「<録画実況>敬愛する金正恩元帥様をお迎えし開催された朝鮮人民軍第1回飛行士大会参加者のためのモランボン楽団祝賀公演」 (2014年4月21日 「朝鮮中央TV」)
既に公演が放送されてから時間が経ってしまい、何人かの方から貴重なコメントも頂いた。私も、コメントに対するお返事の中で大体言いたいことは書いてしまったが、念のために写真と共に紹介しておくことにする。

Source: KCTV, 2014/04/21
まず、衣装だが歌手は空軍調の革ジャンにタイトスカート、ブーツを着用している。モランボンの軍服シリーズは過去にもあったが、空軍調のこのスタイルは初めてである。

Source: KCTV, 2014/04/21
一方、演奏者の方はタイトスカートではなく、空軍女性飛行士が着用しているズボンを着用している。

Source: KCTV, 2014/04/21
「寝ても覚めても首領様の思いです」では、モランボン楽団公演では初めて弦楽器の主要演奏者が歌を披露した。番組進行中は、これら演奏者の前にマイクが設置されていたので、一瞬、アコースティックの楽器を使用しているのかと思ったほどである。

Source: KCTV, 2014/04/21
この展開にはかなり驚かされた。歌もなかなか上手い。消えていた期間は「粛清」ではなく、歌の訓練でも受けていたのかもしれない。

Source: KCTV, 2014/04/21
「元帥様」の歌ではなく、「首領様」の歌を歌わせたのは、この歌が歌いやすいからなのか、それとも「思想的正統性」の原点回帰を狙ったのか。

Source: KCTV, 2014/04/21
スタンドマイクなのに握っているのは、演出なのか。

Source: KCTV, 2014/04/21
「白頭の馬蹄の音」は、両江道公演でも演奏されたが、その迫力が全く違う。手抜きをして、両江道公演に立ち返っての比較はしていないが、両江道ではベース、ドラム、エレキなどのソロはなかったような気がする。

Source: KCTV, 2014/04/21
レーザーは、これまでのモランボン公演でも使用されていたが、観客席に向けて投射し、それを効果として使うのは今回が初めてではないだろうか。

Source: KCTV, 2014/04/21
約1時間経過したところで、空軍関連の曲のメドレーが入る。この空軍歌メドレーはなかなかかっこよくて好きな部分である。「飛行士の歌」の曲調を変えた間奏部分ではソヌ・ヒャンヒが演奏における遊び心の表れか笑顔を見せている。

Source: KCTV, 2014/04/21
「空の盾と我々がなる」の背景には、1969年4月に朝鮮人民軍空軍により撃墜された米海軍早期警戒機EC-121が映し出されている。この話は、「飛行士大会」でも披露されていた。

Source: KCTV, 2014/04/21
この辺りまでは、お爺さんとお父さん中心の歌で責めてくるのだが、メドレー中の「私は永遠にあなたの息子」から時代をお爺さん、お父さん、そして金正恩へと進め始める。
お爺さん

Source: KCTV, 2014/04/21
お父さん

お父さんと金正恩

Source: KCTV, 2014/04/21
そして金正恩単独

Source: KCTV, 2014/04/21
「白頭の血統」を予感させる演出である。
続けて、「美しい飛行雲」という曲が入るが、ここで歌手が何とも幼いというかかわいらしい踊りを踊る。両手を水平に広げているのは飛行機を象徴しているのであろうが、大人の踊りとしては幼すぎる感じがする。北朝鮮らしくて微笑ましいとでも言うべきか。

Source: KCTV, 2014/04/21
コメントにも書いたとおり、「新しく出た歌」として紹介されていなくても、金正恩の名前が入った歌が何曲か演奏されている。その1曲が次に歌われた「我々は出撃命令だけを待つ」では「金正恩飛行隊は、いつも出撃命令だけを待っている」と歌っている。また、この歌はマーチなのだがなかなか勇ましい内容で「飛んでいこう、南の地の空に」と歌っている。「南の地」はもちろん韓国である。そして、間奏部分に入ると、中央のスクリーンに金正恩の言葉が映し出される。ところが、アップされることなくカメラは会場へと切り替えられてしまう。
金正恩の言葉が出てくる

