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    「北朝鮮で外国人にモバイル・インターネット接続解禁」 (2013年2月23日 「China Daily.com」)

    China Daily.comが北朝鮮でモバイル・インターネット接続を外国人に解禁するというニュースを伝えた。インターネットサービスを提供するエジプトオラスコム者との合弁事業を手がける高麗リンクが「遅くとも3月1日からは平壌在住の外国人が3Gモバイル・インターネット接続ができるようになる」と2月22日に発表した。

    北朝鮮では、外国人による携帯電話持ち込みは禁止していた。私も北朝鮮に列車で入国する際、税関係員が列車のコンパートメントにやってきて、「Cell phone, GPS」と何回も英語で繰り返していた。私は、持ち込み禁止ということを知っていたので携帯電話は持って行かなかったが、同じコンパートメントにいたオランダ人(だったはず、失念)は、携帯電話を税関係員に預けていた。係員は、その場で携帯電話をビニール袋に入れ、荷造りテープで厳封、封印し、オランダ人にそこにサインをするよう指示していた。

    しかし、北朝鮮はインターネット・モバイル解禁の数週間前にこの規制を撤廃し、外国人が持ち込んだ携帯に高麗リンクのSIMカードを挿入して使える用意した。しかし、外国人が使うネットワークは朝鮮人民のネットワークと接続されておらず、海外への通話以外はできないという(北朝鮮国内で同種のSIMカードによるネットワークに接続している外国人同士は通話が可能と思われるが)。

    朝鮮人民がネットワークでは、SMS、MMS、またビデオコールなどが可能であるが、インターネットは「労働新聞」を読むことしかできないという。北朝鮮では4年前からオラスコムの3Gネットワークが導入されており、100万人以上の朝鮮人民が携帯を使っているという。オラスコムによると、携帯ネットワークは北朝鮮の大都市のほとんどで使用可能という。

    最も基本的な携帯電話は、中国のHuawei製で、高麗リンクで150ドルで売られているということである。

    外国人向けのSIMは空港などの高麗リンクショップで50ユーロで売られており、スイスとフランスへの国際電話は1分で0.38ユーロ、米国へは同5ユーロという。スイスとフランスへはリーゾナブルな通話料であるが、米国へはとてつもなく高い。海外との接続は北朝鮮国営電話会社の回線を使っているのであろうが、敵対国へは遠回りをして繋ぐためなのか、とても高い。スイスが安いのは、金正恩さんが留学していたということはないだろうが、北朝鮮関係者が中立国であるスイスを拠点にヨーロッパでの活動をしているからであろうか。

    来週からは、外国人はUSBモデムあるいはSIMカードを使った月契約のインターネットが使えることになるというが、使用料はまだ公開されていない。USBモデム経由ということは、外国人が持ち込んだPCに高麗リンクが提供するモデムをUSB経由で接続して使えるようにするということなのか、それとも外国人が持ち込んだモデムに高麗リンクのSIMを挿入して使うのかは分からない。

    インターネット接続が可能であったとして、北朝鮮は外国人に対してどこまで接続を許すのであろうか。中国の「万里の長城ファイヤーウォール」や韓国の「放送通信審議委員会ファイヤーウォール」のような好ましくないサイトの閲覧を制限する「先軍ファイヤーウォール」のようなものを設けるのであろうか。それをやられると、ほとんどのサイトを閲覧できないことになるはずだ。グーグル会長が北朝鮮を訪問したので、グーグル系のメールサービスぐらいは許可するのであろうか。北朝鮮に出入りする中国のビジネスマンは、早速このサービスを使うであろうが、彼らが朝鮮人民と接触する際「好ましくないサイト」を見せられないようにする工夫は当然していると思うのであるが、どうなのだろうか。

    実は、拙ブログにも私が確認しただけで3回北朝鮮からと思われるアクセスがあった。IPで見ているだけなのではっきりしたことは分からないのだが、普通江区域からのアクセスであった。どの記事を見たのかははっきりと覚えていないが、金正恩さんの現地指導とFAO関連の記事であったような気がする。在北朝鮮の外国公館か国際機関の駐在事務所、それとも保衛部なのかは分からないが、モバイル・インターネット接続が可能になったらアクセスが増えるのであろうか。

    ところで、この記事を読んでいたらグーグル会長訪問後、真っ白だったグーグルマップに北朝鮮の学校や「史跡」、鉄道駅などが表示されるようになったと書いてあった。平壌については以前からも比較的詳細な表示があったが、地方都市でも学校や工場、市場などが表示されている。学校と工場はまだしも、市場が出ているのには驚いた。

    金正日さんが愛用したMacbook Pro(あるいはそのレプリカ)は、錦繍山太陽宮殿に展示されているそうである。

    いずれ記事にしようと思っているが、今「最先端」という2010年9月に放送されたテレビ連続ドラマを見ているところである。2部までダウンロードをして1部を見終わったが、ドラマの背景は「苦難の行軍」の直後であり、厳しい食料事情など映し出しておりなかなか面白い。まだ1部しか見ていないので分からないが、ある工場で新しい技術を受け入れていく過程を扱ったドラマのようである。2010年9月が初放送だったのかどうかは「北韓情報センター」のデータでは分からないが、金正恩さんが後継者が決定した時期とも重なり興味深い。

    China Daily.com, "Pyongyang to allow wider mobile use",
    http://www.chinadaily.com.cn/world/2013-02/23/content_16250013.htm

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    川口智彦

    Author:川口智彦
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    2021年1月11日から「総秘書同志」
    「首領様」=金日成主席
    「将軍様」=金正日総書記
    「政治局員候補」=金ヨジョン(「元帥様」の妹)、2018年2月11日から「第1副部長同志」とも
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