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    KCTV stream ダウン、最高尊厳誹謗・中傷中止、李雪主再び懐妊説、北朝鮮OSとタブレット、第13期代議員選挙と「書簡」

    20日ぐらいからKCTVストリームがダウンしている。切れた場面を直接は見ていないが、15時20分から30分の間に切れているようだ。これまで、放送終了後、ストリームが止まり、しばらく止まったままの状態になったことはあるが、今回は突然切れており、さらに再開もないので、もしかしたら韓国当局の取り締まりの対象となったのかもしれない。離散家族面会で南北関係が少し進展しているように見える中、韓国では統一進歩党関連の「従北勢力」に対する取り締まりは強化されており、その一環としてストリーム放送をしていた人物あるいは団体もその対象とされた可能性はある。朴槿恵政権にとっての統一進歩党問題は南北関係というよりも、韓国の国内問題としての性格が強いので、対北朝鮮政策とは切り離して考えているのであろう。

    双方での「誹謗・中傷」はどうかというと、中断している状態が続いている。北朝鮮側は、『朝鮮中央通信』が、「ウルサン大学の教授が学生に金日成の『時代と共に』を読ませてレポートを書かせた」として同教授が逮捕された話や在韓米軍関連の話は伝えているが、朴槿恵政権や同政権閣僚への非難は中断している。北朝鮮が対南非難を中止することは容易であるが、自由主義国の韓国でも「最高尊厳に対する中傷・誹謗」が「自主規制」あるいは「自粛」されているようだ。韓国の『中央日報(韓国語版)』のここ数日間の記事を「金正恩」というキーワードで抽出しざっと読んでみたが、彼を強く「中傷・誹謗」するような内容は見られなかった。唯一、海外メディアに掲載されたシリアのアサド2世、北朝鮮の金3世、ヒットラー1世(ヒットラー当人)が後ろを向いて座り、ヒットラー1世が「息子をもうけておけばよかった」とぼやいている風刺画を紹介しているのが「中傷・誹謗」といえば中傷誹謗であろうか。それにしても、このところ亡霊のようにヒットラーが東北アジアの言説にしばしば登場する。

    『中央日報』、http://sunday.joins.com/article/view.asp?aid=33198

    韓国メディアを読んだ話のついでに書いておけば、李雪主夫人懐妊説また出てきている。その根拠は『労働新聞』に掲載された「敬愛する最高司令官金正恩同志が光明星節にちなんで開催された朝鮮人民軍海軍指揮部と朝鮮人民軍空軍および反航空軍指揮部の軍人と体育競技を観覧された」という記事に写った李雪主の写真からだ。彼女の顔がむくんでいるように見えるのと着ているコートが前回「懐妊説」が出たときに着ていたのと同様に腹部に余裕があるものだと言うことをその根拠にしている。

    『中央日報』、「이설주 임신설 … "얼굴 붓고 옷 펑퍼짐"」、http://joongang.joins.com/article/873/13975873.html?ctg=

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    Source: 『労働新聞』、「경애하는 최고사령관 김정은동지께서 광명성절에 즈음하여 진행된 조선인민군 해군 지휘부와 조선인민군 항공 및 반항공군 지휘부 군인들의 체육경기를 보시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-02-18-0001&chAction=L

    しかし、同日の『労働新聞』に掲載された「敬愛する最高司令官金正恩同志が人民軍将兵と共に光明星節慶祝功勲国家合唱団の公演を観覧された」という記事に登場する李雪主はそんなに変わったようにも見えないし、「朝鮮中央TV」が伝えた「合唱公演観覧」の静止画報道に登場する李雪主はそのようには見えなかった(このころは、まだKCTVストリームが稼働していた)。

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    Source: 『労働新聞』、「경애하는 최고사령관 김정은동지께서 인민군장병들과 함께 광명성절경축 공훈국가합창단의 공연을 관람하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-02-18-0002&chAction=L

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    Source: KCTV, 2014/2/18放送

