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    「<録画報道>第17回アジア競技大会で特記すべき成果をあげた我々の選手が平壌到着及び沿道歓迎ニュース」 (2014年10月5日 「朝鮮中央TV」)

    5日は午前9時から「朝鮮中央TV」が放送していたにもかかわらず、ストリーミングが終日なかった。今朝、uriminzokkiriを見たら、昨日放送された主要な番組がアップロードされていた。中でもアジア大会に参加した選手団の帰国を紹介する表題の番組は興味深いので紹介しておく。

    北朝鮮選手が「14の種目に参加」し、「金メダル11個、銀メダル11個、銅メダル14個を獲得した」と平壌空港で紹介する「体育省副相」のウォン・キルウ
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    Source: KCTV, 2014/10/05放送

    過去記事でも紹介したサッカー女子、ラ・ウンシム選手のお父さん。「誇らしい娘たちを育ててくれた母なる党にお礼を申し上げたいです」と述べている。家でのインタビューとは違い、「公式的」なことを言っている。
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    Source: KCTV, 2014/10/05放送

    ホ・ウンビョル選手のお母さん李スンヒもインタビューに答えている。中央で画面を左右に分断するという編集をしている。あまり見ない切り方である。「町中の人が訪ねてきてお祝いしてくれるので、私たちの家族はその日からずっと名節です」と話している。
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    Source: KCTV, 2014/10/05放送

    平壌空港に到着した高麗航空機からまず降りてきたのはやはり女子サッカーチームであった。タラップの途中で立ち止まり「敬愛する金正恩元帥様万歳!」と万歳三唱。通過儀礼であろう。
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    Source: KCTV, 2014/10/05放送

    玄永哲(国防委員会副委員長)、金己男(労働党秘書)、崔泰福(最高人民会議議長)、崔龍海(国家体育指導委員会院長)、金養建(統一戦線部長)などが出迎えに出ている。訪韓した金養建が出てきているのは、「南朝鮮」の地でよく戦ったという意味合いであろうか。
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    Source: KCTV, 2014/10/05放送

    「我が国のサッカー女子チームに3対1で破り名誉の1位を勝ち取った時、とても興奮しました。日本チームを夜中の2時までテレビを放送し、我々の女子サッカーチームが最高だ誇りだ、元帥様に喜びを与えた女子チームを熱烈に歓迎します」と興奮気味に語る男性。やはり、女子チームが優勝した日、0時から「録画実況」を放送したというのは、いかに「日本を破り優勝」が大きな出来事でったかを示しているようである。
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    Source: KCTV, 2014/10/05放送

    車列は先頭が女子サッカーチームを乗せたオープンの大型車、それに続くオープンの大型車にはその他の種目で金メダルを取った選手が乗っているようであるが、カメラは女子サッカーチームを中心に撮影しており、2台目の大型車の選手たちはほとんど写らない。
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    Source: KCTV, 2014/10/05放送

    沿道で歓迎する人々。北朝鮮では、しばしば「沿道歓迎」をやる。例えば、「銀河3-2号機」打ち上げに成功した科学者の平壌訪問時もこうした「沿道歓迎」を行ったが、その時とはかなり雰囲気が違う。というのは、下の写真でも見られるように「動員」されたと思われるチマチョゴリを着て花束を持った人の他にも後ろの方で多くの人々が歓迎をしている。また、「動員」による歓迎の場合、無関係な様子で道を歩く市民も写るのだが、今回はそうした人はほとんど出てこない。日曜日の凱旋だったということも影響しているのかもしれないが、こんなに「非人工的」な歓迎風景は初めて見た。
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    Source: KCTV, 2014/10/05放送

    また、いつもと雰囲気が違うのは、沿道の建物である。番組を見ていると、沿道の建物で窓がい空いている部屋がたくさん写っている。そして、例えば下の写真で見られるように、窓から手を振って選手を歓迎している人々もたくさんいる。
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    Source: KCTV, 2014/10/05放送

    北朝鮮報道では「煮えたぎっている」という表現をしばしば使うが、この歓迎風景を見ていると、まさに平壌全体が「煮えたぎっている」ように見える。一方で、やはりこの番組でも男子サッカーチームについては一切紹介されなかった。冒頭に書いた「銀メダル11個」の1つにはカウントされているはずだが、あれだけ頑張ったのに試合結果すら紹介されないというのは気の毒で仕方がない。「南朝鮮に負けた」というのが最大の原因なのだろうが、それでも男子チームも祝福して欲しいものだ。

