「朝鮮外務省スポークスマン自国映画制作普及社に対するサイバー攻撃を巡って共和国を取りざたする米国を断罪」攻撃をするなら責任者、その能力はある、名誉毀損、共同調査提案、「対応措置」(報復)には厳しい結果 (2014年12月20日 「朝鮮中央通信」)
조선외무성 대변인 자국영화제작보급사에 대한 싸이버공격을 놓고 공화국을 걸고든 미국을 단죄
Sony Pictures Entertainment(SPE)へのハッカー攻撃について、北朝鮮外務省が朝鮮中央新聞社記者の質問に「回答」した。
「回答」では、北朝鮮が今回のSPEに対するサイバー攻撃に関与したことを否定しながらも、「我々の最高尊厳を冒涜する不純分子を絶対に見逃しはしないが、報復するにしても映画館の罪のない観客を目標とするテロ攻撃ではなく、反共和国敵対行為に背金がある者共と本拠地に対する正々堂々たる報復攻撃を加える」としている。実に北朝鮮らしい「回答」である。北朝鮮は「無差別殺人」によるテロリスト的な手法ではなく、攻撃をしてもターゲットを定めて「懲罰」すると主張し、「我々の軍隊は、そうした意志も能力も持ち合わせている」としている。
実際、「そうした意志や能力」よりも、映画の劇場公開を中止さに追い込み、米国大統領にまでこうした問題に対する「一般的」な深刻さを公式に発言させた「攻撃手法」はたいしたものである。ハッカー集団ではなく、北朝鮮という国家がそれをやったのであれば、米国に対する非常に有効な攻撃を国家レベルで成し遂げたということになる。成果は確認できたわけだから、能力を誇りつつ、関与を否定するのは戦術的には正しい。その系では、拙部録に書いた、「最高尊厳の頭が吹っ飛ぶ」映像をリークすることすら、躊躇しなかったのかもしれない。ハッカーが北朝鮮だとすれば、ハッキングで入手した「最高尊厳暗殺シーン」を流布したことは、「戦術」「作戦」以外にはあり得ない。対内的にはそうした事実について公開しないだろうが、これは「北朝鮮の関与否定」の重要な「証拠」として今後言及されるであろう。
北朝鮮は、「米国が表現の自由についてだけこだわりながら、一主権国家の最高尊厳を冒涜した映画制作を正当化しようとしていることが国際法実践では名誉毀損に対する処罰もあるということを知らなければならない」と主張している。「名誉毀損」というのは、その「名誉」の認定から入るのであろうが、そもそもその対象に国家元首がはいるのか、「名誉」の認定をどこでするのかという問題がある。「南朝鮮」の大統領の「名誉」を日本の新聞記者が毀損したという問題とも全く無関係ではない。
しかし、北朝鮮はこの機会を米国との接触に利用しようともしており、「我々は米国と今回の事件に関する共同調査を行うことを主張する」ともしている。その上で、「我々は、米中央情報局のように拷問という方法を使わなくても、今回の事件が我々と関連しないということを立証する方法がある」としている。この辺り、実にタイムリーで上手なレトリックだと思う。
もちろん「回答」は、「我々に対して対応措置を云々するならば、重大な結果をもたらすことになる」という警告も忘れてはいない。
今回のSEPに対する攻撃が北朝鮮によるものであったにせよ、第三者によるものであったにせよ、現時点では北朝鮮が優勢である。
現実的に、米国は報復手段を持ち合わせていないのではないだろうか。オバマ大統領は「弱小国が我々に対してサイバー攻撃をする恐れがある」と漏らしていた。この発言は、今回の攻撃とその結果が、「弱小国」のみならずテロリストなどの非国家組織にも非常に有効な攻撃手法を提示することになったということを認めざるを得なかったのではないだろうか。
いずれにせよ、北朝鮮による仕業であったなら当面は戦勝、そでなかったとしてもそれに便乗して当面は戦勝ということであろう。
日本政府のレスポンスはこれまで確認できていないが、SONY本社が日本であることを忘れてはならない。そして、世界はSONY会長の防衛的後退が「米国式民主主義の理念と合致するのか」また「本当に有効であったのか」について議論することになろう。
ハッカー集団は「9.11」を挙げたが、今回の事態は「2014.12.19」ともいえる事態なのかもしれない。