養魚場の現地指導以外ではこのところ軍関連の現地指導ばかりしていた金正恩さんだが、全国軽工業大会に出席して軽工業を発展させて人民経済向上させることに関する演説を行った。しかし、演説の中に、改革に繋がるような特徴を見いだすことはできなかった。
演説では「米国と傀儡一味」により造り出された朝鮮半島の緊張状態に触れた上で、「朝鮮半島で新たな戦争を防ぎ平和的な環境で経済建設を進めて、人民生活問題を一日も早く解決しようというのは、我が党の確固不同たる立場です」と、戦争の雰囲気が高まる中でも「全国軽工業大会」を開催することの意味を強調している。しかし、休戦協定を白紙化した上、全面対決戦に突入した後、いかにして「新たな戦争を防ぎ平和的な環境」を造成するのかについては触れていない。「核抑止力」こそがそれをもたらすと考えているのかもしれないが、少なくとも現状はその逆である。
軽工業の現状にについては「我が国に建設された軽工業の土台は確固たるものであり、既存の工場、企業所をフル稼働させれば、我が人民の生活上の要求と嗜好に合った様々な消費財を基本的に提供できる」とし、現行設備を十分に稼働させることの重要性について述べている。
しかし、「将軍様が軽工業部門の工場や企業所、商業施設を現地指導される毎に、試作品や見本を作り展示したり、商店に陳列するだけではなく、生産を正常化して実際に人民に提供しなければならないことについて強く求められた」にもかかわらず、「将軍様の偉勲は貫徹されておらず」とし依然として現状は改善されていないという認識を示している。
軽工業部門がまず取り組まなければならない課題として「人民生活に必要な消費財を大量生産し、特に、基礎食品と1次消費財生産を決定的に増やさなければならない」を挙げている。「基礎食品」とは日常的に使う日本で言うところの味噌や醤油といった加工食品であろうが、「1次消費財」というのが何か分からないが、想像するに衣食住の衣に当たる製品であろう。金正恩さんの認識でも、依然として衣食が十分に満たされていないものとみられる。
しかし、量の問題だけではなく「生産計画を遂行したと言いながら、生産量にだけこだわり、消費財の室を軽視する間違った傾向を徹底して警戒しなければならない」とも述べ、質の問題も指摘している。しかし、北朝鮮ではまず量を確保することが重要であるはずだ。それにもかかわらず質について述べているのは、一部工場で生産されている消費財の中に使用に耐えられないようなものが含まれているからなのであろうか。
「我が人民の文化的水準と生活上の要求は、日に日に高まっており、人民が使おうとしない質が低い消費財は幾ら生産しても意味がない」とも語っているので、平壌市民のように相対的に「文化的水準」が高い生活をしている人々にとっては、そういうことなのであろう。言外に北朝鮮製を好まず、中国製を好む傾向を批判しているのかもしれない。
軽工業部門で生産がふるわない原因を「軽工業は生産循環周期が短く、生産物が早く消費される特性があるので、原料や資材を適切に供給する問題が生産を正常化するための重要な課題となっています」と、工場が稼働しないのは工場自体の責任ではなく、生産活動に必要な原料が十分に供給されないところにあると指摘している。
それを解決するためには「当面、人民生活資金を供給することになっている部署の役割を高めなければなりません」としている。「人民生活資金を供給」といっているので、資本主義経済における金融機関と思いきやどうやらそうでないようで、そうした部署は「軽工業発展のフロントラインを守るという責任感を持ち、生産を大々的に増やし、生産と輸出の一体化を実現して外国との加工貿易を拡大発展させなければならない」といっている。これも分かりにくい表現であるが、中国からの委託加工を行っている企業や開城工業団地内の企業のことを言っているようである。やはり、北朝鮮の人民生活水準を引き上げるための基本的な問題は、これら海外と提携関係にある企業がどれだけ外貨を稼ぐのかという所にかかっているようである。
