22日には、「敬愛する最高領導者金正恩同志が、戦術誘導兵器示範射撃をご覧になった (경애하는 최고령도자 김정은동지께서 전술유도무기 시범사격을 보시였다)」でも、目標に命中して歓喜する軍幹部などとの写真が公開されている。大声で叫べば、屋外のテントだとしても、ウィルス感染の可能性はぐんと高まる。

Source: 『労働新聞』、2020/03/22
4月に入り10日には、「敬愛する最高領導者金正恩同志が、朝鮮人民軍軍団別迫撃砲兵軍部隊の砲射撃訓練を指導された (경애하는 최고령도자 김정은동지께서 조선인민군 군단별 박격포병구분대들의 포사격훈련을 지도하시였다)」で、さらに多くのマスク未着用軍幹部との写真が公開されている。

Source: 『労働新聞』、2020/04/10
なお、この日の訓練では軍人がマスクを着用している姿がはっきりと確認できる。

Source: 『労働新聞』、2020/04/10
12日には、「敬愛する最高領導者金正恩同志が、西部地区航空及び反航空軍管下追撃襲撃機連隊を視察された (경애하는 최고령도자 김정은동지께서 서부지구 항공 및 반항공사단관하 추격습격기련대를 시찰하시였다)」で、マスク未着用の飛行士と話をしている写真が公開されている。

Source: 『労働新聞』、2020/04/12
そして、同日「党中央委員会本部庁舎」で開催された党中央委員会政治局会議に出席している。

Source: 『労働新聞』、2020/04/12
以後、「元帥様」は、各国首脳に「祝電」などを送っているが、公の場には登場していない。このように、公開された写真だけを見ると、3月18日からコロナ対策に対する緩みが見られる。北朝鮮は、依然としてコロナ感染者が発生していないことになっているが、学校の授業は再開されていないし、商店やエンターテイメント施設(イルカ館や動物園)も閉鎖されている状態にあるようだ。
26日の「20時報道」内で放送された「マンス橋肉商店」。

Source: KCTV, 2020/04/26
買い物をしている人の数が極端に少ない。この辺り、実際に発布されている外出禁止令などとの関係で、どれだけの人を画面に出すのかに苦心した跡が窺える。ゼロにするわけにも行かず、外出禁止令の例外対象に該当するぐらいの人数が写っているのであろう。
一方、「白頭山大学」には、依然として多くの人々がやって来ており、2密状態が継続している。この日の「踏査隊員」は、白頭山頂登頂に感激しつつもマスクを着用したままであるが、少し前まではこのシーンに限ってはマスクを外すことが許されていたようで、マスクをずらして喜んでいるシーンが写っていた。「白頭山大学」は、昨年末の「元帥様」らによる軍馬踏査以降続いているのだが、感染のリスクが高いこの行事をなぜ止めないのか理由が分からない。ま、感染がないことになっているので、止める理由が北朝鮮側にないということにもなるのかもしれなのだが。
4月26日、「20時報道」より。

Source: KCTV, 2020/04/26
地方の農場や山間地帯の小さな村の様子などが、「兵士の故郷ニュース」で紹介されている。下は、「シンソンチョン労働者区」の「探査隊員」。数年前、「平壌放送」が「探査隊」に遠隔学習教材の問題番号を送信しているので「暗号放送再開ではないのか」と話題になり、拙ブログでもその録音などを紹介したが、「探査隊」自体は何もスパイ組織ではなく、鉱脈などを探す地質調査隊を指している。その、「探査隊員」たちもマスクを付けてはいるが、インタビューに応じる「兵士」の親なども含めて、あまり緊張感が感じられない。

Source: KCTV, 2020/04/26
「元帥様」の健康状態から話がそれてしまったが、平壌は実際に感染が発生しており厳戒態勢、外国人が侵入せず、人の移動が制限されている地域では感染がないというのが現状のように思われる。元山はどうかというと平壌に近いと思われるが、「元帥様」も元山まで列車で移動し、その後、郊外の別荘に移っている可能性が高い。過去の元山付近から発射されたミサイル実験の際、Google Earthで検索していたところ、幹部専用の建物のようなものが数多く見つかっている。
では、「元帥様」がいつ感染したのか。上で紹介した写真を「元帥様」の平均的な感染対応状態と考えると、やはり3月18日以降の可能性が高い。特に、4月10日と12日は、多くの人と接触しており、これらの人の中に感染者がいても不思議ではない。「元帥様」と接触する人間については、PCR検査を実施しているはずだが、だとしても、マスクもしていない人々との接触が増えれば、感染のリスクは高まる。「元帥様」に緩みが出たのかは分からないが、平壌でコロナ感染収束傾向が見られたのかもしれない。
仮に10~12日に感染し、潜伏期間が平均的な5日だとすると、「太陽節」辺りで発症し、錦繍山太陽宮殿参拝ができなくなった可能性はある。問題は症状であるが、上にも書いたとおり、あの肥満体だから慢性疾患を抱えている可能性は十分にあり、重篤化する可能性は高い。
さらに深刻なのが、もし、12日の会議で感染していたとすると、そこにいた北朝鮮指導部の多くも感染していることになる。年齢的には感染後重篤化する人も多い。
金ジェリョン内閣総理は、25日にもダム工事現場などを訪れているので、元気なのだろうが、他の人は分からない。

Source: 『労働新聞』、2020/04/25
<追記>
29日の『労働新聞』に朴奉珠が金正淑平壌紡織工場を訪問という記事が出た。

Source: 『労働新聞』、2020/04/29