「<録画実況>敬愛する金正恩元帥様をお迎えし開催された朝鮮体育大学フェブルバスケットボール選手と米国ハーレム・グローブトロッターズ選手との混合試合」 (2013年3月4日 「朝鮮中央TV」)
「朝鮮中央TV」が昨夜、金正恩さんが観戦したバスケットボール試合の録画を放送した。番組は約1時間半なのだが、試合の場面は後から見ることとし、初めと最後の部分だけを取りあえず見た。
番組の冒頭では、米国のフィルムを使用しながら、ロッドマンさんの紹介を行っている。説明はまず朝鮮語でなされ、続いて英語でされている。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-03-04-17-y.flv
その後、朝鮮体育大学のバスケットボール選手が入場してくる。
金正恩さんはこの後で李雪主夫人らと共に登場するが、「一号歓迎曲」の演奏はない。金日成軍事総合大学での演説など、屋外で登場する場合は演奏なしがあったかもしれないが(しかし、過去動画は未確認)、室内で彼が登場する際に「一号歓迎曲」が演奏されないのは異例である。当然、観衆の万歳は延々と続くのであるが、珍しい光景である。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-03-04-17-y.flv
次に米国選手が登場する。会場には選手を紹介するアナウンスが流れるが、英語、朝鮮語の順である。テレビの字幕も上が英語、下が朝鮮語になっている。お客さんに対する儀礼なのか、「目は世界を見て」なのか。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-03-04-17-y.flv
紹介が一通り終わると、米国選手が模範演技を行う。「一号歓迎曲」なしでの登場でも若干驚いていたのだが、この場面でひっくり返りそうになった。というのは、彼らが模範演技を行う背景で流れる曲は、ハーレム・グローブトロッターズのテーマソングであるジャズである。音楽には疎いが、あのリズムはジャズで良いと思う(音楽に詳しい方、間違っていたらご指摘頂きたい)。
ジャズといえば、金日成さんが強く否定した音楽である。昨日、偶然読んでいた『コチェビよ、脱北の川を渡れ 中朝国境滞在記』によると『金日成元帥様革命歴史』という本には「ジャズはだめです」と書いてあるそうだ。(この本の内容は、本の著者が延吉に滞在していた時期よりも少し前ではあるものの、延吉を訪問した私にとってはあまり新鮮ではなかった。訪問目的は脱北者探しではなく、企業調査であったのだが・・・)
高英起『コチェビよ、脱北の川を渡れ 中朝国境滞在記』(新潮社、2012)
この本以外でも金日成さんがジャズを否定したという話は読んでいるので、これは事実であろう。ジャズは、北朝鮮映画の中で「南朝鮮傀儡軍」が米国の親分と共に退廃的な雰囲気の中でパーティーをやる場面などの効果音として使われるが、肯定的に使われたのを聞いたことがない。ところが、例えハーレム・グローブトロッターズのテーマソングとはいえ、首領様が「だめ」と言った曲を大衆の面前で流したばかりか、それを放送している。下の写真は、曲に合わせて模範演技をする選手である。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-03-04-17-y.flv
そればかりか、「資本主義の退廃的な曲」に合わせて、朝鮮人民が嬉しそうに拍手をしているではないか。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-03-04-17-y.flv
このような場合も、サクラがいて拍手を誘導しているのであろうが、そのような設定をしたこと自体驚きである。
この後、模範演技の続きと試合に入るのであるが、その部分は飛ばしているのでまだ見ていない。追って、何か面白い場面があれば紹介するとし、試合後の様子である。
一番聞きたかったロッドマンさんのスピーチもしっかりと放送されている。聞いた限りではノーカットだと思う。また、過去記事にも書いたとおり、事前原稿なしのスピーチのようで通訳が言い直している部分もある。それで、問題の「友人」発言だが、ロッドマンさんは北朝鮮の人々も金正恩さんも「永遠の友人(you're my friend for life)」と言っている。私が過去記事で推測したようなラフな表現ではなく、金正恩さんには「sir」と呼びかけた上で「永遠のと友人」と言っている。朝鮮語通訳は「敬愛する」という枕詞を机加えた上、過去記事にも書いた「友人」に当たる言葉を使っている。

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その後、チームシャツのプレゼント贈呈があるが、金正恩さんは嬉しそうに観衆に見せている。これも米国式というか実に異例のことだ。日本でもプレゼントをその場で開封すると言うことはあまりしないが、米国ではその場で包装を破いて中身を披露するのが普通のようだ。これまでに私が見た北朝鮮指導者に対する贈り物贈呈シーンでは、大体さっと受け取ってすぐにおつきに渡してしまう。背番号1というのも心憎い。

