「<特集>尊厳と権利を守ろうとする世界の女性の声」 (2013年3月8日 「朝鮮中央TV」)
3月8日は「国際女性デー」である。「朝鮮中央TV」はこの日にちなんだ番組を何本か放送しているが、その中でも「<特集>尊厳と権利を守ろうとする世界の女性の声」と題する番組はなかなかおもしろい。何がおもしろいのかというと、タイトルとは異なり、その内容は「資本主義社会でいかに女性が迫害されているか」という内容であるからである。確かに、世界からは社会主義国家が消滅しつつある中、女性が迫害されている国が資本主義国家である確率が高まっているのも確かである。しかし、この番組は対外向けの宣伝番組ではなく朝鮮人民に見せるために製作された番組なので、「北朝鮮は資本主義国家と比べてこんなにもよい」か、そうでなくても「資本主義国家もこんなものなのだから、北朝鮮も仕方がないか」という内容でなければならない。
番組は外国の報道フィルムを編集したものなので、映像自体はそんなにおもしろくはないが、ナレーションがなかなかおもしろいので、そちらを中心に紹介していく。
まず、「英国の女性問題専門家」の音声を流しながら、例によって「独創的」な字幕を付けている部分がおもしろい。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-03-08-21.flv
英国人女性:「女性が重要であるということは認めているが、決定権があるレベルでは女性をあまり見ない。特に、政府、議会、地方自治体などにおける政治的決定権を行使する場面には女性があまり見られない。また、CEOや高級管理職のような経済的な場面においてもこれは同様である。これは、我々が社会的な潜在的可能性の一部を失っていることを意味する。それは、女性が平均しても人口の半分を占めるからである」
字幕:「多くの人々は女性がなくてはならない存在であることは認識しているが、女性の社会生活と発展において決定的な役割をする存在とは考えていない。そのために今日、女性の尊厳と権利を主張する声が多くの国際舞台で上がってきている」
政治や経済の問題を「社会生活や発展」とまとめて訳しているところが何とも北朝鮮的である。
続いて、資本主義国での女性問題に入る。そして
「資本主義社会では、女性は労働の権利において酷い差別を受けている。女性を蔑視する観点が支配している資本主義制度では、女性は、女性であるという理由のために就業することがとても困難で、西側のメディアも女性が職を得るということは、「牛が針穴を通り抜けるぐらい難しい」と表現するほどである。やっと職に就けたとしても、労働生活(労働条件)において酷い差別を受けている。」
とした上で、米国やオーストラリアの男女間賃金格差を紹介している。
また「世界的な経済危機の中で経営赤字を埋めるために、大々的な解雇旋風が巻き起こっているが、その一番初めの対象となるのが女性である。」そして、その結果として「世界的に15億人の女性貧困者」を生まれているとしている。
「資本主義社会で女性たちは、自らの最も神聖な権利である母性の権利さえも無残に蹂躙されている。資本主義社会の絶対多数の女性たちは、膨大な出産費用を負担することができず、出産時に専門医療陣の助けを受けることができずにおり、子供を産んだ後も子供を育てるための過重な経済的負担を解決することができず、苦労をしている。」
ここでまた別の「英国の女性問題専門家」が登場する。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-03-08-21.flv
英国女性:「問題は、母親が産休を取ると、彼女らの所得は平均して約半分になってしまう。約40%の所得減少を補うための貯蓄がない場合は問題が発生し、彼女らはクレジット-カードに頼らざるを得なくなる。」
字幕:「子供を産んで育てることについて英国女性の40%が問題を抱えている。多くの女性が出産時にお金がなかったり社会的な支援を受けられないので、多くの負債を抱えて苦労することになる。」
この女性、若干早口なのできちんと聞き取れているかは自信がないが、それでも字幕とは随分違ったことをいっていることだけは確かだ。要は、北朝鮮の無料医療制度のお陰で北朝鮮では「平壌産院」のようなところで安心して子供を産み、その後も「社会主義祖国の恩恵」を受けながら安心して子供を育てられるという話なのだろうが、子供に飲ませるミルクがないのでは話にならない。
そしてその結果、多くの国では「子供を産まないのが一つの風潮」となっているとしている。確かに、少子化の原因の一つはそこに見いだすこともできるので、全く間違った説明とも言い切れない。さらに、「自分が産んだ子供をゴミ箱に捨てるといった、悲劇も発生している」と続けている。ゴミ箱に捨てることはないにしても、コインロッカーに置き去りは時々ある。
その他にも、
「今日、資本主義社会では女性に対する暴行と人権蹂躙行為は爆発的に増加しており、社会的に憂慮されている。」
「口を開ければ人権と騒ぎ立てる米国では、毎年約50万人の女性が性的暴行を受けているということです。」また、「欧州女性の12~15%が性的暴行の被害者となっている。」
