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    「朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマン談話」:何のための談話なのか? (2016年3月31日 「朝鮮中央通信」)

    31日、「朝鮮中央TV」を見ていたら、北朝鮮「外務省スポークスマン談話」が流れた。「朝鮮中央通信」を見たら、既に掲載されていた。

    例によって、「我々は、米国の最高利益と自主権を少しでも侵害しようとする場合、即時、核兵器を含む全ての手段を動員し、無慈悲な懲罰を加え、我々の自主権と地域の平和と安全に対する危険を根源的にきれいに除去する」としている。
    우리는 미국이 우리의 최고리익과 자주권을 조금이라도 침해하려 드는 경우 즉시에 핵무력을 포함한 모든 수단을 다 동원하여 무자비한 징벌을 가할것이며 우리의 자주권과 지역의 평화와 안전에 대한 위협을 근원적으로 깨끗이 제거해버릴것이다.

    その米国であるが、国務省副長官ブリンケンが、ブルッキングス研究所で「米国は北朝鮮の体制転換を望まない」と発言したことについて、30日の米国務省定例記者会見で質問が出され、報道官も「副長官は米国の政策について言及したまでだ」とした上で「米国は、積極的に北朝鮮の体制転換を求めていないし、積極的に体制を転換させるつもりもない」とブリンケン発言を追認した。

    北朝鮮を怒らせているのは、安保理決議2270でもあり、定例的な部分での米韓合同軍事演習でもあるが、やはり「斬首作戦」が決定的な理由となっている。「斬首」というのは、「積極的な体制転換」の極端な実現方法であるが、米国政府がそれを否定することで、「太陽節」でモード転換をする北朝鮮への対応策かもしれない。

    それに合わせるように北朝鮮が、「朴槿恵傀儡一味」に対してではなく、米国に対する「外務省スポークスマン談話」を出してきたのは、3月最終日に「核威嚇」をしておき、4月からモード転換に入るための準備かもしれない。

    米国務省報道官は、「我々が求めているのは非核化であり・・・・我々は、(北朝鮮と6者会談で話し合う)意志も準備もある」と述べている。

    4月に何か動きがあるだろうか。

    フィリピン・スービックで一時抑留された、北朝鮮貨物船JIN TENG、台湾海峡航行中(日本時間31日0時45分頃) (2016年3月31日)

    中国の要請でOMMとは無関係とされ安保理決議2270の凍結対象船舶リストから除外された、フィリピンで一時抑留されていた北朝鮮の貨物船JIN TENGが、日本時間31日0時45分頃、台湾海峡を北に向かって航行しているのが確認された。行き先は、不明ながら南浦ではないかと思われる。

    20160331 jinteng at taiwan stre
    Source: Vessel Finder

    また、南浦周辺の船舶のAISを今日は拾っている。
    20160331 nampo5708
    Source: Vessel Finder

    Vessel Finderでは中朝間を行き来する貨物船を拾っていたが、数が多すぎて、My Fleet(お気に入り船団)に無料で登録できる数を超えてしまった。安保理制裁2270発動後もそれだけ中朝間では船舶による貨物の往来が続いているということであろう。陸路による貨物の往来も従来どおり続けられていると思われる。「人民生活」への影響を避けるために。

    威海周辺の港に停泊中の北朝鮮船舶。石炭を積んできたと思われる。
    20160331twodprkshipsuhai4327.jpg
    Source: Vessel Finder

    船は不明ながらも、石炭を下ろしていることが分かる。
    20160331 ウーハイ
    Source: Google Earth

    「党大会を輝かせた100日戦闘」:普通に話す李チュンフィ放送員 (2016年3月30日 「朝鮮中央TV」)

    30日、「朝鮮中央TV」で放送された80年代初めの「100日戦闘」を振り返りながら、展開中の「70日戦闘」を鼓舞する特集番組に、李チュンフィ放送員が登場した。彼女は、日本のテレビに最も良く登場する北朝鮮女性だと思うが、「1号報道」を読み上げる姿ばかりで、普通に話す姿はほとんど見ない。この番組では、冒頭で80年代を回想しながら普通に話す李放送員が登場する。肩書きは「金日成月桂冠人、労力英雄、人民放送員」。

    彼女が登場する部分のみ切り出し、日本語字幕を付けてYouTubeにアップロードしておいた。
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    Source: YouTube, dprknow channel, https://youtu.be/6yGS41GHdHo

    「朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会第13期第9回全員会議開催」:経済指標公開、対前年比で5%程度?、羅先の貢献度が高い、「70日戦闘」の成果の土台として (2016年3月30日 「朝鮮中央通信」) 

    30日、「朝鮮中央通信」が「最高人民会議常任委員会第13期第9回全員会議」が開催されたと伝え、その中で経済指標を以下のように公開した。

    ・2015年の国家予算は正確に執行された。
    ・国家予算収入計画は、101.3%で遂行され、前年比で105%へ延びた。(国税収入5%増)
    ・地方予算収入計画は、113.8%で遂行された。(国家予算よりも、地方税収入の増加率が高い。地方経済の振興を示している)
    ・国家予算支出計画は、99.9%で執行された。(概ね計画どおりの満額執行。)
    ・支出総額の15.9%を国防費として、47.5%を経済強国建設と人民生活向上に使った。(「並進路線」の経済建設により多くの国家予算を投入したと。)
    ・科学技術部門に対する投資を前年比で104.7%へと増加した。(科学技術部門への増資は、国防費からだろうか。「国防科学」も科学だし、民生用と国防用の境はIT関連では特にグレーなので不明。「光明星4」などのロケット開発も、この増資分に含まれているのであろう)
    ・ 教育と保健、体育、文化芸術発展をはじめとした、文化建設に支出総額の36.6%を使った。(国防、経済建設、教育・保健、体育、文化芸術の合計が100%)
    ・国家予算収入は、前年より104.1%増加し、そのうち、取引収入額は103.3%、国家企業利益金は104.5%、協同団体利益金は101.5%、不動産使用料は104%、社会保険料は101.1%、財産販売及び価格偏差収入は102.5%、その他収入は101.3%、経済貿易地帯収入は104.1%増加したものと予想される。(前出の「収入計画」と「収入」の違いが今一つよく分からないが、0.9%の違いはあるが、増加率はほぼ同じ。「価格偏差収入」は、流通過程で生じる手数料収入など。経済貿易違い収入の増加率が、国家予算収入の増加率と一致しているところが注目される。羅先の北朝鮮経済に対する寄与度の高さを示しているのだろうか。)

    ・国家予算収入で、中央予算収入は76.8%、地方予算収入は23.2%を占めた。(対前年比データが欲しい)
    ・国家予算支出は、前年に比べ105.6%増加し、そのうち工業部門で104.8%、農業部門で104.3%、水産部門で106.9%、基本建設部門で113.7%、山林部門で107.5%増加した。(2014年のデータと比較したいところだが、基本建設部門と水産部門が増加しているのではないだろうか)
    ・科学技術部門で105.2%、教育部門で108.1%、保健部門で103.8%、体育部門で104.1%、文化部門で107.4%支出が増加した。(教育部門への支出が最も高い。「12年生義務教育」実施過程での費用増加分か。)
    ・今年も在日同胞子女のために、多くの教育援助費と奨学金を送ることになる。(総連関係者が持ち出す資金との往来だけの話だと思うが。)
    ・全員会議では、最高人民会議常任委員会決定「朝鮮民主主義人民共和国2015年国家予算執行決算の承認ついて」と「最高人民会議常任委員会政令、朝鮮民主主義人民共和国2016年国家予算について」が採択された。

    「70日戦闘」の成果を5月には提示することになるはずなので、その土台となるデータの公表ということであろう。

    『私の国の青い空(내 나라의 푸른 하를)』:「朝鮮中央TV」放送終了の番組予告の曲、のんびりした感じで歌詞も良い、カラオケバージョン (2016年3月27日 「朝鮮中央TV」)

    27日、「朝鮮中央TV」で放送された楽曲『私の国の青い空』。この曲は、「朝鮮中央TV」番組終了前の番組予告のBGMとして使われているので、耳に付いている曲である。歌詞を調べたことはなかったが、27日、歌なし、字幕ありのカラオケのようなバージョンが放送された。いずれかの楽団の演奏だと思うが、奏者は出ないので不明。

    日本語字幕を付けつつ歌詞を読んだが、ほとんど指導者や党に言及しない良い感じの曲である。「太陽」=「首領様」、「星」=「将軍様」ではあるが、気にしなければ繋がらない。また、映像を見ていると「銃槍の上に平和がある(=青い空がある)」ということが分かる構成ではあるが、それも気にしなければよい。

    平和な感じの良い曲だと思う。

    YouTubeにアップロードしておいた。
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    Source: YouTube, dprknow channel, rtsp://121.167.43.161/chosun

    「北の米国、干し戦略」:200km上空で水平飛行する弾道ミサイル、17km上空で突如消えるステルス弾道ミサイル、失敗も成功 (2016年3月29日 「uriminzokkiri-TV」)

    29日、「uriminzokkiri-TV」に掲載された報道動画で面白いことを言っている。動画は、韓国の『自主新報』を引用する形で、「北が少し前に公開した宇宙空間を高度200km上空で水平飛行する奇想天外な弾道ミサイル」、「17km地点でレーダーから消えた幽霊のような弾道ミサイル」を使って「米国本土の拠点を攻撃すれば、米国はどうするのだろうか」としている。「宇宙空間を高度200kmで水平飛行する」ミサイルについては、何を指しているのかは分からないが、「17km地点でレーダーから消えた」ミサイルは、韓国国防当局が発表するも、北朝鮮は報道しなかった日本海に向けたノドンと思われる飛翔体の発射のうち、1発が発射直後に消えたことを指しているのであろう。もしかすると、200km飛行後、日本海に着弾した方が、「宇宙空間を水平飛行」する弾道ミサイルなのかもしれない。

    『自主新報』、「김정은제1위원장의 미국 말리기 전략」、http://www.jajusibo.com/sub_read.html?uid=26594§ion=sc2§ion2=

    「17km地点でレーダーから消えた」理由を単に空中爆発したと考えていたが、どうやら「ステルス・ミサイル」を北朝鮮が開発したという見方もあり、それにuriminzokkiri-TVが飛びついたのであろう。「ステルス・ミサイル」など本当にあるのかどうか分からないが、普通に考えれば失敗と思われる発射を「ステルス・ミサイル」実験成功のごとく報道してしまうuriminzokkiri-TVもなかなかである。

    なお、300mm放射砲も「飛行高度が低いので、ミサイル迎撃システムでは捕捉不能。移動式なので発射地点を特定することも困難」と『自主新報』は報じている。

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    Source: uriminzokkiri-TV, 2016/03/29

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    Source: uriminzokkiri-TV, 2016/03/29

    「元帥様」は、次々と新型兵器を開発し、米国に対応策のための資金を投入させ、米国を「干す」戦略だとうのが記事の趣旨であるが、北朝鮮の新兵器とて「自力自強」だとしても、開発には相当の資金を要するわけで、下手をすると北朝鮮が先に干からびてしまうことになる。

    「元帥様」は、ますます太ってきているが、人民がベルトを締め上げ、挙げ句の果てに干からびて餓死してしまうような「苦難の行軍、強行軍」だけは繰り返さないで欲しい。

    「連続紀行 東海の名勝を訪ねて 第4回」:平壌国際空港新庁舎、明太の名前の由来、七宝山の美、松茸の焼き方 (2016年3月7日 「朝鮮中央TV」)

    3月7日、「朝鮮中央TV」で放送された「東海の名勝を訪ねて 第4回」。七宝山には平壌空港より飛行機で向かうという設定で、空港新庁舎のショップやレストランを紹介している。また、明太(ミョンテ)の名の由来、松茸の焼き方など、興味深い内容となっている。

    YouTubeに日本語字幕を付けてアップロードしておいた。

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    Source: YouTube, dprknow channel, https://youtu.be/-l6Iw4QTnmo

    「敬愛する金正恩同志が新たに改装された未来商店と総合サービス基地を現地指導された」:李雪主、金ヨジョンも同行、戦争モードから祝賀モードへ転換か (2016年3月28日 「朝鮮中央通信」)

