「<TV連続劇>水平線」 (2015年1月16日~26日 「朝鮮中央TV」)
「朝鮮中央TV」で1月16日からほぼ連続して26日まで「<TV連続劇>水平線」が放送された。番組のクレジットにも韓国統一部の番組情報にもこの「連続劇」がいつ制作されたのかは書かれていないので、制作時期は分からない。映像の雰囲気からすると最近の作品ではないようだが、何とも言えない。

Source: KCTV, 2015/01/26放送
1編が55分ほどのこの「連続劇」は全10部で構成されている。ストリーミングの音声不良で第3部は映像を見ることしかできなかったが、その他は見ることができた。放送期間もずっと気にはなっていたのだが、昨日、丸一日掛けて全編を一気に見た。
1960年代を時代背景としたストーリーの大きな流れは、朝鮮人民軍上将が金日成の命で「水産相」に転身、停滞した水産部門の改革を行っていくというもので、内容的には金正恩時代の「水産部門躍進」と重なるところがある。しかし、それだけではなく、家庭内の問題、恋愛問題、越南者の息子の生き様、北朝鮮の懲罰、買い物の仕方、「水産相」さえも攻撃対象とする「総話」、日本人の血を引く「南朝鮮」の女性工作員と堕落した労働党幹部の不倫関係、キリスト教にかぶれた「南朝鮮」工作員の親分なども登場してなかなかおもしろい。また、「首領様と一緒に指導されていた光明星」と呼ばれていた金正日の名前が最終回で明らかにされている。
「上将」の主人公

Source: KCTV, 2015/01/16放送
軍服を脱いで「水産相」となった主人公。「首領様」の命を受けて軍服を脱いでいるので降格という扱いではない。金正恩の命で軍人になったり民間人に戻ったりしている崔龍海も同じ扱いなのであろう。

Source: KCTV, 2015/01/17放送
ストーリーの後半では、金日成の命を受けて「水産相」がオホーツク海に遠洋漁船団を派遣する。これは実話らしく、当時撮影されたという白黒映画がドラマにナレーションと共に挿入されている。

Source: KCTV, 2015/01/24放送
上の写真からも分かるように、派遣された漁船は木造船で、遠洋航海に耐えられるようなものではない。それにもかかわらず、「首領様」の命を貫徹するために海軍軍人(「水産相」の息子も含む)と漁師(元人民軍海軍軍人)を派遣する。派遣理由は「遠洋漁業航路を開拓する」ということなのだが、無理矢理小さな木造船に行かせたので、流氷にぶつかり2隻が沈没してしまう。人命被害はなかったことになっているが、軍人も漁師も命からがらやっと帰港する。魚を捕ることもできず、漁船も失って、何が良いのか分からないのだが、「首領様」は喜び、「水産相」には勲章が授与される。
北朝鮮の懲罰の実態も垣間見ることができる。上に書いた「越南者の息子」、そして職務執行中にミスをして軍務を解かれた軍人は、半ば自分の意志で「炭鉱」に行く。しかし、ドラマの中で交わされる会話を聞いていると、「炭鉱」は「鍛錬」の場とされているようで、思想的な誤りを犯した者(やその家族)が炭鉱送りにされ、「鍛錬」させられるというシステムがあるようだ。この「越南者の息子」は「技術者」で、溶接作業中に火花の引火事故を引き起こしたことで炭鉱送りとされた。真面目な技術者で、炭鉱送りの最中も技術革新の提案をするが、炭鉱幹部に「君は言われたことだけやっていればよい。鍛錬中の身なんだぞ」と叱られる。叱る「炭鉱幹部」と「技術者」(手前)。

Source: KCTV, 2015/01/17放送
この技術者は、「水産相」により炭鉱から水産事業所の所属となり、漁船の改良研究に着手する。
不倫関係にある日本人を母に持つ「南朝鮮工作員」女性と労働党中堅幹部。女工作員は間抜けな男性工作員と偽装結婚をしている。間抜けな男性工作員が工作に失敗し、女性工作員の正体もばれ、服毒自殺に失敗して逮捕される(「蜂谷真由美」のように)。一方、好色労働党中堅幹部は女性工作員からもらった毒入りタバコを吸って殺される。南朝鮮工作員の目的は「北朝鮮を豊かにさせないこと」にあるのだが、今一つ何がしたいのかよく分からない。ハニートラップで労働党中堅幹部を抱き込み、「水産相」の事業を妨害しようということのようなのだが。

