「敬愛する最高司令官金正恩同志が人民軍隊事業を現地で指導 2014.3-4」:女性飛行士の飛行機、「党中央軍事委員会拡大会議」での着座位置、「朝鮮速度」、「砲射撃訓練」での叱責 (2014年5月7日 「朝鮮中央TV」)
金正恩の2014年3月-4月期の軍部隊関連現地指導をまとめた「朝鮮記録映画」が、7日「朝鮮中央TV」で放送された。同テレビ放送を中継するサーバーが不調だったこともあり、同時期の彼の動きを十分にフォローできていない部分があったので、この「総集編」を見てなるほどと気付いた点もある。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
まず、『労働新聞』で3月7日に報道されている「航空及び反航空軍第2620軍部隊の飛行訓練指導」であるが、女性空軍兵士の指導ということで、使用される飛行機が何なのかと思っていた。今、振り返って3月9日に放送されたこの「現地指導」を伝える静止画による「録画報道」を見ると、使われた飛行機が写っているが、どうやら使われた飛行機は旧ソ連製のYak-18という練習機のようだ。Wikipedia以外でできちんとした確認はしていないのだが、第二次大戦終了直後から2001年までライセンス生産も含めて多く生産された飛行機のようだ。
『労働新聞』、「조선인민군 최고사령관 김정은동지께서 오중흡7련대칭호를 수여받은 조선인민군 항공 및 반항공군 제2620군부대의 비행훈련을 지도하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-03-07-0001&chAction=L
Yak-18とみられる飛行機
Source: KCTV, 2014/05/07放送
シミュレーターで飛行訓練をする「女性飛行士」。シュミレーター画面には「訓練も戦闘だ」と書かれている。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
Source: KCTV, 2014/05/07放送
この部隊には複数の「夫婦飛行士」がいるようで、金正恩は彼らと記念撮影をしている。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
この「現地指導」で金正恩は「女性飛行士の歌」を創作させると言ったという。モランボン楽団の曲目としていずれ登場するのであろうか。
「朝鮮人民軍芸術宣伝隊」の公演観覧の様子に続き、3月17日の『労働新聞』に掲載された「党中央軍事委員会拡大会議」の動画が出てくる。4月末に再び開催された同会議での崔龍海の職責変更が分かっているので、1月前の彼の様子を観察してみる。
拍手をする崔龍海(右から3人目)
Source: KCTV, 2014/05/07放送
この時に黄炳瑞がどこにいたのかと調べてみると、かなり大写しのカットを使っている(一番右の人物)。なお、同様のカットは、『労働新聞』の同会議の様子を伝える記事の中でも使用されており、今思えば、黄炳瑞の昇格を予想させるものであったといえる。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
『労働新聞』の写真。真ん中一番右が黄炳瑞
Source:『労働新聞』、「조선로동당 중앙군사위원회 위원장 김정은동지의 지도밑에 당중앙군사위원회 확대회의가 진행되였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-03-17-0001&chAction=L
さらに、「拡大会議」終了後に開催されたと思われる「モランボン楽団公演」では、黄炳瑞は『労働新聞』の同公演を伝える記事では8番目で紹介されているにもかかわらず、崔龍海が金正恩の左側、そして黄炳瑞が右側に座っている。
<追記>コメントで座っているのは黄炳瑞ではなく李永吉ではないかというご指摘を頂いた。
Source: 『労働新聞』、「경애하는 최고사령관 김정은동지께서 인민군장병들과 함께 모란봉악단의 공연을 관람하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-03-17-0002&chAction=L
この後、砲撃訓練現地指導やサッカー観戦の様子が紹介され、4月22日『労働新聞』に掲載された「敬愛する最高司令官金正恩同志が操業を前にした朝鮮人民軍1月8日水産事業所を視察された」という記事に関する動画が紹介される。
この動画を見て直ぐに思ったのは、ふんぞり返って手を前に組み右を向いたり左を向いたりしながら顎を挙げて自慢げに話をする金正恩が、なんともお爺さんに似ているということだ。似せるためのパフォーマンスかどうかはさておき、血は争えないという感じだ。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
『労働新聞』、「경애하는 최고사령관 김정은동지께서 조업을 앞둔 조선인민군 1월8일수산사업소를 돌아보시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-04-22-0001&chAction=S