    28日の「朝鮮中央通信」によると、「元帥様」が李雪主夫人、金ヨジョン「副部長同志」らと共に、「新たに改装された未来商店を現地指導」したという。2012年に開店した店を改装したと。

    경애하는 김정은동지께서 새로 건설된 미래상점과 종합봉사기지를 현지지도하시였다

    写真はまだ配信されていないが、夫人と妹を同時に同行させるのは久しぶりだと思う。「長距離砲兵大集中火力演習」と「それをソウルに向けて打ち込むぞ」と言わんばかりの「最後通牒」、今週、もう一つ何かありそうな気もするが、昨日放送したデモンストレーション訓練の動画映像で戦争ムードは一度休みにして、「4月の祝典」に向けたムード作りに入ってもらいたいものだ。

    5月の党大会に向けた「70日戦闘」で朝鮮人民は頑張っているのだから、その原動力を「米帝と南朝鮮傀儡共の妄動」に求めるのではなく、もうそろそろ「太陽節」に切り替え、「戦争前夜の雰囲気の中でも、太陽節を盛大に祝賀する」という「ベッチャン(度胸)」モードに入っていって欲しいものである。

    写真は追って。

    <追記>
    『労働新聞』で写真が公開された。一言で言って、凄い。何が凄いのかというと、今までの文字通り「商店」という雰囲気の売り場ではなく、完全に「デパート」になっているからである。平壌国際空港新庁舎(これが見られる『東海の名勝を訪ねて 第4回』、今日には字幕付けが終わると思うので、乞うご期待)の免税店もまあまあであったが、それ以上のでき。

    商品展示の仕方が全く変わった。
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    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 새로 건설된 미래상점과 종합봉사기지를 현지지도하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-28-0001_photo

    また、天板もシャレタ雰囲気になっている。
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    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 새로 건설된 미래상점과 종합봉사기지를 현지지도하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-28-0001_photo

    平壌空港新庁舎でも「made in DPRK」の鞄を外国人が好んで買うと「販売員同志」が話す場面があったが、鞄には力を入れているのか。「made in DPRK」の鞄を欲しがるのは、質の話ではなくレアさ、つまり、北朝鮮まで来て「made in China」の鞄を買っても仕方がないからであるが。
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    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 새로 건설된 미래상점과 종합봉사기지를 현지지도하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-28-0001_photo

    「ハナ」家電もしっかりと見せている。ポータブルDVDプレーヤー、タブレット、ノートPCなどは、「科学技術殿堂」、平壌空港新庁舎の商店でも見せているので、これらも北朝鮮の自信作なのであろう。ハードはmade in China部品を組み立て、内部に北朝鮮オリジナルソフト(とはいえ、andoroidの亜種であるが)が入っている。タブレットは、羅先で同行者が購入したものを分解してみたので、機会があれば記事にしておく(以前書いたかもしれないが)
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    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 새로 건설된 미래상점과 종합봉사기지를 현지지도하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-28-0001_photo

    「未来化粧品」も。YouTubeでは、「春の香り」化粧品のCM動画を紹介しておいたが、化粧品にも力を入れているようだ。ナチュラル志向の高麗人参化粧品が人気のようだ。
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    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 새로 건설된 미래상점과 종합봉사기지를 현지지도하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-28-0001_photo

    そして、例によって、「元帥様」の後ろの方で、よそ見をしている「副部長同志」。
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    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 새로 건설된 미래상점과 종합봉사기지를 현지지도하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-28-0001_photo

    繰り返すが、このまま「人民生活向上」ムードに入って欲しいものである。

    「英雄的朝鮮人民軍は、我々の最高尊厳に対する身震いするような挑発妄動を行った朴槿恵逆像一味の巣窟から焦土化し、南半部を解放する! 敬愛する金正恩同志が青瓦台とソウル市内の反動統治機関を撃「<朝鮮記録映画>滅掃討するための朝鮮人民軍前戦大連合部隊長距離砲兵大集中火力打撃演習を指導された」:効果的なデモンストレーション (2016年3月27日 「朝鮮中央TV」)

    27日、朝一番に「朝鮮記録映画」、「朝鮮人民軍前戦大連合部隊長距離砲兵大集中火力打撃演習」が放送された。26日夜に「最後通牒」を出しておき、翌朝、訓練の動画を放送するというシーケンスは計算されたものだ。

    また、カルマ飛行場横の砂浜には多くの「主体砲」や多連装ロケット砲(?)などが並べられているが、動画を見た限りでは、「主体砲」の一部しか発射していないように見える。同じ場面を様々な角度から撮影して、それを繰り返し繋げることで、多くの砲弾が飛んだように見せているが、派手さを演出するのはいつも使われる多連装ロケット砲が使われている。

    多連装ロケット砲なので「精密打撃」は必要ないのだろうが、島の前の海面にも多くの着弾が見られる。

    期待していた、仮想青瓦台とされた島のビフォー・アンド・アフターの映像はなかった。過去記事かコメントに書いたとおり、それを出せば「主体砲」の威力や発射した砲弾の数が分かってしまうからであろう。航空撮影もされていたので、撮影する気になれば、「灰となった仮想青瓦台」の島も写せたはずだ。

    過去記事に「元帥様の無駄遣い」というコメントを頂いたが、「人民生活の向上」という点からは「無駄遣い」には違いないにせよ、相当に節約した「無駄遣い」であったようだ。

    「祝砲(花火)発射」のように、クライマックスの一斉射撃のような場面があるかと思ったが、それもなかった。

    ともかく、一連のデモンストレーションは、「最後通牒」で幕を下ろしてももらいたいものである。「米帝と南朝鮮傀儡共」には、勝手に軍事演習をさせておき、平壌では4月の大祝典をやる「ベッチャン(度胸)」を見せてもらいたいものである。

    <追記>

    日本語字幕付き動画。
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    Source: YouTube, dprknow2 channel, https://youtu.be/9IAl2NWKgbU

    「朝鮮人民軍前戦大連合部隊長距離砲兵隊最後通牒」:公開謝罪と公開処刑を要求 (2016年3月26日 「朝鮮中央TV」)

    26日、「朝鮮中央TV」で「前戦大連合部隊長距離砲兵隊」が「最後通牒」を「朴槿恵逆徒」に。

    「朴槿恵に公開謝罪」と「最高尊厳を冒涜した者の公開処刑」を要求。

    西海岸韓国水域に向けて発砲する可能性あり。

    <追記>
    「朝鮮中央通信」に記事が出た。以下、訳出。

    *************
    天地を震撼させ、挑発の牙城を仮想した敵陣を瞬間的に火の海にした我が長距離砲兵隊の一斉射撃は、我々の最高尊厳に手を出そうとする天人共に怒る蛮行を行った悪漢共に対する耐えがたい憎悪と憤怒の大爆発であり、朴槿恵一味に最も残酷な結末を宣言する無慈悲な報復戦の開始だ。

    朝鮮人民軍前戦大連合部隊長距離砲兵隊は、26日、朴槿恵一味に次の最後通牒を送った。

    1.天下逆賊朴槿恵とその一味は、天下無道な万古大逆罪を行ったことに対し、北と南、海外の全ての民族に対して正式に謝罪しなければならない。我々の尊厳高い先軍太陽は、全民族の生活と運命の全てであられ、燦爛たる未来であられる。
    それに対し拳を振り上げ、傷つけようとすることは、この世で最も許されない罪悪中の罪悪だ。
    全民族に対して謝罪しろ。それだけが、卑しい残命を全うできる最後の方法となる。

    2.天下逆賊朴槿恵とその一味は、天人共に怒る「核心部打撃」を考案し、その実行を夢見てきた万古罪悪人共に即時、残酷な厳罰を下し、全ての民族の前で極刑に処さなければならない。
    この世に人間の皮を被り、行ってはならないことがあるとすれば、それは天の太陽に手を出そうとする愚かな妄動である。
    この大逆罪は、どう弁明しても、免れることができず、最も苦しい処罰を受けて当然である。
    全ての民族の前で公開処刑しろ。それだけが、悪の本拠地である青瓦台と反動統治機関が、懲罰の火の洗礼から免れる最後の機会となる。

    3.天下逆賊朴槿恵とその一味が、我々軍隊の最後通牒に従わない場合は、前戦大連合部隊長距離砲兵隊は、無慈悲な軍事行動に出ることになる。公開謝罪と公開処刑は、青瓦台と反動統治機関を射程圏内に収め、懲罰の先制打撃命令を待っている我々長距離砲兵隊の最後の警告だ。
    今、直ぐにでも集中火力打撃の発射ボタンを押せば、同族対決と民族分裂の全ての悪と悲劇を引き起こしてきた敵陣は、瞬間で灰と化す。

    朴槿恵とその一味がいくら「全国警戒体制強化」だの、「緊急作戦指揮官会議」だの、大騒ぎをしても無意味だ。
    出口は、一つだけ、我々の軍隊の最後通牒を恭順に受け入れることだけだ。
    恐ろしく激怒した我々の前戦大連合部隊長距離砲兵隊の集中火力打撃圏内に青瓦台と反動統治機関が入っているということを瞬間も忘れてはならない。我々、白頭山軍隊は、空言を言わない。

    ***************************

    激しいアナウンスをYouTubeに日本語字幕を付けて、続く曲『白頭山銃隊は答えるだろう』と共にアップロードしておいた。
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    Source: YouTube, dprknow channel, https://youtu.be/RpIVw3p_6_0

    「旺載山芸術団、江界市で地方巡回講演の初演」:「70日戦闘」を鼓舞する公演 (2016年3月26日 「朝鮮中央TV」)

    25日、「朝鮮中央TV」の「20時報道」で、「旺載山芸術団」の地方巡回講演の初演が江界市で開催されたと伝えた。

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    Source: KCTV, 2016/03/25

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    Source: KCTV, 2016/03/25

    「70日戦闘」を鼓舞する公演。

    羅先で逮捕された在米韓国人、金ドンチョルの記者会見 (2016年3月25日 「朝鮮中央TV」)

    25日、現在、金ドンチョルという羅先で逮捕された在米韓国人の記者会見を報道している。色々あるが、彼は羅先市場の「醜い写真だけを撮影しようとした」と。

    私が羅先に行ったとき、市場の写真撮影は許可されなかった。しかし、醜い写真など撮ろうにも、大変なほど羅先市場は活気に溢れていた。一方、乞食もいた。また、半非公式商人もいた。

    もし、写真撮影を私に許可したら、乞食も半非公式商人も撮影し、紹介したことは間違いない。しかし、一方で、活気に満ちた商品が溢れる羅先市場も同時に紹介したはずである。

    <追記>
    uriminzokkiri記者なる人が質問。これは初。

    朝鮮新報記者は、相変わらず朝鮮語が下手。

    <追記2>
    記者がたたみかける質問をするという新たな設定。そこから、金が泣き出すという設定。しかしながら、原稿を見ながら泣くという、ウァムビアより劣る演技力。

    入浴を意味する沐浴(목욕)を冒涜(모욕)と発音したようにも聞こえた。朝鮮語なのでそういうことはないと思うが、プエブロ号の艦長によるpaeanとpee onのような気がしないこともない。

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    Source: KCTV, 2016/03/25

    「英雄的朝鮮人民軍は、我々の最高尊厳に対する身震いするような挑発妄動を行った朴槿恵逆像一味の巣窟から焦土化し、南半部を解放する! 敬愛する金正恩同志が青瓦台とソウル市内の反動統治機関を撃滅掃討するための朝鮮人民軍前戦大連合部隊長距離砲兵大集中火力打撃演習を指導された」:長いタイトル、ソウルは火の海、目には目を、訓練の場所特定 (2016年3月25日 「朝鮮中央通信」)

    25日、「朝鮮中央通信」に以下のように大変長いタイトルの「元帥様」に関する報道が掲載された。

    「英雄的朝鮮人民軍は、我々の最高尊厳に対する身震いするような挑発妄動を行った朴槿恵逆像一味の巣窟から焦土化し、南半部を解放する! 敬愛する金正恩同志が青瓦台とソウル市内の反動統治機関を撃滅掃討するための朝鮮人民軍前戦大連合部隊長距離砲兵大集中火力打撃演習を指導された」

    영웅적 조선인민군은 우리의 최고존엄에 대한 치떨리는 도발망동을 부린 박근혜역적패당의 소굴부터 초토화해버리고 남반부를 해방할것이다!
    경애하는 김정은동지께서 청와대와 서울시안의 반동통치기관들을 격멸소탕하기 위한 조선인민군 전선대련합부대 장거리포병대집중화력타격연습을 지도하시였다

    訓練には、「朝鮮人民軍総政治局長である朝鮮人民軍次帥黄炳瑞同志、朝鮮人民軍総参謀長李ミョンス大将、人民武力部長朴ヨンシク大将、朝鮮人民軍総政治局組織部局長チョ・ナムジン中将、朝鮮人民軍保衛局長チョ・キョンチョル大将、朝鮮人民軍砲兵局長尹ヨンシク中将」の他に「人民軍等委員会執行委員、総政治局、人民武力部、総参謀部指揮官、軍種司令官と政治委員、軍団長と政治委員、砲兵部隊部隊長と政治委員、各級軍事学校教員、朝鮮労働党中央委員会幹部」が演習を参観した。
    경애하는 김정은동지를 조선인민군 총정치국장인 조선인민군 차수 황병서동지와 조선인민군 총참모장 리명수대장,인민무력부장 박영식대장,조선인민군 총정치국 조직부국장 조남진중장,조선인민군 보위국장 조경철대장,조선인민군 포병국장 윤영식중장이 맞이하였다.

