「馬息嶺スキー場写真」:リフトは最低3基設置、カナダ製スノーモービル、スウェーデン製スノーマシン、ドイツ製圧雪車、安保理制裁の効果は?、中朝関係 (2013年1月6日 「労働新聞」HP)
過去記事に「馬息嶺スキー場にリフトは1基しか設置されていない」というようなことを書いたが、6日に北朝鮮が公開したと思われる同スキー場の写真が大量に『労働新聞』HPにアップロードされていた。以下、これらの写真について紹介をして行く。
まず、リフトであるが、写真で見る限り少なくとも3基はあるようだ。
金正恩が乗ったリフト1
Source: 『労働新聞』、同新聞HPに2014.1.6に掲載された写真
スロープの中心に設置されたリフト2(<追記>乗っている人の服装がなぜか同じであるし、もしかすると1のリフトが途中からコース中央を横切るようになっているのかもしれない。だとするとリフトは2基か。)
Source: 『労働新聞』、同新聞HPに2014.1.6に掲載された写真
シートが赤い3人乗りリフト3
Source: 『労働新聞』、同新聞HPに2014.1.6に掲載された写真
上と同じと思われる3人乗りリフト3の乗り場(高速リフトのようにも見える)
Source: 『労働新聞』、同新聞HPに2014.1.6に掲載された写真
次に、スノーモービルであるが、これがまた凄い。
スノーモービルでスキー客を山頂に運ぶサービスも提供するのか。このスノーモービル、調べてみるとBombardier Recreational Products(BRP)というカナダ企業の製品である。北朝鮮が購入したのは2014年モデルとして紹介されているTUNDRA XTREMEで、同社のHPによると販売価格は10899米ドルとなっている。国連安保理制裁で規定された贅沢品のはずであるが、最新型を輸入し、これ見よがしに『労働新聞』HPで写真を公開するところなど心憎い。
Source: 『労働新聞』、同新聞HPに2014.1.6に掲載された写真
北朝鮮が購入したと思われるスノーモービル
Source: BRP社のSKI-DOOスノーモービル紹介HPより, http://www.ski-doo.com/showroom/tundra/overview
次に登場するのがスノーマシンである。このスノーマシンはスウェーデン企業areco製であることが判明している。インドのニュースメディアzeenewsがAFPを引用して伝えたところによると、同社の関係者は同社のスノーマシンが北朝鮮のスキー場で使われていることに驚きを表し「我々は直接輸出したことはない」と述べたという。中古品の可能性もあるとのことだが、北朝鮮が調達した経路を明らかにすることは困難だという。こちらもメーカーが分かるよう写真を公開するところなど心憎い。
Source: 『労働新聞』、同新聞HPに2014.1.6に掲載された写真
areco社のHPより。「環境に優しい(An environment friendly classic)」というのが、「元帥様」の「馬息嶺スキー場」構想と重なっているところが心憎い。
Source: areco HP, http://www.areco.com/en/areco-standard/fan-guns/areco-standard
zeenews, "Swedish surprise at seeing snow cannon used in North Korea", http://zeenews.india.com/news/world/swedish-surprise-at-seeing-snow-cannon-used-in-north-korea_901345.html
圧雪車であるが、『労働新聞』HPの写真には3台写っている。こちらは調べてみたところドイツのKässbohrer Geländefahrzeug AGという企業の圧雪車のようだ。全てのモデルを確認することはしなかったが、中央の赤い圧雪車はこの会社のPB100というモデルのようだ。
Source: 『労働新聞』、同新聞HPに2014.1.6に掲載された写真
Kässbohrer Geländefahrzeug AG社のHPより。同社が販売している中古のPB100の値段は73000ユーロ(約1040万円)である。残りの2台もほぼ同じ価格だとすると3台で3000万円以上の買い物になる。こちらも当然贅沢品として安保理制裁の対象品目となっているはずである。
Source: Kässbohrer Geländefahrzeug AG, http://www.pistenbully.com/en/products/pistenbully-100/scr.html
『労働新聞』HPでは、「馬息嶺スキー場」の全景を2枚の写真で紹介している。これらの写真を見ると金正恩視察で写ったスロープと少し離れたところにもう一つ幅の広いスロープがあり、こちらに上で紹介した赤いシートの3人乗りリフトが設置されているように思われる。両スロープ間は林間コースで繋がっているのかもしれないが、見る限りでは独立したスキー場といった方が良いのかもしれない。スキー場間の移動の手段はどのように確保されているのであろうか。
Source: 『労働新聞』、同新聞HPに2014.1.6に掲載された写真
もう一枚の写真では、「馬息嶺ホテル」の前にたくさんのバスが止まっており、既に朝鮮人民(平壌市民?)がやって来てスキーを楽しんでいるようだ。
Source: 『労働新聞』、同新聞HPに2014.1.6に掲載された写真
ともかくも、「馬息嶺スキー場」は思ったよりも完成度が高いようである。リフトが山頂にある小屋まで繋がっているのかは確認できなかったが、長いリフトが3基あれば十分にスキーを楽しめそうだ。
しかし、安保理制裁をかわしてこれだけのものを調達してしまう北朝鮮も侮りがたい。中国経由で持ち込まれた可能性が高いが、そうだとすると第3回核実験後に悪化した中朝関係は回復し、これら設備の輸出あるいは通過を中国が許容したということであろう。それが金正恩特使として訪朝した崔龍海の功績なのか処刑された張成沢の功績なのかは分からないが、後者の可能性が高いような気がする。そうだとすると、彼に代わるほど中朝関係において実力を持つ人間がいるということなのだろうか。