Source: KCTV, 2014/04/21
しかし、会場に切り替えられ

Source: KCTV, 2014/04/21
そして最後の部分だけ再び出して「私の心はいつでも航空及び反航空軍の将兵と共にあります 金正恩」という部分が写る。「元帥様」の「お言葉」はもっと出しても良さそうなものだが、空軍向けの非公開の「お言葉」だったのだろうか。

Source: KCTV, 2014/04/21
そして、本公演で最も重要な部分と思われる「霊将の脈を流れてきた人民空軍の歴史 忘れられぬ日々」という回顧アルバムが出てくる。上で予想させた「白頭の血統」の始まりである。

Source: KCTV, 2014/04/21
アルバムは白頭山の天池から始まり、若き頃のお爺さん、幼少時代の金正日などと進んでいく。その中で、特に注目すべき写真を何枚か紹介しておく。アルバムが大写しになる場面では、インストルメンタルが続くがピッコロのような音がしている。「パルコルム」のそれと同じような使い方をしているのだが、ピッコロはないのでキーボードで出しているのであろう。それとも、いずれかの奏者が楽器を持ち替えたのであろうか。
戦闘機の操縦席をのぞき込む若き金日成(お爺さん)

Source: KCTV, 2014/04/21
幼少時代の金正日(お父さん)。お爺さんと一緒にいる大人のお父さんも出しているので順序が逆のような気もするのだが。

Source: KCTV, 2014/04/21
青年になったお父さん。軍帽の着用の仕方がよろしくない。規律に欠け、腐敗した「帝国主義・資本主義」軍人のように見える。お茶目なだけなのかもしれないが。

Source: KCTV, 2014/04/21
金正恩と金正日のツーショットや金正日の写真が何枚か続いた後で出てくるのが下の写真である。流れからして、金正恩の幼少時代の写真であろう。

Source: KCTV, 2014/04/21
2枚目の金正恩と思われる写真であるが、合成写真のように見えてならない。というのは、軍服や軍帽の画質と顔面の画質が異なって見えるし、手の大きさや肩幅に比べて顔が大きすぎる。この場に相応しい幼少時代の写真がなかったのであろうか。

Source: KCTV, 2014/04/21
次が操縦桿を握る後ろ姿である。少し年齢が上がったからかもしれないが、上の2枚と比べると、やせている。しかも頭の形も少し長細くなっており、天然パーマがかかっているように見える。操縦桿を握るという設定なので正面からの撮影は難しいかもしれないが、少なくとも横顔ぐらいはいけるのではないだろうか。この写真もそれらしい写真がなかったのでお兄さんの正哲で代用している気がしないでもない。

Source: KCTV, 2014/04/21
一番右が金正哲。彼が後ろを向いたら上の写真に当てはまりそうだ。

Source: 『朝鮮日報』、김정철 3대세습 결정한「노동당 내부문서」、http://nk.chosun.com/news/articleView.html?idxno=78657
軍服姿や操縦桿を握る金正恩の写真がなかったとすると、初めは当初言われていたように長男である金正哲を後継者として育成しており、金正恩は対象外だったのであろう。そのため、将来使うべき写真も撮影されなかったのではないだろうか。
しかし、「白頭の血統」の正統性に対する揺らぎを打ち消すかのように、お爺さんと全く同じアングルの写真を登場させる。

Source: KCTV, 2014/04/21
公演はクライマックスへと向かい金正恩称賛ソングが続く。「最高司令官同志の健康を願う」では、8名の歌手全員が登場する。例によって、歌手の顔と名前の確認はしていないが、過去記事で紹介した7名+1の構成となっているはずである。

Source: KCTV, 2014/04/21
さらに、歌手は飛行編隊のようにV字型にステージの上に立ち並ぶ。当然、先頭が隊長なのだろうが、この辺りの立ち位置を確認していくと、歌手の序列が分かるはずである。