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贈呈式終了後、金正恩一行は再び「一号歓迎曲」なしで退場する。バスケットボールコートには、バナーをもらった米国選手が嬉しそうな顔をして立っている。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-03-04-17-y.flv
さて、ロッドマン一行の訪朝をどのように考えたらよいのかまだ上手く表せない。しかし、一義的にややはり金正恩「kid」のバスケットボール好きの産物なのであろう。しかし、コカコーラだけではなくジャズまでも「朝鮮中央TV」で延々と朝鮮人民に聞かせてしまうなどということは、米国に対する強いメッセージといわざるを得ない。
朝鮮人民も米国と全面対決をするといいながら、平気でこういうことをやらかす「kid」をついて行けないと思っているのか、なかなかやるなと見ているのか。
<追記>
さらに、番組を見ていたのだが、また驚くべきシーンがあった。なんと、米国選手が朝鮮人民の女性の手を引いて出てくるではないか。形としては、「エスコート」であり、我々の日常ではそんなに驚くようなシーンではない。しかし、北朝鮮のドラマや映画を見ていても、結婚したカップルが手を繋いでいるシーンが時々あるものの、恋人同士で未婚の男女の身体接触(といっても、手を繋ぐ程度)は私が見た限りではない。朝鮮人民同士でもそうなのに、米国人に手を握られたこの女性、元帥様の命令とはいえ、大丈夫なのであろうか(偵察総局の関係者なら、訓練は受けているはずだが)。

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それで終わりと思いき、手をパチンと合わせる米国式のポーズもやっている(名称は失念)。

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また、北朝鮮のチームメートとも手をパチンと合わせている。北朝鮮の選手、ぎこちないが何とか合わせている。

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前半戦が終わったところで、「金平海同志(労働党秘書)、盧斗哲同志(国家体育指導委員会副委員長)などが家族と共に観覧している」と紹介している。

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ハーフタイムには、マーチングバンドやテコンドーの模範演技が行われた。マーチングバンドは、しっかりと「金正恩将軍、体を張って死守しよう」という曲を使った後、西側のクラシックマーチを演奏している。子供たちのテコンドー演技を見る金正恩ら。ロッドマンの前には、コーラがなくなりコップが置かれている。

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番組の冒頭では、米国のフィルムを使用しながら、ロッドマンさんの紹介を行っている。説明はまず朝鮮語でなされ、続いて英語でされている。

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その後、朝鮮体育大学のバスケットボール選手が入場してくる。
金正恩さんはこの後で李雪主夫人らと共に登場するが、「一号歓迎曲」の演奏はない。金日成軍事総合大学での演説など、屋外で登場する場合は演奏なしがあったかもしれないが(しかし、過去動画は未確認)、室内で彼が登場する際に「一号歓迎曲」が演奏されないのは異例である。当然、観衆の万歳は延々と続くのであるが、珍しい光景である。

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次に米国選手が登場する。会場には選手を紹介するアナウンスが流れるが、英語、朝鮮語の順である。テレビの字幕も上が英語、下が朝鮮語になっている。お客さんに対する儀礼なのか、「目は世界を見て」なのか。

