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    「17時報道:大同江ビール-東北アジアで最高 米国放送が紹介」 (2013年9月25日 「朝鮮中央TV」)

    「最高尊厳中傷」問題による金剛山南北離散家族再会延期問題、それにもかかわらず順調に進展する開城工団の操業再開に向けた動きなど、書くべきことはたくさんあるのだが、今日「朝鮮中央TV」の「17時報道」を見ていたらおもしろい報道があった。

    以前、紹介した若いアナウンサーは「米国のVOA放送が19日、我が国で生産される大同江ビールを紹介しました」とこのニュースを切り出した。

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    Source: KCTV, 2013/9/25放送

    以下、アナウンサーの言葉を訳出しておく。もしかすると、「朝鮮中央通信」など他のメディアでも紹介されているのかも知れないが、ざっと見たところではないようだ。今、「20時報道」が終わったところだが、こちらではこの報道はなかった。

    「VOA放送は、次のように伝えました。朝鮮で生産される大同江ビールが、東北アジアで生産されるどのビールよりも美味しいと好評です。一部の西側メディアも大同江ビールの味を高く評価しました。英国の雑誌『エコノミスト』は、大同江ビールがとても美味しいと伝え、『ロイター通信』も朝鮮で生産されるビールが南朝鮮の遙かに優秀であると人々が評価していると評価しました。平壌を訪問した米国のあるビール愛好家は、東北アジアで大量に流通するビールの中で大同江ビールが最高だと述べました。彼は、アジア各国で最もよく売れているビールの味を比べると、大同江ビールの味には全然及ばないと述べ、大同江ビールの味が最も良いと強調した。彼は、多様なビールを飲んでみたが、大同江ビールを続けて飲み続けたいと述べつつ、米国人も朝鮮の大同江ビールの味を好むであろうし、とても人気が出るだろうと語りました。」

    裏を取るために、VOAサイトを検索していたら、「米ビール愛好家”東アジアで北朝鮮ビールの味が最高”」という9月19日付けの韓国語の記事を見つけた。

    Voice of America, 「미 맥주애호가 "동북아에서 북한 맥주 맛이 최고"」 、http://www.voakorea.com/content/article/1752441.html

    同記事には「北朝鮮産”大同江ビール”が東北アジアで大量生産されるいかなるビールよりも味が良いと米国のビール愛好家が評価した」と「17時報道」と同じ内容が書かれている。記事は冒頭でuriminzokkiriが大同江ビールを紹介する「紹介編集物」と取り上げているので、これをまず紹介しておく。

    この記事ではuriminzokkiriがYouTubeにアップロードした「動画」を引用しながら、大同江ビールを紹介しているが、2013年7月30日にアップロードされたこの動画はまだYouTubeで視聴することができる。

    YouTube, 「소개편집물] 소문난 청량음료 대동강맥주 」、http://www.youtube.com/watch?v=Rnj7kawLQ4o

    「噂になった清涼飲料、大同江ビール」
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    Source: YouTube, http://www.youtube.com/watch?v=Rnj7kawLQ4o

    「ソフトでマイルドな薫り高い味で我々人民の中で人気が高く蒸し暑い夏はもちろん、四季を問わず誰もが好む大衆飲料、大同江ビール」
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    Source: YouTube, http://www.youtube.com/watch?v=Rnj7kawLQ4o

    「環境汚染が全くない大同構築の無公害地下水とベッコルの水に恵まれた穀倉地帯チェリョンの豊かな土地に根を下ろして育った芳醇な麦と白米」
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    Source: YouTube, http://www.youtube.com/watch?v=Rnj7kawLQ4o

    「天の山地、両江道のホップを主原料としており、その味が格別で独特な大同江ビールは、平壌市と地方の奉仕網(サービスネットワーク)で我々の勤労者にいつも選ぶ飲料中の飲料になっています」
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    Source: YouTube, http://www.youtube.com/watch?v=Rnj7kawLQ4o

    「年間5万キロリットルの生産能力を持つ大同江ビール工場は、ビール酵母生産から製品包装に至るまで現代的な生産設備を備えています」
    소개편집물] 소문난 청량음료 대동강맥주flv_000054821
    Source: YouTube, http://www.youtube.com/watch?v=Rnj7kawLQ4o

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    Source: YouTube, http://www.youtube.com/watch?v=Rnj7kawLQ4o

    「大同江ビール工場で独自生産されるデサート濾過材とホップの実は、その質と量において、国内の需要を充足しても余るほどです」
    소개편집물] 소문난 청량음료 대동강맥주flv_000080213
    Source: YouTube, http://www.youtube.com/watch?v=Rnj7kawLQ4o

    「大同江ビールは製品の品質と衛生管理を徹底して保証することで、国内はもちろん、外国でも大変好評です」、字幕は「先端技術を導入した、白米ビール」
    소개편집물] 소문난 청량음료 대동강맥주flv_000098498
    Source: YouTube, http://www.youtube.com/watch?v=Rnj7kawLQ4o

    字幕:「発酵度が高く、マイルドで、純で」
    소개편집물] 소문난 청량음료 대동강맥주flv_000103904
    Source: YouTube, http://www.youtube.com/watch?v=Rnj7kawLQ4o

    「大同江ビールは最新のビール製造技術と品質管理技術を積極的に活用することで、2005年に国内で品質が優秀なビールとして認定されました」
    소개편집물] 소문난 청량음료 대동강맥주flv_000113413
    Source: YouTube, http://www.youtube.com/watch?v=Rnj7kawLQ4o

    「2008年には品質管理大系認証を、2010年には食品安全管理体系認証を受けました」
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    Source: YouTube, http://www.youtube.com/watch?v=Rnj7kawLQ4o

    「大同江ビール工場では、科学的で先進的な経営管理方法により、先端技術を積極的に開発・導入することで、広範な消費者の要求(ニーズ)に十分に応えることができ、人々の健康増進に寄与する新しい種類のビールをさらに多く開発することを目標としています」

    소개편집물] 소문난 청량음료 대동강맥주flv_000122823
    Source: YouTube, http://www.youtube.com/watch?v=Rnj7kawLQ4o

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    Source: YouTube, http://www.youtube.com/watch?v=Rnj7kawLQ4o

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    Source: YouTube, http://www.youtube.com/watch?v=Rnj7kawLQ4o

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    Source: YouTube, http://www.youtube.com/watch?v=Rnj7kawLQ4o

    「人民生活向上を最大の目標としている党の恩情の中で、人民に親しまれる大同江ビールの独特な味はこれからも改善され、我々人民の生活は日々、さらに潤沢になっていくでしょう」

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    Source: YouTube, http://www.youtube.com/watch?v=Rnj7kawLQ4o

    と、ここまでがuriminzokkiriが作成した「紹介編集物」である。「朝鮮中央TV」の番組ではないことに注意していただきたい。何かの本で読んだのだが、かつて「朝鮮中央TV」が大同江ビールのCMを放送し、金正日さんに「資本主義的だ」と叱られて中止したことがあるそうだが、真偽のほどは分からない。過去記事にも書いたと思うが、社会主義経済体系の下、「奉仕施設」(販売拠点)と製造工場は結びつけられており、どこの「奉仕施設」でも大同江ビールが飲めるとは限らないようだ。平壌空港での待ち時間をレストランで案内員ドンムたちと潰した。大同江ビールを注文しようとしたのだが、「この単位(事業所)には入ってきていない」ということで平壌ビールを飲んだ記憶がある。

    下にあるように、大型トラックでビールを運び出すシーンでこの番組は終わるのだが、平壌空港ですらそういうことなので、地方には供給されていないのかもしれない。それにしても、「外国でも好評」といっているが、どこの話であろうか。可能性としては中国であるが、北朝鮮国境の丹東や図們の北朝鮮レストランでも出てこなかった記憶がある。また、今年の夏、延吉の北朝鮮レストランで北朝鮮ビールを注文したら、「焼酎ならありますけど」といわれた。北朝鮮タバコ(本物か偽物かは分からないが)は中国東北地方では流通しており、今年の夏も長白山(白頭山)の帰りにトイレ休憩をした土産物屋に置いてあった。私は非喫煙者だし、北朝鮮物資は何でもかんでも輸入禁止なので中身入りは持ち帰らなかったが、店の人が吸った空箱があったので記念にもらってきた。厳密には北朝鮮産の紙も輸入禁止ということになるのかもしれないが、そうなると北朝鮮から手紙も受け取れなくなる。しかし、それが実はmade in Chinaの偽物であったとすると、今度は(北朝鮮の)商標権を侵害するということで輸入禁止になるのかも知れないし・・・よく分からない。

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    Source: YouTube, http://www.youtube.com/watch?v=Rnj7kawLQ4o

    話が大幅にそれてしまったが、VOAのニュースに話を戻すことにする。同ニュースによると、北朝鮮の報道通り英国の『エコノミスト』誌は「昨年末、大同江ビールが期待以上に味が良く、韓国のビールよりも美味しいと評価」し、『ロイター通信』は「2008年、北朝鮮のビールは韓国のビールよりも味が遙かに優秀と批評家が評価」していると伝えている。

    さらに「3月30日から8日間、平壌のビール醸造所を訪問した米国人のビール愛好家であるジョシ・トーマスも、東北アジアで大量に流通しているビールの中で大同江ビールが最高と語った」としている。彼はインタビューで「東北アジアのそれぞれの国で最大のビール」としながら、韓国のOBや日本のアサヒ、中国の青島と比較している。

    トーマスさんは「韓国、日本、中国の小規模ビール醸造所の中には、北朝鮮よりも遙かに素晴らしい味を出しているところもあるが、大量生産においては大同江ビールが最も良い」と述べ、大同江ビールを「高級な手作りハンバーガー」、その他のアジア諸国のビールを「マクドナルドのハンバーガー」に例えている。

    そして、大同江ビールが美味しい要因を「東北アジアで大量に流通しているビールには米やトウモロコシなど、副原料をたくさん入れるので味がライトになるが、大同江ビールは副原料をたくさん混ぜないので味が遙かに濃厚になる」と分析している。

    また、トーマスさんは大同江ビールの製造方法について「スチーム・ビール製造方式を導入して、ラガーをエール方式で作」っているとし、「北朝鮮では冷蔵が容易ではないので、(冷蔵をしない方法で)偶然に美味しいビールができた」と
    語っている。

    トーマスさんによると、大同江ビール店、楽園百貨店、羊角島ホテルなどでは「米国式ラガー、スタウト、ペール・エール、レッド・エールなど、多様な種類のビールを提供」しているとのことである。

    トーマスさんは「羊角島ホテルで飲んだビールが最高」と述べる一方、「平壌のあるボーリング場で小規模生産しているビールは、醸造タンクがきちんと清掃されておらず、錆が多く出ていた」と指摘し、このタンクは「70年代に中国から寄付されたものであるが、維持管理がきちんとできていない」と述べた。

    北朝鮮産の葡萄酒や蛇酒、ブランデーは板門店の南側地域の売店で売っていたが、ビールはさすがになかった。

    「日本で続く放射能汚染被害」:「17時報道」で福島原発放射能漏れを報道 (2013年9月13日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」の「17時報道」が、その他の海外における交通事故や自然災害関係のニュースのトップで福島原発の放射能漏れ事故について報じた。関連報道は「朝鮮中央通信」でも配信されているが、『労働新聞』には掲載されていないようだ。

    「日本で、福島原子力発電所の事故による放射能汚染被害が続いており、深刻な問題として提起されています。最近、東京電力会社は、発電所原子力建物付近の観測用井戸水に放射性ストロンチウムが含まれていることが確認されたと明らかにした。また、発電所の2つのタンクの下の部分から多くの放射線量が検出されたとのことです。」

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    Source: KCTV, 2013/9/13放送

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    Source: KCTV, 2013/9/13放送

