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    羅先3:羅先の位置、怒鳴り散らす中国人女性観光客、北朝鮮刑法、中国人団体、琵琶島、アザラシ遊覧船、チェキ、タクシー

    過去記事にもGoogle mapを2つ掲載したが、一応、羅先特別市の概要をきちんと把握するためにもう一度、地図を掲載しておく。実は、私も羅先が朝鮮半島のどの位置にあるのかぐらいは知っていたが、その詳細は訪問して帰国するまで全く関心がなかった。おかしな話ではあるが、帰国後にGoogle mapを見ながら訪問した場所位置関係を確認しているような状態である。そんな時、Google mapは衛星写真があるので、特定の建物などを特定することができ、とても便利である。

    羅先地図1
    (Source: Google map、一部著者加工)

    さて、入国検査を無事通過し、検査場の外に出ることができた。相変わらず、中国人観光客はたくさんいた。観光客であろうか。派手な服を着てサングラスを掛けた中国人女性が大声で同じ旅行団の男性に何か怒鳴っている。何かでもめているのだろうが、中国語が分からないので詳細は分からない。しばらく、大声で怒鳴り続けていたが、ついに北朝鮮の警備官がやってきて制止した。さすがの中国人女性もサングラスを外して、北朝鮮の警備官に詫びているようであった。

    そもそも、北朝鮮で外国人が大声で叫ぶというのは、「秩序を乱す」行為とも取られかねないので、よろしくない。数ヶ月前、平壌空港で入国書類を破損しながら北朝鮮への亡命を要望し北朝鮮当局に拘束された米国人男性も、北朝鮮が発表した拘束理由は「秩序を乱した」ということであった。

    朝鮮民主主義人民共和国刑法
    第8章 社会主義共同生活秩序を侵害した犯罪
    第246条(不良者的行為罪)
    破廉恥な不良者的行為を行った者は、1年以下の労働鍛錬刑の処す。
    残忍な方法で不良者的行為を行った場合は、5年以下の労働教化刑に処す。
    徒党を組んで社会に不安と恐怖を造成した主導分子は、5年以上10年以下の労働教化刑に処す。

    行政・治安機関である「元汀国境通行検査所」の出口で大声で怒鳴り散らすのは「破廉恥な不良者的行為」に該当するのではないだろうか。

    大声で叫ぶと言えば、「徒党を組んで社会に不安と恐怖を造成」しているのではないのかと思える場面にも遭遇した。例によって中国人であるが、琵琶島に行ったときのことである。

    琵琶島の位置
    琵琶島
    (Source: Google map、一部著者加工)

    琵琶島は羅先の観光スポットの一つで、多くの中国人がバスで観光にやって来ていた。その中の一グループが記念写真を撮影した後、横断幕を掲げながら大声で何かを叫びだした。北朝鮮で旗や横断幕を掲げて、外国人が集団でスローガンを叫ぶことなどどう考えても、「徒党を組んで社会に不安と恐怖を造成」に該当しそうである。羅先だからこそ、そして中国人だからこそ許されるのかもしれないが、同行した香港人の話によると、どうやら中国企業の慰安旅行のグループのようで、「XXX会社は一番だ!」と叫んでいたようだ。写真に見える緑色の旗と同じデザインの大きな看板を帰路、圈河口岸から図們に向かう道沿いで見かけたので、どうやらこの図們辺りの企業のようだ。

    IMGP5062.jpg

    琵琶島は半島と橋で繋がっており、バスに乗って行くことができる。北朝鮮だけの話ではないが、中国製のバスに混ざって、日本製の中古バスがここでも大活躍していた。フィリピンの場合は、右側通行に合わせて運転席を左に移すことが法律で定められているが、北朝鮮ではそのまま使っている。日本のバスが丈夫だというべきか、北朝鮮の「自力更生」的なメンテナンス能力が高いというべきか分からないが、マイクロバスから路線バスの中古まで、本当にたくさん走っていた。ただ、「自力更生的」メンテナンスにもそろそろ限界が来ているようで、だんだん部品調達が容易な中国製バスに置き換わってきているのも事実である。

