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    ブータンも北朝鮮も「案内員」必須の旅行1:「案内員」、「旅行税」、「太陽党」 (2024年3月29日)

    ブータンも朝鮮も「案内員」がいることが外国人が旅行する際の条件となっている。つまり、航空券だけ買って、あるいはビザも取得して「案内員」なしで動き回れる「大韓民国」や中国とは異なる。

    そのため、旅行は事前に訪問先をリクエストする形でのパッケージ旅行となる。今回はブータン旅行に関して無知の状態だったので、日本国内でブータン旅行を扱っている日本の旅行会社数社を検討した上で、ブータン旅行に強そうな東京の旅行会社にパッケージ作りを依頼した。対応も非常に丁寧で、全ての旅程は非常に満足度の高いものであった。この会社の場合、自社のブータン支社(独立したブータン企業のようだが)を持っており、日本から訪問希望地を伝えると、ブータンの子会社が「案内員」の選定や宿泊先を設定してくれる。そして、ブータンの子会社からフリーランスの「案内員」と運転手に連絡が入るという仕組みになっている。

    しかし、ブータンの「案内員」の話では、日本の旅行会社を通さずとも、直接「案内員」にコンタクトをして旅行を設定することができるようだ。事実、リピーターの人々はそのようにしているという。もちろん、「案内員」に海外送金をして初めて旅行の手配が始まるので、信頼できる「案内員」でなければ恐くてできない(世界で一番旅行代金が高い国と言われている国なのだから)。しかし、一度旅行して信頼できることが確認できれば、日本の旅行会社や現地支社の中間マージンをカットできるので、旅行代金を安くすることができる。実際、どのぐらいの中間マージンが発生しているのかは分からないが、安心を取るか信頼を取るかという選択となろう。今回の「案内員」に関して言えば、ほぼ間違いなく問題ないと思う。

    朝鮮の場合、「案内員」は「朝鮮国際旅行社」の社員であるが、ブータンでは研修を受けて「案内員」の免許を取得し、ツーリズム・オフィスに登録する形になっている(免許にも観光案内のみ、トレッキングの案内も可能など種類がある)。基本的にはフリーランスなので、案内業務がないときは無給となる。今回の「案内員」は案内業務をしていないときは自分の村で農業に従事していると言っていた。そのため、コロナの影響で案内業務が全くできなかった時期は苦しかったようで、多くの「案内員」が「案内員」をやめて海外(主としてオーストラリア)に移住してしまったと言っていた(移住先では、ホーム・ヘルパーなどに従事と)。数字の記憶は今一つ曖昧なのだが、3000人いた「案内員」がコロナの影響で2000人に減少したと言っていたと思う(追って、メールで確認してみようと思う)。そう考えると、「朝鮮国際旅行社」の「案内員」は今、何をしているのだろうか。建設現場にいるのだろうか。

    「案内員」が得る賃金についてはあまりにも直接的なので質問しなかったが、決して高くはないようだ。「案内員」に対するチップについて海外のサイトで検索すると概ね10%程度という数字が出てくる(旅行者の人数によっても異なる)。今回依頼した日本の旅行社からも「1日1500円」という案内があった。なので、「案内員」は賃金+チップ収入が案内の対価の前提となっているのだろう。誤解のないように書いておくが、チップはあくまでも支払う側の裁量なので、強制ではない。私は空港での別れ際に「案内員」と運転手にチップを渡したが、それまでチップを欲しがるような素振りや言動は一切なかった。朝鮮の「案内員」はというと、空港に到着する直前、それまで話していた朝鮮語が突然日本語になり「運転手さんは苦労をしたから少しお礼をしたらどうでしょう」というようなことを言い出した。朝鮮の「案内員」もチップ(特に外貨)が収入の一部であることは分かっていたので、「案内員」と運転手には相応のチップを渡しておいた。(日本で朝鮮旅行を扱う「中外旅行社」は「チップは必要ありません」と言うが、まあ朝鮮政府の基本的立場の代弁なのだろう)。ともあれ、朝鮮の「案内員」にせよ、ブータンの「案内員」にせよ、一生懸命「奉仕」してくれるので、自然にチップを渡したい気持ちになるのも事実である。

