FC2ブログ

    北朝鮮における英語表記の英国式・米国式の使い分けについて

    昨日の記事に「centreと英国式スペルで書かれている」と書いたところ、お二方よりコメントを頂いた。お二人とも、北朝鮮では「英国式を使っているようだ」という内容であったが、調べてみると必ずしもそうではないようだ。

    用例の検索対象は『労働新聞』の英語版。文脈や固有名詞か否かまでのチェックはしていない。(E)が英国式、(US)が米国式。全記事を確認しているわけではなく、適宜数点をランダムに見た。

    1.-urと-ourの扱いでは混用
    labour colour honour は英国式
    rumor は rumour ではなく米国式

    2.-seと-zeの扱いでは米国式
    analyze criticize organize utilize

    3.-reと-erでは混用
    centre(E) center(US)
    metre(E) meter(US)
    theatre(E) theater(US)

    4.-ogueでは英国式
    dialogue prologue

    5.-oeと-aeでは混用
    encyclopaedia(E) encyclopedia(US)
    manoeuvre(E) maneuver(US)
    mediaeval(E) medieval(US)

    5.-queと-k,-ckは米国式
    bank check

    6.-e-の省略では米国式
    argument
    judgement

    7.-ceと-seでは混用
    defence(E) defense(US)

    8.その他名詞
    plough (E) 英国式
    programme(E) program(US) 混用

    9.-llか-lは混用
    modelling(E)
    signaling(US)
    travelling(E) traveling(US)

    10.不規則動詞と規則動詞では混用
    dreamt(E) dreamed(US)
    learnt(E) learned(US)

    11.英国では過去形が規則活用、米国では不変では英国式
    fitted(E)
    wedded(E)

    このような結果からすると、「米帝英語」を敢えて避けている様子もなく、また記述に関する特段のルールもなく、翻訳者の学習経験に基づいて使用しているようである。国家的な方針としてのよいリファレンスになるのは、北朝鮮で使われている英語教科書であるが、残念ながら参照できるものを持ち合わせていない。

    <追記>
    思いだしたが、年月日の表記は米国式を使っている。

    コメントの投稿

    非公開コメント

    勉強になりました。

    お世話になります。
    実は混用されているのですね。
    そこは、ケンチャナの世界なのでしょうか。
    ありがとうございました。

    Re: 勉強になりました。

    コメントありがとうございます。『労働新聞』web英語版を調べた結果ではそのようになりました。学校教育では適当なことはしていないでしょうから、やはり教科書を見たいところです。

    > お世話になります。
    > 実は混用されているのですね。
    > そこは、ケンチャナの世界なのでしょうか。
    > ありがとうございました。
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


    YouTube dprknow

    最新記事
    最新コメント
    最新トラックバック
    月別アーカイブ
    カテゴリ
    Visitors
    検索フォーム
    RSSリンクの表示
    リンク
    QRコード
    QR