「金正恩の妹ヨジョン、北朝鮮政権の実力者として浮上」(2012年2月23日「中央日報日本語版」)
北朝鮮メディアでは、あまり特記したいことが見つからない。
21日前の「労働新聞」1面トップ記事に「偉大な将軍様の遺訓貫徹に党事業の火力を総集中しよう」というのがあり読んでいた。そしてついでに、「2012年新年共同社説」を読み直してみた。注目したのは、「党」の復権である。
http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-02-21-0001&chAction=L
金正日時代の記事をもう少し読み込んできちんと比較してみなければならないが、朝鮮労働党が金正恩さんと対等の関係になっているような気がする。金正日時代には、労働党は金正日さんの下であった。確かに、「金正恩同志の指導の下」という枕詞は使われているが、「遺訓」と「血統」を使いながらも党を求心力としているような気がしてならない。これは、金正恩さんが指名された時点で金正日さんが仕組んだことである。ともあれ、「党」を複数の人間であれ、誰がどう仕切っているのか。金正日時代に支配の頂点であった国防委員会との力関係と今後の展開、特に空席の国防委員長に4月の代表者会を契機に金正恩さんが就任するのかどうか。もし、総書記のみへの就任となると、国防委員会の地位は相対的に低下するのではないだろうか。
金日成さんの遺訓としての「主体思想」、この中身は「社会主義」と「自主」と捉えられよう。そして、この遺訓を受けて作られた「先軍思想」。「先軍思想」が「軍事力強化」を優先している(あるいは「してきた」)ことは間違いないが、北朝鮮の「軍事力強化」は、「核保有国」となったことで一旦は完結したと北朝鮮自身が評価している。
それでよくみると、「先軍思想」の枠組みの中で農業と軽工業の立て直しに力を入れている。食料問題を解決することが喫緊の課題であることは間違いない。WFPは北朝鮮の地理的条件から来る食料生産の限界が、生産技術や保存技術の問題もあるものの、根本的な要因であるとしている。
http://www.47news.jp/korean/korean_peninsula/2012/02/035858.html
さすれば、北朝鮮は何かを売って食料を買わなければならない。ところが、売るものがない。あっても十分ではない。
北京での米朝協議は2日目に入ることになった。米国代表のデービスさん、北朝鮮代表の金さん共に1日目の交渉についてはその意義を認めている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120223-00000125-jij-int
北朝鮮にとっては、もしも今回の協議で米国が金正日さん在命中にまとまったこと以上の要求を出していないのであれば、「遺訓」を理由に受け入れるのは国内的にも問題ないであろう。米国はウラニウム濃縮を中止されることが当面の最大の目的であろうから、そこにプライオリティーを置くはずである。もちろん、「中止」したかの検証を国際機関にさせることは強く要求するであろう。一方、北朝鮮にとっては、「ウラニウム濃縮中止」は読み込み済み。あとは、米国からどのような形で食料援助を引き出せるかということであろう。今回、米国は「食料」ではなく「栄養」と言っているが、これは「高級食材としての米」ではなくて「カロリー」を朝鮮人民に提供するということである。北朝鮮は、その使い道も含めてそれを飲むのかどうか。
さて、タイトルにしたことを全く書かなかったが、金正恩さんの妹が権力を行使しているという話である。確かに、金正恩さんの妹と思わしき人物は金正日さんの葬儀の動画に映し出されていた。で、報道によれば彼女は25歳。金正日さんの妹の金慶姫さんのような役割を演じていると記事には書かれているが、25歳に何ができるというのか。28歳の兄さんの「年齢的」実力するら疑問視されているのに、25歳の「小娘」に何ができるのか。「社会主義」朝鮮の女性の社会的地位、あるいは社会活動における機能レベルは、韓国よりも高いようにも見られる。しかし一方で、超儒教的社会における事実上の女性の地位も疑わしい。そして、25歳だ。
北朝鮮メディアにあまりおもしろい動画が出てこなかったので、ここ数日は、CSISなど在米シンクタンクの北朝鮮問題を巡るシンポジウムの動画を眺めていた。こちらについてはいろいろあるが、その中でVictor Chaさんが言った「28歳は間違いを犯す」という言葉、これは真実である。金正恩さんに限らず、28歳は「青二才」なのである。
