「敬愛する金正恩同志が国家宇宙開発局を現地指導された」:多数の偵察衛星を「太陽同期軌道」に発射、「米帝国主義侵略軍隊」と「元帥様」、「太陽節」前後に発射か、平安南道安州市の映像 (2022年3月10日 「朝鮮中央通信」)
Source: KCTV, 2022/03/11
10日、「朝鮮中央通信」などに以下。
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敬愛する金正恩同志が国家宇宙開発局を現地指導された
경애하는 김정은동지께서 국가우주개발국을 현지지도하시였다
(평양 3월 10일발 조선중앙통신)
朝鮮労働党総秘書であられ、朝鮮民主主義人民共和国国務委員長であられる敬愛する金正恩同志が、国家宇宙開発局を現地指導された。
조선로동당 총비서이시며 조선민주주의인민공화국 국무위원장이신 경애하는 김정은동지께서 국가우주개발국을 현지지도하시였다.
朝鮮労働党中央委員会部長、ユ・ジン同志、朝鮮労働党中央委員会副部長、金ジョンシク同志が同行した。
조선로동당 중앙위원회 부장 유진동지,조선로동당 중앙위원회 부부장 김정식동지가 동행하였다.
敬愛する総秘書同志を現地で国家宇宙開発局と国防科学院の指導幹部が迎接した。
경애하는 총비서동지를 현지에서 국가우주개발국과 국방과학원의 지도간부들이 영접하였다.
敬愛する総秘書同志は、国家宇宙開発局の指導幹部から朝鮮労働党第8回大会と朝鮮労働党中央委委員会第8期第4回全員会議が提示した宇宙国防科学技術占領目標達成のための科学研究及び開発実態について具体的に確認された。
경애하는 총비서동지께서는 국가우주개발국의 지도간부들로부터 조선로동당 제8차대회와 조선로동당 중앙위원회 제8기 제4차전원회의가 제시한 우주국방과학기술점령목표달성을 위한 과학연구 및 개발실태에 대하여 구체적으로 료해하시였다.
敬愛する総秘書同志は、衛星搭載型光学偵察装備と映像送信機をはじめとした資料送受信通信装備、各種のセンサー部及び装置の開発及び準備状態を確認され、最近、国家宇宙開発局が行った重要試験結果の報告を受けられた。
경애하는 총비서동지께서는 위성탑재형 광학촬영장비들과 영상송신기를 비롯한 자료송수신통신장비들,각종 수감부 및 장치들의 개발 및 준비실태를 료해하시고 최근에 국가우주개발국이 진행한 중요시험결과들을 보고받으시였다.
総秘書同志は、最近、行われた重要試験を通して、航空宇宙写真撮影方法、高解像度撮影装備の動作特性と画像資料伝送系統の信頼性を確証したことについて大きな満足を示された。
총비서동지께서는 최근에 진행한 중요시험들을 통하여 항공우주사진촬영방법,고분해능촬영장비들의 동작특성과 화상자료전송계통의 믿음성을 확증한데 대하여 커다란 만족을 표시하시였다.
総秘書同志は、重要試験を通して、地上の特定地域を試験撮影した垂直及び傾斜撮影高解像度画像資料をご覧になりながら、画像合成処理技術と多量の資料通信処理能力、操縦指令システムの正確さ、通信暗号技術など、国家宇宙開発局が最近、糖の宇宙開発政策を支えて達成した成果を高く評価された。
총비서동지께서는 중요시험을 통하여 지상의 특정지역들을 시험촬영한 수직 및 경사촬영고분해능화상자료들을 보시면서 화상합성처리기술과 다량의 자료통신처리능력,조종지령체계의 정확성,통신암호화기술 등 국가우주개발국이 최근기간 당의 우주개발정책을 받들고 달성한 성과들을 높이 평가해주시였다.
敬愛する総秘書同志は、党第8回大会が提示した国防力発展5大重点目標達成で偵察衛星開発の部分が非常に重大だと言われながら、国家の戦争抑止力を向上させ、戦争に備える能力を高めることにおいて、撮影衛星が持つ戦略的意義について再び明らかにされた。
경애하는 총비서동지께서는 당 제8차대회가 제시한 국방력발전 5대중점목표달성에서 정찰위성개발의 몫이 대단히 중대하다고 하시면서 국가의 전쟁억제력을 향상시키고 전쟁대비능력을 높이는데서 정찰위성이 가지는 전략적의의에 대하여 다시금 밝히시였다.