しかし、金正恩演説では「軽工業原料、資材問題を解決するための根本的な方策は、原料や資材の国産化を実現することです」と相変わらず「自力更生」も強調している。「工場を現代化するといいながら、他人の物をじろじろ見ながら、多くの外貨を使って設備を外国から購入しようとだけする傾向はなくさなければなりません」と工作機械などを輸入に依存することに釘を刺している。北朝鮮は、工作機械などを海外に依存するのをなぜこれほどまでに嫌がるのであろうか。北朝鮮の旧式の工作機械は旧ソ連から持ち込まれたものがほとんどである。これは、「テレビ連続劇」や「映画」に登場する工作機械の文字盤がしばしばロシア語になっていることからも分かる。ソ連が崩壊し、取引がハードカレンシー化してそれらの機械の保守がほとんど不可能な状況に陥ったので、その轍を踏まないように国産化にこだわるのであろうか。発想としては、良好な国際関係を維持しながら、韓国のように外国製(韓国の場合は日本製)の工作機械を使い生産を増大させていく方法もあり得るはずだが、そういう発想はないようだ。
金正恩演説では「軽工業工場と商業機関との間で、生産された製品が不法に取引される現象をなくし」と工場と商店の間で製品の横流しが行われている現状に対する認識も示している。彼の演説で批判されるくらいなので、相当一般的にこうしたことが行われているということがうかがわれる。
同演説の終わりの部分では、党幹部(イルクン)についても述べているが、ここでも「今日、我々の党幹部の中で生じている輸入病は、軽工業発展の障害となっています」と安易な輸入を戒めている。ここでいっている輸入が上で書いた生産設備の輸入を指すのか、消費財自体の輸入を指すのかは分からないが、いずれにしても現場では自力更生に固執しているよりも、中国から調達した方が容易であるという風潮が蔓延しているのであろう。
しかし、そのようなことが繰り返し指摘されても改善されないのか「今、一部の党組織では、党の方針が提示されると初期には一生懸命努力するが、一定の期間が過ぎるとその執行をやめてしまう傾向がある」とし、こうした態度は改めなければならないと戒めている。
金正恩演説からは、色々と困っていることは伝わってくるが、それを改善するにしても精神主義以外にこれといった方策が全く示されていない。北朝鮮の経済システムが既に限界に来ているということの表れであろうが、それをどう乗り越えようとしているのか、朝鮮大学校の経済学担当者が言っていたように「金日成主義の経済」を建設するにしても、それが人民生活の向上であるとすれば、その方途についてはフレキシビリティーがあってもよいはずだ。
『労働新聞』、「경애하는 김 정 은동지께서 전국경공업대회에서 하신 연설」、
http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-03-19-0001

Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-03-19-0001
いろいろコメントを考えていましたが、昨日・今日でいろんな動きがあって整理しきれません。笑。
軽工業大会は記録映画で出たので、細かい内容(特に討論)がわかりませんね。本来なら第一書記の演説、総理の報告、そして各討論を見比べられれば、どこをどうしたいか分析も何とか出来るかと思いましたが…
以前ドラマの記事で運営体制について書かれていましたが、あちらでは企業(学校も)では「大安の事業体系」がとられています。
私の理解で簡単に言うと、党秘書が実質のTOPで、党委員会の集団的指導ということなので、そこに支配人と技術責任者が加わり、経営経理と技術問題をそれぞれ担当するという感じです。대안의 사업체계 당비서 지배인 기사장などで検索すると韓国の解説記事などもあるかと。
そこで私が感じたのが、前回の党細胞秘書大会と繋げて分析する必要があるのかなということです。
記録映画では新年の辞(人民生活が主攻戦線)と細胞秘書大会演説(党末端機関の役割)を強調し、そして今回軽工業が(農業と共に)「主打撃方向」という新たな表現が出てきました。討論者は主に支配人でした。
そして今日の報道で、最高人民会議(予算決定、人事、法整備)の招集が公示されたので、ここまでが一連の流れかと思います。
何しろ最近の軍事的緊張のおかげで今回の演説の「新たな戦争を防ぎ云々」が強調されましたが、少し分析の視野を広げなければと感じました。
といっても私も感じただけで何もしてませんが…
