25日、「朝鮮中央通信」に以下のように大変長いタイトルの「元帥様」に関する報道が掲載された。
「英雄的朝鮮人民軍は、我々の最高尊厳に対する身震いするような挑発妄動を行った朴槿恵逆像一味の巣窟から焦土化し、南半部を解放する! 敬愛する金正恩同志が青瓦台とソウル市内の反動統治機関を撃滅掃討するための朝鮮人民軍前戦大連合部隊長距離砲兵大集中火力打撃演習を指導された」
영웅적 조선인민군은 우리의 최고존엄에 대한 치떨리는 도발망동을 부린 박근혜역적패당의 소굴부터 초토화해버리고 남반부를 해방할것이다!
경애하는 김정은동지께서 청와대와 서울시안의 반동통치기관들을 격멸소탕하기 위한 조선인민군 전선대련합부대 장거리포병대집중화력타격연습을 지도하시였다
訓練には、「朝鮮人民軍総政治局長である朝鮮人民軍次帥黄炳瑞同志、朝鮮人民軍総参謀長李ミョンス大将、人民武力部長朴ヨンシク大将、朝鮮人民軍総政治局組織部局長チョ・ナムジン中将、朝鮮人民軍保衛局長チョ・キョンチョル大将、朝鮮人民軍砲兵局長尹ヨンシク中将」の他に「人民軍等委員会執行委員、総政治局、人民武力部、総参謀部指揮官、軍種司令官と政治委員、軍団長と政治委員、砲兵部隊部隊長と政治委員、各級軍事学校教員、朝鮮労働党中央委員会幹部」が演習を参観した。
경애하는 김정은동지를 조선인민군 총정치국장인 조선인민군 차수 황병서동지와 조선인민군 총참모장 리명수대장,인민무력부장 박영식대장,조선인민군 총정치국 조직부국장 조남진중장,조선인민군 보위국장 조경철대장,조선인민군 포병국장 윤영식중장이 맞이하였다.
인민군당위원회 집행위원들,총정치국,인민무력부,총참모부 지휘성원들,군종사령관들과 정치위원들,군단장들과 정치위원들,포병부대 부대장들과 정치위원들,각급 군사학교 교원들,조선로동당 중앙위원회 일군들이 연습을 참관하였다.
まだ写真が出てきていないが、これだけ多くの人々に参観させる演習はあまりない。軍事演習というよりも、閲兵式の性格を帯びていると言った方が良いのかもしれない。一通りの高級軍幹部とそれ以下の組織の長と「政治委員」、さらには軍事学校の教員を参加させているところなど、「元帥様」を迎えて思想・精神的引き締めをし、長距離砲を発射して信念を磨くということなのであろう。
もちろん、この演習の直接的なきっかけは「3月21日、数多くの戦闘機と特殊作戦兵力を動員し、我々の最高首脳部の執務室を破壊するための天下無道な『精密打撃訓練』まで行った」ことにある。
날강도 미제와 박근혜역도는 침략적인 《키 리졸브》,《독수리 16》합동군사연습을 벌려놓고 히스테리적광기를 부리다못해 지난 3월 21일 수많은 전투기들과 특수작전병력을 동원하여 감히 우리 최고수뇌부의 집무실을 파괴하기 위한 천하무도한 《정밀타격훈련》까지 감행하였다.
そして、そうしたことを行った「朴槿恵委逆賊一味の本拠地であるソウル市を火の海にするための前戦大連合部隊長距離砲大集中火力打撃を加え、我々千万軍民の恐ろしい憤怒熱気を見せつけ、一つの空の下で生きていられない米帝と傀儡逆賊一味に最も残酷な滅亡をもたらす白頭山銃隊の威力を再び満天の下に誇示することを目的」とするとしている。
사상최대규모로 조직된 장거리포병대집중화력타격연습은 무엄하게도 우리 혁명의 최고수뇌부와 당중앙위원회 집무실을 노리고 《정밀타격훈련》을 공개적으로 감행한 박근혜역적패당의 본거지인 서울시를 불바다로 만들기 위한 전선대련합부대 장거리포병대집중화력타격을 진행하여 우리 천만군민의 무서운 보복열기를 보여주고 한하늘을 이고 살수 없는 미제와 괴뢰역적패당에게 가장 참혹한 멸망을 안기려는 백두산총대의 위력을 다시한번 만천하에 과시하는데 목적을 두었다.
今回は、砲撃であるが、それだけではなく「我々には偉大な党の領導の下、自力自強の力で作りだした世界が未だに知らない最強の打撃手段があり、空と陸地、海上と水中から侵略の本拠地を生存不能に破壊、壊滅させることができる全ての準備が整っている」としている。
우리에게는 위대한 당의 령도밑에 자력자강의 힘으로 마련해놓은 세계가 아직 다 알수 없고 알지도 못하는 최강의 타격수단들이 있으며 하늘과 땅,해상과 수중에서 침략의 본거지들을 생존불가능하게 들부시고 괴멸시킬수 있는 모든 준비가 되여있다.
空は核ミサイル、陸地はたくさんありすぎるが「世界が未だに知らない」兵器は何だろうか、海上は対艦ミサイル、水中はSLBMということなのだろう。
写真がまだないが、「元帥様」が訓練開始命令をした「瞬間、天地を震撼させながら怒号する砲声と共に、大気を切り裂きながら稲妻のように飛んでいく砲弾が青瓦台とソウル市内の傀儡反動統治機関を仮想した目標を集中的に猛烈に打撃した」としており、韓米が「精密打撃作戦」で「斬首」をするならば、北朝鮮も「精密打撃作戦」で「打撃」するという話なのであろう。「精密」作戦であれば、ソウルは「解放」こそされれど「火の海」にはならないはずであるが、「ソウルは火の海」という枕詞はこういう話の中では必要不可欠なのであろう。
순간 천지를 진감하며 노호하는 포성과 함께 대기를 헤가르며 번개같이 날으는 포탄들이 청와대와 서울시안의 괴뢰반동통치기관들을 가상한 목표들을 집중적으로 맹렬히 타격하였다.
