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    「敬愛する最高司令官金正恩同志が人民軍将兵と共にモランボン楽団公演を観覧された」:金ヨジョンも随行者最後で紹介、拍手をしていない金ヨジョン、モランボン再活性化か (2014年3月23日 「労働新聞」)

    23日付けの『労働新聞』に表記の記事が掲載された。同日の「朝鮮中央TV」も番組開始直後にこの報道を写真無しで行った。写真付きの報道は夕方以降に行われるであろうし、「録画実況」も数日内に放送されるであろうから楽しみである。

    『労働新聞』の報道には金ヨジョンも随行者リスト最後で登場しており、掲載されている写真の2列目に写っている。

    金ヨジョン(20140323)
    Source: 『労働新聞』、「경애하는 최고사령관 김정은동지께서 인민군장병들과함께 모란봉악단의 공연을 관람하시였다
    」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_01_01

    写真を見ると、金正恩夫妻が拍手、随行員もほとんどが拍手、人民軍将兵も全員起立して拍手しているのに2列目に座っている金ヨジョン、ファン・ビョンソ、そしてもう一人軍服を着た人物(名前未確認)だけが拍手をしていない。「元帥様」が拍手をしている最中に拍手をしないというのは不遜にも見えるが、どのタイミングの拍手なのか分からない。人民軍将兵が起立しているところからすると、これは楽団に対する拍手ではなく、金正恩に対する拍手ではないのだろうか。張成沢も金正恩に対する「不遜」の一つの証拠として金正恩が後継者に推戴されたときに「嫌々拍手をした」ことを挙げたれているが、敢えてこうした写真を一面トップに出したのは偶然なのか、何か意図が込められているのかは分からない。

    後に報道される静止画や「録画実況」を見ればその前後の流れが分かってくるであろう。

    金ヨジョンは随行者最後に名前が掲載されているので序列的には今回の随行者中では最下位であるが、『労働新聞』の記事を見ると文字間調整行われているようにも見える。ただし、最下位で紹介されていることからすると意図的な文字間調整ではなく、オートで調整された可能性が高い。

    ともあれ、ここにも金ヨジョンを登場させたのは、4月9日の最高人民会議で公式に彼女に何らかの高位の職責を与えるための布石であろう。血縁者である金敬姫が事実上、表面から消えたので、その代わりに金ヨジョンを表面に出すという考えなのかもしれない。北朝鮮が朝鮮人民に対して金ヨジョンをどのように説明しているのかが興味深い。特に、「白頭の血統」との関連での彼女のポジションはどうなのかが注目される。金ヨジョンが現在独身だとすると(年齢的には独身の可能性が高いが)、彼女に高位職責が与えられた後の彼女の結婚相手も慎重に選ぶことになるのであろう(政略結婚になるのではないだろうか)。

    『労働新聞』で紹介されたモランボン楽団の演奏曲目は、前回のモランボン公演と同じ曲目+数曲といった構成となっている。「帰港の歌」と「海満風歌」が再び含まれているが、やはり金正恩が「第534軍部隊の水産物冷凍施設」を視察したり、「朝鮮人民軍1月8日水産事業所建設場」を視察していることと無関係ではないのであろう。「第534軍部隊の水産物冷凍施設」視察の際、金正恩は「全国の孤児院や養老院、教育施設に対する魚の供給可能性について相談するために来た」と述べ、「彼らに魚を1日に300グラム食べさせるためには、漁獲量がどれだけ必要か(金正恩が)自ら計算」し、それを実現するための「水産事業に関する最高司令官命令を(人民軍に)現地で下」した『労働新聞』の関連記事で報道されているので、漁業を再活性化させるという思いが強いのかもしれない。確かに、水産物は現在も北朝鮮の主要輸出品目の一つであるわけなので、「人民の食生活を豊かにする」のと同時に外貨獲得の重要な源泉となることは間違いない。

    『労働新聞』、「경애하는 최고사령관 김정은동지께서 조선인민군 1월8일수산사업소건설장을 돌아보시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-02-23-0001&chAction=L
    『労働新聞』、「경애하는 최고사령관 김정은동지께서 조선인민군 제534군부대에서 새로 건설한 수산물랭동시설을 돌아보시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-01-07-0001&chAction=L

