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    「朝鮮民主主義人民共和国外務省報道官談話」:核実験、ミサイル発射の可能性高まる (2022年10月31日 「朝鮮中央通信」)

    1日、10月31日に出された「外務相談話」が「朝鮮中央通信」に掲載された。

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    朝鮮民主主義人民共和国外務省報道官談話
    조선민주주의인민공화국 외무성 대변인담화

    米国と南朝鮮の持続的な無謀な軍事的動きにより朝鮮半島と周辺地域の情勢は再び重大な強対強対決局面に入った。
    미국과 남조선의 지속적인 무모한 군사적움직임으로 하여 조선반도와 주변지역정세는 또다시 엄중한 강대강대결국면에 들어섰다.

    10月17日から28日まで南朝鮮全域で大規模野外機動訓練である「護国」演習が行われたのに続き、僅か数日後に再び歴代最大規模の米国南朝鮮連合空中訓練である「ビジラント・ストーム」が始まった。
    지난 10월 17일부터 28일까지 남조선전역에서 대규모야외기동훈련인 《호국》연습이 진행된데 이어 불과 며칠만에 또다시 력대 최대규모의 미국남조선련합공중훈련인 《비질런트 스톰》이 시작되였다.

    日本に基地を置く「F-35B」ステルス戦闘機を含む数百機の各種戦闘機が動員されている今回の訓練は、朝鮮半島有事、朝鮮民主主義人民共和国の戦略的対象を打撃するところに基本的目的を置いた侵略型戦争演習である。
    일본에 기지를 둔 《F-35B》스텔스전투기들을 포함하여 수백여대의 각종 전투기들이 동원되는 이번 훈련은 조선반도유사시 조선민주주의인민공화국의 전략적대상들을 타격하는데 기본목적을 둔 침략형전쟁연습이다.

    米国と追従勢力共が今年に入り、年中、毎日のように行っている大規模戦争演習騒動により、朝鮮半島は世界で軍事的緊張度数が最も高まったホットスポットとなり、地域の安保環境はさらに厳酷になった。
    미국과 그 추종세력들이 올해에 들어와 년중 매일과 같이 벌려놓고있는 대규모전쟁연습소동으로 하여 조선반도는 세계에서 군사적긴장도수가 가장 고조된 열점으로 되였으며 지역의 안보환경은 더욱더 엄혹해졌다.

    世界のどこにも期間と規模、内容と密度で米国と追従勢力共が行っている合同軍事演習のように侵略的正格が明白な軍事訓練を見いだすことができない。
    세계의 그 어디에서도 기간과 규모,내용과 밀도에서 미국과 추종세력들이 벌리고있는 합동군사연습처럼 침략적성격이 명백한 군사훈련을 찾아볼수 없다.

    4月「連合指揮所訓練」で本格化した米国南朝鮮合同軍事演習が8月には「ウルチ・フリーダム・シールド」大規模や街機動訓練に、9月と10月には核航空母艦打撃集団が動員された大規模連合海上訓練と史上最大規模の連合空中訓練に拡大されたのは、朝鮮民主主義人民共和国に反対する米国の核戦争脚本が最後の段階に至ったことを如実に示している。
    지난 4월 《련합지휘소훈련》으로 본격화된 미국남조선합동군사연습이 8월에는 《을지 프리덤 쉴드》대규모야외기동훈련으로,9월과 10월에는 핵항공모함타격집단이 동원된 대규모련합해상훈련과 사상최대규모의 련합공중훈련으로 확대된것은 조선민주주의인민공화국을 반대하는 미국의 핵전쟁각본이 마지막단계에 들어섰다는것을 여실히 보여주고있다.

    大規模上陸訓練、「斬首作戦」のような相手方の領域と中心を占領するための侵略戦争演習を行っている米国が、我々の自衛的な軍事的対応に対して状勢を緊張させると非難しているのは、徹底して言語道断であり、盗っ人猛々しい発言である。
    대규모상륙훈련,《참수작전》과 같은 상대방의 령역과 종심을 점령하기 위한 침략전쟁연습을 벌려놓고있는 미국이 우리의 자위적인 군사적대응에 대하여 정세를 긴장시킨다고 비난하는것은 철저히 언어도단이며 적반하장이다.

    朝鮮民主主義人民共和国は、朝鮮人民軍の部隊の最近の軍事訓練が米国と南朝鮮により醸成された不安定な安保環境の中で行われたことについて再び想起させる。
    조선민주주의인민공화국은 조선인민군 부대들의 최근 군사훈련들이 미국과 남조선에 의하여 조성된 불안정한 안보환경속에서 진행되였다는데 대하여 다시한번 상기시킨다.

    米国が「例年」、「防御的」訓練の看板の下で我々を軍事的に刺激し、対応措置を誘発させ、我々に状勢激化の責任を転嫁しようと画策しているが、平和と安全破壊の主犯者の正体はいつまでも隠せないであろう。
    미국이 《년례적》,《방어적》훈련의 간판밑에 우리를 군사적으로 자극하여 대응조치를 유발시키고 우리에게 정세격화의 책임을 전가하려고 획책하고있지만 평화와 안전파괴의 주범으로서의 저들의 정체를 언제까지나 숨길수는 없을것이다.

    世界で唯一無二に主権国家の「政権終末」を核戦略の主要目標としている米国は、朝鮮民主主義人民共和国に対する部良く使用を企図している場合、自分も同等の対価を支払うことになることを覚悟しなければならない。
    세계에서 유일무이하게 주권국가의 《정권종말》을 핵전략의 주요목표로 삼고있는 미국은 조선민주주의인민공화국에 대한 무력사용을 기도하는 경우 자기도 대등한 대가를 치르게 된다는것을 각오해야 한다.