コメントありがとうございます。軽工業大会の記録映画は、uriminzokkiriには出ていないようなので、youtubeか統一放送で探してみることにします。
ご教授いただいた「大安の事業体系」言葉は聞いたことがあり、本でも読んでいるはずなのですが、ご指摘いただいたドラマとは全く繋がりませんでした。やはり文字で読んだもので、特に我々の住む社会に存在していないシステムは本当に理解しにくいということが分かりました。韓国のHPも検索したところ、「北韓研究所」のHPに信頼に値する説明がありました。これとて、読んでもなかなか理解するのは難しいのですが、ドラマと結びつけるとあのことかと何となく分かります。
最高人民会議の議題はどこかに書いてあったでしょうか。いくつか公式文献が連続して発表されたので、そのどれかに書いてあったとすれば私は見落としてしまいました。人事と経済関連の法整備があるのかなと思っていますが、例によって、体育委員会のようなとてつもないものがまた飛び出してくるのかもしれませんね。
お説のとおり、戦争騒ぎに世の中の耳目は集中していますが、北朝鮮というのは一つに向かって突き進んでいるような印象を与えても、決してそうではないということを最近つくづく感じています。一番それをよく分かっているのは朝鮮人民で、指導部とうまくつきあっているのでしょうね。
> いろいろコメントを考えていましたが、昨日・今日でいろんな動きがあって整理しきれません。笑。
>
> 軽工業大会は記録映画で出たので、細かい内容(特に討論)がわかりませんね。本来なら第一書記の演説、総理の報告、そして各討論を見比べられれば、どこをどうしたいか分析も何とか出来るかと思いましたが…
>
> 以前ドラマの記事で運営体制について書かれていましたが、あちらでは企業(学校も)では「大安の事業体系」がとられています。
> 私の理解で簡単に言うと、党秘書が実質のTOPで、党委員会の集団的指導ということなので、そこに支配人と技術責任者が加わり、経営経理と技術問題をそれぞれ担当するという感じです。대안의 사업체계 당비서 지배인 기사장などで検索すると韓国の解説記事などもあるかと。
> そこで私が感じたのが、前回の党細胞秘書大会と繋げて分析する必要があるのかなということです。
>
> 記録映画では新年の辞(人民生活が主攻戦線)と細胞秘書大会演説(党末端機関の役割)を強調し、そして今回軽工業が(農業と共に)「主打撃方向」という新たな表現が出てきました。討論者は主に支配人でした。
> そして今日の報道で、最高人民会議(予算決定、人事、法整備)の招集が公示されたので、ここまでが一連の流れかと思います。
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> 何しろ最近の軍事的緊張のおかげで今回の演説の「新たな戦争を防ぎ云々」が強調されましたが、少し分析の視野を広げなければと感じました。
> といっても私も感じただけで何もしてませんが…
いえ、議題は示されていませんが、まぁ予算は確実に議論されますし、後は4月から学制が変わるのでそれ関連もあり得ますし、現在の情勢に対応した軍事的決定(国防委員会あたりの提起)もあり得ますし、軽工業大会を受けて内閣の権限強化などの改革などもあり得ますし、7.27、9.9に関することも…
などなど何でも予想は出来ます。
国家体育指導委員会は党政治局の決定だったので、そこらへんどうなのかと感じてもいます。
>北朝鮮というのは一つに向かって突き進んでいるような印象を与えても、決してそうではない
私もそう思います。
中国ならば指導部が大躍進と言えば全てが大躍進、逆に改革開放だと言えば全てが改革開放となってしまいますが、朝鮮においては(青空マーケット以外にも)市場経済があることは厳然たる事実のようですが、それがイマイチ良く判らず、社会主義経済と混然一体となって相補完されているかのような印象を受けます。
細かいとこには手が届かない大国と、小回りの利く小国との違いと言えばそれまででしょうが、あれか、これかの二者択一の視点では、今回の強硬声明を含めて、本当の朝鮮の姿は見えないのかもしれません。
