「朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマン声明」:国連人権委員会決議非難、米国・日本・EUが主導、日朝協議への影響、新たな核実験 (2014年11月20日 「朝鮮中央通信」)
「朝鮮中央通信」が20日付けの報道として「朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマン声明」を伝えた。同「声明」では、国連人権委員会(第3委員会)が、「北朝鮮人権状況決議」を採択したことについて、「当事国(北朝鮮)に対する一度の訪問もなく」作成された「調査報告書」に基づくものであるとし、「少なからぬ国が人権問題ではなく、経済援助を中止するという米国と日本の威嚇により投票した」とし、「今回の『決議』採択騒ぎが政治的欺瞞であった」と非難している。
また「声明」は、今回の「決議」を主導したのは、「(米国)の下手人である」「EUの一部の国と日本」であるとしており、「奴らが標榜してきた『人権努力』が本当の人権向上のためのものではなく、米国の対朝鮮敵対視政策に対する追従でであり、ゴマスリであったことを自ら明らかにした」としている。
その上で「米国の追従国は、人権対話を呼びかけた奴らの立場が偽善であったことを明らかにし、人権対話はもちろん、対話一般と交流協力の門を自ら閉じてしまった」としている。注目すべきは、この「声明」が「対話一般と交流協力の門を自ら閉じた」と言っている点で、「対話一般と交流協力」に現在進行中の「ストックホルム合意」が含まれるのかという点である。特に、日本は今回の「決議」に拉致問題を含ませるよう働きかけており、それが「対話一般と交流協力の門を」「閉じ」させる結果となるのであれば、国連の場を通じた国際的「人権」圧力を拉致問題解決に繋げようという日本の目論見は失敗であったということになってしまう。
過去記事にも書いたとおり、北朝鮮は日本の選挙結果を見極めるまでは、拉致問題協議に関する動きは一時止めることになろうが、この「声明」を上記のように捉えるのであれば、日本に対する不満の表出である。日本側は、最高裁による総連ビルの「売却許可確定」で北朝鮮に圧力を加えたが、それへの反発の意味も含まれるのであろう。
一方、米国に対しては、「米国の対朝鮮敵対行為が、我々の新たな核実験をこれ以上自制することができなくさせた」としており、場合によっては12月に「将軍様追悼核実験」を実施することになるのかもしれない。さらなる核実験を行えば、かなり高い確率で日朝協議は中断されるであろうし、崔龍海のロシア訪問で得られるであろう経済協力や金正恩訪ロといった成果の一部も流れてしまうことになろう。
この「声明」は単なる威嚇に過ぎないのかもしれないが、国連総会でさらなる決議が行われ、中国(とロシアも?)の反対で実現しないにせよ、国連安保理で「元帥様」を国際刑事裁判所(ICC)に提訴することが議論されるような状況になれば、北朝鮮はさらに反発を強めるのではないだろうか。
<追記:11月22日>
20日発の「朝鮮中央通信」が、「ロシア外務大臣セルゲイ・ラブロフが国連機関が裁判検察機関となってはならないと言明した」と伝えた。同通信によると「ロシアは国連総会で朝鮮民主主義人民共和国の『人権状況』に関する『決議』に反対投票をする」としており、これも崔龍海一行の訪ロ成果の一つであろう。12月中下旬に予定されている国連総会での投票結果を見なくては分からないが、ロシアの他にも金永南が訪問したアフリカを中心とした国々が反対投票をする可能性がある。
ロシアメディアでラブロフ発言は確認していないが、20日(ワシントン時間)の米国務省定例記者会見でラブロフ発言に関する質問が出されているので、この発言内容は事実なのであろう。
上記で「将軍様追悼核実験」の可能性についても言及したが、投票前に核実験をしてしまうと国連総会での投票のみならず、安保理で中ロが賛成に回る可能性もあるので、核実験はしばらく控えるのかもしれない。
また「声明」は、今回の「決議」を主導したのは、「(米国)の下手人である」「EUの一部の国と日本」であるとしており、「奴らが標榜してきた『人権努力』が本当の人権向上のためのものではなく、米国の対朝鮮敵対視政策に対する追従でであり、ゴマスリであったことを自ら明らかにした」としている。
その上で「米国の追従国は、人権対話を呼びかけた奴らの立場が偽善であったことを明らかにし、人権対話はもちろん、対話一般と交流協力の門を自ら閉じてしまった」としている。注目すべきは、この「声明」が「対話一般と交流協力の門を自ら閉じた」と言っている点で、「対話一般と交流協力」に現在進行中の「ストックホルム合意」が含まれるのかという点である。特に、日本は今回の「決議」に拉致問題を含ませるよう働きかけており、それが「対話一般と交流協力の門を」「閉じ」させる結果となるのであれば、国連の場を通じた国際的「人権」圧力を拉致問題解決に繋げようという日本の目論見は失敗であったということになってしまう。
過去記事にも書いたとおり、北朝鮮は日本の選挙結果を見極めるまでは、拉致問題協議に関する動きは一時止めることになろうが、この「声明」を上記のように捉えるのであれば、日本に対する不満の表出である。日本側は、最高裁による総連ビルの「売却許可確定」で北朝鮮に圧力を加えたが、それへの反発の意味も含まれるのであろう。
一方、米国に対しては、「米国の対朝鮮敵対行為が、我々の新たな核実験をこれ以上自制することができなくさせた」としており、場合によっては12月に「将軍様追悼核実験」を実施することになるのかもしれない。さらなる核実験を行えば、かなり高い確率で日朝協議は中断されるであろうし、崔龍海のロシア訪問で得られるであろう経済協力や金正恩訪ロといった成果の一部も流れてしまうことになろう。
この「声明」は単なる威嚇に過ぎないのかもしれないが、国連総会でさらなる決議が行われ、中国(とロシアも?)の反対で実現しないにせよ、国連安保理で「元帥様」を国際刑事裁判所(ICC)に提訴することが議論されるような状況になれば、北朝鮮はさらに反発を強めるのではないだろうか。
<追記:11月22日>
20日発の「朝鮮中央通信」が、「ロシア外務大臣セルゲイ・ラブロフが国連機関が裁判検察機関となってはならないと言明した」と伝えた。同通信によると「ロシアは国連総会で朝鮮民主主義人民共和国の『人権状況』に関する『決議』に反対投票をする」としており、これも崔龍海一行の訪ロ成果の一つであろう。12月中下旬に予定されている国連総会での投票結果を見なくては分からないが、ロシアの他にも金永南が訪問したアフリカを中心とした国々が反対投票をする可能性がある。
ロシアメディアでラブロフ発言は確認していないが、20日(ワシントン時間)の米国務省定例記者会見でラブロフ発言に関する質問が出されているので、この発言内容は事実なのであろう。
上記で「将軍様追悼核実験」の可能性についても言及したが、投票前に核実験をしてしまうと国連総会での投票のみならず、安保理で中ロが賛成に回る可能性もあるので、核実験はしばらく控えるのかもしれない。