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    「敬愛する金正恩同志が新年2014年にあたり錦繍山太陽宮殿を訪問された 2014.1.1」:朴奉珠の握手、軍部が一歩引き下がるポジション、金正恩の表情、金敬姫 (2014年1月2日 「朝鮮中央TV」)

    金正恩一行が「錦繍山太陽宮殿」に詣でた様子を「朝鮮中央TV」が2日伝えた。参拝のパターンは昨年12月の金正日追悼の時のパターンと同じである。「太陽宮殿」前に整列した幹部、そこに金正恩と夫人李雪主が登場する。その後、金正恩が幹部と握手をするが、やはり朴奉珠は片手を出す癖があるようだ。金正恩との握手の際片手を差し出し、それから左手を添えている。李雪主との握手の際には、両方の手が前にあったためか、初めから両手で握手をしている。

    朴奉珠と金正恩との握手
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    Source: KCTV, 2014/1/2放送

    朴奉珠と李雪主の握手
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    Source: KCTV, 2014/1/2放送

    続いて赤い絨毯が敷かれた階段を金正恩・李雪主夫妻が先頭に立ち登る。今回は腕組みはしていないようだ。
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    Source: KCTV, 2014/1/2放送

    その後、花輪献納が行われ、参拝をする。金正日2周期参拝では、金正日が参拝ラインに、李雪主が一歩下がり、幹部はその後ろに並んでいた。ところが、今回は金正恩と金永南・朴奉珠がほぼ同じラインに、李雪主が一歩後ろに、もう一歩引き下がり党幹部が、そしてさらにもう一歩引き下がり軍幹部が並んでいる。金永南と朴奉珠を同列に並べているのは、彼が張成沢の座を引き継いだということなのだろう。やはり、張成沢事件は軍部と党の対立ではなく、復活した朴奉珠と張成沢の争いが根底にあったのかもしれない。しかし、軍部を党の第二陣より後ろに立たせた意図は何なのだろうか。特に、軍人の扱いとはいえ、崔龍海もまとめて後ろに立たせたというところが興味深い。

    <追記>
    もしかすると、案外深刻な金正恩の下での権力闘争が発生しているのかもしれない。それが軍部を前に出したり引っ込めたり、そして金正恩の険しい顔に繋がっているという可能性もある。過去記事に書いたかどうか記憶がないが、私は金敬姫がこの辺りのバランサーの役割を担っていたと考えていた。それが金正恩にとってはプラスでもありマイナスでもあるので、過去記事では金敬姫が「横枝切り」の対象になったのではないかと予想した。その金敬姫、確かに張成沢と共に表面上は処断されていないが、バランサーの役割から外され、事実上の隠遁に追い込まれた可能性はある。

    金正恩の右横が金永南、その隣が朴奉珠
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    Source: 『労働新聞』、「경애하는 김 정 은동지께서 새해 2014년에 즈음하여 금수산태양궁전을 찾으시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2014-01-02-0001&chAction=D

    金日成・金正日銅像参拝後、記念館内を歩く一行であるが、今回はその様子は詳しく伝えられていない。ただ、金正恩は目を見開いて厳しい表情で何かを指示している。

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    Source: KCTV, 2014/1/2放送

    金敬姫はこの場に現れなかった。しかし、1月1日に放送された「白頭山大国の全盛期」という「朝鮮記録映画」の中で、万景台革命学院に建立された金日成・金正日銅像の除幕式において金正恩が金敬姫と談笑する場面が出てくる。過去の映像ではあるが、12月15日に『労働新聞』に掲載された金国泰国葬委員会の名簿に登場して以来の登場である。

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    Source: 2014/1/1放送、「白頭山大国の全盛期」

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    金正恩第一書記の握手

    「偉大なる同志1」を見返してたら、金日成主席生誕100周年の記念撮影の時の李乙雪人民軍元帥やおばあさんやおじいさんに対しては両手で握手していましたね
    やはりいくら共和国元帥であろうと年をとった方々には片手での握手は論外なんでしょうね

    No title

    >金永南と朴奉珠を同列
    >軍部を党の第二陣より後ろに立たせた

    これで正恩を除けば朴奉珠が張成沢事件の最大の勝利者であった事は間違いないでしょうね。今は軍部と言えども営利部門を抱えているわけで、ここもまた内閣責任制の例外ではないとの意思表示でしょう。
    今後形の上では経済の「自由化」が進んでいくので、ちまたではまた開放派vs守旧派=軍部の対立構図が喧伝される可能性が強いと思われますが事はそう単純ではないでしょう。