とりとめのない話になったが、ともかくも明日の記者会見に注目しよう。
21日前の「労働新聞」1面トップ記事に「偉大な将軍様の遺訓貫徹に党事業の火力を総集中しよう」というのがあり読んでいた。そしてついでに、「2012年新年共同社説」を読み直してみた。注目したのは、「党」の復権である。
http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2012-02-21-0001&chAction=L
金正日時代の記事をもう少し読み込んできちんと比較してみなければならないが、朝鮮労働党が金正恩さんと対等の関係になっているような気がする。金正日時代には、労働党は金正日さんの下であった。確かに、「金正恩同志の指導の下」という枕詞は使われているが、「遺訓」と「血統」を使いながらも党を求心力としているような気がしてならない。これは、金正恩さんが指名された時点で金正日さんが仕組んだことである。ともあれ、「党」を複数の人間であれ、誰がどう仕切っているのか。金正日時代に支配の頂点であった国防委員会との力関係と今後の展開、特に空席の国防委員長に4月の代表者会を契機に金正恩さんが就任するのかどうか。もし、総書記のみへの就任となると、国防委員会の地位は相対的に低下するのではないだろうか。
金日成さんの遺訓としての「主体思想」、この中身は「社会主義」と「自主」と捉えられよう。そして、この遺訓を受けて作られた「先軍思想」。「先軍思想」が「軍事力強化」を優先している(あるいは「してきた」)ことは間違いないが、北朝鮮の「軍事力強化」は、「核保有国」となったことで一旦は完結したと北朝鮮自身が評価している。
それでよくみると、「先軍思想」の枠組みの中で農業と軽工業の立て直しに力を入れている。食料問題を解決することが喫緊の課題であることは間違いない。WFPは北朝鮮の地理的条件から来る食料生産の限界が、生産技術や保存技術の問題もあるものの、根本的な要因であるとしている。
http://www.47news.jp/korean/korean_peninsula/2012/02/035858.html
さすれば、北朝鮮は何かを売って食料を買わなければならない。ところが、売るものがない。あっても十分ではない。
北京での米朝協議は2日目に入ることになった。米国代表のデービスさん、北朝鮮代表の金さん共に1日目の交渉についてはその意義を認めている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120223-00000125-jij-int
北朝鮮にとっては、もしも今回の協議で米国が金正日さん在命中にまとまったこと以上の要求を出していないのであれば、「遺訓」を理由に受け入れるのは国内的にも問題ないであろう。米国はウラニウム濃縮を中止されることが当面の最大の目的であろうから、そこにプライオリティーを置くはずである。もちろん、「中止」したかの検証を国際機関にさせることは強く要求するであろう。一方、北朝鮮にとっては、「ウラニウム濃縮中止」は読み込み済み。あとは、米国からどのような形で食料援助を引き出せるかということであろう。今回、米国は「食料」ではなく「栄養」と言っているが、これは「高級食材としての米」ではなくて「カロリー」を朝鮮人民に提供するということである。北朝鮮は、その使い道も含めてそれを飲むのかどうか。
さて、タイトルにしたことを全く書かなかったが、金正恩さんの妹が権力を行使しているという話である。確かに、金正恩さんの妹と思わしき人物は金正日さんの葬儀の動画に映し出されていた。で、報道によれば彼女は25歳。金正日さんの妹の金慶姫さんのような役割を演じていると記事には書かれているが、25歳に何ができるというのか。28歳の兄さんの「年齢的」実力するら疑問視されているのに、25歳の「小娘」に何ができるのか。「社会主義」朝鮮の女性の社会的地位、あるいは社会活動における機能レベルは、韓国よりも高いようにも見られる。しかし一方で、超儒教的社会における事実上の女性の地位も疑わしい。そして、25歳だ。
北朝鮮メディアにあまりおもしろい動画が出てこなかったので、ここ数日は、CSISなど在米シンクタンクの北朝鮮問題を巡るシンポジウムの動画を眺めていた。こちらについてはいろいろあるが、その中でVictor Chaさんが言った「28歳は間違いを犯す」という言葉、これは真実である。金正恩さんに限らず、28歳は「青二才」なのである。
とりとめのない話になったが、ともかくも明日の記者会見に注目しよう。