敬愛する総秘書同志は、偵察衛星開発のための事業は、単純な科学研究事業、偵察情報収集手段の開発である前に、我々の自主的権利と国益守護であり、堂々たる自衛権行使であるのと同時に、国威高揚となると言われながら、我が国の戦争抑止力を向上させ、国の戦争に備える能力を完備するための緊急かつ優先的なこの事業は、我が党と政府が最も最重大事としている政治軍事的な先決課業、至上の革命課業だと言われた。
경애하는 총비서동지께서는 정찰위성개발을 위한 사업은 단순한 과학연구사업,정찰정보수집수단의 개발이기 전에 우리의 자주적권리와 국익수호이고 당당한 자위권행사인 동시에 국위제고로 된다고 하시면서 우리 국가의 전쟁억제력을 향상시켜 나라의 전쟁대비능력을 완비하기 위한 급선무적인 이 사업은 우리 당과 정부가 가장 최중대사로 내세우는 정치군사적인 선결과업,지상의 혁명과업이라고 말씀하시였다.
そして、宇宙科学研究部門と国防科学研究部門の幹部と科学者、技術者が我が党の宇宙開発及び国防発展政策を高く支え、一致団結して緊密に協同、協力しながら党中央が提示した期間内に我々式の偵察衛星開発事業を立派に遂行することについて強調された。
그러시면서 우주과학연구부문과 국방과학연구부문의 일군들과 과학자,기술자들이 우리 당의 우주개발 및 국방발전정책을 높이 받들고 일치단결하고 긴밀히 협동,협력하면서 당중앙이 제시한 기간내에 우리 식의 정찰위성개발사업을 훌륭히 완수할데 대하여 강조하시였다.
敬愛する総秘書同志は、進行中の宇宙科学研究院と宇宙環境試験基地建設問題も確認された。
경애하는 총비서동지께서는 진행중에 있는 우주과학연구원과 우주환경시험기지건설문제도 료해하시였다.
総秘書同志は、我が国が立てた宇宙征服の高い科学技術的目標を達成するには、宇宙科学研究部門の物質技術的土台をしっかりと構築することが何よりも重要だと言われながら、宇宙科学研究部門が持続的に強化発展できるよう、国家的な幇助を強化し、重要措置を検討してみなければならないと言われた。
총비서동지께서는 우리 국가가 내세운 우주정복의 높은 과학기술적목표를 달성하려면 우주과학연구부문의 물질기술적토대를 튼튼히 구축해주는것이 무엇보다 중요하다고 하시면서 우주과학연구부문이 지속적으로 강화발전될수 있도록 국가적인 방조를 강화하고 중요조치들을 검토해보아야 한다고 말씀하시였다.
敬愛する総秘書同志は、朝鮮半島と周辺地域で行われている米帝国主義侵略軍隊と追従勢力共の反共和国敵対的軍事行動の性格を徹底して監視、鑑別し、偵察管理能力を高め、当該状況により、国家武力の迅速な対応能力を向上させることは、我が党が重視している国家防衛力強化に関する戦略戦術的方針だと言われながら、これを貫徹するための5カ年計画期間の偵察衛星開発、運用と関連した戦闘的目標を提示された。
경애하는 총비서동지께서는 조선반도와 주변지역에서 감행되는 미제국주의침략군대와 그 추종세력들의 반공화국적대적군사행동성격을 철저히 감시,감별하고 정황관리능력을 높이며 해당 정황에 따라 국가무력의 신속한 대응능력을 향상시키는것은 우리 당이 중시하는 국가방위력강화에 관한 전략전술적방침이라고 하시면서 이를 관철하기 위한 5개년계획기간의 정찰위성개발,운용과 관련한 전투적목표를 제시하시였다.
敬愛する総秘書同志は、軍事偵察衛星開発と運用の目的は、南朝鮮地域と日本地域、太平洋上での米帝国主義侵略軍隊と追従勢力共の反共和国軍事行動情報をリアルタイムに共和国武力の前に提供することにあると言われながら、そのために5カ年計画期間内に大量の軍事偵察衛星を太陽動悸軌道に多角配置し、衛星による偵察情報収集能力をしっかりと構築することに関する国家宇宙開発局の決心を我が党中央は全的に支持すると言われた。
경애하는 총비서동지께서는 군사정찰위성개발과 운용의 목적은 남조선지역과 일본지역,태평양상에서의 미제국주의침략군대와 그 추종세력들의 반공화국군사행동정보를 실시간 공화국무력앞에 제공하는데 있다고 하시면서 이를 위하여 5개년계획기간내에 다량의 군사정찰위성을 태양동기극궤도에 다각배치하여 위성에 의한 정찰정보수집능력을 튼튼히 구축할데 대한 국가우주개발국의 결심을 우리 당중앙은 전적으로 지지한다고 말씀하시였다.