    朝鮮がマルクスの「社会主義は一国単位では成立しない」との予言に呪われているからには経済の市場化は避けられませんが、「市場経済を見てみぬ振りをして」社会主義を食いつぶしてしまった旧ソ連、「市場経済を万能の器」として社会主義を排斥してしまった中国とは全く別の道を内閣責任制という形で朝鮮が選んだと見るべきで内閣率いる第一(社会主義)経済の管理下に市場経済を置く布陣でしょう。

    言わばハイブリット経済であり当面は市場経済を認め統制下に置きつつも将来的には社会主義経済への全面的転換を目指すものと思われます。

    一見理不尽に思える
    『10のことをしたくても、党が1だけやれというならば、ひたすら一つだけやる』
    も、その一つを市場経済に係わる部分と理解すれば納得がいきます。

    Re: 金正恩第一書記の握手

    コメントありがとうございます。過去記事のどこかに書いたような記憶があるのですが、老兵を平壌に招いた際、彼は両手で老兵と握手をしていました。この辺りは、朝鮮の儒教的伝統が自然と出たのか、それともそれを意識してのパフォーマンスだったのかは分かりません。ともかく、老兵とは10や20の年齢の開きではありませんから、やはり両手となるのでしょうね。

    > 「偉大なる同志1」を見返してたら、金日成主席生誕100周年の記念撮影の時の李乙雪人民軍元帥やおばあさんやおじいさんに対しては両手で握手していましたね
    > やはりいくら共和国元帥であろうと年をとった方々には片手での握手は論外なんでしょうね

    市場経済

    コメントありがとうございます。朴奉珠は確かに勝者だと思います。お説の通り、軍部の営利部門が問題となるわけでして、私も「ここもまた内閣責任制の例外ではないという意思表示」とも考えました。しかし、長年北朝鮮を研究している韓国系米国研究者との議論で、彼は「そう単純ではなく、軍部も党に人を送り込んできている」という主張を崩しませんでした。また、軍部の経済権益なるものがいったいどの部分なのかということも、本当に分かりにくい部分だと思います。

    経済ですが、こちらもお説の通り「ハイブリッド経済」が一層進展していくことは間違いないと思います。しかしこちらも、中国型でもベトナム型でもない北朝鮮型でやる必要があるわけで、彼らでさえその方途が描き切れていないのだと思います。経済的に屈強な「資本主義・南朝鮮」が存在し、それに吸収されないよう、体制維持を絶対条件としながら市場化を進めていく、これは本当に大変なことだと思います。ですから、ほぼ宗教に近い「思想」で「唯一領導体制」、つまり人民に「唯一神」を絶対的に信仰させる必要があるのですが、その危うい体制を張成沢一味が崩そうとしたからこそ厳しい鉄槌が下されたのでしょう。

    「市場経済」から来る豊かさを、いかにして「社会主義富貴栄華」と説明するのか。資本主義圏でそれが「神のご加護」と説明させているのを応用するしかないような気がします。

    ある脱北者が韓国の宗教関係者の手助けでやっとのことで脱北したところ、「主体思想のような聖書を覚えさせられたと嘆いた」という話を聞いたことがあります。

    「理不尽なことでも一つやる」、何を持って「理不尽」とするかにより全く逆の話になってしまいますが、北朝鮮では「何を持って」は重要ではなく、「党がやれと言えばやる」方が重要なのでしょうね。

    > >金永南と朴奉珠を同列
    > >軍部を党の第二陣より後ろに立たせた
    >
    > これで正恩を除けば朴奉珠が張成沢事件の最大の勝利者であった事は間違いないでしょうね。今は軍部と言えども営利部門を抱えているわけで、ここもまた内閣責任制の例外ではないとの意思表示でしょう。
    > 今後形の上では経済の「自由化」が進んでいくので、ちまたではまた開放派vs守旧派=軍部の対立構図が喧伝される可能性が強いと思われますが事はそう単純ではないでしょう。
    >
    > 朝鮮がマルクスの「社会主義は一国単位では成立しない」との予言に呪われているからには経済の市場化は避けられませんが、「市場経済を見てみぬ振りをして」社会主義を食いつぶしてしまった旧ソ連、「市場経済を万能の器」として社会主義を排斥してしまった中国とは全く別の道を内閣責任制という形で朝鮮が選んだと見るべきで内閣率いる第一(社会主義)経済の管理下に市場経済を置く布陣でしょう。
    >
    > 言わばハイブリット経済であり当面は市場経済を認め統制下に置きつつも将来的には社会主義経済への全面的転換を目指すものと思われます。
    >
    > 一見理不尽に思える
    > 『10のことをしたくても、党が1だけやれというならば、ひたすら一つだけやる』
    > も、その一つを市場経済に係わる部分と理解すれば納得がいきます。
    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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