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    「開城工業地区正常化のための第7次北南実務会談開催」(2013年8月15日 「労働新聞」)

    8月14日に開城工団問題を話し合う南北実務会談が開城工団で開かれた。この会談で「開城工業地区の正常化のための合意書」が採択された。合意書の内容は以下のとおり。

    *********
    北と南は、2013年7月6日から8月14日まで、開城工業地区問題を解決するための7回の当局実務会談を開催し、工業地区の発展的正常化のため、次のように合意した。

    1.北と南は、通行制限及び勤労者撤収などによる開城工業地区中断という事態が再発しないようにし、如何なる場合にも情勢の影響を受けることなく南側人員の安全的通行、北側勤労者の正常出勤、企業財産の保護など、工業地区の正常的運営を保障する。

    北と南は、今回の工業地区稼働中断による企業の被害補償及び関連問題を今後構成される「開城工業地区北南共同委員会」で協議する。

    2.北と南は、開城工業地区を往来する南側人員の身辺安全を保障し、企業の投資資産を保護して通行、通信、通関問題を解決する。

    ①北と南は、開城工業地区を往来する南側人員の安全な出入りと在留を保障する。
    ②北と南は、開城工業地区に投資する企業の投資財産を保護し、違法行為発生時、共同調査、損害賠償など、紛争解決のための制度的装置を作る。
    ③北と南は、通行、通信、通関問題を解決するために、当面、常時通行保障、インターネット通信と移動電話通信保障、通関手続きの簡素化と通関時間短縮などの措置を取ることとし、これと関連した実務的問題は「開城工業地区北南共同委員会」で協議する。

    3.北と南は、開城苦行地区の企業に対して国際的水準の企業活動条件を保障し、国際的競争力がある工業地区として発展させていく。
    ①北と南は、外国企業の誘致を積極的に奨励する。
    ②北と南は、開城工業地区内で適用される労務、税務、賃金、保険など、関連制度を国際的水準に発展させる。
    ③北と南は、生産製品の第3国輸出時、特恵関税認定など、開城工業地区を国際的競争力がある工業地区に発展させていくための方案を講究する。
    ④北と南は、共同海外投資説明会を推進することとする。

    4.北と南は、上記合意事項を履行するために「開城工業地区北南共同委員会」を構成、運営しながら、傘下に必要な分科委員会を置く。

    このために、北と南は、近日中に「開城工業地区北南共同委員会構成及び運営に関する合意書」を締結し、該当機構の活動を開始する。

    5.北と南は、安全な出入り及び在留、投資財産保護のための制度的装置を作り、開城工業地区の企業が設備整備をして再稼働できるよう積極的に努力する。

    2013年8月14日

    今回の会談で「開城工業地区の正常化のための合意書」が採択されることで、祖国解放68周年を迎え、和解と協力、統一と北南関係改善を願う全ての朝鮮民族に喜びを抱かせた。

    『労働新聞』、「개성공업지구정상화를 위한 제7차 북남당국실무회담 진행」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-08-15-0022&chAction=D

    <追記>
    Youtubeでこの会談についての「録画報道」を見た。「録画報道」では通常静止画が使われるが、報道の冒頭で「合意書」署名したり握手をする南北代表が映し出されている。アナウンスの内容は上記翻訳文と同一だが、北朝鮮も開城問題解決を好意的に受け止めているということを示しているのであろう。

    「合意書」に署名をする北朝鮮代表
    록화보도] 개성공업지구정상화를 위한 제7차 북남당국실무회담 진행mp4_000017916
    Source: KCTV, https://www.youtube.com/watch?v=6Gt3QuKtloY

    「合意書」に署名をする韓国代表
    록화보도] 개성공업지구정상화를 위한 제7차 북남당국실무회담 진행mp4_000019541
    Source: KCTV, https://www.youtube.com/watch?v=6Gt3QuKtloY

    「合意書」を交換
    록화보도] 개성공업지구정상화를 위한 제7차 북남당국실무회담 진행mp4_000024208
    Source: KCTV, https://www.youtube.com/watch?v=6Gt3QuKtloY
    ************************