    인민군당위원회 집행위원들,총정치국,인민무력부,총참모부 지휘성원들,군종사령관들과 정치위원들,군단장들과 정치위원들,포병부대 부대장들과 정치위원들,각급 군사학교 교원들,조선로동당 중앙위원회 일군들이 연습을 참관하였다.

    まだ写真が出てきていないが、これだけ多くの人々に参観させる演習はあまりない。軍事演習というよりも、閲兵式の性格を帯びていると言った方が良いのかもしれない。一通りの高級軍幹部とそれ以下の組織の長と「政治委員」、さらには軍事学校の教員を参加させているところなど、「元帥様」を迎えて思想・精神的引き締めをし、長距離砲を発射して信念を磨くということなのであろう。

    もちろん、この演習の直接的なきっかけは「3月21日、数多くの戦闘機と特殊作戦兵力を動員し、我々の最高首脳部の執務室を破壊するための天下無道な『精密打撃訓練』まで行った」ことにある。

    날강도 미제와 박근혜역도는 침략적인 《키 리졸브》,《독수리 16》합동군사연습을 벌려놓고 히스테리적광기를 부리다못해 지난 3월 21일 수많은 전투기들과 특수작전병력을 동원하여 감히 우리 최고수뇌부의 집무실을 파괴하기 위한 천하무도한 《정밀타격훈련》까지 감행하였다.

    そして、そうしたことを行った「朴槿恵委逆賊一味の本拠地であるソウル市を火の海にするための前戦大連合部隊長距離砲大集中火力打撃を加え、我々千万軍民の恐ろしい憤怒熱気を見せつけ、一つの空の下で生きていられない米帝と傀儡逆賊一味に最も残酷な滅亡をもたらす白頭山銃隊の威力を再び満天の下に誇示することを目的」とするとしている。

    사상최대규모로 조직된 장거리포병대집중화력타격연습은 무엄하게도 우리 혁명의 최고수뇌부와 당중앙위원회 집무실을 노리고 《정밀타격훈련》을 공개적으로 감행한 박근혜역적패당의 본거지인 서울시를 불바다로 만들기 위한 전선대련합부대 장거리포병대집중화력타격을 진행하여 우리 천만군민의 무서운 보복열기를 보여주고 한하늘을 이고 살수 없는 미제와 괴뢰역적패당에게 가장 참혹한 멸망을 안기려는 백두산총대의 위력을 다시한번 만천하에 과시하는데 목적을 두었다.

    今回は、砲撃であるが、それだけではなく「我々には偉大な党の領導の下、自力自強の力で作りだした世界が未だに知らない最強の打撃手段があり、空と陸地、海上と水中から侵略の本拠地を生存不能に破壊、壊滅させることができる全ての準備が整っている」としている。
    우리에게는 위대한 당의 령도밑에 자력자강의 힘으로 마련해놓은 세계가 아직 다 알수 없고 알지도 못하는 최강의 타격수단들이 있으며 하늘과 땅,해상과 수중에서 침략의 본거지들을 생존불가능하게 들부시고 괴멸시킬수 있는 모든 준비가 되여있다.

    空は核ミサイル、陸地はたくさんありすぎるが「世界が未だに知らない」兵器は何だろうか、海上は対艦ミサイル、水中はSLBMということなのだろう。

    写真がまだないが、「元帥様」が訓練開始命令をした「瞬間、天地を震撼させながら怒号する砲声と共に、大気を切り裂きながら稲妻のように飛んでいく砲弾が青瓦台とソウル市内の傀儡反動統治機関を仮想した目標を集中的に猛烈に打撃した」としており、韓米が「精密打撃作戦」で「斬首」をするならば、北朝鮮も「精密打撃作戦」で「打撃」するという話なのであろう。「精密」作戦であれば、ソウルは「解放」こそされれど「火の海」にはならないはずであるが、「ソウルは火の海」という枕詞はこういう話の中では必要不可欠なのであろう。

    순간 천지를 진감하며 노호하는 포성과 함께 대기를 헤가르며 번개같이 날으는 포탄들이 청와대와 서울시안의 괴뢰반동통치기관들을 가상한 목표들을 집중적으로 맹렬히 타격하였다.

    ただし、明日にでも戦争を始めるということではなく、「朴槿恵一味が空言を言わない英雄的朝鮮人民軍の繰り返される警告を無視し、我々の革命の最高首脳部に対する挑発妄動を続けるならば、不敗の白頭山革命強軍は、どこであるかにかかわらず、警告や事前通告なく、より確実で、より徹底した懲罰の先制打撃を開始し、我々の打撃は、一旦始まれば、祖国統一の歴史的偉業を完遂するまで、この地から侵略と悪の根源を完全に清算するときまで中断されることなく続けられる」としている。

    박근혜패당이 빈말을 모르는 영웅적조선인민군의 거듭되는 경고를 무시하고 우리 혁명의 최고수뇌부에 대한 도발망동을 벌린다면 불패의 백두산혁명강군은 그 어디에도 구속됨이 없이,그 무슨 경고나 사전통고없이 보다 더 확실하고 보다 더 처절한 징벌의 선제타격을 개시할것이며 우리의 타격은 일단 시작되면 조국통일의 력사적위업을 완수할 때까지,이 땅에서 침략과 악의 근원이 완전히 청산될 때까지 중단없이 벌어지게 될것이다.

    戦争が始まれば「祖国統一の歴史的偉業」は、「ソウルを火の海にされた南朝鮮と米帝」によって「完遂」されるはずなので、「最高司令部を決死擁護」するためには、戦争をするという選択肢はあり得ない。そんなことをすれば、せっかくの核・ミサイルという「抑止力」が無用の長物と化してしまうので、お祖父さんの間違いは繰り返さないと思うが、韓米も敢えて北朝鮮を挑発することで何をしたいのかよく分からない。北朝鮮が核ミサイル実験をやった報復なら、いつものようにF-22に護衛されたB-1に38度線付近を飛行させれば十分だと思うのだが。

    <追記>
    上記と関連し、24日の米国務省定例記者会見での米国務省報道官の発言。

    北朝鮮が固体燃料エンジンの実験をしたことについて質問され、「我々は北朝鮮に対して言葉や行動で地域の緊張を高めることはしないよう求める」としている。「斬首」だの「毛抜き」だの「精密」だのという、明らかに緊張を高めるような軍事演習を「公然と(朝鮮中央通信)」やっておきながら、北朝鮮に対してだけ「言葉や行動で地域の緊張を高めるな」というのは勝手すぎる。背景に安保理決議2270を受け入れようとしない北朝鮮があることを理由に挙げているが、それを理由に「地域の緊張を高める」合理性は何もない。

    U.S. Department of State, Daily Press Briefing, http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2016/03/255119.htm#NORTHKOREA

    北朝鮮が「革命の首脳部」をどのように扱っているのかを十分に知った上で、敢えてそうした挑発をしているのは明らかで、「斬首」されることが確実になれば、彼らは「ソウルを火の海」にして自滅するという行動に出ることは間違いない。その意味では大変危ない橋を渡っているわけで、市ヶ谷にPAC-3を並べただけの日本も無事ではいられない。玄海や島根原発はどうやって守るつもりなのか。

    一方では、別記事で「定点観測」しているように、中朝間では石炭を積んでいる思われる北朝鮮の貨物船や石油を運ぶ能力がある船舶が行き交っている。

    とにかく、北朝鮮と共存していく道を考えない限り、北朝鮮はどんどん核・ミサイルを開発していく。経済も緩慢ではあるが、成長している。このような状況は、安保理決議で一夜にして変わるものではない。

    <追記2>
    『労働新聞』に写真が公開されていた。

    やはり、閲兵式の様相が強い。「元帥様」のSクラスには、「共和国旗」と「労働党旗」が付いている。「最高司令官旗」はない。
    2016-3-25-1-04.jpg
    Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-25-0001_photo

    手前のGクラスには、「最高司令官旗」が付いているのかもしれないが、確認できない。
    2016-3-25-1-02.jpg
    Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-25-0001_photo

    2016-3-25-1-01.jpg
    Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-25-0001_photo

    「青瓦台は灰と化し、ソウルは火の海」
    2016-3-25-1-25.jpg
    Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-25-0001_photo

    この島が仮想青瓦台
    2016-3-25-1-40.jpg
    Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-25-0001_photo

    <追記3>
    訓練の場所が特定できた。なんと、カルマ空港横のビーチ。

    「元帥様」のSクラスの背後にある白い建物はこれ。ホテルだろうか。
    20160325丘の上のビル
    Source: Google Earh

    下の写真のドームのような建物は、
    2016-3-25-1-11.jpg
    Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-25-0001_photo

    これ
    20160325背後の建物
    Source: Google Earth

    全体の位置関係
    20160325 zenntai
    Source: Google Earth

    仮想「青瓦台」の島。普段も訓練に使われているようで、砲弾の跡が痛々しい。ドーム前の海岸から島までは約3km。3kmというのは、通常命中する距離なのかは不明(詳しい方、ご教授願いたい)。軍事境界線ギリギリから発射しても青瓦台はもっと遠い。やはり、実戦訓練というよりもデモンストレーション要素が強いのであろう。
    20160325 target island
    Source: Google Earth

    「ハゼとイイダコ」:2014年の米国ソニー・ピクチャーズ・ハッキングの犯人は北朝鮮ではないと主張 (2016年3月24日 「uriminzokkiri-TV」)

    2014年末に発生した米国ソニー・ピクチャーズ・エンターテイメントに対するハッキングは、北朝鮮によるものではないという、サイバー・セキュリティー会社の発表を受け、uriminzokkiri-TVに米韓が「北の仕業」としたことに抗議する動画を掲載した。

    サイバー・セキュリティー会社Novettaによると、2014年のハッキングを行ったのはLazarus Groupである可能性が高いとしている。同社は、Lazarus Groupと北朝鮮の繋がりについては明らかにしていない。また、FBIが北朝鮮の仕業と結論づけたことに対し、FBIは同社が知り得ない情報を持っているかもしれないので、必ずしも同社の結論が正しいとは限らないとしている。

    NEWSFACTOR, Lazarus Identified as Group Behind Sony Attack, http://www.newsfactor.com/story.xhtml?story_id=1210046AAEW0

    uriminzokkiri-TVの字幕には「ラザロ」と出てくるので、カタカナの「ラザロ」で検索したところ、今年6月に公開される『ラザロ・エフェクト』というホラー映画のサイトにたどり着いた。「ラザロ・エフェクト」とは、死人を蘇らせるというような意味があるらしいが、この映画のお陰でLazarusという語彙が分かり、上に書いたサイトにたどり着いた。