    「敬愛する金正恩元帥様が様々な部門の事業を現地で指導 2013.8」:完成した施設と10月10日(創党記念日)を目標とする施設、北朝鮮製スマホ工場 (2013年9月12日 「朝鮮中央TV」)

    金正恩さんが8月に経済関連部門などで行った現地指導の様子を伝える「記録映画」が11日に放送された。拙記事では、12日の再放送に基づいて紹介する。8月は、過去記事にも書いたとおりほとんど海外におり、北朝鮮関連のニュースを十分にフォローすることができなかった。なので、この「総集編」はとても私にとっては有用だ。

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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    銀河科学者住宅、17号棟1回1号と2号住居を視察する金正恩(8月6日)
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送


    上の写真で金正恩さんが視察した銀河科学者通り竣工式(9月12日)の様子を同日の「朝鮮中央TV」が伝えている。

    内閣総理・朴奉珠が「竣工辞」を読み上げている。「銀河科学者通り」は、金正恩の「直接的な発議と精力的な領導により」としており、金正日の「遺訓」とは無関係であることに注意する必要がある。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    竣工式に続いて、科学者たちが引っ越してくる様子を「朝鮮中央TV」は紹介している。トラックの隊列が映っているが、引っ越しの荷物を運ぶトラックであろう。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    入居を許可された家族に渡されると思われる「住宅用建物許可証」を見ている。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    科学者住宅を建設した人民軍軍人・李ミョンヒ。「敬愛する最高司令官は、私たちが建設したこの3号棟3年館(ニョングァン?)1階1号と2号を視察され」と言っている。しかし、8月6日の視察の様子を紹介する「記録映画」では「17号棟」ということになっている。同じ部屋であれば比較の対象になるのでおもしろいと思ったのだが、どうやら別の部屋のようだ。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    3号棟1階1号(あるいは2号)に入居することになった科学者の家族。お爺さんが科学者で、家族は教員だという。感涙を流しながらこの女性(教員)は「この良い家は科学者と教員が使って住まなければならないと(元帥様が)お話になったので、本当に泣きました」と語っている。日本でも大学などでは「科学者=教員」というケースが多いので、そういう意味なのであろう。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    入居する科学者のお爺さんが室内を紹介する。「ここが、共同生活部屋です」と言っている。「リビングルーム」を北朝鮮ではこう呼ぶのであろう。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    この「共同生活部屋」には「電気オンドル(電気式床暖房)」が設置してあるとスイッチの場所を指し示しながら説明する建設部隊の軍人。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    「調理室兼食事室です」と説明している。「ダイニングキッチン」ということであろう。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    この部屋のキッチンの構造は、8月6日に視察した17号棟と同じようだ。おばあさんは「こんな所まで心を配ってくださり」とおばあさんは感激している。収納庫の扉にはストッパー付きの高級なヒンジが使われているので驚いた。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    「ここが、夫婦部屋です。このベッドに元帥様がお座りになって遜色がないよう建設しなさいとお話しになった」と説明する人民軍建設部隊の軍人。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    この住居にはたくさんの部屋があり、それぞれの部屋にはドアーがある。科学者のお爺さんは「研究者が色々と構想するのに良い」と語っている。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    「孫娘の部屋です」とおばあさんが言っている。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    おばあさん(李ウンスク)とこの家に住めることになった孫娘(朴ウンジョン)。どうやら3世代でこの住居に住むことになったようだ。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    モデル住宅のようなものなのだろうが、良くできていることは間違いない。真ん中の柱に取り付けられている白い箱は有線放送用のスピーカーだろうか。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    「党のためにもっと一生懸命仕事をする」と語る科学者
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    再び「現地指導」の番組に戻るが、8月6日の工事進捗状況がこの程度だったとすると、やはり「馬息嶺速度」は恐ろしい。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    平壌体育館改築現場で電光パネルや照明施設について指導をする金正恩(8月6日)。照明は、用途に応じて二段階に調節できるようにしろなどと語った。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    ミルリム乗馬クラブの建設現場を指導する金正恩(8月9日)。「10月10日の創党記念日までに完成」と「乗馬クラブの運営対策」などの課業を与えた。「完成」については「馬息嶺速度」で何とかなりそうだが、「運営対策」はなかなか困難な課業になりそうだ。朝鮮人民が乗馬を楽しめるような場所になるのかどうか。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    あと1ヶ月でこの状況(8月9日)がどのように変貌するのだろうか。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    「ムンス水遊び場(ムンス・ウォーター・パーク)」を指導(8月9日)。「敬愛する元帥様の遠大なる構想によるムンス・ウォーター・パークは、四季を通じて使える大規模な世界的水準のウォーター・パーク」ということである。下は、完成予想図。凄い数のプールがある。「四季を通じて」と言っているので、室内温水プールも完備しているということであろう。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    「どんなことでもとっかかりは大変と感じるが、一旦仕事に取りかかると自負心と希望が涌いてくる」と言いながら現地指導をする金正恩。室内プールの「玄関ホール」には「将軍様の立像」を建てるように指示した。このウォーター・パークは「我が人民に総合的なウォーター・パークをお作りになろうとした父なる将軍様の遺訓を貫徹することになる」と金正恩は語っている。ウォーター・パーク構想は金正日によるもののようだ。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    「波動水槽(プール)」、「伝波水槽(プール)」、「水流波動式滑り台水槽(プール)」、「搬送列車式水滑り大水槽(プール」などについても、室内プールの屋上から指導した。蒸し暑いので上着のボタンを外している。こちらも「党創建記念日までに建設することが我々の決心」と10月10日までの完工を指示した。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    「5月11日(スマホ)工場」を現地指導した(8月12日)。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    「偉大な領導者金正日同志と敬愛する最高司令官金正恩同志が現地指導された5月11日工場 2011年7月28日」と書かれているが、金正恩が「(人民軍)最高司令官」に就任したのは金正日の死後である。最高司令官就任後に取り付けられた「標識碑」なのだろうか。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    スマホ工場の様子。少数の労働者がスマホの箱詰め作業をやっているように見える。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    アプリのチェックでもしているのであろうか。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    「現代的な携帯電話工程を新たに作り、携帯電話を大量に生産できる確固たる土台を作った」と金正恩が評価したとナレーションが入っている。このラインでは到底「大量生産」などできようもないが、試験生産を始めたという話であろうか。下の写真からは、液晶サイズは4インチ、カラーは黄色、黒、白、ピンクと4色あるようだ。箱にはタグが貼られており、いくつかのバーコードがある。右側の箱に入っているのは、カバーであろうか。もしカバーではないとすると、複数のタイプの「アリラン」が存在するということになる。左の「アリラン」にはカメラ用のレンズはないが、右側のものにくりぬかれた部分があり、ここにレンズがあるのかも知れない。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    スマホを持って「タッチパネルが鋭敏だと(の反応が良いと)、使用者にとって良い」と指示をする金正恩。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    金正恩さんは「携帯電話を我々の技術で作っているというのは、どれほどよいことか」と語った。これについて、韓国メディアは「何が『我々の技術』か、どうせ中国から部品をかき集めて作ったのだろう」と非難していたが、そうであったとしても携帯電話技術というのはそういうものである。韓国のSamsungがそれこそ「我々(韓国)の技術」ともいうべき新技術を投入したスマホを世界に送り出していることは周知の事実であるが、実は、これはどちらかというと例外的なことである。この「記録映画」で紹介された場面を見る限りでは、部品をかき集めて「組み立て」ているどころか、完成品を持って来て「アリラン」という商標を貼り付けて、アプリを設定、そして箱詰めしているだけにも見える。

    丸川知雄『現代中国の産業―勃興する中国企業の強さと脆さ』(中央公論社、2007年)には中国の携帯電話産業における「垂直分裂」の様相について詳しく書かれているが、現在も(スマホ生産においても)この状況が続いているのであれば、部品をかき集めて組み立てることには、それほど高度の技術力は必要としないので、商業レベルの北朝鮮の技術力でも十分に可能だと思う。私もDELLのスマホを落として液晶を破損したとき、液晶パーツを中国から輸入して自分で分解修理したことがある。その時に思ったことは、スマホも基本的にはパソコンと同じだなということである。丸山さんが上記の著書いているように、それぞれのコンポーネント(という用語を彼は用いていたか記憶曖昧ではあるが)には技術が凝縮されているが、適切なコンポーネントを選択して、組み合わせることは誰にでもできる。

    話がずれたが、8月13日には金日成総合大学の科学者住宅建設現場を金正恩さんは視察している。この住宅は、3棟の高層住宅のようだ。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    「建築工事が終わった建物を見上たが、素晴らしい」と語る金正恩。背景の看板には「サッ!空中監視」と書かれている。「頭上注意」という意味だろうか。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    2号棟3階1号室視察する金正恩。「廊下と寝室の間の廊下をアーチ型にして柱で装飾したのはとても良い」と語った。ローマかギリシャ風の柱が気に入ったようだ。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    「今後、教員や研究者の住宅をたくさん建設するのは党の意図」と語る金正恩。教育・科学重視の政策を前面に押し出した発言である。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    金正恩は、10月10日までに完成されろという指示しながら、「朝鮮人民軍267軍部隊が、党の意図を実践で支えていくと信じている」と語ったという。

    8月14日、ヨンガクサン・チームと普通江チームの男子サッカー試合を観戦する金正恩。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    金正恩は、「最近、体育熱気が高まり、全社会が煮えたぎっている」と語りながら、「サッカーをはじめとする体育を発展させるための具体的な課業を明らかにされた」とのことである。この時点で、ロッドマンと会うことになっていたのかは分からないが、バスケットボールの国際試合についての「課業」も張成沢・国家体育指導委員会委員長や体育相に出されたのかも知れない。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    8月17日、馬息嶺スキー場建設場を現地指導した。「前回、5月26日来たときと比べると馬息嶺地区が天地改変した」と語り、「奇跡を創造している建設者の努力的偉勲を高く評価」したという。建設については、工程の予定通りに進めるようにという指示だけをし、「創党記念日までに」という具体的な日にちは提示しなかった。この日までの建設が事実上不可能になったためだろうが、それが「軍人建設者」の能力のためなのか、予定していたリフトの輸入ができなかったからなのかは不明である。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    リフト用と思われる支柱はできているのだが。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    8月28日、第52回世界卓球選手権で優勝した選手たちと会った。優勝カップに書かれている文字を読む金正恩。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    「国家の体育を早い速度で世界的水準に引き上げる課業」を金正恩に与えられた幹部たち。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    新型のトラクターであろうか。番組の最後の方で登場する。
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    Source: KCTV, 2013/9/12放送

    「金第一書記の指示で放送の仕方変更」 (2013年9月11日 「JNN」)

    JNNの取材に「朝鮮中央TV」のアナウンサーが応じたという記事がYahooニュースに出ていた。

    JNN、「朝鮮中央テレビ、金第一書記の指示で放送の仕方変更」、http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20130911-00000059-jnn-int

    番組に登場するのは、去年からよく登場するようになった若い男女のアナウンサー2名である。

    1人目は金・ユンシムさん、29才(年齢と名前はJNN報道による)
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    Source: KCTV,2013/9/1放送(JNNの画像ではないが、インタビューも同じ服で応じている)

    男性の方はムン・ジニョクさん(同上、年齢不詳)
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    Source: KCTV,2013/9/1放送

