「朝鮮民主主義人民共和国政府、政党、団体、特別声明」 (2013年3月30日 「朝鮮中央通信」)
「朝鮮中央通信」が30日、標記のような記事を配信した。
記事では、この「声明」が出される背景を「金正恩元帥様が下された重大決心は、・・・我が軍隊と人民の滅敵の意志を込めた正義の最終決断である」と金正恩さんの戦略ロケット軍会議における「決心」を受けたものであるとしている。
そして、B2爆撃機を朝鮮半島に持ち込んだことや銅像破壊作戦を挙げながら、「米帝の強盗的な侵略野望と傀儡逆賊一味の北進企図が度を超え、威嚇恐喝段階から無謀な実戦段階へと入った」という認識を示した上で、「天下第一名将であられる敬愛する金正恩元帥様の時代には全てのことが違うということを肝に銘じなければならない」とし、「朝鮮民主主義人民許和国政府、政党、団体は、朝鮮人民軍最高司令部作戦会議で敬愛する元帥様が下された最終決断と最高司令官の最後の命令を待っている千万軍民の確固たる意志を込め、次のように厳粛に宣言する」とし、次の事項を明示した。
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1.この時刻から、北南関係は戦時状況に入り、したがって北南間で提起される全ての問題は戦時に準じて処理される。朝鮮半島の平和でも戦争でもない状態は終わった。我々の革命武力が、実際の軍事行動に入った状況で、北南関係も自動的に戦時状況となり、それにより北南間で我々の尊厳と自主権を少しでも傷つける如何なる挑発的行為に対しても予告なく即時断固たる物理的行動により事情にかかわらず無慈悲に懲罰する。
2.米国と傀儡一味が西海の5つの島であれ軍事境界線一帯であれ、如何なる地域においても北侵戦争の火を付けるための軍事的挑発を行えば、それは局地に限定されるものではなく、全面戦争、核戦争へと発展する。
米国がハワイとグアム島をはじめとした太平洋上の軍事基地と本土にある核戦略爆撃機まで南朝鮮地域上空に持ち込んで北侵核戦争策動を狂乱的に行っている状況で、朝鮮半島で如何なる軍事的衝突も全面戦争、核戦争に拡大することは自明である。
我が革命武力のファースト・ストライクに米国本土とハワイ、グアム島をはじめとした太平洋作戦地域全域の米帝侵略軍基地が含まれており、南朝鮮駐屯米軍基地はもちろん、青瓦台をはじめとした傀儡統治機関と傀儡軍基地も同時に焦土と化し、侵略者、挑発者は影も形もなく焼き尽くされ灰となるであろう。
3.我々は、千金を払っても買うことができない機会を絶対に逃さず、祖国統一大戦の最後の勝利を達成する。我々の祖国統一大戦は、3日大戦でもなく、米国と傀儡教戦況が慌てふためいて正気を取り戻す余裕も与えず、一気に(タンスメ)南朝鮮全地域と済州島まで征服する雷のような速戦速決戦、天と地、海はもちろん、前方と後方の別がない立体的なものとなる。
この聖なる正義の大戦は、北と南、全民族が参加する汎民族的な全民抗戦であり、その前に極悪な対決狂信者と好戦狂、人間のクズどもをはじめとした民族反逆者は容赦なく懲罰の対象となる。
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上に書いたとおり、この「声明」は金正恩さんの「決心」に基づくものであるが、各団体の「特別声明」というのはどこでどのように出されており、「戦時」を宣言する根拠はどこにあるのだろうか。これも対米舌戦の延長線上にあるので、根拠について真剣に考える必要もないのかもしれないが、「戦時」というのであれば3月11日に「休戦協定が白紙化」された時点で、「戦時」になっているはずである。
「天下第一強国」という言葉は少し前からしばしば登場するようになったが、「天下第一名将」という言葉は今回初めて使われたような気がする。
危険だと思われる点があるとするならば、上の2である。「トクスリ」演習が今後、どのような地域で展開されるのかは分からないが、NLL付近で「挑発的」な演習を行えば、北朝鮮は反撃に出る可能性がある。このところ、米韓共に北朝鮮の「挑発」に対して「対抗措置」として逆挑発を行っている。米国の軍事関係者は「北朝鮮の行為は非常に危険だ」と非難しているが、北朝鮮の挑発に乗っている米韓の動きも「非常に危険」である。このまま事態がエスカレートすれば、本当に不測の事態、偶発的な事態が発生する可能性がある。
北朝鮮が「全面戦争、核戦争」と威嚇しているのも、ある意味、不測の事態や偶発的な事態に対する危険性を認識しているからであろう。
ともあれ、開城工業団地の操業は平常通り行われているようであり、南北関係が「戦時」になったとはいえない状況である。今後、開城で何か動きがあれば別だが、北朝鮮としては「千金を払っても買うことができない機会」よりも、中国との関係がギクシャクする中で、開城工業団地で得られる「千金」をそう簡単に手放すことはしないであろう。
『労働新聞』、「조선민주주의인민공화국 정부,정당,단체 특별성명」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-03-30-0065