Source: KCTV, 2014/04/21
曲が終わり、金正恩が観客と握手しながら立ち去る場面が出る。しかし、「飛行士大会」の「記録映画」とはことなり、李雪主が握手している様子はほとんど出ない。
約1時間37分の長時間の公演であった。韓国・統一部のDBで調べると、本公演は4月21日と22日、20時半頃から2回だけ放映されたようである。

Source: KCTV, 2014/04/21
まず、衣装だが歌手は空軍調の革ジャンにタイトスカート、ブーツを着用している。モランボンの軍服シリーズは過去にもあったが、空軍調のこのスタイルは初めてである。

Source: KCTV, 2014/04/21
一方、演奏者の方はタイトスカートではなく、空軍女性飛行士が着用しているズボンを着用している。

Source: KCTV, 2014/04/21
「寝ても覚めても首領様の思いです」では、モランボン楽団公演では初めて弦楽器の主要演奏者が歌を披露した。番組進行中は、これら演奏者の前にマイクが設置されていたので、一瞬、アコースティックの楽器を使用しているのかと思ったほどである。

Source: KCTV, 2014/04/21
この展開にはかなり驚かされた。歌もなかなか上手い。消えていた期間は「粛清」ではなく、歌の訓練でも受けていたのかもしれない。

Source: KCTV, 2014/04/21
「元帥様」の歌ではなく、「首領様」の歌を歌わせたのは、この歌が歌いやすいからなのか、それとも「思想的正統性」の原点回帰を狙ったのか。

Source: KCTV, 2014/04/21
スタンドマイクなのに握っているのは、演出なのか。

Source: KCTV, 2014/04/21
「白頭の馬蹄の音」は、両江道公演でも演奏されたが、その迫力が全く違う。手抜きをして、両江道公演に立ち返っての比較はしていないが、両江道ではベース、ドラム、エレキなどのソロはなかったような気がする。

Source: KCTV, 2014/04/21
レーザーは、これまでのモランボン公演でも使用されていたが、観客席に向けて投射し、それを効果として使うのは今回が初めてではないだろうか。

Source: KCTV, 2014/04/21
約1時間経過したところで、空軍関連の曲のメドレーが入る。この空軍歌メドレーはなかなかかっこよくて好きな部分である。「飛行士の歌」の曲調を変えた間奏部分ではソヌ・ヒャンヒが演奏における遊び心の表れか笑顔を見せている。

Source: KCTV, 2014/04/21
「空の盾と我々がなる」の背景には、1969年4月に朝鮮人民軍空軍により撃墜された米海軍早期警戒機EC-121が映し出されている。この話は、「飛行士大会」でも披露されていた。

Source: KCTV, 2014/04/21
この辺りまでは、お爺さんとお父さん中心の歌で責めてくるのだが、メドレー中の「私は永遠にあなたの息子」から時代をお爺さん、お父さん、そして金正恩へと進め始める。
お爺さん

Source: KCTV, 2014/04/21
お父さん

お父さんと金正恩

Source: KCTV, 2014/04/21
そして金正恩単独

Source: KCTV, 2014/04/21
「白頭の血統」を予感させる演出である。
続けて、「美しい飛行雲」という曲が入るが、ここで歌手が何とも幼いというかかわいらしい踊りを踊る。両手を水平に広げているのは飛行機を象徴しているのであろうが、大人の踊りとしては幼すぎる感じがする。北朝鮮らしくて微笑ましいとでも言うべきか。

Source: KCTV, 2014/04/21
コメントにも書いたとおり、「新しく出た歌」として紹介されていなくても、金正恩の名前が入った歌が何曲か演奏されている。その1曲が次に歌われた「我々は出撃命令だけを待つ」では「金正恩飛行隊は、いつも出撃命令だけを待っている」と歌っている。また、この歌はマーチなのだがなかなか勇ましい内容で「飛んでいこう、南の地の空に」と歌っている。「南の地」はもちろん韓国である。そして、間奏部分に入ると、中央のスクリーンに金正恩の言葉が映し出される。ところが、アップされることなくカメラは会場へと切り替えられてしまう。
金正恩の言葉が出てくる