    両名とも拙ブログを遡ってみると、昨年9月頃から「20時報道」に登場するようになったようだ。

    JNNのインタビューには字幕が付けられているが、細かいところまで翻訳すると以下のとおり。

    金・ユンシム放送員
    「私は、放送員(アナウンサー)になろうなんて考えられませんでした。私は、まさか、地方で平凡な生活を送っていたので、私はこんなに高く、私が願えないと思っていたのですが、偶然にも地方でも選抜され映画大学に推薦を受けて、映画大学ご存じですか?映画大学の放送科や俳優科で育成するじゃないですか。私はその俳優科を卒業しました。大学で勉強をしながら、映画撮影をしてみたり、こんな現実も見ながら、放送員になりたいという気持ちになりました。」
    「元帥様が2012年2月だったでしょうか、お言葉がありました。私たち放送員が堅苦しく(ではなく)、もう少し打ち解けてソフトにやることはできないのか。1号報道(金正恩関連報道)や公式文献、そういう文献報道あるじゃないですか、そういったものは公式的なものですから公式的にやるとしても、経済生活報道とか社会文化生活報道は、そのような側面で、もう少し生活的に親近感が涌くように、やることはできないのかと。だから私たちがそれを強く指向し、また形式においてもとか、言葉遣いで、生活的な言葉をより多く活用するようにし、とにかく堅い部分を解消する方向を意図しています。」

    ムン・ジニョク放送員
    「元帥様が放送話術で核心的な改変をもたらさなければならないと仰りました。我々人民と同じ水準で、どのようにすれば我々人民と生活的に我々放送員の言葉を通して上手く伝えることができるのか、そのように随分変わってきています。」

    「馬息嶺速度という言葉をたくさん使います。私たち」

    「10年かかっても馬息嶺スキー場を建設するのは難しいと考えたということです。しかし、我々は1年に限定し、建設しているじゃないですか。だから、全ての人民たちのための仕事においては、速度を保障しなければならない。だから、馬息嶺速度という言葉を使い」

    ここで、記者が馬鹿げた質問をする。日本の視聴者を意図した質問なのかもしれないが、真剣に聞いているのであればもう少し予備知識を身につけてから取材した方が良い。

    記者「人民たちも馬息嶺速度という単語を知っていらっしゃいますか?」

    ムン「よく知っているなんてもんではありません」(JNNは「もちろんです」という訳を付けたが、そんなに弱い表現ではない)

    金(「何聞いているのこの人」というような顔で微笑みながら)「今は、私たちの幼稚園の子供たちも、内容までは分からないにしても、馬息嶺速度を覚えているはずですよ」

    ともかくも、いつも「20時報道」で見ている放送員の普通の言葉を聞けたのはおもしろかった。

    「敬愛する金正恩元帥様が青年節にちなんで人民軍将兵たち、平壌市民の青年学生たちと共に『ヘップル・カップ』1級男子サッカー決勝戦を観覧された」:先鋒チームの反則を検証 (2013年9月1日 「朝鮮中央TV」)

    昨日、体育省の「体育競技規律審議委員会」が先鋒チームの優勝を剥奪し、試合参加資格停止6ヶ月の処分をしたと拙ブログに書いた。その後、録画してある「朝鮮中央TV」のファイルを確認していたら、9月1日の放送分にその試合の様子が含まれていたので、全編視聴した。

    タイトルにあるように、金正恩さんが試合を観戦している。昨日の記事には「たかがスポーツ」と書いたが、彼が観戦しているとなると、その重みは「たかが」どころではない。

    4.25チーム(朝鮮人民軍チーム)のメンバー
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    先鋒チーム(労農赤衛軍チーム)のメンバー
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    審判団は「国際審判」と「共和国審判」で構成
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    主席観覧席に現れた金正恩
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    前半戦は、4.25チームが積極的な攻撃を仕掛けたが、結局両チーム無得点で終わる。

    後半戦が始まり51秒が経過したところで先鋒チームが先取点を得る。
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    得点をしたのは7番のユン・ヒチョル。北朝鮮の試合では、得点をすると金正恩に敬礼をする。
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    敬礼をする選手に拍手を送る金正恩
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    その後、65分11秒に今度は4.25チームが得点をして同点となる。
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    金正恩に敬礼をする4.25チームの選手たち。得点をしたのは11番のピョン・ソンチョル。
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    75分41秒には、再び先鋒チームが得点して、2対1となる。
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    試合終了間近の88分50秒、4.25チームがサイドラインからボールを出し、先鋒チームのスローインとなる。この時、4.25チーム(白シャツ)の選手からボールを受け取った先鋒チーム(赤シャツ)の選手は、一度ボールを地面に置き、別の先鋒チームの選手にボウルを渡す。ボールを渡される選手は、ゆっくりと歩きながらボールに向かう。
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    この時解説者は、「先鋒チームは、時間を費やそうとしているということが分かりますね」と言っている。

    そして、89分8秒にスローイン。
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    スローインしたボールはサイドラインの外に落ちる。この行為は、明らかに時間稼ぎをするためのものだと、サッカーを知らない私も思うのだが、このような行為は一般的に行われるのだろうか。
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    サイドラインの外にスローインをした選手の所に審判(黄色いシャツ)が走って行く。
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    そして、17番チャン・インスに89分20秒、イエローカードが出される。
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    解説者は「ボールを持って時間引き延ばしをしたので、主審は黄色い紙(イエローカード)、警告を出しました」と言っている。

    その後、別の先鋒チームの選手がスローインを行い、試合は続行となる。ロスタイムは2分。
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    画面から時計が消えてしまったので分からないのだが、試合終了10秒ぐらい前のところで、4.25チームの25番ホ・リンイムがゴールを入れ2対2の引き分けに持ち込む。
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    試合は30分の延長戦に入る。延長戦はロスタイムも含め31分の試合となったが、両チームとも得点を得ることはできない。

    イエローカードは、この他にも「危険な動き」ということで両チームに1枚ずつ(記憶曖昧ながら)出されている。下の写真はイエローカードを出される先鋒チームの選手。
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    試合は「11メートル蹴り」(PK戦)になだれ込み、5人の選手が蹴った結果は依然として5対5の同点。さらに残りの5人のPK戦となり、7人目までは7対7の同点。
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    8人目で4.25チームがゴールを逃して、先鋒チームの優勝が決まる。
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    先鋒チームの選手を主席団に招き握手をする金正恩。今、握手をしている次の選手が遅延行為でイエローカードを出された17番。<追記>よく見ると14番のようだ。
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    17番選手の直線まで握手をした金正恩は、17番選手と握手をせずに選手を呼び寄せ、何かを言っている。<追記>よく見ると14番のようだ。・・・指を指しながら何かを言っているが、この時に「試合を遅延させるようなことをするな」と叱ったのかどうかは不明。特に、怒っているような顔でもないが。
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    先鋒チームの選手と記念撮影をする金正恩
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    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    ここまでが試合の流れである。私が見た限りでは、「危険な動き」で出されたイエローカードについては、やむを得ないようである。しかし、先鋒チームの「時間稼ぎ」は明らかに意図的で、問題とされた「不正引入」というのは「スローイン」のことを指していると思われる。

    『朝鮮中央通信』の同記事の日本語版には「不正引入(ママ、朝鮮語の漢字語音訳)」を「不正選手を出場させる」と訳しており、今一つ意味が良く分からないが、英訳では「 undesirable practice in the match (試合中の望ましくない行為)」と非常にクリアに訳しており、「スローイン」とは具体的に言っていないものの、「contrary to the sound sporting spirit and morality(スポーツマンシップとモラルに照らしたとき)」と書かれているので、やはり「スローインの時間遅延」を問題視しているようである。

    ところで、サッカーに詳しい方に教えていただきたいのだが、スローインに失敗をしてボールをサイドラインの外に故意であるかにかかわらず出してしまった場合、相手チームのボールにならないのだろうか。試合を見ていた限りでは、再び失敗をしたチームの選手がスローインをしていたようだ。もしかすると、サイドラインギリギリにボールが落ち、それに相手チーム選手の足が当たったのかも知れないが、そうであるならば、罪はそれほど重くないであろう。やはり、故意にボールをサイドラインの外に投げたということが問題のようだ。このような行為は、Jリーグや国際試合では、どのように判断されるのであろうか。主審がイエローカードを出していることからすると、ルール違反ではあるのだろうが、イエローカードを出されても時間稼ぎをして勝つというやり方はあり得るような気がする。

    もちろん、元帥様をお迎えして開催される試合で、そのような行為は卑屈で好ましくないと「審議委員会」は判断したのだろうが、泥沼の国際試合で勝つための作戦としても許されないのであろうか。

    『労働新聞』、「경애하는 김정은원수님께서 청년절에 즈음하여 인민군장병들,평양시안의 청년학생들과
    함께 《홰불컵》 1급남자축구 결승경기를 관람하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-08-29-0001&chAction=D

    『労働新聞』、「체육성 체육경기규률심의위원회 대변인 기자의 질문에 대답」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-09-11-0027&chAction=D

    「体育省、体育競技規律審議委員会、先鋒チームの不正行為を厳格に処罰」 (2013年9月11日 「朝鮮中央通信」)

    「朝鮮中央通信」が表題のニュースを伝えた。報道によると「最近の体育競技で不正現象が生じ、社会的物議を醸したという。問題となった試合は8月28日に金日成競技場で行われた「フェップル・カップ(主体の炎カップ)」の1級男子サッカー決勝戦で、「健全な体育精神と道徳気風に反し恥ずかしい現象が生じた」という。「審議委員会」のスポークスマンの説明では「先鋒チームが競技に不正選手を引き入れて、チームの実力を歪曲評価させた」ということである。サッカーのルールについて全く知らないが、「不正選手を引き入れ」というのは事前にチーム登録されたメンバーを出場させたということであろうか。

    そして、「この事実は、競技に参加した選手はもちろん、サッカー愛好家と軍人、人民に非難された」とのことである。「審議委員会は、我々軍隊と人民の日々高まっていく体育熱気に冷や水をかけ、サッカー愛好家を失望された先鋒チームの不正行為を確認し、体育競技規律規定第20条に従い」、「先鋒チームの競技順位1等を剥奪し、4.25チームを競技順位1等にし」、「(先鋒チームの)朝鮮民主主義人民共和国サッカー協会が組織する全ての国際及び国内競技に対する参加資格を6ヶ月間剥奪」し、「今後は、体育競技で不正選手を引き入れたチームと不正選手に対しては、規律違反行為とその重大さに応じて競技参加資格剥奪に至るまで厳格に処罰する」ことにしたという。

    たかがスポーツとはいえ、国家のお墨付きの対戦結果について人民が不平を漏らし、それを政府機関である体育省に属する審議委員会が検討をして結果をひっくり返したというのは、北朝鮮としては異例ではないのだろうか。体育ではあれ、不正を批判する人民の声には、積極的に耳を傾け、厳正な対処をするという意思の表れなのかも知れない。また、体育振興に熱を入れる北朝鮮としては、そのレベルを国際水準に高めるためにも、競技における不正行為は絶対に許さないという姿勢を国際的にも示したかったのかも知れない。

    そもそも「朝鮮中央TV」の番組とはいえ、スポーツの試合はほとんど見ない上、8月末は韓国にいたので録画もしていない。uriminzokkiriあたりにアップロードされているかも知れないので、後で調べてみることにする。

    『朝鮮中央通信』、「체육성 체육경기규률심의위원회 선봉팀의 부정행위를 엄격히 처벌」、http://www.kcna.kp/kcna.user.home.retrieveHomeInfoList.kcmsf

    『労働新聞』、「체육성 체육경기규률심의위원회 대변인 기자의 질문에 대답」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-09-11-0027&chAction=L

    「朝鮮民主主義人民共和国創建65周年慶祝公演 大集団体操と芸術公演 アリラン」 (2013年9月10日 「朝鮮中央TV」)

    昨日の公演であろうか、「朝鮮中央TV」が「アリラン」の「録画実況」を放送した。日本では「アリラン」は、「無意味に人民を動員して、ろくでもないマスゲームをやらせている」というような認識で受け取られることが多いが、よく見れば「人民動員」はそうだとしても、「無意味」ではない。実は、私も「アリラン」を通しで見たことはなかったのであるが、今日放送された「録画実況」を見ていると色々なメッセージが込められていることが分かる(プロパガンダと言えばそれまでであるが)。拙ブログで「アリラン」を紹介したことはないと思うので、これを機に紹介しておくことにする。