    『ラザロ・エフェクト』公式サイト、http://lazaroeffect.com/

    ソニー・ピクチャーズに対するハッキング事件は、既に「死人」となっているが、それが1年以上過ぎた今蘇るのは、「ラザロ・エフェクト」との関連からしても何とも奇妙な偶然である。

    YouTubeにオバマ・ハゼと朴槿恵・イイダコの動画を日本語字幕付きでアップロードしておく。
    20160324 takotohaze97642332
    Source: YouTube, dprknow channel, https://youtu.be/FFai8Z1UsQc

    「我が党の国防科学技術政策が生んだまた一つの誇らしい成果、高出力固体ロケットエンジン地上噴出及び段階分離試験で成功、敬愛する金正恩同志が大出力固体ロケットエンジン地上噴出及び段階分離実験を指導された」:固体燃料を使用したミサイルの実用化へ (2016年3月24日 「朝鮮中央通信」)

    24日、「朝鮮中央通信」が「高出力固体燃料ロケットエンジンの地上噴射実験に成功」と伝えた。固体燃料が使えるミサイルが開発されると、燃料注入が不要になるため発射準備の時間が大幅に短縮され、またSLBMの実用化にも近づく。さらに「段階分離実験も成功」としているので、固体燃料で大出力を発生させるだけではなく、各段毎に装填する燃料の配合で適切な出力を出すことにも成功したことを強調したいとみられる。

    以上、タイトルのみ見て。詳細追って。

    <追記>
    「国防科学技術」としており、「元帥様」は、「我々が自力自強の力で歴史的であり、戦略的意義を持つ大出力固体ロケットエンジン地上噴出及び段階分離試験で完全成功したことで、白頭山革命強軍の不敗の国力を非常に高められた、国防力強化のために・・・」と言っているので、これは「地球観測衛星打ち上げ」用のエンジンではなく、ミサイル用のエンジンであることを示唆している。

    경애하는 김정은동지께서는 우리가 자력자강의 힘으로 력사적이며 전략적의의를 가지는 대출력고체로케트발동기지상분출 및 계단분리시험에서 완전성공함으로써 백두산혁명강군의 불패의 군력을 비상히 높일수 있게 되였다고,국방력강화를 위해 악전고투하며 투쟁한 우리의 국방과학자,기술자들의 위훈은 조국청사에 길이 남을것이라고 하시면서 그들과 함께 뜻깊은 기념사진을 찍으시였다.

    実験は「我々式に設計製作したエンジンの構造安定性と推進力を評価し、これと共に熱分離体系及びその後のコントロールの動作特性に関する評価を行うことを目標とした」としており、やはり固体燃料エンジンの噴出出力と、各段の分離などの一連の動作を確認するための実験だったのであろう。

    이번 대출력고체로케트발동기지상분출시험은 우리 식대로 새로 설계제작한 발동기의 구조안정성과 추진력을 평가하고 이와 함께 열분리체계 및 타추종체계의 동작특성에 대한 평가를 진행하는데 목적을 두고 진행되였다.

    そして、「実験結果の予想値と測定値が驚くほど一致しており、全ての科学技術的指標に完全に合致していたことが確証された」としており、液体燃料のようにコントロールができず、燃料の配合で出力等が決定される固体燃料の配合によるエンジンが予定どおりの出力を出した、さらにその後の各部の動作とも連係していたということであろう。

    시험결과 예측값과 측정값이 놀라울 정도로 일치되였으며 모든 과학기술적지표들에 완전히 부합된다는것이 확증되였다.

    <追記2>

    「大出力固体燃料エンジン」噴射の様子。
    2016-3-24-2-04.jpg
    Source: 『労働新聞』、「우리 당의 국방과학기술중시정책이 낳은 또 하나의 자랑찬 성과,대출력고체로케트발동기지상분출 및 계단분리시험에서 성공 경애하는 김정은동지께서 대출력고체로케트발동기지상분출 및 계단분리시험을 지도하시였다 」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-24-0002_photo

    2016-3-24-2-06.jpg
    Source: 『労働新聞』、「우리 당의 국방과학기술중시정책이 낳은 또 하나의 자랑찬 성과,대출력고체로케트발동기지상분출 및 계단분리시험에서 성공 경애하는 김정은동지께서 대출력고체로케트발동기지상분출 및 계단분리시험을 지도하시였다 」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-24-0002_photo

    この「実験」、北朝鮮が固体燃料を使用したミサイル開発が可能になるということを誇示するだけではなく、「米帝と朴槿恵一味」に対抗するメッセージを発する意味も大きい。背後にあるスローガンボードには「米帝と朴槿恵一味に無慈悲な火の稲妻を!」と書かれており、火を噴出するテストエンジンの背後に敢えてこのスローガンを掲げ、まるで火で焼き尽くすような写真を掲載しているのは、それを明らかに見せるための演出であることは間違いない。「元帥様」の頭の辺りにスローガンボードが見える写真を使っているのも、「元帥様」の考えを強調するためかもしれない。
    2016-3-24-2-02.jpg
    Source: 『労働新聞』、「우리 당의 국방과학기술중시정책이 낳은 또 하나의 자랑찬 성과,대출력고체로케트발동기지상분출 및 계단분리시험에서 성공 경애하는 김정은동지께서 대출력고체로케트발동기지상분출 및 계단분리시험을 지도하시였다 」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-24-0002_photo

    データを確認する「元帥様」。モニターに映されているグラフは何を示しているのか分からないが、波は一定ではなく、またある規則性も見られるので、何らかの制御のためにセットされたということを見せたいのであろう。
    2016-3-24-2-05.jpg
    Source: 『労働新聞』、「우리 당의 국방과학기술중시정책이 낳은 또 하나의 자랑찬 성과,대출력고체로케트발동기지상분출 및 계단분리시험에서 성공 경애하는 김정은동지께서 대출력고체로케트발동기지상분출 및 계단분리시험을 지도하시였다 」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-24-0002_photo

    げんこつを振り上げて喜ぶ「元帥様」。げんこつポーズは初めてか。
    2016-3-24-2-07.jpg
    Source: 『労働新聞』、「우리 당의 국방과학기술중시정책이 낳은 또 하나의 자랑찬 성과,대출력고체로케트발동기지상분출 및 계단분리시험에서 성공 경애하는 김정은동지께서 대출력고체로케트발동기지상분출 및 계단분리시험을 지도하시였다 」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-24-0002_photo

    「我々の警告が空言ではないということを米帝と朴槿恵逆徒の悲惨な結末示すことになる-祖国平和統一委員会重大報道-」:精密打撃に精密打撃で対抗、空からは大口径放射砲、陸からは「敵後部隊」が青瓦台または青瓦台付近に (2016年3月23日 「朝鮮中央通信」)

    23日、「造成された険悪な事態に関連し、祖国平和統一委員会が委任により」立場表明をした。

    「造成された険悪な事態」とは、米韓合同演習で金正恩執務した模した施設を破壊する訓練をしたということ。

    こうした「険悪な事態」を受け、以下を表明。

    ・この時刻から、朝鮮人民軍正規部隊と労農赤軍、赤い青年近衛隊をはじめとした我々の革命武力と全ての人民の一挙一動は、朴槿恵逆賊意味をこの地、この空の下から断固として除去するための正義の報復戦を志向する。
    이 시각부터 조선인민군 정규부대들과 로농적위군,붉은청년근위대를 비롯한 우리의 혁명무력과 전체 인민들의 일거일동은 박근혜역적패당을 이 땅,이 하늘아래에서 단호히 제거해버리기 위한 정의의 보복전에 지향될것이다.

    ・我々の報復戦は、聖なる首領決死擁護戦であり、慈悲を知らない敵撃滅戦である。
    우리의 보복전은 성스러운 수령결사옹위전이며 자비를 모르는 원쑤격멸전이다.

    ・我々の報復戦は、青瓦台から始まるかもしれないし、青瓦台付近で展開されるかもしれないということを隠さない。
    우리의 보복전은 청와대안에서 시작될수도 있고 청와대가까이에서도 전개될수 있다는것을 숨기지 않는다.

    ・我々の戦略軍の実戦配備された超精密打撃手段の第一目標となる打撃対象は、青瓦台を含む南朝鮮全域の全ての敵の巣窟であるということは、既に宣告してある。
    우리 전략군의 실전배비된 초정밀타격수단들의 첫째가는 타격대상이 청와대를 포함한 남조선지역안의 모든 적소굴들이라는데 대해서는 이미 선포한 상태이다.

    ・無敵を誇る我々の砲兵集団の強力な大口径放射砲も朴槿恵がうずくまっている青瓦台を瞬間的に焦土化できる発射準備完了状態にある。
    무적을 자랑하는 우리 포병집단의 위력한 대구경방사포들도 박근혜가 도사리고있는 청와대를 순식간에 초토화시킬 격동상태에 있다.

    ・ボタンを押せば火の海になり、打撃をすれば灰となる。
    누르면 불바다가 되고 타격하면 재가루가 되게 되여있다.

    ・南半部作戦地帯に投入される我々の敵後部隊は、任意の時刻に青瓦台をはじめとした重要対象を一気に占領し、朴槿恵と傀儡軍部好戦狂を無慈悲に殺害し、暴風作戦、稲妻作戦を開始する万端の準備が整っている。
    남반부작전지대에 투입될 우리의 적후부대들은 임의의 시각에 청와대를 비롯한 주요대상들을 단숨에 깔고앉아 박근혜와 괴뢰군부호전광들을 무자비하게 죽탕쳐버릴 폭풍작전,번개작전에 진입할 만단의 준비태세에 있다.

    ・我々の最高首脳部、最高尊厳を命よりも大切にする我々千万軍民の滅敵の気性を米帝と朴槿恵一味は、しっかりと見定めなければならない。
    우리의 최고수뇌부,최고존엄을 생명보다 더 귀중히 여기는 우리 천만군민의 멸적의 기상을 미제와 박근혜패당은 똑바로 보아야 한다.

    ・我々の我慢にも限界がある。
    우리의 참을성에도 한계가 있다.

    ・米帝と朴槿恵逆賊一味は、我々がすることは全てし、持つ物も全て持っているという我々の警告を絶対に聞き過ごしてはならない。そして、残り少ない残命ながらも繋ぎたいならば、愚かな軽挙妄動はしてはならない。
    미제와 박근혜역적패당은 이미 할것은 다 해놓고 가질것은 다 가지고있다는 우리의 경고를 절대로 흘려듣지 말아야 한다. 그리고 얼마 남지 않은 잔명이라도 부지하려면 어리석게 경거망동하지 말아야 한다.

    ・我々が一旦決心すれば、朴槿恵逆賊一味はもちろん、侵略の大小全ての本拠地をまとめて掃討するための我々式の先制攻撃作戦が世界が知らないやり方で突然行われることになる。
    우리가 일단 결심하면 박근혜역적패당은 물론 침략의 크고작은 모든 본거지들을 모조리 쓸어버리기 위한 우리 식의 선제공격작전이 세계가 알지 못하는 방식으로 불이 번쩍 나게 벌어지게 될것이다.

    ・我々は、空言を言わない。
    우리는 빈말을 하지 않는다.

    ・それを分別なく奔走する米帝と朴槿恵逆賊一味の悲惨な結末が証明することになる。
    그것은 분별없이 날뛰는 미제와 박근혜역적패당의 비참한 종말이 그대로 증명해줄것이다.