    我々は外部の軍事的脅威から国家の自主権と人民の安全、領土保全を守護するために必要な全ての措置を履行する準備ができており、米国が継続して重大な軍事的挑発を加えてくる場合、より強化された次の段階の措置を考慮することになる。
    우리는 외부의 군사적위협으로부터 국가의 자주권과 인민의 안전,령토완정을 수호하기 위해 필요한 모든 조치들을 리행할 준비가 되여있으며 미국이 계속 엄중한 군사적도발을 가해오는 경우 보다 강화된 다음단계 조치들을 고려하게 될것이다.

    米国は、自国の安保利益に全く役立たない重大な事態の発生を願っていないのなら、無益無効な戦争演習騒動をただちに取りやめなければならず、そうしない場合、今後、もたらさせる全ての結果に全的に責任を取らなければならない。
    미국은 자기의 안보리익에 전혀 부합되지 않는 엄중한 사태의 발생을 바라지 않는다면 무익무효의 전쟁연습소동을 당장 걷어치워야 하며 그렇지 않을 경우 앞으로 초래되는 모든 후과를 전적으로 책임져야 할것이다.

    主体111(2022)年10月31日
    주체111(2022)년 10월 31일
    平壌
    평 양(끝)
    www.kcna.kp (주체111.10.31.)
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    韓国に対するメッセージかと思ったが、思えば配信時間が米国の昼間に設定されており、内容以外からも米国向けメッセージであることが分かる。

    習近平が再任され、中国共産党の主要な政治日程が終わり、一方で米中間選挙を8日に控えている時点で出されたこのメッセージは重要である。直接的には「米国南朝鮮連合空中訓練」ビジラント・ストームを非難する内容となっているが、「より強化された次の段階の措置を考慮することになる」としている。

    「ビジラント・ストーム」については、北朝鮮とは全く関係ない理由、つまりイテウォンの圧死事故に対する哀悼を理由に「延期または中止の可能性」を国防部が言っていたが、結局、31日から実施に至った。

    そもそも、北朝鮮が何か言ったところで中止されるような訓練ではないし、北朝鮮もそのことは十分に分かった上での「無益無効な戦争演習騒動をただちに取りやめなければなら」ないという主張である。なので、北朝鮮は次のシナリオを準備しているわけで、ICBM発射+核実験の可能性が極めて高い。

    今回の「談話」は米国向けである上、「自分も同等の対価を支払うことになることを覚悟しなければならない」と米国本土に被害が及ぶ軍事力を北朝鮮が保有していることを強調している。それは既に実証されているが、それを示すために有効なのは一連の短距離や中距離ミサイルではなく、米国東海岸に到達するICBMということになる。

    北朝鮮は、「火星-17」(あるいは「火星-15」の改造型)を発射した後、ICBM級のミサイルは発射していない。とりわけ、「火星-17」の発射実験で事実上、失敗したのであれば、その再発射実験をする契機としても使える。

    「火星-17」失敗関連記事:
    http://dprknow.jp/blog-entry-5087.html
    http://dprknow.jp/blog-entry-5086.html

    一方、核実験については、既に「水爆保有国」と主張している北朝鮮が、さらに強化された「戦略」核爆弾の実験をする必要はなく、昨今、発射されている短・中距離ミサイル搭載する「戦術」核爆弾の実験となろう。北朝鮮は、「水爆実験大成功」の際に「朝鮮中央TV」の音楽公演番組の中で流していたような米国全体を海に沈める威力が「戦術核」になくても、戦術核の抑止力が如何に強力なのかをプーチンの「核威嚇」で認識しているはずだ。そのようなことからして、実質的な実験としての戦術核実験と抑止力を高めるための実験という点からして実験する意味は十分にある。

    ただ、拙ブログにも繰り返し書いてきたように、政治的目的が重要なICBM発射や核実験という点からしてタイミングが非常に重要になる。中国共産党の主要政治日程も終わり、米中間選挙を目前にしたこの時期は、その意味からは最適な時期だと言える。核実験には厳しく対応する中国であるが、北朝鮮が核実験を実施したとしても、国際社会に対する体面上「自制を求める」、「朝鮮半島の安定が中国の絶対利益」などのメッセージを出すであろうが、2017年のような強い対応措置は取らないと思われる。一方、米国は、北朝鮮が核実験をすればある程度の騒ぎにはなろうが、それ自体が中間選挙の主要な争点になることはなかろう。トランプは「自分が金正恩と会ってから核実験もICBM発射もなかったが、民主党のバイデンになってからはこのザマだ」というような主張は出ようが、民主党であれ共和党であれ北朝鮮の核・ミサイル実験反対では一致している。それでも、北朝鮮の核問題を再び米国政治のテーブルの上にしっかりと載せておく効果は十分にある。

    そして、「元帥様」としては、2017年11月29日「国家核武力完成」宣言を5年という節目の年にさらにパワーアップされた「国家核武力」という形で人民に宣伝することができる。12月には「将軍様」の命日が控えており、追悼に際して「国家核武力完成」後さらに積み上げられた「成果」を報告することができる。

    「元帥様」は10月18日に「中央幹部学校で記念講義」をして以来、習近平など外国首脳に祝電を送っているが、姿を現していない。一連の中短距離ミサイル発射があった期間もそうであったが、18日以降、核実験やICBM発射の「現地指導」に当たっている可能性がある。

    今後、1週間に何かがある可能性が高まった。

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    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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