「朝鮮で電子商業奉仕体系『玉流』運営」:北朝鮮のインターネットショッピング、価格改革か? (2015年4月1日 「朝鮮中央通信」)
「朝鮮中央通信」がネットショッピングを北朝鮮で開始したと報じた。記事は以下のとおり。
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国家ネットワークを通じて電子決済カードで運営されるこの奉仕体系は、人民奉仕総局が主管している。
奉仕体系には、国内の商業及び給養奉仕機関と人民消費品生産単位が網羅されており、人民の便宜性と勤労者の生産熱意を高めることに運営の目的がある。
奉仕ネットワークには、ヘダン会館、チョンジョンヘマジ食堂、謹製食料工場などの商店、食堂などで奉仕する商品と食品、食品生産単位の人気製品目録が掲載されている。
また、工場、企業所で生産する人民消費品と薬品も紹介されている。
電子商業奉仕体系に加入した住民は、コンピュータと携帯電話で購入しようとする商品を検索する。
購入しようとする商品について通報し、電子カードで金額を支払う。そして、商品発送を要求することもできる。
部員チョン・ソルファによれば、この奉仕体系は、住民が当該単位と連携し、質の良い商品を手軽に安い価格で奉仕できるということである。
一方、商品を生産する単位では、原価と価格を低下させるための競争も活発になるであろう。
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日本では普通に行われているインターネットショッピングを北朝鮮で部分的に導入したということのようだ。記事の中で興味深いのは、「原価と価格を低下させる競争も活発になる」と書かれている点である。北朝鮮の価格体系について、きちんと調べてみる必要はあるが、羅先の若いガイドが言ったことが公式的な立場だとすると「我が国の一物一価ですから、どこで買っても値段は同じです」ということになる。このガイド、新人だったので嘘を言う余裕もなかったはずで、学んだこと、つまり公式的な見解をそのまま言ったのだと思う。羅先シリーズにも書いたとおり、「いちば」を目の前にしてである。
すると、消費者が「生産単位」、つまり生産工場から直接物品を購入できるようになると、この原則がかなり崩れてくることになる。「いちば」は例外的な私的運営がされているわけであるが、こちらは「人民奉仕総局」なる国家機関が運営するサービスなので、例外ではない。電子商取引という限定的な空間ではあるが、北朝鮮の経済システムの変質の一端を表しているのかもしれない。
「朝鮮芸術映画」でも、「生産単位」はしばしば取り扱われるが、大体は「自力更生」を前提とした、「生産量確保」、「質の向上」である。記憶の中には、販売価格について云々する場面はない。これからは、もしかすると「販売価格」競争を展開する「朝鮮芸術映画」が出てくるのかもしれない。
「朝鮮民主主義人民共和国 黄金の三角州銀行」の「電子決済カード」。羅先のカードは「電子商業奉仕体系『玉流』」で使用可能なのだろうか。
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国家ネットワークを通じて電子決済カードで運営されるこの奉仕体系は、人民奉仕総局が主管している。
奉仕体系には、国内の商業及び給養奉仕機関と人民消費品生産単位が網羅されており、人民の便宜性と勤労者の生産熱意を高めることに運営の目的がある。
奉仕ネットワークには、ヘダン会館、チョンジョンヘマジ食堂、謹製食料工場などの商店、食堂などで奉仕する商品と食品、食品生産単位の人気製品目録が掲載されている。
また、工場、企業所で生産する人民消費品と薬品も紹介されている。
電子商業奉仕体系に加入した住民は、コンピュータと携帯電話で購入しようとする商品を検索する。
購入しようとする商品について通報し、電子カードで金額を支払う。そして、商品発送を要求することもできる。
部員チョン・ソルファによれば、この奉仕体系は、住民が当該単位と連携し、質の良い商品を手軽に安い価格で奉仕できるということである。
一方、商品を生産する単位では、原価と価格を低下させるための競争も活発になるであろう。
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日本では普通に行われているインターネットショッピングを北朝鮮で部分的に導入したということのようだ。記事の中で興味深いのは、「原価と価格を低下させる競争も活発になる」と書かれている点である。北朝鮮の価格体系について、きちんと調べてみる必要はあるが、羅先の若いガイドが言ったことが公式的な立場だとすると「我が国の一物一価ですから、どこで買っても値段は同じです」ということになる。このガイド、新人だったので嘘を言う余裕もなかったはずで、学んだこと、つまり公式的な見解をそのまま言ったのだと思う。羅先シリーズにも書いたとおり、「いちば」を目の前にしてである。
すると、消費者が「生産単位」、つまり生産工場から直接物品を購入できるようになると、この原則がかなり崩れてくることになる。「いちば」は例外的な私的運営がされているわけであるが、こちらは「人民奉仕総局」なる国家機関が運営するサービスなので、例外ではない。電子商取引という限定的な空間ではあるが、北朝鮮の経済システムの変質の一端を表しているのかもしれない。
「朝鮮芸術映画」でも、「生産単位」はしばしば取り扱われるが、大体は「自力更生」を前提とした、「生産量確保」、「質の向上」である。記憶の中には、販売価格について云々する場面はない。これからは、もしかすると「販売価格」競争を展開する「朝鮮芸術映画」が出てくるのかもしれない。
「朝鮮民主主義人民共和国 黄金の三角州銀行」の「電子決済カード」。羅先のカードは「電子商業奉仕体系『玉流』」で使用可能なのだろうか。