「敬愛する金正恩同志が人民軍隊で新たに製作した急降下ウォーター・スライドをご覧になった」:ウォーター・スライドの国産化、日本の事例、人民軍のFRP加工技術 (2014年6月2日 「労働新聞」)
6月2日の『労働新聞』に金正恩が朝鮮人民軍で製作したウォーター・スライドを視察した記事が掲載された。同視察については、「朝鮮中央TV」でも「録画報道」として伝えられていたが、またウォーターパーク系の話かと思いあまり真剣に見ていなかった。昨日の「朝鮮中央TV」録画を見始めたところ、放送開始直後に3本の視察関連「録画報道」があり、その最後にこの視察が入っていた。静止画を見ながらナレーションを聞いていたら、興味深いことを言っていた。
『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 인민군대에서 새로 제작한 급강하물미끄럼대를 보시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-06-02-0004&chAction=L
「敬愛する元帥様は、急降下ウォーター・スライドを我が国で初めて製作したことについて、よく作った、本当にカッコイイ、原価を削減したにもかかわらず、技術的に完璧に作ったのことが気に入ったと仰り、喜びを表明された」
実は、ウォーター・スライドが製作にそれなりの技術水準を要するということを知らなかった。したがって、「元帥様」が建設した「ムンス・ウォーターパーク」のウォーター・スライドも当然、北朝鮮で製作したものだと思っていた。ところが、この「元帥様」の言葉からすると、これまでのスライドは全て輸入品ということになる。これは意外であった。そこで、ウォーター・スライドの価格などについて調べようと検索してみたところ、「日本ウォータースライド安全協会」のHPにたどり着いた。
「日本ウォータースライド安全協会」HP、http://www.jwsa.org/index.html
このHPの「ウォータースライドについて」という項目は大変興味深い。たとえば、ウォータースライドの定義は「ウオータースライドとは、曲線又は直線の傾斜する滑走路内に水を流し、これを媒介として、滑走者が直接または専用補助用具(マット、浮輪等)を使用し当該滑走路内を滑り降りる遊戯施設をいう」とされており、北朝鮮のウォーター・パークに設置されているスライドもテレビ等で紹介されている限りでは、全てこの定義に当てはまる。
同HPには色々なことが書かれているのだが、今回の「元帥様」の人民軍ウォーター・スライド製作現場視察との関連では、その材質が何かと言うことに注目される。同HPでは、「4.滑走路表面材質の違いによる分類」としていくつかの材質を紹介している。ウォーター・スライドに使われる材質は、
4-1.繊維強化プラスチック製(FRP)の滑走路
4-2.金属製の滑走路
4-3.鉄筋コンクリート製の滑走路
4-4.ソフトマット製の滑走路
4-5.キャンパス製(テント布)の滑走路
と5種類に分けられるようだ。個人の経験では、国内外で4-1~4-4までの材質のウォーター・スライドは経験している(ウォーター・スライド・マニアではなく、子供の遊びのつきあいとして)。水流、傾斜、表面処理など、条件が異なるので経験からはどれが一番よく滑るとは言い難い。
では、人民軍が「初めて製作した」ウォーター・スライドの材質は何であろうか。『労働新聞』の記事にはそれが何であるかは書かれていない。
人民軍が「初めて製作した」ウォーター・スライド

Source: KCTV, 2014/06/03放送
下の写真を見ると、湾曲した黒いウォーター・スライドが置いてあり、机の上には青い液体と白い粉が入っているように見える箱が置かれている。恐らく、黒い湾曲部分は未塗装のウォーター・スライドで、青い液体が塗料、白い粉が表面処理をするための素材でであろう。

Source: KCTV, 2014/06/03放送
「日本ウォータースライド安全協会」HPに、「4-1.繊維強化プラスチック製(FRP)の滑走路」として、「工場で成型された多種類のFRP製滑走路パーツを現地で組み立てたもので、曲線ウォータースライドのほとんどがFRP製です」と書かれていることからすれば、人民軍が「初めて製作した」ウォーター・スライドはFRP製ということになるのだろう。
また、送水用とみられる黒いパイプも展示されているので、これらもセットとなってウォータ・スライド一式ということになるのであろう。

