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    ブータンも北朝鮮も「案内員」必須の旅行3:苦難の行軍、「ゾン」の機能、仏教系主要人物、特別撮影 (2024年3月30日)

    ブータンの「案内員」は、案内初日に日本の手配会社から渡された旅程表に書いてある日程と自分がブータンの支社から受け取った旅程表に書いてある日程が同一であるかどうかを客(筆者)と確認した。「案内員」が持っている旅程表は英文、私が受け取った旅程表は日本文だったが旅程は同じだった。

    そして、基本的に旅程表に書かれたコースを回るわけだが、天候等の影響により変更されることは当然あり得る。今回の旅行期間について言えば、ブータン中部の峠で大雪が降るという事態があった。幸い、私の場合は使用していた車がプラドであったことと、道路が閉鎖された日と1日ずれていたので、天候による大きな旅程変更はなかったが、同じホテルに宿泊していたドイツ人グループは道路閉鎖の影響を受けて次の目的地に行くことができなくなったと「案内員」が言っていた。

    3月22日には、トンサ・ゾンという城塞寺院を訪問した。
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    Source: 2024/03/22

    この寺院は、V字型の谷の上に位置している。V字型の谷の反対側には展望台を兼ねた売店があり、旅程ではこの売店から徒歩で谷を下り、トンサ・ゾンに登ることになっていたようだ。しかし、私はそのことを十分に認識していなかったので、「案内員」の「今日は、雨の影響で道の状態が悪いから歩くのは止めましょう」と提案に何も考えずに「そうですね」と応えた。結果、旅程は変更され、車でトンサ・ゾンのゲートまで行き、ゾンを見学後にはトンサの市場を散策することになった(それも後から分かった)。

    一通りトンサ・ゾンを見学後、出口のようなところに来たところで「案内人」が「ここから歩いても行けます」と言った。天気も良かったので私が反射的に「では、歩きましょう」と応えると、「トンサの市場は見なくてもいいですか」というので、気軽に「いいですよ」と応えた。そして、何が待ち構えているのか分からないまま「分かりました。では歩きましょう」ということになった。

    何が始まったのかというと、下の写真の右のトンサ城(トンサ・ゾン)から谷を下り、Bazamと書かれた谷川にかけられた橋を渡り、左側にあるView Pointまで登る行軍だった。
    20240330 tonsajo

    ここで少し「ゾン」について紹介しておく。「ゾン」というのは古い城なのだが、実は観光用だけの建物ではなく、寺院と行政機関が入っており現行で機能している。日本で言えば、県庁+お寺といった感じだろうか。ブータン滞在中、「ゾン」をいくつか訪問したが、全てがそうだったかは記憶が曖昧ながら、そのほとんどがそうだった。上の写真には数人の僧が写っているが、同じ「ゾン」の中には下の写真にあるような行政機関(農業部など)が入っている。
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    Source: 2024/03/22

    また、ジャッカル・ゾンには「ICT担当者」の部屋もあった。別記事に書いたQRコード賽銭箱同様、何とも不思議な組み合わせだ。
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    Source: 2024/03/20

    行軍の話に戻す。下の写真では、手前が出発点、反対側の丘にある白い建物がView Point(展望台を兼ねた売店)である。
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    Source: 2024/03/22

    歩いたコースを見ると下のような感じになる。高度2051mのトンサ・ゾンから1800mの川に下り再び2100mの展望台に登る。高低差は僅か200mだったが、かなりの急勾配で上りはとてもきつかった。
    20240330 tonsakosu

    しかも、この日は天気が良く、気温もかなり上がっていた。このような行軍をするのなら、「案内員」も水を持って来ていたのだろうが、持っていなかった。私はどこに行こうがリュックの中に最低、500mlのペットボトルを入れて歩くことにしているのだが(移動中の車内には大量のペットボトルの水が積み込まれているものの)、この日は偶然、前日、下の写真にあるメンバル・ツォ(燃える湖、川なのだが湖と呼ばれている)に行ったときにペットボトルに汲んでおいた「聖水」2本がリュックに入っていた。私と「案内員」はこのボトルを1本ずつ分け合い、苦難の行軍はなんとか切り抜けることができた。最悪、View Pointで待っている運転手に水を届けてもらうことになるところだったが、まさに神様に救われた形だ。
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    Source: 2024/03/21