    「白頭の血統」を継ぐのは「女将軍」では駄目なので、男児が生まれて欲しいという期待感は当然、北朝鮮にはあるだろう。しかしこうした韓国メディアの報道を見ていると、韓国もある意味そうした「期待感」を持っているのではないだろうかと考えてしまう。

    KCTVストリームの話から大幅に脱線してしまったが、KCTVストリームに話を戻すと、このストリームが止まってしまったことはかなり痛い。uriminzokkiriがYouTubeへのアップロードを増やしているので状況は改善しているが、それでもuriminzokkiriからのダウンロードが不調なときが多い。中国の動画サイトYouKuで動画を見ようとしても、ものによっては「中国外からは見られません」というメッセージが表示される。それよりもなによりも、選別的にuriminzokkiriがアップロードする以外の番組に注目すべきものがたくさんあったということは、過去記事でもそうした版雲を多く紹介してきたように明らかだ。ともかく、上での推測が外れ、単なるサーバー・メンテナンスのためにストリームが中断していることを願うばかりだ。

    その関係で、何か情報がないかとNorth Korea Techを見ていた。久しぶりに見に行ったのだが、KCTVに関する新しい情報はなかったものの、なかなか面白い情報が色々と書いてあった。特に、IT関連では北朝鮮製のタブレット端末のメインボードは台湾製であるとか、北朝鮮製OSである「赤い星」がLinuxベースに開発されたものであり、最近ではそのGUIがWindowsではなくMacに近いものになっているなど、本当におもしろい話が書いてあった。前記事では、「三池淵タブレット」を割って中のボードを取り出しているし、後者は、平壌科学工業大学で教鞭を執った米国人コンピュータ科学者が南平壌で購入したOSの写真も多数掲載されている。どういう人々が運営しているサイトなのかは分からないが、噂や脱北者情報ではなく、自らが証拠を収集して明かしてしまうという頼もしい人々である。

    North Korea Tech, Exclusive: North Korea’s Samjiyon tablet — Made in China?, http://www.northkoreatech.org/2013/08/04/exclusive-north-koreas-samjiyon-tablet-made-in-china/

    North Korea Tech, North Korea’s Red Star OS goes Mac, http://www.northkoreatech.org/2014/01/31/north-koreas-red-star-os-goes-mac/

    3月9日の最高人民会議第13期代議員選挙に向けた準備が進んでいる。金正恩は2月18日「公開書簡 全国の全ての選挙者に」を発表した。

    『労働新聞』、「공개서한 전국의 모든 선거자들에게」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-02-19-0001&chAction=L

    この中で彼は「私は、全ての選挙者が私に厚い信任を表示してくれたことに対し、とてもうれしく思い、心から厚い感謝を申し上げます」と述べている。興味深いのは、「朝鮮民主主義人民共和国の各級人民会議代議員選挙法により、代議員候補者は一つの選挙区にだけ登録するようになっているので、私は最高人民会議第13期代議員選挙のための第111号白頭山選挙区に代議員候補として登録することにしました」と言っている点である。「朝鮮中央TV」を見ていたら、「第111号白頭山選挙区」で金正恩が候補として推戴された後、他の選挙区でも彼を推戴している様子が伝えたれた。しかし、この「書簡」を読む限りでは、「推戴」され代議員候補として登録されるのは「第111号白頭山選挙区」だけであり、他の選挙区ではこの「推戴」を支持する集会をしていただけのようだ。また、北朝鮮に選挙区がいくつあるのかは知らないが、「朝鮮中央TV」で紹介された選挙区では番号が相当に離れている。「第111号」というのは恣意的に付けた番号だとしても、他の選挙区の番号は何を基準に付けているのであろうか。