この視察の中で、金正恩は「朝鮮速度」という言葉を使っている。
「この水産事業所建設を発議したときから僅か2ヶ月あまりの短い期間で、膨大な工事課題を成功裏に遂行し、操業を目前にしたのは驚くべき奇跡であり、これこそが朝鮮速度と言える」
実は、3月、4月頃から「馬息嶺速度」に代わり「朝鮮速度」という言葉が頻繁に使われ始めた。今まで、この言葉についてきちんと調べることもせずに放置しておいたのだが、この機会に調べてみた。例によって、張成沢事件の影響で、古い記事は削除されてしまっているが、同新聞DBに残っている限りでは2014年1月24日に「朝鮮中央通信」が配信した記事を転載した「中国の出版報道物、馬息嶺スキー場を紹介」という記事の中で使われたのが初めてのようである。しかも、この言葉は北朝鮮が作り出したのではなく、中国の『環球時報』が創作した言葉のようで、『労働新聞』には「『環球時報』とインターネットホームページ『新華網』も20日『馬息嶺で朝鮮速度体験』などの題目で馬息嶺スキー場を紹介する記事を掲載した」と書かれている。
『労働新聞』、「중국의 출판보도물들 마식령스키장을 소개」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-01-24-0038&chAction=S
続いて2月2日の『労働新聞』記事「世界が見た馬息嶺スキー場の魅力」の中でも『環球時報』を引用しながら「朝鮮速度」を紹介している。
『労働新聞』、「세계가 본 마식령스키장의 매력」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-02-02-0051&chAction=S
北朝鮮政府関係者が初めて「朝鮮速度」という言葉を使ったのは、金正恩第1秘書推戴「慶祝大会」における金己男演説の中でである。金己男は
「『馬息嶺速度』、熙川速度創造者たちの、その気性、その心意気が引き継がれ『朝鮮速度』という世界的な新たな時代語が創造されることで、偉大な党、金日成、金正日朝鮮を全世界が羨むようにしなければなりません」
と語っており、「世界的な新たな時代語」という表現を巧みに使いながら、『環球時報』の造語を北朝鮮化している。
『労働新聞』、「희세의 선군령장을 진두에 높이 모시고 백두에서 개척된 주체혁명,선군혁명의 천만리를 꿋꿋이 이어가자 경축대회에서 한 조선로동당 중앙위원회 정치국 위원이며 당중앙위원회 비서인 김기남동지의 보고」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-04-12-0005&chAction=S
この後は、『労働新聞』の社説や論説の中でも「朝鮮速度」という言葉が頻繁に使われるようになり、上記のように金正恩が自らこの言葉を発するに至っている。それにしても、「朝鮮速度」という大きなくくりで「速度」を作ってしまうと、これからはどこそこの軍部隊だの突撃隊が「創造」した「速度」を命名しにくくなってしまいそうなのだが大丈夫なのだろうか。
続いて「航空及び反航空軍第188軍部隊指導」の動画が紹介される。この「指導」については過去記事でも少し書いた。その時に問題にした「空軍兵士がサングラスをして金正恩とツーショット写真」であるが、この「朝鮮記録映画」にも出てくる。しかし、彼がサングラスを掛ける過程は見せていないので、依然として謎のままである。
次に「朝鮮人民軍第851軍部隊管下女性放射砲兵区部隊の砲射撃訓練」を指導する様子を紹介している。きちんと読むと『労働新聞』の同訓練指導を紹介する記事にも書かれているのだが、ポイントは「敬愛する最高司令官同志は、射撃場に既に展開した放射砲兵中隊をご覧になり、現在位置している陣地から不意に機動することについての命令を下された」というところにあるようだ。
時計を見ながら機動にかかる時間をチェックすると指揮官に伝える金正恩
Source: KCTV, 2014/05/07放送
「最高司令官命令」で放射砲を移動する女性兵士。移動させることが予め伝えられていたのか、金正恩のサプライズだったのかは分からない。ナレーションは「敬愛する最高司令官同志が定めて下さった火力陣地に迅速に機動しました」と語っている。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
そして「いつも言っていることだが、訓練から形式主義を根絶し」なければならないと、後日の現地指導での叱責に使った言葉と同じ言葉をここでも使っている。
この現地指導は「ああよくやってる、よくやっている」という「形式的」な雰囲気ではなく、本当に「最高司令官」が陣頭指揮を執っているような雰囲気がある。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
そして射撃が始まる。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
