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    「最高人民会議常任委員会委員長金永南同志がロシア連邦タタールスタン共和国大統領一行と会った」:金永南は健在、クリミア問題が拡大する中で敢えてタタールスタン、訪朝直前に日本の内閣総理大臣補佐官と会談 (2014年3月23日 「労働新聞」)

    モランボン公演関連の写真がもっとないのかと調べていたら、23日の『労働新聞』2面に地味ではあるが写真付きの標記のような記事が掲載されていた。

    拙ブログのコメントで金永南が3月9日の代議員選挙で代議員に選出されなかったことは話題になったが、それ以後もイランやシリアに金永南名義で祝電などを送っているので、失脚はないと考えていた。イランやシリアは反米の連帯友好国であるが、タタールスタン共和国というのは特にこのタイミングでは面白い。

    北朝鮮と旧ソ連に属した国との交流はしばしば報じられているので、ウクライナ問題がない平時であれば取り立てて話題にするほどでもない。ところが、ウクライナ問題が国際的に大きな事件となっている中で、北朝鮮がタタールスタン共和国大統領一行を迎えたということは、ウクライナ問題が複雑化する前から予定されていたことであるにせよ、なかなか興味深い。私もタタールスタン共和国が旧ソ連の自治共和国の一つであったという知識程度しか持ち合わせていなかったが、少し調べてみたらロシアとの関係で面白いことが分かった。Wikipediaでざっと調べた上でタタールスタン共和国の公式ホームページを見るとその歴史が書かれており、ロシアとの関係ではより自律性の強い権限分割条約を結んでいるようである。また、同国の人口の52.2%を占める2百万人強の人々はクリミアの少数派であるタタール人である。

    タタールスタン共和国公式HP(英語版)、http://tatarstan.ru/eng/

    『労働新聞』の報道では、例によって「親善的な雰囲気の中で談話を行った」としか書かれていない。
    金永南とタタールスタン大統領
    Source: 『労働新聞』、「최고인민회의 상임위원회 위원장 김영남동지가 로씨야련방 따따르스딴공화국 대통령일행을 만났다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_06_01&iPageType=2

    タタールスタン共和国のHPでも大統領一行が「金永南」と会見した記事が記されているが、こともあろうに

    On March 22, during their trip to Korea, members of Tatarstan delegation led by Tatarstan President Rustam Minnikhanov visited mausoleum of first leaders of Democratic People's Republic of Korea and met with Chairman of Supreme People’s Assembly of Korea Kim Jong-nam. (ママ、ボールドのみ筆者追加)

    と書かれている。金永南の名前は複数回出てくるが、全て「Kim Jong-nam」と記されている。単純なエラーであろうが、こともあろうに金正恩とは敵対関係にある(と噂されている)兄貴の名前と間違えるというのはかなり問題である。同HPのリンクにあるメルアドに「早く訂正することをお勧めする」とメールを出しておいたので、そのうちに訂正されるであろう。

    同HPに掲載された記事によるとタタールスタンのミンニハノフ大統領は「昨日、大変意味のある(interesting)会合を持ち、近代的な企業を訪問した。両国の商工会議所と企業(Industry)の合意書は、我々の計画の成功裏に実現することを担保するであろう」と述べた上で「今回の訪問は、経済、教育、技術革新分野における両国間の基礎を築く」としている。

    「合意書」なるものが何かともう少し調べてみたが、同HPには具体的な内容は書かれていなかった。

    ところが、記事を追っていくとなんと大統領が北朝鮮を訪問する直前に「内閣総理大臣補佐官(政策企画担当)内閣広報官長谷川 榮一」氏と事務レベル協議(working level meeting)を持ったことが分かった。協議内容は「文化・教育協力や学生交流プログラムの実施に関する事項」とされており、北朝鮮問題やウクライナ問題は含まれていないが、ミンニハノフ大統領が北朝鮮を訪問する直前というタイミングからすると、やはり日朝の問題についても何らかの言及があり、場合によっては北朝鮮へのメッセージ託された可能性もある。日朝協議が進展中なので、敢えてタタールスタン大統領に託さなくても良いかもしれないが、今朝のテレビ番組でも自民党議員が「色々なルートで」と言っていたので、可能性は排除できない。ウクライナ問題との関係では、ミンニハノフ大統領が「大同江タイル工場」を視察したときに駐ロシア大使が同行しているので、北朝鮮に対してはロシアに対して継続的に友好的に接し、タタールスタンに対しては余計なことを言うなというメッセージの意味が込められているのかもしれない。

    日本の官房長官記者会見は未確認であるが、長谷川氏とミンニハノフ大統領との会見は言及されているのであろうか。

    金永南委員長と会談するミンニハノフ大統領
    Kim and the president s
    Source: Official Tatarstan HP, http://president.tatarstan.ru/eng

    北朝鮮メディアには出ない珍しいアングルの「ムンス・ウォーターパーク」の写真
    munsu wp of tatarstan photo
    Source: Official Tatarstan HP, http://president.tatarstan.ru/eng

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    川口智彦

    Author:川口智彦
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    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
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