敬愛する総秘書同志は、宇宙、国防科学研究部門が、党中央の戦略的企図を徹底して貫徹するための科学研究闘争へと総決起史、決死奮闘することで党と革命に無限に忠実な国防科学集団としての英雄的気質を残すところなく轟かせるだろうという大きな期待と確信を表明された。
경애하는 총비서동지께서는 우주,국방과학연구부문이 당중앙의 전략적기도를 철저히 관철하기 위한 과학연구투쟁에로 총궐기해나서고 결사분투함으로써 당과 혁명에 무한히 충직한 국방과학집단으로서의 영웅적기질을 남김없이 떨치리라는 크나큰 기대와 확신을 표명하시였다.
敬愛する総秘書同志が提示された戦闘的課業を血が煮える心臓に刻んだ全ての幹部と科学者、技術者は、金正恩同志が抱かせて下さった大きな信頼を無敵の力として満充填し、我が国の偉大な尊厳を尖端国防科学で死守していく燃える忠誠の誓いをした。
경애하는 총비서동지께서 제시하신 전투적과업을 피끓는 심장마다에 새겨안은 전체 일군들과 과학자,기술자들은 김정은동지께서 안겨주신 크나큰 믿음을 무적의 힘으로 만장약하고 우리 국가의 위대한 존엄을 첨단국방과학으로 사수해나갈 불타는 충성의 맹세를 다지였다.(끝)
Source: KCNA, 2022/03/10
Source: KCNA, 2022/03/10
Source: KCNA, 2022/03/10
Source: KCNA, 2022/03/10
Source: KCNA, 2022/03/10
Source: KCNA, 2022/03/10
www.kcna.kp (주체111.3.10.)
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韓国大統領選で保守系候補が勝利した日に合わせて、「元帥様」が「偵察衛星」発射を示唆する「現地指導」をした。記事では「現地指導」の日が明らかにされておらず、写真で見られる日付は「2月27日」ばかりなので、その時に撮影しておいたものを韓国大統領選挙に合わせて公開している可能性もある。いずれにせよ、韓国に保守系大統領が誕生することで、向こう5年間、北南関係の進展の期待値が下がることは間違いない。
また、「元帥様」は、「米帝国主義侵略軍隊と追従勢力共の反共和国敵対的軍事行動」など、「米帝国主義侵略軍隊」という言葉を何回も使っており、トランプとの間で構築された関係は完全に白紙化された印象を与えている。
さらに、「進行中の宇宙科学研究院と宇宙環境試験基地建設問題も確認」もしており、これらに2施設の建設が進行しており、場合によっては、「偵察衛星」をこれらの施設の発射台から発射する可能性もある。
衛星については、1つではなく「大量の軍事偵察衛星を太陽動悸軌道に多角配置し」としていることから、「米帝国主義侵略軍隊と追従勢力共」が「ミサイル発射」とする「衛星運搬ロケット」の発射を今後、繰り返すことを明言している。過去記事に書いたように重量、質量共に大きな本格的偵察衛星を発射するのは、「火星-15」クラス以上の「衛星運搬ロケット」が必要となるので、ミサイルクラスからすればICBMということになる。
興味深い点は、偵察衛星発射の目的として「朝鮮半島と周辺地域で行われている米帝国主義侵略軍隊と追従勢力共の反共和国敵対的軍事行動の性格を徹底して監視、鑑別し、偵察管理能力を高め」るとしているので、これらの「反共和国敵対的軍事行動」がなくなれば、衛星の発射が必要なくなるという解釈の余地も残している点である。
国家宇宙開発局に設置されている机上のモニターの裏面にあるDELLのロゴはそのまま見せており、しかも、学校などに設置されている中国から持ち込んだと思われる寄せ集めモニターではなく、全て統一されたDELLのモニターとなっている点も、米国の「制裁」が機能していないことを示すことを目的としているのであろう。通常、「尊厳高い」北朝鮮は、外国製のモニターの場合はロゴを消して報道している。
一方、何を意識してなのか分からないが、机上のパソコンのOSがWin7であることを示している映像も含まれている。他のモニターが消され、「元帥様」の手前にあるモニターだけ画面が出ている状態で、右のPCにWin7のデスクトップと思われるロゴを表示している目的は何だろうか。
「太陽同期軌道」について調べてみたところ、JAXAのページに
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地球観測衛星は、これらの2つの軌道を組み合わせた軌道を飛行しており、地球の表面にあたる太陽の角度が同じになる(太陽同期軌道の特性)という条件のもとで、定期的に同じ地域の観測(準回帰軌道の特性)が行えます。
