8日、「朝鮮中央TV」で放送された特集番組で、「全国情報化展覧会 2018」の様子が紹介された。同展来会には、各道、政府機関、企業、研究所などからの出品があり、興味深い出品も含まれている。
YouTube動画で紹介しても良いのだが、ナレーションではさほどおもしろいことを言っていないので、この記事では画面を細かく見ていくことにする。

Source: KCTV, 2018/11/08
一番最初に出てくるのが、「万物商」の画面。「電子商店」と画面上にあるので、北朝鮮版オンラインショッピングのようだが、詳細は紹介されていない。

Source: KCTV, 2018/11/08
液晶テレビの紹介のようだ。残念ながら、画面の詳細は確認できない。

Source: KCTV, 2018/11/08
「全国情報化展覧会」について説明する「国家情報化局局長 李ミョンチョル」。背景には北朝鮮版OS「赤い星4.0」を販売する「赤い星技術交流社」の看板が見える。

Source: KCTV, 2018/11/08
「鉄道省」が出品した、列車運行管理システム。
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使命
全地球位置測定衛星(GNSS)と地位r情報システム(GIS)、無線通信を利用し、列車の運行情報を実時間的に掌握し、指令指揮の科学化と列車運行の安全性を保障するための情報システムである。
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Source: KCTV, 2018/11/08
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技術的特性
・5m以下の正確度で列車位置を測定
・433MHzの極超短波無線通信
・3世代移動通信網を利用した実時間情報伝送システム
科学的効果性
現存の輸送能力を1.5倍に増やす

Source: KCTV, 2018/11/08
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GPSから取得した位置データを基に速度データなどを3Gネットワークで周囲の列車や指令所に伝送し、必要に応じて433MHzで音声通信するシステムのようだ。それにしても、日本ではアマチュア無線通信の呼び出し周波数として使われている433MHzを敢えて設定しているところが興味深い。日本のアマチュア無線機を流用しているのであろうか。アンテナ接続のためのコネクター(BNC?)が3つあるので、それぞれGPSアンテナ、3G通信アンテナ、433MHz音声通信アンテナに割り当てられているのであろう。
また、「区間解決方案」という白い背景の図には、「警戒距離1.6km」と書かれており、この距離より接近した場合に433MHzの音声通信で前を走る列車に接近を知らせるというシステムなのであろう。そして、「輸送能力1.5倍」の根拠であるが、このシステムを導入すれば列車間の距離を縮められるからということなのかもしれない。日本の通勤時間帯の神業的な列車運行が必要になる日がいつか北朝鮮にも来るのだろうか。
「鉄道省」の出品として出された「保安USB記憶機」。機能に関しては読み取ることができない。

Source: KCTV, 2018/11/08
「平壌第1百貨店の情報研究室長、ソン・チュンシル」が、同百貨店に導入された「統合サービスシステム」について説明している。「商業・給養」とも書かれているので、販売部門や食堂で使われているシステムのようだ。このシステムには、オンラインショッピング機能は含まれていないようだ。

Source: KCTV, 2018/11/08
「巨大資料処理技術とその応用」と書かれた、メガデータ処理システムに関する展示。

Source: KCTV, 2018/11/08
ネットテレビ「マンバン」コーナー

Source: KCTV, 2018/11/08
「マンバン情報技術普及所」

Source: KCTV, 2018/11/08
「マンバン」で視聴できるテレビ局として、「朝鮮中央TV」、「万寿台TV」、「龍南山TV」、「社会文化TV」、「体育TV」が出ている。「社会文化TV」とはどのような内容の番組を放送しているのだろうか。

Source: KCTV, 2018/11/08
IPTVは、これまで「マンバン」という専用端末を使って視聴するシステムであったが、スマホやパッドのアプリを使っても視聴できるようになったと説明する「マンバン情報技術普及所」の説明員。

Source: KCTV, 2018/11/08
新型の「画面歌伴奏機」(カラオケマシン)も登場した。「新たな音声変換技術」を利用し、「歌詞から曲目検索」、「お気に入り曲登録」ができるようになったという。IPTV+カラオケマシンなら最強であるが、その点はよく分からない。以前、私がYouTubeにアップロードした北朝鮮カラオケシリーズは、「マンバン」システムの楽曲も含まれている。USBメモリらしきものを抜き差ししているので、ネット以外にもUSBメモリに保存されているカラオケ曲も再生できるということなのかもしれない。背面にある3.5ミリミニプラグのジャックは「マンバン」にはないので、ここにマイクを2本つなげるようになっているのであろう。また、「マンバン」にはあるアナログ音声・画像出力用のRCAジャックはなくなり、HDMIだけになっている。一方で、Wifi用のアンテナがなくなっている。内装型にしたのか、Wifi機能はなくしたのかもしれない。