    番組は「祖国賛歌」が流れる中、「大元帥様」の銅像に凱旋報告をする選手たちの姿を映しながら終わる。
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    Source: KCTV, 2014/10/05放送

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    非公開コメント

    国の誇りをかけて

    お世話になります。

    よほど嬉しかったのか、というか、これほど人民を熱狂させる話題はかつてなかったからか、女子サッカーの実況録画は繰り返し、くどいくらい放送されていますね。

    面白いのは、他の国は韓国のインチキ試合ぶりを非難しているのに、北朝鮮メディアはこれに一切触れず、また自身も同様の非難をしていないことです。

    それがなぜかはわかりませんが、堂々と全力をかけて戦ったという自負があるからでしょうか?

    ともかく、自らの誇りをかけて全力で戦った北朝鮮選手団に敬意を表します。

    Re: 国の誇りをかけて

    コメントありがとうございます。昨夜もサッカー女子対日戦の様子を放送していましたね。国内の祝賀ムードを盛り上げたまま10月10日を迎えるためにも、しばらくは再放送が続くのではないでしょうか。

    韓国の「不正」については意識していませんでしたが、検索してみるとボクシングのジャッジなどの話が出てきました。この辺りのことは、北朝鮮には直接関係ないということなのでしょうし、政治とスポーツは分離するという方針があるのだと思います。しかも、黄炳瑞一行をスポーツ関連で訪韓させたので、スポーツで波風は立てたくないという思惑があるかもしれません。

    昨日書いた記事に書き忘れましたが、平壌市民は、「朝鮮チームは3点取得後も積極的に攻撃した」と言っていました。確かに、時間稼ぎをすることなく最後まで責め続けたと思います。この辺り、過去記事に書いた「先鋒チームの不名誉」の教訓が活かされているのだと思います。

    > お世話になります。
    >
    > よほど嬉しかったのか、というか、これほど人民を熱狂させる話題はかつてなかったからか、女子サッカーの実況録画は繰り返し、くどいくらい放送されていますね。
    >
    > 面白いのは、他の国は韓国のインチキ試合ぶりを非難しているのに、北朝鮮メディアはこれに一切触れず、また自身も同様の非難をしていないことです。
    >
    > それがなぜかはわかりませんが、堂々と全力をかけて戦ったという自負があるからでしょうか?
    >
    > ともかく、自らの誇りをかけて全力で戦った北朝鮮選手団に敬意を表します。

    No title

    >この辺りのことは、北朝鮮には直接関係ない

    いやいや大いに有りで此方をご覧ください。
    http://news.livedoor.com/article/detail/9323356/
    『決勝で敗れた北朝鮮代表監督が「審判は不公平だった」』

    男子サッカーに言及すると此方に話しが移るのは必至なので外交的配慮から敢えて触れなかった見るべきではないでしょうか。


    あとチケット売り切れのはずがガラガラの会場も酷かったです。
    http://japan.hani.co.kr/arti/politics/18301.html

    ガラガラなのに
    女子サッカー決勝戦チケットが確保出来なかったお詫び
    https://www.facebook.com/japannetwork/posts/956602897689489

    ガラガラ

    コメントありがとうございます。男子サッカー北朝鮮対韓国戦の審判の挙動について、北朝鮮の監督がクレームを言ったという報道は読みました。他の方から頂いたコメントに「韓国のインチキ試合」と書かれていたので、何かと思い探したところ「アジア大会組織委、ボクシングのメダル拒否受け「フェアプレーの徹底を」(http://www.msn.com/ja-jp/sports/baseball/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E5%A4%A7%E4%BC%9A%E7%B5%84%E7%B9%94%E5%A7%94%E3%80%81%E3%83%9C%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%83%80%E3%83%AB%E6%8B%92%E5%90%A6%E5%8F%97%E3%81%91%E3%80%8C%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%BE%B9%E5%BA%95%E3%82%92%E3%80%8D/ar-BB6WRlL)がありましたので、そちらかと思った次第です(こちらは、北朝鮮は直接的な関係はありませんでした)。