次にまたポイントがあるのだが、目標とされた島に命中し火炎が上がっている。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
「命中射撃だと大きな満足を示される」金正恩
Source: KCTV, 2014/05/07放送
続けて「記録映画」は、「朝鮮人民軍第681軍部隊管下砲兵区分隊砲射撃訓練指導」の様子を紹介する。過去記事にも書いたとおり、この部隊で金正恩は訓練方法について厳しく叱責している。この「記録映画」の動画から、その理由が何となく分かった。
この部隊でも金正恩は「新たな火力陣地を指定」している。指定された火力陣地に移動する自走砲
Source: KCTV, 2014/05/07放送
不満そうな顔つきで腕時計を眺める金正恩
Source: KCTV, 2014/05/07放送
そして、金正恩を怒らせたのは、どうやら彼が定めた新たな「火力陣地」から撃った砲弾が目標とされる島に命中しなかったことのようだ。この種の訓練を紹介する動画では、上の女性部隊での訓練のように命中して火炎が上がる島の様子を見せるのが通常である。しかし、金正恩のために準備されたモニターに映し出されている島では煙が全く上がっていない。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
厳しい表情でモニターを見る金正恩
Source: KCTV, 2014/05/07放送
指揮官を叱る金正恩。彼の口元を見ていると「・・・・말이야!(・・・じゃないか!)」と怒鳴っているように見える。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
次に4月27日『労働新聞』に掲載された2014年2回目の「党中央軍事委員会拡大会議」の様子が紹介される。会議のプロセスを紹介する映像に関しては崔龍海も黄炳瑞も1回目の会議と変わっていない。
大きく写った黄炳瑞
Source: KCTV, 2014/05/07放送
大将たちと最前列に座る崔龍海(右から3番目)
Source: KCTV, 2014/05/07放送
続いて「西南海上の主要敵対象物打撃任務を担っている長距離砲兵区部隊の砲射撃訓練指導」を紹介する。おもしろいのは、同じような自走砲を使っているにもかかわらず、この訓練では「火力陣地」を移動させることなく、1度目の砲射撃を始めている。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
そして目標に命中
Source: KCTV, 2014/05/07放送
次に金正恩は、自走砲を移動させて再び砲射撃を命じる。下は移動する自走砲。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
移動後の地点からも目標の島に見事に命中させ、金正恩は「大満足を示された」。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
Source: KCTV, 2014/05/07放送
まず、『労働新聞』で3月7日に報道されている「航空及び反航空軍第2620軍部隊の飛行訓練指導」であるが、女性空軍兵士の指導ということで、使用される飛行機が何なのかと思っていた。今、振り返って3月9日に放送されたこの「現地指導」を伝える静止画による「録画報道」を見ると、使われた飛行機が写っているが、どうやら使われた飛行機は旧ソ連製のYak-18という練習機のようだ。Wikipedia以外でできちんとした確認はしていないのだが、第二次大戦終了直後から2001年までライセンス生産も含めて多く生産された飛行機のようだ。
『労働新聞』、「조선인민군 최고사령관 김정은동지께서 오중흡7련대칭호를 수여받은 조선인민군 항공 및 반항공군 제2620군부대의 비행훈련을 지도하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-03-07-0001&chAction=L
Yak-18とみられる飛行機
Source: KCTV, 2014/05/07放送
シミュレーターで飛行訓練をする「女性飛行士」。シュミレーター画面には「訓練も戦闘だ」と書かれている。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
Source: KCTV, 2014/05/07放送
この部隊には複数の「夫婦飛行士」がいるようで、金正恩は彼らと記念撮影をしている。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
この「現地指導」で金正恩は「女性飛行士の歌」を創作させると言ったという。モランボン楽団の曲目としていずれ登場するのであろうか。
「朝鮮人民軍芸術宣伝隊」の公演観覧の様子に続き、3月17日の『労働新聞』に掲載された「党中央軍事委員会拡大会議」の動画が出てくる。4月末に再び開催された同会議での崔龍海の職責変更が分かっているので、1月前の彼の様子を観察してみる。
拍手をする崔龍海(右から3人目)
Source: KCTV, 2014/05/07放送
