「米国は在米同胞の離散家族、親戚訪問問題を反共和国謀略騒動に利用してはならない-朝鮮民主主義人民用和国赤十字会中央委員会スポークスマン談話-」:米下院が「北朝鮮制裁執行法」強化版を採択、在日朝鮮人の「人道往来」に言及、総連の高徳羽委員長訪朝のことなのか? (2014年7月31日 「朝鮮中央TV」)
米国下院が「H.R. 1771」、いわゆる「2013年北朝鮮制裁執行法」の強化版を通過させ、「離散家族訪問法修正案」を加えたことに対する反発として、北朝鮮の「赤十字会中央委員会」が「スポークスマン談話」を出した。
NK.NEWS.ORG, "U.S. House of Representatives passes North Korea sanctions bill
Bill enhancing sanctions enforcement on North Korea unanimously adopted by Congress", http://www.nknews.org/2014/07/u-s-house-of-representatives-passes-north-korea-sanctions-bill/
要は、「離散家族が訪問しなければならないという分断状況を作り出したのも米国だし、訪問を妨害しているのも米国であり、北朝鮮は離散家族の訪問を人道的見地からいつでも歓迎している」という内容である。
これだけであれば、記事にするほどの内容ではないが、この中で「最近、米国は朝日政府間の会談の結果にともない進められている在日本朝鮮人たちの祖国往来問題をはじめとした人道主義的事業が進展しないように日本政府に圧力をかけ、色々な方面から妨害している」と言っている点が注目される。
確かに、米国は「透明性のある形で」という表現を使いながら、日本独自の対北朝鮮制裁を一部解除したことに対して警戒感を表している。その背景では、日本政府に対して、陰に陽に「圧力をかけ」ていることもあり得よう。しかし、ポイントはそこにあるのではなく、「朝日政府間会談結果にともない進められている在日本朝鮮人たちの祖国往来」である。在日朝鮮人の多くは、制裁一部解除が成される前も「祖国往来」をしていた。過去記事にも書いたとおり、出入国時の税関検査が厳しく行われたなどの特殊事情はあったようだが、「祖国往来」ができなかったわけではない。「朝日政府間会談の結果にともない」訪朝が可能になったのは、総連幹部である。日本のメディアは、高徳羽総連委員長が7月下旬に北朝鮮を訪問した(している)と報じている。
『読売新聞』、「朝鮮総連幹部が訪朝…制裁解除後初めて」、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140731-00050103-yom-soci
北朝鮮メディアは、「総連朝鮮大学校学生祖国訪問団が31日に平壌に到着した」と報じているが、高徳羽委員長が訪問したという報道はない。上記『読売新聞』報道では、「今月(7月)末」ということなので、同委員長が「学生祖国訪問団」に同行した可能性が高い。学生訪問団は、今日(8月1日)にも「銅像」参拝にいくはずなので、その時に高徳羽委員長の姿が見られるのか、あるいは彼だけ別に参拝するのかに注目する必要がある。
高徳羽訪朝が、「朝日政府間会談」の成果であるとするならば、彼の訪朝をもっと宣伝してもよさそうなものだが、これからするのか、秘密にしておく予定だったのかは分からない。もしかすると、朝鮮人民に対して高徳羽訪朝は金正恩政権の対日外交の成果とはならないと考えているのかもしれない。金正恩政権の当面する最大の対日外交成果は、何回も書いてきたように「総連本部ビル問題」と「万景峰号問題」である。恐らく、北朝鮮当局は高徳羽委員長からこの問題について色々と聞き出し、一方で彼に対応策を指示するのであろう。その結果として、彼の訪朝を公開するのかどうかが見物である。
NK.NEWS.ORG, "U.S. House of Representatives passes North Korea sanctions bill
Bill enhancing sanctions enforcement on North Korea unanimously adopted by Congress", http://www.nknews.org/2014/07/u-s-house-of-representatives-passes-north-korea-sanctions-bill/
要は、「離散家族が訪問しなければならないという分断状況を作り出したのも米国だし、訪問を妨害しているのも米国であり、北朝鮮は離散家族の訪問を人道的見地からいつでも歓迎している」という内容である。
これだけであれば、記事にするほどの内容ではないが、この中で「最近、米国は朝日政府間の会談の結果にともない進められている在日本朝鮮人たちの祖国往来問題をはじめとした人道主義的事業が進展しないように日本政府に圧力をかけ、色々な方面から妨害している」と言っている点が注目される。
確かに、米国は「透明性のある形で」という表現を使いながら、日本独自の対北朝鮮制裁を一部解除したことに対して警戒感を表している。その背景では、日本政府に対して、陰に陽に「圧力をかけ」ていることもあり得よう。しかし、ポイントはそこにあるのではなく、「朝日政府間会談結果にともない進められている在日本朝鮮人たちの祖国往来」である。在日朝鮮人の多くは、制裁一部解除が成される前も「祖国往来」をしていた。過去記事にも書いたとおり、出入国時の税関検査が厳しく行われたなどの特殊事情はあったようだが、「祖国往来」ができなかったわけではない。「朝日政府間会談の結果にともない」訪朝が可能になったのは、総連幹部である。日本のメディアは、高徳羽総連委員長が7月下旬に北朝鮮を訪問した(している)と報じている。
『読売新聞』、「朝鮮総連幹部が訪朝…制裁解除後初めて」、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140731-00050103-yom-soci
北朝鮮メディアは、「総連朝鮮大学校学生祖国訪問団が31日に平壌に到着した」と報じているが、高徳羽委員長が訪問したという報道はない。上記『読売新聞』報道では、「今月(7月)末」ということなので、同委員長が「学生祖国訪問団」に同行した可能性が高い。学生訪問団は、今日(8月1日)にも「銅像」参拝にいくはずなので、その時に高徳羽委員長の姿が見られるのか、あるいは彼だけ別に参拝するのかに注目する必要がある。
高徳羽訪朝が、「朝日政府間会談」の成果であるとするならば、彼の訪朝をもっと宣伝してもよさそうなものだが、これからするのか、秘密にしておく予定だったのかは分からない。もしかすると、朝鮮人民に対して高徳羽訪朝は金正恩政権の対日外交の成果とはならないと考えているのかもしれない。金正恩政権の当面する最大の対日外交成果は、何回も書いてきたように「総連本部ビル問題」と「万景峰号問題」である。恐らく、北朝鮮当局は高徳羽委員長からこの問題について色々と聞き出し、一方で彼に対応策を指示するのであろう。その結果として、彼の訪朝を公開するのかどうかが見物である。