まず、リフトであるが、写真で見る限り少なくとも3基はあるようだ。
金正恩が乗ったリフト1
Source: 『労働新聞』、同新聞HPに2014.1.6に掲載された写真
スロープの中心に設置されたリフト2(<追記>乗っている人の服装がなぜか同じであるし、もしかすると1のリフトが途中からコース中央を横切るようになっているのかもしれない。だとするとリフトは2基か。)
Source: 『労働新聞』、同新聞HPに2014.1.6に掲載された写真
シートが赤い3人乗りリフト3
Source: 『労働新聞』、同新聞HPに2014.1.6に掲載された写真
上と同じと思われる3人乗りリフト3の乗り場(高速リフトのようにも見える)
Source: 『労働新聞』、同新聞HPに2014.1.6に掲載された写真
次に、スノーモービルであるが、これがまた凄い。
スノーモービルでスキー客を山頂に運ぶサービスも提供するのか。このスノーモービル、調べてみるとBombardier Recreational Products(BRP)というカナダ企業の製品である。北朝鮮が購入したのは2014年モデルとして紹介されているTUNDRA XTREMEで、同社のHPによると販売価格は10899米ドルとなっている。国連安保理制裁で規定された贅沢品のはずであるが、最新型を輸入し、これ見よがしに『労働新聞』HPで写真を公開するところなど心憎い。
Source: 『労働新聞』、同新聞HPに2014.1.6に掲載された写真
北朝鮮が購入したと思われるスノーモービル
Source: BRP社のSKI-DOOスノーモービル紹介HPより, http://www.ski-doo.com/showroom/tundra/overview
次に登場するのがスノーマシンである。このスノーマシンはスウェーデン企業areco製であることが判明している。インドのニュースメディアzeenewsがAFPを引用して伝えたところによると、同社の関係者は同社のスノーマシンが北朝鮮のスキー場で使われていることに驚きを表し「我々は直接輸出したことはない」と述べたという。中古品の可能性もあるとのことだが、北朝鮮が調達した経路を明らかにすることは困難だという。こちらもメーカーが分かるよう写真を公開するところなど心憎い。
Source: 『労働新聞』、同新聞HPに2014.1.6に掲載された写真
areco社のHPより。「環境に優しい(An environment friendly classic)」というのが、「元帥様」の「馬息嶺スキー場」構想と重なっているところが心憎い。
Source: areco HP, http://www.areco.com/en/areco-standard/fan-guns/areco-standard
zeenews, "Swedish surprise at seeing snow cannon used in North Korea", http://zeenews.india.com/news/world/swedish-surprise-at-seeing-snow-cannon-used-in-north-korea_901345.html
圧雪車であるが、『労働新聞』HPの写真には3台写っている。こちらは調べてみたところドイツのKässbohrer Geländefahrzeug AGという企業の圧雪車のようだ。全てのモデルを確認することはしなかったが、中央の赤い圧雪車はこの会社のPB100というモデルのようだ。
Source: 『労働新聞』、同新聞HPに2014.1.6に掲載された写真
Kässbohrer Geländefahrzeug AG社のHPより。同社が販売している中古のPB100の値段は73000ユーロ(約1040万円)である。残りの2台もほぼ同じ価格だとすると3台で3000万円以上の買い物になる。こちらも当然贅沢品として安保理制裁の対象品目となっているはずである。
Source: Kässbohrer Geländefahrzeug AG, http://www.pistenbully.com/en/products/pistenbully-100/scr.html
『労働新聞』HPでは、「馬息嶺スキー場」の全景を2枚の写真で紹介している。これらの写真を見ると金正恩視察で写ったスロープと少し離れたところにもう一つ幅の広いスロープがあり、こちらに上で紹介した赤いシートの3人乗りリフトが設置されているように思われる。両スロープ間は林間コースで繋がっているのかもしれないが、見る限りでは独立したスキー場といった方が良いのかもしれない。スキー場間の移動の手段はどのように確保されているのであろうか。
Source: 『労働新聞』、同新聞HPに2014.1.6に掲載された写真
もう一枚の写真では、「馬息嶺ホテル」の前にたくさんのバスが止まっており、既に朝鮮人民(平壌市民?)がやって来てスキーを楽しんでいるようだ。
Source: 『労働新聞』、同新聞HPに2014.1.6に掲載された写真
ともかくも、「馬息嶺スキー場」は思ったよりも完成度が高いようである。リフトが山頂にある小屋まで繋がっているのかは確認できなかったが、長いリフトが3基あれば十分にスキーを楽しめそうだ。
しかし、安保理制裁をかわしてこれだけのものを調達してしまう北朝鮮も侮りがたい。中国経由で持ち込まれた可能性が高いが、そうだとすると第3回核実験後に悪化した中朝関係は回復し、これら設備の輸出あるいは通過を中国が許容したということであろう。それが金正恩特使として訪朝した崔龍海の功績なのか処刑された張成沢の功績なのかは分からないが、後者の可能性が高いような気がする。そうだとすると、彼に代わるほど中朝関係において実力を持つ人間がいるということなのだろうか。