Source: KCTV, 2014/04/21
しかし、会場に切り替えられ

Source: KCTV, 2014/04/21
そして最後の部分だけ再び出して「私の心はいつでも航空及び反航空軍の将兵と共にあります 金正恩」という部分が写る。「元帥様」の「お言葉」はもっと出しても良さそうなものだが、空軍向けの非公開の「お言葉」だったのだろうか。

Source: KCTV, 2014/04/21
そして、本公演で最も重要な部分と思われる「霊将の脈を流れてきた人民空軍の歴史 忘れられぬ日々」という回顧アルバムが出てくる。上で予想させた「白頭の血統」の始まりである。

Source: KCTV, 2014/04/21
アルバムは白頭山の天池から始まり、若き頃のお爺さん、幼少時代の金正日などと進んでいく。その中で、特に注目すべき写真を何枚か紹介しておく。アルバムが大写しになる場面では、インストルメンタルが続くがピッコロのような音がしている。「パルコルム」のそれと同じような使い方をしているのだが、ピッコロはないのでキーボードで出しているのであろう。それとも、いずれかの奏者が楽器を持ち替えたのであろうか。
戦闘機の操縦席をのぞき込む若き金日成(お爺さん)

Source: KCTV, 2014/04/21
幼少時代の金正日(お父さん)。お爺さんと一緒にいる大人のお父さんも出しているので順序が逆のような気もするのだが。

Source: KCTV, 2014/04/21
青年になったお父さん。軍帽の着用の仕方がよろしくない。規律に欠け、腐敗した「帝国主義・資本主義」軍人のように見える。お茶目なだけなのかもしれないが。

Source: KCTV, 2014/04/21
金正恩と金正日のツーショットや金正日の写真が何枚か続いた後で出てくるのが下の写真である。流れからして、金正恩の幼少時代の写真であろう。

Source: KCTV, 2014/04/21
2枚目の金正恩と思われる写真であるが、合成写真のように見えてならない。というのは、軍服や軍帽の画質と顔面の画質が異なって見えるし、手の大きさや肩幅に比べて顔が大きすぎる。この場に相応しい幼少時代の写真がなかったのであろうか。

Source: KCTV, 2014/04/21
次が操縦桿を握る後ろ姿である。少し年齢が上がったからかもしれないが、上の2枚と比べると、やせている。しかも頭の形も少し長細くなっており、天然パーマがかかっているように見える。操縦桿を握るという設定なので正面からの撮影は難しいかもしれないが、少なくとも横顔ぐらいはいけるのではないだろうか。この写真もそれらしい写真がなかったのでお兄さんの正哲で代用している気がしないでもない。

Source: KCTV, 2014/04/21
一番右が金正哲。彼が後ろを向いたら上の写真に当てはまりそうだ。

Source: 『朝鮮日報』、김정철 3대세습 결정한「노동당 내부문서」、http://nk.chosun.com/news/articleView.html?idxno=78657
軍服姿や操縦桿を握る金正恩の写真がなかったとすると、初めは当初言われていたように長男である金正哲を後継者として育成しており、金正恩は対象外だったのであろう。そのため、将来使うべき写真も撮影されなかったのではないだろうか。
しかし、「白頭の血統」の正統性に対する揺らぎを打ち消すかのように、お爺さんと全く同じアングルの写真を登場させる。

Source: KCTV, 2014/04/21
公演はクライマックスへと向かい金正恩称賛ソングが続く。「最高司令官同志の健康を願う」では、8名の歌手全員が登場する。例によって、歌手の顔と名前の確認はしていないが、過去記事で紹介した7名+1の構成となっているはずである。

Source: KCTV, 2014/04/21
さらに、歌手は飛行編隊のようにV字型にステージの上に立ち並ぶ。当然、先頭が隊長なのだろうが、この辺りの立ち位置を確認していくと、歌手の序列が分かるはずである。

Source: KCTV, 2014/04/21
曲が終わり、金正恩が観客と握手しながら立ち去る場面が出る。しかし、「飛行士大会」の「記録映画」とはことなり、李雪主が握手している様子はほとんど出ない。
約1時間37分の長時間の公演であった。韓国・統一部のDBで調べると、本公演は4月21日と22日、20時半頃から2回だけ放映されたようである。