Source: KCTV, 2015/01/26放送
スパイもののドラマではないので仕方がないのだが、もう少し「工作員」には活躍して欲しかった。

Source: KCTV, 2015/01/26放送
1編が55分ほどのこの「連続劇」は全10部で構成されている。ストリーミングの音声不良で第3部は映像を見ることしかできなかったが、その他は見ることができた。放送期間もずっと気にはなっていたのだが、昨日、丸一日掛けて全編を一気に見た。
1960年代を時代背景としたストーリーの大きな流れは、朝鮮人民軍上将が金日成の命で「水産相」に転身、停滞した水産部門の改革を行っていくというもので、内容的には金正恩時代の「水産部門躍進」と重なるところがある。しかし、それだけではなく、家庭内の問題、恋愛問題、越南者の息子の生き様、北朝鮮の懲罰、買い物の仕方、「水産相」さえも攻撃対象とする「総話」、日本人の血を引く「南朝鮮」の女性工作員と堕落した労働党幹部の不倫関係、キリスト教にかぶれた「南朝鮮」工作員の親分なども登場してなかなかおもしろい。また、「首領様と一緒に指導されていた光明星」と呼ばれていた金正日の名前が最終回で明らかにされている。
「上将」の主人公

Source: KCTV, 2015/01/16放送
軍服を脱いで「水産相」となった主人公。「首領様」の命を受けて軍服を脱いでいるので降格という扱いではない。金正恩の命で軍人になったり民間人に戻ったりしている崔龍海も同じ扱いなのであろう。

Source: KCTV, 2015/01/17放送
ストーリーの後半では、金日成の命を受けて「水産相」がオホーツク海に遠洋漁船団を派遣する。これは実話らしく、当時撮影されたという白黒映画がドラマにナレーションと共に挿入されている。

Source: KCTV, 2015/01/24放送
上の写真からも分かるように、派遣された漁船は木造船で、遠洋航海に耐えられるようなものではない。それにもかかわらず、「首領様」の命を貫徹するために海軍軍人(「水産相」の息子も含む)と漁師(元人民軍海軍軍人)を派遣する。派遣理由は「遠洋漁業航路を開拓する」ということなのだが、無理矢理小さな木造船に行かせたので、流氷にぶつかり2隻が沈没してしまう。人命被害はなかったことになっているが、軍人も漁師も命からがらやっと帰港する。魚を捕ることもできず、漁船も失って、何が良いのか分からないのだが、「首領様」は喜び、「水産相」には勲章が授与される。
北朝鮮の懲罰の実態も垣間見ることができる。上に書いた「越南者の息子」、そして職務執行中にミスをして軍務を解かれた軍人は、半ば自分の意志で「炭鉱」に行く。しかし、ドラマの中で交わされる会話を聞いていると、「炭鉱」は「鍛錬」の場とされているようで、思想的な誤りを犯した者(やその家族)が炭鉱送りにされ、「鍛錬」させられるというシステムがあるようだ。この「越南者の息子」は「技術者」で、溶接作業中に火花の引火事故を引き起こしたことで炭鉱送りとされた。真面目な技術者で、炭鉱送りの最中も技術革新の提案をするが、炭鉱幹部に「君は言われたことだけやっていればよい。鍛錬中の身なんだぞ」と叱られる。叱る「炭鉱幹部」と「技術者」(手前)。

Source: KCTV, 2015/01/17放送
この技術者は、「水産相」により炭鉱から水産事業所の所属となり、漁船の改良研究に着手する。
不倫関係にある日本人を母に持つ「南朝鮮工作員」女性と労働党中堅幹部。女工作員は間抜けな男性工作員と偽装結婚をしている。間抜けな男性工作員が工作に失敗し、女性工作員の正体もばれ、服毒自殺に失敗して逮捕される(「蜂谷真由美」のように)。一方、好色労働党中堅幹部は女性工作員からもらった毒入りタバコを吸って殺される。南朝鮮工作員の目的は「北朝鮮を豊かにさせないこと」にあるのだが、今一つ何がしたいのかよく分からない。ハニートラップで労働党中堅幹部を抱き込み、「水産相」の事業を妨害しようということのようなのだが。

Source: KCTV, 2015/01/26放送
スパイもののドラマではないので仕方がないのだが、もう少し「工作員」には活躍して欲しかった。