この時に黄炳瑞がどこにいたのかと調べてみると、かなり大写しのカットを使っている(一番右の人物)。なお、同様のカットは、『労働新聞』の同会議の様子を伝える記事の中でも使用されており、今思えば、黄炳瑞の昇格を予想させるものであったといえる。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
『労働新聞』の写真。真ん中一番右が黄炳瑞
Source:『労働新聞』、「조선로동당 중앙군사위원회 위원장 김정은동지의 지도밑에 당중앙군사위원회 확대회의가 진행되였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-03-17-0001&chAction=L
さらに、「拡大会議」終了後に開催されたと思われる「モランボン楽団公演」では、黄炳瑞は『労働新聞』の同公演を伝える記事では8番目で紹介されているにもかかわらず、崔龍海が金正恩の左側、そして黄炳瑞が右側に座っている。
<追記>コメントで座っているのは黄炳瑞ではなく李永吉ではないかというご指摘を頂いた。
Source: 『労働新聞』、「경애하는 최고사령관 김정은동지께서 인민군장병들과 함께 모란봉악단의 공연을 관람하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-03-17-0002&chAction=L
この後、砲撃訓練現地指導やサッカー観戦の様子が紹介され、4月22日『労働新聞』に掲載された「敬愛する最高司令官金正恩同志が操業を前にした朝鮮人民軍1月8日水産事業所を視察された」という記事に関する動画が紹介される。
この動画を見て直ぐに思ったのは、ふんぞり返って手を前に組み右を向いたり左を向いたりしながら顎を挙げて自慢げに話をする金正恩が、なんともお爺さんに似ているということだ。似せるためのパフォーマンスかどうかはさておき、血は争えないという感じだ。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
『労働新聞』、「경애하는 최고사령관 김정은동지께서 조업을 앞둔 조선인민군 1월8일수산사업소를 돌아보시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-04-22-0001&chAction=S
この視察の中で、金正恩は「朝鮮速度」という言葉を使っている。
「この水産事業所建設を発議したときから僅か2ヶ月あまりの短い期間で、膨大な工事課題を成功裏に遂行し、操業を目前にしたのは驚くべき奇跡であり、これこそが朝鮮速度と言える」
実は、3月、4月頃から「馬息嶺速度」に代わり「朝鮮速度」という言葉が頻繁に使われ始めた。今まで、この言葉についてきちんと調べることもせずに放置しておいたのだが、この機会に調べてみた。例によって、張成沢事件の影響で、古い記事は削除されてしまっているが、同新聞DBに残っている限りでは2014年1月24日に「朝鮮中央通信」が配信した記事を転載した「中国の出版報道物、馬息嶺スキー場を紹介」という記事の中で使われたのが初めてのようである。しかも、この言葉は北朝鮮が作り出したのではなく、中国の『環球時報』が創作した言葉のようで、『労働新聞』には「『環球時報』とインターネットホームページ『新華網』も20日『馬息嶺で朝鮮速度体験』などの題目で馬息嶺スキー場を紹介する記事を掲載した」と書かれている。
『労働新聞』、「중국의 출판보도물들 마식령스키장을 소개」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-01-24-0038&chAction=S
続いて2月2日の『労働新聞』記事「世界が見た馬息嶺スキー場の魅力」の中でも『環球時報』を引用しながら「朝鮮速度」を紹介している。
『労働新聞』、「세계가 본 마식령스키장의 매력」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-02-02-0051&chAction=S
北朝鮮政府関係者が初めて「朝鮮速度」という言葉を使ったのは、金正恩第1秘書推戴「慶祝大会」における金己男演説の中でである。金己男は
「『馬息嶺速度』、熙川速度創造者たちの、その気性、その心意気が引き継がれ『朝鮮速度』という世界的な新たな時代語が創造されることで、偉大な党、金日成、金正日朝鮮を全世界が羨むようにしなければなりません」
と語っており、「世界的な新たな時代語」という表現を巧みに使いながら、『環球時報』の造語を北朝鮮化している。
『労働新聞』、「희세의 선군령장을 진두에 높이 모시고 백두에서 개척된 주체혁명,선군혁명의 천만리를 꿋꿋이 이어가자 경축대회에서 한 조선로동당 중앙위원회 정치국 위원이며 당중앙위원회 비서인 김기남동지의 보고」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-04-12-0005&chAction=S
