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    「朝鮮国防委員会スポークスマン 軍隊と人民の打撃強度と打撃境界線には限界がないと言明」(2012年2月25日「朝鮮中央通信」)

    金正日死去後、恐らく初めての「国防委員会」単独の声明が出された。委員長も第一副委員長もいないのにだ。米朝協議が終わった時点でのこの声明にどのような意味があるのだろうか。

    まず、主な内容であるが、「我らの軍隊と人民は、民族反逆者一味と内外の好戦狂たちの新たな戦争挑発策動を我々式の聖戦で叩きつぶす」としている。当然、ここでいう「戦争挑発策動」は「キーリゾルブ」と「トクスリ」米韓合同演習である。そして、この声明の最後の方で、「いつでも米帝侵略軍の本拠地(複数)と反共和国軍事巣窟を我々の打撃圏に入れており、その気になれば一撃で叩きつぶすことができる」とし、米国本土も含む米軍と同盟国(日本も含む)に対するミサイル攻撃をほのめかしている。その上で「核兵器は米国だけが持っている独占物ではない。我々には米国の核兵器よりももっと強力な戦争手段と誰も持たぬ最先端打撃装備がある」としている。また「大洋を越えて遠距離に米国本土があり、安全であると考えるのであれば、それほど大きな誤算はない」とし、「侵略者を叩きつぶすための我々の軍隊と人民の打撃強度と打撃境界線には限界がない」としている。

    これまで、北朝鮮はこれほど露骨に米国本土に対する核攻撃をほのめかしたことがあるのだろうか。米朝協議が終了した時点でこのような声明を出した理由は、①米朝協議の結果にきわめて不満であるとの意思表示、②米朝協議における譲歩を国内向けに隠すために虚勢を張る、③国防委員会と労働党、あるいはその他の組織、場合によっては金正恩さんとの核開発譲歩に対する意見の食い違いが露呈した、④「西海5島」海域における韓国軍単独軍事演習時の「警告」と同じレベルの脅しのいずれかであろう。米朝協議の結果がまだはっきりしないので、何ともいえないが、もし前の「朝鮮日報記事」で報じられていることが事実であるとすれば、②の可能性が高い。③であれば事態は深刻であるが、今のところこれに結びつくような兆候は見えていない。ただ、前の記事にも書いたように、軍事委員会から実権が「労働党」へ移動していくことについては、激しい葛藤が起きる可能性は十分にある。この調整ができる人がいるのか。いるのであれば、その人が金正恩さんを国防委員会の委員長に持ち上げるであろう。

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    川口智彦

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    「首領様」=金日成主席
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