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    「国連朝鮮民主主義人民共和国人権調査委員会が金正恩第一秘書に送った手紙」:人権問題で叩かれる北朝鮮 (2014年3月8日)

    2月17日に国連人権委員会の「北朝鮮の人権状況に関する報告書」が出されたのに続き、米国務省も同月27日に北朝鮮を含む各国の人権状況に関する年次レポートを発表した。両レポート共に北朝鮮の「深刻な」人権状況について伝えているが、北朝鮮は「朝鮮中央通信」などを通じてこれらの報告書やレポートに反発している。「朝鮮中央通信」を「人権」というキーワードで検索してみると、

    国連人権委員会報告書に反発するもの:
    2月24日「朝鮮外務省スポークスマン、朝鮮人権状況関連『調整院解』の『報告書』を排撃」
    「『調査に委員会』の『報告書』というものも、我々人民の本当の人権享有実況に背を向け、敵対勢力と我々共和国に対して罪を犯して逃亡した正体の怪しい何人かの『脱北者』、犯罪逃亡者など、どうしようもない奴が生計費を稼ごうと適当に作り上げた虚偽・歪曲資料を集めて組み立てた一考の価値もないものとして我々はこれを全面排撃する」

    米国務省人権状況レポートに反発するもの:
    3月4日「『人権裁判官』たちの醜悪な人権状況」
    3月5日「氾濫する米国の海外版人権蹂躙犯罪」
    3月7日「世界最大の人権蹂躙国家米国を断罪する-朝鮮中央通信社告発状」
    3月7日「米国の『人権』太鼓は内政干渉と侵略のスローガン」

    などが見られる。この他にも、中国やロシアなどが米国の人権レポートに反発して行ったコメントや米国の人権状況を非難する内容も転載で伝えている。

    国連人権委員会の「報告書」には、元受刑者金・クァンイルが描いた絵も収録されている。

    http://www.ohchr.org/Documents/HRBodies/HRCouncil/CoIDPRK/Report/drawings-by-former-prisoner/coi-dprk-drawings-by-former-prisoner-kim-kwang-il.pdf

    同「報告書」のサマリーには、金正恩に宛てた人権状況を改善するよう求めた人権委員会委員長の手紙も付録として掲載されている。以下はその翻訳である。

    UNHRC, "Report of the commission of inquiry on human rights in the Democratic People’s Republic of Korea", http://www.ohchr.org/Documents/HRBodies/HRCouncil/CoIDPRK/Report/A.HRC.25.63.doc

    国連朝鮮民主主義人民共和国人権調査委員会
    2014年1月20日

    閣下

    2013年7月16日にお送りした手紙に加え、再び私は国連朝鮮民主主義人民共和国人権調査委員会委員長としてこの手紙を書いております。この委員会は、国連人権委員会に設置されています。この委員会は北朝鮮の深刻かつ組織的、そして広域の人権侵害の疑義について調査する権限を有しており、特に人権に対する罪に繋がるこうした侵害に対する完全な説明責任を北朝鮮に対して求めています。委員会は被害者や目撃者を含む公聴会、非公開の面接調査、関係者からの通報などに得られた関連情報を慎重に吟味した上で調査を完了しました。

    当委員会は、閣下の政府が党委員会の調査に協力しないばかりでなく、公聴会に代表を派遣することを繰り返し求めたにもかかわらず応じないことを遺憾に思います。また、当委員会を北朝鮮に招き入れないだけではなく、閣下の政府が適切と考える情報ですら提供しないという事実についても遺憾に思います。

    当委員会は、組織的で広範な大きな人権侵害がこれまでも、そして現在も公的機関や公務員により北朝鮮で行われていることを発見しました。当委員会が発見した多くの人権侵害事例は、人権に対する罪を構成するものです。この手紙の添付書類にはそれらの事実が詳細に記されています。これらの発見された事実が先の結論の基礎となっております。北朝鮮の如何なる公務員であれ、人権に対する罪を命令をし、それを求め、あるいは助け、教唆したのであれば、国際法上の刑事犯罪を犯したこととなり、法により裁かれなければなりません。

    金正恩閣下
    朝鮮民主主義人民共和国最高指導者
    朝鮮労働党第1秘書
    朝鮮民主主義人民共和国、平壌
    朝鮮民主主義人民共和国国連常設代表部ジュネーブ

    直接的に人権に対する罪に関与していなくても、軍の指揮官は指揮統制下にある軍が犯した人権に対する罪、軍の統制をできずが軍が犯した人権に対する罪に対しては、その責任を有する。こうした責任は、(1)指揮官が軍隊が罪を犯すか、または犯そうとしているという事実を知っている、あるいは状況からして知っているべきである場合、(2)指揮官が自分の権限の下でこうした犯罪が行われることを防止あるいは抑制したり、捜査機関や法執行機関にこうした事実を報告するための必要かつ適切な措置を取らない場合に生じる。