    移動に使われた専用車「プラド(右ハンドルのマニュアル、日本と同じ左側通行)」と「案内員」(左)と運転手(右)。プラドは「社長の車」だと言っていたから、上記の現地支社の社長の車ということなのだろう。旅行中に雪が降り一部の峠は通行止めになった。私の旅程にあった峠は幸い通行止めにならなかったが、四駆とはいえタイヤを見たらH/T(オールテレーン・タイヤ)で、スタッドレスではなかった。しかし、雪は降ったものの気温はそれほど下がらないので(標高3500mでも)、路面は凍結していなかった。雪を触ってみたら水気の多い重い雪で、空気がきれいなので、そのままかき氷のシロップをかけてそのまま食べられそうな雪だった。
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    「案内員」には専門の言語があり、今回の「案内員」は日本語が話せた。日本語はどこかで勉強したわけではなく、案内をしているうちに自然に覚えたと言っていた。この「案内員」は言語感覚が優れているのか、英語はもちろん、ヒンディー語、ネパール語も話せると言っていた。しかし、日本語については限界があり、案内に使う話はできても、政治・経済などに関する単語は知らず、そのような話は英語でしていた。この「案内員」は非常に敬虔な仏教信者で、仏教に関する知識がとても豊富だった。そのため、仏教に関する説明を色々してくれたのだが、この部分は日本語でとても助かった。そうでなければ、仏教に関する英単語などBuddhismとSutraぐらいしか知らない私はとても困ったであろう。「案内員」は専門の言語があり、聞いた限りでは、英語、日本語の他に、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ヒンディー語が話されていた。イタリア語に関してはイタリアから来た添乗員(イタリア人女性)がブータンの英語ガイドの言葉をイタリア語に通訳していた。

    ブータン旅行を高くしているのが「旅行税」の存在だ。今回の旅行では1日200ドル(日本円で約30000円)の「旅行税」を10日分支払ったので、それだけで30万円になる。「旅行税」は国税であり、これがブータン政府の重要な歳入源泉の一つとなっている。あるレストランで食事をしているとき、そのレストランの経営者の夫と話をする機会があった。その人はブータンの新生野党(党名を英訳するとThe Sun Party、「太陽党」だと言っていた)の副党首で、「旅行税」に関する国会での議論についても話してくれた。何年までだったかは失念したが、「旅行税」は65ドルだったそうだ。それが100ドルに引き上げられ、コロナの影響で外国人旅行者が激減し「旅行税」収入が落ちてしまったので、それを補うために200ドルに引き上げるかどうかが国会で議論されたそうだ。結局、200ドルに引き上げられることになったが、それが仇になりむしろ旅行者を減らす結果になったと「太陽党」の副党首は言っていた。

    ついでにブータンの政治システムについて書いておくと、ブータンはには上院と下院(呼称が正しいかはきちんと調べていないが、二院制)あり、上院議員は、国王が任命する5人以外は国政選挙で選出される(全体の人数は正確に記憶できていないが65人か75人だったと思う、ネットで調べればどこかに書いてあるのだろうが…)。下院は地方から選出される議員で構成されている。私の理解が正しければ、選挙を行った結果、得票率で上位2政党が選出され、その2政党間で再び選挙を行い議員が決まるという仕組みのようだ。ちなみに「太陽党」は上位2政党には入れていない(5年後にある次の選挙に向けて地盤を固めると副党首は言っていた)。なぜ「太陽党」を立ち上げたのか質問したところ、上位2政党の地域主義がその理由だと言っていた。「大韓民国」にある地域主義がブータンにもあるとは思ってもいなかったが、首相が西部出身の人だと西部の開発が重点的に行われ、東部出身の人だとその逆だとことだった。「大韓民国」の全羅道対慶尚道のような構図なのだろう。そして、キャスティングボードを握るのが南部で、この地域がどちらに投票するのかにより選挙の結果を左右されると言っていた(北部は人口が少ないので影響力はないと)。副党首は、このような「分断」を解消することが「太陽党」の第一のアジェンダだと言っていた。以上は、私の聞き取りと記憶による記述なので、資料に基づく正確なものではない。

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    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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