    これに先だつ8月7日、北朝鮮は「祖国平和統一委員会スポークスマン特別談話」を発表し、開城工団問題の解決を呼びかけている。以下はその内容。

    ************************
    開城工業地区事業が暫定中断事態に入ってから4ヶ月になる。

    今まで、6回開催された開城工業地区正常化のための北南当局実務会談は空転を繰り返した末に重大な難関に直面し、前途を展望できなくなった。

    過去10年間、あらゆる風波と曲折の中でも朝鮮民族の統一に対する希望と信念を抱かせた開城工業地区が今崩壊すれば、それが北と南の全ての朝鮮民族の心に与える傷と北南関係に与える影響は到底推し量ることができないものとなる。

    今、何日か後には8.15開放68周年を迎えることになる。

    外国勢力により強要された民族分裂の悲劇が世紀と年代、年輪を加えるほど、それによる苦痛に耐えることができず、統一に対する希望はさらに切実なものとなっている。

    このようなとき、民族の和解と協力、統一の象徴として朝鮮民族の喜びとなってきた開城工業地区が永久に破綻の奈落に陥ることをどうして容認することができようか。

    この時刻、北と南双方がしなければならないことは、開城工業地区を破綻に追いやることではなく、貴重な民族共同の富を危機から救い、繁栄させることであり、これこそが愛国的勇断であり、正義の選択である。

    祖国平和統一委員会は、開城工業地区の運命が絶壁に立たされた今、民族の前に持つ自己の責任と使命から開城工業地区を正常化し、北南関係を改善して和解と協力、平和と統一繁栄の新たな局面を開いていこうという一念から、そして南朝鮮企業の苦痛と被害を減らし、緊張緩和を願う内外世論の期待と念願に合うように委任により次のように厳粛に闡明する。

    1.去る4月8日、宣布した工業地区暫定中断措置を解除し、工業地区に対する南朝鮮企業の出入りを全面許容する。

    2.工業地区の工場の設備点検と稼働準備ができる南朝鮮企業に我々の勤労者の正常出勤を保障する。

    3.開城工業地区の南側人員の身辺安全を保証し、企業の財産も徹底して保護する。

    4.北と南は、工業地区中断事態が再発しないようにし、如何なる場合にも情勢の影響を受けることなく工業地区の正常運営を保障するようにする。

    5.我々の以上のような大様かつ雅量がある立場表明に答えるのであれば、南側当局が繰り返し要請している7回開城工業地区実務会談を8月14日に開城地区で前提条件なく開催するようにし、そこで良い結実を達成し、8.15を契機に全ての民族に喜ばしい知らせを伝えられるようにすることを提案する。

    我々は我々のこの建設的な提案に南朝鮮当局が積極的に回答してくることに対する期待を表明する。

    2013年8月7日

    『労働新聞』、「조국평화통일위원회 대변인 특별담화」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-08-08-0017&chAction=L

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    一連の開城工団を巡る南北会談では、再発防止と北の謝罪が問題となったが、結局、上に見られるように「如何なる場合にも情勢の影響を受けることなく工業地区の正常運営を保障する」という北が提示してきた文言を用いることで、妥結した。振り返れば、開城工団は李明博政権下で南北関係が著しく悪化した時ですらほぼ「如何なる場合にも情勢の影響を受けることなく」正常運営が続けられてきたわけなので、今回はそれを文書化して鮮明にしたということだけで、特段新しい内容のものではない。

    そもそも今回、開城工団の運営が中断されたきっかけとなったのは、韓国政府と韓国メディアが北朝鮮の「最高尊厳を傷つけた」ことが発端であったはずである。「北と南は」という主語になっているものの、今回の操業中断という事態は北朝鮮の決定により発生したことであり、韓国側は「最高尊厳を傷つけた」だけである。韓国政府はともかくも韓国メディアは「最高尊厳を傷つけ」続けるであろうから、北朝鮮はこちらについては暗黙の了解をしたということであろう。