    モランボン公演がこれほど近い間隔で連続して行われたことはこれまでないが、メンバーを一部入れ替えて同楽団を再活性化させたということだろうか。『労働新聞』には、ステージ上の様子が分かる写真は掲載されていないので分からないが、今回もリーダーの(もしかすると元リーダーの)ソンウ・ヒャンヒや粛清されたといわれるリュ・ジンアなどが出演しているのかが注目される。

    <追記>
    23日昼頃に「朝鮮中央TV」が静止画付きで「録画報道」を行った。

    まず、金ヨジョンであるが上で紹介した『労働新聞』に掲載された写真以外には出ていないようである(動画の解像度が高くないので背景に小さく映っているのかは確認できない)。

    歌手と奏者については、前日と同じ構成のようである。ただし、静止画で紹介されるのは、歌手が中心となっており、これまでの公演と比べ奏者の扱いが低くなっている。

    20142323kctvf2flv_014926366.jpg
    Source: KCTV, 2014/03/23放送

    コメントでいただいたソンウ・ヒャンヒ金正恩愛人説を読んだからなのかもしれないが、それに無理矢理結びつければ静止画の出し方が面白い。

    金正恩が李雪主に寄り添うような姿勢で写った写真をまず紹介しておき、
    20142323kctvf2flv_014932067.jpg
    Source: KCTV, 2014/03/23放送

    遠くから撮影した歌手の静止画に続き、バイオリンなどの奏者3名を出す。
    20142323kctvf2lv_014946365.jpg
    Source: KCTV, 2014/03/23放送

    そして再び金正恩と李雪主の「ラブラブ」静止画をさらに大写しで出す。
    20142323kctvf2flv_014952533.jpg
    Source: KCTV, 2014/03/23放送

    きちんと確認してはいないが、この種の公演に李雪主が同行した際、これほど大写しで2人を出すことはなかったような気がする。どちらかというと、李雪主も「元帥様」の配下に位置づけられ拍手をしているような写真が多かったのではないだろうか。

    もし、ソンウ・ヒャンヒが本当に金正恩の愛人だったとすると、怒ったのは奥さんの李雪主で、ソンウ・ヒャンヒを排除した上で、変な噂を打ち消すために「ラブラブ」写真を公開、さらにそれを残る3名の中心奏者と並べて「あなたたちも、亭主に手を出すと粛清よ」というメッセージにしているというのは考えすぎであろうか。

    張成沢処刑の裏には、モランボン楽団を開放的にしすぎてモラルが低下する、金正恩とリーダーが不適切な関係になる、張成沢自身もリュ・ジンアと不適切な関係になり、李雪主が怒り張成沢を処刑にする。女性週刊誌の記事になりそうだ。

    白い軍服でずっと行くのか、それとも肌を露出した衣装に戻るのか、今後が楽しみだ。

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    モランボン楽団公演

    どうも、前回は党心の部分で恥ずかしいミスをしてしまいました今の今まであなた=党心と考えていたので字の違いを見落としていました。
    今回の公演、4.25文化会館で開催されたということですが、今までの公演を見ると体育館や小さな会館でしか開かれていませんでしたしかし今回は北朝鮮最大の4.25文化会館(6000人収容)でなので新しいモランボン楽団の姿を見せようとしたのかもしれません。前回の公演はそのリハーサルのようなものだったのかも。

    20時報道

    今日の今20時報道やってるんですが
    モランボン楽団の公演が平壌市民にも公開されて開催されたようです

    Re: モランボン楽団公演

    コメントありがとうございます。いえいえ、いつも鋭いご指摘を頂き、驚くばかりです。「党心」は確かにあり得ますね。私もご指摘をいただき、確認をするまでは「そういうことだったのか」と思っていました。

    もう一つのコメントで教えていただいた「平壌市民公演」についても、先ほど録画で確認しました。「初日公演」のようなことを言っているので、何日間か続けて公演をするのではないでしょうか。

    > どうも、前回は党心の部分で恥ずかしいミスをしてしまいました今の今まであなた=党心と考えていたので字の違いを見落としていました。
    > 今回の公演、4.25文化会館で開催されたということですが、今までの公演を見ると体育館や小さな会館でしか開かれていませんでしたしかし今回は北朝鮮最大の4.25文化会館(6000人収容)でなので新しいモランボン楽団の姿を見せようとしたのかもしれません。前回の公演はそのリハーサルのようなものだったのかも。
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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