Source: KCTV, 2018/11/08
カラオケの「曲目集」。

Source: KCTV, 2018/11/08
北朝鮮で人気がある「知能型手電話機」(スマホ)、「アリラン171」を製造する「アリラン情報技術交流社」のブース。

Source: KCTV, 2018/11/08
ホーム画面か。「ファイル管理」、「画像資料」、「音楽」、「写真機」などのボタンが見える。

Source: KCTV, 2018/11/08
アプリ。「全てのプログラム」の書かれ、以下に上段左から「事典及び図書」、「娯楽」(名前順に3つ)、2段目「攻勢」(webサイトと思われる)、「未来(未来公衆無線資料・・・)」、「アリラン電子商店1.0」、「記録」、3段目「記憶機整理」、「私の同行者4.2」(地図アプリ)、「天気2.0」、「ダウンロード」、4段目「?書」(読めない)、「録音機」、「電話帳」、「ビデオ再生機」、5段目「事務処理」、「写真機」、「写真編集機」、「設定」となっている。

上部を見るとBluetooth機能もある。Wifiに接続されている。モバイルネットワークには接続されていないので、公衆Wifiネットワークの電波を拾っているのであろう。少し前の記事でワイアレス・パッドを紹介したが、やはりLTEでははく、Wifi公衆ネットワークの設置が進んでいるということのようだ。
「未来」アプリをタッチすると下のような画面が出る。「公衆無線資料通信網、未来、平壌情報技術局、(著作権関係の表記)」となっている。

Source: KCTV, 2018/11/08
どうやら、公衆Wifiで接続できるのは、ネットワーク一般ではなく、この「未来」システムにある資料の閲覧やダウンロードに限られているようだ。
しかし、2ページ目は次のような画面になっている。「『未来』公衆無線資料通信網は、Wifi技術による我々式の無線資料通信サービスです。『未来』公衆無線資料通信網に加入した使用者であれば、『未来』公衆無線通信網地域のネットがある場所で、任意の時刻に『攻勢』XXX通信科学技術殿堂・・・(判読困難)」。右のボタンは「加入」と書かれており、ログオンを示すのか、加入申し込みをするのかは不明。北朝鮮のサイトに書かれている「加入」は、ログオンだったような記憶がある。それだからか、一番下の緑色のラインには、左に「登録」、右に「Wifi」と書かれている。恐らく「登録」が「未来」システムへの登録用のボタンであろう。だとうすると、「Wifi」は何であろうか。もしかすると、Wifiをクリックすると『未来』システムに接続されることなく、Wifiが利用できるようになっているのかもしれない。だとすると、上に書いたことは間違いということになり、スマホに設定されている様々なネットアプリがWifiを通じて使えるという話になる。

Source: KCTV, 2018/11/08
ページをめくると「主要ホームページ」というページになり、上から「攻勢」、「朝鮮中央通信」、「科学技術殿堂」、「私の同行者」、「熱風」などのリンクが出てくる。

Source: KCTV, 2018/11/08
「朝鮮中央通信」をクリックすると、「朝鮮中央通信」のサイトへと飛ぶ。これまで、北朝鮮国内では「朝鮮中央通信」は見ることができないと思っていたが、どうやらそうではなさそうだ。部分的にしか見えないが、ページのデザインは基本的に変わらないようである。ただし、北朝鮮国内の同通信のサイトでは写真の配信はしていないような感じがする。例えば、「元帥様」が労働党創建73周年に際して錦繍山太陽宮殿を参拝したという記事についてみると、海外向けサイトでは写真を配信しているが、スマホに表示されている同じ記事(73という数字に注目)には、写真を示すカメラマークが見られない。「最高尊厳」の写真は、ネット配信しないようにしているのかもしれない。

Source: KCTV, 2018/11/08
さらに凄いのが、「アリラン171」は、非接触充電を採用してるようだ。これは、充電器だと思われるが、電磁誘導をするためのコイルのようなものが見られる。「アリラン171」はこの装置に乗っていた。

Source: KCTV, 2018/11/08
「アリラン171」を見る女性達。盗難防止なのか、紐が付いている。「アリラン171」には、指紋認識機能もあるとのことだ。

Source: KCTV, 2018/11/08
コンピューターも数種類見せている。これは、デスクトップ。

Source: KCTV, 2018/11/08
黒いのが「卓上型コンピューター core5」、銀色のが「携帯用コンピュータ」。画面サイズで区分しているようだ。

Source: KCTV, 2018/11/08
「電子黒板」を紹介する女性。

Source: KCTV, 2018/11/08
「中央情報化研究所」のブース。「ネナラ(我が国)」のロゴがあるが、同名のwebサイトとの関係は不明。

Source: KCTV, 2018/11/08