    「ガラガラ」については、私も不思議に思っていました。忖度するに、北朝鮮戦のチケットについては会場でのトラブルを避けるために販売枚数をコントロールしていたのではないでしょうか。韓国側にとっては、親睦団体に大量に流れて、北朝鮮に利用されるとか、あるいは保守系団体に大量に流れて北朝鮮応援団とトラブルになるとか。逆に北朝鮮が韓国人との接触を避けるために海外で大量に買い付けた、とか。北朝鮮の応援席はしっかりとガードされていたようなので後者の可能性は少ないですが、前者はありそうな気がしています。

    > >この辺りのことは、北朝鮮には直接関係ない
    >
    > いやいや大いに有りで此方をご覧ください。
    > http://news.livedoor.com/article/detail/9323356/
    > 『決勝で敗れた北朝鮮代表監督が「審判は不公平だった」』
    >
    > 男子サッカーに言及すると此方に話しが移るのは必至なので外交的配慮から敢えて触れなかった見るべきではないでしょうか。
    >
    >
    > あとチケット売り切れのはずがガラガラの会場も酷かったです。
    > http://japan.hani.co.kr/arti/politics/18301.html
    >
    > ガラガラなのに
    > 女子サッカー決勝戦チケットが確保出来なかったお詫び
    > https://www.facebook.com/japannetwork/posts/956602897689489

    No title

    別の欄となりますが、返信に感謝します。

    以下、参考までに。動画です。通商保守と称される中央日報のまとめと分析も興味深いものでしたが、更に突っ込んだ、特に何故一日前の打診であったのかという点にまで問いを立てながら、今回の訪韓につき分析しています。私が川口先生に投げた質問に対しても、一つの確実に合理的な解釈が出されていましたので、ご視聴されてみては如何でしょうか?

    公開されていない情報が多いので、過去のことなどと対比しながら、又時系列での北側の論調などに基づきながら、解釈分析することは非常に重要ではありますが、結構、南の専門家とされる人たちも、類推を超えての当てずっぽうになりがちですね、明らかに。
    今回改めて聯合の動画サイトを半日ほど見続けて再確認しました。

    一番大切なのは、内在的アプローチだと考えます。こうじゃないかああじゃないと類推するのも大切ですが、それが北の志向や構想、政策さらには気質や思考の展開などを、当にW/ペリーが昔言ったように、あるがままに見る、受け入れることでしょう。

    でなければ、浅井基文さんが言う天動説的な分析に陥るばかりです。

    南における少なくない専門家でさえそれに陥っているのですから、そりゃ日本ではもっとそうだろうなと考えます。勿論所属や国籍、民族は二義的です。ですから、アメリカのJ・ウィットなどの分析は、非常に妥当性があるものと考えます。勿論日本以上にアメリカはもっと陥ってますが。

    日本で、例えば先生の後輩に当るであろう磯崎さんとか、関西学院の方とか、今は防研に行かれた方、お二人とも名前忘れましたが、とかが時々テレビなどに出てされているのを聞いても、妥当性を感じません。
    ほとんどは、柳の下に幽霊を見るようなもので、居ると思えば居るし、居ないと思えば居ないし。つまり、居るか居ないかは観察者次第なのでしょう。
    とすれば、内在的アプローチでなけば幽霊を見るようなものです。

    これでは、妥当な分析や解釈を導くことは困難であるし、間違った解釈もやはり誤報でしょう。

    是非ご活躍下さるよう、祈念します。

    http://www.615tv.net/news/view.html?section=80&category=85&no=3314&PHPSESSID=9ef8fd058fa6f14b6fb241ecba4c8b51

    No title

    すいません、何度も。

    先ほどの返信と関連し、以下追加にて参考までに投稿しておきます。

    北の高位級代表団、南北首脳会談を協議 在米同胞北朝鮮訪問人士、"北の管理から直接聴取"(韓国自主民報 2014.10.8)


    去る4日電撃訪問した北側高位級代表団の目的は南北首脳会談を協議するためのものだという報道が出てきた。

    統一放送である主権放送は8日、先月25日から今月6日まで北朝鮮を訪問した在米同胞である崔ジェヨン牧師との対談を通じて明らかにした。

    主権放送は、最近北朝鮮を訪問して平壌の金日成総合大学と万寿台創作社等を見て回り、去る6日に仁川空港を通じて入国したアメリカに居住する崔ジェヨン牧師(NKビジョン2020)を招請し、北の高位級代表団の訪韓と最近関心事になっている金正恩第1委員長の健康問題などを集中取材した。

