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    「<新しく出た歌>近衛部隊自慢歌」:久しぶりのモランボン楽団の新曲、「祝砲」ミサイル発射、「花火大会」と「しまじろう」、『戦勝の年代が今日も語る』、「戦勝」と「最後の勝利」 (2014年6月27日 「朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央TV」の「戦勝節祝砲発射」を見ていた。こちらは、予告された「祝砲(花火)」で、「最高司令官同志」が「直接指導された」短距離ミサイル発射ではない。頂戴したコメントのお返事にも書いたが、今回の「戦略ロケット発射」は、「米帝と南朝鮮傀儡の合同訓練」に対する反発であることは間違いないが、それ以上に「戦勝節」前日の発射であることからして「祝砲」の性格が強い。

    「朝鮮人民軍最高司令官、朝鮮民主主義人民共和国元帥、金正恩同志、68102110141 戦略軍ロケット打撃計画」と書かれた地図を見る「最高司令官同志」。軍事分解線の南側には目標地点とみられる地点に何か書き込まれている。仁川、ソウル、東海市辺りだろうか。「敬愛する最高司令官同志は、南朝鮮侵略軍基地の現配置状態とそれを打撃消滅できるよう仮想して作成した新たな発射計画をご覧になった後、ロケット発射訓練を指導された」とあるので、これらの地域にある在韓米軍基地がマークされているのであろう。
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    Source: 『労働新聞』、「조선인민군 최고사령관 김정은동지께서 조선인민군 전략군의 로케트발사훈련을 또다시 지도하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-07-27-0005&chAction=L

    ともあれ、27日21時からは前日の予告通りに大同江の対岸での花火大会があった。北朝鮮の花火大会は、「将軍様の誕生日」も「首領様の誕生日」もまだ寒い時期なので、見物も楽ではない。今後、1月8日に「元帥様」の誕生日花火大会が開催されれば、さらに寒いし、「新年慶祝花火大会」直後なので、朝鮮人民もあまり盛り上がらないかもしれない。

    「戦勝節」61周年記念「慶祝祝砲」
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    Source: KCNA

    しかし「戦勝節」の花火大会は、ちょうど日本の花火大会と同じ時期であり、涼しい大同江川岸で花火を眺めるには最適の時期である。テレビに映った朝鮮人民も、寒い時期の花火大会よりもリラックスしているように見える。

    先生と一緒に見物に来た子供たち。おそろいのシャツのデザインが「しまじろう」っぽいが、この子たちの個人情報が流出したということはないであろう。
    MM00224894flv_000042602.jpg
    Source: KCNA

    さて、その花火大会が終わったところで「新しく出た歌」が流れた。コメントへのお返事にも書いたが、26日にも「戦勝節」関連の「新しく出た歌」が紹介されていた。『戦勝の年代が今日も語る』という曲であるが、伴奏は「万寿台芸術団三池淵楽団」となっている。「三池淵楽団」という楽団がこれまでもあったのかどうかは未確認であるが、あまり新鮮さがない曲である。

    今年は、「戦勝」61年というあまり意味がない年なので、60周年の時のようにたくさんの曲は出さないとモランボン楽団の曲は諦めていたのだが、今日、花火大会の直後で紹介された。やはり、モランボン楽団の曲は特別なのか、人民が楽しむ「花火大会」の後で、雰囲気を盛り上げるように紹介されている。今日も終日「朝鮮中央TV」を視聴していたわけではないので、以前に流れたのかもしれないが、それは本記事を各時点で未確認である。

    せっかく書きかけたので、『戦勝の年代が今日も語る』とまとめて紹介しておくことにする。
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    Source: KCTV, 2014/07/26放送

    作詞:金マンヨン、作曲:チャ・ソンチョル、編曲:オ・ユンソク、歌:ハン・ヘオク、伴奏:万寿台芸術団、三池淵楽団、指揮:ソン・スンチョル
    M3u8 Streamsd56ikmnbmp4_001908900
    Source: KCTV, 2014/07/26放送

    曲調は、出だしが去年の「戦勝節」に発表されたモランボンの楽曲(曲名失念)に似ている。

    1.
    戦火のその日は、遠くに去っても
    忘れられない追憶はこの心臓を鳴らす
    火の雨を打ち砕いた首領様のお姿

    百勝の旗印で千万に呼びかける
    勝利がこの地にどのように訪れたのか
    偉大な戦勝の輝かしい年代が
    今日も語ってくれる

    朝鮮人民軍の進路、釜山侵攻目前のムンギョン峠まで赤線が続いている。
    M3u8 Streamsd56ikmnbmp4_001953690
    Source: KCTV, 2014/07/26放送

    2.
    岩も燃えた厳しい日々に
    この国の息子と娘 命を賭けて戦った
    決戦に向かいながら書き留めた誓いの文
    今日もこの胸に響く
    勝利がこの地にどのように訪れたのか
    偉大な戦勝の輝かしい年代が
    今日も語ってくれる