    「アリラン」は民謡「アリラン」の独唱で始まる。音楽も歌詞もいわゆるよく知られている「アリラン」だが、「十里もいけないで」の部分は平壌方言で歌われており、「シムリ(ソウル方言ではシムニ)」と歌っている。
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    「アリラン」は「章」と「景」に分けられているようなのだが、画質が悪かったり暗かったりでよく分からない部分がある。「アリラン」独唱後、どのような「章」に入ったのかは分からないが、様子からは「日帝」の植民地化で苦しむ朝鮮人民がまず登場するようだ。
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    そんな中、「光明星」が輝き、白頭山の天池から太陽が昇る。「祖国解放戦線」を戦った金日成を象徴する太陽である。歌は「アリラン」の合唱となるが、「将軍様を頂き」など、替え歌になっている。
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    そして、「日帝」との戦いを象徴する「雪嵐」の場面に続いて、祖国解放と朝鮮民主主義人民共和国の創立を喜ぶ場面となる。人民軍、政府、党がセットになっている。
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    続くのは朝鮮戦争の場面である。演技ではあるが、女の子が死んでいる姿は痛ましい。
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    そして、「7.27戦勝」を迎える。「人民軍行進曲」と共に人民軍バトンガールズが入場する。北朝鮮が戦争モードの時、「帝国主義侵略者、まとめて打ち倒せ」というこの歌はよく流れていたが、少し久しぶりに聞いた。
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    「朝鮮人民軍武装装備館」の宣伝も忘れていない。
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    次の章は「先軍アリラン」である。金正日時代を演出する章だと思うのだが、今一つよく分からない。雰囲気的には「苦難の行軍」も題材としているようだが、ストレートには伝わってこない。下の絵は「ヒチョン発電所」であろうか。
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    「先軍アリラン」が終わると、金正日追悼の章か景になる。「金正日花」中心に据え、踊りが続く。「どれほど偉大な方を我々は頂いたのか」という人文字が表れている。
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    そして、いよいよ金正恩時代に入る。金正恩時代に出てきた「金日成-金正日主義の旗に従い」というスローガンが登場する。音楽は「高くはためけ労働党旗」で、「先党時代」の幕開けを象徴しているようだ。
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    続いて、子供たちが登場する「世の中に羨むものはない」が始まる。「12年制義務教育」の人文字。
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    そして「敬愛する金正恩元帥様ありがとうございます」と金正恩の名前が初めて登場する。
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    次の景は「豊かな社会主義国」を象徴している。「科学化」、「社会主義守護」、「社会主義文明国」など色々なスローガンが見られるが、豚の中から小さな豚が飛び出してきたのが印象的であった。セポ台地に牧場を作り、人民に肉を食べさせたいということを表しているのであろうか。
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    3景は「もっと高く、もっと速く」というタイトルになっている。このタイトルの背景ではロケットの発射音とも核爆弾の爆発音とも思える音がしているが、絵は出てこない。ロケット発射成功時に流された「タンスメ」なので、銀河3-2号機の音のつもりなのかも知れない。
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    光明星3-2号機らしき衛星
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    そして、「金正日愛国主義」の人文字
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    次のコーナーは、サーカス団の公演となる。「空中飛び112.55メートル」と書かれている。
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    次にテクォンドの公演が入り、フィナーレに向かう。「運命も未来も委ねた方」が流れる中、労働党の記章と「党に従い一心団結」の人文字が表れる。「委ねた方」は金正恩なので、やはり「金正恩を中心に労働党に団結していこう」ということなのであろう。
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    ここで終わりかと思いきや、次に「国際親善」の章があった。「国際共産主義運動」を象徴する「インターナショナル」から始まる国際親善であるが、対象国は中国とロシアである。

    「インターナショナル」が流れるシーン
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    「抗米援助保家衛国、血で結ばれた戦友の情」という人文字が出て中国との親善を象徴する公演が始まる。
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    そして、中国を象徴する人形が出てくる。確かに中国らしいし、日本でもこの人形は「中国的」ということであれば通用すると思う。しかしながら、こういう人形を「中国的」とされることについて、中国人はどう思っているのであろうか。
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    続いては、朝露親善コーナーであるが、このコーナーではたくさんの熊が出てくる。中国を象徴する人形同様、ロシア人は自分たちを熊に例えられる、あるいは熊で象徴されることについてどのように思っているのであろうか。残念ながら、日朝親善コーナーはないが、もしあるとすれば日本人は何に象徴されるのであろうか。
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    そして、いよいよ本当のフィナーレとなる。「金日成将軍の歌」と「金正日将軍の歌」が平壌放送のIDのような雰囲気で演奏された後、いわずとしれた「パルコルム」が流れる。

    「最後の勝利を目指して前に」という人文字と共に「パルコルム」の大合唱が始まる。地球をセンターに配置するところなど、世界の朝鮮ということであろう。
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    アリラン公演の番組中では、全体を見渡すための上からの映像もしばしば使われていた。会場の屋根に設置したカメラを使ったと思われるが、様子がよく分かる。この花は何を意味するのであろうか。
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    Source: KCTV, 2013/9/10放送

    機会があれば、アリラン公演を現地で見てみたいものである。

    「デニス・ロッドマン、金正恩の娘の名前を公開」:北朝鮮で国際バスケットボール大会計画 (2013年9月9日 The Gurdian)

    ロッドマンがThe Gurdianとのインタビューで金正恩さんの娘の名前や国際バスケットボール大会計画などについて語った。

    ロッドマンによると金正恩さんの娘の名前は「Ju-ae」とのことである。コメントにも書いたが、この音に当たりそうな漢字は「主愛」か「珠愛」だと思う。美しさから行けば「珠愛」になるはずだが、この見当で夫人の名前を予想したときも外れたので、今回は「主愛」にしておく。単純に夫人の名前の雪「主」と「主」体の「主」だという理由であるが、北朝鮮では美しさよりもこうした理由の方がストレートで分かりやすい。ロッドマンは、金正恩さんと撮った写真をたくさん持っていたが、さすがに娘を写すことは許されなかったようだ。確か、昨年12月ぐらいに生まれたことになっていたはずなので、もう9ヶ月、可愛い盛りであろう。金正恩パパにとってもそういうことで、ロッドマン曰く「good dad」だそうだ。過去記事にも書いたとおり、彼が幼稚園や保育園の子供たちに接する姿は「good dad」そのもので、自分の娘に対してであれば言わずもがなである。

    ロッドマンは「The Marshal Kim and I had a relaxing time by the sea with his family(金元帥と私は、彼の家族と一緒に海でのんびり過ごした)」とも語っている。過去記事に『労働新聞』に掲載されたヘリコプターのローターが写り込んでいる写真は「平壌か平壌近郊」と書いたが、この発言からすると、あれは平壌からかなり離れている「ビーチ・リゾート」だったのかもしれない。そう思えば、彼の白い半袖シャツやサングラスの意味は分かる。

    またロッドマンは「"We shared many meals and drinks where we discussed our plans to play a historic friendship basketball game between North Korea and the US as well as ways to develop their basketball team.(私たちは一緒に飲食を何回もして、歴史的なバスケットボール友好試合を米朝で開催することや(北朝鮮の)バスケットボール・チームを発展させることについて話し合った)」と語り、さらに「"Kim is a great guy, he loves basketball, and he's interested in building trust and understanding through sport and cultural exchanges.(金は凄い奴だ、彼はバスケットボールを愛し、スポーツと文化交流を通じて信頼造成や理解を深めることに関心を持っている)」とも語っている。『朝鮮中央通信』は「ロッドマンが」とロッドマンを主語にして「スポーツ交流」への関心を伝えているが、ロッドマンは「金は」と金正恩さんを主語にしている。この辺り、報道の違いはあるが、いずれにしても両者がこの点において共通の認識で一致していることは間違いないようだ。

    The Gurdaian, "Dennis Rodman gives away name of Kim Jong-un's daughter, Former US basketball star and frequent North Korean visitor shares name of leader's baby Ju-ae", http://www.theguardian.com/world/2013/sep/09/dennis-rodman-north-korea-baby-name

    ロッドマンはまた、彼が金正恩や北朝鮮高官の電話番号とメルアドを持っているとも語っている。さらに「 If he wanted to bomb anybody in the world, he would of done it, but it's amazing how he pulled things back,(彼(金正恩)が世界の誰かに爆弾を落とそうとしたのであれば、できたであろう。しかし、彼が引き下がったのは驚くべきことだ)」とも述べている。2人の接触でどれほど政治の話がされたのかは分からないが、こんなことをいっていることからすると、バスケットボール以外の話しも多少はしたようである。

    The Gurdaian, "Dennis Rodman tips off his plan for book collaboration with Kim Jong-un, The Hall of Fame player asked to be taken seriously and said he will eschew politics because 'it's a whole different ball game'", http://www.theguardian.com/sport/2013/sep/09/dennis-rodman-kim-jong-un-book

    一方、米国務省報道官は定例記者会見でロッドマンの訪朝について質問され、例によって「個人的な旅行ではあるが、如何なる個人からも旅行についての話を聞くことはする」と答えている。いつもきつい質問をするMatt記者が「米国政府の誰よりもロッドマンが北朝鮮に関する情報を持っているのではないか」と質問をすると、報道官は「あなたは米国政府がどれほど北朝鮮についての情報を持っているのか知らないのでしょ」と苛立った感じで答えている(会見のビデオは見ていないので、笑っていたのか怒っていたのかは分からないが)。ま、しかし、北朝鮮を訪問した米国人の大物は元ニューメキシコ州知事と前Google会長、そして2回も金正恩さんと会って「何回も飲食を共にしながら」話をしたのはロッドマンだけなので、金正恩「個人」についてはロッドマンが最もよく知っていることは間違いないであろう。

    U.S. Department of State, "Daily Press Briefing", http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2013/09/213958.htm#DPRK

    ロッドマンは、北京空港で北朝鮮で懲役刑を受けた韓国系米国人の釈放について金正恩さんと話したのかと質問され、「そんなことは、オバマとクリントンに聞け」とキレながら、彼らを「ass holes」呼ばわりしている。まあ、国務長官がケリーに代わったことも知らないのが、ロッドマンらしいというべきか。

    CNN, "Dennis Rodman tells of Korea basketball event, may have leaked Kim child's name", http://edition.cnn.com/2013/09/09/world/asia/north-korea-rodman-kim-daughter/

    建国節に祝電:中国・習近平、ロシア・プーチン (2013年9月9日 「朝鮮中央TV」)

    「20時報道」は、中国の習近平さんとロシアのプーチンさんが祝電を送ってきたと報じた。

    「敬愛する金正恩元帥様が新たに建設された銀河科学者通りを視察された 2013.9.8」:恐ろしき馬息嶺速度、科学重視、労農赤衛軍閲兵、建国節中央報告大会の金永南演説 (2013年9月9日 「朝鮮中央TV」) 

    今日は「建国節」だ。午前には9時半頃から11時半頃まで「労農赤衛軍閲兵式と平壌市群衆示威」の模様を「朝鮮中央TV」は生中継していた。これまでにどこかで明らかにされているのかも知れないが、今日の放送のナレーションでは「1959年に首領様が創設された労農赤衛隊を、将軍様が軍にされた」と言っていた。2010年から「赤衛軍」と呼ばれるようになったのは、金正日さんの正式な指示があったということのようだ。

    労農赤衛軍が掲げる金日成旗・金正日旗に敬礼をする金正恩
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    Source: KCTV,2013/9/9放送

    生中継のタイトル通り、閲兵式は労農赤衛軍が中心で、陸海空及び反航空軍の儀仗兵は軍旗を持って参加したものの、派手な武器のパレードはなく、労農赤衛軍らしく、農耕用トラクターで引っ張る連射砲などが僅かに登場しただけであった。

