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    「住宅建設場で発生した事故と関連し、責任幹部が遺族に深い慰労の意を表し、首都市民に謝罪」:「朝鮮中央TV」が18日夜に報道、朴槿恵政権のセウォル号沈没事故への対応と比較のためか (2014年5月18日 『朝鮮中央TV」)

    「朝鮮中央通信」が同社HPで海外向けに配信した「住宅建設現場の事故」について、「朝鮮中央TV」が22時台に放送する「今日の主要ニュース」の中で報じた。「朝鮮中央通信」だけの報道であれば、海外向けのプロパガンダの可能性もあると思っていたのだが、国内向けのテレビ放送が報じたとなると、実際に発生した事故ということであろう。

    「朝鮮中央TV」の報道内容は、「朝鮮中央通信」の報道をそのまま読み上げているだけである。事故の詳細は伝えていないが、「13日、平壌市ピョンチョン区域の建設場では、住民が使い、生活するようになる住宅施行をいい加減にやり、それに対する監督統制をきちんとしなかった幹部の無責任な行動により重大な事故が発生し、人命被害が発生した」と伝えている。

    上で「プロパガンダの可能性」と書いたのは、北朝鮮がこのところ展開しているセウォル号沈没事故に対する朴槿恵政権の「無責任かつ無能な対応」キャンペーンを考えたからである。拙ブログでは紹介していないが、北朝鮮では朴槿恵政権非難の一環として、韓国メディアが報じた沈没現場の映像などを使いながら、いかに朴槿恵政権の事故対応が悪かったかについての「座談会」番組などを放送している。

    そこで、北朝鮮での事故の報道であるが、「事故が発生して直ぐ、国家的な非常対策機構が発動され、生存者を救出し」などと報じ、韓国政府の対応との差を際立たせている。さらに、崔ブイル人民保安部長が「今回の事故の責任は、朝鮮労働党の人民愛の政治をきちんと支えることができなかった自分にあるとし、人民の生命財産を危険に晒している要素を必要な時に見つけ出し、徹底した対策を立てることが出来ず、想像も出来ない事故を起こしたことについて反省した」など、平壌市や労働党の幹部が相次いで謝罪する様子を伝えている。これなど、朴槿恵が事故の犠牲者家族に対してなかなか直接謝罪をしなかったのとは対照的である。

    金正恩はといえば、「敬愛する元帥様は、今回の事故について報告を受けられ、大変心を痛められ、夜を徹して党と国家、軍隊の責任幹部が万難を排し事故現場に出向き、救助戦闘を指揮するようされただけではなく、被害を一日も早く癒やすような具体的な教えを下さった」とのことである。金正恩が「夜を徹して」何かをするという逸話はしばしばあるものの、やはりこれも朴槿恵との対比の意図があるのであろう。

    日本のメディアは「異例の報道」などと伝えているが、「異例の報道」の裏にはそれなりの理由がありそうだ。

    事故のニュースを伝えるアナウンサー
    20140518_kctvrasf_048420704.jpg
    Source: KCTV, 2014/05/18放送

    現場の写真1。最近ロシアから寄贈されたとみられる消防車(左下)も出動している。
    20140518_kctvrasf_048475090.jpg
    Source: KCTV, 2014/05/18放送

    事故現場を訪れた崔ブイルか?
    20140518_kctvrasf_048479895.jpg
    Source: KCTV, 2014/05/18放送

    現場の様子2
    20140518_kctvrasf_048487636.jpg
    Source: KCTV, 2014/05/18放送

    深々と頭を下げて謝罪する幹部。セウォル号沈没事故関連の「座談会」では、「朴槿恵は、腰を90度曲げて謝罪しなければならない」と言っていた。5月18日の『労働新聞』(Web版)に掲載された記事でも、この写真を使っている。
    20140518_kctvrasf_048493942.jpg
    Source: KCTV, 2014/05/18放送

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    No title

    もしかしてこの謝罪してた場所が倒壊現場ですかね
    倒壊現場だったとしたらあまりにもきれいな感じがします
    もっと破片や石が転がってたりする様子もなく
    消防車が止まっていてもこんだけ片付いてたらやることがないのでは?と思いました
    いずれにせよ当局の無責任な行いで発生した事故で亡くなった人には哀悼の意をあらわしたいとおもいます
    またこの事故で関係幹部がどのような処遇をうけるのかもこれからの関心事です
    金正恩が関係部門の会議を招集して叱責するのかこの事故から党や軍の不備を明らかにして古き考えを消滅させようとうごくのか注目が必要ですね

    ソヌ・ヒョンチョル

    コメントありがとうございます。確かに現場は整然としています。事故が発生して数日たっていますから、ある程度片付いている可能性はありますが、事故直後ではないように見えます。

    「異例」といえば、「哀悼の意」でしょうか。何か事故が起きると、まずは「英雄」を探し出して賞賛し、その後で指導者が「墓主」となり、「哀悼の意を示す」というパターンなのですが、今回は「英雄」は出現せず、「哀悼の意」を示し、責任者だけ出てきたのが特徴だと思います。