    3.
    戦勝の歴史が輝くこの地に
    英雄の子孫が勝利者として育つ
    先軍の旗をもっと高く掲げ
    党中央に従い英雄朝鮮を轟かせよう
    我々が進む最後の勝利一途に
    偉大な戦勝の輝かしい年代は
    永遠に引き継がれる

    「我々が進む最後の勝利一途に」という字幕と共に農場に設置された「主打撃方向」と書かれた看板が写る。コメントでも話題になった「戦勝」という言葉との関連からすると、「戦勝」はあくまでも「米帝と南朝鮮傀儡の北進で始められた朝鮮戦争」を38度線まで押し戻したから「戦勝」なのだろう。そして、今の課題は「最後の勝利」となるのだが、それはまず「経済強国」を建設し、「南朝鮮を解放」することなのだろう。
    M3u8 Streamsd56ikmnbmp4_002043787
    Source: KCTV, 2014/07/26放送

    と、続けてモランボン楽団の新曲を紹介しようと思ったのだが、録画に失敗していた。記事のタイトルの曲について書けないのは残念だが、今日も流されるだろうからそれを受けて書くことにする。

    今年の「戦勝節」にはモランボン楽団の演奏はなく、「元帥様」は「功勲国家合唱団」公演を観覧した。
    元帥様功勲国家20140727
    Source: 『労働新聞』、「조선인민군 최고사령관 김정은동지께서 전승절경축 공훈국가합창단의 공연을 관람하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_06_01&iPageType=2

    <追記>
    曲は聞けないが、『労働新聞』にタイトルの「新しく出た歌」の歌詞と楽譜は出ていた。

    『近衛部隊自慢歌』
    作詞・作曲:ソル・テソン

    1.
    怒濤の疾風を吹かせ一気にソウルに共和国旗をたなびかせた
    鋼鉄の馬と噂された近衛105タンク師団
    米帝の傲慢な乗っ取り師団と将校たちを包囲殲滅し
    この世に名を轟かせた勇敢な戦士たち
    近衛4歩兵師団の軍旗にその偉勲が輝く
    近衛部隊 昨日も今日も明日も永遠の栄光を轟かせろ

    2.
    海の島とわめき散らしていた米帝侵略船の重巡洋艦を
    痛快に水葬した海軍の勇敢な近衛2魚雷艇隊
    空の要塞と気取り忍び込んだ米帝の空中匪賊ども
    秋の落葉にした空軍の見事な近衛追撃機連隊
    近衛部隊 昨日も今日も明日も永遠の栄光を轟かせろ

    3.
    名前を聞いただけで敵共を恐れさせ死の恐怖に震えさせた
    滅敵の部隊である進撃の矢近衛3歩兵師団
    懲罰の砲火で正義の銃剣で昼強盗米帝をたたき切り
    滅亡の罠に陥れた防衛者たち近衛2歩兵師団
    近衛部隊 昨日も今日も明日も永遠の栄光を轟かせろ

    4.
    広闊な激戦場を走り回り進軍し輝かしい戦果を上げ
    洛東江「燃えたぎる防御戦」も打ち破った近衛6歩兵師団
    険しい山を嵐のように超え勝戦の砲声を響かせ
    敵を戦慄させたその名も誇り高い安東12歩兵師団
    近衛部隊 昨日も今日も明日も永遠の栄光を轟かせろ

    5.
    首領の命令を決死で遵守し米帝を撃滅した部隊
    戦勝と共に伝説として記憶された誇らしい近衛部隊
    祖国の輝かしい勝利の歴史に燦爛と刻み込まれた
    その名は永遠に後代の胸に誇りとして光を放つ
    近衛部隊 昨日も今日も明日も永遠の栄光を轟かせろ

    朝鮮戦争で「米帝を打ち破った」部隊を「自慢」する歌である。『労働新聞』に掲載された楽譜を貼っておくので、音楽が得意な方は、それを見てモランボン楽団の演奏を想像されたい。

    近衛部隊自慢歌
    Source: 『労働新聞』、「近衛部隊自慢歌」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_06_01&iPageType=2

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    非公開コメント

    ウソツキ共の祭典

    お世話になります。

    モランボンの新曲、すごくいい曲ですが自慢話だけにムカつきます。
    しかもその話がウソだらけなので、さらにムカつきます。

    2番の曲は映画「命令は下された」のネタにもなった有名な重巡洋艦ボルチモア撃沈のウソ話のことですし、ジェット戦闘機隊は中国ソ連の部隊で朝鮮人部隊はほとんどいなかったので、この国には作られたウソツキ英雄がどれくらいいるのだろうと思ってしまいます。