Source: KCTV, 2014/06/03放送
金正恩は、このウォーター・スライドを「6月末までに松島園国際少年団野営所に設置してやろう」と提案しているので、人民軍が「初めて製作した」ウォーター・スライドと輸入品のウォーター・スライドを比較できる日も近い。
FRP加工にどれほどの技術力を要するのか分からないが、もし人民軍が小型ボートなどをFRPで製作していたのならば、ウォーター・スライドの製作など朝飯前ということになろう。素人考えでは、複雑な形状の船体を成型できるのであれば、ウォーター・スライドのような単純な形状の成型は簡単そうだからである。すると、これまで製作できるのに単に「元帥様」の命令がなかったからやらなかっただけなのか、ウォーター・スライドから進化させ小型ボートの製作に向かうのか、興味がある。
『労働新聞』、「경애하는 김정은동지께서 인민군대에서 새로 제작한 급강하물미끄럼대를 보시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-06-02-0004&chAction=L
「敬愛する元帥様は、急降下ウォーター・スライドを我が国で初めて製作したことについて、よく作った、本当にカッコイイ、原価を削減したにもかかわらず、技術的に完璧に作ったのことが気に入ったと仰り、喜びを表明された」
実は、ウォーター・スライドが製作にそれなりの技術水準を要するということを知らなかった。したがって、「元帥様」が建設した「ムンス・ウォーターパーク」のウォーター・スライドも当然、北朝鮮で製作したものだと思っていた。ところが、この「元帥様」の言葉からすると、これまでのスライドは全て輸入品ということになる。これは意外であった。そこで、ウォーター・スライドの価格などについて調べようと検索してみたところ、「日本ウォータースライド安全協会」のHPにたどり着いた。
「日本ウォータースライド安全協会」HP、http://www.jwsa.org/index.html
このHPの「ウォータースライドについて」という項目は大変興味深い。たとえば、ウォータースライドの定義は「ウオータースライドとは、曲線又は直線の傾斜する滑走路内に水を流し、これを媒介として、滑走者が直接または専用補助用具(マット、浮輪等)を使用し当該滑走路内を滑り降りる遊戯施設をいう」とされており、北朝鮮のウォーター・パークに設置されているスライドもテレビ等で紹介されている限りでは、全てこの定義に当てはまる。
同HPには色々なことが書かれているのだが、今回の「元帥様」の人民軍ウォーター・スライド製作現場視察との関連では、その材質が何かと言うことに注目される。同HPでは、「4.滑走路表面材質の違いによる分類」としていくつかの材質を紹介している。ウォーター・スライドに使われる材質は、
4-1.繊維強化プラスチック製(FRP)の滑走路
4-2.金属製の滑走路
4-3.鉄筋コンクリート製の滑走路
4-4.ソフトマット製の滑走路
4-5.キャンパス製(テント布)の滑走路
と5種類に分けられるようだ。個人の経験では、国内外で4-1~4-4までの材質のウォーター・スライドは経験している(ウォーター・スライド・マニアではなく、子供の遊びのつきあいとして)。水流、傾斜、表面処理など、条件が異なるので経験からはどれが一番よく滑るとは言い難い。
では、人民軍が「初めて製作した」ウォーター・スライドの材質は何であろうか。『労働新聞』の記事にはそれが何であるかは書かれていない。
人民軍が「初めて製作した」ウォーター・スライド

Source: KCTV, 2014/06/03放送
下の写真を見ると、湾曲した黒いウォーター・スライドが置いてあり、机の上には青い液体と白い粉が入っているように見える箱が置かれている。恐らく、黒い湾曲部分は未塗装のウォーター・スライドで、青い液体が塗料、白い粉が表面処理をするための素材でであろう。

Source: KCTV, 2014/06/03放送
「日本ウォータースライド安全協会」HPに、「4-1.繊維強化プラスチック製(FRP)の滑走路」として、「工場で成型された多種類のFRP製滑走路パーツを現地で組み立てたもので、曲線ウォータースライドのほとんどがFRP製です」と書かれていることからすれば、人民軍が「初めて製作した」ウォーター・スライドはFRP製ということになるのだろう。
また、送水用とみられる黒いパイプも展示されているので、これらもセットとなってウォータ・スライド一式ということになるのであろう。

Source: KCTV, 2014/06/03放送
金正恩は、このウォーター・スライドを「6月末までに松島園国際少年団野営所に設置してやろう」と提案しているので、人民軍が「初めて製作した」ウォーター・スライドと輸入品のウォーター・スライドを比較できる日も近い。
FRP加工にどれほどの技術力を要するのか分からないが、もし人民軍が小型ボートなどをFRPで製作していたのならば、ウォーター・スライドの製作など朝飯前ということになろう。素人考えでは、複雑な形状の船体を成型できるのであれば、ウォーター・スライドのような単純な形状の成型は簡単そうだからである。すると、これまで製作できるのに単に「元帥様」の命令がなかったからやらなかっただけなのか、ウォーター・スライドから進化させ小型ボートの製作に向かうのか、興味がある。