    記事にはセウォル号沈没事故と朴槿恵政権についてだけ書きましたが、今後、金正恩が関係者をいかに問責するのかが見物ですね。

    偶然の一致なのかもしれませんが、「事故の張本人は建設を担当した自分自身である」と「ソヌ・ヒョンチョル朝鮮人民内務軍将領」が言っているのも気になります。珍しい名字だけあり、ソヌ・ヒャンヒのお父さんではないかと・・・

    > もしかしてこの謝罪してた場所が倒壊現場ですかね
    > 倒壊現場だったとしたらあまりにもきれいな感じがします
    > もっと破片や石が転がってたりする様子もなく
    > 消防車が止まっていてもこんだけ片付いてたらやることがないのでは?と思いました
    > いずれにせよ当局の無責任な行いで発生した事故で亡くなった人には哀悼の意をあらわしたいとおもいます
    > またこの事故で関係幹部がどのような処遇をうけるのかもこれからの関心事です
    > 金正恩が関係部門の会議を招集して叱責するのかこの事故から党や軍の不備を明らかにして古き考えを消滅させようとうごくのか注目が必要ですね

    ビル倒壊の原因

    今回の事故で亡くなられた北朝鮮の方たちに、哀悼の意を表します。

    今回のビル崩壊事故ですが、北朝鮮のコンクリート建設の技術レベルの
    低さを考慮すると、残念ながら起きて当然の事故だったと思います。

    YouTubeにアップロードされているuriminzokkiriの映像を解析された
    プロの電気設備工事業の方のホームページがあります。

    http://www.anaroguma.org/komake/den/world/dprk/page2.htm

    これを見る限り、恐ろしいことに基本設計からして間違っており、
    最低限の強度確保すらできていません。さらにコンクリートの
    打設レベルが異常に低く(強度低下の原因となる「ジャンカ」が
    随所に見られる)、それを左官工事で厚化粧しており、いつ
    建物が崩壊してもおかしくない状態です。

    この映像はuriminzokkiriに堂々とアップロードされている
    朝鮮中央テレビの映像なので、おそらく北朝鮮ではこのような
    恐ろしい誤設計+コンクリ打設+左官による厚化粧が完全に
    常態化しているものと思われます。

    「デイリーNK」などは「北朝鮮の手抜き工事」と報じていますが、
    これは大きな間違いで、残念ながら北朝鮮のコンクリート建築工事の
    レベルがこの程度ということなのだと思います。

    かの有名な巨大廃墟こと「柳京ホテル」は、エジプトの電話会社と
    タイのホテルチェーンが再建を試みたものの、結局は諦めたようです。
    おそらく、コンクリートの躯体自体が修復不可能なレベルだったため
    ではないかと推測されます。

    さらに悪いことに、近年の「馬息嶺速度」によって異常な工期短縮が
    起きていることもあり、今回の事故につながったものと思われます。

    最終的には今回のビルの建設担当者が収容所送りか粛清されるのでしょう。
    しかし、このままでは第二、第三の事故が起きるだけで、本質的な解決には
    全くならないのですが…

    Re: ビル倒壊の原因

    コメントありがとうございます。ご紹介いただいたHP拝見しました。私の探し方が悪かったのかもしれませんが、この方は世界各国と北朝鮮を比較しているのではなく、北朝鮮だけをご覧になったようですね。世界との比較であれば大変興味深いのですが、残念です。

    というのは、日本などの先進国を基準にすれば北朝鮮の工法は、とてつもなく危険でレベルが低いということはよく分かるのですが、北朝鮮以外の途上国と比べて北朝鮮の工法がどの水準にあるのかということに関心があるからです。韓国でも地下鉄工事現場や橋の崩落、デパートの倒壊事故などが過去に発生しましたが、経済発展水準が低い段階で建設されたビルというのは、どの国でも危険性をはらんでいるのか、北朝鮮だから危険なのか、あるいは逆に日本だから戦前に建てられたビルも安全なのかというところにとても関心があります。

    話がそれてしまいましたが、平均的に対日比較で危険なビルばかりの北朝鮮だとして、つまり北朝鮮にとってはそれが正常であるとして、今回の建築現場での事故原因を彼らがどのように分析しているのかも知りたいところです。いずれ、誰かが責任をとらされることになるのかもしれませんが、その時にもう少し具体的な話が出てくるのかに注目をしています。

    上の方のHPを見ていて気づいたのですが、北朝鮮の交流周波数は60Hzなのですね。裏をとるために、韓国統一部のサイトを調べてみたのですが、やはりそう書いてありました。すると過去記事に書いたLED電球の箱に書いてあった50Hzというのは何だったのだろうか。私が読み間違えているのだろうかなどと思いキャプチャした写真を見直したのですが、60に見えてなりません。