コメントありがとうございます。「軽工業大会」の「記録映画」ですが、「統一放送」にありましたので見ました。ダウンロードもできず、ポーズもできないのが難点ですが、uriminzokkiriやyoutubeにないときは助かります。同映画では、金正恩さんの肉声は流れませんでしたね。演説場面は延々と映し出されていましたが、ナレーションによる要約ばかりでした。「労働新聞」に「演説」が出ているので肉声でも良さそうなものなのですが、金日成軍事総合大学での演説のように「労働新聞」に書かれないような発言があったのでしょうか。
uriminzokkiriにアップロードされた一昨日の「20時報道」からは「全面対決戦」特集はなくなっていました。今、昨夜の「20時報道」をダウンロードしているところですが、太陽節モードに切り替わっていっているようですね。
> いえ、議題は示されていませんが、まぁ予算は確実に議論されますし、後は4月から学制が変わるのでそれ関連もあり得ますし、現在の情勢に対応した軍事的決定(国防委員会あたりの提起)もあり得ますし、軽工業大会を受けて内閣の権限強化などの改革などもあり得ますし、7.27、9.9に関することも…
> などなど何でも予想は出来ます。
>
> 国家体育指導委員会は党政治局の決定だったので、そこらへんどうなのかと感じてもいます。
コメントありがとうございます。「市場」ですが、2010年に平壌に行ったときも目撃しました。目撃といっても車で通り過ぎただけなのですが、何とか「市場」と書かれた場所がありました。2010年は、「市場」への締め付けが比較的強かった時期だと思うのですが、内実はともかく、看板だけは残っていたようです。記事に書いたか記憶はありませんが、google mapを見ると都市部には「市場」という場所をいくつか発見することができます。北朝鮮が公開しているのか、誰かがマークしたのかは分かりませんが、興味深いです。グーグル会長の訪朝後に出たという説もあるのですが、その前のことをよく覚えていないので分かりません。
どの国もそうだと思うのですが、北朝鮮でも色々なことが同時に発生しているのだと思います。時に突出した出来事があると、それが目立ってしまうのでしょうね。特に情報が限られた国では。
> >北朝鮮というのは一つに向かって突き進んでいるような印象を与えても、決してそうではない
>
> 私もそう思います。
> 中国ならば指導部が大躍進と言えば全てが大躍進、逆に改革開放だと言えば全てが改革開放となってしまいますが、朝鮮においては(青空マーケット以外にも)市場経済があることは厳然たる事実のようですが、それがイマイチ良く判らず、社会主義経済と混然一体となって相補完されているかのような印象を受けます。
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> 細かいとこには手が届かない大国と、小回りの利く小国との違いと言えばそれまででしょうが、あれか、これかの二者択一の視点では、今回の強硬声明を含めて、本当の朝鮮の姿は見えないのかもしれません。
軽工業の産物は農作物の次に換金性が高いですから、思うに軽工業部門の各事業所では市場から得た「内部留保分」がかなり溜まっているのではないでしょうか。御紹介のドラマ「先端線」でも自由裁量の資金を食料に当てるか機械設備を更新させるかで従業員の意見を集めるというシーンがありますが、それに類する事は現実にもあるのかと思います。
それで、ドラマと決定的に違うところは、その自由裁量分が、大抵の場合は自力更生とはならずに中国からの設備導入となってしまうところなんじゃないでしょうか。
これではせっかく溜め込んだ内部留保と貴重な外貨が中国に流れてしまい、それを問題視しているのが金正恩演説の眼目かと思います。
とは言え、下着工場等の技術指導員に生産ラインのコンピューター化を自力達成しろと望むのも可也の無理があります。で、ドラマでこそ四苦八苦の自力更生を達成するのでしょうが、現実的にはそれをモデルケースとしたサポートシステムもあるのかと予想します。もちろん想像にすぎませんが、中国ならばモデルケースを観光地化するというのもあり、それに類するシステムがあっても不思議ではありません。
日本のマニアの間でも旧型の小型工作機械をCNC化するというのが流行っており、ある程度の技術的条件さえ揃えば大変でも出来ないことではなく、そこから得る技術の蓄積と資金節約には計り知れないものがあるかと思います。