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紹介が一通り終わると、米国選手が模範演技を行う。「一号歓迎曲」なしでの登場でも若干驚いていたのだが、この場面でひっくり返りそうになった。というのは、彼らが模範演技を行う背景で流れる曲は、ハーレム・グローブトロッターズのテーマソングであるジャズである。音楽には疎いが、あのリズムはジャズで良いと思う(音楽に詳しい方、間違っていたらご指摘頂きたい)。
ジャズといえば、金日成さんが強く否定した音楽である。昨日、偶然読んでいた『コチェビよ、脱北の川を渡れ 中朝国境滞在記』によると『金日成元帥様革命歴史』という本には「ジャズはだめです」と書いてあるそうだ。(この本の内容は、本の著者が延吉に滞在していた時期よりも少し前ではあるものの、延吉を訪問した私にとってはあまり新鮮ではなかった。訪問目的は脱北者探しではなく、企業調査であったのだが・・・)
高英起『コチェビよ、脱北の川を渡れ 中朝国境滞在記』(新潮社、2012)
この本以外でも金日成さんがジャズを否定したという話は読んでいるので、これは事実であろう。ジャズは、北朝鮮映画の中で「南朝鮮傀儡軍」が米国の親分と共に退廃的な雰囲気の中でパーティーをやる場面などの効果音として使われるが、肯定的に使われたのを聞いたことがない。ところが、例えハーレム・グローブトロッターズのテーマソングとはいえ、首領様が「だめ」と言った曲を大衆の面前で流したばかりか、それを放送している。下の写真は、曲に合わせて模範演技をする選手である。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-03-04-17-y.flv
そればかりか、「資本主義の退廃的な曲」に合わせて、朝鮮人民が嬉しそうに拍手をしているではないか。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-03-04-17-y.flv
このような場合も、サクラがいて拍手を誘導しているのであろうが、そのような設定をしたこと自体驚きである。
この後、模範演技の続きと試合に入るのであるが、その部分は飛ばしているのでまだ見ていない。追って、何か面白い場面があれば紹介するとし、試合後の様子である。
一番聞きたかったロッドマンさんのスピーチもしっかりと放送されている。聞いた限りではノーカットだと思う。また、過去記事にも書いたとおり、事前原稿なしのスピーチのようで通訳が言い直している部分もある。それで、問題の「友人」発言だが、ロッドマンさんは北朝鮮の人々も金正恩さんも「永遠の友人(you're my friend for life)」と言っている。私が過去記事で推測したようなラフな表現ではなく、金正恩さんには「sir」と呼びかけた上で「永遠のと友人」と言っている。朝鮮語通訳は「敬愛する」という枕詞を机加えた上、過去記事にも書いた「友人」に当たる言葉を使っている。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-03-04-17-y.flv
その後、チームシャツのプレゼント贈呈があるが、金正恩さんは嬉しそうに観衆に見せている。これも米国式というか実に異例のことだ。日本でもプレゼントをその場で開封すると言うことはあまりしないが、米国ではその場で包装を破いて中身を披露するのが普通のようだ。これまでに私が見た北朝鮮指導者に対する贈り物贈呈シーンでは、大体さっと受け取ってすぐにおつきに渡してしまう。背番号1というのも心憎い。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-03-04-17-y.flv
贈呈式終了後、金正恩一行は再び「一号歓迎曲」なしで退場する。バスケットボールコートには、バナーをもらった米国選手が嬉しそうな顔をして立っている。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-03-04-17-y.flv
さて、ロッドマン一行の訪朝をどのように考えたらよいのかまだ上手く表せない。しかし、一義的にややはり金正恩「kid」のバスケットボール好きの産物なのであろう。しかし、コカコーラだけではなくジャズまでも「朝鮮中央TV」で延々と朝鮮人民に聞かせてしまうなどということは、米国に対する強いメッセージといわざるを得ない。
朝鮮人民も米国と全面対決をするといいながら、平気でこういうことをやらかす「kid」をついて行けないと思っているのか、なかなかやるなと見ているのか。
<追記>
さらに、番組を見ていたのだが、また驚くべきシーンがあった。なんと、米国選手が朝鮮人民の女性の手を引いて出てくるではないか。形としては、「エスコート」であり、我々の日常ではそんなに驚くようなシーンではない。しかし、北朝鮮のドラマや映画を見ていても、結婚したカップルが手を繋いでいるシーンが時々あるものの、恋人同士で未婚の男女の身体接触(といっても、手を繋ぐ程度)は私が見た限りではない。朝鮮人民同士でもそうなのに、米国人に手を握られたこの女性、元帥様の命令とはいえ、大丈夫なのであろうか(偵察総局の関係者なら、訓練は受けているはずだが)。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-03-04-17-y.flv
それで終わりと思いき、手をパチンと合わせる米国式のポーズもやっている(名称は失念)。

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また、北朝鮮のチームメートとも手をパチンと合わせている。北朝鮮の選手、ぎこちないが何とか合わせている。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-03-04-17-y.flv
前半戦が終わったところで、「金平海同志(労働党秘書)、盧斗哲同志(国家体育指導委員会副委員長)などが家族と共に観覧している」と紹介している。

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ハーフタイムには、マーチングバンドやテコンドーの模範演技が行われた。マーチングバンドは、しっかりと「金正恩将軍、体を張って死守しよう」という曲を使った後、西側のクラシックマーチを演奏している。子供たちのテコンドー演技を見る金正恩ら。ロッドマンの前には、コーラがなくなりコップが置かれている。

Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2013-03-04-17-y.flv