    > 今回の事故で亡くなられた北朝鮮の方たちに、哀悼の意を表します。
    >
    > 今回のビル崩壊事故ですが、北朝鮮のコンクリート建設の技術レベルの
    > 低さを考慮すると、残念ながら起きて当然の事故だったと思います。
    >
    > YouTubeにアップロードされているuriminzokkiriの映像を解析された
    > プロの電気設備工事業の方のホームページがあります。
    >
    > http://www.anaroguma.org/komake/den/world/dprk/page2.htm
    >
    > これを見る限り、恐ろしいことに基本設計からして間違っており、
    > 最低限の強度確保すらできていません。さらにコンクリートの
    > 打設レベルが異常に低く(強度低下の原因となる「ジャンカ」が
    > 随所に見られる)、それを左官工事で厚化粧しており、いつ
    > 建物が崩壊してもおかしくない状態です。
    >
    > この映像はuriminzokkiriに堂々とアップロードされている
    > 朝鮮中央テレビの映像なので、おそらく北朝鮮ではこのような
    > 恐ろしい誤設計+コンクリ打設+左官による厚化粧が完全に
    > 常態化しているものと思われます。
    >
    > 「デイリーNK」などは「北朝鮮の手抜き工事」と報じていますが、
    > これは大きな間違いで、残念ながら北朝鮮のコンクリート建築工事の
    > レベルがこの程度ということなのだと思います。
    >
    > かの有名な巨大廃墟こと「柳京ホテル」は、エジプトの電話会社と
    > タイのホテルチェーンが再建を試みたものの、結局は諦めたようです。
    > おそらく、コンクリートの躯体自体が修復不可能なレベルだったため
    > ではないかと推測されます。
    >
    > さらに悪いことに、近年の「馬息嶺速度」によって異常な工期短縮が
    > 起きていることもあり、今回の事故につながったものと思われます。
    >
    > 最終的には今回のビルの建設担当者が収容所送りか粛清されるのでしょう。
    > しかし、このままでは第二、第三の事故が起きるだけで、本質的な解決には
    > 全くならないのですが…

    No title

    お世話になります。

    ひどい話です。

    にもかかわらず、ここ数日、北朝鮮の建築技術の革新性やら芸術性やらを強調するニュースが多い反面、それと同じくらいの割合で「セウォル号事件」の韓国政府の対応を非難する記事が多くなり、だんだんエスカレートしています。
    「災害が起きた際の対応の良し悪し」を比較する為の報道ならなんとも滑稽な話ですが、どうもこの二つの報道の関連性がよくわかりません。

    建築現場のホームページ見ました。

    ところで、北朝鮮の家庭では台所やフロ設備の熱源は何なのでしょうか?
    日本ではガス、あるいは電気ですが、この建築現場写真を見ると、少なくともガス管は通せませんね。


    ガス管

    コメントありがとうございます。建設については、これまでも「迅速性(馬息嶺・朝鮮速度)」と「利便性(先便利性・・・何とかというスローガンあり、失念)」、そして「美観」を語ってきましたね。[安全性」や「建築技術」については、ほとんどなかったと記憶しています。「科学映画」では、「建築技術」に関する番組があったような気もしますが、あまり気にせずしっかりと見ませんでした。

    「セウォル号」関連は多いですね。記事にも書こうと思ったのですが、南朝鮮(韓国)赤十字が北朝鮮の建築現場事故に対して「お見舞い」を送ってきたという事実を、これも「異例の速さ」で昨夜の「20時報道」で報道していました。

    「科学者住宅」か何かのドラマの記事にも書いたような気がするのですが、ガスは最新住宅でもプロパンを使っています。だから、ガス管を通す必要はないのでしょう。風呂の熱源は、これも新築住宅や労働者宿泊施設を紹介する番組を見ると、シャワーの根元に取り付ける電気温水器を使っているようです。日本ではあまり一般的ではないかもしれませんが、海外(私が使ったのは、フィリピンと中国)ではそれなりに普及しているようです。冷水を速熱するタイプですが、温水の水量は多くありませんでした。フィリピンのホテルでは、感電しましたし・・・

    普通の家の熱源は、薪や炭・練炭、それと電熱線加熱器で料理をしている映像が「映画」などには出てきます。過去記事にも女の子が親孝行のために練炭で料理をして、火事と間違えられて・・・という話を書いたような。

    > お世話になります。
    >
    > ひどい話です。
    >
    > にもかかわらず、ここ数日、北朝鮮の建築技術の革新性やら芸術性やらを強調するニュースが多い反面、それと同じくらいの割合で「セウォル号事件」の韓国政府の対応を非難する記事が多くなり、だんだんエスカレートしています。
    > 「災害が起きた際の対応の良し悪し」を比較する為の報道ならなんとも滑稽な話ですが、どうもこの二つの報道の関連性がよくわかりません。
    >
    > 建築現場のホームページ見ました。
    >
    > ところで、北朝鮮の家庭では台所やフロ設備の熱源は何なのでしょうか?
    > 日本ではガス、あるいは電気ですが、この建築現場写真を見ると、少なくともガス管は通せませんね。
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「朝鮮中央TV」ワッチャー

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.

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