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    「中央特区開発指導総局スポークスマン、風前の灯火となった開城工業地区の運命は、全的に南朝鮮当局の態度如何によると強調」:開城工業団地閉鎖を警告、継続の言い分け (2013年3月30日 「朝鮮中央通信」)

    昨日の記事にも書いた開城工業団地についての北朝鮮「中央特区開発指導総局」スポークスマン談話を「朝鮮中央通信」が報道した。

    報道では「北南間には、何の対話経路も通信経路も存在せ」しないので、「南側人員の開城工業地区への出入りもきわめて危うい状況で行われて」おり、「現在、開城工業地区の運命は、一歩先も見通すことができない状況である」という状況認識を示した上で、それにもかかわらず「傀儡一味と御用メディア、売文家たちは、開城工業地区の出入りがかろうじて継続していることについて『北が外貨収入の源泉あるので、ここには手を付けられない』だの、『北の二つの顔』だのと嘘を並べ立てながら我々の尊厳まで激しく冒涜している」と韓国を非難している。

    したがって、「朝鮮半島情勢が一触即発の戦争前夜」の状況であるにもかかわらず「開城工業地区が維持されていること自体がきわめて非正常なことであ」り、「現実は、直ちに南側の人員の開城工業地区出入りを遮断し、工業地区を閉鎖しても傀儡逆賊一味は、それに対して何も言えない」としている。

    それでは、なぜその「非正常な」状態が維持されているのかというと、「我々は、開城工業地区事業に南半部の中小企業の経営がかかっており、工業地区を直ちに閉鎖すれば、これら企業が倒産し、失業者に転落する状況を考慮し、極力自制している」とその理由を説明し、「開城工業団地で得をしているのは我々ではなく、傀儡一味と南半部の零細中小企業である」であると主張している。

    そして、「我々の尊厳を少しでも傷つけようとするならば、工業地区を容赦なく遮断、閉鎖する」とし、「風前の灯火である開城工業地区の運命は、全的に傀儡一味の態度如何による」と警告している。

    今回の事態を受けて、北朝鮮が開城工業団地に言及したのは今回が初めてであるが、閉鎖をしない理由の半分は正しいことも事実である。開城で工場を運営している企業の大部分は中小企業であり、しかも韓国政府の旗振りで始められたプロジェクトなので、同地区が閉鎖された場合は、韓国政府の責任が追及されることになる。同団地に投資するにおいて、投資企業と韓国政府間に何らかの免責約款は存在するのかもしれないが、それでも政府が責任を完全に回避することはできない。これが、開城工業団地を安易に閉鎖できない理由の一つであることは事実である。

    北朝鮮は韓国の中小零細企業の経営者を失業させないための配慮と言っているが、現実的には開城工業団地を閉鎖すれば、同団地で働く5万人以上の北朝鮮労働者が失業をすることになる。これらの人々に即座に北朝鮮が職を与えることなど、不可能である。もちろん、社会主義経済システムの中で農場に戻すなどして名目的に職を与え、幾ばくかの賃金を支払い続けることはできるかもしれないが、大半をピンハネされていたとはいえ、北朝鮮のそれと比べて非常に良好な労働環境で比較的高い賃金を得ていた北朝鮮労働者は大いに不満を感じるはずである。そして、ピンハネをしている元締めが被る損失も大きいことは間違いない。こういうことを書くと、「中央特区開発指導総局」からは「売文家」と叱られるのかもしれないが、こればかりはどう曲げても事実である。

    こうした、双方における経済的理由もあり、開城工業団地は、南北間の衝突を回避するための安全弁としての役割も大きい。北朝鮮は、「金正日大元帥様の南半部人民に対する慈愛に満ちた措置」として開始された開城工業団地事業は、そう簡単に閉鎖すべきではない。また、韓国側も、メディアの発言はコントロールできないにせよ、政府レベルではより慎重にこの問題に対処すべきである。過去記事にも書いたが、「出入りを遮断」する措置の中には同団地から韓国人が「出」ていく、つまり韓国に戻ることを禁止することも考えられる。韓国軍は、こういう状況を想定して、人質奪還計画も準備しているという話をどこかで聞いたことはあるが、そんなことをすれば、状況はさらに悪化し、それこそ全面戦争に至る可能性も出てくる。

    この際、北朝鮮に対して「政経分離でやりましょう」と提案してみるのもよいかもしれない。核・ミサイル問題が存在する状況で、北朝鮮との経済協力を進めていくことは難しいかもしれないが、開城工業団地という既成事実の上に立ち、北朝鮮との経済協力を進めていくことについては、さすがの「米帝」も文句を言わないと思う。これ、韓国にとっては北朝鮮に「資本主義の味」や「資本主義のやり方」を教えるよい機会になるし、北朝鮮も「米帝が圧殺」しようとしているばかりか、中国との関係も今一つよくない状況の中で、十分に「得」を得られると考えるはずである。

    開城工業団地閉鎖という事態だけは何とか避けて欲しい。

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    川口智彦

    Author:川口智彦
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    「首領様」=金日成主席
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