コメントありがとうございます。お説のように、「先端線」でもそのような場面がありましたね。食料を買うのか機械を直す資材を買うのかという話だったと記憶しております。内部留保といういうのがどのようなメカニズムで発生するのかよく分からないのですが、金正恩演説にあるように横流しした分なのでしょうか。幹部のポケットに入らずに、企業所の金庫に入ってくるのであれば、まだ何とかなるような気がします。
ドラマでは「自体の力(自力更生)で」という表現がしばしば登場し、それを称賛しているので、お説のとおり、それを推奨するもなかなか現実には難しいということかもしれませんね。技術の問題もさることながら、コスト的にも中国から買ってきた方が合理的なのかもしれません。それを用いて、より大きな利益を出すことができれば外貨が流出しても「実利」であるとは思うのですが、外貨をその他の目的(「贅沢品」や「核・ミサイル関連物資」購入とまではいわずも、食料購入)に回そうとしているのであれば、それも惜しいということになるのでしょう。
「中国ならばモデルケースを観光地化するというのもあり」ということですが、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか。
小型工作機械のCNC化というのは、素人でも少し技術があればできてしまうことなのでしょうか。工作機械など、学生時代にアルバイトで触っただけで、その後は全く触ったこともないので全くイメージがわきません(学生時代に触った機械がCNCだったかすら分かりません)。
> 軽工業の産物は農作物の次に換金性が高いですから、思うに軽工業部門の各事業所では市場から得た「内部留保分」がかなり溜まっているのではないでしょうか。御紹介のドラマ「先端線」でも自由裁量の資金を食料に当てるか機械設備を更新させるかで従業員の意見を集めるというシーンがありますが、それに類する事は現実にもあるのかと思います。
>
> それで、ドラマと決定的に違うところは、その自由裁量分が、大抵の場合は自力更生とはならずに中国からの設備導入となってしまうところなんじゃないでしょうか。
> これではせっかく溜め込んだ内部留保と貴重な外貨が中国に流れてしまい、それを問題視しているのが金正恩演説の眼目かと思います。
>
> とは言え、下着工場等の技術指導員に生産ラインのコンピューター化を自力達成しろと望むのも可也の無理があります。で、ドラマでこそ四苦八苦の自力更生を達成するのでしょうが、現実的にはそれをモデルケースとしたサポートシステムもあるのかと予想します。もちろん想像にすぎませんが、中国ならばモデルケースを観光地化するというのもあり、それに類するシステムがあっても不思議ではありません。
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> 日本のマニアの間でも旧型の小型工作機械をCNC化するというのが流行っており、ある程度の技術的条件さえ揃えば大変でも出来ないことではなく、そこから得る技術の蓄積と資金節約には計り知れないものがあるかと思います。
>「中国ならばモデルケースを観光地化するというのもあり」ということですが、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか。
昔からある「○○は××に学ぼう 」という手法で、モデルケースを提示し、全国から各級幹部が、そこに集まって、その方式と経験を学び、担当地区でも同じ事を始めるシステムです。人民公社も自然発生的に生まれた集団農場を全国に普遍化させたものです。
で、改革開放の時代になっても、それは変わらず、ただし市場経済なので全国からやって来る幹部達の為にホテルを用意したりで、それ自体を収益事業にしています。
有名どころは日本でも度々紹介される金持ち村とか、
http://www.geocities.jp/mstcj182/ITEM-3A144.html
http://shvoice.com/special_feature/21613.html
けっして成功例ではありませんが、過去を振り返るという意味で、生産請負制の出発点となった小崗村の紹介記事でも「請負制記念館の革命教育観光旅行をきっかけとし、エコツーリズムを発展させます」とあります。