    「案内員」は24日の旅程に書かれていた「タクツァン僧院へのハイキング(往復約 6~7 時間)」での私の「行軍」能力を心配していたようだが、このV字谷の「行軍」後には、「問題ありませんね」と言っていた。実際、「タクツァン僧院へのハイキング」は全体としての勾配も緩やかで、V字谷の「行軍」よりも遙かに楽だった。しかし、最も有名な観光地、しかも好天に恵まれた日曜日ということもあり、外国人観光客のみならずブータン人観光客もかなりいて登山道が混み合っており、自分のペースで進めなかった。

    高度2600m地点にある最終駐車場からから3100mへの約500mの登りであるが、それほどきつく感じなかった。火災で焼けた寺院を修復する際、寺院の近くまで道を作る計画もあったが、現国王がそれを取りやめにさせたと「案内員」が言っていた。これは英断で、道など作っていたらタクツァン寺院の価値は色々な意味で落ちていたであろう。(下の写真の「タクツァン僧院」と書かれている地点は最終目的地ではなく、赤い矢印がある地点が「タクツァン寺院」、つまり旅程にある最終目的地となる。)
    20240324 taku33

    目的地のタクツァン寺院もかなり混んでいたが、信仰心の厚い「案内員」は五体投地をきちんとしていた。私はというと、さすがに仏像の前に立っている外国人観光客達の尻に向かって五体投地をするのは気が引けたので「案内員」と一緒にはしなかった(その後、観光客が立ち去り誰も仏像の前にいない間に五体投地をしたが)。ここの寺院でも「案内員」は色々とこの寺院についての話をしてくれたが、とにかく撮影禁止なので、後で写真を見ながら話を思い出すということができない。

    ここで、「案内員」の話に登場する、仏教系の主要人物について紹介しておく。あくまでも「案内員」の話に基づくもので、きちんと文献などで確認したものではない。

    1.お釈迦様3人
    ・インドで悟りを開いた初代のお釈迦様
    ・輪廻転生で蓮の花から生まれた2代目のお釈迦様(現行のお釈迦様で、生まれてから2500年ぐらい経っている。別記事に書いた「全裸踊り」の寺院には石段があり、半分ぐらい埋もれている。お釈迦様の1代は5000年で、現在、2500経過したからは半分埋もれたと。)
    ・3代目の未来のお釈迦様(上記、「石段」がある寺院には3代目のお釈迦様の仏像もあり、椅子に座っている。ブータンの仏像のほとんどは座像。ティンプーで早朝散歩中に1つだけ立像を見た。椅子に座っているのは、3代目として立ち上がる準備ができていることを示しているというのが「案内員」の説明)

    現妃の26歳の誕生日を記念して建立された釈迦立像(ティンプー市内)。蓮の花の上に立っているので、2代目のお釈迦様なのだろう。
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    Source: 2024/03/18

    2.建国の祖とされるチベットの僧、「髭さん」(シャブドゥン・ガワン・ナムゲル)
    「案内員」は「髭さん」と言っていたが、この人の像や絵画も寺院や「ゾン」にはたくさんある。

    3.「国を守る神様」と「案内員」が言っていた神様。

    4.観音菩薩(四方を目渡す目、足や手に目があるバージョンもある)

    5.ペマ・リンパ (前記の「燃える湖」に蝋燭を持ったまま飛び込んで、仏教の宝物を水中から見つけ出した僧。水の中に入っても蝋燭が消えなかったので、「燃える湖」と名付けられたというのが「案内員」の説明)

