米国連大使、国連総会で演説:対話の意思やワクチン提供などを中国を通じて伝達、「前提条件なしで」は前提条件だらけ (2022年6月8日 「米国連代表部」)
8日、「米国連代表部」HPに米国連大使が国連総会で行った演説を掲載している。
US Mission to the UN, Remarks at a UN General Assembly Meeting Following Vetoes by China and Russia on a UN Security Council Resolution on the DPRK, 2022/06/08, https://usun.usmission.gov/remarks-at-a-un-general-assembly-meeting-following-vetoes-by-china-and-russia-on-a-un-security-council-resolution-on-the-dprk/
北朝鮮のミサイル発射などを強く非難した上で、
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(北朝鮮はミサイル発射などを一方的に行っている)。バイデン大統領とブリンケン国務長官は繰り返し、そして公に前提条件なしで平壌と対話を求めていると述べている。我々はこのメッセージを個人的なチャンネルや米高官から北朝鮮高官へのチャンネルで伝えている。また、我々は第三国を通じて書面で特定の提案も伝えている。
These actions by the DPRK have been unprovoked. President Biden and Secretary Blinken have repeatedly and publicly said that we seek a dialogue with Pyongyang, without preconditions. We have passed this message on through private channels as well – including high-level personal messages from senior U.S officials to senior DPRK officials. We have sent this message through third parties, in writing, and with specific proposals.
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と、米国が北朝鮮との対話に努力していると述べ、
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また、我々は北朝鮮の人々に対する人道援助を申し出た。そして最近の北朝鮮におけるCOVID発生後、我々は北朝鮮のコロナ対策を支援し、北朝鮮の人々にワクチンを提供することを申し出た。我々は中国に我々のメッセージを北朝鮮に伝達するよう要請したので、中国はこのことをよく知っている。
We have offered humanitarian aid to the people of North Korea. And after the recent COVID outbreak in the DPRK, we offered to help the DPRK deal with the COVID-19 challenge and deliver vaccines to the North Korean people. China is are well aware of our efforts because we have asked them to convey our message to the DPRK.
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そして、しかし北朝鮮は何ら反応を示さなかったと続いている。米国の申し出は中国は伝えたのであろう。しかし、北朝鮮からすれば「米帝」が支援をすると言っているのに、「中国の同志」は我々を見捨てるのかと中国に支援を迫る恰好の口実となる。あるいは中国側が先に、「米帝」の支援など受け取らず、我々の支援を受け取れと薬品などの供給に出た可能性もある。
以前にも書いたが、米日韓が使う「前提条件なしに」という言葉は聞いた感じは好意的に聞こえるが、既に数え切れないほどの前提条件を付けた上での「『さらなる』前提条件なしに」と北朝鮮は受け取っているはずだ。トランプとの交渉の時から北朝鮮は自分たちがすべきファースト・ステップは踏み出したとし、それなのに米側がそれに相応する行動を全くしていないと主張した。その後、北朝鮮は「忍耐心」を持って待ち続けたが、結局、米国は今日に至るまで北朝鮮が求めるような具体的行動に出なかった。
米国連大使が言う「特定の提案」の内容は明らかにされていないが、北朝鮮側が応じないということは、それが北朝鮮を満足されるようなものでないばかりか、その内容を知っているのかどうかは別とし、中国も米国との対話をさほど強く勧めていないのであろう。
北朝鮮が2018年の「朝鮮労働党中央委員会第7期第3回全員会議」で決定したモラトリアムを「第8期第5回全員会議拡大会議」でどのようにひっくり返すのか、「元帥様」の演説が注目される。
参考:
朝鮮労働党中央委員会第7期第3回全員会議に関する記事: http://dprknow.jp/blog-entry-2900.html
US Mission to the UN, Remarks at a UN General Assembly Meeting Following Vetoes by China and Russia on a UN Security Council Resolution on the DPRK, 2022/06/08, https://usun.usmission.gov/remarks-at-a-un-general-assembly-meeting-following-vetoes-by-china-and-russia-on-a-un-security-council-resolution-on-the-dprk/
北朝鮮のミサイル発射などを強く非難した上で、
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(北朝鮮はミサイル発射などを一方的に行っている)。バイデン大統領とブリンケン国務長官は繰り返し、そして公に前提条件なしで平壌と対話を求めていると述べている。我々はこのメッセージを個人的なチャンネルや米高官から北朝鮮高官へのチャンネルで伝えている。また、我々は第三国を通じて書面で特定の提案も伝えている。
These actions by the DPRK have been unprovoked. President Biden and Secretary Blinken have repeatedly and publicly said that we seek a dialogue with Pyongyang, without preconditions. We have passed this message on through private channels as well – including high-level personal messages from senior U.S officials to senior DPRK officials. We have sent this message through third parties, in writing, and with specific proposals.
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と、米国が北朝鮮との対話に努力していると述べ、
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また、我々は北朝鮮の人々に対する人道援助を申し出た。そして最近の北朝鮮におけるCOVID発生後、我々は北朝鮮のコロナ対策を支援し、北朝鮮の人々にワクチンを提供することを申し出た。我々は中国に我々のメッセージを北朝鮮に伝達するよう要請したので、中国はこのことをよく知っている。
We have offered humanitarian aid to the people of North Korea. And after the recent COVID outbreak in the DPRK, we offered to help the DPRK deal with the COVID-19 challenge and deliver vaccines to the North Korean people. China is are well aware of our efforts because we have asked them to convey our message to the DPRK.
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そして、しかし北朝鮮は何ら反応を示さなかったと続いている。米国の申し出は中国は伝えたのであろう。しかし、北朝鮮からすれば「米帝」が支援をすると言っているのに、「中国の同志」は我々を見捨てるのかと中国に支援を迫る恰好の口実となる。あるいは中国側が先に、「米帝」の支援など受け取らず、我々の支援を受け取れと薬品などの供給に出た可能性もある。
以前にも書いたが、米日韓が使う「前提条件なしに」という言葉は聞いた感じは好意的に聞こえるが、既に数え切れないほどの前提条件を付けた上での「『さらなる』前提条件なしに」と北朝鮮は受け取っているはずだ。トランプとの交渉の時から北朝鮮は自分たちがすべきファースト・ステップは踏み出したとし、それなのに米側がそれに相応する行動を全くしていないと主張した。その後、北朝鮮は「忍耐心」を持って待ち続けたが、結局、米国は今日に至るまで北朝鮮が求めるような具体的行動に出なかった。
米国連大使が言う「特定の提案」の内容は明らかにされていないが、北朝鮮側が応じないということは、それが北朝鮮を満足されるようなものでないばかりか、その内容を知っているのかどうかは別とし、中国も米国との対話をさほど強く勧めていないのであろう。
北朝鮮が2018年の「朝鮮労働党中央委員会第7期第3回全員会議」で決定したモラトリアムを「第8期第5回全員会議拡大会議」でどのようにひっくり返すのか、「元帥様」の演説が注目される。
参考:
朝鮮労働党中央委員会第7期第3回全員会議に関する記事: http://dprknow.jp/blog-entry-2900.html