http://www.peoplechina.com.cn/zhuanti/2008-12/08/content_170613.htm
ちなみに先代は地方でこそ軽工業を発展させるというような事を言っており、上記の金持ち村の発想に通ずるものがあるものの集団農場に工業部門を併設するとの意図は薄そうです。
>小型工作機械のCNC化というのは、素人でも少し技術があればできてしまうことなのでしょうか。
工作機械を使えるという前提があれば、パソコン、制御用モーター、制御基盤、ソフトがあれば出来ます。
こんな感じで皆さん、やっておられます。
http://www.scn-net.ne.jp/~tamotin/
http://www.geocities.jp/hidecnc/fl350cnc/fl350nc.htm
日本でやるとタダのオタクですが朝鮮でならば労働英雄になれます(苦笑。
プラスαとして高精度のベアリングがあれば古いロシア製工作機械といえども蘇ることになります。
ただやはり
制御用モーター、制御基盤、ソフト、プラスαとしての高精度のベアリングは現場の機械屋では無理でしょう。それは国内か国外で調達するしかありません。
もしドラマ内で全部が全部、自力更生で済んでしまったのならば、それはドラマ上の脚色かと思います。
極論を言ってしまうと100箇所の事業所で同じ事を始め、モノになったのが1箇所だけで、残りの99箇所が駄目だったとしても、その1箇所が専門事業所として特化し、製品化なり改造業務を請け負っていけばいいのです。
初期の四苦八苦を避けていると技術というものは身に付かないものです。
コメントありがとうございます。「モデルケースを観光地化」の件、大変よく分かりました。中国の金持ち村については、何かの本で読んだことがあります。村ぐるみで起業し、それが大成功して村全体が金持ちになるというような話だったと思いますが、その90年代初めに、私が中国を調査で回っていた頃は、まだそういう話はなかったようで、村の誰かが起業してその人が金持ちになったという話を聞いたり、その金持ちに会ったりしました。
北朝鮮でそのようなケースが可能かというと、今のシステムでは不可能でしょうね。農業に工業部門を併設するためには、何よりも食が量的に充足されていなければならないわけですが、当時の中国との大きな違いはここだと思います。もちろん、北朝鮮のような地形の国で食料の自給自足にこだわる必要はないのですが、それでもベーシックな部分、つまりカロリーベースでの自給率が現状ではとても工業を併設できる状況ではないような気がします。食料供給源を中国にのみ依存し、自国の農業を切り捨てるのは、彼らにとってリスクが大きすぎると考えているのではないかと思います。
また、郷鎮企業を起業して何かを生産しても、現状では中国以外に輸出先は見いだしにくいのではないかと思います。しかし中国とて、依然として労働集約的な低賃金部門を抱えているので、made in DPRKの工業製品が中国の如何なる需要に応えられるのかも疑問です。そうなってくると、中国企業の委託加工ぐらいしかやることはなくなってくると思うのですが、すると今度はそこに北朝鮮の行政や軍の利権システムが介入してきて、なかなか話がまとまらなくなってしまうということだと思います。結果として、一番簡単な労働者の中朝国境地帯にある中国企業への派遣ということになるのでしょうが、それも管理上いろいろと大変なのでしょう。だから、北朝鮮領内の川の島に中国企業を誘致し・・・・という発想だと思うのですが、こちらもなかなかうまくいっていないようですね。
CNCマニアの方、そういう世界があるとは知りませんでした。しかし、ご紹介いただいたHPを見ると、なかなか面白そうですね。私も機械(自動車)修理や電子工作が好きな方なので、引かれてしまいます。北朝鮮でもソフト面では何とかなる状況なのかもしれませんが、お説のとおりハード面、特にベアリングのような精密機械部品の供給ということで苦労しているのかもしれませんね。「先端線」では、あまり機械部品の話はしていなかったと記憶しています。ソフト上でのハードがどうのこうの、特に南朝鮮か米国のスパイに仕込まれたウィルスで苦労していたという設定だったはずです。一方、「女細胞秘書」の方では、かなり原始的な方法で、歯車を作っていたようですが、どう見てもベアリングのような精度を求めるパーツではなかったようです。「自力更生」を売りにするドラマなので、海外から調達した部品については「ないこと」にするのでしょうね。