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    Source: KCTV,2013/9/9放送

    ナレーションでは数えただけでも5回以上「平和」とか「平和を愛する」という表現が使われており、「我々の銃隊の上に平和がある」は行進曲として使用されてはいたものの、「銃隊」はあまり強調されていなかった。さらに、「核抑止力」、「核保有国」、「衛星発射国」といった用語も聞いていた限りではナレーションで使われていなかった。最近の記事には何回も書いているが、北朝鮮は今、明らかに「平和・対話モード」に入っている。

    それを反映してか、金正恩さんも労農赤衛軍のパレードよりも、平壌市民のパレードを見て喜んでいた。特に、教員や科学者が行進しながら入場してくると、とても嬉しそうな顔をして手を大きく振っていた。12年制義務教育の実施状況や科学技術重視政策に満足しているのであろう。

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    Source: KCTV,2013/9/9放送

    教員のパレード、「未来を愛せ」というプラカード
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    Source: KCTV,2013/9/9放送

    昨日、「建国節中央報告大会」が開催され、金永南演説があったのだが、こちらはまだ途中までしか聞いていない。特記しべき事項があれば、追記することにする。

    <追記>
    遅ればせながら、金永南演説を聞いた。彼の演説からも、「核保有国」、「核威力」、「衛星発射国」という言葉は消えていた。これらは金正日の業績とされるところであるが、彼の業績については「先軍革命思想を定立体系化され、先軍政治を社会主義基本政治方式として打ち立てられ、国防委員会を中軸とする新たな国家管理体系を確立され、全ての事業を軍事先行の原則で進行していくようにされ、共和国の強化発展において革命的転換をもたらされた」こと、「苦難の行軍、強行軍の試練と難関を打ち破り、社会主義守護戦で百勝」したこと、「記念碑的創造物を多く建設」したことなどは挙げたが、「核・ミサイル開発」には触れなかった。

    そして、「金正日愛国主義は、父なる将軍様が我々に残して下さった精神的遺産であり、富強祖国建設の偉大な原動力です」と金正日時代と金正恩時代を結びつけながら、「自衛的防衛力の強化」をしつつも「郡代と人民が不屈の精神力を発揮し、経済強国建設と人民生活向上のための今日の総進軍において新たな高揚をももたらし、軍民共同作戦の威力で万年大系の創造物をさらに多く打ち立て」と経済建設の重要性を強調している。そしてそのためには「科学技術を早く発展させ、全民科学技術人材化を実現し、我が国を知識経済強国として打ち立て」と科学技術の発展に一層力を入れるべきだということを強調している。海外ではあまりいわれないが、北朝鮮にとって「核やミサイル」は軍事力の誇示であるのと同時に、特に対朝鮮人民では科学技術力の誇示でもある。

    米国に対しては、「今日、朝鮮半島とアジア太平洋地域の常時的な緊張と刺々しい情勢は、平和と安全を願う世界の進歩的人民の大きな憂慮」であるとし、「米国は、大勢の流れを正しく見て、時代錯誤的な敵対観念から抜け出し、朝鮮半島の平和と安全を保障することに実践的に寄与をする道を選ばなければならない」とした上で、「共和国政府は、朝鮮半島と地域の平和と安定を守護し、世界の自主化を実現するために、全ての努力をする」と述べている。「全ての努力」に「核についての話し合い」も含まれているのかについては言及していないが、「朝鮮半島と地域の平和と安定」は中国政府の朝鮮半島政策と一致しており、これを受けたものであれば、当然、核問題の話し合いも含まれることになる。

    『労働新聞』、「위대한 김 일 성―김 정 일주의기치높이 나아가는 우리 공화국은 끝없이 강성번영할것이다
    중앙보고대회에서 한 조선로동당 중앙위원회 정치국 상무위원회 위원이며 조선민주주의인민공화국 최고인민회의 상임위원회 위원장인 김영남동지의 보고」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-09-09-0046&chAction=T

    さて、記事の「銀河科学者通り」の話であるが、金正恩時代らしく視察の1日後に「記録映画」が放送された。実は、7月上旬に金正恩さんは科学者住宅の建設状況を視察しており、この時の様子が「録画報道」で紹介されている。同報道では、「あと2ヶ月で科学者住宅を完成させる」と言っていたが、とても2ヶ月で完成しそうな進捗状況ではなかった。

    7月上旬の建設状況「敬愛する金正恩元帥様が科学者住宅建設場を視察された」
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    Source: KCTV,2013/7/2放送

    『労働新聞』、「경애하는 김정은원수님께서 과학자살림집건설장을 돌아보시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-07-02-0003&chAction=S

    科学者住宅の室内を視察する金正恩
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    Source: KCTV,2013/7/2放送

    ところが、今日放送された表題の「記録映画」では、少なくとも外面的には建設が完了している。科学者住宅群。複数の場所で別々に建設をしているということはないと思うのだが。
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    Source: KCTV, 2013/9/9放送

    満足げに笑いながら視察をする金正恩
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    Source: KCTV, 2013/9/9放送

    目を疑うほどの完成度である
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    Source: KCTV, 2013/9/9放送

    全景と室内図面
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    Source: KCTV, 2013/9/9放送

    キッチン「家庭の主婦が喜ぶだろう」と金正恩
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    Source: KCTV, 2013/9/9放送

    科学者住宅には、保育園・幼稚園、小学校なども建設されている。それにしても、7月からわずか2ヶ月でここまで仕上げるというのは、軍人建設者の馬息嶺速度には脱帽する。心配なのは、「質的な保障」はできているのかということだ。韓国でもかつて、地下鉄工事現場の陥没事故から始まり、橋の崩落、デパートの崩壊など、手抜き工事に起因すると思われる大事故が発生した。北朝鮮の場合、そのような事故が発生しても報じないか、韓国と比して建設工事の件数が絶対的に少ないので、幸いにもそのような事故が発生していないのかも知れないが、どうなのであろうか。

    馬息嶺スキー場も、数日前に「朝鮮中央TV」で放送された番組を見る限りでは、まだまだこれからという感じがする。しかし、科学者住宅建設における「馬息嶺速度」で工事を続ければ、今年、雪が降る頃には完成するのかも知れない。

    「人民の食の問題も解決しないで」という批判も聞かれるが、金正恩時代の「記念碑的建造物」は、どれだけの人民が利用できるかは別とし、金正日時代に造られたようなただ大きな「建造物」ではなくなっているのではないだろうか。

    少なくとも、教育や科学の振興を喜ぶ指導者は歓迎されるのではないだろうか。

    軍部との関係も含め、平和と戦争の間で揺れる(それが意図的であるか否かにかかわらず)北朝鮮は、やはり注意深くワッチするに値する。

    「敬愛する元帥様が今年の新年の辞で提示された綱領的課業を徹底して貫徹しよう」:最近のスローガン (2013年9月8日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」で流されている最近のスローガンを紹介しておく。「」内は、画面に表示された文字である。

    「敬愛する元帥様が今年の新年の辞で提示された綱領的課業を徹底して貫徹しよう」
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    「全党、全軍、全民が一つの心、一つの意となり、民族史に特記すべき大慶事」として慶祝した。
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    今我々の前には、敬愛する元帥様が提示された「綱領的課業」を徹底して貫徹して「英雄朝鮮の気質と尊厳」全世界にさらに高く輝かせる、名誉の課業が出されている。
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    「経済強国建設」は、今日、「社会主義強盛国家建設偉業遂行」における最も重要な課業である。
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    人民経済の全ての部門、全ての単位では、戦勝節を盛大に慶祝した勝利者の大きなプライドと自信を抱き、「党中央委員会2013年3月全員会議」の「決定貫徹」に力強く立ち上がり、「馬息嶺速度創造」の炎を高く掲げ、「共和国創建65周年」を「高い努力的成果」で迎えなければならない。
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    人民経済の先行部門と基礎工業部門を守るための決定的な対策を立て、「石炭、電力、金属、鉄道運送」部門を確固として前に押し出し、「経済強国建設の跳躍台」をしっかりと作り上げなければならない。
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    特に「石炭、金属鉱業部門で」革新を巻き起こし、「国家の全般的経済を活性化」するようにしなければならない。
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    農業と軽工業は、依然として今年の「経済建設の主打撃方向」である。
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    「農業に国家的な力を集中」し、農業生産の「科学化、集約化」の水準を高め、今年の「穀物生産目標」を必ずや占領し、「軽工業工場に対する原料、資材保障」対策を徹底して打ち立て、「質の良い人民消費品」をもっとたくさん生産しよう。
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    「畜産」と「水産」と「果樹」部門を決定的に守りながら打ち立て、「人民の食生活を改善し、さらに豊かに」しなければならない。
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    党の呼びかけを受けて「馬息嶺スキー場建設場」と「セポ台地開墾戦闘場」進んで駆けつけた人民軍軍人と突撃隊員は、今年の戦闘で「新たな奇跡と英雄的な偉功を創造」して、党の大自然改造構想を前倒しで実現することができる「確固たる展望」を開かなければならない。
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    「新しい世紀の産業革命の炎」を高く掲げ、科学技術の力で「経済強国建設の転換的局面」を開かなければならない。
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    新しい世紀の産業革命は同時に「科学技術革命」であり、 先端突破の「経済強国建設の早道」である。
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    宇宙を征服した衛星科学者のように「最先端突破戦」を力強く展開し、国家の全般的科学技術を「一日も早く世界的水準に」高めよう。
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    現実発展の要求に合うように「経済指導と管理を改善」しよう。
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    「人民経済の全ての部門で、あらゆる予備(余力)と可能性」を最大限動員して、生産的高揚を達成するための「経済作戦と指揮」を策定し、現行計画と全般的な発展戦略を科学的に立て、「そのまま頑強に執行」していかなければならない。
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    「社会主義文明国建設」に一層拍車をかけ、21世紀の「新たな文明開化期」を切り開こう。
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    文化建設の全ての部門で偉大な将軍様が指示された「思想と路線、方針を徹底して」貫徹し、「教育、保健、文学芸術、体育、道徳を」はじめとした全ての文化分野を先進的な文明強国の水準に高めなければならない。
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    平壌市を「主体朝鮮の首都、先軍文化の中心地に相応しい」さらに雄大で景色が素晴らしい都市にし、全ての都市や郡で「通りと町、祖国の山川を社会主義の景色に」して、
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    人民のための「現代的な文化厚生施設と公園、遊園地」をもっとたくさん建設し、
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    我々人民が「新しい時代の文明的な生活を」心ゆくまで謳歌できるようにしよう。
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    社会主義強盛国家建設において決定的転換をもたらすためには、幹部たちの「思想観点と事業気風、仕事に対する態度」を「根本的に改善」しなければならない。
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    幹部たちは「全てのことを人のために、全てのことを人民大衆に基づいて!」というスローガンを高く掲げ、献身的に闘争しなければならない。
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    全ての幹部と党員と勤労者が「金正日愛国主義」を「血が煮える心臓に大切に込めて(熱い気持ちに込めて)」
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    社会主義祖国の繁栄ための今日の聖なる闘争で「愛国的熱意と献身性を」高く発揮していかなければならない。
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    全体の幹部と勤労者よ、「敬愛する金正恩元帥様が今年の新年辞で提示された綱領的課業を徹底して貫徹し、経済強国建設の転換的局面を開くことで、金日成-金正日祖国の気概を全世界にさらに力強く響かせよう」
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    Source: KCTV, 2013/9/8放送

    「人民の幸福と喜びが大きくなるところで-ルンラ人民遊園地電子娯楽館を訪ねて-」 (2013年9月5日 「朝鮮中央TV」)

    9月5日の「朝鮮中央TV」では、教育関係の番組が多かった。その理由はよく分からないが、9月9日の「建国節」に向けて「人民生活の向上」をテーマとする番組が増えているので、その一環であろう。過去記事に「戦争フェーズから対話・平和フェーズへ転換した」と書いたが、驚くほどに戦争関係の番組がなくなり、「朝鮮芸術映画」も含めて経済建設関連の番組ばかりである。番組の間で放送されるスローガンも「馬息嶺速度」と経済関連の内容となっている。実にその豹変ぶりには驚く。