ただし、明日にでも戦争を始めるということではなく、「朴槿恵一味が空言を言わない英雄的朝鮮人民軍の繰り返される警告を無視し、我々の革命の最高首脳部に対する挑発妄動を続けるならば、不敗の白頭山革命強軍は、どこであるかにかかわらず、警告や事前通告なく、より確実で、より徹底した懲罰の先制打撃を開始し、我々の打撃は、一旦始まれば、祖国統一の歴史的偉業を完遂するまで、この地から侵略と悪の根源を完全に清算するときまで中断されることなく続けられる」としている。
박근혜패당이 빈말을 모르는 영웅적조선인민군의 거듭되는 경고를 무시하고 우리 혁명의 최고수뇌부에 대한 도발망동을 벌린다면 불패의 백두산혁명강군은 그 어디에도 구속됨이 없이,그 무슨 경고나 사전통고없이 보다 더 확실하고 보다 더 처절한 징벌의 선제타격을 개시할것이며 우리의 타격은 일단 시작되면 조국통일의 력사적위업을 완수할 때까지,이 땅에서 침략과 악의 근원이 완전히 청산될 때까지 중단없이 벌어지게 될것이다.
戦争が始まれば「祖国統一の歴史的偉業」は、「ソウルを火の海にされた南朝鮮と米帝」によって「完遂」されるはずなので、「最高司令部を決死擁護」するためには、戦争をするという選択肢はあり得ない。そんなことをすれば、せっかくの核・ミサイルという「抑止力」が無用の長物と化してしまうので、お祖父さんの間違いは繰り返さないと思うが、韓米も敢えて北朝鮮を挑発することで何をしたいのかよく分からない。北朝鮮が核ミサイル実験をやった報復なら、いつものようにF-22に護衛されたB-1に38度線付近を飛行させれば十分だと思うのだが。
<追記>
上記と関連し、24日の米国務省定例記者会見での米国務省報道官の発言。
北朝鮮が固体燃料エンジンの実験をしたことについて質問され、「我々は北朝鮮に対して言葉や行動で地域の緊張を高めることはしないよう求める」としている。「斬首」だの「毛抜き」だの「精密」だのという、明らかに緊張を高めるような軍事演習を「公然と(朝鮮中央通信)」やっておきながら、北朝鮮に対してだけ「言葉や行動で地域の緊張を高めるな」というのは勝手すぎる。背景に安保理決議2270を受け入れようとしない北朝鮮があることを理由に挙げているが、それを理由に「地域の緊張を高める」合理性は何もない。
U.S. Department of State, Daily Press Briefing, http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2016/03/255119.htm#NORTHKOREA
北朝鮮が「革命の首脳部」をどのように扱っているのかを十分に知った上で、敢えてそうした挑発をしているのは明らかで、「斬首」されることが確実になれば、彼らは「ソウルを火の海」にして自滅するという行動に出ることは間違いない。その意味では大変危ない橋を渡っているわけで、市ヶ谷にPAC-3を並べただけの日本も無事ではいられない。玄海や島根原発はどうやって守るつもりなのか。
一方では、別記事で「定点観測」しているように、中朝間では石炭を積んでいる思われる北朝鮮の貨物船や石油を運ぶ能力がある船舶が行き交っている。
とにかく、北朝鮮と共存していく道を考えない限り、北朝鮮はどんどん核・ミサイルを開発していく。経済も緩慢ではあるが、成長している。このような状況は、安保理決議で一夜にして変わるものではない。
<追記2>
『労働新聞』に写真が公開されていた。
やはり、閲兵式の様相が強い。「元帥様」のSクラスには、「共和国旗」と「労働党旗」が付いている。「最高司令官旗」はない。

Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-25-0001_photo
手前のGクラスには、「最高司令官旗」が付いているのかもしれないが、確認できない。

Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-25-0001_photo

Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-25-0001_photo
「青瓦台は灰と化し、ソウルは火の海」

Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-25-0001_photo
この島が仮想青瓦台

Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-25-0001_photo
<追記3>
訓練の場所が特定できた。なんと、カルマ空港横のビーチ。
「元帥様」のSクラスの背後にある白い建物はこれ。ホテルだろうか。

Source: Google Earh
下の写真のドームのような建物は、

Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2016-03-25-0001_photo
これ

Source: Google Earth
全体の位置関係

Source: Google Earth
仮想「青瓦台」の島。普段も訓練に使われているようで、砲弾の跡が痛々しい。ドーム前の海岸から島までは約3km。3kmというのは、通常命中する距離なのかは不明(詳しい方、ご教授願いたい)。軍事境界線ギリギリから発射しても青瓦台はもっと遠い。やはり、実戦訓練というよりもデモンストレーション要素が強いのであろう。

Source: Google Earth