    「暴風作戦」、「稲妻作戦」とは如何なる作戦だろうか。早速、「大口径放射砲」も使うと言っているので、昨日の記事に書いたように、空からは「大口径放射砲」の雨が降り注ぎ、陸上からは「敵後部隊」が迫るという計画のようだ。青瓦台は分かるとして、「青瓦台付近」とはどこを指しているのであろうか。

    <追記>
    「青瓦台付近」には、韓国政府総合庁舎、米国大使館、日本大使館などもあるので、こうした施設への攻撃を示唆しているのかもしれない。

    「北朝鮮船舶、4隻が安保理決議2270リストから削除」:フィリピンで抑留されたJIN TENGも含む (2016年3月22日 「Vessel Finder News」」)

    22日付けでVessel Finder Newsで報じられたところによると、安保理決議2270で資産凍結対象とされた31隻の船舶の内、4隻がリストから除外されたという。

    Vessel Finder News, Four North Korean cargo ships removed from UN blacklist, https://www.vesselfinder.com/news/5652-Four-North-Korean-cargo-ships-removed-from-UN-blacklist

    削除された理由は、「これらの船舶は武器や禁止品目の輸送をしているOMMによる運営されていない」からという。削除については、米中間での話し合いが行われた結果で、中国側は「関係国の合意の上、適切な手続きにより削除された」、米国側は「中国との関係における生産的な結果で、「北朝鮮に対して『即効力がある現実世界の対応』を証明することができた」と削除について歓迎しているという。

    拙ブログにも書いたフィリピンのスービック港で抑留されていたJIN TENGもこの4隻に含まれるという。報道では、残りの3隻の名前は確認できないが、追って、国連HPでリリースされるはずである。

    黄海や中国の港には、今日もたくさんの北朝鮮籍(あるいは北朝鮮から来た・向かう)船がいる。

    2016年3月23日10時25分頃、北朝鮮船籍、あるいは航路から推測して南浦港から来たと思われる渤海、西朝鮮湾、黄海上の船舶。ただし、筆者がみつけた船だけ。AISを発信していなかったり、受信範囲から外れている船もいるはず。
    20160323yellowsea 1025
    Source: Vessel Finder

    「敬愛する金正恩同志が我が国船舶修理工場の手本、標準へと転変した朝鮮人民軍海軍第597軍部隊管下10月3日工場を現地指導された」:Google Earthで「3月10日」工場を探してみたら・・・ (2016年3月22日 『労働新聞』)

    22日付けの『労働新聞』が、「元帥様」が「朝鮮人民軍海軍第597軍部隊管下10月3日工場を現地指導」したと報じた。この日は、「大口径放射砲試験」の「指導」もしているが、韓国軍によると飛翔体の発射は15時から16時にかけて行われたとのことなので、この前後に「10月3日工場」を「現地指導」した可能性が高い。

    船舶エンジンの「試運転盤(テストベンチ)」だろうか。
    2016-3-22-1-06.jpg
    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 우리 나라 선박수리공장의 본보기,표준으로 전변된 조선인민군 해군 제597군부대관하 10월3일공장을 현지지도하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-22-0001_photo

    「弱電作業班」も視察したと書いてある。
    2016-3-22-1-04.jpg
    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 우리 나라 선박수리공장의 본보기,표준으로 전변된 조선인민군 해군 제597군부대관하 10월3일공장을 현지지도하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-22-0001_photo

    埠頭やドッグも視察した。
    2016-3-22-1-02.jpg
    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 우리 나라 선박수리공장의 본보기,표준으로 전변된 조선인민군 해군 제597군부대관하 10월3일공장을 현지지도하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-22-0001_photo

    韓国軍は、「飛翔体が咸興の南方から発射された」としているので、「大口径放射砲発射試験」のついでに視察するのであれば、そんなに遠い所ではないはずと仮定し、Google Earthで「10月3日工場」らしき建物を探してみた。

    そうしたら、こんなところに、海軍基地らしきものがあった。
    20160322310koujo1.jpg
    Source: Google Earth (文字は筆者)

    周囲には海に面した丘もあり、双眼鏡で日本海を見るには適した場所である。
    20160322houshohouhill432432432.jpg
    Source: Google Earth (文字は筆者)

    埠頭には大型の軍艦らしき船舶が着岸している。この工場は入江にあるので、この埠頭の両サイドには山が見えるはずである。この点、上のクレーンが写ってい写真の背景に山が見える点で一致する。
    20160322gunkanbig54376.jpg
    Source: Google Earth (文字は筆者)

    また、陸揚げされて修理中と思われる小型船も多数見られる。
    20160322rikuagefune9679674.jpg
    Source: Google Earth (文字は筆者)

    咸興周辺の海岸を辿ってみたが、下の写真にある咸興港(名称、未確認)とここ以外には大規模な港は見つからなかった。
    20160322hamufunkou9675342.jpg
    Source: Google Earth (文字は筆者)

    <追記2>
    「元帥様」現地指導用の図面が「朝鮮中央TV」の「録画報道」に写っていた。
    20160322 10月3日工場現地指導mp4_000158895
    Source: KCTV, 2016/03/22

    これと似た地形の場所があった。赤で囲んだ部分に新しい工場を建築し、オレンジ色の埠頭とを作り、そこにクレーンを設置したのかもしれない。
    20160323 new ship doc
    Source: Google Earth, 筆者加工

    中国山東省竜口港停泊中の北朝鮮船舶(定点観測中) (2016年3月20日)

    中朝間の海上貨物輸送が、安保理制裁決議2270の影響をほとんど受けることなく機能していることを示すように、北朝鮮の貨物船が停泊している。HWASONGは15日に書いた記事で北朝鮮の南浦港に向かい航行していたが、再び竜口に戻ってきて停泊している。

    20160320 0915jst ryukoport
    Source: Vessel Finder に筆者加工

    <追記>
    3月20日、10時45分頃、さらに2隻の北朝鮮船籍貨物船のAISが確認できた。

    20160320 1046jst ryuko
    Source: Vessel Finder に筆者加工

    <追記2>
    3月20日、17時20分頃、さらに1隻の北朝鮮籍貨物船のAISが確認できた(赤楕円)。現在、7隻停泊中(ピンク楕円)。
    20160320 1722jst ryukou
    Source: Vessel Finder に筆者加工

    <追記3>
    2016年3月21日22時15分頃の竜口港。JONSUNG7はAISを停止したのか、21日14時頃に消えた。その代わりにSO BEAK SANが入港してきた。HWASONGは下の地図では消えているが、港湾内にいる。
    20160321 2215jst ryuko
    Source: Vessel Finder(北朝鮮籍の船のみ表示している)

    『NNA.ASIA』というweb情報誌に「中国 2015/10/08(木曜日) 山東竜口港―北朝鮮南浦港、定期航路が開通[運輸]」という記事が出ていた。「2週間無料トライアル」を申し込んだが、オンラインで直ぐにログイン情報が来ないために、まだ詳細は読めていない。いずれにせよ、昨年10月はじめの報道なので、定期航路開設からそれほど時間は経っていない。竜口港-南浦港間をこれほど頻繁に北朝鮮船籍の貨物船が往来する理由がこれで分かった。積み荷も無しで往来するはずはないので、中朝間での海運貨物は滞りなく往来しているのであろう。

    『NNA.ASIA』、「中国 2015/10/08(木曜日) 山東竜口港―北朝鮮南浦港、定期航路が開通[運輸]」、http://news.nna.jp.edgesuite.net/free/news/20151008cny018A_lead.html

    <追記4>
    3月22日9時30分頃の様子。JONSUNG7がAIS発信を再開。MUN SU SANという貨物船が知らぬ間に入港していた。HWASONGは下の地図では消えているが、依然として港湾内(埠頭近く)にいる。
    20160322 0928jst ryukou
    Source: Vessel Finder(北朝鮮籍の船のみ表示している)

    <追記5>
    Google Earthを開いたついでに竜口港付近を見た。Vessel Finderの地図だとHWASONGは港内に停泊しているように見えるが、Google Earthで見ると、埠頭が拡張されており、クレーンが設置されている。埠頭上には赤っぽいもの(鉄鉱石かくず鉄?)と黒いもの(石炭?)がたくさん置かれている(石炭も鉄鋼も北朝鮮の主要輸出品)。Google Earhに写っている船はHWASONGではないはずだが、位置関係からは同船と同じ場所にいる。クレーンを使用して貨物の積み降ろしをしているのだろう。

    3月22日12時頃
    20160322hwaongwhereabout654434.jpg
    Source: Vessel Finder

    20160322hwakonofukin234643.jpg
    Source: Google Earth

    <追記6>
    上記『NNA.ASIA』の無料トライアルができた。記事によると、同航路は中国と北朝鮮の企業が合同で開設し、「主として北朝鮮からの石炭輸入を担う」とのこと。2015年1~8月の竜口港の北朝鮮からの石炭輸入量は、328万トンだそうだ。

    やはり、Google Earthで見えた黒い物は石炭。安保理決議2270第29項など無視する形で、北朝鮮からの対中石炭輸出が続いているのかもしれない。もちろん、「核ミサイル開発に無関係な人民生活向けの収入」のためならば問題ないのだが(29-b)。結局、資金の流れなどトラッキングできないので、一見「最強」だけの決議と言えそうだ。

    <追記7>
    22日16時20分頃、HWASONGに近づいた中国のタグボートLONG GANG TUO283。出港準備かもしれない。
    20160322 1622 taghwang
    Source: Vessel Finder

    <追記8>
    23日、10時15分頃、KUM DAEとJON SUNG7が埠頭に向かって航行中。埠頭にいたHWASONGは8時30分頃出港した。湾外には、新たにTU RU BONGが来て停泊している。
    20160323 1015 ryukou
    Source: Vessel Finder

    <追記9>
    JON SUNG7が接岸した。Google Earthの写真を見ると、接岸されていると思われる埠頭の横には石炭が大量に積まれている。

    23日11時頃のJON SUNG7の位置
    20160323 1104 js7 vsf
    Source: Vessel Finder

    その位置をGoogle Earthで拡大して見ると、石炭が積まれている。写っている船は不明。
    20160323 1103 js7 in port
    Source: Google Earth、ピンは筆者

    見ていたら、KUM DAEもタグボートに押されて埠頭付近にやって来た。
    20160323 1110 kumde
    Source: Vessel Finder

    <追記10>
    24日12時半頃、北朝鮮の石油類タンカーCHON MA SANが天津に向かって航行中である。これまで、北朝鮮の混載貨物船と魚類運搬船のAISは見えたが、石油類タンカーはこれが初めて。

    オレンジ色の船がCHON MA SAN軌跡を見ると南浦から来ているようだ。
    20160324 1230 chomasan5680923
    Source: Vessel Finder

    「敬愛する金正恩同志が新型大口径放射砲試験を再び指導された」:21日の飛翔体発射の正体、「自強力第一主義」 (2016年3月22日 「朝鮮中央通信」)

    22日、「朝鮮中央通信」が「元帥様」が「新型大口径放射砲実験を再び指導」したと報じた。日にちは明らかにされていないが、21日に韓国発で報じられた日本海に向けた飛翔体の発射であろう。

    「南朝鮮作戦地帯内の主要打撃対象を射程圏内に入れている強力な大口径放射砲の実戦配備を前に最終試験射撃」を行ったと。結果は、「(「元帥様」が)新型大口径長距離放射砲の試験結果をご覧になり、命中性が針穴を通り抜けるように実に正確と大満足」するものであり、「南半部作戦地帯の敵対象物に対する人民軍隊の精密攻撃能力を非常に強化することにおいて大きな戦略的意義を持つ立派な放射砲武器体系を作った」としている。

    「針穴を通り抜ける」「精密攻撃能力」とは、青瓦台をピンポイントで攻撃できる「大口径長距離放射砲」を開発したという話し。韓米合同訓練で行われている「斬首作戦」や「毛抜き作戦」に対抗するための青瓦台ピンポイント殲滅が可能な兵器ということであろう。北朝鮮としては、「青瓦台の傀儡一味を掃討すれば、南朝鮮は解放される」という、韓米合同演習が「金正恩抹殺で北朝鮮の体制転換」を狙う逆のパターンを想定した「大口径放射砲試験」といえる。

    「上陸及び反上陸訓練」と組み合わせれば、空からは「大口径長距離放射砲」の雨が降り、陸からは人民軍特殊部隊がホバークラフトで上陸して青瓦台を叩くという構想であろう。

    加えて、「米帝」と日本やグアムの「米帝」の基地を叩くためにノドンに搭載した弾頭の準備もしたかったのだろうが、こちらは空中爆発という「大失敗」に終わってしまったので非公開という話であろう。