「フランス、英国、イタリアなどで、ドメスティック・バイオレンスがなくならず、深刻な社会問題となっている。」
「どれほどドメスティック・バイオレンスが激しいかというのは、米国でドメスティック・バイオレンス防止法まで制定されたことからしてもよく分かる。」
等の例を挙げている。
そして、「世界の女性たちは、女性の権利と尊厳を守るための闘争、腐敗した資本主義制度を改変するための闘争に立ち上がっている」と締めくくっている。
番組は外国の報道フィルムを編集したものなので、映像自体はそんなにおもしろくはないが、ナレーションがなかなかおもしろいので、そちらを中心に紹介していく。
まず、「英国の女性問題専門家」の音声を流しながら、例によって「独創的」な字幕を付けている部分がおもしろい。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-03-08-21.flv
英国人女性:「女性が重要であるということは認めているが、決定権があるレベルでは女性をあまり見ない。特に、政府、議会、地方自治体などにおける政治的決定権を行使する場面には女性があまり見られない。また、CEOや高級管理職のような経済的な場面においてもこれは同様である。これは、我々が社会的な潜在的可能性の一部を失っていることを意味する。それは、女性が平均しても人口の半分を占めるからである」
字幕:「多くの人々は女性がなくてはならない存在であることは認識しているが、女性の社会生活と発展において決定的な役割をする存在とは考えていない。そのために今日、女性の尊厳と権利を主張する声が多くの国際舞台で上がってきている」
政治や経済の問題を「社会生活や発展」とまとめて訳しているところが何とも北朝鮮的である。
続いて、資本主義国での女性問題に入る。そして
「資本主義社会では、女性は労働の権利において酷い差別を受けている。女性を蔑視する観点が支配している資本主義制度では、女性は、女性であるという理由のために就業することがとても困難で、西側のメディアも女性が職を得るということは、「牛が針穴を通り抜けるぐらい難しい」と表現するほどである。やっと職に就けたとしても、労働生活(労働条件)において酷い差別を受けている。」
とした上で、米国やオーストラリアの男女間賃金格差を紹介している。
また「世界的な経済危機の中で経営赤字を埋めるために、大々的な解雇旋風が巻き起こっているが、その一番初めの対象となるのが女性である。」そして、その結果として「世界的に15億人の女性貧困者」を生まれているとしている。
「資本主義社会で女性たちは、自らの最も神聖な権利である母性の権利さえも無残に蹂躙されている。資本主義社会の絶対多数の女性たちは、膨大な出産費用を負担することができず、出産時に専門医療陣の助けを受けることができずにおり、子供を産んだ後も子供を育てるための過重な経済的負担を解決することができず、苦労をしている。」
ここでまた別の「英国の女性問題専門家」が登場する。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-03-08-21.flv
英国女性:「問題は、母親が産休を取ると、彼女らの所得は平均して約半分になってしまう。約40%の所得減少を補うための貯蓄がない場合は問題が発生し、彼女らはクレジット-カードに頼らざるを得なくなる。」
字幕:「子供を産んで育てることについて英国女性の40%が問題を抱えている。多くの女性が出産時にお金がなかったり社会的な支援を受けられないので、多くの負債を抱えて苦労することになる。」
この女性、若干早口なのできちんと聞き取れているかは自信がないが、それでも字幕とは随分違ったことをいっていることだけは確かだ。要は、北朝鮮の無料医療制度のお陰で北朝鮮では「平壌産院」のようなところで安心して子供を産み、その後も「社会主義祖国の恩恵」を受けながら安心して子供を育てられるという話なのだろうが、子供に飲ませるミルクがないのでは話にならない。
そしてその結果、多くの国では「子供を産まないのが一つの風潮」となっているとしている。確かに、少子化の原因の一つはそこに見いだすこともできるので、全く間違った説明とも言い切れない。さらに、「自分が産んだ子供をゴミ箱に捨てるといった、悲劇も発生している」と続けている。ゴミ箱に捨てることはないにしても、コインロッカーに置き去りは時々ある。
その他にも、
「今日、資本主義社会では女性に対する暴行と人権蹂躙行為は爆発的に増加しており、社会的に憂慮されている。」
「口を開ければ人権と騒ぎ立てる米国では、毎年約50万人の女性が性的暴行を受けているということです。」また、「欧州女性の12~15%が性的暴行の被害者となっている。」
「フランス、英国、イタリアなどで、ドメスティック・バイオレンスがなくならず、深刻な社会問題となっている。」
「どれほどドメスティック・バイオレンスが激しいかというのは、米国でドメスティック・バイオレンス防止法まで制定されたことからしてもよく分かる。」
等の例を挙げている。
そして、「世界の女性たちは、女性の権利と尊厳を守るための闘争、腐敗した資本主義制度を改変するための闘争に立ち上がっている」と締めくくっている。