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    北朝鮮の核実験の可能性、中国外交部と米国務省の反応から:「元帥様」もタイミングで悩んでいるはず (2022年6月7日 「中国外交部」、「米国務省」)

    7日、「中国外交部」の定例記者会見で以下。

    中国外交部定例記者会見、2022/06/07、https://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/2511_665403/202206/t20220607_10699860.html

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    聯合ニュース:IAEA事務局長が昨日、北朝鮮が「核実験の準備をしている可能性」を示す兆候が見られると述べた。中国は北朝鮮の核実験を止めさせる計画はあるのか。
    Yonhap News Agency: The IAEA Director General said yesterday that there are signs that the DPRK is “possibly in preparation for a nuclear test”. Does China have any plans to stop the DPRK from conducting nuclear tests?

    報道官:朝鮮半島の平和と安定の維持、朝鮮半島の非核化の実現は関係国と国際社会全体の共通の利益である。中国は、朝鮮半島問題の政治的解決のために関係国が共に取り組み、関与し続けることを希望している。
    Zhao Lijian: It is in the common interest of relevant parties and the international community as a whole to maintain peace and stability of the Korean Peninsula and realize denuclearization of the Korean Peninsula. China hopes that the relevant parties will work together and stay committed to the political settlement of the Korean Peninsula issue.
    **********************

    中国外交部報道官は、北朝鮮の核実験の可能性について、肯定も否定もしなかった。そして、「朝鮮半島の非核化の実現」が「国際社会全体の共通の利益」としつつも、「核実験」や「核拡散」に反対するという発言もなかった。こうしたことから推測されることは、北朝鮮が既に中国に核実験計画を通告し、中国がそれを承認した可能性である。

    中国さえ怒らなければ、米国と追従勢力が何と言おうが、北朝鮮はいつでも核実験ができる準備はできているのであろう。問題はタイミングとなるが、上の記事にも書いたように7日に「政治局会議」が開催され「朝鮮労働党中央委員会第8期第5回全員会議」の議題などが討議、決定された。具体的な日にちは発表されていないが、今週末ぐらいには開催されるのではないだろうか。核実験「大成功」をもって「全員会議」を盛り上げるという方法も考えられるが、今回の「全員会議」では、新型コロナ関連の多くの現実的議題を取り扱う必要があるので、核実験「大成功」の祝典の場とするような雰囲気ではない。だとすると、「全員会議」で軍事部門の総括を「火星砲ー17型の試験発射大成功」やその他の「通常配備」されたミサイルの「通常軍事訓練」が正常に行われたことを「中間総括」した上で、後期の課題として「戦術核」の問題が取り上げられる可能性がある。

    プンゲ里などで核実験の準備兆候を米国などに分かるように見せておき、「元帥様」が「全員会議」で再び年度の後期計画として「戦術核」を持ち出せば、それだけで十分な示威効果がある。「戦術核」の様々な運搬手段の示威は年度前半で十分行ったどころか、次の新型ミサイルがあるのかという状況である。そうなると「戦術核」実験カードはとても重要で、「やるやる」示威で最大限の効果を引き出す必要がある。

    それとの関係で、米国の北朝鮮担当特別代表ソン・キムの記者会見が7日(現地時間)にオンラインで開催された。

    US Dept. of State, U.S. Special Representative to the Democratic People’s Republic of Korea Sung Kim On Recent DPRK Missile Launches, 2022/06/07, https://www.state.gov/u-s-special-representative-to-the-democratic-peoples-republic-of-korea-sung-kim-on-recent-dprk-missile-launches/

    このなかで、ソン・キムは、

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    (北朝鮮がミサイル発射など安保理決議違反とをし、さらに新型コロナワクチンなど米国の人道支援オファーを無視しても)、我々は北朝鮮に手を差し伸べ、外国的な手段で対処することを続けている。米国は北朝鮮に対して敵対していない。我々は、無条件で北朝鮮と向き合う準備ができており、北朝鮮に対して真剣に外交的手段に出ることを求めている。
    Even so, we continue to reach out to the DPRK and are committed to pursuing a diplomatic approach. The United States harbors no hostile intent towards the DPRK. We are prepared to meet without preconditions, and we call on the DPRK to engage in serious and sustained diplomacy.
    **********************

    と述べている。ソン・キムは、「北朝鮮が核実験をしたら、米国の(上記のような)姿勢は変わるのか」という記者の質問に対して、

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    (仮定の質問には答えられないが、)私は大統領、国務長官、そして多くの高官は、外交的に問題を解決することを明らかにしていると思っている。その中で、我々は意味がある非核化の進展やその他の問題解決の端緒を見出していく。
    I think the President and the Secretary and other senior officials have made clear that we are deeply committed to finding a diplomatic path forward. And so we will look for any opening to make meaningful progress on denuclearization and other issues of concern to us.
    ********************

    と答えている。しかし一方で、

    *******************
    我々は迅速で強力な対応をし、韓国、日本などと協調しながら、核実験があった場合は対応する。
    we will be swift and forceful in our response, and we will coordinate very closely with the ROK, Japan, and other – and our other partners in responding to a possible nuclear test.
    *******************

    とも言っている。しかし、韓国や日本に何ができるのかといえば、ほとんど何もできない。韓国は、せいぜい北朝鮮の8発のミサイルに対して発射した類いのミサイルを発射するか、強化された韓米合同軍事演習をするのが精一杯であろう。日本に至っては「誠に遺憾」、「北京の大使館ルートで強く抗議」以外には何もない。

    そして、ソン・キムも北朝鮮が何をしようが、中国とロシアが安保理で反対するので、新たな対北朝鮮制裁決議が不可能な状況になっていることを認めている。したがって、上記のように、中国が怒らなければ、北朝鮮はいつでも核実験ができる状態になっているのである。

    このように、北朝鮮は非常に強力なカードを手にしている。運搬手段を十分に誇示した上で、あとは「戦術核」を爆発させて見せるだけなので、そのタイミングというのはとても重要になる。そもそも北朝鮮の核もミサイルも政治目的なので、それをどのように有効に使うのかがいかに重要であるのかはいうまでもない。

    「元帥様」もそのタイミングで悩んでいるのではないだろうか。新型コロナで沈滞した国内ムードを盛り上げるために核実験を使うという手はある。しかし、国内ムード盛り上げ程度に使うのは勿体ないことは分かっているはずだ。核実験で米国を自分たちに有利にいかに動かすのかがポイントとなるのだが、現状、核実験をしたところで何か変わるという雰囲気はない。北朝鮮は強くなるのだからそれで良いと言えば良いのだが、今でも十分に強くなっている状況で、政治的目的が達成されないような使用は勿体ないということになる。

    このあたりは、「全員会議」で出される可能性がある「元帥様」のメッセージを聞いてみないと何とも予測できない。

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    プロフィール

    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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