    「大失敗」をした科学者に対しても、「大口径放射砲試験」を成功させた科学者に施したような「元帥様の大きな栄光と愛」で「我が党の自強力第一主義を国防科学研究活動において徹底して具現し、我々式の最先端武装装備開発生産でより大きな成果を達成する」よう「燃え上がる誓い」をさせたのかどうか。

    2016年の「新年辞」で使われた「自強力第一主義」が、2016年のキーワードのようだ。

    <追記>
    『労働新聞』に写真が公開された。

    2016-3-22-3-15.jpg
    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 신형대구경방사포사격을 또다시 지도하시였다 」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-22-0005_photo

    発射角度が異なることから、複数発射されたことが分かる。
    2016-3-22-3-11.jpg
    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 신형대구경방사포사격을 또다시 지도하시였다 」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-22-0005_photo

    日本海の岩礁だろうか。韓国メディアの報道では、飛翔体は200km飛行としているので、公海上の岩礁に命中、破壊したことになる。また、この映像を撮影するためには、北朝鮮の船舶あるいは航空機がこの岩礁の近辺にいなければならない。「光明星-4」号登載の高倍率カメラで撮影したならばさらに凄いが。
    2016-3-22-3-08.jpg
    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 신형대구경방사포사격을 또다시 지도하시였다 」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-22-0005_photo

    「針の穴を通すような」命中シーンをモニターで確認する「元帥様」。
    2016-3-22-3-05.jpg
    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 신형대구경방사포사격을 또다시 지도하시였다 」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-22-0005_photo

    「連続紀行 東海の名勝を訪ねて 第5回」:七宝山の松茸の話、ラストは『祖国賛歌』で美しく、NGシーンもラストで見せる (2016年3月8日 「朝鮮中央TV」)

    8日に「朝鮮中央TV」で放送された「東海の名勝を訪ねて 第5回」。これが最終回であるが、最終回だけあって、なかなかよくできている。第4回では、平壌国際空港新庁舎などが紹介されていたが、第5回では、七宝山の松茸について、松茸採りの仕方などを詳しく紹介している。自然風景の映し出し方も素晴らしい。女子力がある朝鮮芸術映画撮影所所属の「司会者」がラストメッセージを言った後、『祖国賛歌』で取材した東海岸の美しい景色を見せながら締めくくっている。また、NGシーンなども番組クレジットを出す前に少し見せている。

    放送から時間が経ってしまったが、日本語字幕を付けてYouTubeにアップロードしておいた。
    20160322matsutake342423.jpg
    Source: YouTube, dprknow channel, https://youtu.be/Q3jeLYGeruY

    「敬愛する金正恩同志が朝鮮人民軍上陸及び反上陸防御演習を指導された」:中距離ミサイル発射の話はなし (2016年3月20日 「朝鮮中央通信」)

    20日、「朝鮮中央通信」が、「元帥様」が「南朝鮮」への上陸演習を「指導」したと報じた。これはこれで、写真が出てくれば、色々と記事になる内容のものだとは思うが、2日前の予想は外れてしまったようだ。若干の言い訳をすれば、記事を書いた後、2発目の発射があったという韓国報道があり、その軌跡が上昇後に消えているとしているので、空中爆発、つまり実験に失敗したので公表を控えた可能性がある。

    何でもかんでも「大成功」としておけばよさそうなものだが、軌跡の分析からどう言い訳しても「大成功」とは言い難い「大失敗」だった可能性がある。

    「元帥様」の動きとしては、18日早朝に中距離ミサイル発射実験を「指導」し、その後「リョンミョン通り」の現地指導、そして、19日には「上陸軍事演習指導」という感じで、そうであると中距離ミサイル発射実験だけ報道されていないことになる。

    実戦配備されているとされるノドンミサイルが空中爆発したとすると、これは北朝鮮にとっては衝撃的である。この辺り、模擬弾頭を装着して何かをやろうとしたのだと思うが、1発目のノドンがこれまでの飛行コース(飛行パターン)と同じだったのか、あるいは異なったのか、2発目はどうだったかのかなどが分かれば、実験目的の推測もできようが、そうした情報は公開されていない。

    「上陸軍事演習指導」については、写真が出た後に追記しておく。なお、概要と目的は以下のとおり。

    *************
    演習は、実用的な上陸及び繁盛類句防御演習をとおして、海軍との合同作戦の下、南半部作戦地帯で活動することとなる敵区前線部隊と機械化歩兵部隊の迅速な南半部作戦水域への海上機動と奇襲的な上陸作戦戦闘組織及び指揮の現実性を検討し、海岸遮断物克服能力を高めると共に、現在、設置されている海岸遮断物の強固性を確定し、対策を講ずることで海上攻撃及び海岸防御作戦計画をさらに完成することに目的が置かれた。

    연습은 실용적인 상륙 및 반상륙방어연습을 통하여 해군과의 협동작전밑에 남반부작전지대에서 활동하게 될 적후전선부대들과 기계화보병부대들의 신속한 남반부작전수역에로의 해상기동과 기습적인 상륙작전전투조직 및 지휘의 현실성을 검토하고 해안차단물극복능력을 높여주는것과 함께 현재 설비된 해안차단물들의 견고성을 확정하고 대책을 세움으로써 해상공격 및 해안방어작전계획을 더욱 완성하는데 목적을 두었다.
    *****************

    「敵対勢力の悪辣な制裁圧殺策動を粉砕し、自力自強で富強祖国を見ろとばかりに建設する我々の軍隊と人民の不屈の意志を力強く誇示することとなるもう一つの街、敬愛する金正恩同志がリョンミョン通り建設を宣布され、建設のための綱領的な課業を提示された」:今日は経済建設 (2016年3月18日 「朝鮮中央通信」)

    18日、『朝鮮中央通信』が報じた「元帥様」の「革命活動」。内容はまだ読んでいないが、平壌に新たなビルなどを建設する事業であろう。今日は経済建設、明日はミサイル発射という「並進路線」をアピールする狙いだと思う。

    적대세력들의 악랄한 제재압살책동을 짓부시고 자력자강으로 부강조국을 보란듯이 일떠세워가는 우리 군대와 인민의 불굴의 의지를 힘있게 과시하게 될 또 하나의 거리
    경애하는 김정은동지께서 려명거리건설을 선포하시고 건설에서 나서는 강령적인 과업들을 제시하시였다

    <追記>
    金ヨジョン「副部長同志」随行するも、再び写真に写らず。

    「日本海に弾道ミサイル発射=射程約800キロ、ノドンか―北朝鮮」:中距離ミサイルに「大成功」の弾頭を装着し再び「大成功」報道が絶対ある (2016年3月18日 「時事通信」)

    18日、『時事通信』が、韓国国防省関係者からの情報として、北朝鮮が日本海に向けてノドンミサイルとみられるものを発射したと伝えた。

    『時事通信』、「日本海に弾道ミサイル発射=射程約800キロ、ノドンか―北朝鮮」、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160318-00000017-jij-kr

    数時間後(あるいは、明日)には、「朝鮮中央通信」に「敬愛する金正恩同志が、弾頭を装着した弾道ロケットの発射実験を現地で指導された」という記事が出ることを予告しておく。

    「光明星-4」のような長距離ロケットは何基も保有していない(現有ゼロの可能性が高い)はずなので、移動車両からのノドン発射は実用的かつ日本には大きな脅威。「光明星-4」で大騒ぎしていないで、こちらで大騒ぎするのが筋のはず。事前に大騒ぎできておらず、事後に発射を探知しているようであれば、日本海でなく日本列島に向けてノドンが発射されていれば、日本列島のどこかには着弾していたはず。

    下の地図で、発射地点とされる平安南道・粛川から東京1300km、大阪1000km、広島850km、福岡760kmである。
    20160318nodonjapan.jpg
    Source: Google Earh

    「言葉の中の言葉『主語を間違った<自滅の道>』:ミサイル発射車両内の写真か? (2016年3月17日 「uriminzokkiri-TV」)

    17日、uriminzokkiri-TVに掲載された動画に興味深い場面があった。動画自体は、韓国大統領が「北朝鮮は、変化の道に向かわなければ、自滅の道を歩む」と発言したのに対し、主語は「北朝鮮ではなく朴槿恵一味」と攻撃するもの。その理由として、北朝鮮は「水素弾」も「人工衛星も発射」できる北朝鮮が自滅するはずがないと。

    続けて、次のような動画を見せている。

    装甲車のように見えるが、全体が見えないのでよく分からない。
    20160317tank1.jpg
    Source: uriminzokkiri-TV

    上の写真の下部は、このようになっている。「朝鮮人民の不倶戴天の敵米帝侵略者を消滅しろ!」と書いてある。
    20160317tankwindows3265.jpg
    Source: uriminzokkiri-TV

    そして、別の車両かもしれないが、操縦席のような部分も大きく見せている。
    20160317tank2234.jpg
    Source: uriminzokkiri-TV

    20160317tank2.jpg
    Source: uriminzokkiri-TV

    その後、ミサイル発射車両内部のような所も見せている。女性兵士もいる。
    20160317inside.jpg
    Source: uriminzokkiri-TV

    ミサイル発射車両ではというのは、上の動画に続いて、ミサイルが飛んでいく様子を見せているからである。
    20160317rocket543.jpg
    Source: uriminzokkiri-TV

    動画では、これらに関する説明はないが、軍装備に詳しい方、何かお分かりならご教授願いたい。

    「米国人学生ウァムビア北朝鮮で懲役15年」:スローガンを外しただけで (2016年3月16日 「新華社通信」)

    <追記>
    17日の「朝鮮中央TV」を見ていたら、裁判は3月16日に開催されたと報じた。ただし、刑がいつから執行されていたのかについては依然として不明。

    ニュースに日本語字幕を付けてYouTubeにアップロードしておいた。
    20160318beikokugakuseisaikousai4342.jpg
    Source: YouTube, dprknow channel, https://youtu.be/fzayyZ7qENs
    ************************************************************************

    16日の「新華社通信」によると、米国人学生ウァムビアが15年の「労働教化刑」を北朝鮮の最高裁で宣告され、抗告は認められず、刑が確定した。

    Xinhua, American student Warmbier sentenced to 15 years of hard labor in DPRK, http://news.xinhuanet.com/english/2016-03/16/c_135194093.htm

    北朝鮮の裁判所に連行されたウァムビア
    xinfua 20160317 us student
    Source: Xinhua, American student Warmbier sentenced to 15 years of hard labor in DPRK, http://news.xinhuanet.com/english/2016-03/16/c_135194093.htm

    過去記事にも書いたし、YouTubeにもウァムビアの記者会見の動画をアップロードしておいたが、彼が行ったのは、羊角島ホテルの従業員エリアにスローガンボードを盗む目的で侵入、スローガンが大きすぎたことと、発覚が怖くなりスローガンを壁から外して床に置いたままその場を立ち去った、これだけである。これがスローガンではなく、1億円の金塊であったとしても犯罪としては窃盗未遂。北朝鮮の窃盗罪とその未遂の場合の減刑措置については、過去記事に書いたとおりである。

    ところが、窃盗罪ではなく「国家転覆陰謀罪」が適用されたのは、ウァムビアが「敵対勢力の指示を受け、朝鮮人民の団結を阻害し、北朝鮮の体制を転覆させようとした」と自白したからということのようだ。

    では、今回適用された「国家転覆陰謀罪」とは、どのような罪なのか北朝鮮の『法典』で確認する。

    ************
    第13章 反国家及び反民族犯罪
    第1節

    第60条(国家転覆陰謀罪)
    反国家目的で政変、暴動、デモ、襲撃に参加したり、陰謀に加担した者は、5年以上の労働教化刑に処す。情状が特に重い場合は、無期労働教化刑または死刑及び財産没収刑に処す。
    ***************

    北朝鮮刑法が2013年12月以降改定されていないのであれば、張成沢に適用された「第60条」と同じ条項になり、張成沢の場合は、「情状が特に重い」とされ、死刑判決が出され、即刻死刑が執行された。

