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    「対朝鮮敵対視策動が日本にもたらすのは破滅のみである」 (2013年4月10日 「労働新聞」)

    過去にも似た記事があったような気がするが、10日付けの「労働新聞」に「対朝鮮敵対視策動が日本にもたらすものは破滅のみである」という個人名の「論評」が掲載された。

    記事では「米帝の無謀な北侵戦争挑発策動により朝鮮半島は今日明日にも」戦争が始まりそうな状況下で、「日本反動まで意気投合し情勢をさらに悪化させている」と冒頭で日本を非難しながら始まる。

    そして、「日本領土を米帝の朝鮮侵略基地として提供している」と朝鮮戦争時に日本が朝鮮戦争に参戦する米軍に対して「攻撃基地、補給基地、修理基地」を提供したとし、「新たな朝鮮戦争でも日本は自分の領土を丸ごと米国の侵略基地として差し出している」と日米安保条約に基づき日本に米軍の基地を置かせていることを非難している。

    また、日本の自衛隊に対しても「基地と施設が2800余りに達し」ており、「朝鮮で戦争が起これば、在日米軍基地と『自衛隊』基地だけではなく、民間港湾と民間飛行場まで米軍に提供することになっている」としたうえで、「今日本は、新たな朝鮮戦争に備える準備を進めている」と主張している。

    過去の朝鮮戦争では、日本は「補助武力として米軍の軍服を着て秘密裏に参戦した」が、新たな朝鮮戦では日本の自衛隊を「日章旗を掲げて、公に前面主力部隊として、突撃隊として」参戦させようとしているとしている。そしてその根拠として「『自衛隊』を朝鮮に近い西日本に集中配置し、朝鮮侵攻を仮想した実戦演習を猛烈に展開している」ことを挙げている。

    こうした前提の上で、日本は「朝鮮再侵略機会を狙って」いるが、「我々の警告を無視するべきではない」と威嚇している。

    そして、金日成さんの「朝鮮半島の情勢が悪化し、突然の事態が造成されれば、日本にも良いことはありません」言葉を引用した上で、「日本の朝鮮再侵略は、滅亡の道だ」と述べている。

    続けて、なぜそれが「滅亡の道」なのかということについて、具体的に述べている。

    まず、「日本の領土は4つの離れた島からなっている。その長さは数千キロに達している。日本の領土はこのように狭小であり、中心が深くない」し、「日本は我が国の近くに位置している」ので、「中長距離打撃を重視する現代戦で、中心が深くない日本の全領土は、我々の報復打撃対象となるのは避けられない」と日本の地理的特徴を挙げながら「滅亡の道」の一つ目の理由を説明している。

    二つ目の理由として、「日本は海に囲まれた海洋国で、海上交通運輸手段に最も依存している国」なので、「『有事』に海上交通運輸に危険な状態が造り出されれば、日本経済は混乱に陥る」としている。これについては具体的に北朝鮮がどのような攻撃を加えるとは言っていないが、潜水艦などで日本の船舶を攻撃するという威嚇であろう。

    三つ目の理由として、「都市人口密度が高く、工業があちこちに集中配置されている。日本の主要都市である東京、大阪、横浜、名古屋、京都には、日本人口の3分の1以上が住んでいるだけではなく、基幹工業が集中している。東京だけでも300メートル間隔でガソリンスタンドがある」と、日本を攻撃するにはいくつかの主要都市を狙えば良いという認識を示している。事実かどうかは別とし、東京には300メートル間隔でガソリンスタンドがあるという話はどこから持って来たのであろうか。

    さらに、「今日の戦争は、過去の戦争とは異なる」とし、「現代戦では、様々な新しい科学技術が導入された戦争手段が多く利用される」としている。そして、「現代戦は、立体戦である。したがって、前線と後方の区別はない。日本が戦争に火を付ければ、島国全体が戦場となる」とし、日本に対して「突然の打撃が加えられれば、全てが火の海、死の場所となり、生き残った人もまともな状態ではいられない」と恫喝している。

    また、「過去の戦争の時、我々は日本にある侵略基地を報復攻撃する能力がなかった」が、「今は、我が人民軍隊は、日本はもちろん、アジア太平洋地域の米帝侵略軍基地まで撃破する報復能力を十分に備えている」と主張している。さらに「日本のあちこちには米軍基地がある」ので、「日本は、20世紀40年代に被った核惨事とは比べものにならないとてつもない被害を避けることはできない」と北朝鮮による対日核攻撃も臭わせている。

    『労働新聞』、「대조선적대시책동이 일본에 가져다줄것은 파멸뿐이다」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-10-0037&chAction=L

    このタイミングでなぜ北朝鮮がこうした記事を出してきたのは、やはり「ミサイル迎撃命令」の存在が公表されたことに反応したのではないだろうか。日米共に、北朝鮮のミサイルが自国領に被害を及ぼす可能性がある場合についてのみ迎撃する立場を示しているが、果たしてどのタイミングでそれを判断するのかが問題である。これまで、幸いにも北朝鮮が発射した「飛翔体」が両国領内に落下したことはなかったが、今回はその「可能性」が認識され、それをいずれかの国が撃破した場合、北朝鮮が「戦争行為」と主張する可能性は排除できない。

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    川口智彦

    Author:川口智彦
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    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
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