    首領からして大ウソツキ英雄ですが。

    花火大会は見事でした。
    新年のもすごかったですが、隅田川の花火大会よりすごいんじゃないでしょうか?
    多くの労働力と資金をつぎ込んで見栄張って作った主体思想塔もまんざらムダではなかったと、この時ばかりは思います。

    元帥様自身が戦勝イベントでイマイチ盛り上がっていない様子なので(それだけ想像以上に問題が山積みなのでしょう)、期待していたよりは地味な7.27でした。






    Re: ウソツキ共の祭典

    コメントありがとうございます。まあ、暑いですからそうムカムカなさらず・・・

    重巡洋艦はボルチモアですか。wikipediaを見ると「戦勝記念館」で撮影されたと思われる写真が出ていますから、やはりそうなんでしょうね。「米帝」のいずれか艦船を撃沈したのかもしれませんが、意図的か誤認かで「首領様」に「ボルチモア」と報告し、「首領様」がそれを聞いて「大満足」されたので変更できなくなってしまったのかもしれませんね。

    ジェット戦闘機については、ソ連兵が朝鮮人民軍の制服を着て操縦していたという話がありますね。人民軍兵士はプロペラ戦闘機ぐらいは操縦できたのでしょうか。『無名の英雄たち』では、人民軍機(音的にはプロペラ戦闘機)がルイス脱出工作のために英国の工作拠点を爆撃していました。ソウルのど真ん中が爆撃されているのに、高射砲の音はしていなかったようでしたが。

    「首領様」のストーリーはいろいろありますね。朝鮮人民軍兵士は「首領決死擁護」、つまり殉死してこそ英雄ですから、「首領様」は擁護する対象はなかったわけで、「2回の戦争で勝利した」ことが「英雄」たる所以ということでしょう。

    花火大会は確かに見事でしたね。きちんと比べてはいませんが、花火というのは夏の夜空に上がった方がはえるのかもしれません。

    「決起大会」には「戦略軍」が参加していたので、ミサイルのオンパレードがあるかと期待したのですが、行進だけのパレードで終わりましたね。60年で派手にやったので、65年までは地味にやるということかもしれません。

    > お世話になります。
    >
    > モランボンの新曲、すごくいい曲ですが自慢話だけにムカつきます。
    > しかもその話がウソだらけなので、さらにムカつきます。
    >
    > 2番の曲は映画「命令は下された」のネタにもなった有名な重巡洋艦ボルチモア撃沈のウソ話のことですし、ジェット戦闘機隊は中国ソ連の部隊で朝鮮人部隊はほとんどいなかったので、この国には作られたウソツキ英雄がどれくらいいるのだろうと思ってしまいます。
    >
    > 首領からして大ウソツキ英雄ですが。
    >
    > 花火大会は見事でした。
    > 新年のもすごかったですが、隅田川の花火大会よりすごいんじゃないでしょうか?
    > 多くの労働力と資金をつぎ込んで見栄張って作った主体思想塔もまんざらムダではなかったと、この時ばかりは思います。
    >
    > 元帥様自身が戦勝イベントでイマイチ盛り上がっていない様子なので(それだけ想像以上に問題が山積みなのでしょう)、期待していたよりは地味な7.27でした。

    No title

    新曲はまだ聴いていませんが,モランボン楽団でも
    功勲国家合唱団でも,どの楽団でも通用しそうな編曲に
    なっています.なかなかいい感じの曲だと思います.
    「万寿台芸術団三池淵楽団」はだいぶ前からあります.
    今のモランボン楽団のソヌヒャンヒも,この楽団にいました.
    銀河水管弦楽団と万寿台芸術団三池淵楽団との協同公演が
    以前ありましたが銀河水管弦楽団自体も万寿台芸術団の
    傘下でしたが,三池淵楽団のほうは,弦楽器を中心とした
    楽団です.

    楽曲

    コメントありがとうございます。モランボンのこの「新しく出た歌」はその後、しばしば流されています。また、記事にしようと思っているのですが、ある方の調査によると「朝鮮中央放送」(ラジオ)では、同じ曲を楽団別に規則性を持って放送しているようです。テレビの方はどうなのかわかりませんが、「祖国賛歌」などいくつかのバージョンを流していますね。

    > 新曲はまだ聴いていませんが,モランボン楽団でも
    > 功勲国家合唱団でも,どの楽団でも通用しそうな編曲に
    > なっています.なかなかいい感じの曲だと思います.
    > 「万寿台芸術団三池淵楽団」はだいぶ前からあります.
    > 今のモランボン楽団のソヌヒャンヒも,この楽団にいました.
    > 銀河水管弦楽団と万寿台芸術団三池淵楽団との協同公演が
    > 以前ありましたが銀河水管弦楽団自体も万寿台芸術団の
    > 傘下でしたが,三池淵楽団のほうは,弦楽器を中心とした
    > 楽団です.
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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