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    JAXA筑波宇宙センター:北朝鮮「偵察衛星-1号」発射前に訪問 (2023年4月4日)

    3日、JAXA筑波宇宙センターを訪問した。そもそも、宇宙ロケットなど見たことがなかったので、一度行ってみたかった博物館だ。

    「火星砲-17型」は実際にどのぐらいの大きさなのだろうか。同センターの「ロケット広場」にはH-2ロケットの実機が展示されており、そのサイズから「火星砲」のサイズをイメージできる。同ロケットは全長50mで、とても大きい。このロケットと比べると「火星砲-17型」や「銀河-3」は大凡半分ぐらいの長さとなる。H-2が大きいので「火星砲」などは小さく感じてしまうが、それでも大きなミサイルであることは間違いない。下の写真では、ロケットの上面にある黄色いダクトのようなものがおよそ25mなので「火星砲-17型」の長さになるのではないだろうか。

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    H-2のエンジン
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    ロケットやミサイル使われるエンジンについてはオランダ国防大のサベルスブルグ氏から色々と教えて頂いているのだが、何分、実物を見ての話ではないので今一つピンと来なかった。展示場内にはH-2Aロケットのエンジンが展示されており、同氏が言っていたターボなどが装着されているのが分かる。

    同展示場には「質問」コーナーがあり、JAXAでロケット開発に関わっていたと思われる方が座っている。そこにロケットエンジンについて質問しに行ったら、「では、実物を見ながら説明しましょう」ということで、このエンジンの前まで来て下さり、動作原理などについて詳しく説明して下さった。ターボをどのように駆動しているのか、ロケットエンジンにも車で使われているようなラジエターがあるなど、実に色々なことを学ぶことができた。それのみならず、ブースターの機能やバーニアスラスタの機能、さらにはバーニアスラスタが装着されていない「火星砲-17型」に使われているようなエンジンのコントロール、人工衛星のジャイロなどについても詳しく教えて下さった。

    一番興味深かったのが「さらにパワフルなエンジンが必要になったら、新型を開発するのか」という質問に対して、「束ねればいい」という答えが返ってきたことだ。これはまさに北朝鮮が「3.18革命」で開発した「我々式」のエンジンを用途に応じて束ねて使っている発想なのだと思った。

    H-2A型などで使われたエンジン
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    ロケット燃料についても液体燃料と固体燃料について色々と教えて下さった。基本的に固体燃料は花火と一緒で着火すると直ぐに強力なパワーを発するが、液体燃料の場合は車のエンジンと同じで、徐々にパワーを上げていくということだった。確かに液体燃料を使った「火星砲」の発射を見ていると、炎を吹き出すタイミングとミサイルが飛び立つタイミングにはタイムラグがある。説明によるとH-2ロケットの場合、このタイムラグは3~5秒ということだった。

    液体燃料(水素)の注入や扱いについてはとても慎重に扱わないと爆発の危険があるとのことだった。注入する際も液体の状態を維持するように注入ラインを冷却しておく必要があるというようなことも仰っていた。そんな話を聞くと、北朝鮮が主張している液体燃料の「アンプル化」なるものが、実際に可能なのだろうかと思ってしまう。また、燃料注入に要する時間もH-2の場合6時間とのことだったので、単純に長さだけから割り出すと「火星砲-17型」でも3時間ぐらいはかかるのだろう。やはり、液体燃料を使うミサイルは、どこで燃料注入をどのようにするのか、燃料注入済みのミサイルをどのように安全に運搬するのかがネックのようだ。

    固体燃料については、「燃料後退速度」との関係で「星形の構造になっている」という説明もして下さったのだが、これについては難しくて理解できなかった。ネット検索するとこの「星形」については色々と論文が出てくるが、読んでみても難しくて理解できない。いずれにせよ、北朝鮮も固体燃料を活用するためにこの「星形」について研究しているのだと思う。

    同展示場に展示されている人工衛星のモデルもおもしろかった。今、日本は実用衛星だけを打ち上げているが、初めて打ち上げられた人工衛星は何の実用的な機能がない実験データを得るための衛星だったことが分かった。平壌の「3大革命展示館」に展示されている「光明星」のモデルを見ながら「こんなしょーもないも打ち上げても」と思っていたのだが、人工衛星開発の道では打ち上げる必要なのだと思いながらJAXAセンターの展示を見ていた。

    日本の人工衛星1号機
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    また、北朝鮮が打ち上げようとしている「偵察衛星-1号」に搭載できそうな「小型高分解能光学センサ」も展示されていた。スパイ衛星に使われるカメラの光学部分は巨大で重いので、それを打ち上げるためには大きなロケットが必要になると思っていた。しかし、このような小型の光学部分であれば、小型のロケットで打ち上げることができる。北朝鮮が「超低高度」にこうした衛星を浸入させることができれば、「偵察衛星」として機能するのではないだろうか。

    「小型高分解能光学センサ」
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    JAXA関連資料: https://www.satnavi.jaxa.jp/ja/wp-content/uploads/sites/3/2019/12/10_slatsMaterial-konoue.pdf

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    川口智彦

    Author:川口智彦
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    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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