    崔ジェヨン牧師は主権放送との対談で、北側で考える今回の高位級代表団の南訪問の意味は何かとの質問に、"10月3日の開天節(建国記念日)行事の北の官吏を通じて(北側代表団が南側を訪問するという)言質を受けたし、翌日10月4日にそれに関する話を直接聞く機会があった。"と伝えた。

    チェ牧師は、"北側の官吏の話をそのまま伝えれば、南側の朴槿惠大統領が悪質的で反統一的なそんなこと(行動)をしながらも、一方では首脳会談をたくさん要求してくる"とし、"金正恩第1委員長が今回3人を南側に訪問させて南側の朴槿惠大統領が望む首脳会談と、その日にちをよく把握して、望むままに上手く協議して、その問題を解決して帰ってくるようにそのように言ったと言ってました"と証言した。



    一方、南北が高位級接触を持ちながらも確実な内容が公開されず、内外の関心を集めた。

    韓国の動画

    コメントありがとうございます。そして、お返事が大変遅れてしまい、申し訳ございません。ご紹介いただいた、韓国の動画、視聴いたしました。記事にも書きましたとおり、記事を書く段階では韓国側の報道をほとんど見ておりませんでしたので、大変参考になりました。ありがとうございます。

    「内在的」という点については、ご指摘の通りだと思います。偶然ではありますが、9月に開催された某学会での発表で、「内在的」という問題を扱いました。

    コメントでお名前が出たお二人の先生ですが、「後輩」どころか、私にとっては北朝鮮研究では「先駆者」、「大先輩」です。

    関連コメントをいくつか頂いておりますが、こちらでまとめてお返事とお礼とさせていただきます。

    これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

    > 別の欄となりますが、返信に感謝します。
    >
    > 以下、参考までに。動画です。通商保守と称される中央日報のまとめと分析も興味深いものでしたが、更に突っ込んだ、特に何故一日前の打診であったのかという点にまで問いを立てながら、今回の訪韓につき分析しています。私が川口先生に投げた質問に対しても、一つの確実に合理的な解釈が出されていましたので、ご視聴されてみては如何でしょうか?
    >
    > 公開されていない情報が多いので、過去のことなどと対比しながら、又時系列での北側の論調などに基づきながら、解釈分析することは非常に重要ではありますが、結構、南の専門家とされる人たちも、類推を超えての当てずっぽうになりがちですね、明らかに。
    > 今回改めて聯合の動画サイトを半日ほど見続けて再確認しました。
    >
    > 一番大切なのは、内在的アプローチだと考えます。こうじゃないかああじゃないと類推するのも大切ですが、それが北の志向や構想、政策さらには気質や思考の展開などを、当にW/ペリーが昔言ったように、あるがままに見る、受け入れることでしょう。
    >
    > でなければ、浅井基文さんが言う天動説的な分析に陥るばかりです。
    >
    > 南における少なくない専門家でさえそれに陥っているのですから、そりゃ日本ではもっとそうだろうなと考えます。勿論所属や国籍、民族は二義的です。ですから、アメリカのJ・ウィットなどの分析は、非常に妥当性があるものと考えます。勿論日本以上にアメリカはもっと陥ってますが。
    >
    > 日本で、例えば先生の後輩に当るであろう磯崎さんとか、関西学院の方とか、今は防研に行かれた方、お二人とも名前忘れましたが、とかが時々テレビなどに出てされているのを聞いても、妥当性を感じません。
    > ほとんどは、柳の下に幽霊を見るようなもので、居ると思えば居るし、居ないと思えば居ないし。つまり、居るか居ないかは観察者次第なのでしょう。
    > とすれば、内在的アプローチでなけば幽霊を見るようなものです。
    >
    > これでは、妥当な分析や解釈を導くことは困難であるし、間違った解釈もやはり誤報でしょう。
    >
    > 是非ご活躍下さるよう、祈念します。
    >
    > http://www.615tv.net/news/view.html?section=80&category=85&no=3314&PHPSESSID=9ef8fd058fa6f14b6fb241ecba4c8b51
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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