    ウァムビアの場合、「5年以上の労働教化刑」の中でも死刑に近い重い刑期の宣告を受けたと思われる。それにしても、ウァムビアの自白どおり目的が不純であったとしても、スローガンを外しただけで「国家転覆陰謀罪」が適用され、「労働教化刑15年」を宣告されるというのは、どう考えても重すぎる。前にも書いたと思うが、「米帝と傀儡共が合同軍事訓練でどれだけ悪辣に策動しても、眉をピクリとも動かさない朝鮮人民」が、「敵対組織の下手人がスローガンを外した」程度、何でもないはずである。窃盗未遂ならば、従業員エリアの床の雑巾がけでもさせて反省させればよい。

    ウァムビアが侵入したとされる2階ではないが、5階に侵入した米国人学生が撮影した写真や動画が下のサイトにある。

    http://monsoondiaries.com/2011/08/23/piso-cinco/

    エレベータに2階と5階のボタンがないというのはおもしろいが、壁に掛けられている宣伝画類に特別なものはなく、街中や「朝鮮中央TV」で普通に見られるものばかりである。

    ウァムビアは最悪のタイミングで、軽率な行動をしたために、「労働教化刑15年」となったのであろう。「新華社」によると「労働教化刑は2月4日から執行されている」と書かれているので、彼が記者会見をした時点で、ほぼ1ヶ月間「労働教化刑」を受けていたことになる。刑が確定する前から刑が執行されるというのは変に感じるが、「新華社」の記事によると、「水曜日(3月16日)に最高裁が発表した」とあるので、2月4日の時点で刑が確定していたのかもしれない。

    しかし、だとうするとタイムラインでおかしなことがある。ウァムビアは「朝鮮中央TV」で3月1日に放送された「記者会見」で、「高級なホテルクラスの宿所で暮らしており、1日3食よい食事を食べ、1日に1時間外の散歩も許されている」と発言している。そうだとすると、一つ間違えば死刑に値する大罪を犯した人間に対しては、世界で最も人道主義的な対応とでも言えるほど、よい待遇を受けていることになる。また、この時点で彼は、「労働教化刑」の実態については発言していない。

    「新華社」の記事を私が読み間違っていなければ、上記のようにタイムラインで奇妙なことが起こっていることになる。

    「朝鮮中央通信」等、北朝鮮メディアは、ウァムビアに対する判決に関する報道はしていない。

    16日に米国務省定例記者会見でもこの話題が出され、国務省報道官は「米国政府と米国務省は、米国市民に北朝鮮旅行をしないことを勧告する」と2回くり返しながら発言している。ウァムビアについては、スウェーデン大使館担当者との接触が許され、裁判も同大使館員が傍聴したとしている。また、同大使館員からの情報として、ウァムビアの健康状態は良好だという。米国は、北朝鮮に対しウァムビアを特別な恩赦を与え、即時釈放することを求めているという。

    U.S. Department of State, Daily Press Briefing, http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2016/03/254764.htm#NORTHKOREA

    米国としては、北朝鮮に利用されないようウァムビア問題を必要以上に大きく取り上げず、北朝鮮に外貨を落とす米国市民の旅行を自粛させるという方針なのであろう。

    「アリラン協会」の新しいHP「メアリ」、3月1日開設、マシンリョンスキー場PV、金剛山PV (2016年3月16日)

    北朝鮮系サイトがまた一つ増えた。3月1日に「メアリ(こだま)」というサイトが開設された。このサイトを開設した「アリラン協会」なるものに関する紹介が「読者からの質問」に答える形で出ていた。以下がその回答。

    **********
    アリラン協会は、祖国解放70周年となった昨年8月、また1つ刻まれる民族分裂の歴史の前で、これ以上統一を遅らせてはいけないという歴史の求めを自ら重く受け止めた共和国の各階層の住民と専門家で組織された無所属民間団体です。

    (中略)

    協会の基本活動は、当面、『メアリ』ホームページをとおし、民族内部に少なからず残っている思想と政見、信仰の有害な壁を崩し、偏見と嫉視の残滓を洗い落とし、民族の心の中からまず和解と団合、統一の道を磨いていくことです。

    (中略)

    『メアリ』ホームページ関する具体的紹介は、ホームページのトップの下にあります。
    **************

    とあるので、そこをクリックすると、

    ***************
    ・我々のホームページは、朝鮮民主主義人民共和国無所属民間団体、アリラン協会で運営しています。
    ・我々のホームページは、北南間の誤解と不信を解消し、民族の和解と団合を図りながら、祖国統一に寄与する有益で多様なニュースを伝えることを基本的使命としています。
    ・我々のホームページに掲載されている写真、動画は、編集局記者、共和国北半部の各地通信員と熱誠会員、各階層人民が送ってくる資料に基づいています。
    ・我々のホームページは、言論の生命である正確性と真理性、客観性と公正性に合致する内外の各界各層同胞が送ってくる多様なニュースも掲載します。
    ・我々のホームページに有益なニュースと手紙、写真、動画を提供して下さる内外の熱誠読者には、本人の意志により通信員資格を付与して差し上げます。
    ・我々のホームページの会員加入及び利用細則は、国際的に普遍化された規則によります。
    ・我々のホームページに送られてくる手紙が本ホームページの編集方針に合わない場合、掲載されない場合もあります。

    메아리(こだま) 、http://www.arirang-meari.com/index.php
    ***********

    となっている。

    上記のURLからホストを調べると、中国瀋陽にあるXINNET TECHNOLOGY CORPORATIONという会社のサーバーを使っている。Uriminzokkiriもこの会社のサーバーを使っているので、瀋陽にある北朝鮮組織が運用しているHPと思われる。

    このサイトが開設された直後、このサイトの存在は認識していたのだが、見るとuriminzokkiriのコピーのようで、あまり真面目にチェックしなかった。しかし、チェックしてみると、いくつかおもしろい写真や動画があることが分かった。

    YouTubeに日本語字幕を付けてアップロードしておいた「メアリHP紹介」動画。素人っぽい女性が同サイトを紹介している。uriminzokkiri-TVによく登場する女性ではないようだ。
    20150316meariintro.jpg
    Source: YouTube, dprknow channel, https://www.youtube.com/watch?v=vwnH_06bTwI

    また、マシンリョンスキー場のPVもあった。オリジナルの英語字幕が付けられている。ほぼ、「朝鮮中央TV」や「uriminzokkiri-TV」で紹介された動画であるが、一部、見たことがない動画も含まれているので見るに値する。特に、3等室でもかなり豪華なホテルの客室には驚いた。「元帥様」は1等室のベッドに座ったはずなので、宿泊可能、しかもお金に余裕があるのならば赤い「革命史跡碑標識」が付けられているはずの、「元帥様」が座ったベッドがある部屋がよいと思う。例によって、安保理決議2270で贅沢禁輸品とされたスノーモービルでのツアーの様子も見せている。また、同ホテル飲料水は、マシンリョンの天然水だという。これも新しいポイントだと思う。さらに、コーヒーショップでは、インスタントではなくコーヒーマシンを使って抽出したコーヒーを出している場面もある。羅先のエンペラーホテルのカジノのコーヒーショップで非インスタントコーヒーを飲もうとしたが、ないと言われた。金満中国人ではない「ご一行様」を追い出したかっただけかもしれないが、ちゃんとしたコーヒーが飲めるポイントは高い。日本語字幕は付けてないが、様子は分かると思う。
    20150316masinryonpgbv.jpg
    Source YouTube, dprknow channel, https://www.youtube.com/watch?v=t-KfdsJLwuc

    また、金剛山観光PVもあった。これは、オリジナル字幕に中国語が使われているので、中国人観光客や投資家を誘致するために制作された動画のようだ。こちらも日本語字幕は付けてないがアップロードしておいた。
    20160316kumuganpvchina.jpg
    Source: YouTube, dprknow channel, https://www.youtube.com/watch?v=wK1f2sQy7nA

    動画では、上で紹介したもの以外に「熱誠会員」が投稿したとされるものもアップロードされているが、その作りや映像からしてuriminzokkiri-TVの動画と同じ場所で制作していると思われる。

    一方、静止画では素人くさい写真もある。

    「熱誠会員」が投稿した甥の1歳の誕生日の写真であるが、これなど構図やフォーカスが素人的である。
    photo_2016-03-04_318_image2.jpg
    Source: meari, http://www.arirang-meari.com/index.php?t=photo&no=9

    スマホを持って遊んでいる写真は、背景が合成であるが、この程度の合成はスマホのアプリでもできると思う(やったことがないので確証はないが)。
    photo_2016-03-04_318_image3.jpg
    Source: meari, http://www.arirang-meari.com/index.php?t=photo&no=9

    平壌国際空港新庁舎と「科学技術殿堂」内部の写真もおもしろいものがあった。両方とも、「電気製品」を販売する店が写っている。北朝鮮パッドやノートPCも置かれているようで、ゆっくりと見物してみたい場所である。

    平壌国際空港内の家電製品販売店
    photo_2016-03-01_353_image9.jpg
    Source: meari, http://www.arirang-meari.com/index.php?t=photo&no=8

    「科学技術殿堂」内の家電製品商店
    photo_2016-01-11_266_image19.jpg
    Source: meari, http://www.arirang-meari.com/index.php?t=photo&no=1

    また、「楽園映画館」の前で「70日戦闘の宣伝・扇動活動」をする人々を写した写真もおもしろい。何がおもしろいのかというと、上映中の映画2本が見えている点だ。右の「遺産」は「朝鮮中央TV」でも2006年以来(韓国統一部DBによる)何回も放送されている名作、また左の「所願」も2012年(統一部DB)に放送されて以来何回も放送されている映画である。機会があれば、北朝鮮の映画館で「朝鮮芸術映画」を見たいと思っているが、映画館の建物や看板も写真では初めて見た。
    photo_2016-03-11_813_image1.jpg
    Source: meari, http://www.arirang-meari.com/index.php?t=photo&no=11

    さて、「熱誠会員」になって、帰国報道さえされない気の毒な北朝鮮女子サッカー国家チームの試合の様子の写真でも投稿しようと思い、登録のページを見た。「名前や住所は、本人の希望により実名でなくてもよい」となっている。
    20160316kanyuu.jpg

    「カード式積算電力計と電気節約」:北朝鮮で世帯別電力計導入、電気料制度 (2016年3月6日 「朝鮮中央TV」)

    15日の「朝鮮中央TV」を見ていたら、「科学技術常識」というシリーズ番組で、「カード式積算電力計と電気節約」を放送していた。韓国・統一部DBで調べたところ、初回放送は2016年3月6日にあった。

    20160306kctvasf_016782715.jpg
    Source: KCTV, 2015/03/06

    北朝鮮における一般世帯に対する電力管理については、過去記事の中で「青少年映画」に出てきた場面を使いながら紹介したことがある。

    http://dprknow.blog.fc2.com/blog-entry-755.html

    この映画の中では、アパートに住んでいる主婦が「ヒューズが切れたのかしら。また分組のブレーカーが上がったみたいよ」と言っているように、電力は「分祖」単位で監理されており、世帯別ではないようだ。

    この「科学技術常識」番組では、この「カード式積算電力計」のメリットを「電力消費の科学性を保障し、多くの電気を節約できるようにする」と紹介している。

    電力計の形態は、「青少年映画」の中に出てくるものと類似しているが、ボタンの位置や表示が異なっている。製造しているのは、やはり「平壌電気器具合営会社」のように見える。
    20160306kctvasf_016819788.jpg
    Source: KCTV, 2015/03/06

    電力は、「生産量=消費量」であることが望ましいとした上で、生産量よりも消費量が多い場合とその反対のケースの問題点を紹介している。

    電力消費量がが生産量よりも多い場合は周波数が低下し、「周波数が10Hzほど低下したときに電力損失量は、生産量の30~40%にもなる」と紹介している。

    20160306kctvasf_016889159.jpg
    Source: KCTV, 2015/03/06

    電力消費が生産を上回ると周波数が低下するという仕組みは考えたことがなかったが、中部電力の資料を読んでいたら同じことが書かれていた。一定レベル以上の周波数低下があると発電機が自動停止し、停電に至るそうである。

    20150315chudensiryo.jpg
    Source: 中部電力、「貯められない電気を安定的に供給するために」 p.7、http://ba.chuden.jp/assets/pdf/vol2_closeup.pdf