    昨日(9月7日)には、馬息嶺スキー場の建設現況を伝える番組も放送していた。これについては、別記事にしようと思っているが、人民軍建設部隊が相当に苦労しながら建設を進めているようだ。「馬息嶺速度」を経済の他部門にも広げていこうという考えなのであろうが、それはよいとして、肝心の馬息嶺スキー場がどうなるのかが心配だ。リフトに輸出制限が掛けられたということはさておき、仮にリフトをどこかから調達したとして、どこから人を集めてスキーをやらせるというのであろうか。招いてもらえるのならば、是非とも馬息嶺スキー場で初滑りをしたいものである。

    そういえば、先週、昼の時間帯の日本の某テレビ番組で馬息嶺スキー場を紹介していたが、某通信社の元(前)平壌支局長なる人が、「朝鮮人民軍の突撃隊員が建設に当たっている」と話していた。私の理解が正しいのであれば、「突撃隊」は人民軍組織ではなく、各単位(職場や農場や地域)から派遣された民間人組織のはずなのだがどうなのだろうか。この支局長と同じ通信社の元記者で、いつも参考にさせていただく本を出版しておられる方もおられるので、少し驚いた。

    別記事にしようと思った馬息嶺スキー場関連の話が長くなったが、本題に移る。タイトルどおり「ルンラ人民遊園地の電子娯楽館」を紹介する番組であるが、この「電子娯楽館(ゲーセン)」については過去記事で「20時報道」のニュースを引用しながら紹介したことがあるはずである。今回は、複数の朝鮮人民にインタビューをしており、彼らの答えがなかなか面白い。

    「人民の幸福と喜びが大きくなるところで-ルンラ人民遊園地電子娯楽館を訪ねてー」
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    Source: KCTV, 2013/9/5放送

    ルンラ人民遊園地内には、1区域と2区域にそれぞれ「電子娯楽館」があるとのことだ。「電子娯楽館」内は冷房が良く効いているようで「大型エアコンの風で瞬く間に涼しくなる」とのことである。

    「3D飛行戦」で遊ぶ親子
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    Source: KCTV, 2013/9/5放送

    「原始林の中での銃射撃」
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    Source: KCTV, 2013/9/5放送

    2区域は1区域の2倍の面積であるという。

    「板スキー競争(スノボ・レース)」
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    Source: KCTV, 2013/9/5放送

    インタビューに答える子供「僕は今日、銃射撃をやりました。銃射撃は本当におもしろかったです。それで、前に悪い奴らが現れました。だけど、僕はそいつらを撃てないのではないかと心配でした。それで僕は一生懸命悪い奴らを・・・」(「悪い奴ら」は必ずしも「米帝侵略者」ではないようだ)
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    Source: KCTV, 2013/9/5放送

    「電子娯楽館の遊具は本当におもしろいです。僕は、娯楽をしながら、勉強を良くすれば、娯楽もたくさんできると思いました。僕はこれから勉強を一生懸命やって、休みの日にはこの電子娯楽館にまた遊びに来ます」
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    Source: KCTV, 2013/9/5放送

    「タンク対戦(大戦?)」
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    Source: KCTV, 2013/9/5放送

    「その横!赤いの」とか子供が叫んでいる。
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    Source: KCTV, 2013/9/5放送

    「タンク対戦」をする子供を見る親たち
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    Source: KCTV, 2013/9/5放送

    「板スキー」ゲーム
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    Source: KCTV, 2013/9/5放送

    「スキーをやると、本当におもしろいです。スキー場に来たような気分です。残念ながら、今回は接戦で負けてしまいましたが、もう一度乗れば勝てるという自信がわいてきます」と語る女性。
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    Source: KCTV, 2013/9/5放送

    「私は今日、この電子娯楽館に来て直昇機(ヘリコプター)射撃もし、板スキー(スノボ)もやり、ボート・レースもやりました。私が板スキーをやったときは、将来、スキー選手になりたい気持ちでしたし、ヘリコプター射撃をしたときは、飛行士になりたい気持ちになりました。本当にこの電子娯楽館は、私たちの夢をはぐくんでくれる良い場所だと思います」
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    Source: KCTV, 2013/9/5放送

    「電子娯楽館」で人気ナンバー1の「競馬」ゲーム
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    Source: KCTV, 2013/9/5放送

    「競馬」ゲームの楽しさについて説明をする「電子娯楽館」の「管理工」
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    Source: KCTV, 2013/9/5放送

    「競馬」ゲームの画面
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    Source: KCTV, 2013/9/5放送

    「ボート・ゲーム」の画面には、英語系の競技者の名前がそのまま残されている。朝鮮語化は完璧ではないようだ。
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    Source: KCTV, 2013/9/5放送

    ビデオカメラでゲームを撮影する女性
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    Source: KCTV, 2013/9/5放送

    番組は「人民愛の結晶体であるルンラ人民遊園地の電子娯楽館」は「人民の物質・文化水準を限りなく高めることを我が党活動の最高原則とされ、我々人民により良い生活と休息条件を作って下さるために心遣いをして下さる敬愛する元帥様」に対する「人民の感謝の声、幸せの笑いで溢れていました」と番組は締めくくっている。

    「20時報道」:鴨緑江の中朝間橋建設状況、南浦磁鉄鉱工場竣工 (2013年8月23日 「朝鮮中央TV」)

    8月23日の「20時報道」で報じられたニュースであるが、忘備録として紹介しておく。というのも、中朝経済関係を象徴するようなニュースが2つ報じられたからである。

    まず、鴨緑江に新しい橋を架ける工事の進捗状況である。

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    Source: KCTV,2013/8/23放送

    中国・丹東と北朝鮮・新義州を結ぶ「鴨緑江国境橋共同建設と管理及び保護に関する協定」による橋の建設が「力強く」推進されているとのことである。中国政府は2012年12月に着工後、現在では75%橋を完成させたとのことである(「中国政府では」といっているので、中国側の全面支援で橋を建設するということであり、中国側の75%が完成したということではない)。橋の全長は3026メートル、主塔につられている部分は1266メートル、高さは36メートル、幅は28.5メートル、主塔の高さは194.6メートルという。この橋が完成すれば、15トンクラスのトラックが1日に3000台以上通行可能で、橋の下は3000トン級の船舶が通過できるという。橋は2014年9月完工予定であり、「中朝親善の象徴として」その姿を現しているとのことである。

    橋の全景
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    Source: KCTV,2013/8/23放送

    北朝鮮側から見た様子(ビルがたくさん建っているのが丹東)
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    Source: KCTV,2013/8/23放送

    北朝鮮側の建設状況
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    Source: KCTV,2013/8/23放送

    次は、とても短いが、とても印象的なニュースである。南浦市に磁鉄鉱工場が完工したという何の変哲もないニュースであるが、そこに映っている人を見て驚いた。

    よく見る演説風景「南浦磁鉄鉱山操業式」
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    Source: KCTV,2013/8/23放送

    ところが気になったのは、バッジを付けていない青い服の女性と白っぽいシャツの男性である
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    Source: KCTV,2013/8/23放送

    ニュースでは「中国のお客さんも参加した」と言っているが、ただのお客さんではなくここで生産した磁鉄鉱をまるまる買い上げて中国に持ち出すバイヤーか工場が合営形態なのかもしれない。

    工場を視察する中国人
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    Source: KCTV,2013/8/23放送

    「敬愛する最高司令官金正恩同志がチャンジェ島防御隊とム島英雄防御隊、ウォルレ島防御隊を視察された 2013.9.2-3」 (2013年9月6日 「朝鮮中央TV」)

    金正恩さんが西海(黄海)の島々を視察した「記録映画」が「朝鮮中央TV」で放映された。「運命も未来も委ねた方」の明るい曲で始まるこの「記録映画」は、軍施設の視察というよりも前回の訪問で彼が指示した軍人住宅などの建設状況を彼が確認し、その完成度の高さに喜ぶ様子を紹介するという内容である。監視所の双眼鏡で南側の島を眺めるシーンも挿入されているものの、全体としては今の「平和・対話フェーズ」を背景とした「人民生活の向上」を紹介する内容となっている。

    「記録映画」では、金正恩さんが子供をかわいがるシーンが多く紹介されている。
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    Source: KCTV, 2013/9/6放送

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    Source: KCTV, 2013/9/6放送

    「島の風土に合った木や柴を植えて、緑の島に変貌させろ」という指示に従い植えられた芝生を確認する金正恩
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    Source: KCTV, 2013/9/6放送

    「野外休息場」に設置された新聞掲示施設を確認する金正恩
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    Source: KCTV, 2013/9/6放送

    新しく建てられた軍人家族の家。冷蔵庫や洗濯機が置かれているが、電力供給は大丈夫なのだろうか。
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    Source: KCTV, 2013/9/6放送

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    Source: KCTV, 2013/9/6放送

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    Source: KCTV, 2013/9/6放送

    防御隊長の娘の歌を嬉しそうに聞き、拍手をする金正恩
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    Source: KCTV, 2013/9/6放送

    チャンジェ島を離れようとするとき、前回同様に軍人たちが海に飛び込んで見送ろうとしたので「(金正恩元帥様は)船から下りられて、海から出なければ出発しない」、「指揮官は、兵士が海から出るように命令しなさい」と語ったという。前回はまだ水の冷たい春先だったので、今回の方が水は冷たくないはずだが。写真は海から出なさいという合図を送る金正恩。
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    Source: KCTV, 2013/9/6放送

    しかし感激のあまり最高司令官命令に反して海に入っている兵士もいる。
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    Source: KCTV, 2013/9/6放送

    続いて訪れたム島にはバスケットボール施設も作られたようだ。バスケットボールは、北朝鮮のナショナルスポーツになっていくのであろうか。
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    Source: KCTV, 2013/9/6放送

    ム島で子供に年齢を尋ねる金正恩
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    Source: KCTV, 2013/9/6放送

    4人の子供のために建てられた「スンウィ高級中学校ム島分校」。「我が国の社会主義制度でなければ建てることができない、世界に類を見ないところ」と金正恩。
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    Source: KCTV, 2013/9/6放送

    命令をしても聞かぬと諦めたのか、ム島では海に入る兵士に見送られる金正恩。
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    Source: KCTV, 2013/9/6放送

    ラストシーンはなかなかカッコイイ。
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    Source: KCTV, 2013/9/6放送

    「私たちの言葉常識手帳:깇다 와  깉다」 (2013年9月6日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」が「児童放送時間」に朝鮮語に関するおもしろい番組を放映した。朝鮮語の語彙「깇다」と「깉다」についての番組であるが、私はいずれの語彙も知らなかった。何の話かと思いつつ番組を見ていると、北朝鮮でも、辞書形で発音が同一であるこれらの二つの語彙を混同することがあるようで、それについての説明である。

    「我々の言葉常識手帳」
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    Source: KCTV, 2013/9/6放送

    「깇다」と「깉다」
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    Source: KCTV, 2013/9/6放送

    番組は、子供が学校でこれら2つの語彙の違いについて学校で説明をする宿題があり、それを友達と一緒に予行演習をするという設定である。番組の説明では、「깇다」は「咳をする」、「깉다」は「残る」という意味のようである。Naver国語辞典で調べてみると、北朝鮮の方言としてそれぞれの語彙が出ている。

    番組ではその用例として「기침을 깇다」(咳をする)を挙げている。
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    Source: KCTV, 2013/9/6放送

    もう一方の語彙は「그릇에 깉은 밥」(器に残ったご飯)を挙げている。
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    Source: KCTV, 2013/9/6放送