この後は、『労働新聞』の社説や論説の中でも「朝鮮速度」という言葉が頻繁に使われるようになり、上記のように金正恩が自らこの言葉を発するに至っている。それにしても、「朝鮮速度」という大きなくくりで「速度」を作ってしまうと、これからはどこそこの軍部隊だの突撃隊が「創造」した「速度」を命名しにくくなってしまいそうなのだが大丈夫なのだろうか。
続いて「航空及び反航空軍第188軍部隊指導」の動画が紹介される。この「指導」については過去記事でも少し書いた。その時に問題にした「空軍兵士がサングラスをして金正恩とツーショット写真」であるが、この「朝鮮記録映画」にも出てくる。しかし、彼がサングラスを掛ける過程は見せていないので、依然として謎のままである。
次に「朝鮮人民軍第851軍部隊管下女性放射砲兵区部隊の砲射撃訓練」を指導する様子を紹介している。きちんと読むと『労働新聞』の同訓練指導を紹介する記事にも書かれているのだが、ポイントは「敬愛する最高司令官同志は、射撃場に既に展開した放射砲兵中隊をご覧になり、現在位置している陣地から不意に機動することについての命令を下された」というところにあるようだ。
時計を見ながら機動にかかる時間をチェックすると指揮官に伝える金正恩
Source: KCTV, 2014/05/07放送
「最高司令官命令」で放射砲を移動する女性兵士。移動させることが予め伝えられていたのか、金正恩のサプライズだったのかは分からない。ナレーションは「敬愛する最高司令官同志が定めて下さった火力陣地に迅速に機動しました」と語っている。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
そして「いつも言っていることだが、訓練から形式主義を根絶し」なければならないと、後日の現地指導での叱責に使った言葉と同じ言葉をここでも使っている。
この現地指導は「ああよくやってる、よくやっている」という「形式的」な雰囲気ではなく、本当に「最高司令官」が陣頭指揮を執っているような雰囲気がある。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
そして射撃が始まる。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
次にまたポイントがあるのだが、目標とされた島に命中し火炎が上がっている。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
「命中射撃だと大きな満足を示される」金正恩
Source: KCTV, 2014/05/07放送
続けて「記録映画」は、「朝鮮人民軍第681軍部隊管下砲兵区分隊砲射撃訓練指導」の様子を紹介する。過去記事にも書いたとおり、この部隊で金正恩は訓練方法について厳しく叱責している。この「記録映画」の動画から、その理由が何となく分かった。
この部隊でも金正恩は「新たな火力陣地を指定」している。指定された火力陣地に移動する自走砲
Source: KCTV, 2014/05/07放送
不満そうな顔つきで腕時計を眺める金正恩
Source: KCTV, 2014/05/07放送
そして、金正恩を怒らせたのは、どうやら彼が定めた新たな「火力陣地」から撃った砲弾が目標とされる島に命中しなかったことのようだ。この種の訓練を紹介する動画では、上の女性部隊での訓練のように命中して火炎が上がる島の様子を見せるのが通常である。しかし、金正恩のために準備されたモニターに映し出されている島では煙が全く上がっていない。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
厳しい表情でモニターを見る金正恩
Source: KCTV, 2014/05/07放送
指揮官を叱る金正恩。彼の口元を見ていると「・・・・말이야!(・・・じゃないか!)」と怒鳴っているように見える。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
次に4月27日『労働新聞』に掲載された2014年2回目の「党中央軍事委員会拡大会議」の様子が紹介される。会議のプロセスを紹介する映像に関しては崔龍海も黄炳瑞も1回目の会議と変わっていない。
大きく写った黄炳瑞
Source: KCTV, 2014/05/07放送
大将たちと最前列に座る崔龍海(右から3番目)
Source: KCTV, 2014/05/07放送
続いて「西南海上の主要敵対象物打撃任務を担っている長距離砲兵区部隊の砲射撃訓練指導」を紹介する。おもしろいのは、同じような自走砲を使っているにもかかわらず、この訓練では「火力陣地」を移動させることなく、1度目の砲射撃を始めている。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
そして目標に命中
Source: KCTV, 2014/05/07放送
次に金正恩は、自走砲を移動させて再び砲射撃を命じる。下は移動する自走砲。
Source: KCTV, 2014/05/07放送
移動後の地点からも目標の島に見事に命中させ、金正恩は「大満足を示された」。
Source: KCTV, 2014/05/07放送