    一方、消費量が生産量より少ないと「電力生産よりも消費量が少なくても、電力系統に否定的な影響を与える」と紹介している。これは、「電力利用の効果性が落ちるので、よくありません」とナレーションでも言っているように、発電に使われる一次エネルギーが無駄になるということを意味しているのであろう。

    20160306kctvasf_016910554.jpg
    Source: KCTV, 2015/03/06

    そして「電力生産と消費の均衡を維持することは、生産された電気をより効果的に使いながら、より多くの電気を節約するための重要な方法となります」と続けている。

    そのために、「カード式積算電力計」が活躍するという。まず、「カード式積算電力計」の「瞬時過負荷遮断機能」が役立つと説明する。日本では世帯毎にブレーカーが設置されており、契約電力量を超過すればブレーカーが落ちる仕組みになっており、日本で考えれば普通のことである。拙宅は機械式のブレーカーであるが、電子ブレーカーなるものもあり、北朝鮮の「カード式積算電力計」とは逆に、一時的に契約電力を上回っても使えるという代物のようである。

    20160306kctvasf_016954392.jpg
    Source: KCTV, 2015/03/06

    ただ、「カード式積算電力計」は拙宅の機械式ブレーカーよりも利口で、消費電力が一定以下(日本では契約電力)になれば、自動的に電力供給が再開する仕組みになっている。

    ナレーションは、「過去、一部の世帯で容量が大きい電気製品を一度に使用して、電力系統に莫大な損失を与えた現象を防げます」と言っている。

    そして最後に、「カード式積算電力計が広く導入されれば、各家庭で電気をどの時間にどれほど使ったのかにより、電気使用料金をそれぞれ支払うようになります」とし、「そうなれば、各家庭では、電気を最も多く消費する18時から23時の間は、必要な電気製品だけを使うようになり、その他の電気製品は、この時間を除いた他の時間に使うようになります」と言っている。このナレーションは興味深い。

    つまり、これまでは「青少年映画」に出てきたように、アパート全体に電力計が1つしかなかったので、各世帯、電力料金は均等に支払っており、たくさん使った者勝ちの状況があったが、世帯別に「カード式積算電力計」を取り付けることで、使った分だけ支払うという日本では当たり前の電気料金制度が導入されるだけではなく、「どの時間にどれほど使ったのかにより」と言っているので、深夜電力料金のような料金体系が導入されるのかもしれない。そして、カードに付いてるICチップに全てのデータが記録され、検針員は、ICチップのデータを回収しながら電気料金を請求するというシステムになるのかもしれない。

    20160306kctvasf_017025097.jpg
    Source: KCTV, 2015/03/06

    北朝鮮では、世界的な潮流となっているLED照明など省電力製品の導入を進めて省電力化をしているものの、同時に経済成長で家電製品の数が増え、一方で電力供給量を思うように増やせないというジレンマに陥っているのだと思う。そのような状況の中で、需給のバランスをシステムと経済制度両面から追求していこうという取り組みだと思う。

    集団主義的な電力消費から個人主義的な電力消費への流れも、市場経済化進行の表れなのかもしれない。

    「主体的国防科学技術の新たな尖端性と弾道ロケット大気圏再突入環境模擬実験で成功-敬愛する金正恩同志が弾道ロケット大気圏再突入環境模擬実験を指導された」:ミサイル弾頭部分の耐熱性等を実験で確認、「太陽節」に向けて忠誠ムード盛り上げか (2016年3月15日 「朝鮮中央通信」)

    15日、「朝鮮中央通信」が「元帥様」がミサイル弾頭部分の耐熱性などを確認する実験を「指導」したと伝えた。

    記事によると、「今回の弾道ロケット弾頭部分の大気圏再突入環境模擬実験は、弾道ロケットの大気圏再突入時、空気力学的加熱で生じる高い圧力と熱流環境の中で弾頭の浸食の深さと内面温度を測定し、開発された熱保護材料(複数)の熱力学的構造安全性を確証する方法で行われ、実験結果は、全て技術的指標を満足させた」としてしている。

    이번 탄도로케트 전투부첨두의 대기권재돌입환경모의시험은 탄도로케트의 대기권재돌입시 공기력학적가열로 생기는 높은 압력과 열흐름환경속에서 첨두의 침식깊이와 내면온도를 측정하여 개발된 열보호재료들의 열력학적구조안전성을 확증하는 방법으로 진행하였으며 시험결과는 모든 기술적지표들을 만족시켰다.

    そして、「今回の実験を通して、弾道ロケットの大気圏再突入時、発生する実際の環境と類似した圧力条件と5倍近くにもなる熱流の中でも弾頭の熱力学的構造安全性が確証されたことで、大陸間弾道ロケット弾頭の再突入信頼性を確固としたものにすることができた」とし、
    이번 시험을 통하여 탄도로케트의 대기권재돌입시 조성되는 실지환경과 류사한 압력조건과 근 5배나 되는 열흐름속에서도 첨두의 열력학적구조안전성이 확증됨으로써 대륙간탄도로케트 전투부의 재돌입믿음성을 확고히 담보할수 있게 되였다.

    「元帥様」は、「核攻撃能力の信頼性をより高めるために、早い時期に核弾頭爆発実験と核弾頭装着が可能な様々な種類の弾道ロケット実験発射を断行すると仰り、当該部門ではそのための事前準備を完璧にするよう指示された」としている。
    경애하는 김정은동지께서는 핵공격능력의 믿음성을 보다 높이기 위하여 빠른 시일안에 핵탄두폭발시험과 핵탄두장착이 가능한 여러 종류의 탄도로케트시험발사를 단행할것이라고 하시면서 해당 부문에서는 이를 위한 사전준비를 빈틈없이 할데 대하여 지시하시였다.

    数日前、短距離ミサイル発射実験に立ち合った際の予告の一部を実施した形であるが、逆に言うと、これまでの北朝鮮のミサイルの弾頭部分の耐熱構造の実用性が実証されていなかったということになる。今回の実験で、それが「信頼性が確固」たるものになったとすれば、それは北朝鮮のミサイル開発の前進ということになるのだが、だとすると、これまで発射ししていたのは、攻撃能力のない単なるロケットということになってしまう。

    それを示すかのように、「元帥様」の「直接的な指導を受けながら、過去数年間、苦労しながら行ってきた我々の国防科学者、技術者達は、自体の力と技術でロケット製作に使われる熱保護材料を研究開発し、国産化することに成功した」と書かれている。ただし、「国産化」としているで、輸入した材料を使用していた可能性はある。
    경애하는 김정은동지의 직접적인 지도를 받으며 지난 수년간 고심어린 연구사업을 해온 우리의 국방과학자,기술자들은 자체의 힘과 기술로 로케트제작에 쓰이는 열보호재료들을 연구개발하고 국산화하는데 성공하였다.

    今回の実験報道は、安保理制裁決議2270と米韓合同軍事演習に対抗するという挑発的な意味合いと、「太陽節」のちょうど1ヶ月前に出されているという点からは、「首領様」への忠誠心を表明する象徴的な実験「成功」ということにもなる。

    「核弾頭爆発実験」なるものが核実験なのかどうか、また「弾道ロケット発射実験」なるものが「光明星-4号」のような長距離ロケットの発射を意味しているのかは現時点では不明であるが、推測では、短距離ミサイルに核弾頭の起爆装置まで装着して「再突入と起爆に成功」という実験を「太陽節」の盛り上げのために実施するのではないかと思う。

    <追記>
    『労働新聞』で写真が公開された。

    テーブルの上には、実験後の弾頭が置かれている。弾頭上部には、木型が置かれているが、これは、熱により弾頭の形状が変わらなかったことを証明するために使われたと思われる。背景に置かれたテレビには、弾頭部分の構造図が写っている。また、赤いスローガンボードには、「敬愛する最高司令官同志の主体104(2015)12月26日のお言葉を無条件、徹底して貫徹しよう」と書かれている。『労働新聞』の過去記事から「12月26日のお言葉」を探してみたが、見つけることができなかった。もしかすると、この実験施設を非公開で「現地指導」した「元帥様」が弾頭の耐熱化に関する「お言葉」を発したのかもしれない。そうなると、弾頭部分を準備した上で水素弾の実験を行い、ロケットも発射したというフルセットの核ミサイル計画推進という構図になる。
    2016-3-15-1-08.jpg
    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 조선인민군 전략군의 탄도로케트발사훈련을 보시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-15-0001_photo

    耐熱試験の様子。
    2016-3-15-1-04.jpg
    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 조선인민군 전략군의 탄도로케트발사훈련을 보시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-15-0001_photo

    2016-3-15-1-03.jpg
    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 조선인민군 전략군의 탄도로케트발사훈련을 보시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-15-0001_photo

    2016-3-15-1-05.jpg
    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 조선인민군 전략군의 탄도로케트발사훈련을 보시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-15-0001_photo

    火炎放射後の弾頭部分。ペイントは燃え尽きているが、変形していない。
    2016-3-15-1-09.jpg
    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 조선인민군 전략군의 탄도로케트발사훈련을 보시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-15-0001_photo

    変形を確認するために木型を当てている。
    2016-3-15-1-06.jpg
    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 조선인민군 전략군의 탄도로케트발사훈련을 보시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-15-0001_photo

    北朝鮮の貨物船等の動き: 山東省竜口港や大連港と南浦間を多数航行 (2016年3月15日)

    14日午後から15日にかけ、VesselFinder.com で北朝鮮の船の動きを追いかけている。

    他の船舶航行追尾サイトまでは確認していないが、北朝鮮に限らず、AISのデータはある地点になると消えている。特に、港から離れるとAISデータがなくなってしまうことが多い。日本の周辺海域を行き来する日本船籍の貨物船のAISデータを見ても、陸上を航行しているように現れる。

    20160315jpnonlandship232323.jpg
    Source: VesselFinder.com

    こうなってしまうのは、上の地図で赤点(3月11日0934UTC)と青点(3月11日1354UTC)間でAISのデータが受信できていないからである。IMO規則や日本の関連法規を見ると、AISは緊急避難的な状況を除いては常に使用しなければならないとなっているので、日本の領海を航行する日本船籍の貨物船が敢えてオフにすることはないと思う。となると、この2点間ではAISの受信ができていなかったのだと思う。AISを利用した追尾サイトは、アマチュア有志が受信してデータサーバーに提供するデータを使って運用されているようなので、上の地図で行くと紀伊半島南西部にはそうしたデータの提供者がいないのか、いても船が岸から離れたところを航行するので、受信が不可能になっているのではないかと思われる。

    長々と書いたが、言いたいことは、北朝鮮の船のAISが見えないのは、必ずしも同国の船が姿をくらますためにAISをオフにしているということではなさそうだということが分かったからである。

    タイトルにも書いたように、山東省流行港や大連港付近、つまりAISの受信が可能な位置にいる北朝鮮の船は案外たくさん出てくる。昨夜(日本時間16日0時過ぎ)も竜頭港を出て黄海を東に向かって航行する2隻の北朝鮮貨物船をトラッキングしていたのだが、大連沖ぐらいにいるときはきちんと動きが確認できた。しかし、今朝見たところ、これらのHWA SONG号のAISデータは、日本時間16日午前2時32分を最後に出てこない。恐らく、ここがAISを受信できる最終ポイントであったのだろう。ちなみにこのHWA SONG号は、予定では14日の20時に南浦に入港することになっているので、半日から1日遅れで航行している。これが、中国当局による貨物検査の厳格化の影響かどうかは不明である。

    20150315hwasong332.jpg
    Source: VesselFinder.com

    HWA SONG号は、1982年、日本のTaihei Kogyo(太平工業株式会社)で製造された4113総トン船で、北朝鮮のHWASONG SHIPPING CO LTDという会社が所有・運航している。

    ちょっと検索しただけでも、中朝間を往来船はかなり見つかるので、資産凍結対象となった船以外を使っての中朝貿易は、安保理決議2270の大きな影響を受けることなく、続けられているのではないかと思われる。

    決議前、決議後という比較ができればよいのだが、それにはさらなるデータが必要となってくる。VesselFinder.comから入手は可能なようであるが、そこまではまだやっていない。
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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