例えば、海洋観測衛星1号「もも1号」(MOS-1)の場合は、約103分かけて地球を一周し(これを「周期」といいます。)、17日間隔で同じ地域の上空をほぼ同じ時間帯に通過(これを「回帰日数」といいます。)します。
Source: JAXA, 地球観測衛星の軌道、https://www.eorc.jaxa.jp/hatoyama/experience/rm_kiso/satellit_type_orbit.html
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と書かれていた。
「元帥様」は、「衛星搭載型光学偵察装備と映像送信機をはじめとした資料送受信通信装備、各種のセンサー部及び装置の開発及び準備状態を確認」としているが、どれほどの性能のものができているのだろうか。壁に設置された大型モニターに映っている出ている白黒写真は、Google Earthで撮影した写真を白黒にした程度にしか見えない。過去記事にも書いたように、今後、北朝鮮が「偵察衛星」を打ち上げたとしても、軍事機密を理由に撮影した写真は公開しないだろうが、「太陽同期軌道」に衛星を侵入させることができたのかどうかは、米軍によって確認され、公開されることとなろう。
発射のタイミングであるが、依然として「太陽節」前後の可能性が高い。
<追記>
モニターに映し出されている軌道の映像をGoogle Earthに当てはめてみた。防衛省の発表では、2月27日の発射も3月5日の発射も「約300km程度飛翔」としているが、地図上の軌道をGoogle Earthに落としてみると、500km程度の飛翔距離があるように見える。
赤いラインが300km、黄色が500km
Source: KCNA, 2022/03/10 筆者切り抜き
次に、壁にある白黒画面をよく見た。青いラインの部分には「衛星試験Xの試験撮影映像資料 (2022年2月27日)」と書かれているように見える(Xの文字は推測不可)。その下の白い部分には、「撮影地点、平安南道安州市付近、垂直(?)撮影-傾斜(?)撮影、撮影高度5X1km」(Xの文字は推測不可)と書かれているように見える。3枚ある白黒写真の一番右の写真の手前にある矢印に(?)と下部分と同じ文字「XX撮影」と書かれているようなのだが、読み取れない。
Source: KCNA, 2022/03/10 筆者切り抜き
当該撮影位置をGoogle Earthで見ると、ほぼ同じ映像が得られる。左上にある山の形や川の位置からしてほぼ間違いなく同じ場所だと推測される。Google Earthの表示を見るとこの解像度は高度15km付近からの撮影と表示される。一方、「元帥様」が見ている画面では上に書いたように「5X1km」となっており、高度がかなり異なっている。防衛省の発表では、「最高高度約600km程度」とされているので、弾頭部(偵察衛星)が分離され、落下する過程での撮影と想定すれば「5X1km」という高度は妥当だと思われる。すると高度500kmで撮影した最高解像度がモニターに表示されている映像なのかということが重要になる。
Google EarthはLandsat8が撮影している映像を使っているとされており、同衛星は「705kmの太陽同期軌道」で周回しているとのことである。Landsat8の撮影解像度については下に書かれているが、センサーについては難しくてよく分からない。しかしながら、「元帥様」が「各種のセンサー部」について説明を受けていることからしても、重要な部品となるのであろう。
USGG, Landsat8, https://www.usgs.gov/landsat-missions/landsat-8
Landsat8は700kmの高度で撮影して、Google Earthで確認できるぐらいの解像度を出している。朝鮮の偵察衛星も同じくらいの解像度を出せるのであれば、「米帝国主義侵略軍隊」の動きぐらいは確実に捕捉することができるであろう。もちろん、撮影した映像はそのまま使うのではなく、「合成」技術も必要となるわけだが、そこも押さえている。
さて、本衛星はどのようなものになるのだろうか。
<追記2>
もう1枚の写真に写っている地点も特定してみた。
下の写真では、左の写真に赤くマークされた地点があり、右の写真ではそこが拡大されている。
Source: KCNA, 2022/03/10 筆者切り抜き
Google Earhでみた赤くマークされた地点(黄色いピン)
右の写真ぐらいの大きさに拡大したもの、解像度の高度は約700m
「朝鮮中央TV」では、今のところ、静止画も動画もない報道をしている。