「朝鮮人民軍最高司令官金正恩同志が朝鮮人民軍第171軍部隊の砲射撃訓練を指導された」:ロケット砲発射訓練も指導、韓米訓練への反発、米国が日朝交渉を牽制 (2014年7月15日 「労働新聞」)
15日付けの『労働新聞』が「朝鮮人民軍最高司令官金正恩同志が朝鮮人民軍第171軍部隊の砲射撃訓練を指導された」という記事を報じた。日本のメディアなどは「北朝鮮軍が同日正午ごろ、北朝鮮東部の北方限界線(NLL)付近から日本海に向けて、放射砲(多連装ロケット砲)を発射した」(14日、『東京新聞』)と報じており、『労働新聞』などが報じた「砲射撃訓練」も「東部前線を守っている砲兵部隊が海上軍事分解線(NLL)を超えて侵入する敵を強力な砲兵火力打撃で鎮圧できるよう準備されているかを検閲し」と書かれているので、日本などのメディアが伝えた「放射砲」発射と同一のものであろう。
『労働新聞』、「조선인민군 최고사령관 김정은동지께서 조선인민군 제171군부대의 포실탄사격훈련을 지도하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-07-15-0002&chAction=L
『東京新聞』、「ロケット砲100発発射 北朝鮮、日本海に向け」、http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014071402000206.html
車両搭載ランチャーから発射されるロケット砲、発射の様子を見る金正恩

Source: 前掲、『労働新聞』
海上に着弾するロケット砲

Source: 前掲、『労働新聞』
「敵の如何なる些細な形の戦争演習騒動や挑発行為も我々に対する耐えがたい冒涜であり、挑戦として見なし、絶対に見逃さない朝鮮人民軍の決死の意志を誇示した訓練は爽快に終わった」ことに「大満足」する「最高司令官同志」。

Source: 前掲、『労働新聞』
過去記事でも金正恩の短距離ミサイル発射訓練指導について書いたが、今回も通常は「指導」していないか「指導」していても報じられない金正恩のロケット砲発射訓練を大きく伝えていることは、米韓合同軍事演習に対する反発であろう。特に、北朝鮮はロケット砲発射を「通常の訓練」とはせず、上記のように「戦争演習騒動や挑発行為」を前提とし、しかも「最高司令官」が「直接指導」する訓練であるということには、特別な意味合いがある。
日本のメディアによると、ケリー国務長官が岸田外相と電話で会談し「日米は同盟国だ。北朝鮮との交渉については透明性をもって、事前にきちんと相談してほしい」と要求したとのことである(16日、『毎日新聞』)
『毎日新聞』、「<拉致問題>米、安倍首相の訪朝けん制 事前の相談要求」、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140716-00000012-mai-pol
米国務省定例記者会見でもこの「電話会談」については取り上げられ、サキ報道官は「電話会談」があったこと以上については言及せず、「日朝交渉について説明するために岸田外相の訪米予定があると聞いているが」という質問に対しても「歓迎はするが、具体的な予定は今のところない」と答えている。
米国は、北朝鮮のこうした挑発に対して批判のトーンを下げた安倍政権に対して不満があるのであろう。とはいえ、イラン、シリア、ウクライナに加えてイスラエル・パレスチナ問題で手一杯の米国は、北朝鮮にまで関与している余裕はない。せいぜい「40年間続けてきた定例かつオープンな軍事演習」(サキ報道官)で北朝鮮を威圧しておくのが手一杯といったところであろう。北朝鮮としては、そうした国際情勢を見ながら、「最高司令官が直接指導する」弾道ミサイル発射訓練やロケット砲発射訓練を連続して行い、日米韓の足並みの乱れを誘発しているのであろう。
U.S. Department of State, Daily Press Briefing, http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2014/07/229290.htm#KOREANPENINSULA
本記事を書くにあたり、中国の動きについてはきちんと調べていないが、韓中関係を強化しつつ、如何なる形であれ日米韓の連携が崩れることは、歓迎しているであろう。もちろん、一方で日朝関係の進展如何で、北朝鮮に対する中国の影響力が低下することに対する警戒も強めているはずである。
『労働新聞』、「조선인민군 최고사령관 김정은동지께서 조선인민군 제171군부대의 포실탄사격훈련을 지도하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-07-15-0002&chAction=L
『東京新聞』、「ロケット砲100発発射 北朝鮮、日本海に向け」、http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014071402000206.html
車両搭載ランチャーから発射されるロケット砲、発射の様子を見る金正恩

Source: 前掲、『労働新聞』
海上に着弾するロケット砲

Source: 前掲、『労働新聞』
「敵の如何なる些細な形の戦争演習騒動や挑発行為も我々に対する耐えがたい冒涜であり、挑戦として見なし、絶対に見逃さない朝鮮人民軍の決死の意志を誇示した訓練は爽快に終わった」ことに「大満足」する「最高司令官同志」。

Source: 前掲、『労働新聞』
過去記事でも金正恩の短距離ミサイル発射訓練指導について書いたが、今回も通常は「指導」していないか「指導」していても報じられない金正恩のロケット砲発射訓練を大きく伝えていることは、米韓合同軍事演習に対する反発であろう。特に、北朝鮮はロケット砲発射を「通常の訓練」とはせず、上記のように「戦争演習騒動や挑発行為」を前提とし、しかも「最高司令官」が「直接指導」する訓練であるということには、特別な意味合いがある。
日本のメディアによると、ケリー国務長官が岸田外相と電話で会談し「日米は同盟国だ。北朝鮮との交渉については透明性をもって、事前にきちんと相談してほしい」と要求したとのことである(16日、『毎日新聞』)
『毎日新聞』、「<拉致問題>米、安倍首相の訪朝けん制 事前の相談要求」、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140716-00000012-mai-pol
米国務省定例記者会見でもこの「電話会談」については取り上げられ、サキ報道官は「電話会談」があったこと以上については言及せず、「日朝交渉について説明するために岸田外相の訪米予定があると聞いているが」という質問に対しても「歓迎はするが、具体的な予定は今のところない」と答えている。
米国は、北朝鮮のこうした挑発に対して批判のトーンを下げた安倍政権に対して不満があるのであろう。とはいえ、イラン、シリア、ウクライナに加えてイスラエル・パレスチナ問題で手一杯の米国は、北朝鮮にまで関与している余裕はない。せいぜい「40年間続けてきた定例かつオープンな軍事演習」(サキ報道官)で北朝鮮を威圧しておくのが手一杯といったところであろう。北朝鮮としては、そうした国際情勢を見ながら、「最高司令官が直接指導する」弾道ミサイル発射訓練やロケット砲発射訓練を連続して行い、日米韓の足並みの乱れを誘発しているのであろう。
U.S. Department of State, Daily Press Briefing, http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2014/07/229290.htm#KOREANPENINSULA
本記事を書くにあたり、中国の動きについてはきちんと調べていないが、韓中関係を強化しつつ、如何なる形であれ日米韓の連携が崩れることは、歓迎しているであろう。もちろん、一方で日朝関係の進展如何で、北朝鮮に対する中国の影響力が低下することに対する警戒も強めているはずである。