記事では、この「声明」が出される背景を「金正恩元帥様が下された重大決心は、・・・我が軍隊と人民の滅敵の意志を込めた正義の最終決断である」と金正恩さんの戦略ロケット軍会議における「決心」を受けたものであるとしている。
そして、B2爆撃機を朝鮮半島に持ち込んだことや銅像破壊作戦を挙げながら、「米帝の強盗的な侵略野望と傀儡逆賊一味の北進企図が度を超え、威嚇恐喝段階から無謀な実戦段階へと入った」という認識を示した上で、「天下第一名将であられる敬愛する金正恩元帥様の時代には全てのことが違うということを肝に銘じなければならない」とし、「朝鮮民主主義人民許和国政府、政党、団体は、朝鮮人民軍最高司令部作戦会議で敬愛する元帥様が下された最終決断と最高司令官の最後の命令を待っている千万軍民の確固たる意志を込め、次のように厳粛に宣言する」とし、次の事項を明示した。
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1.この時刻から、北南関係は戦時状況に入り、したがって北南間で提起される全ての問題は戦時に準じて処理される。朝鮮半島の平和でも戦争でもない状態は終わった。我々の革命武力が、実際の軍事行動に入った状況で、北南関係も自動的に戦時状況となり、それにより北南間で我々の尊厳と自主権を少しでも傷つける如何なる挑発的行為に対しても予告なく即時断固たる物理的行動により事情にかかわらず無慈悲に懲罰する。
2.米国と傀儡一味が西海の5つの島であれ軍事境界線一帯であれ、如何なる地域においても北侵戦争の火を付けるための軍事的挑発を行えば、それは局地に限定されるものではなく、全面戦争、核戦争へと発展する。
米国がハワイとグアム島をはじめとした太平洋上の軍事基地と本土にある核戦略爆撃機まで南朝鮮地域上空に持ち込んで北侵核戦争策動を狂乱的に行っている状況で、朝鮮半島で如何なる軍事的衝突も全面戦争、核戦争に拡大することは自明である。
我が革命武力のファースト・ストライクに米国本土とハワイ、グアム島をはじめとした太平洋作戦地域全域の米帝侵略軍基地が含まれており、南朝鮮駐屯米軍基地はもちろん、青瓦台をはじめとした傀儡統治機関と傀儡軍基地も同時に焦土と化し、侵略者、挑発者は影も形もなく焼き尽くされ灰となるであろう。
3.我々は、千金を払っても買うことができない機会を絶対に逃さず、祖国統一大戦の最後の勝利を達成する。我々の祖国統一大戦は、3日大戦でもなく、米国と傀儡教戦況が慌てふためいて正気を取り戻す余裕も与えず、一気に(タンスメ)南朝鮮全地域と済州島まで征服する雷のような速戦速決戦、天と地、海はもちろん、前方と後方の別がない立体的なものとなる。
この聖なる正義の大戦は、北と南、全民族が参加する汎民族的な全民抗戦であり、その前に極悪な対決狂信者と好戦狂、人間のクズどもをはじめとした民族反逆者は容赦なく懲罰の対象となる。
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上に書いたとおり、この「声明」は金正恩さんの「決心」に基づくものであるが、各団体の「特別声明」というのはどこでどのように出されており、「戦時」を宣言する根拠はどこにあるのだろうか。これも対米舌戦の延長線上にあるので、根拠について真剣に考える必要もないのかもしれないが、「戦時」というのであれば3月11日に「休戦協定が白紙化」された時点で、「戦時」になっているはずである。
「天下第一強国」という言葉は少し前からしばしば登場するようになったが、「天下第一名将」という言葉は今回初めて使われたような気がする。
危険だと思われる点があるとするならば、上の2である。「トクスリ」演習が今後、どのような地域で展開されるのかは分からないが、NLL付近で「挑発的」な演習を行えば、北朝鮮は反撃に出る可能性がある。このところ、米韓共に北朝鮮の「挑発」に対して「対抗措置」として逆挑発を行っている。米国の軍事関係者は「北朝鮮の行為は非常に危険だ」と非難しているが、北朝鮮の挑発に乗っている米韓の動きも「非常に危険」である。このまま事態がエスカレートすれば、本当に不測の事態、偶発的な事態が発生する可能性がある。
北朝鮮が「全面戦争、核戦争」と威嚇しているのも、ある意味、不測の事態や偶発的な事態に対する危険性を認識しているからであろう。
ともあれ、開城工業団地の操業は平常通り行われているようであり、南北関係が「戦時」になったとはいえない状況である。今後、開城で何か動きがあれば別だが、北朝鮮としては「千金を払っても買うことができない機会」よりも、中国との関係がギクシャクする中で、開城工業団地で得られる「千金」をそう簡単に手放すことはしないであろう。
『労働新聞』、「조선민주주의인민공화국 정부,정당,단체 특별성명」、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-03-30-0065