「太陽民族の万年財宝-国家贈り物館を訪ねて(83)」:北朝鮮のHDTV化の現状、「元帥様が乗ったタンク」 (2015年1月27日 「朝鮮中央TV」)
「朝鮮中央TV」を見ていると、だんだんと16:9サイズの番組が増えてきた。しかし、放送は依然として4:3でしているようで、「朝鮮中央TV」のロゴは同じ位置にある。新しい素材は16:9で制作し、人民に受信設備が普及したら放送も切り替えようということなのかもしれない。「20時報道」を見ていても、ほとんどは4:3で制作されているが、部分的に16:9になる場合もある。
2015年1月17日の「20時報道」で報道された「カンナム郡チャンギョ協同農場」の堆肥作り(4:3のカメラで撮影)

Source: KCTV, 2015.01.17放送
続いて報道された「セポ地区畜産基地建設場」に関する報道(16:9のカメラで撮影)

Source: KCTV, 2015/01/17放送
海外で制作された番組は以前から16:9サイズで放送していた。下は「世界各国の動物たち」。「アニマルプラネット」からの引用だろうか。

Source: KCTV, 2015/01/25放送
「太陽民族の万年財宝-国家贈り物館を訪ねて(83)」も新しいものは16:9で制作されている。この「(83」)」は確認できる限りでは最も新しい番組である。この番組では、「国家贈り物館」に保存されている外国の首脳、海外の主体思想研究団体、金日成・金正日・金正恩を尊敬する個人や団体(外国、韓国、北朝鮮)が贈ったプレゼントが陳列されている。番組自体はかなり前から放送されているが、紹介するほどのこともないと思ったのでこれまで扱わなかった。

Source: KCTV, 2015/01/27放送
この番組の中で紹介される「先軍のパルコルム万代に受け継ぎ」というこの彫刻作品は、「2010年8月25日に人民軍隊のとある政治大学が偉大な将軍様に差し上げた贈り物」であるという。

Source: KCTV, 2015/01/27放送
普通に考えれば「先軍節」の贈り物であるが、同年9月に金正恩後継が確定しているので、「パルコルム」の歌詞が刻み込まれているなど、それを意識した作品となっている。また、この作品を紹介するナレーションでは面白いことを言っている。
「敬愛する元帥様が自らお乗りになったタンクとその後ろについていくタンクを彫刻し、敬愛する元帥様に従い、先軍革命偉業を完成する人民軍将兵たちの鉄石の意志をよく表している」とナレーション。よく見ると先頭のタンクからは「元帥様」の頭らしきものが出ている。

Source: KCTV, 2015/01/27放送
このナレーションを他事をしながら聞いていた時は、「(金正恩)元帥様」がもらった贈り物なのかと思っていた。しかし、贈られた日付「2010年8月25日」は、「元帥様」どころか大将にもなっていない。文脈からは明らかに「(金正日)元帥様」ではなく、「(金正恩)元帥様」のことなのだろうから、戦車に乗る前に、しかも「元帥様」になる2年以上前にこんな作品ができてしまったというのは実に不思議な話だ。連体形の受け係りからは「元帥様が乗ったのと同じ戦車」とも取れるが、だとして、先頭の戦車から出ている頭はいったい誰なのだろうか。非公開で「大将」に昇格する前の金正恩が戦車に乗ったとでもいう話なのだろうか。「元帥様」がタンクに乗った映像は、2012年1月初旬に「朝鮮中央TV」で公開されたのが初めてである((しかも、その時はまだ「元帥称号」はなかった)。

Source: KCTV, 2012/01/08
2015年1月17日の「20時報道」で報道された「カンナム郡チャンギョ協同農場」の堆肥作り(4:3のカメラで撮影)

Source: KCTV, 2015.01.17放送
続いて報道された「セポ地区畜産基地建設場」に関する報道(16:9のカメラで撮影)

Source: KCTV, 2015/01/17放送
海外で制作された番組は以前から16:9サイズで放送していた。下は「世界各国の動物たち」。「アニマルプラネット」からの引用だろうか。

Source: KCTV, 2015/01/25放送
「太陽民族の万年財宝-国家贈り物館を訪ねて(83)」も新しいものは16:9で制作されている。この「(83」)」は確認できる限りでは最も新しい番組である。この番組では、「国家贈り物館」に保存されている外国の首脳、海外の主体思想研究団体、金日成・金正日・金正恩を尊敬する個人や団体(外国、韓国、北朝鮮)が贈ったプレゼントが陳列されている。番組自体はかなり前から放送されているが、紹介するほどのこともないと思ったのでこれまで扱わなかった。

Source: KCTV, 2015/01/27放送
この番組の中で紹介される「先軍のパルコルム万代に受け継ぎ」というこの彫刻作品は、「2010年8月25日に人民軍隊のとある政治大学が偉大な将軍様に差し上げた贈り物」であるという。

Source: KCTV, 2015/01/27放送
普通に考えれば「先軍節」の贈り物であるが、同年9月に金正恩後継が確定しているので、「パルコルム」の歌詞が刻み込まれているなど、それを意識した作品となっている。また、この作品を紹介するナレーションでは面白いことを言っている。
「敬愛する元帥様が自らお乗りになったタンクとその後ろについていくタンクを彫刻し、敬愛する元帥様に従い、先軍革命偉業を完成する人民軍将兵たちの鉄石の意志をよく表している」とナレーション。よく見ると先頭のタンクからは「元帥様」の頭らしきものが出ている。

Source: KCTV, 2015/01/27放送
このナレーションを他事をしながら聞いていた時は、「(金正恩)元帥様」がもらった贈り物なのかと思っていた。しかし、贈られた日付「2010年8月25日」は、「元帥様」どころか大将にもなっていない。文脈からは明らかに「(金正日)元帥様」ではなく、「(金正恩)元帥様」のことなのだろうから、戦車に乗る前に、しかも「元帥様」になる2年以上前にこんな作品ができてしまったというのは実に不思議な話だ。連体形の受け係りからは「元帥様が乗ったのと同じ戦車」とも取れるが、だとして、先頭の戦車から出ている頭はいったい誰なのだろうか。非公開で「大将」に昇格する前の金正恩が戦車に乗ったとでもいう話なのだろうか。「元帥様」がタンクに乗った映像は、2012年1月初旬に「朝鮮中央TV」で公開されたのが初めてである((しかも、その時はまだ「元帥称号」はなかった)。

Source: KCTV, 2012/01/08