    「合意書」では「北と南は、今回の工業地区稼働中断による企業の被害補償」を協議するともいっているが、事実上、中断により発生した被害補償は韓国側が行うことになろう。

    興味深いのは2-②で「違法行為発生時、共同調査、損害賠償など、紛争解決のための制度的装置を作る」としている点である。今更このようなことを明文化していることからすると、これまでも「違法行為」は少なからず発生していたということであろう。ここでいう「違法行為」とは今回のように政府レベルによる操業中断決定は含まれないはずで、もっと下のレベルの取引契約や労働契約を巡る「違法行為」ということであろう。こうしたことが、南北共同の基準の下で解決されるようになるのであれば、「国際的水準」に一歩近づくことは間違いない。

    外国企業を開城工団に誘致できるかはさておき、「労務、税務、賃金、保険など、関連制度を国際的水準に発展させる」という項目は、開城工団で働く北朝鮮労働者の待遇向上の口実となる可能性がある。もちろん、待遇向上が額面通り北朝鮮労働者に還元されれば良いのであるが、必ずしもそうではないはずだ。もちろん、労働者募集や賃金支払いの方法を「国際的水準」に近づけていく努力をするのであれば良いことであるが、中国ですら時間を掛けながらゆっくりと進めた「国際的水準」化は、北朝鮮にとってはさらに困難であろう。

    また、「生産製品の第3国輸出時、特恵関税認定など」は、南北朝鮮の問題だけではなく、北朝鮮製品の輸入を禁止している日本や米国などとの調整が必要になってくる。これは、北朝鮮ではなく韓国が積極的に働きかけることで可能になる可能性はあるが、これまでの経緯を見てもなかなか大変であろう。日本は何も言わなかったが、米国は開城工団問題解決への期待を繰り返し表明してきたので、made in Kaesongの製品に関してはmade in ROKの製品として輸入を容認するのかもしれない。これは経済問題ではなく政治問題なので、そのような判断をすればすぐにできることである。

    ともかくも、開城工団問題が解決に向けて大きく前進したのは良いことである。ともあれ、朴槿恵さんが解放記念日の演説で「北朝鮮が核を捨て、国際社会の一員に加わるならば、朝鮮半島に新たな時代が開け、北朝鮮住民の苦しみと困難も一緒に解決していける」と刺激的なことを言っているので、「核を捨て」の部分に北朝鮮がどのように反応するのかは見物である。

    『聯合ニュース』、「北朝鮮に離散家族再会提案 朴大統領=解放記念日で演説」、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130815-00000009-yonh-kr

    北朝鮮報道を全てチェックしているわけではないが、過去記事にも書いたとおり、7月27日の戦勝節に中国副主席が北朝鮮を訪問した辺りから「並進路線」や「核」についての言及が少なくなっている(もしくは、なくなっている)ような気がしてならない。であるとするならば、朴槿恵演説にも反発しないはずであるが、どうだろうか。もちろん、一度出した「並進路線」を簡単に引っ込めることはないが、「核保有国」は主張しつつも開発についてはモラトリアムを言い出す可能性はある。もちろん、そうなるには中国の説得が効き米国との関係が動く必要があるが、米国も南北関係の改善は好意的に受け入れているので、可能性がないわけではない。

    米国も北朝鮮の刑務所にいる韓国系米国人の問題を抱えており、ロバート・キング北朝鮮人権特使の訪朝の噂も出始めている。米国務省報道官も「その計画はない」といいつつも「それも含めた全てのオプションを考慮する」と微妙な言い回しをしている。

    U.S. Department of State, Daily Press Briefing, http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2013/08/213144.htm#NORTHKOREA

    『朝鮮新報』は、その韓国系米国人とのインタビューを報じたが、どうやらこの人は健康状態が悪化し北朝鮮の病院に入院しているようだ。

    8月15日を前に南北で開城工団を巡るこうした和解が成立したのは、「日帝の亡霊」が南北双方にやはり影響しているということなのかもしれない。北朝鮮は「朝鮮日本軍性奴隷及び強制連行被害者問題対策委員会スポークスマン談話」を通じて、また韓国は上記の朴槿恵演説を通じて8月15日のメッセージを日本に発している。

    『労働新聞』、「조선일본군성노예 및 강제련행피해자문제대책위원회 대변인담화」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-08-15-0034&chAction=L

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    川口智彦

    Author:川口智彦
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    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
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    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

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