    前者の方は「咳」から類推はできるが、後者の方は「器」と「ご飯」がどのような関係にあるのかを類推するのは難しい。

    この番組を見ながら思ったのは、長白山に向かうバスの中で横に座っていた朝鮮族同士の会話を聞いていたときのことである。お互い、初めは漢族だと思って中国語で話をしていたのであるが、途中で両者朝鮮族であるということが判明すると、朝鮮語で話し始めた。中国語は分からないので音としてしか聞こえないが、朝鮮語で話し出すと意が伝わってくる。しかし、ソウルとは違うアクセントはともかくも聞き取りにくく、語彙の違いや、言葉としては聞き取れてもローカルな話なので「それ何の話」ということも多くあり、韓国人同士の話を聞くよりも理解度は低くなる。

    延吉で朝鮮族の先生と「朝鮮族の朝鮮語」について色々話をしたのだが、朝鮮族の朝鮮語も「韓国語化」が進んでいるとのことである。「韓国語化」は「脱中国語彙」と「脱北朝鮮方言(と制度的表現)」の両面で進行しているとのことであるが、やはりアクセントは抜けていないようである。93年に延吉を訪問したとき、朝鮮族一家にお世話になったのだが、今でも覚えているのは、高校生の男の子が「お父さんは『工作』しに行った」と言ったことである。この子のお父さんは共産党支部の職員で、「工作」などする人ではないので不思議だと思って話を聞くと、「仕事をしにいった」ということだった。中国語で「仕事をする」を意味する「工作」をそのまま音訳して하다(~する)と組み合わせて使っていたようで、具体的には忘れてしまったが、当時はこのような用例が他にも多くあった。今回、延吉で話した朝鮮族の先生は、今の若い人には「工作する」と言っても「仕事をする」の意味では通じないとのことであった。

    私は、そもそもソウルの平板型アクセントで韓国語を勉強したのであるが、「朝鮮中央TV」の影響からか、「変な」アクセントを付けた方が話しやすくなった。韓国の人からは「慶尚道で勉強したのか」と言われるのだが、「違う」と答えると「そんなアクセントだと北朝鮮の人と疑われる」と突然、北朝鮮に飛ぶ。私が北朝鮮のテレビを日々見ていることなど全く知らない人もそう言うので、私の「変な」アクセントは慶尚道のアクセントとも平壌のアクセントともとれる、へんてこなものなのであろう。それとも平板型以外は皆同じなのであろうか。

    書いているうちに思い出したのだが、延吉で閉店時間を少し過ぎたの北朝鮮レストランに「お腹がすいたので」と頼み込んで入れてもらった。「ご飯とスープとキムチしかありません」と言われたのだが、それでもよいからとお願いして入れてもらった。閉店後の北朝鮮レストランもなかなか味があって良かった。接待員ドンムたちが集まって夕食を食べていたのだが、彼女たちの話を聞いているのもおもしろかった。「明日の出勤時間は何時」とか普通の話をしていただけではあるが、上の話との関係からすれば、朝鮮族の朝鮮語よりも聞き取りやすかったことは間違いない。

    釜山のコンビニで両替をしてもらいながら「バスの料金は幾らですか」と聞いたらとても不思議な顔をされた。「カードを使って乗るからよく分からないが、1200ウォンぐらいかな」とのことであったが、変なアクセントに加えてカードを持っていない時点で「間諜申告」の対象になりそうだ。私は30年前に「脱南」したので、仕方がないのだが。

    「金正恩元帥様がデニス・ロッドマンとその一行とお会いになった」 (2013年9月6日 「朝鮮中央通信」)

    金正恩さんが、ロッドマン一行と会見したと「朝鮮中央通信」が報じた。日程は、前回のロッドマン訪朝時とほぼ同じで、会見後に4.25チームと鴨緑江チームのバスケット試合を観戦し晩餐会を催している。今回は4人程度と前回と比べると小規模の訪朝のようで、テレビ局も同行していないようだ。

    日本の寿司職人が、訪朝して金正恩さんと抱擁し、その後、再訪朝を認められなかったのに対し、米国に帰国後、テレビ番組に出演し、金正恩エピソードをあれこれと語ったロッドマンの訪朝を許可し、さらに会見まで行っていることは、彼のバスケットに対する思い入れもさることながら、やはり米国とのスポーツ・文化交流を通じた関係改善を念頭に置いたものであろう。

    金正恩さんはロッドマンに対しては「良い季節に、友人として我が国を再び訪問した」、「いつでも訪問して楽しい日々を過ごすように」と話し、ロッドマンも「(金正恩と)親しい関係になることができたので、再び訪問した」と語ったという。

    一方、ロバート・キング北朝鮮人権問題特命大使の訪朝は米国が米韓合同演習「乙支フリーダム・ガーディアン」にB-2A戦略爆撃機を投入したという理由で直前で取り消されたが、そちらを取り消しておきながら、直後にロッドマン一行を招き歓待しているところなど、なかなか上手い使い分けである。

    晩餐会には、李雪主夫人も出席しているとのことである。このようすを伝える「録画報道」か「記録映画」が楽しみだ。

    『朝鮮中央通信』、「김정은원수님께서 데니스 로드맨과 그 일행을 만나시였다」、http://www.kcna.kp/kcna.user.home.retrieveHomeInfoList.kcmsf;jsessionid=5E714BCF2502BA8FE14FAAA51F38AF07

    <追記>
    『労働新聞』に写真付きの記事が出ていた。

    金正恩さんが白の半袖シャツ姿で登場したのはこの写真が初めてのはずだ。左下の写真にはヘリコプターのローターらしきものが映り込んでいるが、彼はヘリコプターでさっそうと舞い降りたということであろうか。撮影された場所は、平壌市内か平壌近郊のはずなので、ヘリコプターなど使う必要は全くないはずなのだが、ロッドマン一行に米国大統領のようにヘリコプターでの飛来を見せたかったというだけではなく、『労働新聞』に敢えてローターが映り込んだ写真を使っていることからして、朝鮮人民に対してもそれをアピールしようとした可能性が高い。父はヘリコプターはもちろん、飛行機にも乗らなかった人だとのことなので、父との差別化を図りながら、新しい自分の時代を強調したいのではないだろうか。思えば、「先軍節」を記念日にしてしまったのも、父への敬意や先軍の強化事業ということと同時に、過去と現在の線引き的な意味合いがあるのかも知れない。

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    『労働新聞』、「경애하는 김 정 은원수님께서 우리 나라를 방문하고있는 미국 NBA 이전 선수 데니스 로드맨과 그 일행을 만나시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-09-07-0002&chAction=T

    バスケット試合は、前回のように平壌市民と共にではなく、幹部が同席しただけのようだ。もしかすると、ロッドマン訪朝が急だったので、人民動員やセキュリティー管理が間に合わなかったのかも知れない。
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    『労働新聞』、「경애하는 김 정 은원수님께서 우리 나라를 방문하고있는 미국 NBA 이전 선수 데니스 로드맨과 그 일행을 만나시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-09-07-0002&chAction=T

    ロッドマンのプレゼントは、バスケットボールとチームのユニフォームのようだ。
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    『労働新聞』、「경애하는 김 정 은원수님께서 우리 나라를 방문하고있는 미국 NBA 이전 선수 데니스 로드맨과 그 일행을 만나시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-09-07-0002&chAction=T

    ロッドマンと親しく話す金正恩。別記事にしようと思っていたのだが、最近の現地指導報道でも、彼の笑顔が目立っている。しかし、外国人、しかも朝鮮人民に言わせれば「入れ墨、帽子、ピアスなどなど、得体の知れない外国人」と満面の笑みをたたえながら話をする金正恩さんも、ある意味、衝撃的であろう。

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    『労働新聞』、「경애하는 김 정 은원수님께서 우리 나라를 방문하고있는 미국 NBA 이전 선수 데니스 로드맨과 그 일행을 만나시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-09-07-0002&chAction=T

    ロッドマンは帰国後、またテレビでもものを言うのであろうが、何を言うのかが楽しみだ。

    「その懐が一番良い」:6月頃出た歌か? (2013年9月4日 「朝鮮中央TV」)

    最近出た歌ではないと思うが、「朝鮮中央TV」が金正恩さんの「革命活動」を紹介した後に「その懐が一番良い」という曲を流しているので、紹介しておく(以前、紹介したことはないと思うのだが)。

    「その懐が一番良い」

    作詞:車ホグン
    作曲:金ウンリョン
    歌・演奏:モランボン楽団

    1.
    情が流れ、愛が熱く溢れる
    その方の暖かい微笑と親近なる声
    人徳が空(そら)のようで、限りなく抱かれたい
    ああ、元帥様、その懐が一番良い
    ららら、人民が従うその懐
    ああ、元帥様、その懐が一番良い

    2.
    遠い島の哨所、佃戸も山中の村も
    その方の心の中にはいつでも情のある家の庭
    人民を訪ねる歩み、全国の家々に届く
    ああ、元帥様、その懐が一番良い
    ららら、人民が従うその懐
    ああ、元帥様、その懐が一番良い 

    3.
    千万の息子、娘、戦友の隊伍で団結し
    その方の心臓に一つの血統でつながり生きるという
    この世界を全て与えてくれると言われても、永遠に離れて生きることはできない
    ああ、元帥様、その懐が一番良い
    ららら、人民が従うその懐
    ああ、元帥様、その懐が一番良い

    その懐が一番良い、ああ

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    Source: KCTV, 2013/9/4放送

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    Source: KCTV, 2013/9/4放送

    YouTube: http://www.youtube.com/watch?v=k-t2YRP-iJE

    「デニス・ロッドマン一行平壌到着」 (2013年9月3日 「朝鮮中央TV」)

    デニス・ロッドマン一行が平壌に到着したと9月3日、「朝鮮中央TV」が「20時報道」の中で映像付きで報じた。空港では、北朝鮮オリンピック委員会副委員長のソン・ガンオ体育省副相が出迎えた。『朝鮮中央通信』は動画と静止画付きでこのニュースを伝えているが、『労働新聞』にロッドマン関連の記事は出ていないようである。しかし、「朝鮮中央TV」がすぐに報じているところからすると、再び金正恩との会見が予定されているのかも知れない。

    高麗航空機から降りるロッドマン一行
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    Source: KCTV, 2013/9/3放送

    ソン・ガンオ副委員長と握手をするロッドマン
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    Source: KCTV, 2013/9/3放送

    空港での記念撮影をするロッドマン一行
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    Source: KCTV, 2013/9/3放送

    「母なる祖国を支える青春の歌」:玄松月処刑説はガセネタか? (2013年9月3日 「朝鮮中央TV」)

    『朝鮮日報』が「金正恩氏の元恋人ら公開処刑、わいせつ物制作で」と8月29日に報じた。この記事によると、「金正恩(キム・ジョンウン)第1書記とかつて交際していたとされる歌手の玄松月(ヒョン・ソンウォル)さんを含む、北朝鮮の有名な芸術関係者十数人が、金第1書記の指示に反し、わいせつ物を制作・販売したとして、今月20日に公開銃殺刑に処せられた」ということである。処刑された芸術家には銀河水管弦楽団の奏者なども含まれているということであるが、そういう趣味があったということならまだしも、平壌で裕福な生活をしているはずの彼らがそんな物を作って販売する理由は考えられない。大体危険を冒してそんなものを制作し、二束三文で平壌市民に販売して何の得があるのだろうか。銀河水にできなかったことといえば、金正恩さんが5月3日に指示した「戦勝節」におけるモランボン楽団とのコラボ公演だけである。しかし、銀河水は7月28日に「戦勝節」を記念して「勝利」公演を行っている。

    『朝鮮日報』、「金正恩氏の元恋人ら公開処刑、わいせつ物制作で」、http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/08/29/2013082900670.html

    『労働新聞』、「경애하는 김 정 은원수님께서 전승 60돐 경축공연준비를 하고있는 은하수관현악단의 창작가,예술인들을 만나시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-05-09-0001&chAction=S

    『労働新聞』、「7.27경축 은하수음악회 《승리》 진행」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-07-29-0012&chAction=S