    IMGP5066.jpg

    琵琶島の水は本当に清んできれいだった。そんなこともあり、ここではアザラシを遊覧船で見に行く観光を売りにしているようだ。実は、我々が琵琶島に着いたとき下の光景を目撃してしまったので、遊覧船に乗る気はなかった。

    IMGP5071.jpg

    また、実際に船に乗ってアザラシを見るまで、その遊覧船が「アザラシ・ワッチング」の船だということすら知らなかった。北朝鮮ガイドもサプライズを狙ったのか、アザラシが見えるまで我々にはそのことは言わなかった。ま、英語で「seal」とでも言われれば分かっただろうが、朝鮮語で「물범」と言われても絶対に分からなかった。天然のクジラ、イルカ、ウミガメは見たことがあったが、アザラシを見たのは初めてなので感動した。「アザラシ遊覧船」観光は、日本人にも絶対に受けるはずである。

    IMGP5214.jpg

    さて、この遊覧船であるが、2枚上の写真にあるように下手をすると中国人団体と一緒に乗船することになる。我々のグループは、騒音と安全性の面からそれは避けたかったので、北朝鮮ガイドに「班長ドンム」と交渉してもらった。結果、我々だけの貸し切り遊覧となりとても快適だった。一人100元支払ったが、100元のコスパは非常に高かった。これから記事にしようと思っている「市場(いちば)」でのように、朝鮮人民のクラウドの中に身を置き、何を話しているのかなどを聞くのは大変興味深いことだが、中国語は分からないし・・・という話である。

    香港人は、デジカメ、フィルムカメラに加えて、チェキを持って来ていた。どうやら、平壌訪問の経験から、朝鮮人民に一緒に撮影した写真を手渡すためにはそれしかないという判断だったようだ。実に正しい。しかし、富士フイルム、チェキ開発者の想定外の使い方でもあるはずだ。デジカメが普及し始めている北朝鮮であるが、インスタントカメラはほとんど知られていないようである。まあ、正確には「現実の世界で」と言うべきであろう。「朝鮮中央TV」で放送される金日成時代を振り返る回顧番組を見ていると、「首領様」がインスタントカメラで朝鮮人民と一緒に撮影した写真をその場で朝鮮人民に手渡すという「深い恩情」を見せる場面がある。しかし、このような恩恵にあずかった朝鮮人民はごく少数なのだろうし、ましてや「首領様」がどのような魔法のカメラを使って写真を撮影したのかも分からないのであろう。そのようなこともあり、チェキで撮影した記念写真は、ぼけていようが解像度が低かろうが朝鮮人民に受けていた。

    我々のグループの集合写真をチェキで撮影をしてくれる遊覧船の「班長ドンム」。このドンムには、後で我々と一緒に撮った写真を記念に差し上げた。
    IMGP5092.jpg

    我々が乗った船は右。乗客の数により、さらに大型の船も用意されている。
    IMGP5261.jpg

    羅先には本当にたくさんのタクシーが走っている。タクシー料金は、北朝鮮ガイドによると「最初の1kmが0.4米ドル」その後、距離が進む毎に幾らと言っていたが、詳細な数字は失念した。というのも、彼女の話は「$1=W100」という公定レートの話であり、実態とは乖離していると思う。相対的価格を知ろうとバスの値段を聞いてみたら「0.8米ドル」(ただし、記憶曖昧)とか言っていた。絶対値は分からないが、やはりタクシーはバスト比べると相当に高いことだけは分かる。

    香港人同行者は、タクシーに高い関心を示し、タクシーに乗りたいと何回も北朝鮮ガイドを困らせた。平壌のタクシーは分からないが、羅先のタクシーは下の写真の漢字で表記されたタクシーメーターノブからも分かるように、中国の中古タクシーを使っているようである(前面で撮影しているのは、香港人同行者)。
    IMGP5266.jpg

    ついにタクシーの助手席に座った彼であるが、こちらのタクシーの場合、メーターが装着されていない。もしかすると、実際のタクシー運行はメータによるのではなく、事前の交渉により金額を決めているのかもしれない。琵琶島には、中国人同士がタクシーに乗ってきていたので、少なくとも中国人には単独タクシー乗車が許されているのかもしれない。香港人の彼は、「俺も中国人だ」と言っていたが。
    IMGP5277.jpg

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    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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