    金正恩はまた「全ての選挙者は、最高人民会議代議員選挙に一人漏らさず参加し、人民の代表を選挙することで最も優越な我々の人民主権を盤石にし、国家社会制度をさらに強固、発展させていくようにしなければなりません」とも述べている。北朝鮮では、「推戴」された人が病気などで投票できない人を除きほぼ100%の投票率の中、100%の得票率で当選することになっている。そのような北朝鮮で「一人漏らさず参加し」というのは形式的な発言ではあるが、「推戴」されたことに感謝をしたり、投票を呼びかけるということは彼のお父さんやお爺さんもやっていたのであろうか。

    このところ、あまり記事を書かなかったので、最近、思ったことをまとめて書いた。「ジャガイモ革命」を扱った「朝鮮記録映画」の話や、国連人権委員会が金正恩に送った手紙など、記事にすべきことはたくさんあるのだが、徐々に書いていくことにする。

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    崔竜海氏が拘束されたとの情報が入ってきました(公式ではないよう

    崔龍海

    コメントありがとうございます。お返事が遅れてしまい申し訳ありません。崔龍海拘束の件、韓国系のメディアで読みました。人民軍11月2日工場、同1月8日工場、松島園国際青年団野営所、そして思想幹部大会にも出席していないのでどうしたのかと思っていました。しばらく姿が見えないと「拘束」だの「失脚」説が流布されるのは常なので、9日の代議員選挙に出てくるかに注目する必要がありますね。朴奉珠も含めて、次は誰が切られるのか分からない状況になったといえるのではないかと思いますが、金正恩がそれほどまでに権力を掌握できたということなのか、あるいは逆に掌握できないがために恐怖政治の度合いを高めたということなのか。恐怖政治を展開するとしても、その背骨となる軍部が造反したらどうにもならないので、本当に崔龍海が失脚したのだとすれば、「先党政治」から「先軍政治」へのよりもどしかもしれませんね。失脚後の崔龍海のポストに誰が就くのかを見れば、ある程度判断はできそうです。

    「思想幹部大会」でも長い演説をしていますね。形としては回顧する形で「現代版宗派」を述べてはいますが、もしかすると現在進行形で第二の「現代版宗派」が崔龍海ということなのでしょうか。

    随分先走ったことを書いてしまいましたが、注目していたいと思います。また何か情報がありましたら、よろしくお願いします。

    それにしても、生KCTVソースが統一放送だけになってしまい不便です。エルファテレビでも流すようですが、今日のように流していない日もあり、完璧ではありません。

    > 崔竜海氏が拘束されたとの情報が入ってきました(公式ではないよう

    崔竜海氏の足の不調

    金正恩第一書記が人民軍の活動を視察したという記録映画で写っていた崔竜海氏の歩き方がなんかおかしいように見えました
    最後の海岸での訓練の場面では崔竜海氏は写っていなかったのですが、最後の場面で金正恩第一書記と崔竜海氏のツーショットが写っていました
    やはり政治的には健在で足の不調が原因で公式の場から消えたようです
    (もしかしたら手術などの治療でしばらく出てこれないのかも

    Re: 崔竜海氏の足の不調

    コメントありがとうございます。今、新たな「朝鮮記録映画」を見ていました。ご指摘のとおり、映画の冒頭でメモをする崔龍海が登場し、その後も何回も出ていますから、失脚情報は誤報だったと断定できると思います。また、足をかばっているいる点もそのとおりですね。1月12日の『労働新聞』に掲載された「朝鮮人民軍第534部隊指揮部視察」の様子を伝える「朝鮮記録映画」の場面では、足をかばっている様子がよく分かります。その後の軍関連指導には同行していないので、足の治療のために入院しているのかもしれませんね。

    金正恩第一書記が人民軍の活動を視察したという記録映画で写っていた崔竜海氏の歩き方がなんかおかしいように見えました
    > 最後の海岸での訓練の場面では崔竜海氏は写っていなかったのですが、最後の場面で金正恩第一書記と崔竜海氏のツーショットが写っていました
    > やはり政治的には健在で足の不調が原因で公式の場から消えたようです
    > (もしかしたら手術などの治療でしばらく出てこれないのかも
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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