    そのようなわけで、この記事を読んだときにガセネタ臭いと思ったのだが、それを示すように9月3日に「朝鮮中央TV」が「母なる祖国を支える青春の歌」という番組の中で、玄松月さんが歌っていると思われる「駿馬処女(処女:未婚女性の意)」という歌を他の歌と共に流した。番組では、歌手名こそ紹介されていないが、youtubeなどにアップロードされている玄松月が歌っているとされる同曲と聞き比べても声が同じように聞こえる。北朝鮮の場合、皆、独特の発声で歌を歌うので、誰が歌っても同じように聞こえてしまうので、何ともいえないところはあるが、私には同じように聞こえる。玄松月さんが大罪で公開処刑されたのであれば、処刑後1ヶ月も経たない時点で彼女の歌をテレビで流すであろうか。北朝鮮は、『朝鮮日報』の記事に対するコメントは出していないようであるが、もしかすると記事の内容があまりにも馬鹿馬鹿しいからなのかも知れない。そこで、さりげなくこの番組を放送したのかも知れない。韓国統一部・北韓情報センターの放送リストには、この番組は掲載されていない。番組間の歌番組は未掲載のこともあるので、意図的ではないと思うが、何とも言い難い。同センターのリストに掲載されていないので、再放送なのかどうかも分からない。画面サイズが4:3なので過去に制作された番組か、あるいは古いビデオをつなげて作ったためにこのサイズになったのであろう。

    「母なる祖国を支える青春の歌」
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    Source: KCTV, 2013/9/3放送

    「私を見て駿馬処女なんだって」
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    Source: KCTV, 2013/9/3放送

    気になることといえば、Youtubeにアップロードされている動画に出ている玄さんと思われる紡績工場の女工姿の女性が出ていないところではある。

    「ニュージーランドの白頭-漢怒オートバイ旅行団歓送行事開催」:長白山、板門店、エアロケット(ナロ号と光明星3-2号) (2013年8月30日 「労働新聞」)

    一昨日、中国・韓国の行脚を終え戻ってきた。その間、中国では北朝鮮メディアに接続することはできたものの、時間的余裕がなく十分に見られなかった。韓国では、北朝鮮系メディアは全てシャットアウトされており、大部分において、韓国メディアによる北朝鮮情報に依存するしかなかった。

    中国では、久しぶりに長白山(白頭山)に行ってみた。私は、93年頃、延吉を経て長白山に登ったのだが、今回行ってみて、その変貌ぶりに驚かされた。当時も今も、日帰りをするためには早朝に延吉を出発しなければならないのは同じであるが、長白山に到着してからが全く違っている。93年当時は、はっきりとした記憶がないものの、バスが到達できる地点には、小さな売店があっただけであった。そこから、延々と階段を登っていくわけであるが、案内をしてくれた朝鮮族の高校生にせかされながら登っても2時間はかかった(今の体力では、その1.5倍はかかりそうだ)。階段を登っていく人はいたものの、ずらっと列ができるほどではなかった。山頂には、中国人や韓国人観光客がおり、朝鮮族か韓国人かは不明であるが、チマチョゴリを着たおばあさんが踊りを踊っている姿が印象的であった。人々は、皆、持って来た弁当を食べており、私も案内してくれた高校生のお母さんが準備してくれた弁当を食べた。山頂で、食べ物を売っている人や写真屋がいたような気もするが、記憶が曖昧である。天池付近は特に整備されておらず、柵などはなかった。とにかく、広々とした天池付近を自由に歩き回ることができた。

    今回も93年並の登山を覚悟していったのだが、予想とは全く違っていた。93年は一般バスで行ったのだが、今回は観光バスで行った。初めに連れて行かれたのは、防寒具や長靴を貸す店舗であった。あまり立派な店ではなかったので、そこでは古き良き長白山を予想したのだが、次に連れて行かれたところでその期待は吹っ飛んだ。そこには巨大な駐車スペースがあり大きな観光施設やホテルが建っていた。観光バスが入れるのはそこまでで、そこからは長白山登山のバスに乗り換える。この入り口から登山口までは様々な有料・無料の観光スポットがあり、人々が見学していた。温泉や「地中の森」という不思議な場所もあった(が、行ってはいない)。

    比較的平坦な上り坂を上り詰めると、また大きな建物が建っている。周囲の様子が全く変わってしまっているので断言はできないが、恐らく、93年当時もこの地点まではバスが来ていたはずである。ところが、ここからが違うところで、ここでメルセデスベンツのワゴン車に乗り換え天池まで登っていく。かなり急な坂道ではあるが、運転手はものすごい速度で上がっていく。この道は良く舗装されており、普通車でも上れるはずである。93年当時も天池付近まで到達する道はあったが、4WDではないと登れないと言っていた。金を払えばこの4WDも調達できたような記憶がある。このワゴン車がピストン輸送で列をなして天池まで上がっていくわけであるが、その輸送量たるや凄い数である。

    天池に着くと、最後に数十段の階段が待っている。正確に数えたわけではないから、もっと多かったかも知れないが、いずれにせよ大した数ではない。階段はよく整備されており、ハイヒールや草履でも十分に上れる(が、お勧めはしない)。人の数が多いので、階段の入り口で調整を行っており、「渋滞」しないように上手く調整していた。天池付近には人が溜まっていたが、大体、写真を撮って移動してしまうので、天池が見えないということはなかった。一応、チェーンの柵があり、監視員もいたが、中国人民はその柵を乗り越え中に入り写真を撮っていた。監視員にも別に注意されていなかったが、かなり危険な場所で事故が起きても不思議ではないところである(多分、事故は発生しているのであろう)。

    私にとっては2回目の天池であったが、2回とも霧がかかることなく絶景を楽しむことができた。これが、白頭の霊将・金日成将軍のご加護であったのかどうかは分からないが、ラッキーであったことは間違いない。中国人ガイドの話によると、クリアに天池が見える確率は3~4割とのことだ。

    それで、北朝鮮側の動きはどうであったかというと、天池の水際にある警備所らしきところにあるボートが数十メートル動いては、Uターンして警備所に戻る行動を繰り返していた。誰かを乗せて「観光」させていたのか、北朝鮮側のアクティビティを見せるためのパフォーマンスだったのかは分からない。ともかくも、93年から中国は急速に発展し、北朝鮮はほぼ停滞的であるということなのであろう。ただ、長白山に向かうバスがトイレ休憩のために止まった食堂のトイレは、旧態依然としたトイレであった。都市部のトイレと比べると、隔世の感があるトイレであるが、これもまた中国の経済発展の現実を表すものであろう。

    その日本人民も一つ失態を演じた。バス乗り場で温泉卵を売っており、一緒に行った中国の先生が買ってくれた。ベンチが混んでいたので、階段に座って卵を食べることにしたのであるが、日本人民は何の躊躇もなく卵の殻を階段にポロポロと落としながら食べていた。すると、ほうきとちりとりを持ったオジサンがやってきて、同じことをやっていたオバサンを叱っていた。このオバサンも愚かな日本人民も中国では当たり前のことをやったつもりだったのだが、長白山リゾートではこのルールは適用されないようで、オジサンに叱られる前に慌ててティッシュで殻を片付けた次第である。思えば、トイレも含めて長白山リゾートは相当に清潔であった。特にトイレには、専属の清掃係員がいるようで、かなり頻繁に掃除をしている様子であった。

    韓国では久しぶりに板門店に行った。北側からは2010年に南を眺めたのであるが、南側から行くのは10年ぶりぐらいである。実は、北側から南を見たときに、あの「自由の家」を見て大変驚いた。私が最期に行ったときには、あんな建物はなく、小さな展望台があっただけだった。完全に北朝鮮の「板門閣」に圧倒されていたわけであるが、今は良い勝負である。また、赤十字会談などを行う「平和の家」も建設され、随分様子が変わっていた。

    ただ、会談場はそのままであまり様子は変わらなかった。記憶が曖昧であるが、最後に南側から入ったときには、机の上に国連旗と人共旗が置いてあったような気がするが、今回は国連旗のみであった。また、過去数回訪れた時は、人民軍兵士が窓からのぞき込みしきりと写真を撮っていたが、今回はそれもなかった。人民軍兵士のカメラがデジカメになったか確認したかったのだが、残念だ。人民軍兵士は板門閣の入り口に1人おり、こちらの様子を望遠鏡で見ていた(監視カメラが多く設置されており、これも単なるパフォーマンスであろう)。ただ、北側の観光団が来る少し前には、4名ほどの人民軍兵士が出てきて、会談場の北側ドア付近に立ち警備をしていたようだ。かつて行ったときには、人民軍兵士は軍帽をかぶっていたが、今回はヘルメットになっていた。

    その後、開城工業団地に繋がるCIQ(南北出入事務所)や都羅山駅を見学した。CIQは、開城が正常稼働しているときには、南北を行き来するトラックが走っていたのであろうが、今は静まりかえっていた。開城から撤収したと思われるバスなどの車両が付近の駐車場に止まっていた。都羅山駅にも南北を行き来する人が手続きをする施設や貨物の検査をする施設が設置されていたが、南北間の鉄道運行はたった1年間であったので、とても勿体ない気がする。

    長々と前置きを書いたが、その白頭山から板門店を経由して韓国に入国したニュージーランド人のバイクツアー団がいるという話を「朝鮮中央TV」が報じた。実は、この話は板門店観光のバスガイドが韓国のニュースで報じられたと車中で話していたのだが、何のことなのかよく分からなかった。

    このツアー団は8月29日に板門店を通過したとのことである。私は翌日の30日に板門店を訪問したのであるが、前日の29日で初めは申し込んだ。ところが、29日には観光がないということだったので、日にちをずらした。もしかするとこのツアー団通過と何らかの関係があったのかも知れない。

    板門店北側地域にある金日成「親筆」の前で記念撮影をするバイクツアー団
    2013-08-30-17flv_000754000.jpg
    Source: KCTV, https://www.youtube.com/watch?v=qzZ1uy6c6tI

    休戦協定が調印された会談場を見学するツアー団
    2013-08-30-17flv_000761000.jpg
    Source: KCTV, https://www.youtube.com/watch?v=qzZ1uy6c6tI

    板門閣前の階段から南側を見るツアー団
    2013-08-30-17flv_000765792.jpg
    Source: KCTV, https://www.youtube.com/watch?v=qzZ1uy6c6tI

    南側の様子。非常に短いカットである。金正恩が板門店を訪れたとき、「自由の家」が映ったカットを「朝鮮中央TV」が紹介したかは記憶が曖昧だが、なかったかもしれない。
    2013-08-30-17flv_000768542.jpg
    Source: KCTV, https://www.youtube.com/watch?v=qzZ1uy6c6tI

    朝鮮人民に見送られながら、南側に向かうツアー団
    2013-08-30-17flv_000826042.jpg
    Source: KCTV, https://www.youtube.com/watch?v=qzZ1uy6c6tI

    韓国人ガイドの話によると、このツアー団はウラジオストックをから北朝鮮入りしたとのことである。白頭山のどこまで行ったのかは分からないが、どういうコースで板門店に至ったのかは興味深い。恐らく、元山、平壌、開城、板門店ということなのだろうが、どこで南北の打ち合わせがなされたのか(韓国メディアの報道は、よく確認していない)、韓国側が板門店通過を許可したというのも、今の和解雰囲気がなければなかったであろう。彼らは、正式に板門店を通って南側に入った初めての外国人のはずである(銃撃戦の末、南側に保護されたソ連人はいたが)。

    『労働新聞』、「뉴질랜드백두-한나오토바이려행단 환송행사 진행」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-08-30-0030&chAction=S

    <追記>
    金浦空港に隣接するショッピング・モールを歩いていたら、おもしろい物を売っていた。

    左がオリジナル。ロケットが2機入っていたので、右は銀河3-2号にした。発射実験をした結果、銀河3-2の方が良く飛ぶようだが、ポンプを踏む足に力が入ってしまうからだろうか。
    P9020239.jpg
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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