    同様の理由から、民間人の指導者も犯罪に対する責任がある。これは、(1)民間人の指導者が、自分の部下や管理課にある者が人権に対する罪を犯しているということを示す明らかな情報を知っている、または意図的に無視し、(2)民間人の指導者が自分の権限でこれを防止したり抑制するための必要かつ適切な措置を取らなかったり、捜査機関や法執行機関にこうした事実を報告するための必要かつ適切な措置を取らない場合に生じる。

    貴殿は、朝鮮民主主義人民共和国最高指導者、朝鮮労働党、同中央軍事委員会第1秘書、国防委員会第1委員長、朝鮮人民軍最高司令官という職責にあるので、下記の発見された事項に関心を寄せていただきたい。

    1.委員会は、国家安全保衛部、人民保安部、朝鮮人民軍、検察所、法執行機関、朝鮮労働党が人権に対する罪を犯し、今も犯しているということを発見した。こうした罪を犯している公務員は、朝鮮労働党、国防委員会、そして北朝鮮最高指導者といった中央機関の実行力ある統率下にある。こうした公務員は、場合によっては、貴殿の個人的な統率下にあることは明らかである。

    2.委員会は、政治犯収容所(管理所)やその他の収容所に脱北未遂者、キリスト教信者、悪影響を与えると見なされる者が拘留されているということが人権に対する罪であるということを発見した。こうした攻撃は、北朝鮮の政治システムや指導者に脅威となると見なされる者に組織的かつ広範に国家により行われている。現在行われている攻撃は、成分といわれる差別的身分制度もそうであるが、広範な大衆に対する政治的な意図に基づく人権侵害を行うシステムとして埋め込まれている。

    3.委員会は、明らかに北朝鮮のための労働力や技能を習得する目的で、韓国人や日本人などを組織的に拉致、抑留し、現在もし続けていることは、人権に対する罪であるということを発見した。こうした人々は、強制的失踪という現在進行形の罪の犠牲者である。こうした人々の自由を剥奪したり、彼らの命運や居場所についての適切な情報を提供をしない公務員は、たとえ自らが組織的に行われた拉致や帰国阻止に荷担しておらずとも犯罪に対する責任を有する。

    4.委員会は、人権に対する罪が飢餓に瀕しつぃる人々に行われ、現在も行われていることを発見した。こうした罪は、食料に対する普遍的人権を侵害する決定や政策に基づくものである。こうしたことは、飢餓を悪化させ、飢餓による死を引き起こしているということを十分に認識した上で、現在の政治制度を維持するために行われている。人権に対するこうした罪を構成する政策の多くは、北朝鮮の人権状況に関する信頼できるデータの意図的に提供しないこと、自由かつ制限を受けない形での国際人権機関による援助を必要としている人へのアクセス拒否、差別的な支出と食糧配給というかたちで現在も続けられている。

    委員会は貴殿が、貴殿の権限の下で、これ以上こうした罪が犯されないようにし、既に行われた人権に対する罪について適切に調査、法執行をするための全ての必要かつ適切な措置を取ることを要請する。この点について、委員会は北朝鮮の機関や公務員が現在進行形の人権に対する罪を犯している者を認知し、法的措置を取る意思も能力もないということを発見した。したがって委員会は、貴殿も含むこの手紙や委員会報告書の中で取り上げられた人権に対する罪に責任のある人々を追求するために、国連が北朝鮮のこうした状況を国際司法裁判所に提訴することを推奨するということに対する貴殿の関心を喚起する。

    最後に、委員会報告書の全文が2014年3月17日以前にジュネーブの国連人権理事会に提出されるということをお伝えする。報告書全文は、ジュネーブ駐在北朝鮮常設代表部にそれ以前に提供される。

    貴殿、北朝鮮の公務員、北朝鮮の人々の役に立つのであれば、私も含む委員会のメンバーは平壌を訪れる準備をする。我々は、如何なる時にもそれが実行できるような体制を整えておく。こうした訪問は、貴殿、北朝鮮の公務員、そして北朝鮮の人々に委員会の結論とその結論に至った説明を聞く機会を与え、質問をし、この報告書、発見した事実、推奨事項に対する回答を得る機会を与えるものである。委員会は、北朝鮮における完全な人権尊重を確保するための方途について率直な意見交換をする準備は整えている。

    委員会はこの機会に閣下と北朝鮮に対する敬意を再び表する。

    委員長 マイケル・カービィ

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    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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