FC2ブログ

    「敬愛する金正恩元帥様が青年節にちなんで人民軍将兵たち、平壌市民の青年学生たちと共に『ヘップル・カップ』1級男子サッカー決勝戦を観覧された」:先鋒チームの反則を検証 (2013年9月1日 「朝鮮中央TV」)

    昨日、体育省の「体育競技規律審議委員会」が先鋒チームの優勝を剥奪し、試合参加資格停止6ヶ月の処分をしたと拙ブログに書いた。その後、録画してある「朝鮮中央TV」のファイルを確認していたら、9月1日の放送分にその試合の様子が含まれていたので、全編視聴した。

    タイトルにあるように、金正恩さんが試合を観戦している。昨日の記事には「たかがスポーツ」と書いたが、彼が観戦しているとなると、その重みは「たかが」どころではない。

    4.25チーム(朝鮮人民軍チーム)のメンバー
    20130901kctvhasf_017461086.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    先鋒チーム(労農赤衛軍チーム)のメンバー
    20130901kctvhasf_017514605.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    審判団は「国際審判」と「共和国審判」で構成
    20130901kctvhasf_017529953.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    主席観覧席に現れた金正恩
    20130901kctvhasf_017571226.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    前半戦は、4.25チームが積極的な攻撃を仕掛けたが、結局両チーム無得点で終わる。

    後半戦が始まり51秒が経過したところで先鋒チームが先取点を得る。
    20130901kctvhasf_020554220.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    得点をしたのは7番のユン・ヒチョル。北朝鮮の試合では、得点をすると金正恩に敬礼をする。
    20130901kctvhasf_020577343.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    敬礼をする選手に拍手を送る金正恩
    20130901kctvhasf_020578444.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    その後、65分11秒に今度は4.25チームが得点をして同点となる。
    20130901kctvhasf_021722820.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    金正恩に敬礼をする4.25チームの選手たち。得点をしたのは11番のピョン・ソンチョル。
    20130901kctvhasf_021749746.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    75分41秒には、再び先鋒チームが得点して、2対1となる。
    20130901kctvhasf_022328942.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    試合終了間近の88分50秒、4.25チームがサイドラインからボールを出し、先鋒チームのスローインとなる。この時、4.25チーム(白シャツ)の選手からボールを受け取った先鋒チーム(赤シャツ)の選手は、一度ボールを地面に置き、別の先鋒チームの選手にボウルを渡す。ボールを渡される選手は、ゆっくりと歩きながらボールに向かう。
    20130901kctvhasf_023081873.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    この時解説者は、「先鋒チームは、時間を費やそうとしているということが分かりますね」と言っている。

    そして、89分8秒にスローイン。
    20130901kctvhasf_023099723.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    スローインしたボールはサイドラインの外に落ちる。この行為は、明らかに時間稼ぎをするためのものだと、サッカーを知らない私も思うのだが、このような行為は一般的に行われるのだろうか。
    20130901kctvhasf_023101759.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    サイドラインの外にスローインをした選手の所に審判(黄色いシャツ)が走って行く。
    20130901kctvhasf_023107665.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    そして、17番チャン・インスに89分20秒、イエローカードが出される。
    20130901kctvhasf_023111668.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    解説者は「ボールを持って時間引き延ばしをしたので、主審は黄色い紙(イエローカード)、警告を出しました」と言っている。

    その後、別の先鋒チームの選手がスローインを行い、試合は続行となる。ロスタイムは2分。
    20130901kctvhasf_023154009.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    画面から時計が消えてしまったので分からないのだが、試合終了10秒ぐらい前のところで、4.25チームの25番ホ・リンイムがゴールを入れ2対2の引き分けに持ち込む。
    20130901kctvhasf_023227514.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    試合は30分の延長戦に入る。延長戦はロスタイムも含め31分の試合となったが、両チームとも得点を得ることはできない。

    イエローカードは、この他にも「危険な動き」ということで両チームに1枚ずつ(記憶曖昧ながら)出されている。下の写真はイエローカードを出される先鋒チームの選手。
    20130901kctvhasf_025168663.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    試合は「11メートル蹴り」(PK戦)になだれ込み、5人の選手が蹴った結果は依然として5対5の同点。さらに残りの5人のPK戦となり、7人目までは7対7の同点。
    20130901kctvhasf_025876850.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    8人目で4.25チームがゴールを逃して、先鋒チームの優勝が決まる。
    20130901kctvhasf_025923261.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    先鋒チームの選手を主席団に招き握手をする金正恩。今、握手をしている次の選手が遅延行為でイエローカードを出された17番。<追記>よく見ると14番のようだ。
    20130901kctvhasf_025977280.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    17番選手の直線まで握手をした金正恩は、17番選手と握手をせずに選手を呼び寄せ、何かを言っている。<追記>よく見ると14番のようだ。・・・指を指しながら何かを言っているが、この時に「試合を遅延させるようなことをするな」と叱ったのかどうかは不明。特に、怒っているような顔でもないが。
    20130901kctvhasf_025979983.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    先鋒チームの選手と記念撮影をする金正恩
    20130901kctvhasf_025986155.jpg
    Source: KCTV, 2013/9/1放送

    ここまでが試合の流れである。私が見た限りでは、「危険な動き」で出されたイエローカードについては、やむを得ないようである。しかし、先鋒チームの「時間稼ぎ」は明らかに意図的で、問題とされた「不正引入」というのは「スローイン」のことを指していると思われる。

    『朝鮮中央通信』の同記事の日本語版には「不正引入(ママ、朝鮮語の漢字語音訳)」を「不正選手を出場させる」と訳しており、今一つ意味が良く分からないが、英訳では「 undesirable practice in the match (試合中の望ましくない行為)」と非常にクリアに訳しており、「スローイン」とは具体的に言っていないものの、「contrary to the sound sporting spirit and morality(スポーツマンシップとモラルに照らしたとき)」と書かれているので、やはり「スローインの時間遅延」を問題視しているようである。

    ところで、サッカーに詳しい方に教えていただきたいのだが、スローインに失敗をしてボールをサイドラインの外に故意であるかにかかわらず出してしまった場合、相手チームのボールにならないのだろうか。試合を見ていた限りでは、再び失敗をしたチームの選手がスローインをしていたようだ。もしかすると、サイドラインギリギリにボールが落ち、それに相手チーム選手の足が当たったのかも知れないが、そうであるならば、罪はそれほど重くないであろう。やはり、故意にボールをサイドラインの外に投げたということが問題のようだ。このような行為は、Jリーグや国際試合では、どのように判断されるのであろうか。主審がイエローカードを出していることからすると、ルール違反ではあるのだろうが、イエローカードを出されても時間稼ぎをして勝つというやり方はあり得るような気がする。

    もちろん、元帥様をお迎えして開催される試合で、そのような行為は卑屈で好ましくないと「審議委員会」は判断したのだろうが、泥沼の国際試合で勝つための作戦としても許されないのであろうか。

    『労働新聞』、「경애하는 김정은원수님께서 청년절에 즈음하여 인민군장병들,평양시안의 청년학생들과
    함께 《홰불컵》 1급남자축구 결승경기를 관람하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-08-29-0001&chAction=D

    『労働新聞』、「체육성 체육경기규률심의위원회 대변인 기자의 질문에 대답」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-09-11-0027&chAction=D

    コメントの投稿

    非公開コメント

    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


    YouTube dprknow

    最新記事
    最新コメント
    最新トラックバック
    月別アーカイブ
    カテゴリ
    Visitors
    検索フォーム
    RSSリンクの表示
    リンク
    QRコード
    QR