関心があるのは、北朝鮮での技術、しかもそれが「先端技術」ではなく、初歩的な、あるいは世俗的な技術への価値付けです。日本では、昔から腕のよい技術者、自転車修理でも家具修理でもよいのですが、こういう人たちはその腕を見込まれていました。「腕のよい職人」という言葉がそれをよく表していると思うのですが、北朝鮮ではどうなのかと思っています。
なぜかというと、80年代の韓国では、先端技術はさておき、「腕のよい職人」のような人は、あまり社会的に尊敬されていなかったというのが私の観察です。しかし、鐘路や清渓川の裏通りには、こういう人がいる小さな町工場がたくさんあり、古いモーターだの発動機だのを修理していたのを覚えています。私はこういう場所がとても好きで、デモ見物の帰りに立ち寄ってよく作業の様子を眺めていました。
何か関係ない話になってしまったようですが、いろいろとご教授いただきありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
> >「中国ならばモデルケースを観光地化するというのもあり」ということですが、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか。
>
> 昔からある「○○は××に学ぼう 」という手法で、モデルケースを提示し、全国から各級幹部が、そこに集まって、その方式と経験を学び、担当地区でも同じ事を始めるシステムです。人民公社も自然発生的に生まれた集団農場を全国に普遍化させたものです。
> で、改革開放の時代になっても、それは変わらず、ただし市場経済なので全国からやって来る幹部達の為にホテルを用意したりで、それ自体を収益事業にしています。
> 有名どころは日本でも度々紹介される金持ち村とか、
>
http://www.geocities.jp/mstcj182/ITEM-3A144.html
>
http://shvoice.com/special_feature/21613.html
> けっして成功例ではありませんが、過去を振り返るという意味で、生産請負制の出発点となった小崗村の紹介記事でも「請負制記念館の革命教育観光旅行をきっかけとし、エコツーリズムを発展させます」とあります。
>
http://www.peoplechina.com.cn/zhuanti/2008-12/08/content_170613.htm
>
> ちなみに先代は地方でこそ軽工業を発展させるというような事を言っており、上記の金持ち村の発想に通ずるものがあるものの集団農場に工業部門を併設するとの意図は薄そうです。
>
>
> >小型工作機械のCNC化というのは、素人でも少し技術があればできてしまうことなのでしょうか。
>
> 工作機械を使えるという前提があれば、パソコン、制御用モーター、制御基盤、ソフトがあれば出来ます。
> こんな感じで皆さん、やっておられます。
>
http://www.scn-net.ne.jp/~tamotin/
>
http://www.geocities.jp/hidecnc/fl350cnc/fl350nc.htm
> 日本でやるとタダのオタクですが朝鮮でならば労働英雄になれます(苦笑。
> プラスαとして高精度のベアリングがあれば古いロシア製工作機械といえども蘇ることになります。
>
> ただやはり
> 制御用モーター、制御基盤、ソフト、プラスαとしての高精度のベアリングは現場の機械屋では無理でしょう。それは国内か国外で調達するしかありません。
> もしドラマ内で全部が全部、自力更生で済んでしまったのならば、それはドラマ上の脚色かと思います。
>
> 極論を言ってしまうと100箇所の事業所で同じ事を始め、モノになったのが1箇所だけで、残りの99箇所が駄目だったとしても、その1箇所が専門事業所として特化し、製品化なり改造業務を請け負っていけばいいのです。
>
> 初期の四苦八苦を避けていると技術というものは身に付かないものです。