    「案内員」の寺院や「ゾン」の歴史的な説明は、だいたい、上記の5人が主要登場人物となって展開される。その対となって登場するのが悪魔や悪者。絵画や像で「国を守る神様」に踏みつけられているのは男と女それぞれ1人。男は着衣状態だが女はいつも全裸で女性器がはっきりと描かれている。不浄な女の象徴なのだろうか。

    予定された旅程どおりであれば、ここで引き返すことになるのだが、さらに上にもう一つ寺院が見えた。見ているとそこに向かう人はほとんどおらず、さらに高い「高地」を占領したいという欲望は高まる。「案内員」に「あそこも行きましょうか、予定より早く着いているから時間はありますよね」と言ったら、若干躊躇した様子を示しつつも「はい、行きましょう」と応じてくれた。

    出発点は右下岩の辺りのお寺、目標は雲がある辺りにある頂上(のように見える)お寺。
    20240324 kouchi3
    Source: 2024/03/24

    20240324 2kougun

    高低差150mぐらいの山を登り、高度3200mぐらいの地点に到達する。道はあるが、勾配はきつかった。
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    寺院なので、当然、「案内員」は五体投地をすることになるのだが、残念ながら僧がいない。鍵こそかけられていないが、「案内員」は僧が不在の寺には入ろうとしない(市街地の寺で例外もあったが)。寺の周囲に道があり、時計回りに回りながら景色を楽しんでいると、僧が戻ってきた。僧は我々を寺の内部に招き入れて、色々と説明をしてくれた。賽銭を出そうと思ったら、ポケットに入っている一番少額の札は100ヌルタム(180円)。「案内員」のアドバイスで賽銭は10~20ヌルタムとしていたので、100ヌルタムは相対的には高額となる。しかしせっかくの機会なので五体投地をした後で賽銭100ヌルタムを置いた。例によって、僧からサフラン入りの「聖水」をもらって、頭につけた。この寺の直ぐ下には山から湧き出す「聖水」が出ているので、今思えば、この寺の「聖水」は飲んでも安全だったのだろう。
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    Source: 2024/03/24

    ブータンの寺にはサイコロが3つ置かれているところが多い。「案内員」からサイコロで運命を占うという話は聞いていたが、「案内員」も私も一度もやらなかった。しかしこの寺では「案内員」が占ってもらうというので、私もさらに100ヌルタム賽銭を出して僧に占ってもらった。13という西洋では不吉な数字が出たが、僧曰く「13は国を守る神様の数字だ。あなたは国を守る神様に守られている」と。「元帥様」の「核抑止力」よりも強そうな「国を守る神様」に守られているとは、何とも頼もしい話だ。

    一緒に記念写真撮影することを僧にお願いし、外に出ようとしたら僧は仏像の前で撮影しても良いと。「案内員」に「寺院内でもいいのか」と聞いたところ、「ここを管理している僧が言っているのだから大丈夫」と。「案内員」にとってもあまりない機会だったようで、私の撮影後に自分の写真も撮ってくれと頼まれたので撮影してあげた。

    中央にいるのが蓮の花から生まれた2代目のお釈迦様、左が「髭さん」、右が「国を守る神様」。この3人の写真を正式に撮影できたというのは私にとってもとても貴重だ。
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    Source: 2024/03/24

    この寺には宿坊が1室あり、「案内員」は近いうちに妻と共に宿坊に宿泊したいと言っていた。宿坊には使い回しの布団と簡単な調理施設があり、賽銭プラスα程度で宿泊できるのだと思う。

    下から見ると頂上のように見えるこの寺であるが、「上には上がある」という言葉どおり、さらに高いところにまた別の寺があった。「案内員」に「あそこまで行きましょう」と冗談で言ったら笑っていた。事後にGoogle Earthで調べてみるたところ、高度差は50mぐらいなので行けないこともなかったが、次にブータンを訪れたときの楽しみに取っておく。
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    Source: 2024/03/24

    山を下りながら「案内員」、「実はこのお寺まで大変だから登りたくなかった。でも結果的に来てとても良かった」と言っていた。とてもいい人だ。

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    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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