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    ソン・キム北朝鮮問題担当の電話ブリーフィング (2022年4月6日 「米国務省」)

    6日(現地時間)、米国の北朝鮮問題担当ソン・キムが電話ブリーフィングを行った。

    US Dept. of State, Briefing with Special Representative for the Democratic People’s Republic of Korea Sung Kim on Recent Developments in the DPRK and U.S. Efforts to Advance Denuclearization on the Korean Peninsula, https://www.state.gov/briefing-with-special-representative-for-the-democratic-peoples-republic-of-korea-sung-kim-on-recent-developments-in-the-dprk-and-u-s-efforts-to-advance-denuclearization-on-the-korean-penins/

    その中から注目すべき発言を抜き出しておく。

    <冒頭発言>
    ・我々は、外交的働きかけと(軍事的な)脅威の削減である。
    ・外交の扉は閉じられていない。
    ・北朝鮮と前提条件なしに会う準備ができていると何回も言っている。
    ・平壌は情勢を不安定化させる行動ではなく、対話を選択しなければならない。
    ・平壌は我々の呼びかけに応ぜず、ミサイル発射など挑発を繰り返している。
    ・北朝鮮のICBMの潜在的射程距離は米国に対してだけではなく、地球規模の脅威となっている。
    ・最近の北朝鮮のミサイル発射に対して、我々は外交的、経済的、軍事的対応措置を講じた。
    ・中国とロシアは、国連安保理が対北朝鮮非難の公式声明を出すことを妨害した。
    ・北朝鮮がエスカレートさせている行動には結果が伴う。
    ・外交を通じてのみ問題が解決できるということが最も重要。
    ・我々に北朝鮮に対して敵対する意図はない。
    ・シンガポール共同声明に基づく外交こそが北朝鮮の孤立を解決する。
    ・対話の呼びかけに対する北朝鮮の肯定的な反応に期待している。

    <質疑>
    ・金ヨジョン「談話」は挑発的で憂慮すべきもの。
    ・朝鮮半島の非核化と平和・繁栄のための実行可能な手段は外交しかない。
    ・(中国に北朝鮮への対話の働きかけを要請したのかという質問に対して)両国のゴールは朝鮮半島の安定であり、中国も朝鮮半島の非核化を目指していると確信している。
    ・平壌に公式的にも非公式的(私的)にも対話を促すメッセーを送っているが、返事がない。
    ・(このような電話ブリーフィングを開催したのは、北朝鮮に公にメッセージを送るためなのかという質問に対して)メディアに対して我々が北朝鮮問題でどのような対応をしているのか伝えるためであり、北朝鮮に我々が対話の準備ができているという立場を伝えているので、こうした形で北朝鮮に公のメッセージを送る必要はない。
    ・(中国に対して、「太陽節」に際して北朝鮮が挑発をしないよう伝えるように求めているのかという質問に対しては、答えるのを避けて何も言わなかった。)
    ・(中国とロシアが安保理の対北朝鮮決議に賛成する可能性が低いにもかかわらず、どうしてそれを推し進めようとしているのかという質問に対して)中国とロシアが協力しないというのは正しいかも知れないが、これは北朝鮮問題以上の問題、つまり国連の信頼に関わる問題である。安保理決議、六者会談とシンガポール宣言での約束に違反しているのだから、それに対してきちんとした責任を取らせるべきだと思う。だから、北京とモスクワに協力を求めている。
    ・(「太陽節」を契機とする)北朝鮮のさらなる挑発はミサイル発射かも知れないし、核実験かも知れない。彼らは今年既に13発もミサイルを発射したのだから、これ以上エスカレートさせなくても(「太陽節」を)祝うことはできるだろう。
    ・北朝鮮が我々の対話の呼びかけに応じない理由は、北朝鮮が新型コロナ対策で国境を遮断していることが関係しているのかも知れない。
    ・シンガポール宣言の内容が曖昧であるという指摘は承知しているが、この文献はこれから対話を行うための有用な基礎だと信じている。それはその中で、敬愛する領導者、金正恩が自ら非核化に向けた約束をしているからである。

    ソン・キムは「さらなる挑発」の可能性として「ミサイル発射」と「核実験」を挙げている。これについては当たり前の回答であるが、何回か繰り返し質問されている中国の北朝鮮への働きかけについては、とぼけているのか、中国に対する協力要請ができていないのかは不明ながら、回答を避けている。拙ブログにも中国はミサイルは許容しても、核実験は許容しないだろうと書いてきたが、この点について米国がどのように考えているのかソン・キムの口から聞きたかったのだが、それに対する答えはなかった。

    ソン・キムは、「もう13発も発射している」から「太陽節」は「祝えるだろう」としているが、彼自身、北朝鮮のミサイル発射が「祝砲」的性格もあることを認めた発言で興味深い。

    シンガポール共同宣言に言及しながら、それが今後の米朝対話のベースとしながら、「敬愛する領導者(dear leader)、金正恩が」と言っている部分も注目される。「金正恩委員長」とか「金正恩総秘書」という表現を避け、敢えて「敬愛する領導者」と言っているのは、「金正恩がした約束」というのは、「敬愛する領導者」がした約束なのだから守るべきものだというプレッシャーとも受け取れる。ソン・キムは子供の頃に渡米した韓国系米国人で、韓国語も理解できるとのことなので、この辺のニュアンスを巧妙に使うのには長けているのだと思う。

    北朝鮮には、公式にも非公式にもメッセージを発しているとのことであるが、「非公式(私的)」とはどのようなルートなのだろうか。トランプと「元帥様」が私的なメッセージ交換をしていたことは公開された事実であるが、少なくとも現時点で、バイデンにはそのようなことはできないであろう。ソン・キムは、新型コロナによる国境閉鎖が米国の対話の呼びかけに応じない理由の可能性としているが、対話の形式は色々とあるので、対話をしたことによる感染の危険性と関係ないはずだ。だとすると、仮に朝米対話が実現し、何らかの制裁解除が行われても、国境閉鎖により中国との貿易が制限されるので意味がないということなのだろうか。

    北朝鮮が、このブリーフィングに対する何らかのコメントを出すのかが注目される。米国も日本も北朝鮮との対話について「無条件」と言っているが、北朝鮮の立場からすれば、次々と出される「制裁」こそが「条件」であり、それを出しておきながら「無条件」というのは、彼らがよく言うように「昼強盗」の論理だと言うことも納得できる。強盗が盗んだ金について、「無条件」返還交渉をしようではないか、と言っているのに等しいと感じているのであろう。

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    川口智彦

    Author:川口智彦
    「크는 아바이(成長するオッサン)」

    ブログの基本用語:
    「元帥様」=金正恩朝鮮労働党委員長(上の絵の人物)、2016年12月20日から「最高領導者同志」とも呼ばれる
    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
    「白頭の血統」=金一族
    「大元帥様達」=「首領様」と「将軍様」
    「女史」=李雪主夫人(2018.07.26より「同志」に)

    우 그림은 충정 담아 아이가 그린 경애하는 김정은원수님이십니다.


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